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JP2013061295A - 中性子線照射装置 - Google Patents

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JP2013061295A JP2011201055A JP2011201055A JP2013061295A JP 2013061295 A JP2013061295 A JP 2013061295A JP 2011201055 A JP2011201055 A JP 2011201055A JP 2011201055 A JP2011201055 A JP 2011201055A JP 2013061295 A JP2013061295 A JP 2013061295A
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Abstract

【課題】種々の大きさの患部に対して汎用的に使用可能な中性子線治療装置を提供する。
【解決手段】中性子線治療装置1は、加速器と、加速器からの荷電粒子線Pで中性子線を生成するターゲットTと、当該中性子線を減速させ治療用中性子線Nを出射するモデレータ50と、開口46aを通じてモデレータ50からの治療用中性子線Nを患者に照射させるコリメータ46と、を備える。開口46aから出射される治療用中性子線Nを水ファントム60中に入射させた場合に、所定の基準位置Q2、Q3,Q4における熱中性子束が、いずれも、治療用中性子線Nの照射中心軸線C上で入射面60aから20mmの深さの基準位置Q1における熱中性子束の0.2倍以上になるように設定されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、中性子線照射装置に関するものである。
がん治療等における放射線治療の1つとして、中性子線の照射によりがん治療を行うホウ素中性子捕捉療法(BNCT:BoronNCT)がある。従来、このホウ素中性子捕捉療法を行うための中性子線治療装置(BNCT装置)が開発されており、例えば特許文献1には、サイクロトロン等の加速器で陽子線(荷電粒子線)を生成し、タンタルやタングステン等のターゲットに陽子線を照射することにより中性子線を生成し、生成した中性子線を対象へ照射するものが開示されている。
特開2007−240330号公報
BNCTにおいては、ある程度大きい患部(腫瘍)に対しても患部全体に中性子線のエネルギーを付与する必要があり、種々の大きさの患部に対して汎用的に中性子線の照射を可能にすることが望まれる。ところが、上記特許文献1の技術では、種々の大きさの患部に対応可能な汎用性については何ら考慮されていない。
このような事情に鑑み、本発明は、種々の大きさの患部に対して汎用的に使用可能な中性子線照射装置を提供することを目的とする。
本発明の中性子線照射装置は、荷電粒子を加速し荷電粒子線を出射する加速器と、加速器からの荷電粒子線が入射され中性子線を生成する中性子線生成部と、中性子線生成部からの中性子線を減速させ出射する減速部と、中性子線の照射野を規定する開口を有し、当該開口を通じて減速部からの治療用中性子線を被照射体に照射させるコリメータと、を備え、コリメータの開口から出射される治療用中性子線を水ファントムの入射面から当該水ファントム中に入射させた場合に、水ファントム中において治療用中性子線の照射野の中心軸線上で入射面から20mmの深さの位置を基準位置Q1とし、水ファントム中において中心軸線上で入射面から60mmの深さの位置を基準位置Q2とし、水ファントム中においてコリメータの開口の縁部を通り中心軸線に平行に延びる開口縁部軸線上で入射面から20mmの深さの位置を基準位置Q3とし、水ファントム中において開口縁部軸線上で入射面から60mmの深さの位置を基準位置Q4としたとき、基準位置Q2における熱中性子束G2が基準位置Q1における熱中性子束G1の0.2倍以上であり、基準位置Q3における熱中性子束G3が基準位置Q1における熱中性子束G1の0.2倍以上であり、基準位置Q4における熱中性子束G4が基準位置Q1における熱中性子束G1の0.2倍以上であるように、加速器、中性子線生成部、及び減速部が設定されていることを特徴とする。
上記中性子線照射装置によれば、コリメータの開口に対応する位置で患者体内の深さ20〜60mmの間の領域に対し、ある程度高い線量率で中性子線のエネルギーを付与することができる。よって、深さ20〜60mmに亘って存在するようなある程度大きい患部に対しても、治療に必要な線量の治療用中性子線を患部全体に対し照射することができる。
本発明によれば、種々の大きさの患部に対して汎用的に使用可能な中性子線照射装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る中性子線治療装置の構成を示す図である。 図1の中性子線治療装置における中性子線出力部の近傍を示す概略断面である。 図1の中性子線治療装置の出射方向前方に水ファントムを設置した状態を示す概略断面図である。 図3の水ファントム中に中性子線を入射した場合、熱中性子線の中性子束の分布を等値線で示す図である。 図3の水ファントム中で、照射中心軸線C上における熱中性子線の中性子束(フラックス)の分布を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、「上流」「下流」の語は、出射する荷電粒子線及び中性子線の上流(加速器側)、下流(患者側)をそれぞれ意味している。
図1に示す中性子線治療装置(中性子線照射装置)1は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:BoronNCT)を用いたがん治療を行う装置であり、ホウ素10(10B)が投与された患者(被照射体)40に対し中性子線Nを照射する。中性子線治療装置1は、加速器10(例えば、サイクロトロン)を備え、加速器10は、荷電粒子(例えば、陽子)を加速して、荷電粒子線P(例えば、陽子線)を作り出し、出射する。ここでの加速器10は、例えば、ビーム半径40mm、60kW(=30MeV×2mA)の荷電粒子線Pを生成する能力を有している。
加速器10から出射された荷電粒子線Pは、水平型ステアリング12、4方向スリット14、水平垂直型ステアリング16、四重極電磁石18,19,20、90度偏向電磁石22、四重極電磁石24、水平垂直型ステアリング26、四重極電磁石28、4方向スリット30、電流モニタ32、荷電粒子線走査部34を順次に通過し、中性子線出力部36に導かれる。中性子線出力部36では荷電粒子線PがターゲットTに照射されることで生成された中性子線Nを出射(出力)し、当該中性子線Nが治療台38上の患者40に照射される。
水平型ステアリング12、水平垂直型ステアリング16,26は、例えば電磁石を用いて荷電粒子線Pのビーム軸調整を行うものである。同様に、四重極電磁石18,19,20,24,28は、例えば電磁石を用いて荷電粒子線Pのビームの発散を抑制するものである。4方向スリット14,30は、端のビームを切ることにより、荷電粒子線Pのビーム整形を行うものである。
90度偏向電磁石22は、荷電粒子線Pの進行方向を90度偏向するものである。なお、90度偏向電磁石22には、切替部42が設けられており、切替部42によって荷電粒子線Pを正規の軌道から外してビームダンプ44に導くことが可能になっている。ビームダンプ44は、治療前などにおいて荷電粒子線Pの出力確認を行うことができる。
電流モニタ32は、中性子線出力部36のターゲットTに照射される荷電粒子線Pの電流値(つまり、電荷,照射線量率)をリアルタイムで測定するものである。電流モニタ32は、荷電粒子線Pに影響を与えずに電流測定可能な非破壊型のDCCT(DC Current Transformer)が用いられている。この電流モニタ32には、所定のコントローラが接続されている。なお、「線量率」とは、単位時間当たりの線量を意味する(以下、同じ)。
荷電粒子線走査部34は、荷電粒子線Pを走査し、ターゲットTに対する荷電粒子線Pの照射制御を行うものである。ここでの荷電粒子線走査部34は、例えば、荷電粒子線PのターゲットTに対する照射位置や、荷電粒子線Pのビーム径等を制御する。
図2に示すように、中性子線出力部36は、荷電粒子線Pを通すビームダクト48の下流端部に配設されたターゲット(中性子線生成部)Tと、ターゲットTで発生した中性子線Nを減速させるモデレータ(減速部)50と、これらを覆うように設けられた遮蔽体52と、遮蔽体52の下流端に取り付けられたコリメータ46と、を含んで構成されている。
ターゲットTは、荷電粒子線Pの照射を受けて中性子線Nを発生させるものである。ここでのターゲットTは、例えば、ベリリウム(Be)により形成され、直径160mmの円板状を成している。ターゲットTの種類は、加速器10の荷電粒子線Pのエネルギーに応じて設定される。加速器10及びターゲットTの代表的な組み合わせ設定の具体的な例を、以下の設定例1〜3として挙げる。
(設定例1)
加速器10として、静電加速器又は線形加速器を使用する。加速器10から出力される荷電粒子線は陽子線であり、陽子線の陽子エネルギーは1.9〜10MeVとする。例えば、加速器10から、2.8MeVの陽子線を20mA以上で出力すればよい。ターゲットTとしては、リチウムターゲットを使用する。この場合、金属リチウム(固体)をターゲットTとしてもよく、液体リチウムを循環させてターゲットTとして用いてもよい。
(設定例2)
加速器10として、線形加速器、サイクロトロン、又はFFAG(固定磁場強収束型加速器)を使用する。加速器10から出力される荷電粒子線は陽子線であり、陽子エネルギーは8〜40MeVで0.6mA以上とする。ターゲットTとしては、ヘリウムターゲット又はベリリウムターゲットを使用する。
(設定例3)
加速器10として、サイクロトロン、シンクロトロン、又はFFAGを使用する。加速器10から出力される荷電粒子線は陽子線であり、陽子エネルギーは30MeV以上とする。ターゲットTとしては、タンタル、タングステン、又は水銀などの重金属のターゲットを使用する。
モデレータ50は、ターゲットTから出射される中性子線Nを減速させ、エネルギーが低減された治療用中性子線Nとするものである。モデレータ50は、例えば異なる複数の材料から成る積層構造とされている。モデレータ50の材料は、荷電粒子線のエネルギー等の諸条件に応じて適宜選択される。
遮蔽体52は、中性子線N、及び当該中性子線Nの発生に伴って生じたガンマ線等が外部へ放出されないよう遮蔽するものであり、治療室の床に取り付けられている。コリメータ46は、治療用中性子線Nの出力口となる円形の開口46aを備え、治療用中性子線Nの照射野を規定する。以下、コリメータ46で規定される照射野の中心(開口46aの中心)を通り治療用中性子線Nの上下流方向に延在する仮想の軸線を「照射中心軸線」と称し、符号「C」を付して示す。なお、照射中心軸線Cは、コリメータ46の開口46aの下流端面に直交している。
中性子線出力部36においては、荷電粒子線走査部34で走査された荷電粒子線Pがターゲット(中性子線生成部)Tに照射され、これにより中性子線が発生する。発生した中性子線は、モデレータ50で減速されて治療用中性子線Nとなる。そして、モデレータ50から出射された治療用中性子線Nが、コリメータ46の開口46aを通過して治療台38上の患者40へ照射される。治療用中性子線Nのビームには、ガンマ線、速中性子線、熱外中性子線、及び熱中性子線が含まれている。このうちの熱中性子線が、主に、患者40体内の腫瘍中に取り込まれたホウ素10と核反応し、有効な治療効果を発揮する。なお、治療用中性子線Nのビームに含まれる熱外中性子線の一部も、患者40の体内で減速されて上記治療効果を発揮する熱中性子線となる。熱中性子線は、0.5eV以下のエネルギーの中性子線である。
続いて、中性子線治療装置1から出力される治療用中性子線Nの強度の設定について説明する。
治療用中性子線Nの強度設定では、患者40に対する治療の等価線量率を適切に調整する必要がある。ここで、治療の等価線量率に影響を与える項目としては、主に、(ア)熱中性子線とホウ素10との反応、(イ)熱中性子線と生体構成元素である窒素との反応、(ウ)速中性子線と生体構成元素である水素との反応、及び(エ)ガンマ線と生体との反応がある。すなわち、治療用中性子線Nによる治療の等価線量率は、下式(A)のように表される。
(治療の等価線量率)=
(熱中性子束)・a1+(熱中性子束)・a2+(速中性子束)・b+(ガンマ線束)・1.0 …(A)
但し、式(A)中のa1,a2,bは、既知の係数である。
そして、式(A)の右辺のうち熱中性子束に関係する第1項が、治療の等価線量率の90〜95%を占める。従って、中性子線治療装置1においては、熱中性子束を調整することによって、治療用中性子線Nによる治療の等価線量率を調整するものとする。以下、治療用中性子線Nにおける熱中性子束の調整について説明する。
図3に示すように、コリメータ46の下流側に水ファントム60を設置し、治療用中性子線Nを水ファントム60の入射面60aから入射させた場合を考える。このとき、水ファントム60の入射面60aをコリメータ46の開口46aに当接させた状態とする。また、以下では、コリメータ46の開口46aの半径をrとする。
ここで、上記のような水ファントム60中に中性子線を入射した場合、熱中性子線の中性子束は図4のような分布を示す。この図4は、照射中心軸線Cを含む平面内における、熱中性子線の中性子束の等値線を示すものであり、コリメータ46の開口46aの半径rを50mmとした場合の例である。図4においては、水平位置=0mmの直線が照射中心軸線Cに対応しており、縦軸(水平位置)は照射中心軸線Cからの距離を表し、横軸(深さ)は入射面60aから照射中心軸線C方向に測った深さを表す。図4中の各等値線に付された各値は、ピークの中性子束値(1.0)に対する各箇所の中性子束値の比を表している。また、水ファントム60中で、照射中心軸線C上における熱中性子線の中性子束(フラックス)は、図5のような分布を示す。
図4及び図5から理解されるように、熱中性子線の中性子束のピークは、当該治療用中性子線Nを照射した水ファントム60中において、照射中心軸線C上の深さ約20mmの位置にある。そして、そのピーク位置から周辺に向かって徐々に中性子束が下がっていく。
この知見に鑑み、本実施形態においては、図4に示すように、水ファントム60中に4つの基準位置Q1、Q2,Q3,Q4を定義する。また、各々の基準位置Q1,Q2,Q3,Q4における熱中性子線の中性子束をそれぞれG1,G2,G3,G4で表すものとする。
基準位置Q1は、照射中心軸線C上で入射面1aから20mmの深さの位置であり、熱中性子線の中性子束がピークとなる位置である。基準位置Q2は、照射中心軸線C上で入射面1aから60mmの深さの位置である。
また、コリメータ46の開口46aの縁部46cを通り照射中心軸線Cに平行な仮想軸線を考える。以下、この仮想軸線を「開口縁部軸線」と称し、符号「D」を付して示すものとする。開口縁部軸線Dは、開口46aの半径r(ここでは、r=50mmとする)に等しい距離だけ照射中心軸線Cから離れて存在する。基準位置Q3は、開口縁部軸線D上で入射面1aから20mmの深さの位置である。すなわち、基準位置Q3は、照射中心軸線Cから距離r離れ、入射面1aから20mm離れた位置である。また、基準位置Q4は、開口縁部軸線D上で入射面1aから60mmの深さの位置である。すなわち、基準位置Q4は、照射中心軸線Cから距離r離れ、入射面1aから60mm離れた位置である。
なお、照射中心軸線Cを中心とする径方向の熱中性子束の分布は、各方向とも同じと考えてよいので、開口縁部軸線Dは、照射中心軸線Cを円柱軸とする半径rの円柱面上の何れの位置に設定してもよい。そして、上記の基準位置Q3は、照射中心軸線Cに直交する平面内において、基準位置Q1を中心とする半径rの円周上の何れの位置に設定してもよい。同様に、上記の基準位置Q4は、照射中心軸線Cに直交する平面内において、基準位置Q2を中心とする半径rの円周上の何れの位置に設定してもよい。
上述のように基準位置Q1〜Q4を設定した上で、中性子線治療装置1は、下式(1)の条件を満足するように設定される。
G2/G1≧0.2 かつ G3/G1≧0.2 かつ G4/G1≧0.2 …(1)
上記の式(1)を満足するとの条件を、以下、「基準照射条件」という。上記の基準照射条件を満足する中性子線治療装置1は、主に、ターゲットTの種類を適切に選択すると共に、加速器10からターゲットTに入射するイオン(荷電粒子線P)の電流量を調整し、更にモデレータの50の種類を適切に選択することにより実現される。
水ファントム60中の基準位置Q1〜Q2における熱中性子束G1〜G4は、次の方法で測定される。水ファントム60中に金の試料(例えば金線)を入れておき、図3に示されるように水ファントム60を設置した状態で、中性子線治療装置1からの治療用中性子線Nを水ファントム60に照射する。金は熱中性子を吸収して放射化する性質を有するので、水ファントム60中の金試料は治療用中性子線Nによって放射化される。その照射の終了後、金試料を回収し、金試料から放射される特定のガンマ線を測定して金試料の放射化量を測定する。更に、上記と同様の照射及び測定を、カドミウムで覆った金試料を用いて行い、当該試料の放射化量を測定する。
これらの試料の放射化量と熱中性子束との間には既知の相関関係があるので、金試料の放射化量から、カドミウムで覆った金試料の放射化量を減算することで、上記相関関係に基づき熱中性子束を算出することができる。金試料及びカドミウムで覆った金試料のうち基準位置Q1〜Q4に位置していた部位について上記の分析を行うことで、基準位置Q1〜Q4における熱中性子束G1〜G4が求められる。
なお、治療用中性子線Nの速中性子束も、上記の金試料に代えてインジウム試料又はアルミニウム試料を用いることで、試料の放射化量から算出することができる。また、治療用中性子線Nのガンマ線束も、TLD(熱ルミネッセンス測定子)を用いて測定することができる。
基準照射条件を満足するための加速器10、ターゲットT、及びモデレータ50の組み合わせについて、具体的な設定の例を、以下の設定例A〜Dとして挙げる。
(設定例A)
加速器10からの出力を30MeVの陽子線とし、ターゲットTとしてベリリウムターゲットを用いる。モデレータ50の材料は、鉛、鉄、アルミニウム、又はフッ化カルシウムとする。
(設定例B)
加速器10からの出力を11MeVの陽子線とし、ターゲットTとしてベリリウムターゲットを用いる。モデレータ50の材料は、重水(D2O)又はフッ化鉛とする。
(設定例C)
加速器10からの出力を2.8MeVの陽子線とし、ターゲットTとしてリチウムターゲットを用いる。モデレータ50の材料は、フルエンタール(Fluental;商品名;アルミニウム、フッ化アルミ、フッ化リチウムの混合物)とする。
(設定例D)
加速器10からの出力を50MeVの陽子線とし、ターゲットTとしてタングステンターゲットを用いる。モデレータ50の材料は、鉄又はフルエンタールとする。
続いて、上述のように基準照射条件を満足するように設定された中性子線治療装置1の作用効果について説明する。
中性子線治療装置1を用いて患者40に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を行う場合を考える。BNCTにおいて人体に対する治療用中性子線Nの等価線量を算出するにあたり、典型的なBNCT治療例として以下の値が採用される。
人体構成元素である窒素の濃度 :2%
投入薬剤であるホウ素10の人体中の濃度 :25ppm
正常な皮膚のCBE値 :2.5
正常な皮膚に対する最大線量 :11Gy-Eq
また、一般にBNCTの治療効果を得るためには、腫瘍に対して20Gy-Eqの熱中性子線の照射が必要とされている。なお、BNCTにおける合計の等価線量は、熱中性子とホウ素の核反応による等価線量(ホウ素線量)と、熱中性子と窒素の核反応による等価線量(窒素線量)と、速中性子による反跳水素による等価線量(水素線量)と、ガンマ線による等価線量と、の和として表わされる。
上記の治療例に基づいて算出すれば、BNCTにおいて中性子線治療装置1の治療用中性子線Nを患者40に照射した場合、照射中心軸線C上で、患者40の身体内部の深さ20mmの位置(基準位置Q1に相当)において熱中性子束がピークになる。そして、基準位置Q1に対応する位置から離れるに従って熱中性子束が徐々に低くなり、各基準位置Q2,Q3,Q4に対応する位置の熱中性子束は上記ピークの0.2倍以上の値になる。
例えば、基準位置Q1の熱中性子束G1が5.0×108 neutrons/cm2/sec 以上となるような照射を行えば、周辺の基準位置Q2〜Q4においても1.0×108neutrons/cm2/sec (5.0×108 neutrons/cm2/secの0.2倍)以上の熱中性子束が照射される。すなわち、患者40体内において、深さ20〜40mmで照射中心軸線Cを中心とする半径r以内の領域に亘って、1.0×108 neutrons/cm2/sec 以上の熱中性子束が照射されることになる。このように、中性子線治療装置1によれば、上記のように比較的大きい領域に亘って存在する比較的大きい腫瘍に対して、治療効果を得るのに十分な治療用中性子線Nの照射が可能である。よって、中性子線治療装置1は、上記のような比較的大きい腫瘍にも対応が可能であり、種々の大きさの腫瘍に対して汎用的に使用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。
例えば、90度偏向磁石22を用いて荷電粒子線Pを90度偏向する構成に限らず、90度偏向磁石を設置せずに、加速器からターゲットまでを一直線上に配置してもよい。また、固定照射を行うタイプの治療装置に限らず、ターゲット及び中性子線出力部を患者の周りに回転させる回転照射を行うタイプの治療装置に本発明を適用してもよい。また、荷電粒子線走査部34を設けずに、ターゲット上の定位置に荷電粒子線を照射するようにしてもよい。また、電流モニタ32を設けずに、中性子線の線量を直接測定できる測定手段を設けてもよい。
1…中性子線治療装置(中性子線照射装置)、10…加速器、40…患者(被照射体)、46…コリメータ、46a…開口、46c…開口の縁部、50…モデレータ(減速部)、60…水ファントム、60a…入射面、C…照射中心軸線(照射野の中心軸線)、D…開口縁部軸線、N…治療用中性子線、P…荷電粒子線、Q1〜Q4…基準位置、T…ターゲット(中性子線生成部)。

Claims (1)

  1. 荷電粒子を加速し荷電粒子線を出射する加速器と、
    前記加速器からの前記荷電粒子線が入射され中性子線を生成する中性子線生成部と、
    前記中性子線生成部からの前記中性子線を減速させ出射する減速部と、
    前記中性子線の照射野を規定する開口を有し、当該開口を通じて前記減速部からの前記中性子線を被照射体に照射させるコリメータと、を備え、
    前記コリメータの前記開口から出射される前記治療用中性子線を水ファントムの入射面から当該水ファントム中に入射させた場合に、
    前記水ファントム中において前記治療用中性子線の前記照射野の中心軸線上で前記入射面から20mmの深さの位置を基準位置Q1とし、
    前記水ファントム中において前記中心軸線上で前記入射面から60mmの深さの位置を基準位置Q2とし、
    前記水ファントム中において前記コリメータの前記開口の縁部を通り前記中心軸線に平行に延びる開口縁部軸線上で前記入射面から20mmの深さの位置を基準位置Q3とし、
    前記水ファントム中において前記開口縁部軸線上で前記入射面から60mmの深さの位置を基準位置Q4としたとき、
    前記基準位置Q2における熱中性子束G2が前記基準位置Q1における熱中性子束G1の0.2倍以上であり、
    前記基準位置Q3における熱中性子束G3が前記基準位置Q1における熱中性子束G1の0.2倍以上であり、
    前記基準位置Q4における熱中性子束G4が前記基準位置Q1における熱中性子束G1の0.2倍以上であるように、前記加速器、前記中性子線生成部、及び前記減速部が設定されていることを特徴とする中性子線照射装置。
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