JP2013057395A - 車両用エンジンマウント - Google Patents

Abstract

【課題】耐久性能及び３方向の静・動特性の自由度をより容易に確保できるようにした車両用エンジンマウントを提供する。
【解決手段】車体を基準に、上端にエンジン連結用ボルトが締結されるボルト締結端が形成され、下端周面には水平方向ストッパーの成形のためのストッパー成形端が一体に形成されたインナーコアと、インナーコアのストッパー成形端の周面及び底面に亘って加硫成形されるゴム材質の上部インシュレーターと、上部インシュレーターの底面に一体に成形される重合プレートと、重合プレートの底面に一体に加硫成形される下部インシュレーターと、下部インシュレーターの底面に一体に成形された固定プレートと、水平方向ストッパー、上部及び下部インシュレーターを囲むハウジングと、ハウジングの下端と固定プレートの上端との間の密着部分を締めて結合させるマウンティングブラケットと、を含む。
【選択図】図２

Description

本発明は、車両用エンジンマウントに係り、より詳しくは、重合プレートを中心に上部及び下部にインシュレーターを適用して耐久性能及び３方向の静・動特性の自由度を確保できるようにした新たな構造の車両用エンジンマウントに関する。

周知の通り、車両のエンジン駆動時、エンジンルームから車体を通して室内に伝わる振動騒音と、エンジンの振動によるエンジン揺れを抑えるために、防振機能を有するエンジンマウントがエンジンと車体との間に設置されている。通常、エンジンマウントは、ゴム材からなるインシュレーターを含むと共に粘性のある液体が封入されることにより、振動減衰力を有する構造となっている（例えば、特許文献１，２参照）。

図４に従来の車両用エンジンマウントの断面図を示した。
図示したとおり、従来のエンジンマウントは、車体を基準に、上端部にはボルト締結端１０２が形成され、周縁部分にストッパー成形端１０４が一体に突出形成され、下端にはインシュレーター成形ブリッジ１０６が一体に形成されたインナーコア１００と、インナーコア１００のボルト締結端１０２の周面、ストッパー成形端１０４の外表面、及びインシュレーター成形ブリッジ１０６の表面に亘って加硫成形工程により一体に成形されるゴム材質のインシュレーター１１０と、インシュレーター１１０の底面に一体に成形された固定プレート１１２と、加硫成形されたゴム材質のインシュレーター１１０及び固定プレート１１２を囲むハウジング１２０と、ハウジング１２０の下端と固定プレート１１２の上端との間の密着部分を締めて結合させるマウンティングブラケット１４０と、を含んで構成される。

インシュレーター１１０の構成において、インナーコア１００のストッパー成形端１０４に一体に成形された部分は、変形時にハウジング１２０の内壁に接触する水平方向ストッパー１１４となり、インシュレーター１１０の下端部はゴム量が最も多い部分であって、上下方向の振動を緩衝させる部分となり、また、インシュレーター１１０の底面には水平方向の剛性を下向きにするためのグルーブ１１６が形成される。
したがって、インナーコア１００のボルト締結端１０２に締結されて上側に突出されるボルト１０８をエンジン側に連結し、マウンティングブラケット１４０を車体側に組み立てることにより、エンジンマウントの設置が完了する。
これによって、エンジンの振動により水平方向に大きな変位が発生すると、インシュレーター１１０の構成において、インナーコア１００のストッパー成形端１０４に一体化された水平方向ストッパー１１４がハウジング１２０の壁面に接触して衝撃を緩衝すると共に水平方向の大変位を制御する役割をし、グルーブ１１６は、インシュレーター１１０の変位のために、水平方向の剛性を下向きにする役割をする。

しかし、従来のエンジンマウントは次のような問題点があった。
ゴム材質からなるインシュレーター１１０の変形部分が小さいほど耐久性能が維持されるが、インナーコア１００が大きく変形する時、インシュレーター１１０の圧縮変形が激しくなって耐久性能が低下する問題点があった。
また、インシュレーター１１０の変位が発生した時、インシュレーター１１０の底面に形成されたグルーブ１１６は水平方向の剛性を下向きにする役割をするが、インシュレーター１１０に大きな変位が発生した時、グルーブ１１６が変形し易くなりインシュレーター１１０の耐久性能を低下させる問題点があった。
また、悪路での加減速時、エンジンマウントの前後方向の減衰力が大きすぎて、インシュレーター１１０の上端部、すなわち、インナーコア１００のストッパー成形端１０４に一体に成形された水平方向ストッパー１１４が十分な厚さに成形されていないため、水平方向ストッパー１１４が破れ易くなるという問題点があった。

特開２００９−２９９７８２号公報 特開平１０−２８１２２５号公報

本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、耐久性能及び３方向の静・動特性の自由度をより容易に確保できるようにした新たな構造の車両用エンジンマウントを提供することにある。

上記目的を達成するためになされた本発明の車両用エンジンマウントは、車体を基準に、上端にエンジン連結用ボルトが締結されるボルト締結端が形成され、下端周面には水平方向ストッパーの成形のためのストッパー成形端が一体に形成されたインナーコアと、インナーコアのストッパー成形端の周面及び底面に亘って加硫成形されるゴム材質の上部インシュレーターと、上部インシュレーターの底面に加硫成形時に一体に成形される重合プレートと、重合プレートの底面に加硫成形時に一体に成形される下部インシュレーターと、下部インシュレーターの底面に一体に成形された固定プレートと、ストッパー成形端に加硫成形される水平方向ストッパーを始めとして、上部及び下部インシュレーターを囲むハウジングと、ハウジングの下端と固定プレートの上端との間の密着部分を締めて結合させるマウンティングブラケットと、を含むことを特徴とする。

重合プレートは、上部及び下部インシュレーターの間の境界及び剛性補強体の役割をするように、中央にホールを有する容器形状であり、外周端には水平を保った状態で外部方向に突出した突出端が一体に形成された構造を有することを特徴とする。
重合プレートの突出端の底面と下部インシュレーターの上面との間には、重合プレートが下部インシュレーターに接触することを防止するための接触防止空間が形成されたことを特徴とする。

本発明によれば、本発明の車両用エンジンマウントは、インナーコアに一体に成形される水平方向ストッパーのゴム量を増大させると共にインシュレーターの構造として重合プレートを中心にその上下部分に上部及び下部インシュレーターを配設するため、耐久性能及び前後左右上下の３方向の静・動特性の自由度を確保することができる。
また、上部及び下部インシュレーター構造として、重合プレートを中心に圧縮のない２段構造を適用し、重合プレートの外周端と下部インシュレーターとの間に接触防止空間をさらに形成することにより、上部インシュレーター及び下部インシュレーターが圧縮なしに動ける空間を確保することができ、変形が発生しても重合プレートの外周端が下部インシュレーターに接触して押すことを防止することができる。

本発明による車両用エンジンマウントの分離構成図である。 本発明による車両用エンジンマウントの断面図である。 本発明による車両用エンジンマウントに対する変形解析結果を示す図面である。 従来の車両用エンジンマウントの断面図である。

以下、本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
図１は本発明による車両用エンジンマウントの分離構成図であり、図２はその断面図、図３は本発明による車両用エンジンマウントに対する変形解析結果を示す図面である。
図１から図３に示したとおり、本発明は、インナーコア１０に一体に加硫成形される水平方向ストッパー１８の厚みを増大させ、インナーコア１０に一体に加硫成形されるインシュレーターとして重合プレート３０を中心に上部及び下部インシュレーター２２，２４を備えることにより、耐久性能及び前後左右上下の３方向の静・動特性の自由度を確保したことに主な特徴がある。
このために、インナーコア１０は、車体を基準に、上端にエンジン連結用ボルト１２が締結されるボルト締結端１４が形成され、下端周面には水平方向ストッパー１８の成形のためのストッパー成形端１６が水平を保った状態で一体に形成された構造を有する。

また、上部及び下部インシュレーター２２，２４を分割するための重合プレート３０を備える。この重合プレート３０は、上部及び下部インシュレーター２２，２４の間の境界及び剛性補強体の役割をするように、中央にホール３２を有する容器形状であり、外周端には水平を維持し、外部方向に突出した突出端３４が一体に形成された構造である。
エンジンマウントを組立てるとき、上型及び下型からなる２ピース金型内にインナーコア１０、重合プレート３０、及び固定プレート２６を順に離隔配置した後、通常のゴム加硫成形工程を行う。
ゴム加硫成形工程が行われると、インナーコア１０のボルト締結端１４の周面にゴム材質の水平方向ストッパー１８が約１６ｍｍの厚みで一体に成形され、それと同時に逆円錐形状の周面を有するインナーコア１０の底面と重合プレート３０の上面との間に上部インシュレーター２２が一体に成形され、また、重合プレート３０の底面と固定プレート２６の上面との間の空間に下部インシュレーター２４が一体に成形される。

これによって、本発明のエンジンマウントは、インナーコア１０のストッパー成形端１６の周面及び底面に亘って加硫成形されるゴム材質の上部インシュレーター２２と、上部インシュレーター２２の底面に加硫成形時に一体に成形される重合プレート３０と、重合プレート３０の底面に加硫成形時に一体に成形される下部インシュレーター２４と、下部インシュレーター２４の底面に一体に成形された固定プレート２６と、を含んで構成される。
特に、重合プレート３０の突出端３４の平らな底面と下部インシュレーター２４の傾いた上面との間には凹溝状の接触防止空間３６が形成されることにより、上部インシュレーター２２の下方向変形に伴う圧力により重合プレート３０が下方向に圧縮されても、接触防止空間３６が存在するため、重合プレート３０の外周端が下部インシュレーター２４の外周面に接触することがなく、下部インシュレーター２４の変形防止及び耐久性能の維持が可能となる。

一方、ストッパー成形端１６に加硫成形された水平方向ストッパー１８を始めとして、上部及び下部インシュレーター２２，２４はハウジング２０により囲まれ、また、ハウジング２０の下端と固定プレート２６の上端との間の密着部分はマウンティングブラケット２８により締められて結合される。
すなわち、ハウジング２０の下端と固定プレート２６の上端との間が密着され、その外周部分を、カーリング（ｃｕｒｌｉｎｇ）工程を用いてマウンティングブラケット２８により締めて結合させることにより、最終的に本発明のエンジンマウントが得られる。

上記のように得られた本発明のエンジンマウントはボルト締結端１４をエンジンに装着固定すると共にマウンティングブラケット２８をエンジンルームの車体面に固定させる。車両の前後方向または左右方向へのエンジンの振動時に前後方向または左右方向に大きな変位が発生しても、水平方向ストッパー１８はゴム量を増加させたことにより緩衝面積が増大された状態であるため、水平方向ストッパー１８がハウジング２０の壁面に接触して前後方向または左右方向の大変位による衝撃を容易に緩衝することができる。
また、重合プレート３０を中心にその上側に成形される上部インシュレーター２２のサイズを増加させると共にその下方の下部インシュレーター２４のサイズを縮小させることにより、上下方向の変位を上部及び下部インシュレーター２２，２４により容易に分散させることができる。

１０，１００ インナーコア
１２ エンジン連結用ボルト
１４，１０２ ボルト締結端
１６，１０４ ストッパー成形端
１８，１１４ 水平方向ストッパー
２０，１２０ ハウジング
２２ 上部インシュレーター
２４ 下部インシュレーター
２６，１１２ 固定プレート
２８，１４０ マウンティングブラケット
３０ 重合プレート
３２ ホール
３４ 突出端
３６ 接触防止空間
１０６ インシュレーター成形ブリッジ
１０８ ボルト
１１０ インシュレーター
１１６ グルーブ

Claims (3)

1. 車体を基準に、上端にエンジン連結用ボルト（１２）が締結されるボルト締結端（１４）が形成され、下端周面には水平方向ストッパー（１８）の成形のためのストッパー成形端（１６）が一体に形成されたインナーコア（１０）と、
   前記インナーコア（１０）の前記ストッパー成形端（１６）の周面及び底面に亘って加硫成形されるゴム材質の上部インシュレーター（２２）と、
   前記上部インシュレーター（２２）の底面に加硫成形時に一体に成形される重合プレート（３０）と、
   前記重合プレート（３０）の底面に加硫成形時に一体に成形される下部インシュレーター（２４）と、
   前記下部インシュレーター（２４）の底面に一体に成形された固定プレート（２６）と、
   前記ストッパー成形端（１６）に加硫成形される前記水平方向ストッパー（１８）を始めとして、前記上部及び下部インシュレーター（２２，２４）を囲むハウジング（２０）と、
   前記ハウジング（２０）の下端と前記固定プレート（２６）の上端との間の密着部分を締めて結合させるマウンティングブラケット（２８）と、
   を含むことを特徴とする車両用エンジンマウント。
2. 前記重合プレート（３０）は、前記上部及び下部インシュレーター（２２，２４）の間の境界及び剛性補強体の役割をするように、中央にホール（３２）を有する容器形状であり、外周端には水平を保った状態で外部方向に突出した突出端（３４）が一体に形成された構造を有することを特徴とする請求項１に記載の車両用エンジンマウント。
3. 前記重合プレート（３０）の前記突出端（３４）の底面と前記下部インシュレーター（２４）の上面との間には、前記重合プレート（３０）が前記下部インシュレーター（２４）に接触することを防止するための接触防止空間（３６）が形成されたことを特徴とする請求項１または２に記載の車両用エンジンマウント。

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