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JP2013067350A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2013067350A
JP2013067350A JP2011209228A JP2011209228A JP2013067350A JP 2013067350 A JP2013067350 A JP 2013067350A JP 2011209228 A JP2011209228 A JP 2011209228A JP 2011209228 A JP2011209228 A JP 2011209228A JP 2013067350 A JP2013067350 A JP 2013067350A
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Nobuaki Minami
伸明 南
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】高速耐久性及び静粛性に優れた空気入りタイヤ12の提供。
【解決手段】このタイヤ12は、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤ12は、ベルト22、バンド24及び一対の補強層58を備える。バンド24は、螺旋状に巻かれたコード54を含んでいる。コード54は有機繊維からなり、その2%モジュラスは10000N/mm以上である。ベルト22は、内側層48a及び外側層48bを備える。補強層58は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。補強層58における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部以下である。補強層58は、内側層48a又は外側層48bの半径方向外側において軸方向内向きに延びる外側片を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
タイヤの製造方法では、フォーマーのドラム上で、トレッド、サイドウォール等の部材を多数組み合わせて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーの成形工程では、ドラムが拡径され、ローカバーの形状が整えられる。
この製造方法では、ローカバーはモールドに投入される。このとき、ブラダーはローカバーの内側に位置している。ブラダーにガスが充填されると、ブラダーは膨張する。これにより、ローカバーが変形する。モールドが締められ、ブラダーの内圧が高められる。ローカバーは、モールドとブラダーとに挟まれ加圧される。ローカバーは、ブラダー及びモールドからの熱伝導により、加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
図12に示されているのは、従来のタイヤ2である。図12中、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2は、トレッド4とベルト6との間に位置してベルト6を覆うバンド8を備えている。このバンド8は、ベルト6の全体を覆うフルバンド8aと、このフルバンド8aの半径方向外側に位置しておりこのフルバンド8aの端を覆うエッジバンド8bとから構成されている。図示されていないが、フルバンド8a及びエッジバンド8bのそれぞれは、螺旋状に巻回されたコードを含んでいる。このフルバンド8aとエッジバンド8bとの組み合わせは、ベルト6のリフティングを抑制しうる。このタイヤ2は、高速安定性及び静粛性に優れる。しかし、このタイヤ2には、その製造時に、エッジバンド8bの内端10の近傍を起点にして、ベルト6が半径方向内向きに折れ曲がるという変形が生じやすいという問題がある。
ベルト6の変形防止の観点から、バンド8に上記エッジバンド8bを採用せず、このバンド8がフルバンド8aのみで構成されることがある。しかし、このバンド8を備えるタイヤ2では、十分な高速安定性及び静粛性が得られないという問題がある。
ベルト6の変形を防止しつつ、高速耐久性及び静粛性に優れるタイヤ2を得るために、構成部材として短繊維を含む部材が採用されることがある。この採用の例が、特開2004−123019公報に開示されている。
この公報に記載のタイヤでは、短繊維を含む部材として短繊維入りゴムシートが用いられている。このタイヤでは、このゴムシートはベルトの端に設けられている。このゴムシートの外片は、このベルトの一部をなす内のベルトプライの半径方向外側面に隣接している。
特開2004−123019公報
高速耐久性及び静粛性の更なる向上の観点から、上記ゴムシートに含まれる短繊維の配合量の増量が検討されることがある。しかし、短繊維を含むゴムシートは伸びにくいため、その形状を整えるシェーピングにおいて、ローカバーの変形にこのゴムシートが追随できないことがある。加硫工程においては、ブラダーの膨張に伴うローカバーの変形にこのゴムシートが追随できないことがある。ローカバーの変形を伴う製造方法では、短繊維を多く含むゴムシートを採用することができないという問題がある。この製造方法では、短繊維を含むゴムシートにより高速耐久性及び静粛性の向上を図るには限界がある。
本発明の目的は、高速耐久性及び静粛性に優れた空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトと、このベルトとトレッドとの間に位置してベルトを覆うバンドと、それぞれがこのベルトの端に位置する一対の補強層とを備えている。このバンドは、螺旋状に巻かれたコードを含んでいる。このコードは、有機繊維からなる。このコードの2%モジュラスは、10000N/mm以上である。 このベルトは、内側層と、この内側層の半径方向外側に位置する外側層とを備えている。軸方向において、この内側層の端はこの外側層の端よりも外側に位置している。この補強層は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。この補強層における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部以下である。この補強層は、上記内側層又は外側層の半径方向外側において軸方向内向きに延在する外側片を備えている。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記短繊維の配合量は上記基材ゴム100質量部に対して20質量部よりも多い。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記補強層における短繊維は周方向に配向している。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記外側片の軸方向長さは10mm以上50mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記補強層は、上記内側層又は上記外側層の半径方向内側において軸方向内向きに延在する内側片とこの内側片と上記外側片とを連結する連結片とをさらに備えている。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記内側片の軸方向長さは10mm以上50mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記外側片は上記内側層の端から軸方向内向きに延在している。上記外側層の端からこの外側片の内端までの軸方向距離は、5mm以上15mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記バンドの端は上記ベルトの端から軸方向内側に10mm以内の領域に位置している。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、
(1)トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトと、このベルトとトレッドとの間に位置してベルトを覆うバンドと、それぞれがこのベルトの端に位置する一対の補強層とを備えており、このバンドが螺旋状に巻かれたコードを含んでおり、このコードが有機繊維からなり、このコードの2%モジュラスが10000N/mm以上であり、このベルトが内側層とこの内側層の半径方向外側に位置する外側層とを備えており、軸方向においてこの内側層の端がこの外側層の端よりも外側に位置しており、この補強層が基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物からなり、この補強層における短繊維の配合量が基材ゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部以下であり、この補強層が、上記内側層又は外側層の半径方向外側において軸方向内向きに延在する外側片を備えている、ローカバーが組み立てられる工程
(2)このローカバーが、モールドに投入される工程
及び
(3)このローカバーが、このモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程
を含む。
本発明に係る空気入りタイヤでは、高速耐久性及び静粛性の向上が達成される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図1のタイヤの補強部の構成が示された模式図である。 図4は、図2のタイヤにおけるベルトの端の部分が示された拡大断面図である。 図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。 図6は、図5の第一補強層の短繊維が示された模式図である。 図7は、図1のタイヤの製造の様子が示された模式図である。 図8は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図9は、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図10は、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図11は、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図12は、従来の空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ12が示されている。図1において、上下方向がタイヤ12の半径方向であり、左右方向がタイヤ12の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ12の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ12の赤道面を表わす。このタイヤ12の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ12は、トレッド14、サイドウォール16、ビード18、カーカス20、ベルト22、バンド24、補強部26、インナーライナー28、クッション層30及びチェーファー32を備えている。このタイヤ12は、チューブレスタイプである。このタイヤ12は、乗用車に装着される。
トレッド14は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド14の外面は、路面と接地するトレッド面34を形成する。トレッド面34には、溝36が刻まれている。この溝36により、トレッドパターンが形成されている。図示されていないが、トレッド14は通常、ベース層とキャップ層とを有している。キャップ層は、ベース層の半径方向外側に位置している。キャップ層は、ベース層に積層されている。ベース層は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール16は、トレッド14の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール16は、その半径方向外側端において、トレッド14と接合されている。このサイドウォール16は、耐カット性及び耐光性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール16は、カーカス20の損傷を防止する。
ビード18は、サイドウォール16よりも半径方向略内側に位置している。このタイヤ12では、ビード18は、第一パート38aと、第二パート38bとから構成されている。このタイヤ12では、軸方向において、第一パート38aはカーカス20の内側に位置している。軸方向において、第二パート38bはカーカス20の外側に位置している。
第一パート38aは、第一コア40aと、この第一コア40aから半径方向外向きに延びる第一エイペックス42aとを備えている。第一コア40aはリング状であり、巻回された非伸縮性の第一ワイヤー44aを含む。このタイヤ12では、第一コア40aは第一ワイヤー44aが周方向に沿って渦巻き状に巻き回されることにより形成されている。第一ワイヤー44aの典型的な材質は、スチールである。第一エイペックス42aは、半径方向外向きに先細りである。第一エイペックス42aは、高硬度な架橋ゴムからなる。
第二パート38bは、第二コア40bと、この第二コア40bから半径方向外向きに延びる第二エイペックス42bとを備えている。第二コア40bはリング状であり、巻回された非伸縮性の第二ワイヤー44bを含む。このタイヤ12では、第二コア40bは第二ワイヤー44bが周方向に沿って渦巻き状に巻き回されることにより形成されている。第二ワイヤー44bの典型的な材質は、スチールである。第二エイペックス42bは、半径方向外向きに先細りである。第二エイペックス42bは、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス20は、カーカスプライ46からなる。カーカスプライ46は、両側のビード18の間に架け渡されており、トレッド14及びサイドウォール16の内側に沿っている。このタイヤ12では、カーカスプライ46の端はビード18の第一パート38aとその第二パート38bとの間に挟まれている。
図示されていないが、カーカスプライ46は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、45°から90°、さらには75°から90°である。換言すれば、このカーカス20はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス20が、2枚以上のカーカスプライ46から形成されてもよい。
図2に示されているのは、図1のタイヤ12のショルダーの部分である。この図2において、上下方向がタイヤ12の半径方向であり、左右方向がタイヤ12の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ12の周方向である。
ベルト22は、カーカス20の半径方向外側に位置している。ベルト22は、トレッド14の半径方向内側においてカーカス20と積層されている。ベルト22は、カーカス20を補強する。ベルト22は、内側層48a及び外側層48bからなる。図1及び図2から明らかなように、軸方向において、内側層48aの幅は外側層48bの幅よりも大きい。言い換えれば、軸方向において、内側層48aの端50aは外側層48bの端50bよりも外側に位置している。このタイヤ12では、内側層48aの端50aがベルト22の端である。
図示されていないが、内側層48a及び外側層48bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上45°以下である。内側層48aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層48bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト22が、3以上の層48を備えてもよい。
バンド24は、ベルト22の半径方向外側に位置している。バンド24は、このベルト22とトレッド14との間に位置している。このバンド24は、ベルト22の略全体を覆う。このバンド24は、フルバンドと称される。このタイヤ12では、バンド24の端52は、軸方向においてベルト22の端50aと一致してもよい。このバンド24の端52が、このベルト22の端50aよりも軸方向内側に位置してもよい。
図2に示されているように、バンド24は、コード54とトッピングゴム56とからなる。コード54は、螺旋状に巻かれている。このバンド24は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コード54は、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコード54の角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコード54によりベルト22が拘束されるので、ベルト22のリフティングが抑制される。この拘束は、ロードノイズを低減しうる。このタイヤ12は、高速耐久性及び静粛性に優れる。
このタイヤ12では、バンド24のコード54の2%モジュラスは10000N/mm以上である。これにより、コード54がベルト22を効果的に拘束しうる。このタイヤ12は、高速耐久性及び静粛性に優れる。この観点から、この2%モジュラスは11000N/mm以上がより好ましい。
このタイヤ12では、バンド24のコード54の2%モジュラスは、15000N/mm以下が好ましい。これにより、コード54が適度な伸びを有する。適度な伸びは、コードの疲労耐久性に寄与しうる。この観点から、この2%モジュラスは13000N/mm以下がより好ましい。
本明細書では、コード54の2%モジュラスはこのコード54の「荷重−伸び」曲線における2.0%伸長時の荷重をこのコード54の断面積で除することにより得られる。なお、この「荷重−伸び」曲線は、室温(25℃)の環境下で、「JIS−L1017」の「化学繊維タイヤコード試験方法」の規定に準拠して計測される。
このタイヤ12では、バンド24のコード54は有機繊維からなる。前述したように、このコード54の2%モジュラスは10000N/mm以上である。この有機繊維としては、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アラミド繊維及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が例示される。
図2において、両矢印Pで示されているのは、ベルト22の端50aからバンド24の端52までの軸方向距離である。本明細書では、軸方向においてこのバンド24の端52がベルト22の端50aよりも内側に位置している場合、この距離Pは正の値で示される。軸方向においてこのバンド24の端52がベルト22の端50aよりも外側に位置している場合、この距離Pは負の値で示される。この距離Pが0であることは、軸方向においてバンド24の端52がベルト22の端50aと一致していることを表している。
このタイヤ12では、距離Pは0mm以上10mm以下が好ましい。言い換えれば、このタイヤ12では、バンド24の端52は、ベルト22の端50aから軸方向内側に10mm以内の領域に位置しているのが好ましい。これにより、バンド24がベルト22を効果的に拘束しうる。ベルト22のリフティングが抑制されるので、このタイヤ12は高速耐久性に優れる。特に好ましくは、上記領域内で、バンド24の端52をベルト22の端50aよりも内側に配置させることである。これにより、バンド24の端52とベルト22の端50aとが一致することを原因とする剛性段差の形成が防止される。このタイヤ12では、ベルト22の端50aの部分における損傷が効果的に防止される。
このタイヤ12では、補強部26はそのショルダーの部分に位置している。この補強部26は、第一補強層58a及び第二補強層58bを備えている。図3には、この補強部26の構成がベルト22とともに模式的に示されている。
第一補強層58aは、ベルト22の一部をなす内側層48aの端50aに位置している。図示されているように、この第一補強層58aは内側層48aの端50aで半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第一補強層58aには、第一外側片60a、第一内側片62a及び第一連結片64aが形成されている。言い換えれば、この第一補強層58aは、第一外側片60a、第一内側片62a及び第一連結片64aとから構成されている。
第一外側片60aは、内側層48aの半径方向外側に位置している。この第一外側片60aは、この内側層48aの端50aから軸方向内向きに内側層48aに沿って延在している。第一内側片62aは、内側層48aの半径方向内側に位置している。この第一内側片62aは、この内側層48aの端50aから軸方向内向きに内側層48aに沿って延在している。第一連結片64aは、内側層48aの端50aにおいて、第一外側片60aと第一内側片62aとを連結している。このタイヤ12では、これにより、第一補強層58aによる内側層48aの端50aのカバリングが達成されている。この第一補強層58aは、内側層48aの端50aを拘束する。
第二補強層58bは、ベルト22の他の一部をなす外側層48bの端50bに位置している。図示されているように、この第二補強層58bは外側層48bの端50bで半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第二補強層58bには、第二外側片60b、第二内側片62b及び第二連結片64bが形成されている。言い換えれば、この第二補強層58bは、第二外側片60b、第二内側片62b及び第二連結片64bとから構成されている。
第二外側片60bは外側層48bの半径方向外側に位置している。この第二外側片60bは、この外側層48bの端50bから軸方向内向きに外側層48bに沿って延在している。第二内側片62bは、外側層48bの半径方向内側に位置している。この第二内側片62bは、この外側層48bの端50bから軸方向内向きに外側層48bに沿って延在している。第二連結片64bは、外側層48bの端50bにおいて、第二外側片60bと第二内側片62bとを連結している。このタイヤ12では、これにより、第二補強層58bによる外側層48bの端50bのカバリングが達成されている。この第二補強層58bは、外側層48bの端50bを拘束する。
このタイヤ12では、補強部26の一部をなす第一補強層58aはゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
第一補強層58aのゴム組成物は、短繊維をさらに含む。短繊維は、第一補強層58aの強度に寄与しうる。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
このタイヤ12では、第一補強層58aに含まれる短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上である。これにより、第一補強層58aが適度な強度を有する。この第一補強層58aは、内側層48aの端50aを効果的に拘束しうる。この観点から、この短繊維の配合量は、20質量部よりも多いのが好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上が特に好ましい。
このタイヤ12では、短繊維の配合量は基材ゴム100質量部に対して60質量部以下である。これにより、第一補強層58aが内側層48aと十分に接合されうる。このタイヤ12は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は55質量部以下がより好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、第一補強層58aのゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、第一補強層58aのゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
第一補強層58aのゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。第一補強層58aの強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。第一補強層58aの軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
第一補強層58aのゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。第一補強層58aの軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。第一補強層58aの強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
第一補強層58aのゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
このタイヤ12では、第二補強層58bはゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
第二補強層58bのゴム組成物は、短繊維をさらに含む。短繊維は、第二補強層58bの強度に寄与しうる。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
このタイヤ12では、第二補強層58bに、第一補強層58aに含まれる短繊維と同じ短繊維が採用されてもよい。この第二補強層58bに、第一補強層58aに含まれる短繊維と異なる短繊維が採用されてもよい。タイヤ12を構成する部材の集約の観点から、この第二補強層58bには第一補強層58aに含まれる短繊維を同じ短繊維が採用されるのが好ましい。
このタイヤ12では、第二補強層58bに含まれる短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上である。これにより、第二補強層58bが適度な強度を有する。この第二補強層58bは、外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この短繊維の配合量は、20質量部よりも多いのが好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上が特に好ましい。
このタイヤ12では、短繊維の配合量は基材ゴム100質量部に対して60質量部以下である。これにより、第二補強層58bが外側層48bと十分に接合されうる。このタイヤ12は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は55質量部以下がより好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、第二補強層58bのゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、第二補強層58bのゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
第二補強層58bのゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。第二補強層58bの強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。第二補強層58bの軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
第二補強層58bのゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。第二補強層58bの軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。第二補強層58bの強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
第二補強層58bのゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
このタイヤ12では、第二補強層58bには第一補強層58aのゴム組成物と同じゴム組成物が用いられてもよい。この第二補強層58bに、第一補強層58aのゴム組成物と異なるゴム組成物が用いられてもよい。タイヤ12を構成する部材の集約の観点から、この第二補強層58bには第一補強層58aのゴム組成物と同じゴム組成物が用いられるのが好ましい。
図4には、図2のタイヤ12の一部が示されている。この図4には、ベルト22の一部をなす内側層48aの端50aの部分が拡大して示されている。この図4において、上下方向がタイヤ12の半径方向であり、左右方向がタイヤ12の軸方向であり、紙面に対して垂直な方向がタイヤ12の周方向である。図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。この図5には、第一補強層58aの一部が示されている。この図5において、上下方向がタイヤ12の周方向であり、左右方向がタイヤ12の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ12の半径方向である。
図示されているように、第一補強層58aは、多数の短繊維66と、マトリクス68とで構成されている。換言すれば、この第一補強層58aは繊維補強ゴム(FRR)からなる。これら短繊維66は、マトリクス68に分散している。これら短繊維66の長手方向は、略周方向に沿っている。この第一補強層58aにおいて、短繊維66は周方向に配向している。前述したように、第一補強層58aは内側層48aの端50aをカバリングすることにより、この内側層48aの端50aを拘束している。この周方向に配向した短繊維66は、この第一補強層58aの拘束力に寄与しうる。この第一補強層58aは、高速走行時における内側層48aの端50aの周方向への伸びを抑えうる。このタイヤ12では、リフティングが効果的に抑制される上に、ロードノイズが効果的に低減されうる。このタイヤ12は、高速耐久性及び静粛性に優れる。
図6は、図5の第一補強層58aの短繊維66が示された模式図である。図6において、上下方向が周方向である。矢印θ1で示されているのは、短繊維66の角度である。角度θ1は、直線X1と直線X2とのなす角度の絶対値である。直線X1は、周方向に延びている。直線X2は、短繊維66の一端70a及び他端70bを通過している。この角度θ1は、短繊維66の長手方向が周方向に対してなす角度である。角度θ1は、0°以上90°以下である。なお、図6中、両矢印L1で示されているのが繊維長である。この繊維長L1は、一端70aから他端70bまでの長さが計測されることにより得られる。
第一補強層58aが内側層48aの端50aを効果的に拘束しうるとの観点から、角度θ1が20°以下である短繊維66の数の、短繊維66の総数に対する比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。比率の算出においては、第一補強層58aの、周方向に沿った断面に露出した短繊維66の角度が、測定される。無作為に抽出された100本の短繊維66について、角度の測定がなされる。なお、角度θ1が20°以下である短繊維66の数の、短繊維66の総数に対する比率が90%以上である場合が、短繊維66が周方向に配向している状態である。
このタイヤ12では、短繊維66が効果的に第一補強層58aの強度を高めるという観点から、短繊維66の平均長さL1(図6参照)は、20μm以上が好ましい。平均長さL1が20μm以上である短繊維66により、第一補強層58aが十分に補強される。マトリクス68への分散性の観点から、平均長さL1は5000μm以下が好ましい。
短繊維66の平均直径D1は、0.04μm以上が好ましい。平均直径D1が0.04μm以上である短繊維66により、第一補強層58aの強度が十分に高められる。マトリクス68への分散性の観点から、平均直径D1は500μm以下が好ましい。
短繊維66のアスペクト比(L1/D1)は、10以上が好ましい。アスペクト比(L1/D1)が10以上である短繊維66により、第一補強層58aの強度が十分に高められる。マトリクス68への分散性の観点から、アスペクト比(L1/D1)は500以下が好ましい。
図示されていないが、第二補強層58bは、多数の短繊維と、マトリクスとで構成されている。この第二補強層58bにおいても、前述の第一補強層58aと同様、これら短繊維はマトリクスに分散し、これら短繊維の長手方向は略周方向に沿っている。この第二補強層58bにおける短繊維は、周方向に配向している。前述したように、第二補強層58bは外側層48bの端50bをカバリングすることにより、この外側層48bの端50bを拘束している。この周方向に配向した短繊維は、この第二補強層58bの拘束力に寄与しうる。この第二補強層58bは、高速走行時における外側層48bの端50bの周方向への伸びを抑えうる。このタイヤ12では、リフティングが効果的に抑制される上に、ロードノイズが効果的に低減されうる。このタイヤ12は、高速耐久性及び静粛性に優れる。
このタイヤ12では、第二補強層58bが外側層48bの端50bを効果的に拘束しうるとの観点から、第二補強層58bに含まれる短繊維の角度θ2が20°以下である短繊維の数の、短繊維の総数に対する比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。なお、この第二補強層58bに含まれる短繊維の角度θ2は、前述の、第一補強層58aに含まれる短繊維66の角度θ1と同様にして計測される。
このタイヤ12では、短繊維が効果的に第二補強層58bの強度を高めるという観点から、短繊維の平均長さL2は、20μm以上が好ましい。平均長さL2が20μm以上である短繊維により、第二補強層58bが十分に補強される。マトリクスへの分散性の観点から、平均長さL2は5000μm以下が好ましい。なお、この短繊維の長さL2及び後述する短繊維の平均外径D2は、前述の第一補強層58aにおける短繊維66の長さL1及び外径D1と同様にして計測される。
短繊維の平均直径D2は、0.04μm以上が好ましい。平均直径D2が0.04μm以上である短繊維により、第二補強層58bの強度が十分に高められる。マトリクスへの分散性の観点から、平均直径D2は500μm以下が好ましい。
短繊維のアスペクト比(L2/D2)は、10以上が好ましい。アスペクト比(L2/D2)が10以上である短繊維により、第二補強層58bの強度が十分に高められる。マトリクスへの分散性の観点から、アスペクト比(L2/D2)は500以下が好ましい。
図3において、両矢印L1oは内側層48aの端50aから第一補強層58aの一部をなす第一外側片60aの内端72aまでの軸方向距離を表している。この距離L1oは、この第一外側片60aの軸方向長さである。この長さL1oは、この第一外側片60aと内側層48aとの重複長さでもある。両矢印L1iは、内側層48aの端50aから第一補強層58aの他の一部をなす第一内側片62aの内端74aまでの軸方向距離を表している。この距離L1iは、この第一内側片62aの軸方向長さである。この長さL1iは、この第一内側片62aと内側層48aとの重複長さでもある。両矢印L2oは、外側層48bの端50bから第二補強層58bの一部をなす第二外側片60bの内端72bまでの軸方向距離を表している。この距離L2oは、この第二外側片60bの軸方向長さである。この長さL2oはこの第二外側片60bと外側層48bとの重複長さでもある。両矢印L2iは、外側層48bの端50bから第二補強層58bの他の一部をなす第二内側片62bの内端74bまでの軸方向距離を表している。この距離L2iは、この第二内側片62bの軸方向長さである。この長さL2iはこの第二内側片62bと外側層48bとの重複長さでもある。両矢印Lsは、外側層48bの端50bから第一補強層58aの第一外側片60aの内端72aまでの軸方向距離を表している。この距離Lsは、ステップ長さとも称される。
このタイヤ12では、長さL1oは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さL1oが10mm以上に設定されることにより、第一補強層58aが内側層48aの端50aを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さL1oは12mm以上がより好ましい。この長さL1oが50mm以下に設定されることにより、この内側層48aの端50aの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ12では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ12は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さL1oは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ12では、長さL1iは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さL1iが10mm以上に設定されることにより、第一補強層58aが内側層48aの端50aを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さL1iは12mm以上がより好ましい。この長さL1iが50mm以下に設定されることにより、この内側層48aの端50aの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ12では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ12は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さL1iは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ12では、長さL1iは長さL1oよりも大きくされてもよいし、小さくされてもよい。この長さL1iと長さL1oとが同等とされてもよい。
このタイヤ12では、長さL2oは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さL2oが10mm以上に設定されることにより、第二補強層58bが外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さL2oは12mm以上がより好ましい。この長さL2oが50mm以下に設定されることにより、この外側層48bの端50bの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ12では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ12は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さL2oは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ12では、長さL2iは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さL2iが10mm以上に設定されることにより、第二補強層58bが外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さL2iは12mm以上がより好ましい。この長さL2iが50mm以下に設定されることにより、この外側層48bの端50bの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ12では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ12は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さL2iは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ12では、長さL2iは長さL2oよりも大きくされてもよいし、小さくされてもよい。この長さL2iと長さL2oとが同等とされてもよい。
このタイヤ12では、長さLsは5mm以上15mm以下が好ましい。これにより、軸方向において、内側層48aの端50a、外側層48bの端50b、第一外側片60aの内端72a、第一内側片62aの内端74a、第二外側片60bの内端72b及び第二内側片62bの内端74bが適度に散在する。このタイヤ12のショルダーの部分に、特異な剛性を有する部分の形成が防止される。このタイヤ12は、耐久性に優れる。
以上説明されたタイヤ12は、次のようにして製造される。この製造方法では、中子が準備される。図示されていないが、この中子はトロイダル状の外面を備えている。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ12の内面形状に近似されている。
この製造方法では、中子の外面にインナーライナー28が巻かれる。インナーライナー28の端に、ビード18の一部をなす第一パート38aが組み合わされる。第一パート38a及びインナーライナー28が組み合わされたものの外側に、カーカスプライ46が形成される。このカーカスプライ46の端に、ビード18の他の一部をなす第二パート38bが組み合わされる。
この製造方法では、第一補強層58aのゴム組成物が押し出され、第一シートが形成される。図示されていないが、この第一シートには短繊維66が含まれており、この短繊維66がこの第一シートの押出方向、言い換えれば、その長さ方向に配向している。第二補強層58bのゴム組成物が押し出され、第二シートが形成される。図示されていないが、この第二シートには短繊維が含まれており、この短繊維がこの第二シートの押出方向、言い換えれば、その長さ方向に配向している。
ここで第一シートにおいて「長さ方向に配向」とは、短繊維66の長手方向が第一シートの長さ方向に対してなす角度が20°以下である短繊維66の数の、短繊維66の総数に対する比率が90%以上である場合を意味している。第二シートにおいて「長さ方向に配向」とは、短繊維の長手方向が第二シートの長さ方向に対してなす角度が20°以下である短繊維の数の、短繊維の総数に対する比率が90%以上である場合を意味している。第一シートにおける短繊維66の長手方向がその長さ方向に対してなす角度及び第二シートにおける短繊維の長手方向がその長さ方向に対してなす角度は、前述の、第一補強層58aにおける角度θ1の計測方法と同様の方法で計測される。なお、各比率の算出においては、第一シートの表面に露出した短繊維66の角度及び第二シートの表面に露出した短繊維の角度が、測定される。
この製造方法では、タイヤ12のトレッド14の半径方向内側に相当する部分において、内側層48aがカーカスプライ46に積層される。この積層のとき、第一シートの長さ方向をタイヤ12の周方向に一致させて、内側層48aの端50aがこの第一シートで包まれる。これにより、この内側層48aの端50aをカバリングした第一補強層58aが形成される。
この製造方法では、内側層48aに外側層48bがさらに積層される。この積層のとき、第二シートの長さ方向をタイヤ12の周方向に一致させて、外側層48bの端50bがこの第二シートで包まれる。これにより、この外側層48bの端50bをカバリングした第二補強層58bが形成される。
この製造方法では、第一補強層58a及び第二補強層58bが形成されると、バンド24、サイドウォール16、トレッド14等がさらに組み合わされ、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。この製造方法では、ローカバーが組み立てられる工程は成形工程と称される。
この製造方法では、中子の外面において補強層58をはじめとする多数の要素が組み合わされてローカバーが得られる。前述したように、この中子の外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ12の内面形状に近似されている。この製造方法では、従来の製造方法のようなローカバーのシェーピングは不要である。この製造方法では、成形工程においてローカバーは引き延ばされない。
ローカバーは、開かれたモールドに投入される。この製造方法では、ローカバーは中子に組み合わされた状態でモールドに投入される。したがって、モールドに投入されたローカバーの内側には、中子が位置している。
この製造方法では、モールドが締められると、ローカバーはモールドのキャビティ面と中子の外面とに挟まれて加圧される。この状態が、図7に示されている。
この製造方法では、ローカバー(図7中の符号R)は、中子(図7中の符号N)及びモールド(図7中の符号M)からの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーRをなす各要素のゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ12が得られる。このタイヤ12は、ローカバーRをモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ(図7中の符号C)内で加圧及び加熱することにより形成される。この製造方法では、ローカバーRが加圧及び加熱される工程は架橋工程と称される。
前述したように、この製造方法では、ローカバーRは中子Nに組み合わされた状態でモールドMに投入され、モールドMのキャビティ面(図7中の符号CS)と中子Nの外面(図7中の符号NS)とに挟まれて加圧及び加熱される。この製造方法では、従来の製造方法で使用されるブラダーは不要である。この製造方法では、架橋工程においてローカバーは引き延ばされない。
このタイヤ12の第一補強層58aは、短繊維66を含むゴム組成物からなる要素をモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティC内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤ12の第二補強層58bも、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティC内で加圧及び加熱されることにより形成される。前述したように、この製造方法では、成形工程においてローカバーRをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーRをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維66が第一補強層58aのゴム組成物に配合されても、ローカバーRは成形されうる。そして、このローカバーRからタイヤ12が得られる。この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維が第二補強層58bのゴム組成物に配合されても、ローカバーRは成形されうる。そして、このローカバーRからタイヤ12が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維66を含有する第一補強層58a及び多量の短繊維を含有する第二補強層58bを備えたタイヤ12が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ12では、第一補強層58aは短繊維66により補強されている。この第一補強層58aによるベルト22の締付力は、従来タイヤ2のエッジバンド8bの締付力のように過大でない。この製造方法により得られるタイヤ12では、その製造時に、ベルト22が半径方向内向きに折れ曲がるという変形が効果的に防止される。しかも、周方向に配向した短繊維66を多量に含む第一補強層58aが、内側層48aの端50aを効果的に拘束する。この拘束は、ベルト22のリフティングを抑制するとともに、ロードノイズの低減に寄与しうる。このタイヤ12は、高速耐久性及び静粛性に優れる。この製造方法によれば、ベルト22の変形を防止しつつ、高速耐久性及び静粛性の両立されたタイヤ12が得られうる。
このタイヤ12では、第二補強層58bは短繊維により補強されている。この第二補強層58bによるベルト22の締付力は、従来タイヤ2のエッジバンド8bの締付力のように過大でない。この製造方法により得られるタイヤ12では、その製造時に、ベルト22が半径方向内向きに折れ曲がるという変形が効果的に防止される。しかも、周方向に配向した短繊維を多量に含む第二補強層58bが、外側層48bの端50bを効果的に拘束する。この拘束は、ベルト22のリフティングを抑制するとともに、ロードノイズの低減に寄与しうる。このタイヤ12は、高速耐久性及び静粛性に優れる。この製造方法によれば、ベルト22の変形を防止しつつ、高速耐久性及び静粛性の両立されたタイヤ12が得られうる。
本発明では、タイヤ12の各部材の寸法及び角度は、タイヤ12が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ12に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ12には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ12が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ12が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ12の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。後述するタイヤも、同様である。
図8には、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ76の一部が示されている。このタイヤ76は、補強部78を備えている。このタイヤ76の補強部78以外は、図1に示されたタイヤ12と同等の構成を有している。この図8において、図1のタイヤ12の部材と同等の部材については、同じ符号が付されている。
このタイヤ76では、補強部78はそのショルダーの部分に位置している。この補強部78は、補強層80を備えている。
補強層80は、ベルト22の一部をなす内側層48aの端50aに位置している。図示されているように、この補強層80は内側層48aの端50aで半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この補強層80には、外側片82、内側片84及び連結片86が形成されている。言い換えれば、この補強層80は、外側片82、内側片84及び連結片86とから構成されている。
外側片82は、内側層48aの半径方向外側に位置している。この外側片82は、この内側層48aの端50aから軸方向内向きに内側層48aに沿って延在している。内側片84は、内側層48aの半径方向内側に位置している。この内側片84は、この内側層48aの端50aから軸方向内向きに内側層48aに沿って延在している。連結片86は、内側層48aの端50aにおいて、外側片82と内側片84とを連結している。このタイヤ76では、これにより、補強層80による内側層48aの端50aのカバリングが達成されている。この補強層80は、内側層48aの端50aを拘束する。
このタイヤ76では、補強層80は基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、図1のタイヤ12の補強部26をなす第一補強層58aのゴム組成物又は第二補強層58bのゴム組成物と同等である。
図示されていないが、補強層80は、多数の短繊維と、マトリクスとで構成されている。これら短繊維は、マトリクスに分散している。この補強層80において、短繊維は周方向に配向している。前述したように、補強層80は内側層48aの端50aをカバリングすることにより、この内側層48aの端50aを拘束している。この周方向に配向した短繊維は、この補強層80の拘束力に寄与しうる。この補強層80は、高速走行時における内側層48aの端50aの周方向への伸びを抑えうる。このタイヤ76では、リフティングが効果的に抑制される上に、ロードノイズが効果的に低減されうる。このタイヤ76は、高速耐久性及び静粛性に優れる。
図示されていないが、このタイヤ76の補強層80は、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤ76の製造方法では、図1に示されたタイヤ12の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤ76が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有する補強層80を備えたタイヤ76が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ76では、補強層80は短繊維により補強されている。この補強層80によるベルト22の締付力は、従来タイヤ2のエッジバンド8bの締付力のように過大でない。この製造方法により得られるタイヤ76では、その製造時に、ベルト22が半径方向内向きに折れ曲がるという変形が効果的に防止される。しかも、周方向に配向した短繊維を多量に含む補強層80が、ベルト22の端50aを効果的に拘束する。この拘束は、ベルト22のリフティングを抑制するとともに、ロードノイズの低減に寄与しうる。このタイヤ76は、高速耐久性及び静粛性に優れる。この製造方法によれば、ベルト22の変形を防止しつつ、高速耐久性及び静粛性の両立されたタイヤ76が得られうる。
図8において、両矢印Loは内側層48aの端50aから補強層80の一部をなす外側片82の内端88aまでの軸方向距離を表している。この距離Loは、この外側片82の軸方向長さである。この長さLoはこの外側片82と内側層48aとの重複長さでもある。両矢印Liは、内側層48aの端50aから補強層80の他の一部をなす内側片84の内端88bまでの軸方向距離を表している。この距離Liは、この内側片84の軸方向長さである。この長さLiはこの内側片84と内側層48aとの重複長さでもある。両矢印Lsは、外側層48bの端50bから補強層80の外側片82の内端88aまでの軸方向距離を表している。この距離Lsは、ステップ長さとも称される。
このタイヤ76では、長さLoは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さLoが10mm以上に設定されることにより、補強層80が内側層48aの端50aを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さLoは12mm以上がより好ましい。この長さLoが50mm以下に設定されることにより、この内側層48aの端50aの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ76では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ76は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さLoは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ76では、長さLiは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さLiが10mm以上に設定されることにより、補強層80が内側層48aの端50aを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さLiは12mm以上がより好ましい。この長さLiが50mm以下に設定されることにより、この内側層48aの端50aの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ76では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ76は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さLiは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ76では、長さLiは長さLoよりも大きくされてもよいし、小さくされてもよい。この長さLiと長さLoとが同等とされてもよい。
このタイヤ76では、長さLsは5mm以上15mm以下が好ましい。これにより、軸方向において、内側層48aの端50a、外側層48bの端50b、外側片82の内端88a及び内側片84の内端88bが適度に散在する。このタイヤ76のショルダーの部分に、特異な剛性を有する部分の形成が防止される。このタイヤ76は、耐久性に優れる。
図9には、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ90の一部が示されている。このタイヤ90は、補強部92を備えている。このタイヤ90の補強部92以外は、図1に示されたタイヤ12と同等の構成を有している。この図9において、図1のタイヤ12の部材と同等の部材については、同じ符号が付されている。
このタイヤ90では、補強部92はそのショルダーの部分に位置している。この補強部92は、補強層94を備えている。
補強層94は、ベルト22の一部をなす外側層48bの端50bに位置している。図示されているように、この補強層94は外側層48bの端50bで半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この補強層94には、外側片96、内側片98及び連結片100が形成されている。言い換えれば、この補強層94は、外側片96、内側片98及び連結片100とから構成されている。
外側片96は、外側層48bの半径方向外側に位置している。この外側片96は、この外側層48bの端50bから軸方向内向きに外側層48bに沿って延在している。内側片98は、外側層48bの半径方向内側に位置している。この内側片98は、この外側層48bの端50bから軸方向内向きに外側層48bに沿って延在している。連結片100は、外側層48bの端50bにおいて、外側片96と内側片98とを連結している。このタイヤ90では、これにより、補強層94による外側層48bの端50bのカバリングが達成されている。この補強層94は、外側層48bの端50bを拘束する。
このタイヤ90では、補強層94は基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、図1のタイヤ12の補強部26をなす第一補強層58aのゴム組成物又は第二補強層58bのゴム組成物と同等である。
図示されていないが、補強層94は、多数の短繊維と、マトリクスとで構成されている。これら短繊維は、マトリクスに分散している。この補強層94において、短繊維は周方向に配向している。前述したように、補強層94は外側層48bの端50bをカバリングすることにより、この外側層48bの端50bを拘束している。この周方向に配向した短繊維は、この補強層94の拘束力に寄与しうる。この補強層94は、高速走行時における外側層48bの端50bの周方向への伸びを抑えうる。このタイヤ90では、リフティングが効果的に抑制される上に、ロードノイズが効果的に低減されうる。このタイヤ90は、高速耐久性及び静粛性に優れる。
図示されていないが、このタイヤ90の補強層94は、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤ90の製造方法では、図1に示されたタイヤ12の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤ90が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有する補強層94を備えたタイヤ90が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ90では、補強層94は短繊維により補強されている。この補強層94によるベルト22の締付力は、従来タイヤ2のエッジバンド8bの締付力のように過大でない。この製造方法により得られるタイヤ90では、その製造時に、ベルト22が半径方向内向きに折れ曲がるという変形が効果的に防止される。しかも、周方向に配向した短繊維を多量に含む補強層94が、ベルト22の端50aを効果的に拘束する。この拘束は、ベルト22のリフティングを抑制するとともに、ロードノイズの低減に寄与しうる。このタイヤ90は、高速耐久性及び静粛性に優れる。この製造方法によれば、ベルト22の変形を防止しつつ、高速耐久性及び静粛性の両立されたタイヤ90が得られうる。
図9において、両矢印Loは外側層48bの端50bから補強層94の一部をなす外側片96の内端102aまでの軸方向距離を表している。この距離Loは、この外側片96の軸方向長さである。この長さLoはこの外側片96と外側層48bとの重複長さでもある。両矢印Liは、外側層48bの端50bから補強層94の他の一部をなす内側片98の内端102bまでの軸方向距離を表している。この距離Liは、この内側片98の軸方向長さである。この長さLiはこの内側片98と外側層48bとの重複長さでもある。
このタイヤ90では、長さLoは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さLoが10mm以上に設定されることにより、補強層94が外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さLoは12mm以上がより好ましい。この長さLoが50mm以下に設定されることにより、この外側層48bの端50bの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ90では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ90は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さLoは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ90では、長さLiは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さLiが10mm以上に設定されることにより、補強層94が外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さLiは12mm以上がより好ましい。この長さLiが50mm以下に設定されることにより、この外側層48bの端50bの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ90では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ90は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さLiは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ90では、長さLiは長さLoよりも大きくされてもよいし、小さくされてもよい。この長さLiと長さLoとが同等とされてもよい。
図10には、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ104の一部が示されている。このタイヤ104は、補強部106を備えている。このタイヤ104の補強部106以外は、図1に示されたタイヤ12と同等の構成を有している。この図10において、図1のタイヤ12の部材と同等の部材については、同じ符号が付されている。
このタイヤ104では、補強部106はそのショルダーの部分に位置している。この補強部106は、補強層108を備えている。
補強層108は、ベルト22の端50aに位置している。図示されているように、この補強層108は内側層48aの端50aで半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この補強層108には、外側片110、内側片112及び連結片114が形成されている。言い換えれば、この補強層108は、外側片110、内側片112及び連結片114とから構成されている。
外側片110は、ベルト22の半径方向外側に位置している。この外側片110は、このベルト22の一部をなす内側層48aの端50aから軸方向内向きに内側層48a及び外側層48bに沿って延在している。内側片112は、ベルト22の半径方向内側に位置している。この内側片112は、この内側層48aの端50aから軸方向内向きに内側層48aに沿って延在している。連結片114は、内側層48aの端50aにおいて、外側片110と内側片112とを連結している。このタイヤ104では、これにより、補強層108による内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bのカバリングが達成されている。この補強層108は、内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを拘束する。
このタイヤ104では、補強層108は基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、図1のタイヤ12の補強部26をなす第一補強層58aのゴム組成物又は第二補強層58bのゴム組成物と同等である。
図示されていないが、補強層108は、多数の短繊維と、マトリクスとで構成されている。これら短繊維は、マトリクスに分散している。この補強層108において、短繊維は周方向に配向している。前述したように、補強層108は内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bをカバリングすることにより、この内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを拘束している。この周方向に配向した短繊維は、この補強層108の拘束力に寄与しうる。この補強層108は、高速走行時における内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bの周方向への伸びを抑えうる。このタイヤ104では、リフティングが効果的に抑制される上に、ロードノイズが効果的に低減されうる。このタイヤ104は、高速耐久性及び静粛性に優れる。
図示されていないが、このタイヤ104の補強層108は、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤ104の製造方法では、図1に示されたタイヤ12の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤ104が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有する補強層108を備えたタイヤ104が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ104では、補強層108は短繊維により補強されている。この補強層108によるベルト22の締付力は、従来タイヤ2のエッジバンド8bの締付力のように過大でない。この製造方法により得られるタイヤ104では、その製造時に、ベルト22が半径方向内向きに折れ曲がるという変形が効果的に防止される。しかも、周方向に配向した短繊維66を多量に含む補強層108が、内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを効果的に拘束する。この拘束は、ベルト22のリフティングを抑制するとともに、ロードノイズの低減に寄与しうる。このタイヤ104は、高速耐久性及び静粛性に優れる。この製造方法によれば、ベルト22の変形を防止しつつ、高速耐久性及び静粛性の両立されたタイヤ104が得られうる。
図10において、両矢印Loは内側層48aの端50aから補強層108の一部をなす外側片110の内端116aまでの軸方向距離を表している。この距離Loは、この外側片110の軸方向長さである。この長さLoはこの外側片110とベルト22との重複長さでもある。両矢印Liは、内側層48aの端50aから補強層108の他の一部をなす内側片112の内端116bまでの軸方向距離を表している。この距離Liは、この内側片112の軸方向長さである。この長さLiはこの内側片112と内側層48aとの重複長さでもある。両矢印Lsは、外側層48bの端50bから補強層108の外側片110の内端116aまでの軸方向距離を表している。この距離Lsは、ステップ長さとも称される。
このタイヤ104では、長さLoは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さL1oが10mm以上に設定されることにより、補強層108が内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さL1oは12mm以上がより好ましい。この長さL1oが50mm以下に設定されることにより、このベルト22の端50aの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ104では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ104は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さL1oは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ104では、長さLiは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さLiが10mm以上に設定されることにより、補強層108が内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さLiは12mm以上がより好ましい。この長さLiが50mm以下に設定されることにより、このベルト22の部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ104では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ104は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さLiは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ104では、長さLiは長さLoよりも大きくされてもよいし、小さくされてもよい。この長さLiと長さLoとが同等とされてもよい。
このタイヤ104では、長さLsは5mm以上15mm以下が好ましい。これにより、軸方向において、内側層48aの端50a、外側層48bの端50b、外側片110の内端116a及び内側片112の内端116bが適度に散在する。このタイヤ104のショルダーの部分に、特異な剛性を有する部分の形成が防止される。このタイヤ104は、耐久性に優れる。
図11には、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ118の一部が示されている。このタイヤ118は、補強部120を備えている。このタイヤ118の補強部120以外は、図1に示されたタイヤ12と同等の構成を有している。この図11において、図1のタイヤ12の部材と同等の部材については、同じ符号が付されている。
このタイヤ118では、補強部120はそのショルダーの部分に位置している。この補強部120は、補強層122を備えている。
補強層122は、ベルト22の端50aに位置している。図示されているように、補強層122はベルト22の半径方向外側に位置している。この補強層122は、このベルト22の一部をなす内側層48aの端50aから軸方向内向きに内側層48a及び外側層48bに沿って延在している。このタイヤ118では、これにより、補強層122が内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを拘束している。この補強層122は、それ自体が外側片をなしている。
このタイヤ118では、補強層122は基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、図1のタイヤ12の補強部26をなす第一補強層58aのゴム組成物又は第二補強層58bのゴム組成物と同等である。
図示されていないが、補強層122は、多数の短繊維と、マトリクスとで構成されている。これら短繊維は、マトリクスに分散している。この補強層122において、短繊維は周方向に配向している。前述したように、補強層122は内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを拘束している。この周方向に配向した短繊維は、この補強層122の拘束力に寄与しうる。この補強層122は、高速走行時における内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bの周方向への伸びを抑えうる。このタイヤ118では、リフティングが効果的に抑制される上に、ロードノイズが効果的に低減されうる。このタイヤ118は、高速耐久性及び静粛性に優れる。
図示されていないが、このタイヤ118の補強層122は、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤ118の製造方法では、図1に示されたタイヤ12の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤ118が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有する補強層122を備えたタイヤ118が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ118では、補強層122は短繊維により補強されている。この補強層122によるベルト22の締付力は、従来タイヤ2のエッジバンド8bの締付力のように過大でない。この製造方法により得られるタイヤ118では、その製造時に、ベルト22が半径方向内向きに折れ曲がるという変形が効果的に防止される。しかも、周方向に配向した短繊維66を多量に含む補強層122が、内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを効果的に拘束する。この拘束は、ベルト22のリフティングを抑制するとともに、ロードノイズの低減に寄与しうる。このタイヤ118は、高速耐久性及び静粛性に優れる。この製造方法によれば、ベルト22の変形を防止しつつ、高速耐久性及び静粛性の両立されたタイヤ118が得られうる。
図10において、両矢印Loは内側層48aの端50aから補強層122の内端124までの軸方向距離を表している。この距離Loは、この補強層122の軸方向長さである。この長さLoはこの補強層122とベルト22との重複長さでもある。両矢印Lsは、外側層48bの端50bから補強層122の内端124までの軸方向距離を表している。この距離Lsは、ステップ長さとも称される。
このタイヤ118では、長さLoは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さLoが10mm以上に設定されることにより、補強層122が内側層48aの端50a及び外側層48bの端50bを効果的に拘束しうる。この観点から、この長さLoは12mm以上がより好ましい。この長さLoが50mm以下に設定されることにより、このベルト22の端50aの部分における剛性が適切に維持されうる。このタイヤ118では、そのショルダーの部分における剛性は特異でない。このタイヤ118は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さLoは40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ118では、長さLsは5mm以上15mm以下が好ましい。これにより、軸方向において、内側層48aの端50a、外側層48bの端50b及び補強層122の内端124が適度に散在する。このタイヤ118のショルダーの部分に、特異な剛性を有する部分の形成が防止される。このタイヤ118は、耐久性に優れる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
中子の外面にローカバーを成形し、この中子と組み合わせたままこのローカバーをモールドに投入した。このローカバーをモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより、図1及び図2に示された基本構成を備え、下記の表2に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。このタイヤが中子工法で製造されたことが、この表において「A」で表されている。このタイヤでは、第一補強層における短繊維の配合量は基材ゴム100質量部に対して40質量部とされた。したがって、この第一補強層の形成に用いられた第一シートは、その長さ方向にこれを引っ張ると直ぐに破断した。第二補強層には第一補強層をなすゴム組成物と同等のゴム組成物が用いられた。したがって、第二補強層における短繊維の配合量も40質量部である。この第二補強層の形成に用いられた第二シートも、その長さ方向にこれを引っ張ると直ぐに破断した。第一シート及び第二シートがその長さ方向にこれを引っ張ると直ぐに破断することが、この表において、「B」で表されている。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。第一補強層の第一外側片の長さL1oは、20mmとされた。第一補強層の第一内側片の長さL1iは、20mmとされた。第二補強層の第二外側片の長さL2oは、20mmとされた。第二補強層の第二内側片の長さL2iは、20mmとされた。ステップ長さLsは、15mmとされた。ベルトの端からバンドの端までの軸方向距離Pは、3mmとされた言い換えれば、バンドは、その端がベルトの端から3mm内側に位置するように構成された。バンドのコードには、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが用いられた。このコードの2%モジュラスは、13000N/mmであった。
[実施例2−8及び比較例7]
短繊維の配合量を下記の表2及び3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−8及び比較例7のタイヤを得た。実施例2、3及び4のそれぞれでは、各補強層をなすシートをその長さ方向に引っ張ると、このシートは僅かに伸長した(伸長率で約3%)。このことが、この表において、「S」で表されている。これら以外では、シートをその長さ方向に引っ張ると直ぐにこのシートは破断した。
[実施例9−13]
距離Pを下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例9−13のタイヤを得た。
[実施例14−17]
バンドのコードを下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例14−17のタイヤを得た。この表5において、実施例14の「Nylon」はナイロン繊維からなるコードを表している。このコードの2%モジュラスは、10000N/mmであった。実施例15の「Aramid」はアラミド繊維からなるコードを表している。このコードの2%モジュラスは、12000N/mmであった。実施例16の「PET」はポリエチレンテレフタレート繊維からなるコードを表している。このコードの2%モジュラスは、13000N/mmであった。実施例17の「PBO」はポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維からなるコードを表している。このコードの2%モジュラスは、15000N/mmであった。
[比較例1−2]
比較例1−2は、中子工法で製造された従来のタイヤである。この比較例1−2には、補強層は設けられていない。比較例1は、図12で示された基本構成を備えている。この比較例1のバンドは、フルバンド及び一対のエッジバンドから構成されている。比較例2は、エッジバンドを設けなかった他は図12で示された基本構成と同等の構成を有している。この比較例2のバンドは、フルバンドのみから構成されている。
[比較例3−6]
従来の製造方法により、実施例3と同じ構成を有する比較例3のタイヤを製作し、実施例4と同じ構成を有する比較例4のタイヤを製作し、実施例5と同じ構成を有する比較例5のタイヤを製作し、実施例1と同じ構成を有する比較例6のタイヤを製作した。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。このように従来の工法でタイヤを製造したことが、この表において「C」で表されている。
[実施例19]
実施例1のタイヤと同様にして、図8に示された基本構成を備え、下記の表6に示された仕様を備えた実施例19の空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。補強層における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して40質量部とされた。したがって、この補強層の形成に用いられたシートは、その長さ方向にこれを引っ張ると直ぐに破断した。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。補強層の外側片の長さLoは、20mmとされた。補強層の内側片の長さLiは、20mmとされた。ステップ長さLsは、15mmとされた。ベルトの端からバンドの端までの軸方向距離Pは、3mmとされた。言い換えれば、バンドは、その端がベルトの端から3mm内側に位置するように構成された。バンドのコードには、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが用いられた。
[実施例18]
短繊維の配合量を下記の表6の通りとした他は実施例19と同様にして、実施例18のタイヤを得た。
[実施例20−22]
ステップ長さLsを下記の表6の通りとした他は実施例19と同様にして、実施例20−22のタイヤを得た。
[比較例8]
従来の製造方法により、実施例18と同じ構成を有する比較例8のタイヤを製作した。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。
[実施例24]
実施例1のタイヤと同様にして、図9に示された基本構成を備え、下記の表7に示された仕様を備えた実施例24の空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。補強層における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して40質量部とされた。したがって、この補強層の形成に用いられたシートは、その長さ方向にこれを引っ張ると直ぐに破断した。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。補強層の外側片の長さLoは、20mmとされた。補強層の内側片の長さLiは、20mmとされた。ベルトの端からバンドの端までの軸方向距離Pは、0mmとされた。言い換えれば、軸方向において、バンドの端は、ベルトの端と一致している。バンドのコードには、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが用いられた。
[実施例23]
短繊維の配合量を下記の表7の通りとした他は実施例24と同様にして、実施例23のタイヤを得た。
[実施例25−28]
外側片長さLo及び内側片長さLiを下記の表7及び8の通りとした他は実施例24と同様にして、実施例25−28のタイヤを得た。
[比較例9]
従来の製造方法により、実施例23と同じ構成を有する比較例9のタイヤを製作した。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。
[実施例29]
実施例1のタイヤと同様にして、図10に示された基本構成を備え、下記の表8に示された仕様を備えた実施例29の空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。補強層における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して40質量部とされた。したがって、この補強層の形成に用いられたシートは、その長さ方向にこれを引っ張ると直ぐに破断した。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。補強層の外側片の長さLoは、20mmとされた。補強層の内側片の長さLiは、20mmとされた。ステップ長さLsは、15mmとされた。ベルトの端からバンドの端までの軸方向距離Pは、3mmとされた。言い換えれば、バンドは、その端がベルトの端から3mm内側に位置するように構成された。バンドのコードには、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが用いられた。
[比較例10]
従来の製造方法により、短繊維の配合量を下記の表8の通りとした他は実施例29と同じ構成を有する比較例10のタイヤを製作した。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。
[実施例30]
実施例1のタイヤと同様にして、図11に示された基本構成を備え、下記の表8に示された仕様を備えた実施例30の空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。補強層における短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して40質量部とされた。したがって、この補強層の形成に用いられたシートは、その長さ方向にこれを引っ張ると直ぐに破断した。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。補強層の外側片の長さLoは、20mmとされた。ステップ長さLsは、15mmとされた。ベルトの端からバンドの端までの軸方向距離Pは、0mmとされた。言い換えれば、軸方向において、バンドの端は、ベルトの端と一致している。バンドのコードには、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが用いられた。
[比較例11]
従来の製造方法により、短繊維の配合量を下記の表8の通りとした他は実施例29と同じ構成を有する比較例12のタイヤを製作した。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。
[高速耐久性]
タイヤを15×6JJのリムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を260kPaとした。3時間以上放置後、このタイヤに空気を充填して内圧を260kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着した。このタイヤを、40km/hの速度から10分ずつ途中中断することなく10km/hずつこの速度を上昇させつつ、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが損傷することなく10分間走行し得た最高速度を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1から8に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
[静粛性]
タイヤを15×6JJのリムに組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が2000ccである前輪駆動の乗用車の全輪に装着した。ドライバーに、この乗用車でスムース路面を50km/hの速度で走行させた。運転席左耳許位置にて、1/3オクターブの250Hzバンドの騒音レベル(dB)を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1から8に示されている。数値が大きいほどロードノイズが小さく、良好であることが示される。
[ベルトの変形]
製作したタイヤを解体し、目視により、ベルトの変形の有無を確認した。変形が認められなかった場合が「G」で、変形が認められた場合が「NG」で、下記の表1から8に示されている。
[生産性]
1本のタイヤの生産に要する時間を計測した。その結果が、下記の表1から8に、比較例1を100とした指数値で示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
Figure 2013067350
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表1から8に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、様々なタイヤにも適用されうる。
2、12、76、90、104、118・・・タイヤ
4、14・・・トレッド
6、22・・・ベルト
8、8a、8b、24・・・バンド
10・・・内端
16・・・サイドウォール
18・・・ビード
20・・・カーカス
26、78、92、106、120・・・補強部
48a、48b、48・・・層
54・・・コード
58a、58b、58、80、94、108、122・・・補強層
60a、60b、82、96、110・・・外側片
62a、62b、84、98、112・・・内側片
64a、64b、86、100、114・・・連結片
66・・・短繊維

Claims (9)

  1. トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成されており、
    その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトと、このベルトとトレッドとの間に位置してベルトを覆うバンドと、それぞれがこのベルトの端に位置する一対の補強層とを備えており、
    このバンドが、螺旋状に巻かれたコードを含んでおり、
    このコードが、有機繊維からなり、
    このコードの2%モジュラスが、10000N/mm以上であり、
    このベルトが、内側層と、この内側層の半径方向外側に位置する外側層とを備えており、
    軸方向において、この内側層の端がこの外側層の端よりも外側に位置しており、
    この補強層が、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなり、
    この補強層における短繊維の配合量が、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部以下であり、
    この補強層が、上記内側層又は外側層の半径方向外側において軸方向内向きに延在する外側片を備えている空気入りタイヤ。
  2. 上記短繊維の配合量が、上記基材ゴム100質量部に対して20質量部よりも多い請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記補強層における短繊維が、周方向に配向している請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記外側片の軸方向長さが、10mm以上50mm以下である請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記補強層が、上記内側層又は上記外側層の半径方向内側において軸方向内向きに延在する内側片と、この内側片と上記外側片とを連結する連結片とをさらに備えている請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記内側片の軸方向長さが、10mm以上50mm以下である請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記外側片が、上記内側層の端から軸方向内向きに延在しており、
    上記外側層の端からこの外側片の内端までの軸方向距離が、5mm以上15mm以下である請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 上記バンドの端が、上記ベルトの端から軸方向内側に10mm以内の領域に位置している請求項1から7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトと、このベルトとトレッドとの間に位置してベルトを覆うバンドと、それぞれがこのベルトの端に位置する一対の補強層とを備えており、このバンドが螺旋状に巻かれたコードを含んでおり、このコードが有機繊維からなり、このコードの2%モジュラスが10000N/mm以上であり、このベルトが内側層とこの内側層の半径方向外側に位置する外側層とを備えており、軸方向においてこの内側層の端がこの外側層の端よりも外側に位置しており、この補強層が基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物からなり、この補強層における短繊維の配合量が基材ゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部以下であり、この補強層が、上記内側層又は外側層の半径方向外側において軸方向内向きに延在する外側片を備えている、ローカバーが組み立てられる工程と、
    このローカバーが、モールドに投入される工程と、
    このローカバーが、このモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程と
    を含む、空気入りタイヤの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3210797A1 (en) 2016-02-26 2017-08-30 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Pneumatic tire
WO2024122098A1 (ja) * 2022-12-06 2024-06-13 株式会社ブリヂストン 空気入りタイヤ
EP4385758A1 (en) * 2022-12-13 2024-06-19 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Pneumatic tire

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