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JP2012224709A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体と撥水性物品 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体と撥水性物品 Download PDF

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JP2012224709A
JP2012224709A JP2011092166A JP2011092166A JP2012224709A JP 2012224709 A JP2012224709 A JP 2012224709A JP 2011092166 A JP2011092166 A JP 2011092166A JP 2011092166 A JP2011092166 A JP 2011092166A JP 2012224709 A JP2012224709 A JP 2012224709A
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Hiroshi Onomoto
広志 尾野本
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

【課題】良好な撥水性と、耐候性促進試験条件下でも高い耐久性を有するナノ凹凸構造体を形成できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体と撥水性物品の提供。
【解決手段】特定の多官能モノマー(A)を50〜90質量部と、多官能モノマー(A)と相溶する、下記式(1)で示されるフッ素含有モノマー(B)を5〜49.5質量部と、特定の単官能フッ素含有モノマー(C)を0.5〜10質量部含む重合反応性モノマー成分と、重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤とを含有し、フッ素含有モノマー(B)と単官能フッ素含有モノマー(C)の質量比((C)/(B))が0.12以下である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[化1]
Figure 2012224709

【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体と撥水性物品に関する。
表面にナノ凹凸構造を有するナノ凹凸構造体は、連続的な屈折率の変化によって反射防止性能を発現することが知られている。また、ナノ凹凸構造体は、ロータス効果により超撥水性能を発現することも可能である。
ナノ凹凸構造を形成する方法としては、例えば、ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いて射出成形やプレス成形する方法、スタンパと透明基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と言う。)を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、スタンパの凹凸形状を転写した後にスタンパを剥離する方法、樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後に活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化させる方法等が提案されている。
これらの中でも、ナノ凹凸構造の転写性、表面組成の自由度を考慮すると、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、ナノ凹凸構造を転写する方法が好適である。この方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
しかし、この方法の場合、ナノサイズの凹凸を転写するには、樹脂組成物の粘度を調節する必要があった。また、樹脂組成物の硬化物の強度が高すぎると、スタンパの剥離が困難となることがあった。従って、樹脂組成物の粘度や硬化物の強度を調節する必要があるので、使用できる樹脂組成物には制限があった。
また、ナノ凹凸構造体は、同じ樹脂組成物を使用して作製した表面が平滑なハードコート等の成形体に比べて耐擦傷性に劣り、使用中の耐久性に問題があった。さらに、屋外で使用する場合の耐久性にも問題があった。
従来、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、ナノ凹凸構造を転写する方法により得られるナノ凹凸構造体や、ナノ凹凸構造を形成するための樹脂組成物が提案されている。
また、樹脂組成物にフッ素系化合物やシリコーン系化合物等の撥水性成分を配合し、撥水性を発現させ易くする方法が知られている。特にフッ素系化合物を用いることで、表面自由エネルギーを極めて低くすることが可能である。さらにフッ素系化合物は、シリコーン系では達し得ない撥油性をも発現させることができる。
例えば特許文献1には、ポリフロオロ基を有する単量体を乳化重合により共重合させ、得られた共重合体を塗布することで洗濯および豪雨による撥水撥油性の低下が少ない物品および、その製造方法開示されている。
また、特許文献2には、アルキルフルオロアクリレートを有する防汚性、防曇性、柔軟性、耐擦傷性に優れたハードコートシートが開示されている。
国際公開第2009/008512号パンフレット 特開2000−301053号公報
しかしながら、特許文献1のような、乳化重合等で重合した共重合体を塗工後、乾燥して撥水性物品を得る方法では、表層の剥離や滑落が生じたり製造コストが増加したりするなどの課題があった。
また、特許文献2には、溶剤を適宜用いて多官能モノマーと相溶させている。この場合、乾燥工程を経ない重合・硬化プロセスでは課題が残りやすかった。
このように、撥水性、及び防汚性を発現させるためのフッ素含有硬化性組成物は数多く提案されているが、ナノ凹凸構造を形成するための樹脂組成物として、耐久性(特に屋外使用時の耐久性)を十分に満足するものではなかった。また、鋳型中での重合・硬化で表面に撥水・撥油性を付与することは困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、良好な撥水性と、耐候性促進試験条件下でも高い耐久性を有するナノ凹凸構造体を形成できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体と撥水性物品の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、樹脂組成物にフッ素系化合物等の撥水性成分を配合して撥水性を発現させ易くすると、ナノサイズの凹凸を転写してナノ凹凸構造体を製造した場合、製造直後や使用中(特に屋外使用時)に隣り合う凸部同士が結合(合一)しやすくなり、その結果、凸部同士の間隔が長くなり、反射防止性などの性能が低下する、すなわちナノ凹凸構造体の耐久性が低下することを突き止めた。
そこで、機械特性を付与する特定の多官能モノマーと、撥水性を付与する特定のフッ素含有モノマーを併用することで、樹脂組成物の硬化に伴って相分離が起こり、フッ素含有モノマーが硬化物表面に偏在することを見出した。その結果、得られる硬化物は、硬化物表面に偏在するフッ素含有モノマーにより撥水性を発現しつつ、主成分である多官能モノマーにより適度な硬度を有することで凸部同士の結合が抑制され、屋外使用時でも高い耐久性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、分子内に3個以上のラジカル重合性の官能基を有し、かつ該官能基1個あたりの分子量が110〜200である多官能モノマー(A)を50〜90質量部と、前記多官能モノマー(A)と相溶する、下記式(1)で示されるフッ素含有モノマー(B)を5〜49.5質量部と、分子内に1個のラジカル重合性の官能基を有する単官能フッ素含有モノマー(C)を0.5〜10質量部含む重合反応性モノマー成分と、前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤とを含有し、前記フッ素含有モノマー(B)と単官能フッ素含有モノマー(C)の質量比(単官能フッ素含有モノマー(C)/フッ素含有モノマー(B))が0.12以下であることを特徴とする。
Figure 2012224709
式(1)中、Rは下記式(2)〜(6)のいずれかであり、XおよびXは同一または異なって、CH=C(R)−C(O)−O−であり、RはHまたはCHである。
Figure 2012224709
式(2)中、mは0〜8であり、nは1〜6である。
ここで、硬化後の30℃における貯蔵弾性率E’が1.0GPa以上であることが好ましい。
また、本発明のナノ凹凸構造体は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有することを特徴とする。
また、本発明の撥水性物品は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有することを特徴とする。
本発明によれば、良好な撥水性と、耐候性促進試験条件下でも高い耐久性を有するナノ凹凸構造体を形成できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体と撥水性物品を提供できる。
本発明のナノ構造体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明のナノ構造体の他の例を模式的に示す断面図である。
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を、「(メタ)アクリロイル基」は「メタクリロイル基および/またはアクリロイル基」をそれぞれ意味する。
また、「活性エネルギー線」とは、電子線、紫外線、可視光線、プラズマ、赤外線などの熱線等を意味する。
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する樹脂組成物である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」という場合がある。)は、重合反応性モノマー成分と、活性エネルギー線重合開始剤とを含有する。
<重合反応性モノマー成分>
重合反応性モノマー成分は、多官能モノマー(A)と、フッ素含有モノマー(B)と、単官能フッ素含有モノマー(C)とを含む。
(多官能モノマー(A))
多官能モノマー(A)は、樹脂組成物の主成分であり、分子内に3個以上のラジカル重合性の官能基を有する。これにより、得られる樹脂組成物の硬化物の架橋点間分子量が小さくなり、硬化物の弾性率や硬度が高くなり、ナノサイズの凹凸を転写した場合、凸部同士の結合を抑制でき、耐候性促進試験条件下でも耐久性に優れたナノ凹凸構造体を形成できると共に、硬化に伴う相分離を誘起させる役割を果たす。このラジカル重合性官能基とは、代表的には(メタ)アクリロイル基である。
また、多官能モノマー(A)は、官能基1個あたりの分子量(すなわち、分子量をラジカル重合性の官能基の数で除した値(分子量/ラジカル重合性の官能基の数))が110〜200であり、好ましくは120〜180であり、より好ましくは130〜150である。官能基1個あたりの分子量が上記下限値以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の架橋点間分子量が小さくなりすぎて硬くかつ脆くなることを防止できる。一方、官能基1個あたりの分子量が上記上限値以下であれば、硬化物の弾性率、硬度が向上し、凸部同士の結合を抑制できるので、耐候性促進試験条件下でも耐久性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。
ここで、「官能基1個あたりの分子量」は、以下のようにして求める。
例えば体表的な3官能モノマーであるトリメチロールプロパントリアクリレートの場合、分子量は296であり、ラジカル重合性の官能基の数は3であるため、分子量/ラジカル重合性の官能基の数=98.7となる。
また、例えば分子量が800を超える4官能モノマーや、分子量が1200を超える6官能モノマー等は、分子量/ラジカル重合性の官能基の数>200となる。
従って、これらのモノマーやトリメチロールプロパントリアクリレートは、本発明で用いる多官能モノマー(A)とは異なる。
本発明で用いる多官能モノマー(A)としては、例えばウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら多官能モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能モノマー(A)の具体例は、次の通りである。
3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;グリセリントリアクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物が挙げられる。
4官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物が挙げられる。
5官能以上の多官能モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物が挙げられる。
また、多官能モノマー(A)として、ポリオールやイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート等を反応させたウレタン(メタ)アクリレートを用いてもよい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては市販品を用いることができ、例えば新中村化学工業社製の「NKオリゴU−6HA」、ダイセル・サイテック社製の「EBECRYL220」、「EBECRYL1290」、「EBECRYL5129」、「EBECRYL8210」、「KRM8200」、共栄社化学社製の「UA−306H」等が好適である。
これらの中でも重合反応性の観点から、多官能モノマー(A)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物が好ましい。
また、市販品としては、新中村化学工業社製の「NKエステルATM−4E」、「NKエステルA−TMPT−3EO」、ダイセル・サイテック社製の「EBECRYL40」、第一工業製薬社製の「ニューフロンティアTMP−2」、共栄社化学社の「ライトアクリレートTMP−6EO−A」が好ましい。
多官能モノマー(A)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、50〜90質量部であり、好ましくは70〜90質量部であり、より好ましくは75〜90質量部であり、特に好ましくは80〜90質量部である。多官能モノマー(A)の含有量が上記下限値以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の弾性率、硬度が向上し、凸部同士の結合を抑制できるので、耐候性促進試験条件下でも耐久性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。一方、多官能モノマー(A)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物の弾性率が高くなりすぎて硬くかつ脆くなることを抑制でき、スタンパから剥離する際のひび割れの発生を防止できると共に、耐候性促進試験条件下でも耐久性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。
(フッ素含有モノマー(B))
フッ素含有モノマー(B)は、樹脂組成物の硬化物に撥水性を付与する役割を果たす。
フッ素含有モノマー(B)は、多官能モノマー(A)と相溶する。フッ素含有モノマー(B)が多官能モノマー(A)と相溶しないと、樹脂組成物が白濁したり、樹脂組成物は透明でも硬化物に濁りや靄が発生したりする。一般に、分子内のフッ素原子の含有量が少なくなるほど、多官能モノマー(A)と相溶し易くなる傾向にある。しかし、撥水性の観点からはフッ素原子の含有量は多い方が好ましい。
フッ素含有モノマー(B)は、下記式(1)で示される。
Figure 2012224709
式(1)中、Rは下記式(2)〜(6)のいずれかであり、XおよびXは同一または異なって、CH=C(R)−C(O)−O−であり、RはHまたはCHである。
Figure 2012224709
式(2)中、mは0〜8であり、nは1〜6である。mが8以下であれば、多官能モノマー(A)、および後述する単官能フッ素含有モノマー(C)との相溶性を維持したまま、得られる樹脂組成物の硬化物の撥水性が良好となる。また、nが1以上であれば、硬化物の撥水性が良好となり、6以下であれば、多官能モノマー(A)との相溶性を損なわず、樹脂組成物の分離や白濁を抑制できる。
このようなフッ素含有モノマー(B)としては、分子内に2個以上のラジカル重合性の官能基とフッ素原子を有する化合物が挙げられる。分子内に2個以上のラジカル重合性の官能基が存在すれば、硬化物中で他のモノマー成分と結合し、硬化物からの溶出が抑制される。このラジカル重合性官能基とは、代表的には(メタ)アクリロイル基である。また、2個以上のラジカル重合性の官能基を有することで硬化物の弾性率の点で意義がある。
フッ素含有モノマー(B)としては、具体的に、パーフルオロシクロヘキシルジメタノールの末端の水酸基とアクリル酸クロライドを反応させて得られる化合物(例えば下記化合物(B−1)など)、パーフルオロアルキルジメタノールの末端の水酸基とアクリル酸クロライドを反応させて得られる化合物(例えば下記化合物(B−2)など)等が挙げられる。
フッ素含有モノマー(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2012224709
フッ素含有モノマー(B)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、5〜49.5質量部であり、好ましくは10〜49.5質量部であり、より好ましくは15〜30質量部である。フッ素含有モノマー(B)の含有量が上記下限値以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の相溶性が十分に確保でき、分離や白濁の発生を抑制できる。一方、フッ素含有モノマー(B)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化収縮を抑制できる。
(単官能フッ素含有モノマー(C))
単官能フッ素含有モノマー(C)は、樹脂組成物の硬化物に、より効果的に撥水性を付与する役割を果たす。
なお、本発明の樹脂組成物が重合反応性モノマー成分としてフッ素含有モノマー(B)を含まず、多官能モノマー(A)と単官能フッ素含有モノマー(C)を含むと、これらは相溶しにくいため、樹脂組成物が白濁または分離することとなる。すなわち、フッ素含有モノマー(B)の存在下で単官能フッ素含有モノマー(C)を用いることで、はじめて清澄な樹脂組成物を得ることができる。
単官能フッ素含有モノマー(C)は、分子内に1個のラジカル重合性の官能基とフッ素原子を有する化合物である。分子内に1個のラジカル重合性の官能基が存在すれば、硬化物中で他のモノマー成分と結合し、硬化物からの溶出が抑制される。このラジカル重合性の官能基とは、代表的には(メタ)アクリロイル基である。
単官能フッ素含有モノマー(C)としては、例えば、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−パーフルオロノニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、単官能フッ素含有モノマー(C)として、以下に示す化合物を用いてもよい。
(i)フッ素含有部位とアクリロイル基の間に多官能モノマー(A)と相溶させる為のセグメントが導入されていない化合物。このような化合物としては、パーフルオロポリエーテルの末端水酸基に直接アクリル酸クロライド等を反応させた化合物(例えば下記化合物(C−1)など)等が挙げられる。
(ii)フッ素含有部位とアクリロイル基の間にウレタン結合を有するフッ素系(メタ)アクリレート。このような化合物としては、2−イソシアナトエチルアクリレートを、パーフルオロノルマルブトキシトリエチレングリコールやパーフルオロエチルヘキシルトリエチレングリコール等のフッ素化アルコールと反応させることで得られる化合物(例えば下記化合物(C−2)など)等が挙げられる。
(iii)パーフルオロイソプトキシジエチレングリコールと、2−イソシアネートエチルを反応させた化合物(例えば下記化合物(C−3)など)。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、上記化合物の合成に使用する原料アルコールは、市販品として入手できる。例えば、エクスフロアー・リサーチ社製の「C10GOL」等を使用できる。
Figure 2012224709
単官能フッ素含有モノマー(C)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、0.5〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。単官能フッ素含有モノマー(C)の含有量が上記下限値以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の撥水性が良好となる。一方、単官能フッ素含有モノマー(C)の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の分離や白濁を抑制できる。
また、単官能フッ素含有モノマー(C)の含有量は、透明で清澄な樹脂組成物を得る点から、フッ素含有モノマー(B)の含有量とのバランスを考慮して決定する。例えば、フッ素含有モノマー(B)の含有量が多い場合は、単官能フッ素含有モノマー(C)の含有量も比較的多くできる。ただし、フッ素含有モノマー(B)と単官能フッ素含有モノマー(C)の質量比(単官能フッ素含有モノマー(C)/フッ素含有モノマー(B))が0.12以下である。質量比が0.12以下であれば、相溶性が十分に確保でき、樹脂組成物の分離や白濁の発生を抑制できる。
さらに、単官能フッ素含有モノマー(C)のフッ素含有率cが高い場合は、単官能フッ素含有モノマー(C)の含有量は、その分、フッ素含有モノマー(B)の含有量よりも少なくすることが好ましい。
(他のモノマー(D))
本発明の樹脂組成物は、重合反応性モノマー成分として、上述した多官能モノマー(A)、フッ素含有モノマー(B)、および単官能フッ素含有モノマー(C)以外の他のモノマー(D)を含有してもよい。
他のモノマー(D)としては、分子内に1個以上のラジカル重合性の官能基を有するモノマーが挙げられる。他のモノマー(D)を適宜含むことにより、樹脂組成物全体としての重合反応性を良好に維持しつつ、ハンドリング性や基材との密着性を更に向上できる。
他のモノマー(D)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−ビニルピリジン;4−ビニルピリジン;N−ビニルピロリドン;N−ビニルホルムアミド;酢酸ビニル;1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、重合反応性の観点から、嵩高くないモノマーが好ましい。具体的には、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。また、後述するナノ凹凸構造体の基材としてアクリル系フィルムを用いる場合には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ところで、本発明の樹脂組成物の物性を大きく左右するのは、主成分となる多官能モノマー(A)である。しかし、この多官能モノマー(A)は粘度が高い傾向にあるため、樹脂組成物のハンドリング性が低下する場合がある。そのような場合には、ハンドリング性を改良するために、上述した他のモノマー(D)の中でも、低粘度の単官能モノマーや2官能モノマーを用いて希釈すればよい。ただし、2官能モノマーは1つの重合性官能基が反応すると、残りの重合性官能基の反応性が低下しやすい。従って、樹脂組成物全体での重合反応性を向上させるには、単官能モノマーが適している。
また、樹脂組成物は基材上で硬化させ、基材と一体化させて用いることが一般的である。ここで低分子量の単官能モノマーや2官能モノマーを併用すれば、基材と樹脂組成物の硬化物との密着性がより良好となる傾向にある。単官能モノマーや2官能モノマーの種類は、基材の材質によって適宜最適なものを選択すればよい。
他のモノマー(D)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、20質量部以下が好ましく、より好ましくは0〜15質量部であり、さらに好ましくは0〜10質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部であり、最も好ましくは3〜10質量部である。他のモノマー(D)の含有量が上記上限値以下であれば、得られる樹脂組成物の硬化性が向上すると共に、残存モノマーが可塑剤として作用して硬化物の弾性率や、ナノサイズの凹凸を転写したときの耐久性に悪影響を与えることを防止できる。
<活性エネルギー線重合開始剤(E)>
活性エネルギー線重合開始剤(E)は、活性エネルギー線を照射することで開裂して、重合反応を開始させるラジカルを発生する化合物である。
装置コストや生産性の観点から、活性エネルギー線として紫外線を用いるのが一般的である。
活性エネルギー線重合開始剤(E)としては特に制限されず、例えばベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、吸収波長の異なる2種以上を併用することが好ましい。
また必要に応じて、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、アゾ系開始剤等の熱重合開始剤を併用してもよい。
活性エネルギー線重合開始剤(E)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対し、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜3質量部である。活性エネルギー線重合開始剤(E)の含有量が上記下限値以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化性が向上し、硬化物の機械的特性が向上し、ナノサイズの凹凸を転写した場合、凸部同士の結合を抑制でき、耐候性促進試験条件下でも耐久性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。一方、活性エネルギー線重合開始剤(E)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物内の活性エネルギー線重合開始剤(E)の残存に起因する硬化物の弾性率や、ナノサイズの凹凸を転写したときの耐久性の低下を抑制できると共に、着色防止にもなる。
<紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(F)>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(F)を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線吸収剤などが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン400」や「チヌビン479」、共同薬品社製の「Viosorb110」などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばフェノール系の酸化防止剤、リン系の酸化防止剤、イオウ系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の酸化防止剤などが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「IRGANOX」シリーズなどが挙げられる。
これら紫外線吸収剤および酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(F)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(F)の含有量が上記下限値以上であれば、黄帯色の抑制やヘイズの上昇抑制などの耐候性向上が得られやすくなる。一方、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(F)の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の硬化が十分なものとなり、ナノサイズの凹凸を転写した場合、凸部同士の結合を抑制でき、耐候性促進試験条件下でも耐久性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。また、耐候性促進試験によって、添加した紫外線吸収剤や酸化防止剤由来の低分子化合物が揮発して硬化物の基材との密着性を低下させるのを抑制できる。
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
なお、本発明の樹脂組成物は溶剤を含んでいてもよいが、含まない方が好ましい。溶剤を含まない場合は、例えば、樹脂組成物を鋳型に流し込んだ状態で活性エネルギー線照射により重合および硬化させ、その後離型するプロセスにおいて、溶剤が硬化物中に残る心配がない。また、製造工程を考慮した場合、溶剤を含まなければ溶剤除去のための設備投資が不要となるため、コストの削減にもつながる。
<樹脂組成物の物性>
本発明の樹脂組成物は、硬化後の30℃における貯蔵弾性率E’が1.0GPa以上であることが好ましい。
樹脂組成物の硬化物における貯蔵弾性率E’は、ナノサイズの凹凸を転写した場合、初期及び耐候性促進試験条件下でのナノ凹凸構造の維持のために、技術的に密接な関連性を有する。貯蔵弾性率E’が1.0GPa以上であれば、凸部同士の結合をより抑制できる。加えて、ナノ凹凸構造の耐擦傷性も向上する。従って、耐候性促進試験条件下でもより耐久性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。
なお、樹脂組成物の貯蔵弾性率E’は、JIS K7244−4に記載の熱硬化性塗料の動的粘弾性試験方法により求められる値である。
樹脂組成物の貯蔵弾性率E’は、重合反応性モノマー成分中の各モノマーの種類や含有量を調節することで調整できる。
樹脂組成物は、ナノ凹凸構造を形成させるスタンパへ流し込むことを考慮すると、25℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が、10000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは5000mPa・s以下であり、さらに好ましくは2000mPa・s以下である。粘度が10000mPa・s以下であれば、スタンパを押し当てる工程で樹脂組成物がスタンパの幅を超えて脇へ漏れるのを防止できると共に、硬化物の厚みを任意に調整し易くなる。但し、樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以上であっても、スタンパへ流し込む際にあらかじめ加温して粘度を下げることが可能であれば、作業性を損なうことなく樹脂組成物を使用できる。
また、樹脂組成物は、70℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が、5000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2000mPa・s以下である。
さらに、樹脂組成物は、ナノ凹凸構造を形成させるベルト状やロール状のスタンパを用いた連続生産を考慮すると、25℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が、100mPa・s以上であることが好ましく、より好ましくは150mPa・s以上であり、さらに好ましくは200mPa・s以上である。
なお、樹脂組成物の粘度は、重合反応性モノマー成分中の各モノマーの種類や含有量を調節することで調整できる。具体的には、水素結合などの分子間相互作用を有する官能基や化学構造を含むモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は高くなる傾向にある。また、分子間相互作用のない低分子量のモノマーを多量に用いることで、樹脂組成物の粘度は低くなる傾向にある。
以上説明した本発明の樹脂組成物は、上述した多官能モノマー(A)、フッ素含有モノマー(B)および単官能フッ素含有モノマー(C)を含有するので、樹脂組成物が硬化する際に相分離が起こり、フッ素含有モノマー(B)および単官能フッ素含有モノマー(C)が硬化物表面に偏在する。その結果、得られる硬化物は、硬化物表面に偏在するフッ素含有モノマー(B)および単官能フッ素含有モノマー(C)により撥水性を発現しつつ、ナノサイズの凹凸を転写した場合、多官能モノマーにより適度な硬度を有することで凸部同士の結合が抑制され、屋外使用時でも高い耐久性を発現できる。従って、本発明の樹脂組成物は、良好な撥水性と、耐候性促進試験条件下でも高い耐久性を有するナノ凹凸構造体を形成できる。
本発明の樹脂組成物は、重合および硬化させて成形品として使用でき、そのような成形品は特にナノ凹凸構造を表面に有するナノ凹凸構造体として極めて有用である。
また、本発明の樹脂組成物は、例えば、ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いた転写法によりナノ凹凸構造を転写する際に用いるインプリント用原料として好適である。具体的には、後述するようなスタンパへ樹脂組成物を流し込み、紫外線硬化させるUVインプリントや、スタンパへ流し込んだ後に熱によって硬化させる熱インプリントなどで用いるインプリント用原料として好適である。また、加熱などによって半硬化させた状態の樹脂組成物にスタンパを押し当て、形状転写した後にスタンパから剥がし、熱やUVによって完全に硬化させる方法に用いることもできる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、種々の基材上に硬化被膜を形成するためのコーディング材としても有用である。
[ナノ凹凸構造体]
本発明のナノ凹凸構造体は、本発明の樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有する。ナノ凹凸構造は、樹脂組成物の硬化物の片面または全面、ならびに全体または一部に形成される。
ここで、図1に本発明のナノ凹凸構造体の一例を示す。この例のナノ凹凸構造体10は、後述する基材11の上に本発明の樹脂組成物の硬化物からなる硬化物層12が形成されている。また、硬化物層12の表面には、表面反射防止等の機能を発現するナノ凹凸構造が形成されている。具体的には、硬化物層12の表面に凸部13および凹部14が等間隔で形成されている。
良好な反射防止性能を発現するためには、ナノ凹凸構造の隣り合う凸部13または凹部14の間隔、すなわち、図1に示すように、隣り合う凸部の中心点(頂部)13aの間隔w1が、可視光の波長以下のサイズである必要がある。ここで「可視光」とは、波長が380〜780nmの光を指す。この間隔w1が380nm以下であれば、可視光の散乱を抑制できる。この場合、本発明のナノ凹凸構造体を反射防止膜などの光学用途に好適に使用できる。
また、最低反射率や特定波長の反射率の上昇を抑制する観点から、凸部の高さまたは凹部の深さ、すなわち、図1に示すように、凹部の中心点(底点)14aから凸部の中心点(頂部)13aまでの垂直距離d1が、60nm以上であることが好ましく、より好ましくは90nm以上である。
ナノ凹凸構造の凸部の形状は特に限定されず、例えば図1に示すように円錐状または角錐状や、図2に示すように釣鐘状などが挙げられる。また、ナノ凹凸構造の凸部の形状はこれらに限定されず、硬化物層12の膜面で切断した時の断面積の占有率が連続的に増大するような構造であればよい。また、より微細な凸部が合一してナノ凹凸構造を形成していてもよい。すなわち、図1、2に示す形状以外であっても、空気から材料表面まで連続的に屈折率を増大し、低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を示すような形状であればよい。
<製造方法>
ナノ凹凸構造体の製造方法としては、例えば、(1)ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパと、基材との間に本発明の樹脂組成物を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化して、スタンパの凹凸形状を転写し、その後にスタンパを剥離する方法、(2)樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後で活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化する方法などが挙げられる。
これらの中でも、ナノ凹凸構造の転写性、表面組成の自由度を考慮すると、(1)の方法が特に好ましい。(1)の方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
(基材)
基材としては、光を透過する成形体であれば特に限定されず、例えばメチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等の半合成高分子、ポリエチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、それら高分子の複合物(ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸の複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルの複合物等)、ガラスが挙げられる。
基材の形状や製造方法は、特に限定されない。例えば、射出成形体、押し出し成形体、キャスト成形体を使用できる。また形状は、シート状でもフィルム状でもよい。さらに、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、透明基材の表面に、コーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
(スタンパ)
スタンパにナノ凹凸構造を形成する方法としては特に限定されないが、電子ビームリソグラフィー法やレーザー光干渉法などが挙げられる。例えば、適当な支持基板上に適当なフォトレジスト膜を塗布した後に、紫外線レーザー、電子線、X線等の光を用いて露光後、現像することによってナノ凹凸構造を有する型を形成できる。この型をそのままスタンパとして使用することもできるが、フォトレジスト層を介して支持基板をドライエッチングにより選択的にエッチングした後、レジスト層を除去することで支持基板そのものに直接ナノ凹凸構造を形成することも可能である。
また、陽極酸化ポーラスアルミナをスタンパとして利用することも可能である。例えば、アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化することによって形成される20〜200nmの細孔構造をスタンパとして利用してもよい。この方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、一旦酸化皮膜を除去し、再び陽極酸化することで非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成できる。さらに、二回目に陽極酸化する工程で、陽極酸化処理と孔径拡大処理を組み合わせることで、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である微細凹凸構造も形成可能となる。また、陽極酸化処理と孔径拡大処理の時間や条件を適宜調節することで、細孔最奥部の角度を鋭くすることも可能である。
さらに、ナノ凹凸構造を有する原型から電鋳法等で複製型を作製し、これをスタンパとして使用してもよい。
スタンパそのものの形状としては特に限定されず、平板状、ベルト状、ロール状のいずれでもよい。特に、ベルト状やロール状にすることで連続的にナノ凹凸構造を転写できるため生産性をより高めることができる。
(重合・硬化条件)
活性エネルギー線照射による重合・硬化方法としては、紫外線照射による重合・硬化が好ましい。紫外線を照射するランプとしては、例えば高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フュージョンランプ等を使用することができる。
紫外線の照射量は、樹脂組成物中の重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよいが、通常、その積算光量は400〜4000mJ/cmであることが好ましく、より好ましくは400〜2000mJ/cmである。樹脂組成物の硬化が不十分だと得られるナノ凹凸構造体の耐擦傷性が低下する場合がある。積算光量が400mJ/cm以上であれば、樹脂組成物を十分に硬化させることができるので、硬化不良に起因する凸部同士の結合を抑制できる。一方、積算光量が4000mJ/cm以下であれば、硬化物の着色や基材の劣化を防止できる。
照射強度についても特に制限されないが、基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
このように重合・硬化して得られるナノ凹凸構造体は、その表面にスタンパのナノ凹凸構造が、鍵と鍵穴の関係で転写される。
本発明のナノ凹凸構造体は、本発明の樹脂組成物の硬化物で形成されるナノ凹凸構造を表面に有するので、良好な撥水性と、耐候性促進試験条件下でも高い耐久性を有すると共に、連続的な屈折率の変化によって優れた反射防止性能を発現できる。従って、本発明のナノ凹凸構造体は、反射防止膜(反射防止フィルムを含む)、立体形状の反射防止体として好適である。
[撥水性物品]
本発明の撥水性物品は、本発明の樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有するものであり、上述した本発明のナノ凹凸構造体を表面に備えた物品でもよいし、本発明の樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造からなる物品であってもよい。特に、ナノ凹凸構造体を表面に備えた撥水性物品は、高い耐久性と良好な撥水性を有すると共に、優れた反射防止性能を発現でき、例えば、窓材、屋根瓦、屋外照明、カーブミラー、車両用窓、車両用ミラーの表面に、ナノ凹凸構造体を貼り付けて使用することができる。
また、ナノ凹凸構造体が反射防止膜である場合には、反射防止性能だけでなく、高い耐擦傷性と良好な撥水性能を有する反射防止膜となり、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に、ナノ凹凸構造体を貼り付けて使用することができる。
さらに、ナノ凹凸構造体を貼り付ける部分が立体形状である場合は、予めそれに応じた形状の基材を使用し、その基材の上に本発明の樹脂組成物の硬化物からなる硬化物層を形成して立体形状のナノ凹凸構造体を得て、これを対象物品の所定部分に貼り付ければよい。
また、対象物品が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対して貼り付けてもよいし、前面板そのものをナノ凹凸構造体から構成することもできる。
また、本発明のナノ凹凸構造体や、これを備えた撥水性物品は、上述した用途以外にも、例えば、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子などの光学用途や、細胞培養シートとしての用途に展開できる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
各種測定および評価方法、スタンパの作製方法は以下の通りである。
[測定・評価]
(1)スタンパの細孔の測定
陽極酸化ポーラスアルミナからなるスタンパの一部の縦断面を1分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)により加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)及び細孔の深さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(2)ナノ凹凸構造体の凹凸の測定
ナノ凹凸構造体の縦断面を10分間Pt蒸着し、上記(1)の場合と同じ装置および条件にて、隣り合う凸部または凹部の間隔、および凸部の高さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(3)貯蔵弾性率の測定
JIS K7244−4に記載の熱硬化性塗料の動的粘弾性試験方法を行い、粘弾性スペクトロメータ(セイコーインスツルメンツ社製、「DMS6100」)を用いて樹脂組成物の貯蔵弾性率E’を測定した。測定条件を以下に示す。
・測定温度:30〜250℃
・昇温速度:2℃/分
・周波数:1Hz
・変形モード:引っ張りモード
・測定サイズ:20mm×5mm
(4)撥水性の評価(水接触角の測定)
ナノ凹凸構造体に1μLのイオン交換水を滴下し、自動接触角測定器(KRUSS社製)を用いて、θ/2法にて水接触角を算出した。
(5)耐久性の評価
白色スライドガラスにナノ凹凸構造体を貼り付けたサンプルを、JIS B 7753に基づき、耐候性試験機(スガ試験機社製)を用いて、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、照射時間102分、照射/降雨時間18分を1サイクルとする条件に300時間放置し、ナノ凹凸構造体の耐候性促進試験を行った。試験後、ナノ凹凸構造体の外観について目視にて観察し、以下の評価基準により耐久性を評価した。なお、白化の占める面積が小さいほど、ナノ凹凸構造体の凸部同士の結合が抑制され、耐久性に優れることを意味する。
○:白化がフィルム面積の10%未満。
×:白化がフィルム面積の10%以上。
[スタンパの作製]
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨および過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程:
このアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
(c)工程:
このアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
(d)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程および(d)工程を合計で5回繰り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去し、表面防汚コーティング剤(ダイキン社製、「オプツールDSX」)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、「HD−ZV」)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してスタンパを得た。
得られたスタンパの細孔を測定した結果、隣り合う細孔の間隔が100nm、細孔の深さが200nmの略円錐状のテーパー状凹部(細孔)からなる微細凹凸構造を表面に形成していた。
[重合反応性モノマー成分]
実施例および比較例で用いた各モノマーは以下の通りである。
・多官能モノマー(A)として、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルATM−4E」)を用いた。
・フッ素含有モノマー(B)として、上記化合物(B−1)、(B−2)を用いた。
・単官能フッ素含有モノマー(C)として、上記化合物(C−1)、(C−2)(C−3)を用いた。
・他のモノマー(D)として、ポリエチレングリコールジアクリレート(東亜合成社製、「アロニックスM260」)、およびメチルアクリレートを用いた。
[実施例1]
(樹脂組成物の調製)
多官能モノマー(A)としてエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルATM−4E」)を90部、フッ素含有モノマー(B)として上記化合物(B−1)9部、単官能フッ素含有モノマー(C)として上記化合物(C−1)1部、および活性エネルギー線重合開始剤(E)として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(日本チバガイギー社製、「DAROCURE1173」)0.4部と2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(日本チバガイギー社製、「DAROCURE TPO」)0.5部を混合し、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を500μmのスペーサーをはさんだ2枚のガラス板間に塗布し、1000mJ/cmの積算光量でUVを照射し硬化させ、評価サンプルを作製した。作製したサンプルを用いて貯蔵弾性率E’を測定した。結果を表1に示す。
(ナノ凹凸構造体の製造)
スタンパの細孔が形成された表面上に得られた樹脂組成物を流し込み、その上に厚さ100μmのアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、「アクリプレン」)を押し広げながら被覆した。その後、フィルム側からフュージョンランプを用いてベルトスピード6.0m/分で、積算光量1000mJ/cmとなるよう紫外線を照射して、樹脂組成物をフィルム状に硬化させた。次いで、硬化物とスタンパを剥離して、フィルム状のナノ凹凸構造体を得た。
得られたナノ凹凸構造体の表面には、スタンパのナノ凹凸構造が転写されており、図1に示すような、隣り合う凸部13の間隔(距離w1)が100nm、凸部13の高さd1が180nmである略円錐形状のナノ凹凸構造が形成されていた。
このナノ凹凸構造体について、撥水性および耐久性の評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例2〜7、比較例1〜3]
表1に示す配合組成に従って各成分を混合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を用いてナノ凹凸構造体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中の配合量の単位は「部」である。また、各実施例および比較例で得られたナノ凹凸構造体の表面には、スタンパのナノ凹凸構造が転写されており、図1に示すような、隣り合う凸部13の間隔(距離w1)が100nm、凸部13の高さd1が180nmである略円錐形状のナノ凹凸構造が形成されていた。
Figure 2012224709
表1中の略号等は下記の通りである。
・モノマー(A):多官能モノマー(A)
・モノマー(B):フッ素含有モノマー(B)
・モノマー(C):単官能フッ素含有モノマー(C)
・モノマー(D):他のモノマー(D)
・ATM4E:エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(官能基1個あたりの分子量:134)
・B−1:上記化合物(B−1)
・B−2:上記化合物(B−2)
・C−1:上記化合物(C−1)
・C−2:上記化合物(C−2)
・C−3:上記化合物(C−3)
・M260:ポリエチレングリコールジアクリレート
・MA:メチルアクリレート
・DAR1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
・DAR TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
表1の結果から明らかなように、実施例1〜7の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、良好な撥水性を有していた。また、耐候性促進試験条件下でもナノ凹凸構造体の凸部同士の結合を抑制することができ、高い耐久性を有していた。
一方、比較例1の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、フッ素含有モノマー(B)の含有量が65質量部と多かったため、硬化収縮が大きく、スタンパからの離型直後にフィルム表面にクラックが発生した。そのため、撥水性および耐久性の評価は行わなかった。
比較例2の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、多官能モノマー(A)の含有量が40質量部と少なかったため、樹脂組成物の貯蔵弾性率E’が低く、スタンパからの離型直後から多数の凸部同士の結合が見られた。そのため、撥水性および耐久性の評価は行わなかった。
比較例3の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、フッ素含有モノマー(B)を用いなかったので、樹脂組成物の架橋密度が低下し、すなわち硬化物の弾性率が低下したため、耐候性促進試験条件下においてナノ凹凸構造体の凸部同士が結合しやすく、耐久性に劣るものであった。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られるナノ凹凸構造体は、ナノ凹凸構造体としての優れた光学性能を維持しながら、良好な撥水性と耐候性促進試験条件下でのナノ凹凸構造の耐久性を両立することから、例えば、壁や屋根等の建材用途、家屋や自動車、電車、船舶等の窓材や鏡等に利用可能であり、工業的に極めて有用である。また、反射防止性能が求められるディスプレイ等の用途にも利用可能である。
10:ナノ凹凸構造体、
11:基材、
12:硬化物層、
13:凸部、
14:凹部。

Claims (4)

  1. 分子内に3個以上のラジカル重合性の官能基を有し、かつ該官能基1個あたりの分子量が110〜200である多官能モノマー(A)を50〜90質量部と、前記多官能モノマー(A)と相溶する、下記式(1)で示されるフッ素含有モノマー(B)を5〜49.5質量部と、分子内に1個のラジカル重合性の官能基を有する単官能フッ素含有モノマー(C)を0.5〜10質量部含む重合反応性モノマー成分と、
    前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤とを含有し、
    前記フッ素含有モノマー(B)と単官能フッ素含有モノマー(C)の質量比(単官能フッ素含有モノマー(C)/フッ素含有モノマー(B))が0.12以下である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    Figure 2012224709
    式(1)中、Rは下記式(2)〜(6)のいずれかであり、XおよびXは同一または異なって、CH=C(R)−C(O)−O−であり、RはHまたはCHである。
    Figure 2012224709
    式(2)中、mは0〜8であり、nは1〜6である。
  2. 硬化後の30℃における貯蔵弾性率E’が1.0GPa以上である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有する、ナノ凹凸構造体。
  4. 請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有する、撥水性物品。
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