本発明は、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却構造における、冷媒配管の取付構造に関するものである。
従来より、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却機構が知られている。例えば特許文献1には、空気調和機の電装部品を被冷却部品とする冷却構造が開示されている。
具体的に、特許文献1の冷却構造は、円弧状の底面を有する溝部が形成された伝熱部材と、冷媒配管を伝熱部材側に向かって圧接するための保持部材とを有している。保持部材は、例えば冷媒配管側が開放するような断面U字状の弾性クリップで構成されている。冷媒配管は、弾性クリップの開放部側から該弾性クリップの内部に挿通される。弾性クリップは、その弾性力により、冷媒配管を伝熱部材側に向かって付勢する。その結果、冷媒配管が伝熱部材に圧接し、冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗が低減される。
特許文献1の保持部材は、冷媒配管と直交する方向に延びる長板をU字状に折り曲げることで、上記のような弾性クリップを構成するようにしている。しかしながら、この保持部材では、冷媒配管を伝熱部材側に向かって押し付けるための押付部の面積が比較的小さくなってしまう。その結果、冷媒配管の押し付けが不十分となり、冷媒配管の取付強度が低下したり、冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗を十分に低減できなかったりする、という問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒配管を確実に保持でき、且つ冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗を十分に低減できる、冷媒配管の取付構造を提案することにある。
第1の発明は、被冷却部品を冷却するための冷媒配管の取付構造を対象とし、冷媒配管(15)が嵌合する縦長の溝部(72)を有し、被冷却部品(63)と熱的に接触する伝熱部材(70)と、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、該冷媒配管(15)に対向する対向部(82)を有する弾性部材(80)と、該弾性部材(80)を上記伝熱部材(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)とを備えていることを特徴とする。
第1の発明では、伝熱部材(70)の溝部(72)と弾性部材(80)の対向部(82)との間に、冷媒配管(15)が保持される。被冷却部品(63)から発する熱は、伝熱部材(70)、冷媒配管(15)を順に伝導し、冷媒配管(15)を流れる冷媒へ付与される。これにより、被冷却部品(63)が冷却される。
本発明の伝熱部材(70)は、冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、これに対応するように弾性部材(80)の溝部(72)も縦長に形成される。このため、押付機構(90)によって弾性部材(80)が伝熱部材(70)側に押し付けられると、弾性部材(80)と冷媒配管(15)の接触面積や、冷媒配管(15)と溝部(72)の接触面積が比較的大きくなる。
第2の発明は、第1の発明において、上記弾性部材(80)には、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる少なくとも1本の折り返し部(86)が形成されていることを特徴とする。
第2の発明の弾性部材(80)には、冷媒配管(15)の伸長方向に延びる折り返し部(86)が形成される。このため、弾性部材(80)では、その長手方向における強度が、その幅方向における強度よりも大きくなる。その結果、弾性部材(80)では、長手方向の剛性を十分確保できる一方、幅方向においてもある程度の弾性を得ることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記弾性部材(80)の対向部(82)は、上記溝部(72)に平板状に形成されていることを特徴とする。
第3の発明の弾性部材(80)では、冷媒配管(15)に対向する対向部(82)が平板状に形成される。これにより、押付機構(90)によって押し付けられる状態の対向部(82)は、冷媒配管(15)の伸長方向において該冷媒配管(15)と実質的に線接触する。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記伝熱部材(70)には、複数の冷媒配管(15)がそれぞれ嵌合する複数の上記溝部(72)が形成され、上記弾性部材(80)は、上記複数の溝部(72)に跨る1枚の板状に形成されていることを特徴とする。
第4の発明の伝熱部材(70)には、複数の冷媒配管(15)に1つずつ対応するように、複数の溝部(72)が形成される。弾性部材(80)は、複数の溝部(72)に跨る板状に形成される。弾性部材(80)が押付機構(90)によって伝熱部材(70)側に押し付けられると、弾性部材(80)と伝熱部材(70)の間に、複数の冷媒配管(15)が保持される。
第5の発明は、第4の発明において、上記伝熱部材(70)には、2本の上記溝部(72)が形成され、上記弾性部材(80)には、上記2本の溝部(72)にそれぞれ対向する2つの対向部(82)と、該2つの対向部(82)の間に形成されて上記押付機構(90)に押し付けられる被押付部(84)とが形成されていることを特徴とする。
第5の発明では、伝熱部材(70)の2本の溝部(72)と弾性部材(80)の2つの対向部(82)との間に、それぞれ冷媒配管(15)が保持される。押付機構(90)は、弾性部材(80)のうち2つの対向部(82)の間の被押付部(84)を伝熱部材(70)側に押し付ける。これにより、2本の冷媒配管(15)には、比較的均等に押し付け力が作用する。
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記伝熱部材(70)の溝部(72)と、上記冷媒配管(15)との間には、伝熱を促進するための伝熱促進材料(78)が介設されることを特徴とする。
第6の発明では、伝熱部材(70)の溝部(72)に伝熱促進用の伝熱促進材料(78)が介設される。その結果、伝熱部材(70)と冷媒配管(15)との間の熱抵抗が小さくなる。
第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、上記伝熱部材(70)には、嵌合溝(100)が形成され、上記押付機構(90)は、上記嵌合溝(100)に着脱自在に嵌合する嵌合部(96,123)と、上記弾性部材(80)の外側に変位可能に配置される把持部(94,125)と、該把持部(94,125)を変位させることで上記弾性部材(80)を押し付ける第1位置と、該弾性部材(80)の押し付けを解除する第2位置とに変位する押付部(93,124a)とを有することを特徴とする。
第7の発明では、伝熱部材(70)の嵌合溝(100)に押付機構(90)の嵌合部を嵌合させることで、伝熱部材(70)に対して押付機構(90)が着脱自在となる。また、作業者が把持部(94,125)を操作して押付部(93,124a)を第1位置と第2位置とに変位させることで、弾性部材(80)の押し付けと、その押し付けの解除とを容易に切り換えることができる。
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記弾性部材(80)には、スリット(80a)が形成されていることを特徴とする。
この構成では、この構成では、スリット(80a)を設けたことによって、板ばね部材(80)が直管部(16)に確実に沿うようにできる。したがって、スリット(80a)によって、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。
第9の発明は、第1乃至第8のいずれか1つの発明において、上記弾性部材(80)は、上記伸長方向に連なって複数設けられていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)を複数にしたことによって、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。
第10の発明は、第1乃至7のいずれか1つの発明において、上記弾性部材(80)は、上記押付機構(90)が押し付けられる部位の近傍には、補強用ビード(80b)が設けられていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)の剛性を高めることが可能になる。
第11の発明は、第5の発明において、上記押付機構(90)は、ビス(91)であり、 上記板ばね部材(80)には、上記ビス(91)の頭が通る大きさの大径部(75a)と、上記ビス(91)を締め付け可能な大きさの小径部(75b)との複合形状を有したビス穴(75)が形成されていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)の仮止めが可能となる。
本発明によれば、弾性部材(80)を冷媒配管(15)の伸長方向に延ばすことで、弾性部材(80)と冷媒配管(15)との接触面積を拡大できる。これにより、冷媒配管(15)を確実に伝熱部材(70)側に押し付けることができ、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との間の熱抵抗を低減できる。また、伝熱部材(70)の溝部(72)を冷媒配管(15)の伸長方向に延ばすことで、伝熱部材(70)と冷媒配管(15)との伝熱面積も十分に確保できる。従って、被冷却部品(63)の冷却性能を十分に確保できる。また、本発明によれば、弾性部材(80)と伝熱部材(70)との間に冷媒配管(15)を確実に保持できる。
特に第2の発明では、弾性部材(80)に折り返し部(86)を形成することで、弾性部材(80)の長手方向における剛性を十分に確保できる。これにより、弾性部材(80)に作用する押し付け力が、冷媒配管(15)の伸長方向において比較的均一になり易い。その結果、冷媒配管(15)の取付強度を十分に確保でき、且つ冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の熱抵抗も低減できる。また、このようにすると、弾性部材(80)の幅方向においては、折り返し部(86)によってある程度のばね性を確保できる。従って、弾性部材(80)を伝熱部材(70)側に向かって十分に変形させることができ、所望の押し付け力を得ることができる。
第3の発明では、弾性部材(80)の対向部(82)を平板状に形成することで、対向部(82)と冷媒配管(15)とを、該冷媒配管(15)の伸長方向において線接触させることができる。これにより、押付機構(90)に押し付けられる状態の対向部(82)が、冷媒配管(15)の軸周りに若干傾いたとしても、対向部(82)と冷媒配管(15)との線接触が維持される。その結果、冷媒配管(15)を弾性部材(80)によって確実に押し付けることができる。従って、冷媒配管(15)の取付強度を更に向上でき、且つ冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の伝熱も十分に確保できる。
第4の発明では、伝熱部材(70)に複数の溝部(72)を形成し、これらの複数の溝部(72)に跨って弾性部材(80)を形成している。このため、伝熱部材(70)や弾性部材(80)の部品点数を削減しながら、伝熱部材(70)と弾性部材(80)との間に複数の冷媒配管(15)を保持できる。
特に第5の発明では、伝熱部材(70)と弾性部材(80)との間に2つの冷媒配管(15)を保持できる。しかも、弾性部材(80)では、2つの溝部(72)の間に被押付部(84)を形成している。このため、1つの押付機構(90)により、2つの対向部(82)による各冷媒配管(15)の押し付け力を均一化できる。その結果、2つの冷媒配管(15)の取付強度をそれぞれ確保しながら、両者の冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の熱抵抗も低減できる。
第6の発明では、伝熱促進材料(78)により、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との間の熱抵抗を更に低減できる。
第7の発明では、押付機構(90)の嵌合部(96,123)を伝熱部材(70)の嵌合溝に着脱自在に嵌合させ、且つ押付機構(90)の把持部(94,125)を操作して弾性部材(80)の押し付けを切り換える構造としている。このため、押付機構(90)の取付や、弾性部材(80)の押し付けの操作を比較的容易に行うことができる。従って、冷媒配管(15)の取付構造の設置作業が容易となり、冷媒配管(15)や被冷却部品(63)のレイアウトの自由度も向上する。
第8、及び第9の発明のそれぞれによれば、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になるので、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との伝熱をより確実に確保できる。
第10の発明によれば、配管を押える力を十分に得ることができるようになる。
第11の発明によれば、ビス(91)の締め付けを簡単に行うことができる。
図1は、実施形態1に係る空気調和機の概略の配管系統図である。
図2は、実施形態1に係る室外ユニットの概略の横断面図である。
図3は、実施形態1に係る取付構造の正面図である。
図4は、図3のB−B線断面図である。
図5は、実施形態2に係る室外ユニットの概略の横断面図である。
図6は、実施形態2に係る取付構造の背面図である。
図7は、図6のD−D線断面図である。
図8は、実施形態2に係る板ばね部材の後面図である。
図9は、実施形態2に係る押付機構の側面図である。
図10は、実施形態3に係る取付構造の後面図である。
図11は、図10のE−E線断面図である。
図12は、実施形態3に係る冷媒ジャケットの後面図である。
図13は、図11のF−F線断面図である。
図14は、その他の実施形態に係る取付構造における、図2相当図である。
図15は、実施形態4の板ばね部材を示す正面図である。
図16は、実施形態5の板ばね部材を示す正面図である。
図17は、(A)は実施形態6の板ばね部材を示す正面図であり、(B)は、補強用ビードの断面図である。
図18は、ビス穴の他の構成を示す図である。
図19は、図18の板ばね部材を取り付けた状態を示す図である。
図20は、板ばね部材の取付工程を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明に係る実施形態は、冷媒回路(10)を有して冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う空気調和機(1)である。空気調和機(1)は、室内に設置される室内ユニット(20)と、室外に設置される室外ユニット(30)とを有している。室内ユニット(20)と室外ユニット(30)とが、2本の連絡配管(11,12)によって互いに接続されることで、閉回路となる冷媒回路(10)が構成される。冷媒回路(10)には、冷媒が充填される。冷媒回路(10)の冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
〈室内ユニット〉
室内ユニット(20)は、室内熱交換器(21)と室内ファン(22)と室内膨張弁(23)とを有している。室内熱交換器(21)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成される。室内熱交換器(21)では、その伝熱管の内部を流れる冷媒と、室内ファン(22)が送風する空気とが熱交換する。室内膨張弁(23)は、例えば電子膨張弁で構成される。
〈室外ユニット〉
室外ユニット(30)は、室外熱交換器(31)と室外ファン(32)と室外膨張弁(33)と圧縮機(34)と四方切換弁(35)とを有している。室外熱交換器(31)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成される。室外熱交換器(31)では、その伝熱管の内部を流れる冷媒と、室外ファン(32)が送風する空気とが熱交換する。室外膨張弁(33)は、例えば電子膨張弁で構成される。圧縮機(34)は、例えばスクロール圧縮機等の回転式圧縮機で構成される。四方切換弁(35)は、第1から第4までのポートを有し、冷媒回路(10)の冷媒の循環方向を切り換えるように構成される。四方切換弁(35)は、冷房運転時に第1ポートと第2ポートを連通させ且つ第3ポートと第4ポートを連通させる状態(図1の実線で示す状態)となり、暖房運転時に第1ポートと第3ポートを連通させ且つ第2ポートと第4ポートとを連通させる状態(図1の破線で示す状態)となる。
図2に示すように、室外ユニット(30)は、箱形のケーシング(40)を有している。ケーシング(40)は、前面パネル(41)、後面パネル(42)、第1側面パネル(43)、及び第2側面パネル(44)を有している。前面パネル(41)は、室外ユニット(30)の前側に形成される。前面パネル(41)には、室外空気が吸い込まれる吸込口(41a)が形成される。前面パネル(41)は、ケーシング(40)の本体に対して着脱自在に構成される。後面パネル(42)は、室外ユニット(30)の後側に形成される。後面パネル(42)には、室外空気が吹き出される吹出口(42a)が形成される。第1側面パネル(43)は、室外ユニット(30)の幅方向(図2の矢印Aで示す方向)の一端側に形成される。第1側面パネル(43)には、吹出口(43a)が形成される。第2側面パネル(44)は、室外ユニット(30)の幅方向の他端側に形成される。
ケーシング(40)は、縦仕切板(45)と横仕切板(46)とを有している。ケーシング(40)の内部空間は、縦仕切板(45)によって幅方向に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち第1側面パネル(43)側の空間は、熱交換器室(47)を構成する。これらの空間のうち第2側面パネル(44)側の空間は、横仕切板(46)によって更に前後に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち後側の空間が圧縮機室(48)を構成し、前側の空間が電装品室(49)を構成する。
〈電装品室内の構成機器〉
電装品室(49)内の構成部品について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。電装品室(49)内には、電力変換装置(60)、冷媒ジャケット(70)、冷却管(15)が収容されている。電力変換装置(60)は、圧縮機(34)のモータへ電力を供給するとともに、該モータの回転数を制御する。電力変換装置(60)は、プリント基板(61)と、該プリント基板(61)にリード線(62)を介して取り付けられるパワー素子(63)とを有している。プリント基板(61)は、例えば支持部材(51)を介して横仕切板(46)に固定される。なお、プリント基板(61)をケーシング(40)内の他の部位に固定してもよい。
本実施形態のパワー素子(63)は、プリント基板(61)の前側に配置される。パワー素子(63)は、例えばインバータ回路のスイッチング素子を構成する。パワー素子(63)は、圧縮機(34)の運転時に発熱する発熱部品であり、冷媒ジャケット(70)の被冷却部品を構成する。パワー素子(63)は、動作可能な温度(例えば90℃)を越えないように冷媒ジャケット(70)によって冷却される。
冷媒ジャケット(70)は、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属材料で構成される。冷媒ジャケット(70)は、パワー素子(63)の表面(前面側)に接触して配置され、パワー素子(63)と熱的に接触している。冷媒ジャケット(70)は、前後に扁平な略板状に形成される。冷媒ジャケット(70)は、枠状の固定部材(52)を介してプリント基板(61)に固定される。固定部材(52)は、冷媒ジャケット(70)の外周縁部(70a)が嵌合する枠本体(52a)と、該枠本体(52a)に嵌合した冷媒ジャケット(70)を外側から保持する複数の爪部(52b,52b,52b,52b)とを有している。これにより、冷媒ジャケット(70)は、固定部材(52)に着脱自在に取り付けられる。
冷却管(15)は、冷媒回路(10)の冷媒配管の一部を構成している。本実施形態の冷却管(15)は、冷媒回路(10)における高圧の液ラインに接続される。つまり、冷却管(15)には、熱交換器(21,31)で凝縮した後の高圧の液冷媒が流通する。冷却管(15)は、2本の直管部(16,16)と、該直管部(16,16)の端部同士を互いに連結するU字管部(17)とを有している。2本の直管部(16,16)は、各々の伸長方向が略平行となるように、互いに隣接して配置される。
〈冷却配管の取付構造〉
冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)に取り付けるための取付構造(50)について、図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の取付構造(50)は、1つの冷媒ジャケット(70)と、1つの板ばね部材(80)と、1つのビス(91)とを有している。
冷媒ジャケット(70)は、冷却管(15)の直管部(16)の伸長方向に沿って延びている。冷媒ジャケット(70)のうちプリント基板(61)と反対側の面(71)には、一対の配管溝部(72,72)と、一対の凹部(73,73)と、1つの中間部(74)とが形成される。
配管溝部(72)は、冷却管(15)の直管部(16)に沿うように、冷媒ジャケット(70)の長手方向に延びている。配管溝部(72)は、冷却管(15)の軸直角断面の形状が、略円弧状に形成される。配管溝部(72)は、冷却管(15)の外周面の一部が嵌合する溝部を構成する。冷却管(15)と配管溝部(72)との間には、熱伝導グリース(78)が介設される。熱伝導グリース(78)は、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の微小な隙間を埋めることで熱抵抗を低減させ、該冷却管(15)と配管溝部(72)との間の伝熱を促進させる伝熱促進材料を構成する。
一対の凹部(73,73)は、一対の配管溝部(72,72)の間に配置されている。凹部(73)は、冷媒ジャケット(70)の長手方向の両端に亘って直線状に延びている。凹部(73)の内部には、板ばね部材(80)のV字折り返し部(86c)が配置される(詳細は後述する)。
中間部(74)は、一対の凹部(73,73)の間に形成される。中間部(74)には、ビス穴(75)が形成される。ビス穴(75)は、冷媒ジャケット(70)の中心部に形成される。即ち、ビス穴(75)は、冷媒ジャケット(70)の長手方向の中間部位で、且つ冷媒ジャケット(70)の幅方向の中間部位に配置される。
板ばね部材(80)は、板状のバネ鋼板が折り返されて成型される。板ばね部材(80)は、冷却管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、冷媒ジャケット(70)に対向して配置される。板ばね部材(80)は、冷媒ジャケット(70)の2つの配管溝部(72,72)に跨っている。板ばね部材(80)は、一対の外側板部(81,81)と、一対の対向部(82,82)と、一対の内側板部(83,83)と、1つの取付板部(84)とを有し、冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に付勢する弾性部材を構成する。
外側板部(81)は、板ばね部材(80)の幅方向の両側端部にそれぞれ形成される。外側板部(81)は、対向部(82)から冷却管(15)の直管部(16)側に向かって屈曲する平板状に形成される。
対向部(82)は、冷却管(15)の直管部(16)に対向するように、該直管部(16)の伸長方向に沿って延びている。つまり、対向部(82)は、冷媒ジャケット(70)の配管溝部(72)に相対する位置に形成される。対向部(82)は、直管部(16)の外周面と実質的に線接触するような平板状に形成される。
内側板部(83)は、対向部(82)よりも板ばね部材(80)の幅方向の中間部寄りに形成される。内側板部(83)は、対向部(82)から冷却管(15)の直管部(16)側に向かって屈曲する平板状に形成される。板ばね部材(80)では、外側板部(81)、対向部(82)、及び内側板部(83)が、直管部(16)を外側から囲んでいる。
取付板部(84)は、一対の内側板部(83)に介在するように、板ばね部材(80)の幅方向の中間部に形成される。取付板部(84)は、直管部(16)の伸長方向に延びる平板状に形成され、冷媒ジャケット(70)の中間部(74)に沿っている。取付板部(84)の中心部には、冷媒ジャケット(70)のビス穴(75)に対応するように、貫通穴(85)が形成される。
板ばね部材(80)には、6本の折り返し部(86)が形成される。各折り返し部(86)は、板ばね部材(80)の長手方向に直線状に形成される。6本の折り返し部(86)は、一対の外側折り返し部(86a,86a)と、一対の内側折り返し部(86b,86b)と、一対のV字折り返し部(86c,86c)とで構成される。外側折り返し部(86a)は、外側板部(81)と対向部(82)との間に形成され、内側折り返し部(86b)は、対向部(82)と内側板部(83)との間に形成される。V字折り返し部(86c)は、内側板部(83)と取付板部(84)との間に形成される。V字折り返し部(86c)は、冷媒ジャケット(70)の凹部(73)の内部に向かって略V字状に突出している。これらの折り返し部(86)は、板ばね部材(80)の長手方向の剛性を増大させるための補強リブとして機能する。これにより、板ばね部材(80)では、幅方向の剛性よりも長手方向の剛性が大きくなっている。なお、折り返し部(86)を、例えば略U字状の折り返し形状としてもよい。
本実施形態において、ビス(91)は、板ばね部材(80)を冷媒ジャケット(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)を構成する。取付板部(84)は、ビス(91)の締め付けに伴い冷媒ジャケット(70)側に押し付けられる、被押付部を構成する。
−運転動作−
空気調和機(1)の運転動作について図1を参照しながら説明する。空気調和機(1)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。
〈冷房運転〉
冷房運転では、圧縮機(34)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(31)で凝縮する。凝縮した冷媒は、例えば全開状態の室外膨張弁(33)を通過し、冷却管(15)を流れる。
圧縮機(34)の運転時には、パワー素子(63)が発熱する。このため、パワー素子(63)の熱は、冷媒ジャケット(70)、熱伝導グリース(78)、冷却管(15)を順に伝わり、冷却管(15)内の冷媒へ付与される。その結果、パワー素子(63)が冷却され、パワー素子(63)が動作可能な所定温度に維持される。
冷却管(15)を流れた冷媒は、室内膨張弁(23)で減圧された後、室内熱交換器(21)で蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。蒸発した冷媒は、圧縮機(34)に吸入されて圧縮される。
〈暖房運転〉
暖房運転では、圧縮機(34)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(21)で凝縮する。これにより、室内空気が加熱される。凝縮した冷媒は、例えば全開状態の室内膨張弁(23)を通過し、冷却管(15)を流れる。この冷媒は、上記の冷房運転と同様にして、パワー素子(63)の冷却に利用される。冷却管(15)を流れた冷媒は、室外膨張弁(33)で減圧された後、室外熱交換器(31)で蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(34)に吸入されて圧縮される。
−冷却配管の取付構造について−
取付構造(50)では、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)にそれぞれ冷却管(15)が嵌合する。この状態で、冷媒ジャケット(70)に対向して板ばね部材(80)を配置する。冷媒ジャケット(70)のビス穴(75)と板ばね部材(80)の貫通穴(85)との位置を合わせ、ビス(91)をビス穴(75)に締結する。この締結作業は、前面パネル(41)をケーシング(40)の本体から取り外した状態で行われる。なお、ケーシング(40)の外部において、冷媒ジャケット(70)と板ばね部材(80)をビス(91)によって仮締めした後、冷媒ジャケット(70)と板ばね部材(80)との間に冷却管(15)を挟み込んでビス(91)を本締めすると、ビス(91)の締結作業を簡便に行うことができる。
ビス(91)を締結すると、板ばね部材(80)の取付板部(84)が、冷媒ジャケット(70)側に押し付けられる。これに伴い、取付板部(84)と連結する一対の対向部(82)が、冷媒ジャケット(70)側に弾性変形する。この際、V字折り返し部(86c)により、板ばね部材(80)のばね性が向上し、対向部(82)を確実に冷媒ジャケット(70)側に変位させることができる。一方で、複数の折り返し部(86)によって板ばね部材(80)の長手方向の剛性が向上するため、直管部(16)には、伸長方向に亘って比較的均等に押し付け力が作用する。また、ビス(91)は、取付板部(84)における長手方向の中間部に締結されるため、板ばね部材(80)における長手方向の押し付け力も均一化され易い。
また、一対の対向部(82,82)の間の取付板部(84)をビス(91)によって押し付けるようにしているため、2つの対向部(82)による冷却管(15)の押し付け力も均一化し易い。また、1つのビス(91)により、2本の冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に押し付けることができるので、部品点数を削減でき、組立ての工数も削減できる。
以上のようにして、2本の冷却管(15)が、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)側に向かって付勢される。これにより、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)と板ばね部材(80)の各対向部(82)との間に、各冷却管(15)が狭持される。このように冷却管(15)に板ばね部材(80)を圧接することで、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)との隙間が縮小され、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)の熱抵抗が小さくなる。また、冷却管(15)と配管溝部(72)との間には、熱伝導グリース(78)が介在するため、この熱伝導グリース(78)によって冷却管(15)と配管溝部(72)との間の僅かな隙間を埋めることができる。これにより、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の熱抵抗が更に低減される。
板ばね部材(80)は、ある程度の柔軟性を有するため、板ばね部材(80)の加工精度が若干低下しても、板ばね部材(80)によって冷却管(15)を十分に押し付けることができる。更に、対向部(82)は平板状に形成されているため、対向部(82)が冷却管(15)の軸周りに若干傾いても、対向部(82)と冷却管(15)との間の線接触が維持される。従って、冷却管(15)を確実に冷媒ジャケット(70)側に押し付けることができる。
対向部(82)及び配管溝部(72)は、冷却管(15)の直管部(16)の伸長方向に延びている。このため、対向部(82)と直管部(16)との接触面積が拡大され、直管部(16)の押し付け力を十分に確保できる。また、対向部(82)と配管溝部(72)との間に冷却管(15)を確実に保持できる。更に、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の伝熱面積も十分に確保できる。従って、本実施形態では、パワー素子(63)の冷却効果を十分に発揮でき、パワー素子(63)の発熱を抑制できる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、冷却管(15)と配管溝部(72)との間における、冷却管(15)の取付強度を増大でき、且つパワー素子(63)から冷却管(15)に至るまでの伝熱を促進できる。従って、パワー素子(63)を確実且つ効果的に冷却できる。その結果、電力変換装置(60)、ひいては空気調和機(1)の信頼性を十分に確保できる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2に係る空気調和機(1)は、上記実施形態と冷却管(15)の取付構造(50)の構成が異なるものである。以下には、上記実施形態1と異なる点について、図5〜図9を参照しながら説明する。
図5に示すように、実施形態2の空気調和機(1)では、電力変換装置(60)が前面パネル(41)側に面して配置され、冷却管(15)が電力変換装置(60)の後側に配置される。
電力変換装置(60)では、前面パネル(41)の裏面側にプリント基板(61)が配置され、プリント基板(61)の後側にパワー素子(63)が配置される。プリント基板(61)は、支持部材(51)を介してケーシング(40)に固定される。支持部材(51)は、前面パネル(41)が着脱できるように、例えばケーシング(40)の天板や他の部材に固定される。
パワー素子(63)の表面(後側面)には、冷媒ジャケット(70)が固定される。冷媒ジャケット(70)の表面(後側面)には、実施形態1と同様にして、配管溝部(72)が形成される。板ばね部材(80)は、冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に付勢する。
図7に示すように、実施形態2の冷媒ジャケット(70)には、嵌合溝(100)が形成されている。嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)の中間部(74)において、該冷媒ジャケット(70)の長手方向の両端に亘って形成される。即ち、嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)を長手方向に押出成型することで容易に加工される。
嵌合溝(100)は、中間部(74)の表面に形成される外溝(101)と、該外溝(101)と連通して中間部(74)の内部に形成される内溝(102)とで構成される。外溝(101)及び内溝(102)は、中間部(74)の幅方向の中間部位に形成される。外溝(101)と内溝(102)とは、幅方向の中心位置が互いに一致している。内溝(102)の幅は、外溝(101)の幅よりも大きくなっている。
図8に示すように、実施形態2の板ばね部材(80)の取付板部(84)には、長手方向の中間部位且つ幅方向の中間部位に、挿入孔(110)が形成される。挿入孔(110)の内周縁部には、一対の矩形部(111)と、一対の円弧部(112)とが周方向に交互に配列される。一対の矩形部(111)は、互いに対向するように嵌合溝(100)の長手方向に配列される。一対の矩形部(111)において、互いに対向する辺(111a,111a)同士の間隔は、内溝(102)の幅と概ね等しくなっている。一対の円弧部(112)は、互いに対向するように嵌合溝(100)の長手方向の直交して配列される。各円弧部(112)の周方向の中間部位には、径方向内方へ突出するように段差部(112a)が形成される。
図6、図7、及び図9に示すように、実施形態2の押付機構(90)は、回転式留め具(92)で構成される。回転式留め具(92)は、円柱状の本体部(93)と、該本体部(93)の軸方向の一端側に形成される把持板(94)と、本体部(93)の軸方向の他端側に形成される回転軸(95)と、回転軸(95)の先端部に形成される一対の突出ピン(96,96)とを有している。
把持板(94)は、本体部(93)の軸心を通過するように径方向外方に延びる長板状に形成される。把持板(94)は、板ばね部材(80)の外側に配置される把持部を構成する。把持板(94)は、図6の二点鎖線で示す位置と、図6の実線で示す位置との間を、回動自在に変位する。
本体部(93)は、板ばね部材(80)の取付板部(84)を押し付けるための押付部を構成する。具体的に、本体部(93)には、軸方向における把持板(94)と逆側の端面に、取付板部(84)と接触する押付面(93a)が形成される。本体部(93)は、把持板(94)の回動に伴い、押付面(93a)が板ばね部材(80)を押し付ける位置(第1位置、図6を参照))と、押付面(93a)による板ばね部材(80)の押し付けが解除される位置(第2位置、図示省略)とに変位する。
回転軸(95)は、本体部(93)よりも小径の略円柱状に形成される。回転軸(95)は、本体部(93)と同軸となるように該本体部(93)と一体に形成される。回転軸(95)は、板ばね部材(80)の挿入孔(110)に挿通される。図9に示すように、回転軸(95)の外周面には、本体部(93)の近傍にストッパ部(95a)が形成されている。ストッパ部(95a)は、回転軸(95)の表面から径方向外方に突出する突起部で構成される。ストッパ部(95a)は、板ばね部材(80)の段差部(112a)(図8を参照)と当接することで、回転式留め具(92)の回転を規制する。これにより、回転式留め具(92)は、約90°の回転角度範囲を超える回動が禁止される。
回転軸(95)の外周面には、本体部(93)の近傍に環状溝(95b)が形成される。環状溝(95b)には、板ばね部材(80)の挿入孔(110)に回転軸(95)が挿通された状態において、ワッシャや、いわゆるEリング等のリング状部材が固定される(図示省略)。これにより、回転式留め具(92)に板ばね部材(80)を一体的に保持できる。
一対の突出ピン(96,96)は、回転軸(95)の外周縁部から径方向外方に突出している。一対の突出ピン(96,96)は、互いに等ピッチを置くように配列される。本実施形態の突出ピン(96,96)の突出方向は、把持板(94)の長手方向と略一致している。
突出ピン(96)は、その突出方向と直角な断面形状が、略台形状に形成される。より詳細に、突出ピン(96)には、回転軸(95)の先端面と略面一な矩形面(96a)と、本体部(93)側に位置して矩形面(96a)に対して斜めに傾斜する傾斜面(96b)とが形成される。傾斜面(96b)は、回転式留め具(92)を冷媒ジャケット(70)に取り付けるための回転方向(図6における矢印Cの方向)に進むにつれて、回転軸(95)の先端面に近づくように斜めに傾斜している。一対の突出ピン(96)は、板ばね部材(80)の挿入孔(110)の各矩形部(111)、及び冷媒ジャケット(70)の嵌合溝(100)に嵌合可能な嵌合部を構成する。
実施形態2では、作業者が把持板(94)をつかんで回転式留め具(92)を回動させることで、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に、冷却管(15)を容易に保持することができる。具体的に、ケーシング(40)の本体から前面パネル(41)を取り外した状態で、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を挟み込む。この状態で、作業者は冷却管(15)の後側まで手をのばし、回転式留め具(92)の突出ピン(96)を、挿入孔(110)の各矩形部(111)を通じて嵌合溝(100)に嵌め込む。つまり、突出ピン(96)は、嵌合溝(100)の長手方向を向くような状態で、内溝(102)の底部まで差し込まれる。この状態(即ち、図6の二点鎖線で示す状態)の把持板(94)を、矢印Cの方向に回動させる。これにより、突出ピン(96)は、その傾斜面(96b)が円弧部(112)に案内されるようにして、内溝(102)の幅方向を向く状態(図7に示す状態)となる。その結果、突出ピン(96)が、嵌合溝(100)の内部に保持されるとともに、回転式留め具(92)が冷媒ジャケット(70)側へ変位し、本体部(93)が板ばね部材(80)を押し付ける状態となる。以上のようにして、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられると、一対の対向部(82)は、実施形態1と同様にして、冷却管(15)側に弾性変形する。その結果、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)が保持される。
板ばね部材(80)の押し付けを解除する際には、把持板(94)を図6のCの矢印方向と反対側に回動させる。これにより、突出ピン(96)が外溝(101)に沿う状態となる。この状態で、把持板(94)を後側(冷媒ジャケット(70)と反対側)に引っ張ることで、嵌合溝(100)から突出ピン(96)から外れ、板ばね部材(80)の押し付けが解除される。
以上のように、実施形態2では、突出ピン(96)を嵌合溝(100)に嵌合させ、把持板(94)を回動させて板ばね部材(80)の押し付ける構造としている。このため、上述のように、冷却管(15)の後側からでも板ばね部材(80)を容易に着脱できる。従って、実施形態2では、電力変換装置(60)を冷却管(15)の前面側(即ち、ケーシング(40)の外部側寄り)に配置することでき、電力変換装置(60)の部品の交換やメンテナンスも簡便となる。
また、実施形態2では、回転式留め具(92)の突出ピン(96)を内溝(102)に沿って自由に位置決めできる。つまり、実施形態2では、冷媒ジャケット(70)に対して突出ピン(96)の位置を自由に決めることができ、取付作業の容易化を図ることができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3に係る空気調和機(1)は、上記実施形態と冷却管(15)の取付構造(50)の構成が異なるものである。以下には、実施形態2と異なる点について、図10〜図13を参照しながら説明する。
実施形態3の冷媒ジャケット(70)の嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)を厚さ方向に貫通している。嵌合溝(100)は、中間部(74)の中心位置に形成される。嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)の表面側(板ばね部材(80)側)に形成される一対のキー溝(104)と、該キー溝(104)の奥側に形成される円柱溝(105)とを有している。
実施形態3の押付機構(90)は、レバー式留め具(120)で構成される。レバー式留め具(120)は、円柱状のロッド部(121)と、該ロッド部(121)の軸方向の一端側に回動軸(121a)を介して傾動自在に枢支されるレバー部(122)と、ロッド部(121)の軸方向の他端側に形成される一対のキー(123,123)とを有している。
レバー部(122)は、回動軸(121a)の軸周りに形成される円板部(124)と、該円板部(124)から径方向外方へ延出するレバー本体(125)とを有している。レバー本体(125)は、板ばね部材(80)の外側に形成されて変位自在な把持部を構成する。円板部(124)には、レバー本体(125)の延伸方向と直交するように径方向外方へ膨出する膨出円弧部(124a)が形成される。膨出円弧部(124a)は、レバー本体(125)を変位させることで板ばね部材(80)を押し付ける第1位置(図13の実線で示す位置)と、板ばね部材(80)の押し付けを解除する第2位置(図13の2点鎖線で示す位置)とに変位する押付部を構成する。
ロッド部(121)は、板ばね部材(80)の挿通穴(87)を介して嵌合溝(100)に挿通される。一対のキー(123,123)は、ロッド部(121)の先端部外周面に一体に形成される。一対のキー(123,123)は、一対のキー溝(104)に嵌合する四角柱状に形成される。一対のキー(123,123)をキー溝(104)を通じて円柱溝(105)内に挿入させた状態で、レバー本体(125)をロッド部(121)の軸心を中心として回転させると、キー(123)が円柱溝(105)の内部に嵌合する。つまり、キー(123)は、嵌合溝(100)に着脱自在に嵌合する嵌合部を構成する。
実施形態3では、作業者がレバー本体(125)を傾動させることで、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に、冷却管(15)を容易に保持することができる。具体的に、ケーシング(40)の本体から前面パネル(41)を取り外した状態で、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を挟み込む。この状態で、作業者は冷却管(15)の後側まで手をのばし、レバー式留め具(120)のキー(123)をキー溝(104)に差し込む。その後、レバー部(122)をつかんでロッド部(121)を軸周りに回転させることで、キー(123)が円柱溝(105)の内部に嵌合して保持される(図11を参照)。
次いで、図13の2点鎖線で示す状態のレバー部(122)を、図13のGの矢印の方向に傾動させると、膨出円弧部(124a)が、板ばね部材(80)の取付板部(84)を徐々に押し込んでいく。これに伴い、一対の対向部(82)は、実施形態2と同様にして、冷却管(15)側に弾性変形する。その結果、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)が保持される。
板ばね部材(80)の押し付けを解除する際には、レバー部(122)を図13のGの矢印方向と反対側に回動させる。これにより、膨出円弧部(124a)が、取付板部(84)から離れて取付板部(84)の押し付けが解除される。
実施形態3においても、レバー部(122)を操作することで、レバー式留め具(120)を冷媒ジャケット(70)に容易に取り付けることができる。このため、実施形態2と同様、電力変換装置(60)や冷却管(15)のレイアウトの自由度を向上できる。その結果、実施形態2と同様、電力変換装置(60)を冷却管(15)の前面側に配置することができ、電力変換装置(60)の部品の交換やメンテナンスも簡便となる。
《発明の実施形態4》
板ばね部材(80)には、図15に示すように、スリット(80a)を設けてもよい。図15の例では、6つのスリット(80a)が設けられている。それぞれのスリット(80a)は、冷却管(15)の直管部(16)に直交する向きで、板ばね部材(80)の外側板部(81)、対向部(82)、及び内側板部(83)に跨って形成されている。この例では、板ばね部材(80)は、2つのビス(91)で、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられている。
冷媒ジャケット(70)が、直管部(16)の伸長方向に長くなるほど、板ばね部材(80)も長くなり、板ばね部材(80)によって直管部(16)に付与する押付け圧力を均一にするのが難しくなる。これに対し、この構成では、スリット(80a)を設けたことによって、板ばね部材(80)が直管部(16)に確実に沿うようにできる。そのため、板ばね部材(80)によって直管部(16,16)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。したがって、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70))との伝熱をより確実に確保できる。
なお、図15に示したスリット(80a)の形状は例示である。またスリット(80a)の数や、ビス(91)の数も例示である。
《発明の実施形態5》
板ばね部材(80)は、図16に示すように、ひとつの冷媒ジャケット(70)に対し、複数設けるようにしてもよい。この例では、ひとつの冷媒ジャケット(70)に、2つの板ばね部材(80)が、直管部(16)の伸長方向に連なって設けられている。それぞれの板ばね部材(80)は、ビス(91)によって、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられている。この構成では、冷媒ジャケット(70)が直管部(16)の伸長方向に長く形成された場合でも、板ばね部材(80)によって直管部(16,16)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。したがって、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)との伝熱をより確実に確保できる。
なお、板ばね部材(80)の数は2つには限定されない。板ばね部材(80)の数は、例えば冷媒ジャケット(70)の大きさに応じて、適宜定めればよい。
《発明の実施形態6》
板ばね部材(80)には、図17(A)、(B)に示すように、補強用ビード(80b)を設けてもよい。補強用ビード(80b)は、ビス(91)で固定される部位(取付板部(84))の近傍に設ける。図17(A)の例では、取付板部(84)に、ビス穴(75)を避けて8つの補強用ビード(80b)が設けられている。それぞれの補強用ビード(80b)は、平面形状が概ね楕円形で、板ばね部材(80)の取付板部(84)に設けられている。それぞれの補強用ビード(80b)は、取付板部(84)にビード(エンボスまたは凸部)加工を施したものであり、冷媒ジャケット(70)とは反対方向に突出している(図17(B))。
例えば、板ばね部材(80)を薄くした場合などには、板ばね部材(80)の剛性が不足し、直管部(16)を押える力が十分に得られない可能性がある。これを防ぐためには、板ばね部材(80)の板厚を厚くすることも考えられるが、コストが高くなったり、希望する板厚材料が得られなかったりすることが考えられる。これに対し、本実施形態では、補強用ビード(80b)を板ばね部材(80)の中央部(取付板部(84))にのみ設けたことにより、板ばね部材(80)の中央部のみ剛性が上がり、板ばね部材(80)のバネ性を残したまま、剛性を上げることができる。したがって、直管部(16)を押える力を十分に得ることができるようになる。
《発明の実施形態7》
図18は、ビス穴(75)の他の構成を示す図である。また、図19は、図18の板ばね部材(80)を取り付けた状態を示す図である。図18に示すように、本実施形態では、板ばね部材(80)には、ひとつのビス穴(75)が設けられている。このビス穴(75)は、ビス(91)の頭が通る大きさの大径部(75a)と、ビス(91)を締め付け可能な大きさの小径部(75b)との複合形状を有している。
板ばね部材(80)をネジ止めする際には、板ばね部材(80)を片手で押えながら、片手でビス(91)をビス穴(75)に挿入しドライバで取り付ける必要があり、ネジ止め作業が困難になる。これに対し、本実施形態のビス穴(75)形状を採用することで、例えば、図20に示す工程で組み立てることが考えられる。
図20の例では、最初に冷媒ジャケット(70)にビス(91)を半分程度締めた状態で取り付けておき、板ばね部材(80)をビス穴(75)の大径部(75a)の部分からネジに挿入し、取付板部(84)を小径部(75b)の部分がネジの部分に来るようにスライドさせる。その後、ドライバによりビス(91)を締め付ける。このように、板ばね部材(80)の仮止めが可能となるため、ビス(91)の締め付けを簡単に行うことができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態において、冷却管(15)と板ばね部材(80)との間に緩衝材(130)を配置してもよい(例えば図14を参照)。緩衝材(130)は、例えばゴム製あるいは合成樹脂製の弾性を有する柔軟な材料で構成される。緩衝材(130)は、冷却管(15)の長手方向に沿って延びるシート状ないし板状に形成され、冷却管(15)の表面に固定される。この緩衝材(130)により、板ばね部材(80)側から冷却管(15)に作用する押し付け力を均一化できる。また、冷却管(15)と板ばね部材(80)とが直接的に接触するのを防止でき、板ばね部材(80)や冷却管(15)の腐食を防止できる。
上記各実施形態では、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)の配管溝部(72)との間に熱伝導グリース(78)を介在させている。しかしながら、この熱伝導グリース(78)に代わって、熱伝導シートを伝熱促進材料として用いてもよい。
上記各実施形態では、冷媒ジャケット(70)に2つの溝部(72)を形成し、各溝部(72)にそれぞれ冷却管(15)を嵌合している。しかしながら、冷媒ジャケット(70)に1つの溝部(72)、あるいは3つ以上の溝部(72)を形成して、対応する溝部(72)に冷却管(15)を嵌合してもよい。この場合にも、上述した取付構造(50)を採用して、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を保持できる。
上記各実施形態は、図1に示すように、1つの室内ユニット(20)と1つの室外ユニット(30)を有する空気調和機(1)であるが、複数の室内ユニット(20)や複数の室外ユニット(30)を有する、いわゆるマルチ式の空気調和機であってもよい。また、冷凍機や給湯器等の他の方式の冷凍装置であってもよい。
上記各実施形態では、高圧の液ラインの冷媒を冷却管(15)に流すようにしているが、高圧のガスライン、あるいは低圧の液ラインやガスラインの冷媒を冷却管(15)に流してもよい。
上記各実施形態では、電力変換装置(60)のパワー素子(63)を被冷却部品としているが、他の種類のスイッチング素子や電気部品を被冷却部品としてもよい。
以上説明したように、本発明は、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却構造における、冷媒配管の取付構造について有用である。
15 冷却管(冷媒配管)
70 冷媒ジャケット(伝熱部材)
72 配管溝部(溝部)
78 熱伝導グリース(伝熱促進材料)
80 板ばね部材(弾性部材)
82 対向部
84 取付板部(被押付部)
86 折り返し部
93 本体部(押付部)
94 把持板(把持部)
96 突出部(嵌合部)
100 嵌合溝
123 キー(嵌合部)
124a 膨出円弧部(押付部)
125 レバー本体(把持部)
本発明は、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却構造における、冷媒配管の取付構造に関するものである。
従来より、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却機構が知られている。例えば特許文献1には、空気調和機の電装部品を被冷却部品とする冷却構造が開示されている。
具体的に、特許文献1の冷却構造は、円弧状の底面を有する溝部が形成された伝熱部材と、冷媒配管を伝熱部材側に向かって圧接するための保持部材とを有している。保持部材は、例えば冷媒配管側が開放するような断面U字状の弾性クリップで構成されている。冷媒配管は、弾性クリップの開放部側から該弾性クリップの内部に挿通される。弾性クリップは、その弾性力により、冷媒配管を伝熱部材側に向かって付勢する。その結果、冷媒配管が伝熱部材に圧接し、冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗が低減される。
特許文献1の保持部材は、冷媒配管と直交する方向に延びる長板をU字状に折り曲げることで、上記のような弾性クリップを構成するようにしている。しかしながら、この保持部材では、冷媒配管を伝熱部材側に向かって押し付けるための押付部の面積が比較的小さくなってしまう。その結果、冷媒配管の押し付けが不十分となり、冷媒配管の取付強度が低下したり、冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗を十分に低減できなかったりする、という問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒配管を確実に保持でき、且つ冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗を十分に低減できる、冷媒配管の取付構造を提案することにある。
第1の発明は、被冷却部品を冷却するための冷媒配管の取付構造を対象とし、冷媒配管(15)が嵌合する縦長の溝部(72)を有し、プリント基板(61)に固定される固定部材(52)を介して、該プリント基板(61)上の被冷却部品(63)を挟み込むように、該プリント基板(61)に固定され、前記被冷却部品(63)と熱的に接触する伝熱部材(70)と、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、該冷媒配管(15)に対向する対向部(82)を有する弾性部材(80)と、上記弾性部材(80)を上記伝熱部材(70)側に向かう押し付け力の付与及び解除が可能な押付機構(90)とを備えていることを特徴とする。
第1の発明では、伝熱部材(70)の溝部(72)と弾性部材(80)の対向部(82)との間に、冷媒配管(15)が保持される。被冷却部品(63)から発する熱は、伝熱部材(70)、冷媒配管(15)を順に伝導し、冷媒配管(15)を流れる冷媒へ付与される。これにより、被冷却部品(63)が冷却される。
本発明の伝熱部材(70)は、冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、これに対応するように弾性部材(80)の溝部(72)も縦長に形成される。このため、押付機構(90)によって弾性部材(80)が伝熱部材(70)側に押し付けられると、弾性部材(80)と冷媒配管(15)の接触面積や、冷媒配管(15)と溝部(72)の接触面積が比較的大きくなる。
第2の発明は、第1の発明において、上記弾性部材(80)には、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる少なくとも1本の折り返し部(86)が形成されていることを特徴とする。
第2の発明の弾性部材(80)には、冷媒配管(15)の伸長方向に延びる折り返し部(86)が形成される。このため、弾性部材(80)では、その長手方向における強度が、その幅方向における強度よりも大きくなる。その結果、弾性部材(80)では、長手方向の剛性を十分確保できる一方、幅方向においてもある程度の弾性を得ることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記弾性部材(80)の対向部(82)は、上記溝部(72)に平板状に形成されていることを特徴とする。
第3の発明の弾性部材(80)では、冷媒配管(15)に対向する対向部(82)が平板状に形成される。これにより、押付機構(90)によって押し付けられる状態の対向部(82)は、冷媒配管(15)の伸長方向において該冷媒配管(15)と実質的に線接触する。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記伝熱部材(70)には、複数の冷媒配管(15)がそれぞれ嵌合する複数の上記溝部(72)が形成され、上記弾性部材(80)は、上記複数の溝部(72)に跨る1枚の板状に形成されていることを特徴とする。
第4の発明の伝熱部材(70)には、複数の冷媒配管(15)に1つずつ対応するように、複数の溝部(72)が形成される。弾性部材(80)は、複数の溝部(72)に跨る板状に形成される。弾性部材(80)が押付機構(90)によって伝熱部材(70)側に押し付けられると、弾性部材(80)と伝熱部材(70)の間に、複数の冷媒配管(15)が保持される。
第5の発明は、第4の発明において、上記伝熱部材(70)には、2本の上記溝部(72)が形成され、上記弾性部材(80)には、上記2本の溝部(72)にそれぞれ対向する2つの対向部(82)と、該2つの対向部(82)の間に形成されて上記押付機構(90)に押し付けられる被押付部(84)とが形成されていることを特徴とする。
第5の発明では、伝熱部材(70)の2本の溝部(72)と弾性部材(80)の2つの対向部(82)との間に、それぞれ冷媒配管(15)が保持される。押付機構(90)は、弾性部材(80)のうち2つの対向部(82)の間の被押付部(84)を伝熱部材(70)側に押し付ける。これにより、2本の冷媒配管(15)には、比較的均等に押し付け力が作用する。
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記伝熱部材(70)の溝部(72)と、上記冷媒配管(15)との間には、伝熱を促進するための伝熱促進材料(78)が介設されることを特徴とする。
第6の発明では、伝熱部材(70)の溝部(72)に伝熱促進用の伝熱促進材料(78)が介設される。その結果、伝熱部材(70)と冷媒配管(15)との間の熱抵抗が小さくなる。
第7の発明は、冷媒配管(15)が嵌合する縦長の溝部(72)を有し、被冷却部品(63)と熱的に接触する伝熱部材(70)と、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、該冷媒配管(15)に対向する対向部(82)を有する弾性部材(80)と、上記弾性部材(80)を上記伝熱部材(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)と、を備え、上記伝熱部材(70)には、嵌合溝(100)が形成され、上記押付機構(90)は、上記嵌合溝(100)に着脱自在に嵌合する嵌合部(96,123)と、上記弾性部材(80)の外側に変位可能に配置される把持部(94,125)と、該把持部(94,125)を変位させることで上記弾性部材(80)を押し付ける第1位置と、該弾性部材(80)の押し付けを解除する第2位置とに変位する押付部(93,124a)とを有することを特徴とする。
第7の発明では、伝熱部材(70)の嵌合溝(100)に押付機構(90)の嵌合部を嵌合させることで、伝熱部材(70)に対して押付機構(90)が着脱自在となる。また、作業者が把持部(94,125)を操作して押付部(93,124a)を第1位置と第2位置とに変位させることで、弾性部材(80)の押し付けと、その押し付けの解除とを容易に切り換えることができる。
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記弾性部材(80)には、スリット(80a)が形成されていることを特徴とする。
この構成では、この構成では、スリット(80a)を設けたことによって、板ばね部材(80)が直管部(16)に確実に沿うようにできる。したがって、スリット(80a)によって、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。
第9の発明は、第1乃至第8のいずれか1つの発明において、上記弾性部材(80)は、上記伸長方向に連なって複数設けられていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)を複数にしたことによって、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。
第10の発明は、第1乃至7のいずれか1つの発明において、上記弾性部材(80)は、上記押付機構(90)が押し付けられる部位の近傍には、補強用ビード(80b)が設けられていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)の剛性を高めることが可能になる。
第11の発明は、冷媒配管(15)が嵌合する縦長の溝部(72)を有し、被冷却部品(63)と熱的に接触する伝熱部材(70)と、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、該冷媒配管(15)に対向する対向部(82)を有する弾性部材(80)と、上記弾性部材(80)を上記伝熱部材(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)と、を備え、上記伝熱部材(70)には、上記冷媒配管(15)がそれぞれ嵌合する2本の上記溝部(72)が形成され、上記弾性部材(80)は、上記複数の溝部(72)に跨る1枚の板状に形成されるとともに、上記2本の溝部(72)にそれぞれ対向する2つの対向部(82)と、該2つの対向部(82)の間に形成されて上記押付機構(90)に押し付けられる被押付部(84)とが形成され、上記押付機構(90)は、ビス(91)であり、上記板ばね部材(80)には、上記ビス(91)の頭が通る大きさの大径部(75a)と、上記ビス(91)を締め付け可能な大きさの小径部(75b)との複合形状を有したビス穴(75)が形成されていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)の仮止めが可能となる。
本発明によれば、弾性部材(80)を冷媒配管(15)の伸長方向に延ばすことで、弾性部材(80)と冷媒配管(15)との接触面積を拡大できる。これにより、冷媒配管(15)を確実に伝熱部材(70)側に押し付けることができ、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との間の熱抵抗を低減できる。また、伝熱部材(70)の溝部(72)を冷媒配管(15)の伸長方向に延ばすことで、伝熱部材(70)と冷媒配管(15)との伝熱面積も十分に確保できる。従って、被冷却部品(63)の冷却性能を十分に確保できる。また、本発明によれば、弾性部材(80)と伝熱部材(70)との間に冷媒配管(15)を確実に保持できる。
特に第2の発明では、弾性部材(80)に折り返し部(86)を形成することで、弾性部材(80)の長手方向における剛性を十分に確保できる。これにより、弾性部材(80)に作用する押し付け力が、冷媒配管(15)の伸長方向において比較的均一になり易い。その結果、冷媒配管(15)の取付強度を十分に確保でき、且つ冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の熱抵抗も低減できる。また、このようにすると、弾性部材(80)の幅方向においては、折り返し部(86)によってある程度のばね性を確保できる。従って、弾性部材(80)を伝熱部材(70)側に向かって十分に変形させることができ、所望の押し付け力を得ることができる。
第3の発明では、弾性部材(80)の対向部(82)を平板状に形成することで、対向部(82)と冷媒配管(15)とを、該冷媒配管(15)の伸長方向において線接触させることができる。これにより、押付機構(90)に押し付けられる状態の対向部(82)が、冷媒配管(15)の軸周りに若干傾いたとしても、対向部(82)と冷媒配管(15)との線接触が維持される。その結果、冷媒配管(15)を弾性部材(80)によって確実に押し付けることができる。従って、冷媒配管(15)の取付強度を更に向上でき、且つ冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の伝熱も十分に確保できる。
第4の発明では、伝熱部材(70)に複数の溝部(72)を形成し、これらの複数の溝部(72)に跨って弾性部材(80)を形成している。このため、伝熱部材(70)や弾性部材(80)の部品点数を削減しながら、伝熱部材(70)と弾性部材(80)との間に複数の冷媒配管(15)を保持できる。
特に第5の発明では、伝熱部材(70)と弾性部材(80)との間に2つの冷媒配管(15)を保持できる。しかも、弾性部材(80)では、2つの溝部(72)の間に被押付部(84)を形成している。このため、1つの押付機構(90)により、2つの対向部(82)による各冷媒配管(15)の押し付け力を均一化できる。その結果、2つの冷媒配管(15)の取付強度をそれぞれ確保しながら、両者の冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の熱抵抗も低減できる。
第6の発明では、伝熱促進材料(78)により、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との間の熱抵抗を更に低減できる。
第7の発明では、押付機構(90)の嵌合部(96,123)を伝熱部材(70)の嵌合溝に着脱自在に嵌合させ、且つ押付機構(90)の把持部(94,125)を操作して弾性部材(80)の押し付けを切り換える構造としている。このため、押付機構(90)の取付や、弾性部材(80)の押し付けの操作を比較的容易に行うことができる。従って、冷媒配管(15)の取付構造の設置作業が容易となり、冷媒配管(15)や被冷却部品(63)のレイアウトの自由度も向上する。
第8、及び第9の発明のそれぞれによれば、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になるので、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との伝熱をより確実に確保できる。
第10の発明によれば、配管を押える力を十分に得ることができるようになる。
第11の発明によれば、ビス(91)の締め付けを簡単に行うことができる。
図1は、実施形態1に係る空気調和機の概略の配管系統図である。
図2は、実施形態1に係る室外ユニットの概略の横断面図である。
図3は、実施形態1に係る取付構造の正面図である。
図4は、図3のB−B線断面図である。
図5は、実施形態2に係る室外ユニットの概略の横断面図である。
図6は、実施形態2に係る取付構造の背面図である。
図7は、図6のD−D線断面図である。
図8は、実施形態2に係る板ばね部材の後面図である。
図9は、実施形態2に係る押付機構の側面図である。
図10は、実施形態3に係る取付構造の後面図である。
図11は、図10のE−E線断面図である。
図12は、実施形態3に係る冷媒ジャケットの後面図である。
図13は、図11のF−F線断面図である。
図14は、その他の実施形態に係る取付構造における、図2相当図である。
図15は、実施形態4の板ばね部材を示す正面図である。
図16は、実施形態5の板ばね部材を示す正面図である。
図17は、(A)は実施形態6の板ばね部材を示す正面図であり、(B)は、補強用ビードの断面図である。
図18は、ビス穴の他の構成を示す図である。
図19は、図18の板ばね部材を取り付けた状態を示す図である。
図20は、板ばね部材の取付工程を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明に係る実施形態は、冷媒回路(10)を有して冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う空気調和機(1)である。空気調和機(1)は、室内に設置される室内ユニット(20)と、室外に設置される室外ユニット(30)とを有している。室内ユニット(20)と室外ユニット(30)とが、2本の連絡配管(11,12)によって互いに接続されることで、閉回路となる冷媒回路(10)が構成される。冷媒回路(10)には、冷媒が充填される。冷媒回路(10)の冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
〈室内ユニット〉
室内ユニット(20)は、室内熱交換器(21)と室内ファン(22)と室内膨張弁(23)とを有している。室内熱交換器(21)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成される。室内熱交換器(21)では、その伝熱管の内部を流れる冷媒と、室内ファン(22)が送風する空気とが熱交換する。室内膨張弁(23)は、例えば電子膨張弁で構成される。
〈室外ユニット〉
室外ユニット(30)は、室外熱交換器(31)と室外ファン(32)と室外膨張弁(33)と圧縮機(34)と四方切換弁(35)とを有している。室外熱交換器(31)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成される。室外熱交換器(31)では、その伝熱管の内部を流れる冷媒と、室外ファン(32)が送風する空気とが熱交換する。室外膨張弁(33)は、例えば電子膨張弁で構成される。圧縮機(34)は、例えばスクロール圧縮機等の回転式圧縮機で構成される。四方切換弁(35)は、第1から第4までのポートを有し、冷媒回路(10)の冷媒の循環方向を切り換えるように構成される。四方切換弁(35)は、冷房運転時に第1ポートと第2ポートを連通させ且つ第3ポートと第4ポートを連通させる状態(図1の実線で示す状態)となり、暖房運転時に第1ポートと第3ポートを連通させ且つ第2ポートと第4ポートとを連通させる状態(図1の破線で示す状態)となる。
図2に示すように、室外ユニット(30)は、箱形のケーシング(40)を有している。ケーシング(40)は、前面パネル(41)、後面パネル(42)、第1側面パネル(43)、及び第2側面パネル(44)を有している。前面パネル(41)は、室外ユニット(30)の前側に形成される。前面パネル(41)には、室外空気が吸い込まれる吸込口(41a)が形成される。前面パネル(41)は、ケーシング(40)の本体に対して着脱自在に構成される。後面パネル(42)は、室外ユニット(30)の後側に形成される。後面パネル(42)には、室外空気が吹き出される吹出口(42a)が形成される。第1側面パネル(43)は、室外ユニット(30)の幅方向(図2の矢印Aで示す方向)の一端側に形成される。第1側面パネル(43)には、吹出口(43a)が形成される。第2側面パネル(44)は、室外ユニット(30)の幅方向の他端側に形成される。
ケーシング(40)は、縦仕切板(45)と横仕切板(46)とを有している。ケーシング(40)の内部空間は、縦仕切板(45)によって幅方向に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち第1側面パネル(43)側の空間は、熱交換器室(47)を構成する。これらの空間のうち第2側面パネル(44)側の空間は、横仕切板(46)によって更に前後に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち後側の空間が圧縮機室(48)を構成し、前側の空間が電装品室(49)を構成する。
〈電装品室内の構成機器〉
電装品室(49)内の構成部品について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。電装品室(49)内には、電力変換装置(60)、冷媒ジャケット(70)、冷却管(15)が収容されている。電力変換装置(60)は、圧縮機(34)のモータへ電力を供給するとともに、該モータの回転数を制御する。電力変換装置(60)は、プリント基板(61)と、該プリント基板(61)にリード線(62)を介して取り付けられるパワー素子(63)とを有している。プリント基板(61)は、例えば支持部材(51)を介して横仕切板(46)に固定される。なお、プリント基板(61)をケーシング(40)内の他の部位に固定してもよい。
本実施形態のパワー素子(63)は、プリント基板(61)の前側に配置される。パワー素子(63)は、例えばインバータ回路のスイッチング素子を構成する。パワー素子(63)は、圧縮機(34)の運転時に発熱する発熱部品であり、冷媒ジャケット(70)の被冷却部品を構成する。パワー素子(63)は、動作可能な温度(例えば90℃)を越えないように冷媒ジャケット(70)によって冷却される。
冷媒ジャケット(70)は、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属材料で構成される。冷媒ジャケット(70)は、パワー素子(63)の表面(前面側)に接触して配置され、パワー素子(63)と熱的に接触している。冷媒ジャケット(70)は、前後に扁平な略板状に形成される。冷媒ジャケット(70)は、枠状の固定部材(52)を介してプリント基板(61)に固定される。固定部材(52)は、冷媒ジャケット(70)の外周縁部(70a)が嵌合する枠本体(52a)と、該枠本体(52a)に嵌合した冷媒ジャケット(70)を外側から保持する複数の爪部(52b,52b,52b,52b)とを有している。これにより、冷媒ジャケット(70)は、固定部材(52)に着脱自在に取り付けられる。
冷却管(15)は、冷媒回路(10)の冷媒配管の一部を構成している。本実施形態の冷却管(15)は、冷媒回路(10)における高圧の液ラインに接続される。つまり、冷却管(15)には、熱交換器(21,31)で凝縮した後の高圧の液冷媒が流通する。冷却管(15)は、2本の直管部(16,16)と、該直管部(16,16)の端部同士を互いに連結するU字管部(17)とを有している。2本の直管部(16,16)は、各々の伸長方向が略平行となるように、互いに隣接して配置される。
〈冷却配管の取付構造〉
冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)に取り付けるための取付構造(50)について、図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の取付構造(50)は、1つの冷媒ジャケット(70)と、1つの板ばね部材(80)と、1つのビス(91)とを有している。
冷媒ジャケット(70)は、冷却管(15)の直管部(16)の伸長方向に沿って延びている。冷媒ジャケット(70)のうちプリント基板(61)と反対側の面(71)には、一対の配管溝部(72,72)と、一対の凹部(73,73)と、1つの中間部(74)とが形成される。
配管溝部(72)は、冷却管(15)の直管部(16)に沿うように、冷媒ジャケット(70)の長手方向に延びている。配管溝部(72)は、冷却管(15)の軸直角断面の形状が、略円弧状に形成される。配管溝部(72)は、冷却管(15)の外周面の一部が嵌合する溝部を構成する。冷却管(15)と配管溝部(72)との間には、熱伝導グリース(78)が介設される。熱伝導グリース(78)は、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の微小な隙間を埋めることで熱抵抗を低減させ、該冷却管(15)と配管溝部(72)との間の伝熱を促進させる伝熱促進材料を構成する。
一対の凹部(73,73)は、一対の配管溝部(72,72)の間に配置されている。凹部(73)は、冷媒ジャケット(70)の長手方向の両端に亘って直線状に延びている。凹部(73)の内部には、板ばね部材(80)のV字折り返し部(86c)が配置される(詳細は後述する)。
中間部(74)は、一対の凹部(73,73)の間に形成される。中間部(74)には、ビス穴(75)が形成される。ビス穴(75)は、冷媒ジャケット(70)の中心部に形成される。即ち、ビス穴(75)は、冷媒ジャケット(70)の長手方向の中間部位で、且つ冷媒ジャケット(70)の幅方向の中間部位に配置される。
板ばね部材(80)は、板状のバネ鋼板が折り返されて成型される。板ばね部材(80)は、冷却管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、冷媒ジャケット(70)に対向して配置される。板ばね部材(80)は、冷媒ジャケット(70)の2つの配管溝部(72,72)に跨っている。板ばね部材(80)は、一対の外側板部(81,81)と、一対の対向部(82,82)と、一対の内側板部(83,83)と、1つの取付板部(84)とを有し、冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に付勢する弾性部材を構成する。
外側板部(81)は、板ばね部材(80)の幅方向の両側端部にそれぞれ形成される。外側板部(81)は、対向部(82)から冷却管(15)の直管部(16)側に向かって屈曲する平板状に形成される。
対向部(82)は、冷却管(15)の直管部(16)に対向するように、該直管部(16)の伸長方向に沿って延びている。つまり、対向部(82)は、冷媒ジャケット(70)の配管溝部(72)に相対する位置に形成される。対向部(82)は、直管部(16)の外周面と実質的に線接触するような平板状に形成される。
内側板部(83)は、対向部(82)よりも板ばね部材(80)の幅方向の中間部寄りに形成される。内側板部(83)は、対向部(82)から冷却管(15)の直管部(16)側に向かって屈曲する平板状に形成される。板ばね部材(80)では、外側板部(81)、対向部(82)、及び内側板部(83)が、直管部(16)を外側から囲んでいる。
取付板部(84)は、一対の内側板部(83)に介在するように、板ばね部材(80)の幅方向の中間部に形成される。取付板部(84)は、直管部(16)の伸長方向に延びる平板状に形成され、冷媒ジャケット(70)の中間部(74)に沿っている。取付板部(84)の中心部には、冷媒ジャケット(70)のビス穴(75)に対応するように、貫通穴(85)が形成される。
板ばね部材(80)には、6本の折り返し部(86)が形成される。各折り返し部(86)は、板ばね部材(80)の長手方向に直線状に形成される。6本の折り返し部(86)は、一対の外側折り返し部(86a,86a)と、一対の内側折り返し部(86b,86b)と、一対のV字折り返し部(86c,86c)とで構成される。外側折り返し部(86a)は、外側板部(81)と対向部(82)との間に形成され、内側折り返し部(86b)は、対向部(82)と内側板部(83)との間に形成される。V字折り返し部(86c)は、内側板部(83)と取付板部(84)との間に形成される。V字折り返し部(86c)は、冷媒ジャケット(70)の凹部(73)の内部に向かって略V字状に突出している。これらの折り返し部(86)は、板ばね部材(80)の長手方向の剛性を増大させるための補強リブとして機能する。これにより、板ばね部材(80)では、幅方向の剛性よりも長手方向の剛性が大きくなっている。なお、折り返し部(86)を、例えば略U字状の折り返し形状としてもよい。
本実施形態において、ビス(91)は、板ばね部材(80)を冷媒ジャケット(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)を構成する。取付板部(84)は、ビス(91)の締め付けに伴い冷媒ジャケット(70)側に押し付けられる、被押付部を構成する。
−運転動作−
空気調和機(1)の運転動作について図1を参照しながら説明する。空気調和機(1)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。
〈冷房運転〉
冷房運転では、圧縮機(34)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(31)で凝縮する。凝縮した冷媒は、例えば全開状態の室外膨張弁(33)を通過し、冷却管(15)を流れる。
圧縮機(34)の運転時には、パワー素子(63)が発熱する。このため、パワー素子(63)の熱は、冷媒ジャケット(70)、熱伝導グリース(78)、冷却管(15)を順に伝わり、冷却管(15)内の冷媒へ付与される。その結果、パワー素子(63)が冷却され、パワー素子(63)が動作可能な所定温度に維持される。
冷却管(15)を流れた冷媒は、室内膨張弁(23)で減圧された後、室内熱交換器(21)で蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。蒸発した冷媒は、圧縮機(34)に吸入されて圧縮される。
〈暖房運転〉
暖房運転では、圧縮機(34)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(21)で凝縮する。これにより、室内空気が加熱される。凝縮した冷媒は、例えば全開状態の室内膨張弁(23)を通過し、冷却管(15)を流れる。この冷媒は、上記の冷房運転と同様にして、パワー素子(63)の冷却に利用される。冷却管(15)を流れた冷媒は、室外膨張弁(33)で減圧された後、室外熱交換器(31)で蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(34)に吸入されて圧縮される。
−冷却配管の取付構造について−
取付構造(50)では、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)にそれぞれ冷却管(15)が嵌合する。この状態で、冷媒ジャケット(70)に対向して板ばね部材(80)を配置する。冷媒ジャケット(70)のビス穴(75)と板ばね部材(80)の貫通穴(85)との位置を合わせ、ビス(91)をビス穴(75)に締結する。この締結作業は、前面パネル(41)をケーシング(40)の本体から取り外した状態で行われる。なお、ケーシング(40)の外部において、冷媒ジャケット(70)と板ばね部材(80)をビス(91)によって仮締めした後、冷媒ジャケット(70)と板ばね部材(80)との間に冷却管(15)を挟み込んでビス(91)を本締めすると、ビス(91)の締結作業を簡便に行うことができる。
ビス(91)を締結すると、板ばね部材(80)の取付板部(84)が、冷媒ジャケット(70)側に押し付けられる。これに伴い、取付板部(84)と連結する一対の対向部(82)が、冷媒ジャケット(70)側に弾性変形する。この際、V字折り返し部(86c)により、板ばね部材(80)のばね性が向上し、対向部(82)を確実に冷媒ジャケット(70)側に変位させることができる。一方で、複数の折り返し部(86)によって板ばね部材(80)の長手方向の剛性が向上するため、直管部(16)には、伸長方向に亘って比較的均等に押し付け力が作用する。また、ビス(91)は、取付板部(84)における長手方向の中間部に締結されるため、板ばね部材(80)における長手方向の押し付け力も均一化され易い。
また、一対の対向部(82,82)の間の取付板部(84)をビス(91)によって押し付けるようにしているため、2つの対向部(82)による冷却管(15)の押し付け力も均一化し易い。また、1つのビス(91)により、2本の冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に押し付けることができるので、部品点数を削減でき、組立ての工数も削減できる。
以上のようにして、2本の冷却管(15)が、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)側に向かって付勢される。これにより、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)と板ばね部材(80)の各対向部(82)との間に、各冷却管(15)が狭持される。このように冷却管(15)に板ばね部材(80)を圧接することで、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)との隙間が縮小され、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)の熱抵抗が小さくなる。また、冷却管(15)と配管溝部(72)との間には、熱伝導グリース(78)が介在するため、この熱伝導グリース(78)によって冷却管(15)と配管溝部(72)との間の僅かな隙間を埋めることができる。これにより、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の熱抵抗が更に低減される。
板ばね部材(80)は、ある程度の柔軟性を有するため、板ばね部材(80)の加工精度が若干低下しても、板ばね部材(80)によって冷却管(15)を十分に押し付けることができる。更に、対向部(82)は平板状に形成されているため、対向部(82)が冷却管(15)の軸周りに若干傾いても、対向部(82)と冷却管(15)との間の線接触が維持される。従って、冷却管(15)を確実に冷媒ジャケット(70)側に押し付けることができる。
対向部(82)及び配管溝部(72)は、冷却管(15)の直管部(16)の伸長方向に延びている。このため、対向部(82)と直管部(16)との接触面積が拡大され、直管部(16)の押し付け力を十分に確保できる。また、対向部(82)と配管溝部(72)との間に冷却管(15)を確実に保持できる。更に、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の伝熱面積も十分に確保できる。従って、本実施形態では、パワー素子(63)の冷却効果を十分に発揮でき、パワー素子(63)の発熱を抑制できる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、冷却管(15)と配管溝部(72)との間における、冷却管(15)の取付強度を増大でき、且つパワー素子(63)から冷却管(15)に至るまでの伝熱を促進できる。従って、パワー素子(63)を確実且つ効果的に冷却できる。その結果、電力変換装置(60)、ひいては空気調和機(1)の信頼性を十分に確保できる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2に係る空気調和機(1)は、上記実施形態と冷却管(15)の取付構造(50)の構成が異なるものである。以下には、上記実施形態1と異なる点について、図5〜図9を参照しながら説明する。
図5に示すように、実施形態2の空気調和機(1)では、電力変換装置(60)が前面パネル(41)側に面して配置され、冷却管(15)が電力変換装置(60)の後側に配置される。
電力変換装置(60)では、前面パネル(41)の裏面側にプリント基板(61)が配置され、プリント基板(61)の後側にパワー素子(63)が配置される。プリント基板(61)は、支持部材(51)を介してケーシング(40)に固定される。支持部材(51)は、前面パネル(41)が着脱できるように、例えばケーシング(40)の天板や他の部材に固定される。
パワー素子(63)の表面(後側面)には、冷媒ジャケット(70)が固定される。冷媒ジャケット(70)の表面(後側面)には、実施形態1と同様にして、配管溝部(72)が形成される。板ばね部材(80)は、冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に付勢する。
図7に示すように、実施形態2の冷媒ジャケット(70)には、嵌合溝(100)が形成されている。嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)の中間部(74)において、該冷媒ジャケット(70)の長手方向の両端に亘って形成される。即ち、嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)を長手方向に押出成型することで容易に加工される。
嵌合溝(100)は、中間部(74)の表面に形成される外溝(101)と、該外溝(101)と連通して中間部(74)の内部に形成される内溝(102)とで構成される。外溝(101)及び内溝(102)は、中間部(74)の幅方向の中間部位に形成される。外溝(101)と内溝(102)とは、幅方向の中心位置が互いに一致している。内溝(102)の幅は、外溝(101)の幅よりも大きくなっている。
図8に示すように、実施形態2の板ばね部材(80)の取付板部(84)には、長手方向の中間部位且つ幅方向の中間部位に、挿入孔(110)が形成される。挿入孔(110)の内周縁部には、一対の矩形部(111)と、一対の円弧部(112)とが周方向に交互に配列される。一対の矩形部(111)は、互いに対向するように嵌合溝(100)の長手方向に配列される。一対の矩形部(111)において、互いに対向する辺(111a,111a)同士の間隔は、内溝(102)の幅と概ね等しくなっている。一対の円弧部(112)は、互いに対向するように嵌合溝(100)の長手方向の直交して配列される。各円弧部(112)の周方向の中間部位には、径方向内方へ突出するように段差部(112a)が形成される。
図6、図7、及び図9に示すように、実施形態2の押付機構(90)は、回転式留め具(92)で構成される。回転式留め具(92)は、円柱状の本体部(93)と、該本体部(93)の軸方向の一端側に形成される把持板(94)と、本体部(93)の軸方向の他端側に形成される回転軸(95)と、回転軸(95)の先端部に形成される一対の突出ピン(96,96)とを有している。
把持板(94)は、本体部(93)の軸心を通過するように径方向外方に延びる長板状に形成される。把持板(94)は、板ばね部材(80)の外側に配置される把持部を構成する。把持板(94)は、図6の二点鎖線で示す位置と、図6の実線で示す位置との間を、回動自在に変位する。
本体部(93)は、板ばね部材(80)の取付板部(84)を押し付けるための押付部を構成する。具体的に、本体部(93)には、軸方向における把持板(94)と逆側の端面に、取付板部(84)と接触する押付面(93a)が形成される。本体部(93)は、把持板(94)の回動に伴い、押付面(93a)が板ばね部材(80)を押し付ける位置(第1位置、図6を参照))と、押付面(93a)による板ばね部材(80)の押し付けが解除される位置(第2位置、図示省略)とに変位する。
回転軸(95)は、本体部(93)よりも小径の略円柱状に形成される。回転軸(95)は、本体部(93)と同軸となるように該本体部(93)と一体に形成される。回転軸(95)は、板ばね部材(80)の挿入孔(110)に挿通される。図9に示すように、回転軸(95)の外周面には、本体部(93)の近傍にストッパ部(95a)が形成されている。ストッパ部(95a)は、回転軸(95)の表面から径方向外方に突出する突起部で構成される。ストッパ部(95a)は、板ばね部材(80)の段差部(112a)(図8を参照)と当接することで、回転式留め具(92)の回転を規制する。これにより、回転式留め具(92)は、約90°の回転角度範囲を超える回動が禁止される。
回転軸(95)の外周面には、本体部(93)の近傍に環状溝(95b)が形成される。環状溝(95b)には、板ばね部材(80)の挿入孔(110)に回転軸(95)が挿通された状態において、ワッシャや、いわゆるEリング等のリング状部材が固定される(図示省略)。これにより、回転式留め具(92)に板ばね部材(80)を一体的に保持できる。
一対の突出ピン(96,96)は、回転軸(95)の外周縁部から径方向外方に突出している。一対の突出ピン(96,96)は、互いに等ピッチを置くように配列される。本実施形態の突出ピン(96,96)の突出方向は、把持板(94)の長手方向と略一致している。
突出ピン(96)は、その突出方向と直角な断面形状が、略台形状に形成される。より詳細に、突出ピン(96)には、回転軸(95)の先端面と略面一な矩形面(96a)と、本体部(93)側に位置して矩形面(96a)に対して斜めに傾斜する傾斜面(96b)とが形成される。傾斜面(96b)は、回転式留め具(92)を冷媒ジャケット(70)に取り付けるための回転方向(図6における矢印Cの方向)に進むにつれて、回転軸(95)の先端面に近づくように斜めに傾斜している。一対の突出ピン(96)は、板ばね部材(80)の挿入孔(110)の各矩形部(111)、及び冷媒ジャケット(70)の嵌合溝(100)に嵌合可能な嵌合部を構成する。
実施形態2では、作業者が把持板(94)をつかんで回転式留め具(92)を回動させることで、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に、冷却管(15)を容易に保持することができる。具体的に、ケーシング(40)の本体から前面パネル(41)を取り外した状態で、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を挟み込む。この状態で、作業者は冷却管(15)の後側まで手をのばし、回転式留め具(92)の突出ピン(96)を、挿入孔(110)の各矩形部(111)を通じて嵌合溝(100)に嵌め込む。つまり、突出ピン(96)は、嵌合溝(100)の長手方向を向くような状態で、内溝(102)の底部まで差し込まれる。この状態(即ち、図6の二点鎖線で示す状態)の把持板(94)を、矢印Cの方向に回動させる。これにより、突出ピン(96)は、その傾斜面(96b)が円弧部(112)に案内されるようにして、内溝(102)の幅方向を向く状態(図7に示す状態)となる。その結果、突出ピン(96)が、嵌合溝(100)の内部に保持されるとともに、回転式留め具(92)が冷媒ジャケット(70)側へ変位し、本体部(93)が板ばね部材(80)を押し付ける状態となる。以上のようにして、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられると、一対の対向部(82)は、実施形態1と同様にして、冷却管(15)側に弾性変形する。その結果、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)が保持される。
板ばね部材(80)の押し付けを解除する際には、把持板(94)を図6のCの矢印方向と反対側に回動させる。これにより、突出ピン(96)が外溝(101)に沿う状態となる。この状態で、把持板(94)を後側(冷媒ジャケット(70)と反対側)に引っ張ることで、嵌合溝(100)から突出ピン(96)から外れ、板ばね部材(80)の押し付けが解除される。
以上のように、実施形態2では、突出ピン(96)を嵌合溝(100)に嵌合させ、把持板(94)を回動させて板ばね部材(80)の押し付ける構造としている。このため、上述のように、冷却管(15)の後側からでも板ばね部材(80)を容易に着脱できる。従って、実施形態2では、電力変換装置(60)を冷却管(15)の前面側(即ち、ケーシング(40)の外部側寄り)に配置することでき、電力変換装置(60)の部品の交換やメンテナンスも簡便となる。
また、実施形態2では、回転式留め具(92)の突出ピン(96)を内溝(102)に沿って自由に位置決めできる。つまり、実施形態2では、冷媒ジャケット(70)に対して突出ピン(96)の位置を自由に決めることができ、取付作業の容易化を図ることができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3に係る空気調和機(1)は、上記実施形態と冷却管(15)の取付構造(50)の構成が異なるものである。以下には、実施形態2と異なる点について、図10〜図13を参照しながら説明する。
実施形態3の冷媒ジャケット(70)の嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)を厚さ方向に貫通している。嵌合溝(100)は、中間部(74)の中心位置に形成される。嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)の表面側(板ばね部材(80)側)に形成される一対のキー溝(104)と、該キー溝(104)の奥側に形成される円柱溝(105)とを有している。
実施形態3の押付機構(90)は、レバー式留め具(120)で構成される。レバー式留め具(120)は、円柱状のロッド部(121)と、該ロッド部(121)の軸方向の一端側に回動軸(121a)を介して傾動自在に枢支されるレバー部(122)と、ロッド部(121)の軸方向の他端側に形成される一対のキー(123,123)とを有している。
レバー部(122)は、回動軸(121a)の軸周りに形成される円板部(124)と、該円板部(124)から径方向外方へ延出するレバー本体(125)とを有している。レバー本体(125)は、板ばね部材(80)の外側に形成されて変位自在な把持部を構成する。円板部(124)には、レバー本体(125)の延伸方向と直交するように径方向外方へ膨出する膨出円弧部(124a)が形成される。膨出円弧部(124a)は、レバー本体(125)を変位させることで板ばね部材(80)を押し付ける第1位置(図13の実線で示す位置)と、板ばね部材(80)の押し付けを解除する第2位置(図13の2点鎖線で示す位置)とに変位する押付部を構成する。
ロッド部(121)は、板ばね部材(80)の挿通穴(87)を介して嵌合溝(100)に挿通される。一対のキー(123,123)は、ロッド部(121)の先端部外周面に一体に形成される。一対のキー(123,123)は、一対のキー溝(104)に嵌合する四角柱状に形成される。一対のキー(123,123)をキー溝(104)を通じて円柱溝(105)内に挿入させた状態で、レバー本体(125)をロッド部(121)の軸心を中心として回転させると、キー(123)が円柱溝(105)の内部に嵌合する。つまり、キー(123)は、嵌合溝(100)に着脱自在に嵌合する嵌合部を構成する。
実施形態3では、作業者がレバー本体(125)を傾動させることで、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に、冷却管(15)を容易に保持することができる。具体的に、ケーシング(40)の本体から前面パネル(41)を取り外した状態で、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を挟み込む。この状態で、作業者は冷却管(15)の後側まで手をのばし、レバー式留め具(120)のキー(123)をキー溝(104)に差し込む。その後、レバー部(122)をつかんでロッド部(121)を軸周りに回転させることで、キー(123)が円柱溝(105)の内部に嵌合して保持される(図11を参照)。
次いで、図13の2点鎖線で示す状態のレバー部(122)を、図13のGの矢印の方向に傾動させると、膨出円弧部(124a)が、板ばね部材(80)の取付板部(84)を徐々に押し込んでいく。これに伴い、一対の対向部(82)は、実施形態2と同様にして、冷却管(15)側に弾性変形する。その結果、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)が保持される。
板ばね部材(80)の押し付けを解除する際には、レバー部(122)を図13のGの矢印方向と反対側に回動させる。これにより、膨出円弧部(124a)が、取付板部(84)から離れて取付板部(84)の押し付けが解除される。
実施形態3においても、レバー部(122)を操作することで、レバー式留め具(120)を冷媒ジャケット(70)に容易に取り付けることができる。このため、実施形態2と同様、電力変換装置(60)や冷却管(15)のレイアウトの自由度を向上できる。その結果、実施形態2と同様、電力変換装置(60)を冷却管(15)の前面側に配置することができ、電力変換装置(60)の部品の交換やメンテナンスも簡便となる。
《発明の実施形態4》
板ばね部材(80)には、図15に示すように、スリット(80a)を設けてもよい。図15の例では、6つのスリット(80a)が設けられている。それぞれのスリット(80a)は、冷却管(15)の直管部(16)に直交する向きで、板ばね部材(80)の外側板部(81)、対向部(82)、及び内側板部(83)に跨って形成されている。この例では、板ばね部材(80)は、2つのビス(91)で、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられている。
冷媒ジャケット(70)が、直管部(16)の伸長方向に長くなるほど、板ばね部材(80)も長くなり、板ばね部材(80)によって直管部(16)に付与する押付け圧力を均一にするのが難しくなる。これに対し、この構成では、スリット(80a)を設けたことによって、板ばね部材(80)が直管部(16)に確実に沿うようにできる。そのため、板ばね部材(80)によって直管部(16,16)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。したがって、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70))との伝熱をより確実に確保できる。
なお、図15に示したスリット(80a)の形状は例示である。またスリット(80a)の数や、ビス(91)の数も例示である。
《発明の実施形態5》
板ばね部材(80)は、図16に示すように、ひとつの冷媒ジャケット(70)に対し、複数設けるようにしてもよい。この例では、ひとつの冷媒ジャケット(70)に、2つの板ばね部材(80)が、直管部(16)の伸長方向に連なって設けられている。それぞれの板ばね部材(80)は、ビス(91)によって、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられている。この構成では、冷媒ジャケット(70)が直管部(16)の伸長方向に長く形成された場合でも、板ばね部材(80)によって直管部(16,16)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。したがって、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)との伝熱をより確実に確保できる。
なお、板ばね部材(80)の数は2つには限定されない。板ばね部材(80)の数は、例えば冷媒ジャケット(70)の大きさに応じて、適宜定めればよい。
《発明の実施形態6》
板ばね部材(80)には、図17(A)、(B)に示すように、補強用ビード(80b)を設けてもよい。補強用ビード(80b)は、ビス(91)で固定される部位(取付板部(84))の近傍に設ける。図17(A)の例では、取付板部(84)に、ビス穴(75)を避けて8つの補強用ビード(80b)が設けられている。それぞれの補強用ビード(80b)は、平面形状が概ね楕円形で、板ばね部材(80)の取付板部(84)に設けられている。それぞれの補強用ビード(80b)は、取付板部(84)にビード(エンボスまたは凸部)加工を施したものであり、冷媒ジャケット(70)とは反対方向に突出している(図17(B))。
例えば、板ばね部材(80)を薄くした場合などには、板ばね部材(80)の剛性が不足し、直管部(16)を押える力が十分に得られない可能性がある。これを防ぐためには、板ばね部材(80)の板厚を厚くすることも考えられるが、コストが高くなったり、希望する板厚材料が得られなかったりすることが考えられる。これに対し、本実施形態では、補強用ビード(80b)を板ばね部材(80)の中央部(取付板部(84))にのみ設けたことにより、板ばね部材(80)の中央部のみ剛性が上がり、板ばね部材(80)のバネ性を残したまま、剛性を上げることができる。したがって、直管部(16)を押える力を十分に得ることができるようになる。
《発明の実施形態7》
図18は、ビス穴(75)の他の構成を示す図である。また、図19は、図18の板ばね部材(80)を取り付けた状態を示す図である。図18に示すように、本実施形態では、板ばね部材(80)には、ひとつのビス穴(75)が設けられている。このビス穴(75)は、ビス(91)の頭が通る大きさの大径部(75a)と、ビス(91)を締め付け可能な大きさの小径部(75b)との複合形状を有している。
板ばね部材(80)をネジ止めする際には、板ばね部材(80)を片手で押えながら、片手でビス(91)をビス穴(75)に挿入しドライバで取り付ける必要があり、ネジ止め作業が困難になる。これに対し、本実施形態のビス穴(75)形状を採用することで、例えば、図20に示す工程で組み立てることが考えられる。
図20の例では、最初に冷媒ジャケット(70)にビス(91)を半分程度締めた状態で取り付けておき、板ばね部材(80)をビス穴(75)の大径部(75a)の部分からネジに挿入し、取付板部(84)を小径部(75b)の部分がネジの部分に来るようにスライドさせる。その後、ドライバによりビス(91)を締め付ける。このように、板ばね部材(80)の仮止めが可能となるため、ビス(91)の締め付けを簡単に行うことができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態において、冷却管(15)と板ばね部材(80)との間に緩衝材(130)を配置してもよい(例えば図14を参照)。緩衝材(130)は、例えばゴム製あるいは合成樹脂製の弾性を有する柔軟な材料で構成される。緩衝材(130)は、冷却管(15)の長手方向に沿って延びるシート状ないし板状に形成され、冷却管(15)の表面に固定される。この緩衝材(130)により、板ばね部材(80)側から冷却管(15)に作用する押し付け力を均一化できる。また、冷却管(15)と板ばね部材(80)とが直接的に接触するのを防止でき、板ばね部材(80)や冷却管(15)の腐食を防止できる。
上記各実施形態では、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)の配管溝部(72)との間に熱伝導グリース(78)を介在させている。しかしながら、この熱伝導グリース(78)に代わって、熱伝導シートを伝熱促進材料として用いてもよい。
上記各実施形態では、冷媒ジャケット(70)に2つの溝部(72)を形成し、各溝部(72)にそれぞれ冷却管(15)を嵌合している。しかしながら、冷媒ジャケット(70)に1つの溝部(72)、あるいは3つ以上の溝部(72)を形成して、対応する溝部(72)に冷却管(15)を嵌合してもよい。この場合にも、上述した取付構造(50)を採用して、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を保持できる。
上記各実施形態は、図1に示すように、1つの室内ユニット(20)と1つの室外ユニット(30)を有する空気調和機(1)であるが、複数の室内ユニット(20)や複数の室外ユニット(30)を有する、いわゆるマルチ式の空気調和機であってもよい。また、冷凍機や給湯器等の他の方式の冷凍装置であってもよい。
上記各実施形態では、高圧の液ラインの冷媒を冷却管(15)に流すようにしているが、高圧のガスライン、あるいは低圧の液ラインやガスラインの冷媒を冷却管(15)に流してもよい。
上記各実施形態では、電力変換装置(60)のパワー素子(63)を被冷却部品としているが、他の種類のスイッチング素子や電気部品を被冷却部品としてもよい。
以上説明したように、本発明は、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却構造における、冷媒配管の取付構造について有用である。
15 冷却管(冷媒配管)
70 冷媒ジャケット(伝熱部材)
72 配管溝部(溝部)
78 熱伝導グリース(伝熱促進材料)
80 板ばね部材(弾性部材)
82 対向部
84 取付板部(被押付部)
86 折り返し部
93 本体部(押付部)
94 把持板(把持部)
96 突出部(嵌合部)
100 嵌合溝
123 キー(嵌合部)
124a 膨出円弧部(押付部)
125 レバー本体(把持部)
本発明は、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却構造における、冷媒配管の取付構造に関するものである。
従来より、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却機構が知られている。例えば特許文献1には、空気調和機の電装部品を被冷却部品とする冷却構造が開示されている。
具体的に、特許文献1の冷却構造は、円弧状の底面を有する溝部が形成された伝熱部材と、冷媒配管を伝熱部材側に向かって圧接するための保持部材とを有している。保持部材は、例えば冷媒配管側が開放するような断面U字状の弾性クリップで構成されている。冷媒配管は、弾性クリップの開放部側から該弾性クリップの内部に挿通される。弾性クリップは、その弾性力により、冷媒配管を伝熱部材側に向かって付勢する。その結果、冷媒配管が伝熱部材に圧接し、冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗が低減される。
特許文献1の保持部材は、冷媒配管と直交する方向に延びる長板をU字状に折り曲げることで、上記のような弾性クリップを構成するようにしている。しかしながら、この保持部材では、冷媒配管を伝熱部材側に向かって押し付けるための押付部の面積が比較的小さくなってしまう。その結果、冷媒配管の押し付けが不十分となり、冷媒配管の取付強度が低下したり、冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗を十分に低減できなかったりする、という問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒配管を確実に保持でき、且つ冷媒配管と伝熱部材との間の熱抵抗を十分に低減できる、冷媒配管の取付構造を提案することにある。
第1の発明は、冷媒配管(15)が嵌合する縦長の溝部(72)を有し、プリント基板(61)に固定される固定部材(52)を介して、該プリント基板(61)上の被冷却部品(63)を挟み込むように、該プリント基板(61)に固定され、前記被冷却部品(63)と熱的に接触する伝熱部材(70)と、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、該冷媒配管(15)に対向する対向部(82)を有する板ばね部材(80)と、上記板ばね部材(80)を上記伝熱部材(70)側に向かう押し付け力の付与及び解除が可能な押付機構(90)とを備え、上記板ばね部材(80)には、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる少なくとも1本の折り返し部(86)が形成されていることを特徴とする
第1の発明では、伝熱部材(70)の溝部(72)と板ばね部材(80)の対向部(82)との間に、冷媒配管(15)が保持される。被冷却部品(63)から発する熱は、伝熱部材(70)、冷媒配管(15)を順に伝導し、冷媒配管(15)を流れる冷媒へ付与される。これにより、被冷却部品(63)が冷却される。
本発明の伝熱部材(70)は、冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、これに対応するように板ばね部材(80)の溝部(72)も縦長に形成される。このため、押付機構(90)によって板ばね部材(80)が伝熱部材(70)側に押し付けられると、板ばね部材(80)と冷媒配管(15)の接触面積や、冷媒配管(15)と溝部(72)の接触面積が比較的大きくなる。
第1の発明の板ばね部材(80)には、冷媒配管(15)の伸長方向に延びる折り返し部(86)が形成される。このため、板ばね部材(80)では、その長手方向における強度が、その幅方向における強度よりも大きくなる。その結果、板ばね部材(80)では、長手方向の剛性を十分確保できる一方、幅方向においてもある程度の弾性を得ることができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記板ばね部材(80)の対向部(82)は、平板状に形成されていることを特徴とする。
第2の発明の板ばね部材(80)では、冷媒配管(15)に対向する対向部(82)が平板状に形成される。これにより、押付機構(90)によって押し付けられる状態の対向部(82)は、冷媒配管(15)の伸長方向において該冷媒配管(15)と実質的に線接触する。
第3の発明は、第1又は2の発明において、上記伝熱部材(70)には、複数の冷媒配管(15)がそれぞれ嵌合する複数の上記溝部(72)が形成され、上記板ばね部材(80)は、上記複数の溝部(72)に跨る1枚の板状に形成されていることを特徴とする。
第3の発明の伝熱部材(70)には、複数の冷媒配管(15)に1つずつ対応するように、複数の溝部(72)が形成される。板ばね部材(80)は、複数の溝部(72)に跨る板状に形成される。板ばね部材(80)が押付機構(90)によって伝熱部材(70)側に押し付けられると、板ばね部材(80)と伝熱部材(70)の間に、複数の冷媒配管(15)が保持される。
第4の発明は、第3の発明において、上記伝熱部材(70)には、2本の上記溝部(72)が形成され、上記板ばね部材(80)には、上記2本の溝部(72)にそれぞれ対向する2つの対向部(82)と、該2つの対向部(82)の間に形成されて上記押付機構(90)に押し付けられる被押付部(84)とが形成されていることを特徴とする。
第4の発明では、伝熱部材(70)の2本の溝部(72)と板ばね部材(80)の2つの対向部(82)との間に、それぞれ冷媒配管(15)が保持される。押付機構(90)は、板ばね部材(80)のうち2つの対向部(82)の間の被押付部(84)を伝熱部材(70)側に押し付ける。これにより、2本の冷媒配管(15)には、比較的均等に押し付け力が作用する。
第5の発明は、第1から第4の何れか1つの発明において、上記伝熱部材(70)の溝部(72)と、上記冷媒配管(15)との間には、伝熱を促進するための伝熱促進材料(78)が介設されることを特徴とする。
第5の発明では、伝熱部材(70)の溝部(72)に伝熱促進用の伝熱促進材料(78)が介設される。その結果、伝熱部材(70)と冷媒配管(15)との間の熱抵抗が小さくなる。
第6の発明は、第1から5の何れか1つの発明において、上記板ばね部材(80)には、スリット(80a)が形成されていることを特徴とする。
第7の発明は、第1から第6の何れか1つの発明において、上記板ばね部材(80)は、上記伸長方向に連なって複数設けられていることを特徴とする。
第8の発明は、第1から7の何れか1つの発明において、上記板ばね部材(80)は、上記押付機構(90)が押し付けられる部位の近傍には、補強用ビード(80b)が設けられていることを特徴とする。
第9の発明は、冷媒配管(15)が嵌合する縦長の溝部(72)を有し、被冷却部品(63)と熱的に接触する伝熱部材(70)と、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、該冷媒配管(15)に対向する対向部(82)を有する弾性部材(80)と、上記弾性部材(80)を上記伝熱部材(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)と、を備え、上記伝熱部材(70)には、嵌合溝(100)が形成され、上記押付機構(90)は、上記嵌合溝(100)に着脱自在に嵌合する嵌合部(96,123)と、上記弾性部材(80)の外側に変位可能に配置される把持部(94,125)と、該把持部(94,125)を変位させることで上記弾性部材(80)を押し付ける第1位置と、該弾性部材(80)の押し付けを解除する第2位置とに変位する押付部(93,124a)とを有することを特徴とする。
第9の発明では、伝熱部材(70)の嵌合溝(100)に押付機構(90)の嵌合部を嵌合させることで、伝熱部材(70)に対して押付機構(90)が着脱自在となる。また、作業者が把持部(94,125)を操作して押付部(93,124a)を第1位置と第2位置とに変位させることで、弾性部材(80)の押し付けと、その押し付けの解除とを容易に切り換えることができる。
第10の発明は、第9の発明において、上記弾性部材(80)には、スリット(80a)が形成されていることを特徴とする。
この構成では、この構成では、スリット(80a)を設けたことによって、板ばね部材(80)が直管部(16)に確実に沿うようにできる。したがって、スリット(80a)によって、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。
第11の発明は、第9又は10の発明において、上記弾性部材(80)は、上記伸長方向に連なって複数設けられていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)を複数にしたことによって、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。
第12の発明は、第9から11のいずれか1つの発明において、上記弾性部材(80)は、上記押付機構(90)が押し付けられる部位の近傍には、補強用ビード(80b)が設けられていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)の剛性を高めることが可能になる。
第13の発明は、冷媒配管(15)が嵌合する縦長の溝部(72)を有し、被冷却部品(63)と熱的に接触する伝熱部材(70)と、上記冷媒配管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、該冷媒配管(15)に対向する対向部(82)を有する弾性部材(80)と、上記弾性部材(80)を上記伝熱部材(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)と、を備え、上記伝熱部材(70)には、上記冷媒配管(15)がそれぞれ嵌合する2本の上記溝部(72)が形成され、上記弾性部材(80)は、上記複数の溝部(72)に跨る1枚の板状に形成されるとともに、上記2本の溝部(72)にそれぞれ対向する2つの対向部(82)と、該2つの対向部(82)の間に形成されて上記押付機構(90)に押し付けられる被押付部(84)とが形成され、上記押付機構(90)は、ビス(91)であり、上記板ばね部材(80)には、上記ビス(91)の頭が通る大きさの大径部(75a)と、上記ビス(91)を締め付け可能な大きさの小径部(75b)との複合形状を有したビス穴(75)が形成されていることを特徴とする。
この構成では、弾性部材(80)の仮止めが可能となる。
本発明によれば、板ばね部材(80)を冷媒配管(15)の伸長方向に延ばすことで、板ばね部材(80)と冷媒配管(15)との接触面積を拡大できる。これにより、冷媒配管(15)を確実に伝熱部材(70)側に押し付けることができ、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との間の熱抵抗を低減できる。また、伝熱部材(70)の溝部(72)を冷媒配管(15)の伸長方向に延ばすことで、伝熱部材(70)と冷媒配管(15)との伝熱面積も十分に確保できる。従って、被冷却部品(63)の冷却性能を十分に確保できる。また、本発明によれば、板ばね部材(80)と伝熱部材(70)との間に冷媒配管(15)を確実に保持できる。
特に第1の発明では、板ばね部材(80)に折り返し部(86)を形成することで、板ばね部材(80)の長手方向における剛性を十分に確保できる。これにより、板ばね部材(80)に作用する押し付け力が、冷媒配管(15)の伸長方向において比較的均一になり易い。その結果、冷媒配管(15)の取付強度を十分に確保でき、且つ冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の熱抵抗も低減できる。また、このようにすると、板ばね部材(80)の幅方向においては、折り返し部(86)によってある程度のばね性を確保できる。従って、板ばね部材(80)を伝熱部材(70)側に向かって十分に変形させることができ、所望の押し付け力を得ることができる。
第2の発明では、板ばね部材(80)の対向部(82)を平板状に形成することで、対向部(82)と冷媒配管(15)とを、該冷媒配管(15)の伸長方向において線接触させることができる。これにより、押付機構(90)に押し付けられる状態の対向部(82)が、冷媒配管(15)の軸周りに若干傾いたとしても、対向部(82)と冷媒配管(15)との線接触が維持される。その結果、冷媒配管(15)を板ばね部材(80)によって確実に押し付けることができる。従って、冷媒配管(15)の取付強度を更に向上でき、且つ冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の伝熱も十分に確保できる。
第3の発明では、伝熱部材(70)に複数の溝部(72)を形成し、これらの複数の溝部(72)に跨って板ばね部材(80)を形成している。このため、伝熱部材(70)や板ばね部材(80)の部品点数を削減しながら、伝熱部材(70)と板ばね部材(80)との間に複数の冷媒配管(15)を保持できる。
特に第4の発明では、伝熱部材(70)と板ばね部材(80)との間に2つの冷媒配管(15)を保持できる。しかも、板ばね部材(80)では、2つの溝部(72)の間に被押付部(84)を形成している。このため、1つの押付機構(90)により、2つの対向部(82)による各冷媒配管(15)の押し付け力を均一化できる。その結果、2つの冷媒配管(15)の取付強度をそれぞれ確保しながら、両者の冷媒配管(15)と伝熱部材(70)の熱抵抗も低減できる。
第5の発明では、伝熱促進材料(78)により、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との間の熱抵抗を更に低減できる。
第9の発明では、押付機構(90)の嵌合部(96,123)を伝熱部材(70)の嵌合溝に着脱自在に嵌合させ、且つ押付機構(90)の把持部(94,125)を操作して弾性部材(80)の押し付けを切り換える構造としている。このため、押付機構(90)の取付や、弾性部材(80)の押し付けの操作を比較的容易に行うことができる。従って、冷媒配管(15)の取付構造の設置作業が容易となり、冷媒配管(15)や被冷却部品(63)のレイアウトの自由度も向上する。
第10、及び第11の発明のそれぞれによれば、弾性部材(80)が冷却管(15)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になるので、冷媒配管(15)と伝熱部材(70)との伝熱をより確実に確保できる。
第12の発明によれば、配管を押える力を十分に得ることができるようになる。
第13の発明によれば、ビス(91)の締め付けを簡単に行うことができる。
図1は、実施形態1に係る空気調和機の概略の配管系統図である。
図2は、実施形態1に係る室外ユニットの概略の横断面図である。
図3は、実施形態1に係る取付構造の正面図である。
図4は、図3のB−B線断面図である。
図5は、実施形態2に係る室外ユニットの概略の横断面図である。
図6は、実施形態2に係る取付構造の背面図である。
図7は、図6のD−D線断面図である。
図8は、実施形態2に係る板ばね部材の後面図である。
図9は、実施形態2に係る押付機構の側面図である。
図10は、実施形態3に係る取付構造の後面図である。
図11は、図10のE−E線断面図である。
図12は、実施形態3に係る冷媒ジャケットの後面図である。
図13は、図11のF−F線断面図である。
図14は、その他の実施形態に係る取付構造における、図2相当図である。
図15は、実施形態4の板ばね部材を示す正面図である。
図16は、実施形態5の板ばね部材を示す正面図である。
図17は、(A)は実施形態6の板ばね部材を示す正面図であり、(B)は、補強用ビードの断面図である。
図18は、ビス穴の他の構成を示す図である。
図19は、図18の板ばね部材を取り付けた状態を示す図である。
図20は、板ばね部材の取付工程を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明に係る実施形態は、冷媒回路(10)を有して冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う空気調和機(1)である。空気調和機(1)は、室内に設置される室内ユニット(20)と、室外に設置される室外ユニット(30)とを有している。室内ユニット(20)と室外ユニット(30)とが、2本の連絡配管(11,12)によって互いに接続されることで、閉回路となる冷媒回路(10)が構成される。冷媒回路(10)には、冷媒が充填される。冷媒回路(10)の冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
〈室内ユニット〉
室内ユニット(20)は、室内熱交換器(21)と室内ファン(22)と室内膨張弁(23)とを有している。室内熱交換器(21)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成される。室内熱交換器(21)では、その伝熱管の内部を流れる冷媒と、室内ファン(22)が送風する空気とが熱交換する。室内膨張弁(23)は、例えば電子膨張弁で構成される。
〈室外ユニット〉
室外ユニット(30)は、室外熱交換器(31)と室外ファン(32)と室外膨張弁(33)と圧縮機(34)と四方切換弁(35)とを有している。室外熱交換器(31)は、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成される。室外熱交換器(31)では、その伝熱管の内部を流れる冷媒と、室外ファン(32)が送風する空気とが熱交換する。室外膨張弁(33)は、例えば電子膨張弁で構成される。圧縮機(34)は、例えばスクロール圧縮機等の回転式圧縮機で構成される。四方切換弁(35)は、第1から第4までのポートを有し、冷媒回路(10)の冷媒の循環方向を切り換えるように構成される。四方切換弁(35)は、冷房運転時に第1ポートと第2ポートを連通させ且つ第3ポートと第4ポートを連通させる状態(図1の実線で示す状態)となり、暖房運転時に第1ポートと第3ポートを連通させ且つ第2ポートと第4ポートとを連通させる状態(図1の破線で示す状態)となる。
図2に示すように、室外ユニット(30)は、箱形のケーシング(40)を有している。ケーシング(40)は、前面パネル(41)、後面パネル(42)、第1側面パネル(43)、及び第2側面パネル(44)を有している。前面パネル(41)は、室外ユニット(30)の前側に形成される。前面パネル(41)には、室外空気が吸い込まれる吸込口(41a)が形成される。前面パネル(41)は、ケーシング(40)の本体に対して着脱自在に構成される。後面パネル(42)は、室外ユニット(30)の後側に形成される。後面パネル(42)には、室外空気が吹き出される吹出口(42a)が形成される。第1側面パネル(43)は、室外ユニット(30)の幅方向(図2の矢印Aで示す方向)の一端側に形成される。第1側面パネル(43)には、吹出口(43a)が形成される。第2側面パネル(44)は、室外ユニット(30)の幅方向の他端側に形成される。
ケーシング(40)は、縦仕切板(45)と横仕切板(46)とを有している。ケーシング(40)の内部空間は、縦仕切板(45)によって幅方向に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち第1側面パネル(43)側の空間は、熱交換器室(47)を構成する。これらの空間のうち第2側面パネル(44)側の空間は、横仕切板(46)によって更に前後に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち後側の空間が圧縮機室(48)を構成し、前側の空間が電装品室(49)を構成する。
〈電装品室内の構成機器〉
電装品室(49)内の構成部品について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。電装品室(49)内には、電力変換装置(60)、冷媒ジャケット(70)、冷却管(15)が収容されている。電力変換装置(60)は、圧縮機(34)のモータへ電力を供給するとともに、該モータの回転数を制御する。電力変換装置(60)は、プリント基板(61)と、該プリント基板(61)にリード線(62)を介して取り付けられるパワー素子(63)とを有している。プリント基板(61)は、例えば支持部材(51)を介して横仕切板(46)に固定される。なお、プリント基板(61)をケーシング(40)内の他の部位に固定してもよい。
本実施形態のパワー素子(63)は、プリント基板(61)の前側に配置される。パワー素子(63)は、例えばインバータ回路のスイッチング素子を構成する。パワー素子(63)は、圧縮機(34)の運転時に発熱する発熱部品であり、冷媒ジャケット(70)の被冷却部品を構成する。パワー素子(63)は、動作可能な温度(例えば90℃)を越えないように冷媒ジャケット(70)によって冷却される。
冷媒ジャケット(70)は、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属材料で構成される。冷媒ジャケット(70)は、パワー素子(63)の表面(前面側)に接触して配置され、パワー素子(63)と熱的に接触している。冷媒ジャケット(70)は、前後に扁平な略板状に形成される。冷媒ジャケット(70)は、枠状の固定部材(52)を介してプリント基板(61)に固定される。固定部材(52)は、冷媒ジャケット(70)の外周縁部(70a)が嵌合する枠本体(52a)と、該枠本体(52a)に嵌合した冷媒ジャケット(70)を外側から保持する複数の爪部(52b,52b,52b,52b)とを有している。これにより、冷媒ジャケット(70)は、固定部材(52)に着脱自在に取り付けられる。
冷却管(15)は、冷媒回路(10)の冷媒配管の一部を構成している。本実施形態の冷却管(15)は、冷媒回路(10)における高圧の液ラインに接続される。つまり、冷却管(15)には、熱交換器(21,31)で凝縮した後の高圧の液冷媒が流通する。冷却管(15)は、2本の直管部(16,16)と、該直管部(16,16)の端部同士を互いに連結するU字管部(17)とを有している。2本の直管部(16,16)は、各々の伸長方向が略平行となるように、互いに隣接して配置される。
〈冷却配管の取付構造〉
冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)に取り付けるための取付構造(50)について、図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の取付構造(50)は、1つの冷媒ジャケット(70)と、1つの板ばね部材(80)と、1つのビス(91)とを有している。
冷媒ジャケット(70)は、冷却管(15)の直管部(16)の伸長方向に沿って延びている。冷媒ジャケット(70)のうちプリント基板(61)と反対側の面(71)には、一対の配管溝部(72,72)と、一対の凹部(73,73)と、1つの中間部(74)とが形成される。
配管溝部(72)は、冷却管(15)の直管部(16)に沿うように、冷媒ジャケット(70)の長手方向に延びている。配管溝部(72)は、冷却管(15)の軸直角断面の形状が、略円弧状に形成される。配管溝部(72)は、冷却管(15)の外周面の一部が嵌合する溝部を構成する。冷却管(15)と配管溝部(72)との間には、熱伝導グリース(78)が介設される。熱伝導グリース(78)は、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の微小な隙間を埋めることで熱抵抗を低減させ、該冷却管(15)と配管溝部(72)との間の伝熱を促進させる伝熱促進材料を構成する。
一対の凹部(73,73)は、一対の配管溝部(72,72)の間に配置されている。凹部(73)は、冷媒ジャケット(70)の長手方向の両端に亘って直線状に延びている。凹部(73)の内部には、板ばね部材(80)のV字折り返し部(86c)が配置される(詳細は後述する)。
中間部(74)は、一対の凹部(73,73)の間に形成される。中間部(74)には、ビス穴(75)が形成される。ビス穴(75)は、冷媒ジャケット(70)の中心部に形成される。即ち、ビス穴(75)は、冷媒ジャケット(70)の長手方向の中間部位で、且つ冷媒ジャケット(70)の幅方向の中間部位に配置される。
板ばね部材(80)は、板状のバネ鋼板が折り返されて成型される。板ばね部材(80)は、冷却管(15)の伸長方向に沿って延びる長板状に形成され、冷媒ジャケット(70)に対向して配置される。板ばね部材(80)は、冷媒ジャケット(70)の2つの配管溝部(72,72)に跨っている。板ばね部材(80)は、一対の外側板部(81,81)と、一対の対向部(82,82)と、一対の内側板部(83,83)と、1つの取付板部(84)とを有し、冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に付勢する弾性部材を構成する。
外側板部(81)は、板ばね部材(80)の幅方向の両側端部にそれぞれ形成される。外側板部(81)は、対向部(82)から冷却管(15)の直管部(16)側に向かって屈曲する平板状に形成される。
対向部(82)は、冷却管(15)の直管部(16)に対向するように、該直管部(16)の伸長方向に沿って延びている。つまり、対向部(82)は、冷媒ジャケット(70)の配管溝部(72)に相対する位置に形成される。対向部(82)は、直管部(16)の外周面と実質的に線接触するような平板状に形成される。
内側板部(83)は、対向部(82)よりも板ばね部材(80)の幅方向の中間部寄りに形成される。内側板部(83)は、対向部(82)から冷却管(15)の直管部(16)側に向かって屈曲する平板状に形成される。板ばね部材(80)では、外側板部(81)、対向部(82)、及び内側板部(83)が、直管部(16)を外側から囲んでいる。
取付板部(84)は、一対の内側板部(83)に介在するように、板ばね部材(80)の幅方向の中間部に形成される。取付板部(84)は、直管部(16)の伸長方向に延びる平板状に形成され、冷媒ジャケット(70)の中間部(74)に沿っている。取付板部(84)の中心部には、冷媒ジャケット(70)のビス穴(75)に対応するように、貫通穴(85)が形成される。
板ばね部材(80)には、6本の折り返し部(86)が形成される。各折り返し部(86)は、板ばね部材(80)の長手方向に直線状に形成される。6本の折り返し部(86)は、一対の外側折り返し部(86a,86a)と、一対の内側折り返し部(86b,86b)と、一対のV字折り返し部(86c,86c)とで構成される。外側折り返し部(86a)は、外側板部(81)と対向部(82)との間に形成され、内側折り返し部(86b)は、対向部(82)と内側板部(83)との間に形成される。V字折り返し部(86c)は、内側板部(83)と取付板部(84)との間に形成される。V字折り返し部(86c)は、冷媒ジャケット(70)の凹部(73)の内部に向かって略V字状に突出している。これらの折り返し部(86)は、板ばね部材(80)の長手方向の剛性を増大させるための補強リブとして機能する。これにより、板ばね部材(80)では、幅方向の剛性よりも長手方向の剛性が大きくなっている。なお、折り返し部(86)を、例えば略U字状の折り返し形状としてもよい。
本実施形態において、ビス(91)は、板ばね部材(80)を冷媒ジャケット(70)側に向かって押し付ける押付機構(90)を構成する。取付板部(84)は、ビス(91)の締め付けに伴い冷媒ジャケット(70)側に押し付けられる、被押付部を構成する。
−運転動作−
空気調和機(1)の運転動作について図1を参照しながら説明する。空気調和機(1)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。
〈冷房運転〉
冷房運転では、圧縮機(34)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(31)で凝縮する。凝縮した冷媒は、例えば全開状態の室外膨張弁(33)を通過し、冷却管(15)を流れる。
圧縮機(34)の運転時には、パワー素子(63)が発熱する。このため、パワー素子(63)の熱は、冷媒ジャケット(70)、熱伝導グリース(78)、冷却管(15)を順に伝わり、冷却管(15)内の冷媒へ付与される。その結果、パワー素子(63)が冷却され、パワー素子(63)が動作可能な所定温度に維持される。
冷却管(15)を流れた冷媒は、室内膨張弁(23)で減圧された後、室内熱交換器(21)で蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。蒸発した冷媒は、圧縮機(34)に吸入されて圧縮される。
〈暖房運転〉
暖房運転では、圧縮機(34)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(21)で凝縮する。これにより、室内空気が加熱される。凝縮した冷媒は、例えば全開状態の室内膨張弁(23)を通過し、冷却管(15)を流れる。この冷媒は、上記の冷房運転と同様にして、パワー素子(63)の冷却に利用される。冷却管(15)を流れた冷媒は、室外膨張弁(33)で減圧された後、室外熱交換器(31)で蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(34)に吸入されて圧縮される。
−冷却配管の取付構造について−
取付構造(50)では、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)にそれぞれ冷却管(15)が嵌合する。この状態で、冷媒ジャケット(70)に対向して板ばね部材(80)を配置する。冷媒ジャケット(70)のビス穴(75)と板ばね部材(80)の貫通穴(85)との位置を合わせ、ビス(91)をビス穴(75)に締結する。この締結作業は、前面パネル(41)をケーシング(40)の本体から取り外した状態で行われる。なお、ケーシング(40)の外部において、冷媒ジャケット(70)と板ばね部材(80)をビス(91)によって仮締めした後、冷媒ジャケット(70)と板ばね部材(80)との間に冷却管(15)を挟み込んでビス(91)を本締めすると、ビス(91)の締結作業を簡便に行うことができる。
ビス(91)を締結すると、板ばね部材(80)の取付板部(84)が、冷媒ジャケット(70)側に押し付けられる。これに伴い、取付板部(84)と連結する一対の対向部(82)が、冷媒ジャケット(70)側に弾性変形する。この際、V字折り返し部(86c)により、板ばね部材(80)のばね性が向上し、対向部(82)を確実に冷媒ジャケット(70)側に変位させることができる。一方で、複数の折り返し部(86)によって板ばね部材(80)の長手方向の剛性が向上するため、直管部(16)には、伸長方向に亘って比較的均等に押し付け力が作用する。また、ビス(91)は、取付板部(84)における長手方向の中間部に締結されるため、板ばね部材(80)における長手方向の押し付け力も均一化され易い。
また、一対の対向部(82,82)の間の取付板部(84)をビス(91)によって押し付けるようにしているため、2つの対向部(82)による冷却管(15)の押し付け力も均一化し易い。また、1つのビス(91)により、2本の冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に押し付けることができるので、部品点数を削減でき、組立ての工数も削減できる。
以上のようにして、2本の冷却管(15)が、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)側に向かって付勢される。これにより、冷媒ジャケット(70)の各配管溝部(72)と板ばね部材(80)の各対向部(82)との間に、各冷却管(15)が狭持される。このように冷却管(15)に板ばね部材(80)を圧接することで、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)との隙間が縮小され、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)の熱抵抗が小さくなる。また、冷却管(15)と配管溝部(72)との間には、熱伝導グリース(78)が介在するため、この熱伝導グリース(78)によって冷却管(15)と配管溝部(72)との間の僅かな隙間を埋めることができる。これにより、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の熱抵抗が更に低減される。
板ばね部材(80)は、ある程度の柔軟性を有するため、板ばね部材(80)の加工精度が若干低下しても、板ばね部材(80)によって冷却管(15)を十分に押し付けることができる。更に、対向部(82)は平板状に形成されているため、対向部(82)が冷却管(15)の軸周りに若干傾いても、対向部(82)と冷却管(15)との間の線接触が維持される。従って、冷却管(15)を確実に冷媒ジャケット(70)側に押し付けることができる。
対向部(82)及び配管溝部(72)は、冷却管(15)の直管部(16)の伸長方向に延びている。このため、対向部(82)と直管部(16)との接触面積が拡大され、直管部(16)の押し付け力を十分に確保できる。また、対向部(82)と配管溝部(72)との間に冷却管(15)を確実に保持できる。更に、冷却管(15)と配管溝部(72)との間の伝熱面積も十分に確保できる。従って、本実施形態では、パワー素子(63)の冷却効果を十分に発揮でき、パワー素子(63)の発熱を抑制できる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、冷却管(15)と配管溝部(72)との間における、冷却管(15)の取付強度を増大でき、且つパワー素子(63)から冷却管(15)に至るまでの伝熱を促進できる。従って、パワー素子(63)を確実且つ効果的に冷却できる。その結果、電力変換装置(60)、ひいては空気調和機(1)の信頼性を十分に確保できる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2に係る空気調和機(1)は、上記実施形態と冷却管(15)の取付構造(50)の構成が異なるものである。以下には、上記実施形態1と異なる点について、図5〜図9を参照しながら説明する。
図5に示すように、実施形態2の空気調和機(1)では、電力変換装置(60)が前面パネル(41)側に面して配置され、冷却管(15)が電力変換装置(60)の後側に配置される。
電力変換装置(60)では、前面パネル(41)の裏面側にプリント基板(61)が配置され、プリント基板(61)の後側にパワー素子(63)が配置される。プリント基板(61)は、支持部材(51)を介してケーシング(40)に固定される。支持部材(51)は、前面パネル(41)が着脱できるように、例えばケーシング(40)の天板や他の部材に固定される。
パワー素子(63)の表面(後側面)には、冷媒ジャケット(70)が固定される。冷媒ジャケット(70)の表面(後側面)には、実施形態1と同様にして、配管溝部(72)が形成される。板ばね部材(80)は、冷却管(15)を冷媒ジャケット(70)側に付勢する。
図7に示すように、実施形態2の冷媒ジャケット(70)には、嵌合溝(100)が形成されている。嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)の中間部(74)において、該冷媒ジャケット(70)の長手方向の両端に亘って形成される。即ち、嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)を長手方向に押出成型することで容易に加工される。
嵌合溝(100)は、中間部(74)の表面に形成される外溝(101)と、該外溝(101)と連通して中間部(74)の内部に形成される内溝(102)とで構成される。外溝(101)及び内溝(102)は、中間部(74)の幅方向の中間部位に形成される。外溝(101)と内溝(102)とは、幅方向の中心位置が互いに一致している。内溝(102)の幅は、外溝(101)の幅よりも大きくなっている。
図8に示すように、実施形態2の板ばね部材(80)の取付板部(84)には、長手方向の中間部位且つ幅方向の中間部位に、挿入孔(110)が形成される。挿入孔(110)の内周縁部には、一対の矩形部(111)と、一対の円弧部(112)とが周方向に交互に配列される。一対の矩形部(111)は、互いに対向するように嵌合溝(100)の長手方向に配列される。一対の矩形部(111)において、互いに対向する辺(111a,111a)同士の間隔は、内溝(102)の幅と概ね等しくなっている。一対の円弧部(112)は、互いに対向するように嵌合溝(100)の長手方向の直交して配列される。各円弧部(112)の周方向の中間部位には、径方向内方へ突出するように段差部(112a)が形成される。
図6、図7、及び図9に示すように、実施形態2の押付機構(90)は、回転式留め具(92)で構成される。回転式留め具(92)は、円柱状の本体部(93)と、該本体部(93)の軸方向の一端側に形成される把持板(94)と、本体部(93)の軸方向の他端側に形成される回転軸(95)と、回転軸(95)の先端部に形成される一対の突出ピン(96,96)とを有している。
把持板(94)は、本体部(93)の軸心を通過するように径方向外方に延びる長板状に形成される。把持板(94)は、板ばね部材(80)の外側に配置される把持部を構成する。把持板(94)は、図6の二点鎖線で示す位置と、図6の実線で示す位置との間を、回動自在に変位する。
本体部(93)は、板ばね部材(80)の取付板部(84)を押し付けるための押付部を構成する。具体的に、本体部(93)には、軸方向における把持板(94)と逆側の端面に、取付板部(84)と接触する押付面(93a)が形成される。本体部(93)は、把持板(94)の回動に伴い、押付面(93a)が板ばね部材(80)を押し付ける位置(第1位置、図6を参照))と、押付面(93a)による板ばね部材(80)の押し付けが解除される位置(第2位置、図示省略)とに変位する。
回転軸(95)は、本体部(93)よりも小径の略円柱状に形成される。回転軸(95)は、本体部(93)と同軸となるように該本体部(93)と一体に形成される。回転軸(95)は、板ばね部材(80)の挿入孔(110)に挿通される。図9に示すように、回転軸(95)の外周面には、本体部(93)の近傍にストッパ部(95a)が形成されている。ストッパ部(95a)は、回転軸(95)の表面から径方向外方に突出する突起部で構成される。ストッパ部(95a)は、板ばね部材(80)の段差部(112a)(図8を参照)と当接することで、回転式留め具(92)の回転を規制する。これにより、回転式留め具(92)は、約90°の回転角度範囲を超える回動が禁止される。
回転軸(95)の外周面には、本体部(93)の近傍に環状溝(95b)が形成される。環状溝(95b)には、板ばね部材(80)の挿入孔(110)に回転軸(95)が挿通された状態において、ワッシャや、いわゆるEリング等のリング状部材が固定される(図示省略)。これにより、回転式留め具(92)に板ばね部材(80)を一体的に保持できる。
一対の突出ピン(96,96)は、回転軸(95)の外周縁部から径方向外方に突出している。一対の突出ピン(96,96)は、互いに等ピッチを置くように配列される。本実施形態の突出ピン(96,96)の突出方向は、把持板(94)の長手方向と略一致している。
突出ピン(96)は、その突出方向と直角な断面形状が、略台形状に形成される。より詳細に、突出ピン(96)には、回転軸(95)の先端面と略面一な矩形面(96a)と、本体部(93)側に位置して矩形面(96a)に対して斜めに傾斜する傾斜面(96b)とが形成される。傾斜面(96b)は、回転式留め具(92)を冷媒ジャケット(70)に取り付けるための回転方向(図6における矢印Cの方向)に進むにつれて、回転軸(95)の先端面に近づくように斜めに傾斜している。一対の突出ピン(96)は、板ばね部材(80)の挿入孔(110)の各矩形部(111)、及び冷媒ジャケット(70)の嵌合溝(100)に嵌合可能な嵌合部を構成する。
実施形態2では、作業者が把持板(94)をつかんで回転式留め具(92)を回動させることで、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に、冷却管(15)を容易に保持することができる。具体的に、ケーシング(40)の本体から前面パネル(41)を取り外した状態で、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を挟み込む。この状態で、作業者は冷却管(15)の後側まで手をのばし、回転式留め具(92)の突出ピン(96)を、挿入孔(110)の各矩形部(111)を通じて嵌合溝(100)に嵌め込む。つまり、突出ピン(96)は、嵌合溝(100)の長手方向を向くような状態で、内溝(102)の底部まで差し込まれる。この状態(即ち、図6の二点鎖線で示す状態)の把持板(94)を、矢印Cの方向に回動させる。これにより、突出ピン(96)は、その傾斜面(96b)が円弧部(112)に案内されるようにして、内溝(102)の幅方向を向く状態(図7に示す状態)となる。その結果、突出ピン(96)が、嵌合溝(100)の内部に保持されるとともに、回転式留め具(92)が冷媒ジャケット(70)側へ変位し、本体部(93)が板ばね部材(80)を押し付ける状態となる。以上のようにして、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられると、一対の対向部(82)は、実施形態1と同様にして、冷却管(15)側に弾性変形する。その結果、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)が保持される。
板ばね部材(80)の押し付けを解除する際には、把持板(94)を図6のCの矢印方向と反対側に回動させる。これにより、突出ピン(96)が外溝(101)に沿う状態となる。この状態で、把持板(94)を後側(冷媒ジャケット(70)と反対側)に引っ張ることで、嵌合溝(100)から突出ピン(96)から外れ、板ばね部材(80)の押し付けが解除される。
以上のように、実施形態2では、突出ピン(96)を嵌合溝(100)に嵌合させ、把持板(94)を回動させて板ばね部材(80)の押し付ける構造としている。このため、上述のように、冷却管(15)の後側からでも板ばね部材(80)を容易に着脱できる。従って、実施形態2では、電力変換装置(60)を冷却管(15)の前面側(即ち、ケーシング(40)の外部側寄り)に配置することでき、電力変換装置(60)の部品の交換やメンテナンスも簡便となる。
また、実施形態2では、回転式留め具(92)の突出ピン(96)を内溝(102)に沿って自由に位置決めできる。つまり、実施形態2では、冷媒ジャケット(70)に対して突出ピン(96)の位置を自由に決めることができ、取付作業の容易化を図ることができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3に係る空気調和機(1)は、上記実施形態と冷却管(15)の取付構造(50)の構成が異なるものである。以下には、実施形態2と異なる点について、図10〜図13を参照しながら説明する。
実施形態3の冷媒ジャケット(70)の嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)を厚さ方向に貫通している。嵌合溝(100)は、中間部(74)の中心位置に形成される。嵌合溝(100)は、冷媒ジャケット(70)の表面側(板ばね部材(80)側)に形成される一対のキー溝(104)と、該キー溝(104)の奥側に形成される円柱溝(105)とを有している。
実施形態3の押付機構(90)は、レバー式留め具(120)で構成される。レバー式留め具(120)は、円柱状のロッド部(121)と、該ロッド部(121)の軸方向の一端側に回動軸(121a)を介して傾動自在に枢支されるレバー部(122)と、ロッド部(121)の軸方向の他端側に形成される一対のキー(123,123)とを有している。
レバー部(122)は、回動軸(121a)の軸周りに形成される円板部(124)と、該円板部(124)から径方向外方へ延出するレバー本体(125)とを有している。レバー本体(125)は、板ばね部材(80)の外側に形成されて変位自在な把持部を構成する。円板部(124)には、レバー本体(125)の延伸方向と直交するように径方向外方へ膨出する膨出円弧部(124a)が形成される。膨出円弧部(124a)は、レバー本体(125)を変位させることで板ばね部材(80)を押し付ける第1位置(図13の実線で示す位置)と、板ばね部材(80)の押し付けを解除する第2位置(図13の2点鎖線で示す位置)とに変位する押付部を構成する。
ロッド部(121)は、板ばね部材(80)の挿通穴(87)を介して嵌合溝(100)に挿通される。一対のキー(123,123)は、ロッド部(121)の先端部外周面に一体に形成される。一対のキー(123,123)は、一対のキー溝(104)に嵌合する四角柱状に形成される。一対のキー(123,123)をキー溝(104)を通じて円柱溝(105)内に挿入させた状態で、レバー本体(125)をロッド部(121)の軸心を中心として回転させると、キー(123)が円柱溝(105)の内部に嵌合する。つまり、キー(123)は、嵌合溝(100)に着脱自在に嵌合する嵌合部を構成する。
実施形態3では、作業者がレバー本体(125)を傾動させることで、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に、冷却管(15)を容易に保持することができる。具体的に、ケーシング(40)の本体から前面パネル(41)を取り外した状態で、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を挟み込む。この状態で、作業者は冷却管(15)の後側まで手をのばし、レバー式留め具(120)のキー(123)をキー溝(104)に差し込む。その後、レバー部(122)をつかんでロッド部(121)を軸周りに回転させることで、キー(123)が円柱溝(105)の内部に嵌合して保持される(図11を参照)。
次いで、図13の2点鎖線で示す状態のレバー部(122)を、図13のGの矢印の方向に傾動させると、膨出円弧部(124a)が、板ばね部材(80)の取付板部(84)を徐々に押し込んでいく。これに伴い、一対の対向部(82)は、実施形態2と同様にして、冷却管(15)側に弾性変形する。その結果、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)が保持される。
板ばね部材(80)の押し付けを解除する際には、レバー部(122)を図13のGの矢印方向と反対側に回動させる。これにより、膨出円弧部(124a)が、取付板部(84)から離れて取付板部(84)の押し付けが解除される。
実施形態3においても、レバー部(122)を操作することで、レバー式留め具(120)を冷媒ジャケット(70)に容易に取り付けることができる。このため、実施形態2と同様、電力変換装置(60)や冷却管(15)のレイアウトの自由度を向上できる。その結果、実施形態2と同様、電力変換装置(60)を冷却管(15)の前面側に配置することができ、電力変換装置(60)の部品の交換やメンテナンスも簡便となる。
《発明の実施形態4》
板ばね部材(80)には、図15に示すように、スリット(80a)を設けてもよい。図15の例では、6つのスリット(80a)が設けられている。それぞれのスリット(80a)は、冷却管(15)の直管部(16)に直交する向きで、板ばね部材(80)の外側板部(81)、対向部(82)、及び内側板部(83)に跨って形成されている。この例では、板ばね部材(80)は、2つのビス(91)で、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられている。
冷媒ジャケット(70)が、直管部(16)の伸長方向に長くなるほど、板ばね部材(80)も長くなり、板ばね部材(80)によって直管部(16)に付与する押付け圧力を均一にするのが難しくなる。これに対し、この構成では、スリット(80a)を設けたことによって、板ばね部材(80)が直管部(16)に確実に沿うようにできる。そのため、板ばね部材(80)によって直管部(16,16)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。したがって、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70))との伝熱をより確実に確保できる。
なお、図15に示したスリット(80a)の形状は例示である。またスリット(80a)の数や、ビス(91)の数も例示である。
《発明の実施形態5》
板ばね部材(80)は、図16に示すように、ひとつの冷媒ジャケット(70)に対し、複数設けるようにしてもよい。この例では、ひとつの冷媒ジャケット(70)に、2つの板ばね部材(80)が、直管部(16)の伸長方向に連なって設けられている。それぞれの板ばね部材(80)は、ビス(91)によって、取付板部(84)が冷媒ジャケット(70)側に押し付けられている。この構成では、冷媒ジャケット(70)が直管部(16)の伸長方向に長く形成された場合でも、板ばね部材(80)によって直管部(16,16)に付与する圧力を、容易に均一化することが可能になる。したがって、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)との伝熱をより確実に確保できる。
なお、板ばね部材(80)の数は2つには限定されない。板ばね部材(80)の数は、例えば冷媒ジャケット(70)の大きさに応じて、適宜定めればよい。
《発明の実施形態6》
板ばね部材(80)には、図17(A)、(B)に示すように、補強用ビード(80b)を設けてもよい。補強用ビード(80b)は、ビス(91)で固定される部位(取付板部(84))の近傍に設ける。図17(A)の例では、取付板部(84)に、ビス穴(75)を避けて8つの補強用ビード(80b)が設けられている。それぞれの補強用ビード(80b)は、平面形状が概ね楕円形で、板ばね部材(80)の取付板部(84)に設けられている。それぞれの補強用ビード(80b)は、取付板部(84)にビード(エンボスまたは凸部)加工を施したものであり、冷媒ジャケット(70)とは反対方向に突出している(図17(B))。
例えば、板ばね部材(80)を薄くした場合などには、板ばね部材(80)の剛性が不足し、直管部(16)を押える力が十分に得られない可能性がある。これを防ぐためには、板ばね部材(80)の板厚を厚くすることも考えられるが、コストが高くなったり、希望する板厚材料が得られなかったりすることが考えられる。これに対し、本実施形態では、補強用ビード(80b)を板ばね部材(80)の中央部(取付板部(84))にのみ設けたことにより、板ばね部材(80)の中央部のみ剛性が上がり、板ばね部材(80)のバネ性を残したまま、剛性を上げることができる。したがって、直管部(16)を押える力を十分に得ることができるようになる。
《発明の実施形態7》
図18は、ビス穴(75)の他の構成を示す図である。また、図19は、図18の板ばね部材(80)を取り付けた状態を示す図である。図18に示すように、本実施形態では、板ばね部材(80)には、ひとつのビス穴(75)が設けられている。このビス穴(75)は、ビス(91)の頭が通る大きさの大径部(75a)と、ビス(91)を締め付け可能な大きさの小径部(75b)との複合形状を有している。
板ばね部材(80)をネジ止めする際には、板ばね部材(80)を片手で押えながら、片手でビス(91)をビス穴(75)に挿入しドライバで取り付ける必要があり、ネジ止め作業が困難になる。これに対し、本実施形態のビス穴(75)形状を採用することで、例えば、図20に示す工程で組み立てることが考えられる。
図20の例では、最初に冷媒ジャケット(70)にビス(91)を半分程度締めた状態で取り付けておき、板ばね部材(80)をビス穴(75)の大径部(75a)の部分からネジに挿入し、取付板部(84)を小径部(75b)の部分がネジの部分に来るようにスライドさせる。その後、ドライバによりビス(91)を締め付ける。このように、板ばね部材(80)の仮止めが可能となるため、ビス(91)の締め付けを簡単に行うことができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態において、冷却管(15)と板ばね部材(80)との間に緩衝材(130)を配置してもよい(例えば図14を参照)。緩衝材(130)は、例えばゴム製あるいは合成樹脂製の弾性を有する柔軟な材料で構成される。緩衝材(130)は、冷却管(15)の長手方向に沿って延びるシート状ないし板状に形成され、冷却管(15)の表面に固定される。この緩衝材(130)により、板ばね部材(80)側から冷却管(15)に作用する押し付け力を均一化できる。また、冷却管(15)と板ばね部材(80)とが直接的に接触するのを防止でき、板ばね部材(80)や冷却管(15)の腐食を防止できる。
上記各実施形態では、冷却管(15)と冷媒ジャケット(70)の配管溝部(72)との間に熱伝導グリース(78)を介在させている。しかしながら、この熱伝導グリース(78)に代わって、熱伝導シートを伝熱促進材料として用いてもよい。
上記各実施形態では、冷媒ジャケット(70)に2つの溝部(72)を形成し、各溝部(72)にそれぞれ冷却管(15)を嵌合している。しかしながら、冷媒ジャケット(70)に1つの溝部(72)、あるいは3つ以上の溝部(72)を形成して、対応する溝部(72)に冷却管(15)を嵌合してもよい。この場合にも、上述した取付構造(50)を採用して、板ばね部材(80)と冷媒ジャケット(70)との間に冷却管(15)を保持できる。
上記各実施形態は、図1に示すように、1つの室内ユニット(20)と1つの室外ユニット(30)を有する空気調和機(1)であるが、複数の室内ユニット(20)や複数の室外ユニット(30)を有する、いわゆるマルチ式の空気調和機であってもよい。また、冷凍機や給湯器等の他の方式の冷凍装置であってもよい。
上記各実施形態では、高圧の液ラインの冷媒を冷却管(15)に流すようにしているが、高圧のガスライン、あるいは低圧の液ラインやガスラインの冷媒を冷却管(15)に流してもよい。
上記各実施形態では、電力変換装置(60)のパワー素子(63)を被冷却部品としているが、他の種類のスイッチング素子や電気部品を被冷却部品としてもよい。
以上説明したように、本発明は、冷媒配管を流れる冷媒によって被冷却部品を冷却する冷却構造における、冷媒配管の取付構造について有用である。
15 冷却管(冷媒配管)
70 冷媒ジャケット(伝熱部材)
72 配管溝部(溝部)
78 熱伝導グリース(伝熱促進材料)
80 板ばね部材(弾性部材)
82 対向部
84 取付板部(被押付部)
86 折り返し部
93 本体部(押付部)
94 把持板(把持部)
96 突出部(嵌合部)
100 嵌合溝
123 キー(嵌合部)
124a 膨出円弧部(押付部)
125 レバー本体(把持部)