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JP2013060147A - 四輪駆動車 - Google Patents

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JP2013060147A
JP2013060147A JP2011200894A JP2011200894A JP2013060147A JP 2013060147 A JP2013060147 A JP 2013060147A JP 2011200894 A JP2011200894 A JP 2011200894A JP 2011200894 A JP2011200894 A JP 2011200894A JP 2013060147 A JP2013060147 A JP 2013060147A
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Yoshihiro Ikushima
嘉大 生島
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Abstract

【課題】二輪駆動および四輪駆動を切替える切替クラッチとしてツーウェイクラッチを用いた場合に四輪駆動走行時のツーウェイクラッチのハンチングを防止できる四輪駆動車を提供する。
【解決手段】四輪駆動状態と二輪駆動状態とを切替可能な切替クラッチ43と、後輪10L、10Rとリヤドライブギヤ6の間で動力を伝達および遮断可能な断続クラッチ7、8とを備え、切替クラッチ43が、出力部材41に連結された内輪と、トランスファリングギヤ42に連結された外輪と、内輪と外輪の間に設けられたローラ46と、ローラ46を保持する保持器とを含み、内輪の回転速度が外輪の回転速度より速いとき、ローラ46が楔に噛み込むことにより四輪駆動状態に切替えられ、四輪駆動走行時、断続クラッチ7、8を伝達状態に切替えるとともに、切替クラッチ43が四輪駆動状態に維持されるよう内輪の回転速度を外輪の回転速度より速くなるように設定した。
【選択図】図1

Description

本発明は、四輪駆動車に関し、特に二輪駆動および四輪駆動を切替える切替クラッチとしてツーウェイクラッチを用いた四輪駆動車に関する。
四輪駆動車には、車両の走行状態に応じて二輪駆動および四輪駆動を切替可能なものがある。従来、この種の四輪駆動車では、二輪駆動走行時に、エンジンのトルクが伝達されない従駆動輪(例えば、後輪)が路面からのトルクを受けてプロペラシャフト等の伝達部材を回転させてしまう。このため、二輪駆動走行時には、従駆動輪側の伝達部材の回転により駆動ロスが生じ、燃費向上の妨げとなっていた。
そこで、近年、このような駆動ロスを抑制する四輪駆動車として、二輪駆動走行時にプロペラシャフトを従駆動輪である後輪から切り離すことにより、後輪からのトルクがプロペラシャフトに伝達されないようにした四輪駆動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の四輪駆動車は、トランスファ内に設けられ、二輪駆動および四輪駆動を切替可能な切替クラッチと、後輪側の左右ドライブシャフトとプロペラシャフトとの間の動力伝達経路上に設けられ、左右後輪とプロペラシャフトとの間の動力伝達を遮断あるいは接続可能な一対の多板クラッチとを備えている。したがって、この四輪駆動車にあっては、二輪駆動走行時、一対の多板クラッチを遮断状態とすることにより、一対の多板クラッチと切替クラッチとの間のプロペラシャフトを含む伝達部材の回転を停止させることができる。これにより、従来生じていた二輪駆動走行時の駆動ロスが軽減される。
ところで、上述の四輪駆動車では、切替クラッチとして、主駆動系の回転部材と従駆動系の回転部材とを軸方向移動可能なスリーブにより係合または非係合させて二輪駆動および四輪駆動を切替えるものを用いている。切替クラッチとしては、スリーブを用いたものの他、例えば中立空転状態および両方向の駆動状態をとり得るいわゆるツーウェイクラッチを用いることもできる。このようなツーウェイクラッチとしては、主駆動系の回転部材に連結され、正多角形状のカム面を有する内輪と、従駆動系の回転部材に連結された外輪と、内輪のカム面と外輪との間に配置された複数のローラと、このローラを保持する保持器とを含んで構成されたものがある。このツーウェイクラッチは、主駆動系の回転部材と従駆動系の回転部材との間の回転差に応じて、保持器とカム面の位相を切替える。これにより、このツーウェイクラッチは、ローラが外輪に接触しない中立空転状態、内輪と外輪の間でローラを介して動力伝達がなされ、回転方向に応じて伝達状態の異なる駆動状態のいずれかを形成する。このようなツーウェイクラッチを切替クラッチとして用いた場合、中立空転状態では主駆動系の回転部材と従駆動系の回転部材との間でトルクの伝達がなされず、駆動状態ではそれら回転部材間でトルクの伝達がなされる。したがって、四輪駆動走行時、ツーウェイクラッチは駆動状態に切替えられる。
また、このようなツーウェイクラッチには、電磁石をさらに設け、電磁石の通電電流を制御することによって遮断状態および駆動状態を任意に切替可能なものもある。
特開2010−7783号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載の四輪駆動車にあっては、切替クラッチとして前述のツーウェイクラッチを用いると、特に四輪駆動走行時に次のような問題が生ずる。すなわち、ツーウェイクラッチは、例えば外輪と内輪との間に回転差が生じると、内輪と保持器との間に位相差が発生する。この位相差により、ツーウェイクラッチは、外輪と内輪の間の楔にローラが噛み込み、内輪と外輪との間でトルクを伝達することが可能となる。ところが、前輪および後輪の回転速度が略同じ四輪駆動走行時、タイヤ径の僅かな違いや路面状況等により外輪と内輪との間の回転差に変化が生ずると、ローラが楔から外れて一時的に中立空転状態あるいは逆方向の駆動状態となり得る。このため、従来の四輪駆動車にあっては、切替クラッチとして前述のツーウェイクラッチを用いると、特に四輪駆動走行時にツーウェイクラッチが遮断状態と駆動状態とを繰り返すハンチングを生ずるおそれがある。
本発明は、上述のような従来の問題に鑑みてなされたもので、二輪駆動および四輪駆動を切替える切替クラッチとしてツーウェイクラッチを用いた場合であっても四輪駆動走行時のツーウェイクラッチのハンチングを防止することができる四輪駆動車を提供することを目的とする。
本発明に係る四輪駆動車は、上記目的達成のため、(1)駆動力源に連結された第1の動力伝達手段と、前記第1の動力伝達手段に連結された一対の主駆動輪と、前記第1の動力伝達手段に連結された第2の動力伝達手段と、前記第2の動力伝達手段に連結された一対の従駆動輪と、前記第1の動力伝達手段と前記第2の動力伝達手段との連結部分に配置され、前記第1の動力伝達手段から前記第2の動力伝達手段に駆動力を伝達する四輪駆動状態と前記駆動力の伝達を遮断する二輪駆動状態とを切替可能な切替クラッチと、前記第2の動力伝達手段と前記一対の従駆動輪との間に設けられ、前記一対の従駆動輪と前記第2の動力伝達手段との間で動力を伝達する伝達状態と前記動力の伝達を遮断する遮断状態とを切替可能な動力断続装置と、を備え、前記切替クラッチは、前記第1の動力伝達手段に連結され、外周面に複数のカム面が形成された内輪部材と、前記第2の動力伝達手段に連結された外輪部材と、前記内輪部材と前記外輪部材との間に設けられた転動部材と、前記転動部材を保持する保持部材とを含み、前記内輪部材の回転速度が前記外輪部材の回転速度より速いとき、前記内輪部材と前記外輪部材との間の回転速度差に応じて前記転動部材が前記カム面と前記外輪部材の内周面とで形成された楔に噛み込むことにより、前記転動部材を介して前記内輪部材と前記外輪部材との間で駆動力が伝達される前記四輪駆動状態に切替えられ、四輪駆動走行時、前記動力断続装置を伝達状態に切替えるとともに、前記切替クラッチが前記四輪駆動状態に維持されるよう前記内輪部材の回転速度を前記外輪部材の回転速度より速くなるように設定した構成を有する。
この構成により、本発明に係る四輪駆動車は、四輪駆動走行時に切替クラッチが四輪駆動状態に維持されるよう内輪部材の回転速度を外輪部材の回転速度より速くなるように設定した。例えば、前輪および後輪の回転速度が略同じ四輪駆動の直進走行時、外輪部材の回転速度が内輪部材の回転速度を超えないようにした。
このため、本発明に係る四輪駆動車は、四輪駆動走行中に、タイヤ径の僅かな違いや路面状況等により外輪部材と内輪部材との間の回転速度差に変化が生じても、転動部材が楔に噛み込んだ状態を維持することができる。すなわち、転動部材が楔から抜け、切替クラッチが一時的に二輪駆動状態に切替えられることを防止することができる。したがって、本発明に係る四輪駆動車は、四輪駆動走行中に切替クラッチが四輪駆動状態と二輪駆動状態とを繰り返すハンチングを防止することができる。この結果、本発明に係る四輪駆動車は、切替クラッチのハンチングに起因したショックを低減することができる。
また、本発明に係る四輪駆動車は、上記(1)に記載の四輪駆動車において、(2)前記第2の動力伝達手段は、前記外輪部材に連結された第1のギヤと、前記第1のギヤと噛み合う第2のギヤと、前記動力断続装置を介して前記一対の従駆動輪に連結された第3のギヤと、前記第3のギヤと噛み合う第4のギヤと、前記第2のギヤと前記第4のギヤとを連結する回転軸とを有し、前記第1のギヤと前記第2のギヤとの間のギヤ比が、前記第4のギヤと前記第3のギヤとの間のギヤ比よりも大きなギヤ比に設定されている構成を有する。
この構成により、本発明に係る四輪駆動車は、第1のギヤと第2のギヤとの間のギヤ比が第4のギヤと第3のギヤとの間のギヤ比よりも大きなギヤ比に設定されている。このため、例えば直進走行時に二輪駆動から四輪駆動に切替える際には、従駆動輪の駆動力を受けて回転する外輪部材の回転速度が主駆動輪と同一の回転速度で回転する内輪部材の回転速度よりも遅くなっている。したがって、外輪部材と内輪部材の回転速度差に応じて切替クラッチが四輪駆動状態に切替えられるとともに、四輪駆動状態切替後は上記のような回転速度差に基づき切替クラッチが四輪駆動状態に維持される。この結果、本発明に係る四輪駆動車は、四輪駆動走行時の切替クラッチのハンチングを防止することができる。
また、本発明に係る四輪駆動車は、上述のようなギヤ比の関係に設定したので、四輪駆動走行時は第1のギヤに対して第3のギヤを増速させることができる。このため、四輪駆動走行時は、主駆動輪および従駆動輪の回転速度に対して第3のギヤの回転速度を速くすることができる。したがって、四輪駆動走行の旋回時は、動力断続装置の伝達トルクを増大させることにより、一対の従駆動輪のうち、旋回外輪の回転速度を最高で第3のギヤの回転速度まで増速させることができる。
また、本発明に係る四輪駆動車は、上記(1)または(2)に記載の四輪駆動車において、(3)前記動力断続装置は、一方の従駆動輪と前記第2の動力伝達手段との間および他方の従駆動輪と前記第2の動力伝達手段との間にそれぞれ配置されるとともに、前記第2の動力伝達手段と前記一対の従駆動輪との間の伝達トルクを走行状態に応じて変更可能に構成され、四輪駆動走行の旋回時、前記一対の従駆動輪のうち、旋回外輪側に配置された一方の動力断続装置の伝達トルクを旋回内輪側に配置された他方の動力断続装置の伝達トルクに比べて増大させる構成を有する。
この構成により、本発明に係る四輪駆動車は、四輪駆動走行の旋回時、一対の従駆動輪のうち、旋回外輪側に配置された一方の動力断続装置の伝達トルクを旋回内輪側に配置された他方の動力断続装置の伝達トルクに比べて増大させる。このため、四輪駆動走行の旋回時は、旋回外輪の回転速度を最高で第3のギヤの回転速度まで増速させることができる。したがって、本発明に係る四輪駆動車は、四輪駆動走行の旋回時の操縦性を従来と比較して向上させることができる。また、従駆動輪側に差動装置を設けなくとも旋回時の操縦正を向上させることができるので、従駆動輪側の機構を小型化することができる。
また、本発明に係る四輪駆動車は、上記(3)に記載の四輪駆動車において、(4)前
係記動力断続装置は、前記切替クラッチが四輪駆動状態とされているとき、走行中の前記伝達トルクに対して発進時の前記伝達トルクを増大させる構成を有する。
この構成により、本発明に係る四輪駆動車は、切替クラッチが四輪駆動状態とされているとき、動力断続装置が走行中の伝達トルクに対して発進時の伝達トルクを増大させる。このため、発進時は、従駆動輪に伝達される駆動力源の駆動力を走行中に比べて増大させることができる。したがって、本発明に係る四輪駆動車は、発進時のトラクション機能を向上させることもできる。
本発明によれば、二輪駆動および四輪駆動を切替える切替クラッチとしてツーウェイクラッチを用いた場合であっても四輪駆動走行時のツーウェイクラッチのハンチングを防止することができる四輪駆動車を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る四輪駆動車の概略構成図である。 本発明の実施の形態に係る切替クラッチの一部断面図である。 本発明の実施の形態に係る切替クラッチの作用を説明する図であって、(a)は、遮断状態を示し、(b)は、正駆動状態を示し、(c)は、逆駆動状態を示す。 本発明の実施の形態に係る断続クラッチの断面図である。 本発明の実施の形態に係るボール・カム機構の概略図であって、(a)は、ボール・カム機構の簡易拡大図であり、(b)は、ボール・カム機構の非作動時を示し、(c)は、ボール・カム機構の作動時を示す。 本発明の実施の形態に係る四輪駆動車の走行状態に応じた各クラッチ、各ユニットの駆動状態および効果を示す表である。
以下、本発明の実施の形態に係る四輪駆動車について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、四輪駆動車1は、フロントエンジン・フロントドライブ形式を基本とし、走行状態に応じて前輪二輪駆動と四輪駆動とを切替可能な四輪駆動車である。四輪駆動車1は、駆動力源としてのエンジン2と、トランスアクスル3と、トランスファ4と、プロペラシャフト5と、リヤドライブギヤ6と、動力断続装置としての左右一対の断続クラッチ7、8と、左右一対の前輪9L、9Rと、左右一対の後輪10L、10Rと、を備えている。さらに、四輪駆動車1は、四輪駆動車1全体を制御するための車両用電子制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)100を備えている。駆動力源としては、エンジン2等の内燃機関に限らず、電動モータであってもよいし、電動モータと内燃機関を併用したものであってもよい。
トランスアクスル3は、デフケース31aを有するフロントディファレンシャル31を備えている。フロントディファレンシャル31は、エンジン2に連結されるとともに、前輪9L、9Rおよびトランスファ4に接続されている。トランスアクスル3は、エンジン2が発生した駆動力(以下、トルクという)を四輪駆動車1の走行状態に応じた変速比の回転速度に変換するようになっている。トランスアクスル3によって回転速度が変換されたエンジン2のトルクは、フロントディファレンシャル31を介して前輪9L、9Rおよびトランスファ4に伝達されるようになっている。
前輪9L、9Rは、フロントディファレンシャル31に連結されている。前輪9L、9Rは、エンジン2からフロントディファレンシャル31を介して伝達されたトルクで駆動されるようになっている。
トランスファ4は、デフケース31aに一体回転可能に連結された出力部材41と、出力部材41に連結されたトランスファリングギヤ42と、出力部材41とトランスファリングギヤ42との連結部分に配置された切替クラッチ43とを備えている。
トランスファリングギヤ42は、プロペラシャフト5のドリブンピニオンギヤ5aと噛み合っている。出力部材41は、フロントディファレンシャル31を介してエンジン2に連結されている。本実施の形態におけるフロントディファレンシャル31および出力部材41は、本発明に係る第1の動力伝達部材を構成する。
切替クラッチ43は、出力部材41からトランスファリングギヤ42にトルクを伝達する四輪駆動状態と、出力部材41からトランスファリングギヤ42へのトルクの伝達を遮断する二輪駆動状態とを切替可能に構成されている。切替クラッチ43の詳細な構成については、後述する。このように構成されたトランスファ4は、トランスアクスル3から出力されたトルクを直角に変更してプロペラシャフト5に伝達するようになっている。
プロペラシャフト5は、前端部に固定されたドリブンピニオンギヤ5aと、後端部に固定されたドライブピニオンギヤ5bとを備えている。ドライブピニオンギヤ5bは、リヤドライブギヤ6と噛み合っている。本実施の形態におけるトランスファリングギヤ42、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6は、本発明に係る第2の動力伝達部材を構成する。
後輪10L、10Rは、リヤドライブギヤ6に連結されている。トランスファ4からプロペラシャフト5に伝達されたトルクは、リヤドライブギヤ6を介して後輪10L、10Rに伝達されるようになっている。
本実施の形態では、エンジン2からのトルクが直接伝達される前輪9L、9Rを主駆動輪とし、エンジン2からのトルクがトランスファ4を介して伝達される後輪10L、10Rを従駆動輪とする。
断続クラッチ7は、後輪10Lとリヤドライブギヤ6との間に配置され、断続クラッチ8は、後輪10Rとリヤドライブギヤ6との間に配置されている。断続クラッチ7、8は、後輪10L、10Rとリヤドライブギヤ6との間で動力を伝達する伝達状態と、後輪10L、10Rとリヤドライブギヤ6との間の動力の伝達を遮断する遮断状態とを切替可能に構成されている。また、断続クラッチ7、8は、伝達状態においてリヤドライブギヤ6と後輪10L、10Rとの間で伝達されるトルク(以下、伝達トルクという)を走行状態に応じて変更可能に構成されている。断続クラッチ7、8の詳細な構成については、後述する。
ECU100は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(登録商標:Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)および入出力インターフェース回路(I/F)を備え、四輪駆動車1の制御を統括するようになっている。
ECU100には、加速度センサ101、車輪速センサ102、舵角センサ103およびヨーレートセンサ104等の各種センサが接続されている。加速度センサ101は、四輪駆動車1の加速度を検出し、その検出結果をECU100に出力する。車輪速センサ102は、前輪9L、9R、後輪10L、10Rの各車輪に設けられ、これら各車輪の回転速度を検出し、この検出結果をECU100に出力する。舵角センサ103は、図示しないステアリングの操舵角を検出し、その検出結果をECU100に出力する。ヨーレートセンサ104は、四輪駆動車1のヨーレートを検出し、その検出結果をECU100に出力する。
ECU100は、車輪速センサ102の検出結果に基づき、例えば主駆動輪である前輪9L、9Rがスリップしているか否かを判定することができる。また、ECU100は、舵角センサ103の検出結果に基づき、例えば四輪駆動車1が左方向および右方向のいずれの方向に旋回しているかを判別することができる。さらに、ECU100は、加速度センサ101およびヨーレートセンサ104の検出結果に基づき、例えば四輪駆動車1が加速しながら旋回する旋回加速状態か否かを判定することができる。
また、ECU100は、切替クラッチ43および断続クラッチ7、8と接続されており、前述した各種センサからの入力情報に基づき、切替クラッチ43および断続クラッチ7、8を駆動するようになっている。例えば、ECU100は、加速度センサ101、車輪速センサ102、舵角センサ103およびヨーレートセンサ104の検出結果に基づき、四輪駆動走行が必要であると判断される場合、例えば直進走行時に加速要求があった場合や発進時等の場合には、切替クラッチ43が四輪駆動状態となるよう切替クラッチ43を駆動する。具体的には、ECU100は、後述する電磁コイル48への通電を行う。
一方、ECU100は、加速度センサ101、車輪速センサ102、舵角センサ103およびヨーレートセンサ104の検出結果に基づき、四輪駆動走行が必要でないと判断される場合、例えば市街地走行等の定常走行時や加速度が比較的小さい発進時(緩加速の発進時)等の場合には、切替クラッチ43が二輪駆動状態となるよう切替クラッチ43の駆動を停止する。具体的には、ECU100は、後述する電磁コイル48への通電を停止、あるいは通電を行わないようにする。
また、ECU100は、加速度センサ101、車輪速センサ102、舵角センサ103およびヨーレートセンサ104の検出結果に基づき、四輪駆動に切替えられた場合には、断続クラッチ7、8が伝達状態となるよう断続クラッチ7、8を駆動する。具体的には、ECU100は、後述する断続クラッチ7の電磁コイル76および断続クラッチ8の電磁コイルへの通電を行う。ここで、例えば二輪駆動から四輪駆動に切替える場合、ECU100は、まず断続クラッチ7、8を伝達状態とする。これにより、後述するように二輪駆動走行時に回転停止していたトランスファリングギヤ42、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6が回転することとなる。その後、ECU100は、トランスファリングギヤ42の回転がある程度引き上げられた段階で切替クラッチ43の電磁コイル48への通電を行う。これにより切替クラッチ43は、出力部材41とトランスファリングギヤ42との間の回転速度差に応じて後述するローラ46が楔に噛み込み、四輪駆動状態に切替えられる。このとき、上述したようにトランスファリングギヤ42の回転が引き上げられているので、ローラ46が楔に噛み込む際のショック等が軽減される。
一方で、ECU100は、加速度センサ101、車輪速センサ102、舵角センサ103およびヨーレートセンサ104の検出結果に基づき、二輪駆動走行に切替えられた場合には、断続クラッチ7、8が遮断状態となるよう断続クラッチ7、8の駆動を停止する。具体的には、ECU100は、後述する断続クラッチ7の電磁コイル76および断続クラッチ8の電磁コイルへの通電を停止する。
さらに、ECU100は、四輪駆動走行時に旋回加速状態と判定された場合には、後輪10L、10Rのうち、旋回外輪となる車輪の回転速度を増速させるよう断続クラッチ7、8の伝達トルクを制御する。
次に、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて、切替クラッチ43の詳細な構成および作用について説明する。
図2に示すように、切替クラッチ43は、正逆両方向への駆動と空転とを切替可能とし、遮断状態、正駆動状態および逆駆動状態の3つの伝達状態をとり得る、いわゆるツーウェイクラッチで構成されている。
切替クラッチ43は、内輪部材としての内輪44と、外輪部材としての外輪45と、転動部材としてのローラ46と、保持部材としての保持器47とを含んで構成されている。
内輪44は、出力部材41に連結され、外周面に複数のカム面44aが形成されている。外輪45は、内輪44の径方向外方に配置され、トランスファリングギヤ42(図1参照)に連結されている。ローラ46は、内輪44と外輪45との間に周方向に亘って複数設けられている。保持器47は、複数のローラ46を周方向に等間隔で保持するようになっている。
また、切替クラッチ43は、電磁コイル48(図1参照)と、電磁コイル48により磁気吸引される図示しないアーマチュアと、スイッチばね49とを有している。電磁コイル48は、ECU100に接続されており、通電により駆動するようになっている。保持器47は、電磁コイル48が通電されていないときはスイッチばね49を介して内輪44に連結している。一方で、保持器47は、電磁コイル48が通電されアーマチュアが磁気吸引されると、外輪45に連結されるようになっている。
図3(a)に示すように、切替クラッチ43は、電磁コイル48が通電されていないときにはスイッチばね49により、各ローラ46が対応する各カム面44aの周方向中央に保持されるようになっている。このとき、ローラ46の径がカム面44aの周方向中央と外輪45の内周面との間の間隔よりも小さいため、ローラ46が外輪45と接触しないようになっている。したがって、切替クラッチ43は、内輪44および外輪45が独立して回転(空転)し、内輪44と外輪45との間でトルクの伝達を行わない遮断状態とされる。すなわち、切替クラッチ43は、二輪駆動状態とされる。
一方、図3(b)、図3(c)に示すように、切替クラッチ43は、電磁コイル48が通電されると、保持器47が外輪45とともに同方向に回転する。このとき、内輪44と外輪45との間に回転差が生じていると、内輪44と保持器47との間に位相差が発生する。これにより、ローラ46が、スイッチばね49の付勢力に抗してカム面44aの周方向両端部と外輪45の内周面とによって形成された楔に移動し、この楔に噛み込む。ローラ46が楔に噛み込むことにより、ローラ46を介して内輪44と外輪45との間でトルクの伝達が可能となる。すなわち、切替クラッチ43は、四輪駆動状態に切替えられる。
ここで、図3(b)に示すように、内輪44の回転速度が外輪45の回転速度よりも速いときは、内輪44と外輪45との間の回転速度差に応じてローラ46が図中、矢印方向に移動し、一方の楔に噛み込むようになっている。これにより、切替クラッチ43は、正駆動状態となる。なお、後進時は、ローラ46の移動方向が図3(b)に示す方向と逆方向になる。
他方、図3(c)に示すように、外輪45の回転速度が内輪44の回転速度よりも速いと、ローラ46が図中、矢印方向に移動し、他方の楔に噛み込むようになっている。これにより、切替クラッチ43は、逆駆動状態となる。
本実施の形態では、特に前輪9L、9Rおよび後輪10L、10Rの回転速度が略同一の四輪駆動の直進走行時は、切替クラッチ43は図3(b)に示す正駆動状態となる。
次に、図4、図5を用いて、断続クラッチ7、8の詳細な構成および作用について説明する。本実施の形態の断続クラッチ7、8は、左右対称に配置されるが、構成は同様である。したがって、本実施の形態では、断続クラッチ7を例に説明し、断続クラッチ8の説明を省略する。
断続クラッチ7としては、例えば湿式多板クラッチを用いることができる。本実施の形態では、図1に示すリヤドライブギヤ6と後輪10Lとの間の伝達トルクを電子制御により変更可能ないわゆる電子制御カップリング装置を断続クラッチ7として用いた。
図4に示すように、断続クラッチ7は、アウタケース71と、インナシャフト72と、リヤカバー73と、クラッチ機構74と、アーマチュア75と、電磁コイル76とを備えている。ここで、アウタケース71とインナシャフト72とリヤカバー73とで画成された空間には、オイルが満たされている。
アウタケース71は、後輪10L(図1参照)に連結されるとともに、軸受17aを介してハウジング70に回転可能に支持されている。ハウジング70は、電磁コイル76に接続される給電ケーブル76aを保持している。ハウジング70は、図示していないが、四輪駆動車1(図1参照)の車体に固定されている。
インナシャフト72は、アウタケース71内にアウタケース71と同軸で、かつリヤドライブギヤ6(図1参照)に連結されている。インナシャフト72は、軸受17bを介してアウタケース71に対して相対回転可能に支持されている。また、インナシャフト72は、パイロットクラッチ側カム部材21を回転可能に支持している。
リヤカバー73は、インナシャフト72が貫通するよう構成されている。リヤカバー73は、磁性体である外周部73aと、同じく磁性体である内周部73bとを含んで構成されている。
リヤカバー73の外周部73aには、環状溝73dが形成されている。この環状溝73dには、Oリング78が挿入される。これにより、リヤカバー73は、アウタケース71に液密状態で嵌合固定される。
リヤカバー73の内周部73bには、環状溝73eが形成されている。この環状溝73eには、Xリング79が挿入される。これにより、インナシャフト72は、リヤカバー73に対して液密状態で相対的に回転できるようになっている。
また、リヤカバー73は、後方に開口した円筒状の凹部73fを有する。この凹部73fには、同心円状の電磁コイル76およびヨーク20が配置される。電磁コイル76およびヨーク20は、ハウジング70とともに四輪駆動車1(図1参照)の車体に固定されている。リヤカバー73は、軸受17cを介してヨーク20に回転可能に結合されている。
クラッチ機構74は、パイロットクラッチ50と、メインクラッチ60と、ボール・カム機構90とを備えている。
パイロットクラッチ50は、パイロットインナクラッチ板51と、パイロットアウタクラッチ板52とを有している。パイロットインナクラッチ板51は、パイロットクラッチ側カム部材21の外周部にスプライン結合され、パイロットクラッチ側カム部材21に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。パイロットアウタクラッチ板52は、アウタケース71の内周部にスプライン結合され、アウタケース71に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。パイロットインナクラッチ板51とパイロットアウタクラッチ板52は、軸線方向に交互に配置されている。
このように構成されたパイロットクラッチ50は、パイロットインナクラッチ板51とパイロットアウタクラッチ板52とを摩擦係合および解放するよう作動し、アウタケース71とパイロットクラッチ側カム部材21との間のトルクの伝達と非伝達を行うようになっている。
メインクラッチ60は、軸線方向に交互に配置されたメインインナクラッチ板61とメインアウタクラッチ板62とを有している。
メインインナクラッチ板61は、インナシャフト72の外周部にスプライン結合され、インナシャフト72に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。メインアウタクラッチ板62は、アウタケース71の内周部にスプライン結合され、アウタケース71に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。
このように構成されたメインクラッチ60は、メインインナクラッチ板61とメインアウタクラッチ板62とを摩擦係合および解放するよう作動し、アウタケース71とインナシャフト72との間のトルクの伝達と非伝達を行うようになっている。ここで、アウタケース71とインナシャフト72との間で伝達されるトルクは、上述した伝達トルクに相当する。
ボール・カム機構90は、パイロットクラッチ側カム部材21と、このパイロットクラッチ側カム部材21に対向するメインクラッチ側カム部材24と、パイロットクラッチ側カム部材21およびメインクラッチ側カム部材24間に保持されたカムボール26とを有している。
パイロットクラッチ側カム部材21は、インナシャフト72に回転可能に支持されている。メインクラッチ側カム部材24は、インナシャフト72にスプライン結合され、インナシャフト72に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。
図5(a)に示すように、パイロットクラッチ側カム部材21およびメインクラッチ側カム部材24には、それぞれ円弧状の凹部が形成されており、これらの凹部にカムボール26が配置されている。パイロットクラッチ側カム部材21とメインクラッチ側カム部材24とは、カムボール26を介してボールカム結合されており、パイロットクラッチ側カム部材21のトルクをメインクラッチ側カム部材24によるメインクラッチ60の作動力に変換するようになっている。
図4に示すように、アーマチュア75は、パイロットクラッチ50とメインクラッチ60の間に配置されるとともに、アウタケース71の内周部にスプライン結合されている。したがって、アーマチュア75は、アウタケース71に対して軸方向に移動可能、かつ一体回転可能に構成されている。また、アーマチュア75は、電磁コイル76が発生させる磁力により磁気吸引されるようになっている。
電磁コイル76は、凹部73fに配置されるとともに、ECU100に接続されている。電磁コイル76は、通電によりアーマチュア75を磁気吸引してパイロットクラッチ50を作動するようになっている。つまり、電磁コイル76が通電状態にあるときには、ヨーク20、リヤカバー73の外周部73a、アーマチュア75およびリヤカバー73の内周部73bに磁束回路が形成され、アーマチュア75が磁気吸引される。電磁コイル76への通電により、パイロットクラッチ50が作動する。
次に、図4および図5(a)〜図5(c)を参照して、断続クラッチ7の動作について説明する。なお、図5(b)および図5(c)は、それぞれ図5(a)におけるA−A断面図である。
電磁コイル76が非通電状態であるときは、アーマチュア75は、電磁コイル76により磁気吸引されないので、アウタケース71、パイロットインナクラッチ板51およびパイロットアウタクラッチ板52が非摩擦係合している状態となる。すなわち、パイロットクラッチ50は解放状態となる。このため、アウタケース71のトルクは、パイロットクラッチ側カム部材21に伝達されないので、メインクラッチ60も解放状態となる。したがって、アウタケース71のトルクは、インナシャフト72に伝達されない。
一方、電磁コイル76が通電されたときは、電磁コイル76が発生する磁力は、ヨーク20、リヤカバー73の外周部73aおよびリヤカバー73の内周部73bを介して、アーマチュア75に作用される。このため、アーマチュア75は、電磁コイル76の方向(図4の右方向)に磁気吸引される。アーマチュア75の磁気吸引により、アウタケース71、パイロットアウタクラッチ板52およびパイロットインナクラッチ板51が互いに摩擦係合して、パイロットクラッチ50が摩擦係合状態になる。
アウタケース71が回転している場合、パイロットクラッチ50が摩擦係合状態になると、アウタケース71のトルクがパイロットクラッチ側カム部材21に伝達され、パイロットクラッチ側カム部材21が回転する。このとき、まだメインクラッチ側カム部材24が回転していないので、パイロットクラッチ側カム部材21とメインクラッチ側カム部材24の間で回転速度差が発生する。これにより、パイロットクラッチ側カム部材21とメインクラッチ側カム部材24の間に挟持されているカムボール26は、メインクラッチ側カム部材24の凹部のカム面に沿って移動する。この移動に伴い、カムボール26は、パイロットクラッチ側カム部材21とメインクラッチ側カム部材24の間の間隔を押し広げる(この力が、図5(c)および以下に示すように、メインクラッチ押付け力となる)。
このため、メインクラッチ側カム部材24がパイロットクラッチ側カム部材21から離隔する方向(図4の左方向)に移動し、メインインナクラッチ板61とメインアウタクラッチ板62が互いに摩擦係合する。これにより、メインクラッチ60が摩擦係合状態となる。この結果、アウタケース71のトルクがインナシャフト72に伝達され、インナシャフト72が回転する。つまり、リヤドライブギヤ6と後輪10L(図1参照)との間で、動力伝達が可能となる。
このように構成された断続クラッチ7は、ECU100により電磁コイル76への通電量が制御されることによって、伝達トルクを変更可能としている。つまり、断続クラッチ7は、通電量が増加するほどメインクラッチ60の摩擦係合力が高まり、伝達トルクを増大させることができる。一方で、断続クラッチ7は、通電量が減少するほどメインクラッチ60の摩擦係合力が低下し、伝達トルクを減少させることができる。断続クラッチ8についても同様である。
ここで、断続クラッチ7、8は、例えば四輪駆動の直進走行時、伝達トルクが直結状態の伝達トルクに比べて所定値だけ低下するようメインインナクラッチ板61とメインアウタクラッチ板62とをスリップ係合させるようになっている。このため、四輪駆動の直進走行時は、左右の後輪10L、10Rの回転速度がリヤドライブギヤ6の回転速度より所定値だけ低下した回転速度となる。したがって、例えば後述する四輪駆動の旋回加速時には、旋回外輪側に配置された断続クラッチのメインクラッチ60の摩擦係合力を高める、すなわち伝達トルクを増大させることで旋回外輪の回転速度を旋回内輪の回転速度に比べて増速させることが可能となる。
次に、四輪駆動車1の後輪駆動系の各ギヤ比について説明する。
図1に示すように、ドリブンピニオンギヤ5aは、外輪45に連結されたトランスファリングギヤ42と噛み合っている。このように互いに噛み合うトランスファリングギヤ42とドリブンピニオンギヤ5aとの間のギヤ比ρ(以下、T/Fギヤ比ρという)は、プロペラシャフト5を増速させるよう所定の値に設定されている。
また、ドライブピニオンギヤ5bは、各断続クラッチ7、8を介して左右の後輪10L、10Rに連結されたリヤドライブギヤ6と噛み合っている。このように互いに噛み合うリヤドライブギヤ6とドライブピニオンギヤ5bとの間のギヤ比ρ(以下、R/Dギヤ比ρという)は、プロペラシャフト5の回転速度を減速してリヤドライブギヤ6に伝達するよう所定の値に設定されている。プロペラシャフト5は、ドリブンピニオンギヤ5aとドライブピニオンギヤ5bと連結している。本実施の形態におけるトランスファリングギヤ42は、本発明に係る第1のギヤを構成し、ドリブンピニオンギヤ5aは、本発明に係る第2のギヤを構成する。また、本実施の形態におけるリヤドライブギヤ6は、本発明に係る第3のギヤを構成し、ドライブピニオンギヤ5bは、本発明に係る第4のギヤを構成する。さらに、本実施の形態におけるプロペラシャフト5は、本発明に係る回転軸を構成する。
このような後輪駆動系においては、四輪駆動走行時、出力部材41から切替クラッチ43を介してトランスファリングギヤ42に伝達されたトルクは、その回転速度がT/Fギヤ比ρに応じて増速され、プロペラシャフト5に伝達される。そして、プロペラシャフト5に伝達されたトルクは、その回転速度がR/Dギヤ比ρに応じて減速され、左右の後輪10L、10Rに伝達される。
ここで、T/Fギヤ比ρは、R/Dギヤ比ρよりも大きなギヤ比に設定されている。具体的には、T/Fギヤ比ρは、R/Dギヤ比ρに対して+5%〜+10%程度、大きな値に設定されている。このため、前輪9L、9Rおよび後輪10L、10Rの回転速度NFL、NFR、NRL、NRR(rpm)が略同一である四輪駆動の直進走行時は、各車輪の径の僅かな違いや路面状況等により前輪9L、9Rと後輪10L、10Rとの間に回転速度の変化が生じた場合であっても、切替クラッチ43が図3(b)に示す正駆動状態に維持されることとなる。
ここで、上記のT/Fギヤ比ρおよびR/Dギヤ比ρの関係(ρ>ρ)により切替クラッチ43が図3(b)に示す正駆動状態に維持される理由について、詳しく説明する。なお、本説明では、断続クラッチ7、8が直結状態とされ、後輪10L、10Rとリヤドライブギヤ6の回転速度が同一であり、かつ前輪9L、9Rと出力部材41の回転速度が同一の場合を例に説明する。
まず、T/Fギヤ比ρとR/Dギヤ比ρとが同一(ρ=ρ)に設定されていると仮定すると、二輪駆動から四輪駆動に切替えられる際、後輪10L、10Rのトルクにより回転するリヤドライブギヤ6の回転速度NRD(rpm)が減速されずにそのままトランスファリングギヤ42の回転速度NTF(rpm)となる。つまり、直進走行時であれば、(NFL、NFR、NRL、NRR)=NRD=NTFの関係が成立する。また、出力部材41の回転速度NFD(rpm)は、前輪9L、9Rの回転速度NFL、NFR(rpm)と同一である。したがって、回転速度NFD(rpm)と回転速度NTF(rpm)とは、略同一の回転速度となる。すなわち、内輪44と外輪45との間に回転速度差が生じにくい状態となっている。このため、仮に内輪44と外輪45との間に回転速度差が生じて切替クラッチ43が正駆動状態に切替えられても、上記回転速度差に変化が生ずると切替クラッチ43が遮断状態や逆駆動状態に切替えられてしまう。このように、T/Fギヤ比ρとR/Dギヤ比ρとが同一(ρ=ρ)に設定されている場合には、切替クラッチ43のハンチングが生じ易い。
これに対して、本実施の形態では、T/Fギヤ比ρがR/Dギヤ比ρよりも大きなギヤ比に設定されている(ρ>ρ)ので、二輪駆動から四輪駆動に切替えられる際、後輪10L、10Rのトルクにより回転するリヤドライブギヤ6の回転速度NRD(rpm)に対してトランスファリングギヤ42の回転速度NTF(rpm)が減速されている。つまり、直進走行時であれば、(NFL、NFR、NRL、NRR)=NRD>NTFの関係が成立する。また、出力部材41の回転速度NFD(rpm)は、前輪9L、9Rの回転速度NFL、NFR(rpm)と同一である。したがって、回転速度NFD(rpm)は、回転速度NTF(rpm)よりも速い状態(NFD>NTF)となっている。すなわち、内輪44は、外輪45よりも速い回転速度で回転していることとなる。すなわち、内輪44と外輪45との間には、上述のT/Fギヤ比ρとR/Dギヤ比ρとが同一(ρ=ρ)の場合と比較して、比較的大きな回転速度差が生ずることなる。このため、切替クラッチ43は、一旦正駆動状態に切替えられると、ローラ46が楔から抜け難く、四輪駆動状態に維持され易いこととなる。この結果、T/Fギヤ比ρがR/Dギヤ比ρよりも大きなギヤ比に設定されている場合には、上述のT/Fギヤ比ρとR/Dギヤ比ρとが同一(ρ=ρ)の場合と比較して、切替クラッチ43のハンチングが防止される。
このように、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、四輪駆動走行時、断続クラッチ7、8を伝達状態に切替えるとともに、切替クラッチ43が四輪駆動状態に維持されるよう内輪44の回転速度を外輪45の回転速度より速くなるように、T/Fギヤ比ρおよびR/Dギヤ比ρを設定している。
また、四輪駆動状態となった後は、回転速度NFD(rpm)と回転速度NTF(rpm)が同一(NFD=NTF)になるので、二輪駆動時は後輪10L、10Rと同一の回転速度であったリヤドライブギヤ6の回転速度NRD(rpm)が上述のギヤ比の関係(ρ>ρ)によって増速される。このとき、断続クラッチ7、8をスリップ係合させることにより、回転速度NRD(rpm)が増速されても、後輪10L、10Rの回転速度NRL、NRR(rpm)は増速されず、前輪9L、9Rの回転速度NFL、NFR(rpm)と同一に保たれる。このように、本実施の形態では、四輪駆動走行時、断続クラッチ7、8のスリップ係合により回転速度NRD(rpm)を増速させた状態とすることができる。したがって、本実施の形態では、四輪駆動の旋回加速時に断続クラッチ7、8の伝達トルクを増大させることで、旋回内輪に対して旋回外輪を増速させることが可能となる。
次に、図6を用いて、四輪駆動車1の走行状態に応じた各クラッチ、各ユニットの駆動状態および効果を説明する。なお、図6において、T/Fはトランスファ4、R/Dはリヤドライブギヤ6および断続クラッチ7、8を含むリヤドライブユニット、P/Sはプロペラシャフト5をそれぞれ示している。
図6に示すように、四輪駆動車1の走行状態が停止の時(加速度=0)は、切替クラッチ43は遮断状態(フリー)とされ、かつ断続クラッチ7(左)、断続クラッチ8(右)の伝達トルクは0(Nm)とされる。このとき、断続クラッチ7、8が遮断状態とされているため、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6の回転は停止される。このため、トランスファ4のトランスファリングギヤ42の回転も停止している。この結果、四輪駆動車1の停止時は、トランスファリングギヤ42、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6の回転による駆動ロスがなくなり、断続クラッチ7、8を有していない従来の四輪駆動車と比較して燃費向上が図られる。
また、緩加速の発進(発進_緩加速)時、および市街地走行等の定常走行(定常_市街地)時は、切替クラッチ43は遮断状態(フリー)とされ、かつ断続クラッチ7、8の伝達トルクは0(Nm)とされる。したがって、切替クラッチ43が二輪駆動状態とされることにより、四輪駆動車1は二輪駆動走行状態となる。このとき、断続クラッチ7、8が遮断状態とされているため、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6の回転は停止される。このため、トランスファリングギヤ42の回転も停止している。また、このとき、切替クラッチ43は中立空転状態すなわち遮断状態とされる。この結果、緩加速の発進時、および市街地走行等の定常走行時は、トランスファリングギヤ42、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6の回転を停止した状態で二輪駆動走行となる。このため、トランスファリングギヤ42、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6の回転による駆動ロスがなくなり、断続クラッチ7、8を有していない従来の四輪駆動車と比較して燃費向上が図られる。なお、緩加速の発進時とは、所定の加速度G(m/s)以下の状態での発進をいう。また、市街地走行等の定常走行とは、例えば加速度G(m/s)ないし加速度−G(m/s)の範囲での走行をいう。加速度G、−G(m/s)は、例えば四輪駆動走行に移行せずとも運転者の要求に応じた発進あるいは走行が可能とされる比較的小さい加速度である。四輪駆動車1が所定の加速度G(m/s)以下である、あるいは所定の加速度−G(m/s)以上であるか否かの判断は、加速度センサ101の検出結果に基づきECU100によりなされる。
また、直進走行中の加速(加速_直進)時は、切替クラッチ43は正駆動状態(ロック)とされ、かつ断続クラッチ7、8の伝達トルクが0(Nm)よりも大きな所定の伝達トルクF(Nm)とされる。したがって、切替クラッチ43が四輪駆動状態とされることにより、トランスファリングギヤ42、プロペラシャフト5およびリヤドライブギヤ6が回転し、四輪駆動車1は四輪駆動走行状態となる。このとき、エンジン2のトルクが伝達トルクF(Nm)に応じて後輪10L、10Rに伝達される。この結果、直進走行中の加速時は、主駆動輪である前輪9L、9Rをスリップさせることなく四輪駆動車1を加速させることができ、トラクション機能が向上する。この直進走行中の加速は、四輪駆動車1が所定の加速度G(m/s)以上となったか否かにより判断される。所定の加速度G(m/s)は、所定の加速度G(m/s)よりも大きな加速度とされる。四輪駆動車1が所定の加速度G(m/s)以上となったか否かは、加速度センサ101の検出結果に基づきECU100によって判断される。
また、四輪駆動車1が加速しながら左旋回する左旋回加速(加速_左旋回)時は、切替クラッチ43は正駆動状態(ロック)とされ、かつ断続クラッチ7の伝達トルクが0(Nm)とされるとともに断続クラッチ8の伝達トルクが所定の伝達トルクF(Nm)よりも大きな所定の伝達トルクF(Nm)とされる。すなわち、四輪駆動走行の左旋回加速時は、後輪10L、10Rのうち、旋回外輪側に配置された断続クラッチ8の伝達トルクF(Nm)を、旋回内輪側に配置された断続クラッチ7の伝達トルク0(Nm)に比べて増大させる。また、ユニット駆動状態は、直進走行中の加速時と同じである。したがって、左旋回加速時、後輪10L、10Rにおいては、旋回外輪にあたる後輪10Rのみにエンジン2のトルクが伝達される。さらに、断続クラッチ8の伝達トルクF(Nm)が伝達トルクF(Nm)よりも増大しているので、旋回外輪の後輪10Rの回転速度NRR(rpm)を旋回内輪の後輪10Lに比べて増速させることができる。後輪10Rの回転速度NRR(rpm)は、断続クラッチ8の伝達トルクを増大させるほど増速され、最高でリヤドライブギヤ6の回転速度NRD(rpm)まで増速させることが可能である。この結果、左旋回加速時は、操縦性が向上する。このため、本実施の形態では、いわゆるディファレンシャル(差動装置)が不要となる。なお、左旋回加速か否かは、舵角センサ103、加速度センサ101およびヨーレートセンサ104の検出結果に基づきECU100によって判断される。左旋回加速か否かの判断に用いられる加速度は、例えば所定の加速度G(m/s)である。
また、四輪駆動車1の右旋回加速(加速_右旋回)時は、上述の左旋回加速時とは反対に断続クラッチ7の伝達トルクが所定の伝達トルクF(Nm)とされ、後輪10Lの回転速度NRL(rpm)が後輪10Rに比べて増速される。右旋回加速時は、左旋回加速時と旋回方向が異なるものの、ユニット駆動状態および効果は左旋回加速時と同様である。したがって、詳細な説明は省略する。
また、緩加速でない前進または後進の発進(発進_前進/後進)時、すなわち加速発進時は、切替クラッチ43は正駆動状態(ロック)とされ、かつ断続クラッチ7、8の伝達トルクが伝達トルクF(Nm)よりも大きな所定の伝達トルクF(Nm)とされる。ユニット駆動状態は、直進走行中の加速時と同じであり、四輪駆動車1は四輪駆動走行状態となる。このとき、エンジン2のトルクが伝達トルクF(Nm)に応じて後輪10L、10Rに伝達される。この結果、加速発進時は、主駆動輪である前輪9L、9Rをスリップさせることなく四輪駆動車1を発進させることができ、トラクション機能が向上する。加速発進時に該当するか否かの判断は、発進時の四輪駆動車1の加速度が所定の加速度G(m/s)以上となったか否かによりなされる。所定の加速度G(m/s)は、所定の加速度G(m/s)よりも大きな加速度とされる。発進時に所定の加速度G(m/s)以上となったか否かは、加速度センサ101の検出結果に基づきECU100によって判断される。
さらに、発進時に前輪9L、9Rがスリップした場合(発進_前輪スリップ)、すなわちスリップ発進時は、切替クラッチ43は正駆動状態(ロック)とされ、かつ断続クラッチ7、8の伝達トルクが伝達トルクF(Nm)よりも大きな所定の伝達トルクF(Nm)とされる。このスリップ発進時は、上述の加速発進時とは伝達トルクが異なるが、その他の点は同一である。したがって、アクチュエータ駆動状態およびユニット駆動状態の説明は省略する。このスリップ発進時では、断続クラッチ7、8の伝達トルクをスリップしていない発進時と比べて増大させる、例えば断続クラッチ7、8を直結状態とすることで、エンジン2のトルクを全駆動輪に均等に分配することができる。この結果、スリップ発進時であっても、四輪駆動車1は安定した発進を行うことができ、トラクション機能が向上する。なお、スリップ発進か否かの判断に用いられる加速度は、例えば所定の加速度G(m/s)である。また、前輪9L、9Rがスリップしているか否かは、車輪速センサ102の検出結果に基づきECU100により判断される。
このように、断続クラッチ7、8は、切替クラッチ43が四輪駆動状態とされているとき、直進走行中の加速時の伝達トルクF(Nm)に対して加速発進時およびスリップ発進時の伝達トルクをF、F(Nm)まで増大させる。このため、加速発進時およびスリップ発進時は、後輪10L、10Rに伝達されるエンジン2のトルクを走行中の加速時に比べて増大させることができる。したがって、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、加速発進時およびスリップ発進時のトラクション機能を向上させることができる。
上述の各伝達トルクF〜F(Nm)は、加速度(m/s)と伝達トルク(Nm)との関係を予め実験的に求めて記憶されたマップ等により、加速度(m/s)の大きさに応じて適宜最適な伝達トルク(Nm)が選択される。例えば、その特性として加速度(m/s)が大きくなるほど、伝達トルク(Nm)が増大するようにする。
以上のように、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、四輪駆動走行時に切替クラッチ43が四輪駆動状態に維持されるよう内輪44の回転速度を外輪45の回転速度より速くなるように設定した。例えば、前輪9L、9Rおよび後輪10L、10Rの回転速度NFL、NFR、NRL、NRR(rpm)が略同じ四輪駆動の直進走行時、外輪45の回転速度が内輪44の回転速度を超えないようにした。このため、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、四輪駆動走行中に、タイヤ径の僅かな違いや路面状況等により外輪45と内輪44との間の回転速度差に変化が生じても、ローラ46が楔に噛み込んだ状態を維持することができる。すなわち、ローラ46が楔から抜け、切替クラッチ43が一時的に二輪駆動状態に切替えられることを防止することができる。したがって、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、四輪駆動走行中に切替クラッチ43が四輪駆動状態と二輪駆動状態とを繰り返すハンチングを防止することができる。この結果、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、切替クラッチ43のハンチングに起因したショックを低減することができる。
また、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、T/Fギヤ比ρがR/Dギヤ比ρよりも大きなギヤ比に設定されている。このため、例えば直進走行時に二輪駆動から四輪駆動に切替える際には、後輪10L、10Rのトルクを受けて回転する外輪45の回転速度が前輪9L、9Rと同一の回転速度で回転する内輪44の回転速度よりも遅くなっている。したがって、外輪45と内輪44の回転速度差に応じて切替クラッチ43が四輪駆動状態に切替えられるとともに、四輪駆動状態切替後は上記のような回転速度差に基づき切替クラッチ43が四輪駆動状態に維持される。この結果、上述したような四輪駆動走行時の切替クラッチ43のハンチングを防止することができる。
さらに、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、上述のようなギヤ比の関係(ρ>ρ)に設定したので、四輪駆動走行時はトランスファリングギヤ42に対してリヤドライブギヤ6を増速させることができる。このため、四輪駆動走行時は、前輪9L、9Rおよび後輪10L、10Rの回転速度NFL、NFR、NRL、NRR(rpm)に対してリヤドライブギヤ6の回転速度NRD(rpm)を速くすることができる。したがって、四輪駆動走行の旋回時は、断続クラッチ7、8のうち、旋回外輪側の断続クラッチの伝達トルクを増大させることにより、旋回外輪の回転速度を最高でリヤドライブギヤ6の回転速度NRD(rpm)まで増速させることができる。したがって、本実施の形態に係る四輪駆動車1は、四輪駆動走行の旋回時の操縦性を従来と比較して向上させることができる。また、後輪10L、10R側に差動装置を設けなくとも旋回時の操縦正を向上させることができるので、後輪10L、10R側の機構を小型化することができる。
以上説明したように、本発明に係る四輪駆動車は、二輪駆動および四輪駆動を切替える切替クラッチとしてツーウェイクラッチを用いた場合であっても四輪駆動走行時のツーウェイクラッチのハンチングを防止することができ、二輪駆動および四輪駆動を切替える切替クラッチとしてツーウェイクラッチを用いた四輪駆動車に有用である。
1 四輪駆動車
2 エンジン(駆動力源)
5 プロペラシャフト(回転軸、第2の動力伝達手段)
5a ドリブンピニオンギヤ(第2のギヤ)
5b ドライブピニオンギヤ(第4のギヤ)
6 リヤドライブギヤ(第3のギヤ、第2の動力伝達手段)
7、8 断続クラッチ(動力断続装置)
9L、9R 前輪(主駆動輪)
10L、10R 後輪(従駆動輪)
31 フロントディファレンシャル(第1の動力伝達手段)
41 出力部材(第1の動力伝達手段)
42 トランスファリングギヤ(第1のギヤ、第2の動力伝達手段)
43 切替クラッチ
44 内輪(内輪部材)
44a カム面
45 外輪(外輪部材)
46 ローラ(転動部材)
47 保持器(保持部材)
ρ T/Fギヤ比
ρ R/Dギヤ比

Claims (4)

  1. 駆動力源に連結された第1の動力伝達手段と、
    前記第1の動力伝達手段に連結された一対の主駆動輪と、
    前記第1の動力伝達手段に連結された第2の動力伝達手段と、
    前記第2の動力伝達手段に連結された一対の従駆動輪と、
    前記第1の動力伝達手段と前記第2の動力伝達手段との連結部分に配置され、前記第1の動力伝達手段から前記第2の動力伝達手段に駆動力を伝達する四輪駆動状態と前記駆動力の伝達を遮断する二輪駆動状態とを切替可能な切替クラッチと、
    前記第2の動力伝達手段と前記一対の従駆動輪との間に設けられ、前記一対の従駆動輪と前記第2の動力伝達手段との間で動力を伝達する伝達状態と前記動力の伝達を遮断する遮断状態とを切替可能な動力断続装置と、を備え、
    前記切替クラッチは、前記第1の動力伝達手段に連結され、外周面に複数のカム面が形成された内輪部材と、前記第2の動力伝達手段に連結された外輪部材と、前記内輪部材と前記外輪部材との間に設けられた転動部材と、前記転動部材を保持する保持部材とを含み、前記内輪部材の回転速度が前記外輪部材の回転速度より速いとき、前記内輪部材と前記外輪部材との間の回転速度差に応じて前記転動部材が前記カム面と前記外輪部材の内周面とで形成された楔に噛み込むことにより、前記転動部材を介して前記内輪部材と前記外輪部材との間で駆動力が伝達される前記四輪駆動状態に切替えられ、
    四輪駆動走行時、前記動力断続装置を伝達状態に切替えるとともに、前記切替クラッチが前記四輪駆動状態に維持されるよう前記内輪部材の回転速度を前記外輪部材の回転速度より速くなるように設定したことを特徴とする四輪駆動車。
  2. 前記第2の動力伝達手段は、前記外輪部材に連結された第1のギヤと、前記第1のギヤと噛み合う第2のギヤと、前記動力断続装置を介して前記一対の従駆動輪に連結された第3のギヤと、前記第3のギヤと噛み合う第4のギヤと、前記第2のギヤと前記第4のギヤとを連結する回転軸とを有し、
    前記第1のギヤと前記第2のギヤとの間のギヤ比が、前記第4のギヤと前記第3のギヤとの間のギヤ比よりも大きなギヤ比に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の四輪駆動車。
  3. 前記動力断続装置は、一方の従駆動輪と前記第2の動力伝達手段との間および他方の従駆動輪と前記第2の動力伝達手段との間にそれぞれ配置されるとともに、前記第2の動力伝達手段と前記一対の従駆動輪との間の伝達トルクを走行状態に応じて変更可能に構成され、
    四輪駆動走行の旋回時、前記一対の従駆動輪のうち、旋回外輪側に配置された一方の動力断続装置の伝達トルクを旋回内輪側に配置された他方の動力断続装置の伝達トルクに比べて増大させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の四輪駆動車。
  4. 前記動力断続装置は、前記切替クラッチが四輪駆動状態とされているとき、走行中の前記伝達トルクに対して発進時の前記伝達トルクを増大させることを特徴とする請求項3に記載の四輪駆動車。
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