JP2012502614A - 電気モータを制御するための装置および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、電気モータ(2)を制御するための方法であって、電気モータ(2)に動作電圧および動作電流が供給され、電気モータの温度を特徴付ける少なくとも1つの測定量(4,6,7,8)が記録される方法に関し、ここでは電気モータ(2)によって動作中に最大限出力されるトルクが、電気モータ(2)の温度に依存せずほぼ一定に保たれる。
Description
本発明は、電気モータを制御するための方法および装置に関し、該電気モータに動作電圧および動作電流が供給され、該動作電圧または動作電流を制御することによって動作中に出力されるトルクが所定の最大値に制限される。
冒頭に述べた形式の方法は、例えば電気モータによって駆動される機械要素を過負荷による損傷から保護するために使用される。この機械要素は、自動車のワイパー装置を含むことができるか、または、パワーウィンドウまたはサンルーフのようなコンフォート機能を含むことができる。
DE10031925A1から、電気モータの最大トルクを電気モータの製造後に決定し、モータ制御のパラメータにファイルすることが公知である。これによって特に大きい最大トルクを有する電気モータが所定の最大値に制限されることにより、製造公差を調整することができる。
DE10144985A1からは、電気モータによって出力されるトルクを動作中に変速比を考慮して調整することが公知である。これにより変速比が小さいと同時に電気モータのトルクが大きい場合に発生する大きな力による、後置された要素の損傷を阻止することができる。
しかしながら全ての従来技術から公知の方法は、この最大限に発生するトルクが、規定された周囲温度において決定されるという点で共通している。これらの方法は、電気モータの周囲温度による最大トルクの変化を考慮していない。しかしながらとりわけ永久磁石励磁形の電気モータにおいては、最大トルクは温度が低下するにつれて増加する。したがって公知の制限方法を実施しても温度が低い場合には後置された要素に機械的な過負荷がかかり、これによってこの後置された要素は破損または実質的に変形してしまう。
したがって本発明の課題は、電気モータによる駆動時における機械要素の過負荷を阻止することである。
この課題は本発明によれば、電気モータを制御するための方法であって、電気モータに動作電圧および動作電流が供給され、電気モータの温度を特徴付ける少なくとも1つの測定量が記録される方法において、電気モータによって動作中に最大限出力されるトルクが、電気モータの温度に依存せずほぼ一定に保たれることを特徴とする方法によって解決される。
さらにこの課題は、電気モータを制御するための装置であって、該装置は、電気モータに動作電圧および動作電流を供給するよう構成されており、該装置は、電気モータの温度を特徴付ける少なくとも1つの測定量を検出するための装置ならびに制限装置を含む、装置において、前記制限装置によって、電気モータによって動作中に最大限出力されるトルクが、電気モータの温度に依存せずほぼ一定に保たれることを特徴とする装置によって解決される。
本発明は、永久磁石励磁形の電気モータの最大トルクは温度が低下するにつれて増加するという課題を解決する。本発明によれば、動作電圧および/または動作電流は、所定のトルクが超過されないようコントロールされる。このために本発明によれば、電気モータの出力トルクを直接測定するのではなく電気モータの温度および/または電気モータの構造周囲の温度を測定して、電気モータによって吸収される電力を、測定または計算された温度に基づいて、温度の低下に基づくトルク増加を補償するよう制限することが提案される。
当業者にはもちろん温度の測定精度、トルク増加の非線形性、および制御偏差に基づいて、温度が低下する場合に電気モータが僅かなトルク増加またはトルク低下をも呈し得るということは周知である。しかしながら場合によって残るトルク増加もいずれにせよ従来技術による電気モータの場合よりも小さくなる。本発明は絶対的な直線形のトルク推移の形成を解決原理としているわけではない。
電気モータの温度を特徴付ける測定量として、例えば電気モータのケーシング内に配置された温度センサの出力信号を使用することができる。本発明の別の1つの実施形態においては、巻線抵抗を設定してこの抵抗の温度依存性から電気モータの温度を決定することもできる。さらには電気モータの動作電流および動作電圧を記録して、記録された電力、効率、および周囲温度からエネルギーバランスを用いて電気モータの温度をモデル化することもできる。最後には、電気モータの温度を周囲温度からモデル化することができる。周囲温度は、自動車において例えば外部温度、エンジンルーム温度、内燃機関の燃料温度、または内燃機関の冷却材温度から決定することもできる。
信頼性を高めるために本発明の発展形態においては、電気モータのトルク低減を所定の動作条件下で一時的にオフすることができる。温度を特徴付ける測定量の決定が阻害されている場合であって、同時にトルク要求が大きい場合には、出力される電気モータのトルクが低減されることが回避される。このような動作状態は、例えば自動車において所定の速度を上回る場合とすることができる。
さらに温度を特徴付ける測定量の記録が阻害される場合には、出力されるモータトルクを一括して所定の値だけ低減することができる。この値は例えば約5%から約20%、とりわけ10%とすることができる。
以下本発明を複数の実施形態および図面に基づいてより詳細に説明するが、これらの実施形態および図面は本発明の一般的な技術思想を制限するものではない。
以下本発明を、1つの実施形態である車両のワイパー装置に基づいて説明する。しかしながら本発明が開示する原理が、機械装置が永久磁石励磁形の電気モータによって駆動される全ての技術分野においても適用可能であるということは当業者には当然自明である。
図1は横軸に電気モータのトルクを示し、縦軸に電気モータの回転速度を示す。ここで実線は、永久磁石励磁形の電気モータについて、実施例では5回転/分(rpm)である最小回転数から最大回転数への典型的な推移を示している。図1の実施例にではトルクは回転数が増加するにつれて線形に減少する。
その上さらに、モータによって出力されるトルクはモータの温度に依存している。図1の実線の曲線推移は+20℃の定格温度に該当し、例えば+40℃または+50℃までの温度上昇は、破線で図示された「最小」と書かれた曲線に示されているようにトルクの減少をもたらす。温度が例えば−30℃から−40℃まで低下した場合には「最大」と書かれた曲線推移が生じる。
回転速度が低下する場合におけるトルクの増加は、例えば図1の実施例では5rpmである最小回転数を下回っても継続する。したがって回転数が0rpmである場合、つまりモータの静止状態であって、かつ使用温度が可能な限り最も低い場合において、最大トルクが達成される。この動作点は図1では正方形で図示されている。
それと同時に機械要素を駆動するための電気モータの寸法は、最も小さい最大トルクが該機械要素を駆動するために充分となるよう設定しなければならない。この最も小さい最大トルクは最小回転速度および最高使用温度において生じる。この動作点は、図1では円で図示されている。
図1から分かるように、最小回転数かつ最高温度における最大トルク(円)と、モータのブロック時かつ最低温度における最大トルク(正方形)は、約30%変化する。したがって具体的な使用目的のために、電気モータを、駆動される機械要素が円で図示された動作点において確実に駆動されるように選定しなければならない。それと同時に機械要素の寸法は、該機械要素が正方形で図示された動作点において損傷されないよう設定しなければならない。したがって機械要素は大抵の動作状態用に必要以上に大きく寸法設定されているので、不相応に重く高価になっている。
ワイパー装置の場合には、最小回転数かつ最も小さいトルクを有する動作点は例えば高温時および高速時での動作に相当し、これらは高い風荷重を引き起こす。最も大きいトルクは例えばワイパーモータが冷天候において車両の比較的長い静止時間後に冷却されている場合、および、ワイパー装置が凍結または雪荷重によってブロックされている場合に発生する。
図2は図1のような理想的な線図を図示しているが、しかしここでは電気モータは本発明の方法によって駆動制御される。
最高使用温度であって、かつ最小回転数を上回る回転数においては、モータは全く制限されない。出力されるトルクは、回転数によって「最小」と書かれた曲線の経過に追従する。最高使用温度かつ最小回転数(5rpm)において、電気モータは自身の最大トルク(円)に達する。さてここで回転数が最小回転数を下回るほど低下する場合、ここから生じるトルク増加は電力供給の低減によって補償され、トルクはこれ以上上昇しなくなる(正方形)。電気モータが比較的低温で動作される場合には、トルク推移は例えば図2の実線に追従するか、または、起こりうる最低使用温度においては「最大」と書かれた曲線に追従する。この場合には、低い動作温度における最大値を上回るトルク上昇を回避するために、吸収電力の制限は最小回転数において初めて開始されるのではなく、より早い時点において既に開始される。このように最大トルクを制限することによって、ワイパーロッドの過負荷が阻止される。したがってこのワイパーロッドはより簡単かつより低コストに構成することができる。
もちろん図2の曲線経過は単に一例として図示しているだけである。本発明の別の実施形態においては、例えば温度が低下する場合における回転数増加を最小回転数まで甘受し、回転数が最小回転数よりも低下する場合に初めてトルクを制限することが可能である。
図3は電気モータ1のブロック図を図示している。電気モータ1は、ロータ、ステータ、整流子、ターミナルラグからなる、永久磁石励磁形の電気モータの公知の部材2を含む。これらの部材は当業者には周知であるので図3には詳細には図示しない。
さらに電気モータ1は制御電子機器3を含む。制御電子機器3は、電気機械部材2に動作電流および動作電圧5を供給するよう構成されている。このようにして電気機械部材2に供給される電力を制御することにより、電気機械部材2によって出力されるトルクをコントロールすることができる。
制御電子機器は、モータ2の温度を検出する温度センサによって形成される入力信号4を含む。温度センサ4はモータケーシング2内部に配置されており、モータ巻線の領域の温度を直接測定することができる。温度センサ4の測定値に依存して制御電子機器3は、電力5、ひいては電気機械部材2の出力トルクを制限する。
有利には制御電子機器3は、電気機械部材2とともに1つのケーシング1に組み込まれている。この場合にはユーザは、最大トルクが温度に依存せずほぼ一定に保たれているコンパクトな電気モータ1を使用することができる。
図4は、電気モータ1を図示しており、かつ例えば自動車の構成部分である搭載電源網10への電気モータ1の組み込みを図示している。電気モータ1は図3と関連して説明したように永久磁石励磁形の電気モータの部材2を有しており、この電気モータは、制御電子機器3とともに1つのケーシングに組み込まれている。
制御電子機器3は供給電流および/または供給電圧に影響を及ぼし、ひいては電気機械部材2に供給される電力をコントロールする。
温度センサ4の代わりに、図2の実施形態においてはエネルギーバランスから温度が決定される。このために制御電子機器3は経路6を介して、モータ2の吸収電力の測定信号を供給する。例えば制御電子機器3のメモリ装置にファイルしておくことが可能な効率を用いて、制御電子機器3により電気機械部材2の熱負荷が決定される。この熱負荷は熱的なエネルギーバランスの入力量となり、この入力量から部材2の調整すべき温度を計算することができる。
電気モータ1は車両の搭載電源網10に接続されている。搭載電源網10は、異なるタスクを引き受ける複数の下位網10A,10B,10C・・・に分類されている。例えばモータ1には搭載電源網10から電気エネルギーを供給することができる。
さらに車両は2つの温度センサ7および8を有する。これらの温度センサ7および8は、搭載電源網10の部分網10aと接続されている。温度センサ7は例えば車両の周囲の外部温度を検出するために設けられている。さらに、自動車の内燃機関の冷却材温度を検出する温度センサ8が設けられている。2つの温度センサから電気モータ1の位置における周囲温度が計算することができ、これによってモータ1の熱的なエネルギー損失を算出し、ここから部材2の温度を算出することが可能である。
図5は、制御電子機器3を有するモータ1の同一の構造を図示している。図5の実施形態においても図4に関連して説明したように、モータ1は搭載網10に組み込まれている。温度センサ8は、周囲温度についての情報を搭載電源網10の部分網10aを介して制御電子機器3へ伝達する。制御電子機器3は既に上に説明したように、吸収電力の測定値からエネルギーバランスにおいてモータ2の温度を算出することができる。
図5の実施形態においてはさらに、搭載電源網10の部分網10Cを介して速度情報9が制御電子機器3に供給される。
速度情報9は制御電子機器3によって、車両が所定の限界値を上回る速度で走行される場合に、供給される電力5を制限することによって電気モータ2のトルク制限を一時的に停止するために使用することができる。この限界値は例えば約100km/h、約120km/h、または約140km/hとすることができる。この限界値は当業者によって、雪荷重または凍結によるワイパー装置のブロックが通常もはや行われないような走行速度に選択される。同時に必要なトルクは風荷重によって増加している。したがってエラー機能による不所望のトルク低減は、ワイパー速度、ひいては走行安全性にネガティブに作用することとなる。
閾値を下回る場合には、制御電子機器3による電気モータ2のトルク制限が再びオンされる。頻繁なスイッチング過程を回避するために、第1の限界値とは異なる別の限界値を設けることができる。
当然ながら当業者には、本発明が図示の実施例に制限されないことが自明である。むしろ本発明の実施時には、本発明自体を実質的に変えることなく修正および変更が行われ得る。従ってこの明細書は本発明を制限するものとして見なされるべきではなく、本発明を説明するものとして見なされるべきである。
Claims (10)
- 電気モータ(2)を制御するための方法であって、
電気モータ(2)に動作電圧および動作電流が供給され、電気モータの温度を特徴付ける少なくとも1つの測定量(4,6,7,8)が記録される方法において、
電気モータ(2)によって動作中に最大限出力されるトルクが、電気モータ(2)の温度に依存せずほぼ一定に保たれる
ことを特徴とする方法。 - 前記電気モータの温度を特徴付ける測定量(4,6,7,8)は、外部温度(7)および/または冷却水温度(8)および/または電気モータの電力吸収(6)から選択されている、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。 - 前記最大限出力されるトルクは、前記電気モータの温度を特徴付ける測定量(4,6,7,8)が検出できなかった場合に、約5%から20%だけ低減される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。 - 電気モータ(2)によって動作中に最大限出力されるトルクは、所定の動作状況においては制限されない、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の方法。 - 電気モータ(2)は、ワイパー装置を駆動するために設けられている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の方法。 - 電気モータ(2)を制御するための装置(3)であって、
該装置(3)は、電気モータ(2)に動作電圧および動作電流を供給するよう構成されており、
該装置は、電気モータの温度を特徴付ける少なくとも1つの測定量(4,6,7,8)を検出するための装置、ならびに、制限装置(5)を含む
装置(3)において、
前記制限装置(5)によって、電気モータによって動作中に最大限出力されるトルクが、電気モータ(2)の温度には依存せずほぼ一定に保たれる
ことを特徴とする装置。 - 前記少なくとも1つの電気モータの温度を特徴付ける測定量(4,6,7,8)を検出するための装置は、少なくとも1つの温度センサ(4,7,8)、および/または、電気モータによって吸収される電力(6)を検出するための装置を含む、
ことを特徴とする請求項6記載の装置。 - 前記制限装置(5)は、所定の動作条件においてオフされる、
ことを特徴とする請求項6または7記載の装置。 - 請求項6から8のいずれか一項記載の装置を備えるワイパー装置。
- プログラムコードを有するコンピュータプログラムであって、
機械読み出し可能な担体上に格納されており、
コンピュータ上で当該コンピュータプログラムが実行される場合に、請求項1から5のいずれか一項に記載された方法を実施する、
ことを特徴とする、
プログラムコードを有するコンピュータプログラム。
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