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JP2013089525A - スパークプラグの取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン本体との取付部における高いシール性を確保しつつ、そのシール性の低下を防ぐことができるスパークプラグの取付構造を提供すること。
【解決手段】スパークプラグ1をエンジン本体2に取り付けてなるスパークプラグの取付構造。エンジン本体は取付用孔部22とその開口端の周囲に設けられたエンジン座面21とを備えている。スパークプラグは取付用ネジ部12の基端側にプラグ座面11を備え、エンジン座面とプラグ座面との間にガスケット3を介在させた状態でエンジン本体に取り付けられている。ガスケットは降伏応力もしくは0.2%耐力が200N/mm2以上の金属材料からなり、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とを有する。プラグ側当接面及びエンジン側当接面はいずれも凸形状となる曲面の一部に形成されている。プラグ側当接面とエンジン側当接面とは互いにプラグ径方向にオフセット配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパークプラグをエンジン本体に取り付けてなるスパークプラグの取付構造に関する。
自動車、コージェネレーション等におけるエンジン(内燃機関)には、スパークプラグが取り付けられており、該スパークプラグの火花放電ギャップに放電火花を生じさせることにより、エンジンの燃焼室における混合気に着火できるよう構成されている。
このように、スパークプラグをエンジン本体(シリンダヘッド)に取り付けてなるスパークプラグの取付構造においては、エンジン本体における取付用孔部の内周に設けた雌ネジ部に、スパークプラグの外周に設けた取付用ネジ部を螺合させている。
エンジン本体の取付用孔部と上記スパークプラグとの間におけるシールを確実にするために、エンジン本体における取付用孔部の周囲のエンジン座面と、スパークプラグにおける取付用ネジ部の基端側に設けたプラグ座面との間には、ガスケットを介在させてある(特許文献1等)。そして、スパークプラグをエンジン本体に取り付けるにあたっては、ガスケットを弾性変形させるように取付用ネジ部を雌ネジ部に締め付ける。これにより、エンジン本体の取付用孔部とスパークプラグとの間のシール性を確保している。つまり、スパークプラグをエンジン本体に螺合する際に、ガスケットが弾性変形することによって生じる弾性力によって、取付用ネジ部の締付の軸力が維持されて、取付部におけるシール性が確保されている。
特開2001−187966号公報
しかしながら、近年、エンジンの希薄燃焼化や高出力化に伴い、燃焼温度の上昇や振動の増加が生じている。これによって、ガスケットに過大な力が作用することがある。ガスケットに過大な力が作用すると、ガスケットが塑性変形を生じ、プラグ軸方向の厚みが小さくなるおそれがある。つまり、ガスケットにヘタリが生じ、プラグ座面とエンジン座面との間に介在したガスケットの弾性力が低下し、シール性が低下するおそれがある。
また、ガスケットにヘタリが生じると、スパークプラグの取付用ネジ部の締付の軸力が低下し、取付用ネジ部とエンジン本体の雌ネジ部との間の締め付けが緩んでしまうおそれがある。
このようなガスケットのヘタリを防ぐためには、ガスケットの降伏応力を高くすることが考えられる。
ところが、ガスケットに求められる特性として、スパークプラグをエンジン本体に締め付ける際に充分に弾性変形して、エンジン座面とプラグ座面とに密着することにより、両者間の気密性を高めることができることが要求される。それゆえ、ガスケットの塑性変形を抑制すべく、単にその降伏応力を高めるだけでは、ガスケットが弾性変形し難くなり、エンジン座面とプラグ座面とに密着させることが困難となる。つまり、ガスケットの降伏応力を高くしすぎると、却ってシール性を確保することが困難となるおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、エンジン本体との取付部における高いシール性を確保しつつ、そのシール性の低下を防ぐことができるスパークプラグの取付構造を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、外周に取付用ネジ部を設けたスパークプラグをエンジン本体に取り付けてなるスパークプラグの取付構造であって、
上記エンジン本体は、上記スパークプラグの上記取付用ネジ部を螺合するための雌ネジ部を内側に設けた取付用孔部と、該取付用孔部の開口端の周囲に設けられたエンジン座面とを備え、
上記スパークプラグは、上記取付用ネジ部の基端側に形成されると共に上記エンジン座面に対向配置されるプラグ座面を備え、
上記スパークプラグは、上記エンジン座面と上記プラグ座面との間に、両者間をシールするための環状のガスケットを介在させた状態で上記エンジン本体に取り付けられており、
上記ガスケットは、降伏応力もしくは0.2%耐力が200N/mm2以上である金属材料からなると共に、上記プラグ座面と当接するプラグ側当接面と、上記エンジン座面と当接するエンジン側当接面とを備え、
上記プラグ側当接面及び上記エンジン側当接面は、いずれも上記スパークプラグの中心軸を含む平面による断面形状において凸形状となる曲面の一部に形成されており、
かつ、上記プラグ側当接面と上記エンジン側当接面とは、互いにプラグ径方向にオフセット配置されていることを特徴とするスパークプラグの取付構造にある(請求項1)。
上記ガスケットは、上記プラグ側当接面及び上記エンジン側当接面が上記のような曲面の一部に形成されており、かつ、上記プラグ側当接面と上記エンジン側当接面とは、互いにプラグ径方向にオフセット配置されている。それゆえ、スパークプラグの取付用ネジ部の軸力に対しては、環状のガスケットの周方向の各部が、プラグ座面との当接部とエンジン座面との当接部とを結ぶ線分の中点あたりを軸として回転するように弾性変形する。つまり、環状のガスケットが、局部的にではなく、その全体形状において変形するため、大きな力が作用しても、ガスケットの変形は塑性域まで至りにくく、弾性変形となりやすい。その結果、エンジン使用時の振動等に起因して大きな外力がガスケットに作用しても、ガスケットの塑性変形を招くことを防ぐことができ、そのシール性の低下を防ぐことができる。
そして、このように、大きな外力が作用してもガスケットはその全体形状によって弾性変形するため、特にガスケットの材料として、極端に降伏応力もしくは0.2%耐力の高いものを用いる必要がない。それゆえ、スパークプラグをエンジン本体に締め付けたときに、ガスケットは、軸力に対して適度に弾性変形し、プラグ側当接面がプラグ座面に充分に密着し、エンジン側当接面がエンジン座面に充分に密着するようにすることができる。これにより、スパークプラグの取付部におけるシール性を充分に確保することができる。
また、上記プラグ側当接面及び上記エンジン側当接面は曲面の一部に形成されているため、それぞれプラグ座面及びエンジン座面との接触は、環状の線接触に近い状態となり、そのシール性を確保しやすい。
以上のごとく、本発明によれば、エンジン本体との取付部における高いシール性を確保しつつ、そのシール性の低下を防ぐことができるスパークプラグの取付構造を提供することができる。
実施例1における、スパークプラグの取付構造の部分断面説明図。 実施例1における、ガスケットによるシール部の拡大断面説明図。 実施例1における、ガスケットの斜視図。 実施例1における、スパークプラグの部分断面説明図。 実施例1における、ガスケットが弾性変形する直前の状態にあるスパークプラグの取付途中の拡大断面説明図。 実施例1における、ガスケットが弾性変形しつつある状態のスパークプラグの取付途中の拡大断面説明図。 実施例1における、締付け完了した状態にあるスパークプラグの取付途中の拡大断面説明図。 実施例2における、ガスケットの一部の拡大断面説明図。 実施例2における、他のガスケットの一部の拡大断面説明図。 実施例2における、さらに他のガスケットの一部の拡大断面説明図。 実験例1における、測定結果を締付トルクと漏れ量との関係で表した線図。 実験例1における、測定結果を平均接触長さと漏れ量との関係で表した線図。 実験例1における、オフセット量Pが0.0mmの試料についての測定結果を締付トルクと漏れ量との関係で表した線図。 実験例1における、オフセット量Pが0.6mmの試料についての測定結果を締付トルクと漏れ量との関係で表した線図。 実験例1における、オフセット量Pが1.2mmの試料についての測定結果を締付トルクと漏れ量との関係で表した線図。 実験例1における、オフセット量Pが0.0mmの試料についての測定結果を締付トルクと漏れ量との関係で表した線図。 実験例1における、オフセット量Pが0.6mmの試料についての測定結果を締付トルクと漏れ量との関係で表した線図。 実験例1における、オフセット量Pが1.2mmの試料についての測定結果を締付トルクと漏れ量との関係で表した線図。
上記スパークプラグにおいて、燃焼室へ挿入される側を先端側、その反対側を基端側とする。
上記ガスケットは、降伏応力もしくは0.2%耐力が200N/mm2以上である金属材料からなる。ここで、0.2%耐力とは、降伏点を持たない金属材料において、当該金属材料に荷重をかけた場合、荷重を除去したときに残る塑性変形(永久ひずみ)が0.2%となるときの当該金属材料に作用した最大荷重の大きさをいう。
なお、上記ガスケットとして、降伏応力もしくは0.2%耐力が200N/mm2未満の金属材料を用いると、大きな力が作用したとき塑性変形してしまうおそれがあり、シール性の低下を防ぐことが困難となる。
また、上記ガスケットは、ステンレス鋼からなることが好ましい(請求項2)。この場合には、上記ガスケットの降伏応力もしくは0.2%耐力を200N/mm2以上とし易いため、上述の作用効果を容易に得ることができる。
また、上記ガスケットは、上記スパークプラグの中心軸を含む平面による断面形状がS字形状もしくは逆S字形状であることが好ましい(請求項3)。この場合には、全体形状が環状であるガスケットにおいて、上記プラグ側当接面及び上記エンジン側当接面を容易に形成することができる。
また、上記プラグ側当接面と上記エンジン側当接面との間のプラグ径方向のオフセット量は、0.6mm以上であることが好ましい(請求項4)。この場合には、上述したような環状のガスケットの周方向の各部における回転が生じるような弾性変形を、円滑に生じさせることができる。これにより、大きな力が作用しても、ガスケットの変形が塑性域まで至らずに、弾性変形としやすく、スパークプラグの取付部のシール性を確保することができる。
また、上記プラグ座面と接触した上記プラグ側当接面のプラグ径方向の長さと、上記エンジン座面と接触した上記エンジン側当接面のプラグ径方向の長さとの平均値は、0.2〜0.7mmであることが好ましい(請求項5)。この場合には、スパークプラグの取付部におけるシール性を確保することができる。上記平均値が0.2mm未満の場合には、プラグ側当接面又はエンジン側当接面におけるシール幅が短くなり、スパークプラグの取付部におけるシール性の低下を招くおそれがある。また、上記平均値が0.7mmを超える場合には、プラグ側当接面又はエンジン側当接面において、部分的にガスケットとプラグ座面又はエンジン座面との接触圧が低下することが考えられ、その部分におけるシール性の低下を招くおそれがある。
(実施例1)
上記スパークプラグの取付構造につき、図1〜図7を用いて説明する。
本例のスパークプラグの取付構造は、図1に示すごとく、外周に取付用ネジ部12を設けたスパークプラグ1をエンジン本体2に取り付けてなる構造である。
エンジン本体2は、スパークプラグ1の取付用ネジ部12を螺合するための雌ネジ部を内側に設けた取付用孔部22と、該取付用孔部22の開口端の周囲に設けられたエンジン座面21とを備えている。
スパークプラグ1は、取付用ネジ部12の基端側に形成されると共にエンジン座面21に対向配置されるプラグ座面11を備えている。
そして、スパークプラグ1は、エンジン座面21とプラグ座面11との間に、両者間をシールするための環状のガスケット3を介在させた状態でエンジン本体2に取り付けられている。
ガスケット3は、降伏応力もしくは0.2%耐力が200N/mm2以上である金属材料からなると共に、図2に示すごとく、プラグ座面11と当接するプラグ側当接面311と、エンジン座面21と当接するエンジン側当接面321とを備えている。
プラグ側当接面311及びエンジン側当接面321は、いずれもスパークプラグ1の中心軸を含む平面による断面形状(図2に表れる断面形状)において凸形状となる曲面の一部に形成されている。
プラグ側当接面311及びエンジン側当接面321は、互いにプラグ径方向にオフセット配置されている。
本例のスパークプラグ1は、例えば、自動車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等における内燃機関の着火手段として用いることができる。
スパークプラグ1は、図1、図4に示すように、例えば炭素鋼等の金属からなると共に略円筒形状を有するハウジング120の外周に取付用ネジ部12を形成している。
この略円筒状のハウジング120の内側に、例えばアルミナ等のセラミックスからなる略円筒状の絶縁碍子13が挿通保持されており、絶縁碍子13の内側に略円柱状の中心電極14が挿通保持されている。
また、ハウジング120の先端面に、Ni合金等からなる接地電極15の一端が接合されている。そして、図1、図2に示すごとく、接地電極15の他端付近が中心電極14の先端と対向する位置に配されるよう、接地電極15は屈曲形成されている。これにより、中心電極14と接地電極15との間に火花放電ギャップ16が形成されている。
ハウジング120は、取付用ネジ部12の基端側に、取付用ネジ部12よりも直径の大きい大径部を有し、該大径部の先端側に、上記プラグ座面11を円周状に形成してなる。このプラグ座面11に面するように、ガスケット3が配設されている。
ガスケット3は、図3に示すごとく、円環状の部材であり、一枚の金属板をプレス等によって、打ち抜き加工、曲げ加工することにより、成形することができる。
ガスケット3は、降伏応力もしくは0.2%耐力が高い金属材料からなり、本例においては、ステンレス鋼(SUS)からなる。ただし、ガスケット3は、降伏応力もしくは0.2%耐力が200N/mm2以上である金属材料からなるものであればよく、ステンレス鋼以外にも、例えば、圧延鋼板を用いてもよい。
また、ガスケット3は、図2に示すごとく、スパークプラグ1の中心軸を含む平面による断面形状がS字形状もしくは逆S字形状である。ここで、S字形状もしくは逆S字形状とは、互いに逆向きの曲線状の折返し部分を2箇所に備え、一対の折返し部分の間の部分と、一方の折返し部分よりも一端側の部分(プラグ側当接面311を備える部分)と、他方の折返し部分よりも他端側の部分(エンジン側当接面321を備える部分)とが、プラグ軸方向に重なっている形状をいう。ここで、S字形状もしくは逆S字形状の一端(他端)が、S字形状における他の部分に接触していても接触していなくてもよい。本例においては、S字形状もしくは逆S字形状の一端(プラグ側当接面311に近い側の端部)が、S字形状における他の部分に接触せず、他端(エンジン側当接面321に近い側の端部)が、S字形状における他の部分に接触している。
ガスケット3におけるプラグ側当接面311とエンジン側当接面321との間のプラグ径方向のオフセット量Pは、0.6mm以上である。ここで、オフセット量Pは、プラグ側当接面311の中心(内周端と外周端との中点)と、エンジン側当接面321の中心(内周端と外周端との中点)との間の距離をいう。
また、プラグ座面11と接触したプラグ側当接面311のプラグ径方向の長さL1と、エンジン座面21と接触したエンジン側当接面321のプラグ径方向の長さL2との平均値(平均接触長さL0)は、0.2〜0.7mmである。ここで、L1≧0.1mm、L2≧0.1mmであることが好ましい。
スパークプラグ1をエンジン本体2に取り付ける前の状態においては、図4、図5に示すごとく、ガスケット3は、プラグ軸方向の寸法が比較的大きい状態にあり、いわゆる弾性変形していない自由状態にある。
かかるガスケット3がハウジング120の外周に配置されたスパークプラグ1を、エンジン本体2における取付用孔部22に取り付けるにあたっては、スパークプラグ1の取付用ネジ部12を取付用孔部22の雌ネジ部に螺合する。そして、図5に示すごとく、スパークプラグ1のプラグ座面11とエンジン本体2のエンジン座面21とに、ガスケット3が挟持された状態となる。
この状態からさらにスパークプラグ1をねじ込むことにより、図6に示すごとく、ガスケット3が弾性変形を始める。このとき、図5〜図7に示すごとく、環状のガスケット3の周方向の各部が、プラグ座面11との当接部とエンジン座面21との当接部とを結ぶ線分の中点あたりを軸として回転するように弾性変形する。つまり、プラグ座面11との当接部がプラグ径方向の内側へ向かい、エンジン座面21との当接部がプラグ径方向の外側へ向かうように、ガスケット3の周方向の各部が弾性変形する。
そして、プラグ側当接面311がエンジン側当接面321よりもプラグ径方向の内側にオフセットされた状態で、ガスケット3がプラグ座面11とエンジン座面21とにそれぞれ環状に圧接される。これにより、スパークプラグ1とエンジン本体2との間がシールされる。
この間、図5〜図7に示すごとく、ガスケット3の局部的な断面形状(周方向に直交する断面の形状)は、殆ど変化することなく、プラグ軸方向に対する傾斜が変化する。
次に、本例の作用効果につき説明する。
ガスケット3は、プラグ側当接面311及びエンジン側当接面321が上記のような曲面の一部に形成されており、かつ、プラグ側当接面311及びエンジン側当接面321は、互いにプラグ径方向にオフセット配置されている。それゆえ、スパークプラグ1の取付用ネジ部12の軸力に対しては、環状のガスケット3の周方向の各部が、プラグ座面11との当接部とエンジン座面21との当接部とを結ぶ線分の中点あたりを軸として回転するように弾性変形する。つまり、環状のガスケット3が、局部的にではなく、その全体形状において変形するため、大きな力が作用しても、ガスケット3の変形は塑性域まで至りにくく、弾性変形となりやすい。その結果、エンジン使用時の振動等に起因して大きな外力がガスケット3に作用しても、ガスケット3の塑性変形を招くことを防ぐことができ、そのシール性の低下を防ぐことができる。
そして、このように、大きな外力が作用してもガスケット3はその全体形状によって弾性変形するため、特にガスケット3の材料として、極端に降伏応力もしくは0.2%耐力の高いものを用いる必要がない。それゆえ、スパークプラグ1をエンジン本体2に締め付けたときに、ガスケット3は、軸力に対して適度に弾性変形し、プラグ側当接面311がプラグ座面11に充分に密着し、エンジン側当接面321がエンジン座面21に充分に密着するようにすることができる。これにより、スパークプラグ1の取付部におけるシール性を充分に確保することができる。
また、プラグ側当接面311及びエンジン側当接面321は曲面の一部に形成されているため、それぞれプラグ座面11及びエンジン座面21との接触は、環状の線接触に近い状態となり、そのシール性を確保しやすい。
また、ガスケット3は、ステンレス鋼からなる。これにより、ガスケット3の降伏応力もしくは0.2%耐力を200N/mm2以上とし易いため、上述の作用効果を容易に得ることができる。
また、ガスケット3は、スパークプラグ1の中心軸を含む平面による断面形状がS字形状もしくは逆S字形状である。これにより、全体形状が環状であるガスケット3において、プラグ側当接面311及びエンジン側当接面321を容易に形成することができる。
また、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321との間のプラグ径方向のオフセット量Pは、0.6mm以上である。これにより、上述したような環状のガスケット3の周方向の各部における回転が生じるような弾性変形を、円滑に生じさせることができる。これにより、大きな力が作用しても、ガスケット3の変形が塑性域まで至らずに、弾性変形としやすく、スパークプラグ1の取付部のシール性を確保することができる。
また、プラグ座面11と接触したプラグ側当接面311のプラグ径方向の長さL1と、エンジン座面21と接触したエンジン側当接面321のプラグ径方向の長さL2との平均値(平均接触長さL0)は、0.2〜0.7mmである。これにより、スパークプラグ1の取付部におけるシール性を確保することができる。
以上のごとく、本例によれば、エンジン本体との取付部における高いシール性を確保しつつ、そのシール性の低下を防ぐことができるスパークプラグの取付構造を提供することができる。
(実施例2)
本例は、図8〜図10に示すごとく、ガスケット3の形状を種々変更した例である。
すなわち、ガスケット3における周方向の一部における、プラグ軸方向を含む平面による断面の形状を、S字形状や逆S字形状以外とした例である。
図8に示すガスケット3は、上記の断面が、略楕円形状である。すなわち、このガスケット3は、断面楕円形状のチューブを環状に形成してなるものである。
図9に示すガスケット3は、折返し部分を3箇所に有し、エンジン側当接面321を二つの折返し部分の間に設けたものである。
図10に示すガスケット3は、折返し部分を2箇所に有し、一方の折返し部分よりも一端側の端縁が、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321との間から、他方の折返し部分へ向かうように形成されたものである。
また、図示を省略したが、ガスケット3の断面形状として、実施例1に示したS字形状もしくは逆S字形状とは逆のパターンのS字形状もしくは逆S字形状を採用することもできる。すなわち、プラグ側当接面311が、エンジン側当接面321よりも、プラグ径方向の外側に配置される構成であってもよい。
(実験例1)
本例は、図11〜図18に示すごとく、実施例1のスパークプラグの取付構造における、シール性の評価を行った例である。
具体的には、JISB8031(規格名称「内燃機関−スパークプラグ」、2006年12月20日改正)の規格に従って、気密性試験を行った。すなわち、所定の条件下において、スパークプラグを150℃の雰囲気中に30分間保った後、その状態で発火部に、1.5MPaの空気圧を加えて、プラグ内部からの空気の漏れ量を測定した。
評価に用いたスパークプラグは、M14のハウジング120、すなわち取付用ネジ部12における谷部の直径が14mmのハウジング120を用いたものである。また、ハウジング120の材質は、アルミニウムである。また、エンジン本体2(シリンダヘッド)も、アルミニウムからなる。また、ガスケット3の材質は、SUS304とした。このガスケット3の0.2%耐力は、205N/mm2である。
そして、エンジン本体2(シリンダヘッド)の取付用孔部22に対するスパークプラグの締付トルク、ガスケット3の板厚t、オフセット量P(図2参照)を種々変更した複数の試料を作製した。そして、各試料において、上記の気密性試験を行った。
具体的に、締付トルクは、17.5Nm、20Nm、22.5Nm、25Nm、27.5Nm、30Nm、32.5Nmとした。
板厚tは、0.25mm、0.3mm、0.35mmとした。
オフセット量Pは、0.0mm、0.6mm、1.2mmとした。
以下に、測定結果を説明する。
まず、図11に、締付トルクとシール性(空気の漏れ量)との関係を示す。
同図において、◆が、板厚t=0.25mmのガスケット3を用いた試料のデータを示し、○が、板厚t=0.30mmのガスケット3を用いた試料のデータを示し、△が、板厚t=0.35mmのガスケット3を用いた試料のデータを示す。後述の図12〜図18においても同様である。
JISにおいて規定されている締付トルクは20〜30Nmであり、気密性試験における許容漏れ量は、毎分1ml以下である。
同図から分かるように、締付トルクが大きすぎても、小さすぎても、漏れ量が大きくなる傾向にあり、漏れ量が、許容量である毎分1mlを超えるものもある。そして、JISにおいて規定されている締付トルク(20〜30Nm)の範囲内においても、漏れ量が毎分1mlを超えるものがある。
次に、平均接触長さL0と漏れ量との関係を、図12に示す。平均接触長さL0とは、プラグ座面11と接触したプラグ側当接面311のプラグ径方向の長さL1と、エンジン座面21と接触したエンジン側当接面321のプラグ径方向の長さL2との平均値である(図2参照)。
同図から分かるように、平均接触長さL0が大きすぎても、小さすぎても、漏れ量が大きくなる傾向にあり、漏れ量が、許容量である毎分1mlを超えるものもある。そして、平均接触長さL0が0.2〜0.7mmであれば、シール性を確保できている。
この結果から、平均接触長さL0が0.2〜0.7mmであることが好ましいことが分かる。
次に、図12に示した測定データを、オフセット量Pが、0.0mmの場合(プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とがオフセットしていない場合)と、0.6mmの場合と、1.2mmの場合とに分けて、それぞれ図13、図14、図15に表した。
図13から分かるように、オフセット量Pが0.0mmの場合には、漏れ量が規格値(1.0ml/分)を超えるものがある。また、オフセット量Pが0.0mmの場合には、平均接触長さL0が大きくなりやすく、平均接触長さL0が大きくなった試料において漏れ量が規格値を超えるものが目立つ。
これに対して、図14、図15に示すごとく、オフセット量Pを0.6mm、1.2mmとすることにより、漏れ量が規格値に収まる。この結果から、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とをオフセットさせることによって、漏れ量を低減できることが分かる。そして、少なくとも、オフセット量Pを0.6mm以上とすることによって、漏れ量を規格値内に収めることができる。
この結果から、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とをオフセットさせることにより、シール性の向上を図ることができ、そのオフセット量Pを0.6mm以上とすることで、充分なシール性を確保することができることが分かる。また、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とがオフセットしていない場合には、平均接触長さL0が大きくなり、これに伴ってシール性の低下が生じやすくなることが分かる。
次に、図11に示した測定データを、オフセット量Pが、0.0mmの場合(プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とがオフセットしていない場合)と、0.6mmの場合と、1.2mmの場合とに分けて、それぞれ図16、図17、図18に表した。
図16から分かるように、オフセット量Pが0.0mmの場合には、締付トルクが規格値(20〜30Nm)の範囲内においても、漏れ量が規格値(1.0ml/分)を超えるものがある。これに対して、図17、図18に示すごとく、オフセット量Pを0.6mm、1.2mmとすることにより、漏れ量が規格値に収まる。しかも、締付トルクが規格値(20〜30Nm)を多少超えても、すなわち、締付トルクが17.5Nmの場合および32.5Nmの場合でも、漏れ量が規格値に収まる。
この結果から、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とをオフセットさせることによって、漏れ量を低減できることが分かる。そして、少なくとも、オフセット量Pを0.6mm以上とすることによって、漏れ量を規格値内に収めることができる。
この結果からも、プラグ側当接面311とエンジン側当接面321とをオフセットさせることにより、シール性の向上を図ることができ、そのオフセット量Pを0.6mm以上とすることで、充分なシール性を確保することができることが分かる。
1 スパークプラグ
11 プラグ座面
12 取付用ネジ部
2 エンジン本体
21 エンジン座面
22 取付用孔部
3 ガスケット
311 プラグ側当接面
321 エンジン側当接面

Claims (5)

  1. 外周に取付用ネジ部を設けたスパークプラグをエンジン本体に取り付けてなるスパークプラグの取付構造であって、
    上記エンジン本体は、上記スパークプラグの上記取付用ネジ部を螺合するための雌ネジ部を内側に設けた取付用孔部と、該取付用孔部の開口端の周囲に設けられたエンジン座面とを備え、
    上記スパークプラグは、上記取付用ネジ部の基端側に形成されると共に上記エンジン座面に対向配置されるプラグ座面を備え、
    上記スパークプラグは、上記エンジン座面と上記プラグ座面との間に、両者間をシールするための環状のガスケットを介在させた状態で上記エンジン本体に取り付けられており、
    上記ガスケットは、降伏応力もしくは0.2%耐力が200N/mm2以上である金属材料からなると共に、上記プラグ座面と当接するプラグ側当接面と、上記エンジン座面と当接するエンジン側当接面とを備え、
    上記プラグ側当接面及び上記エンジン側当接面は、いずれも上記スパークプラグの中心軸を含む平面による断面形状において凸形状となる曲面の一部に形成されており、
    かつ、上記プラグ側当接面と上記エンジン側当接面とは、互いにプラグ径方向にオフセット配置されていることを特徴とするスパークプラグの取付構造。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグの取付構造において、上記ガスケットは、ステンレス鋼からなることを特徴とするスパークプラグの取付構造。
  3. 請求項1又は2に記載のスパークプラグの取付構造において、上記ガスケットは、上記スパークプラグの中心軸を含む平面による断面形状がS字形状もしくは逆S字形状であることを特徴とするスパークプラグの取付構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパークプラグの取付構造において、上記プラグ側当接面と上記エンジン側当接面との間のプラグ径方向のオフセット量は、0.6mm以上であることを特徴とするスパークプラグの取付構造。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパークプラグの取付構造において、上記プラグ座面と接触した上記プラグ側当接面のプラグ径方向の長さと、上記エンジン座面と接触した上記エンジン側当接面のプラグ径方向の長さとの平均値は、0.2〜0.7mmであることを特徴とするスパークプラグの取付構造。
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