JP2012218692A - Electric power steering device - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。 The present invention relates to an electric power steering apparatus.
従来、モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置(EPS)には、そのモータ回転角を検出することなくブラシレスモータを制御可能なモータ制御装置を備えたものがある。そして、このような回転角センサ(モータレゾルバ)を用いないセンサレス(レゾルバレス)駆動制御の態様として、演算周期毎のモータ回転角変化量に相当する加算角を演算し、その加算角を積算することにより得られる制御上のモータ回転角に従う回転座標系において電流フィードバック制御を実行する方法が提案されている。 2. Description of the Related Art Conventionally, some electric power steering devices (EPS) that apply assist force to a steering system using a motor as a drive source include a motor control device that can control a brushless motor without detecting the motor rotation angle. As an aspect of sensorless (resolverless) drive control that does not use such a rotation angle sensor (motor resolver), an addition angle corresponding to the motor rotation angle change amount for each calculation cycle is calculated, and the addition angles are integrated. A method of executing current feedback control in a rotating coordinate system according to the motor rotation angle on the control obtained by the above is proposed.
例えば、特許文献1に記載のモータ制御装置は、モータが発生すべき目標トルクと実トルクとの間の偏差に基づいて、上記演算周期毎のモータ回転角変化量に相当した加算角を演算する。また、特許文献2に記載のモータ制御装置は、モータ電流及びモータ電圧に基づいてモータ回転角速度を推定する。そして、そのモータ回転角速度を上記演算周期毎の変化成分として上記加算角を演算する構成となっている。
For example, the motor control device described in
即ち、実際のモータ回転角(実回転角)と上記制御上のモータ回転角(制御角)とが厳密に一致しなくとも、その乖離が一定範囲内に留まる限りにおいて、ブラシレスモータは制御可能である。そして、上記各特許文献に記載の方法により加算角を演算し、その加算角を積算することにより得られる制御角を用いて電流フィードバック制御を実行することにより、その実回転角と制御角との乖離を上記モータ制御可能な範囲に留めおくことができる。 In other words, even if the actual motor rotation angle (actual rotation angle) and the control motor rotation angle (control angle) do not exactly match, the brushless motor can be controlled as long as the deviation remains within a certain range. is there. Then, the difference between the actual rotation angle and the control angle is calculated by executing the current feedback control using the control angle obtained by calculating the addition angle by the method described in each of the above patent documents and integrating the addition angles. Can be kept within the range in which the motor can be controlled.
さて、上記のような制御上の仮想的な制御角を用いるレゾルバレス制御では、ロータの回転位置を保持するために必要な起磁力をステータが発生し得る限りにおいて、上記制御角と実回転角との乖離を安定的に制御可能な範囲に留めおくことが可能になる。つまり、より大きなモータ電流を発生させることによって、そのモータ制御の安定性を高めることができる。 In the resolverless control using the virtual control angle as described above, as long as the stator can generate the magnetomotive force necessary to maintain the rotational position of the rotor, the control angle and the actual rotation angle are It is possible to keep the deviation in a range that can be stably controlled. That is, by generating a larger motor current, the stability of the motor control can be improved.
しかしながら、継続的に大きな電流をモータに通電することにより、そのエネルギー効率は低下する。そして、モータの発熱が顕著になることで信頼性が低下するおそれがあることから、従来、その改善が解決すべき課題として残されていた。 However, by continuously energizing a motor with a large current, its energy efficiency decreases. And since the reliability of the motor may decrease due to the remarkable heat generation of the motor, the improvement has been left as a problem to be solved.
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、モータ制御の安定性を好適に維持しつつ、効果的にモータ電流を抑制することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。 The present invention has been made to solve the above-described problems, and an object of the present invention is to provide an electric power steering apparatus that can effectively suppress motor current while suitably maintaining stability of motor control. Is to provide.
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、モータ制御信号を出力するモータ制御信号出力手段と、前記モータ制御信号に基づいて三相の駆動電力をモータに供給する駆動回路とを備え、前記モータ制御信号出力手段は、目標操舵トルクと実際の操舵トルクとの間のトルク偏差に基づくトルクフィードバック制御の実行により演算周期毎のモータ回転角変化量に相当する加算角を演算し、該加算角を積算することにより制御上のモータ回転角を演算するとともに、前記演算周期毎に、前記トルク偏差に基づく増減値を演算し、該増減値を積算することにより電流指令値を演算しつつ、前記制御上のモータ回転角に従う回転座標系において電流フィードバック制御を実行することにより、前記モータ制御信号を出力する電動パワーステアリング装置において、前記モータ制御信号出力手段は、前記電流指令値を上限値以下に制限するとともに、前記トルク偏差に基づいて前記上限値を変更すること、を要旨とする。
In order to solve the above problems, the invention according to
即ち、トルク偏差に基づくトルクフィードバック制御の実行により制御上の回転角(制御角)を演算し、当該制御角に従う回転座標系で電流フィードバック制御を実行するモータ制御においては、目標操舵トルクに対する実際の操舵トルクの追従性が高いほど、そのモータ制御は安定的な状態にある。そして、このような安定的な制御状態にある場合には、そのモータ制御の安定性を維持するために必要なモータ電流もまた小さな値となる。従って、上記構成によれば、モータ制御の安定性を好適に維持しつつ、効果的に、モータ電流を抑制することができる。その結果、エネルギー効率を改善するとともに、モータの発熱を抑えて信頼性の向上を図ることができる。 That is, in the motor control in which the rotation angle (control angle) on the control is calculated by executing the torque feedback control based on the torque deviation and the current feedback control is executed in the rotating coordinate system according to the control angle, The higher the followability of the steering torque, the more stable the motor control. In such a stable control state, the motor current required to maintain the stability of the motor control is also a small value. Therefore, according to the said structure, a motor current can be suppressed effectively, maintaining the stability of motor control suitably. As a result, the energy efficiency can be improved and the reliability of the motor can be improved by suppressing the heat generation of the motor.
請求項2に記載の発明は、前記モータ制御信号出力手段は、前記トルク偏差が安定領域を超える範囲にある場合には、前記トルク偏差が安定領域内にある場合よりも高い値に前記上限値を変更すること、を要旨とする。 According to a second aspect of the present invention, when the torque deviation is in a range exceeding the stable region, the motor control signal output means sets the upper limit value to a higher value than when the torque deviation is in the stable region. The gist is to change.
上記構成によれば、制御状態が安定的であることを示すトルク偏差の小さな領域、即ち安定領域内にある場合については、その上限値を低い値に設定して過剰なモータ電流の通電を抑制する。そして、トルク偏差が安定領域を超える範囲にある場合、即ち制御状態の安定性の低下を示す場合には、その上限値を高い値に変更し、より大きなモータ電流の通電を許容することによって、そのモータ制御の安定性を高めることができる。その結果、モータ制御の安定性を好適に維持しつつ、効果的にモータ電流を抑制することができる。 According to the above configuration, when the torque deviation is in a small region indicating that the control state is stable, that is, in the stable region, the upper limit value is set to a low value to suppress excessive motor current. To do. And when the torque deviation is in a range exceeding the stable region, that is, when indicating a decrease in the stability of the control state, by changing the upper limit value to a high value and allowing energization of a larger motor current, The stability of the motor control can be improved. As a result, it is possible to effectively suppress the motor current while suitably maintaining the stability of the motor control.
本発明によれば、モータ制御の安定性を好適に維持しつつ、効果的にモータ電流を抑制することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。 ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, the electric power steering apparatus which can suppress a motor current effectively can be provided, maintaining the stability of motor control suitably.
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。そして、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
DESCRIPTION OF EXEMPLARY EMBODIMENTS Hereinafter, an embodiment of the invention will be described with reference to the drawings.
As shown in FIG. 1, in the electric power steering apparatus (EPS) 1 of this embodiment, a
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
Further, the
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12が減速機構13を介してコラムシャフト3aと駆動連結された所謂コラム型のEPSアクチュエータとして構成されている。尚、本実施形態では、モータ12には、三相(U,V,W)の駆動電力に基づき回転するブラシレスモータが採用されている。そして、EPSアクチュエータ10は、このモータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、そのモータトルクに基づくアシスト力を操舵系に付与する構成となっている。
The
一方、ECU11には、トルクセンサ14が接続されており、同ECU11は、そのトルクセンサ14の出力信号に基づいて、ステアリングシャフト3に伝達される操舵トルクτを検出する。また、本実施形態のECU11には、車速センサ15により検出される車速V及びステアリングセンサ(操舵角センサ)16により検出される操舵角θsが入力される。そして、ECU11は、これらの各状態量に基づいて、操舵系に付与すべき目標アシスト力を演算し、これに相当するモータトルクを発生させるべく駆動電力を供給することにより、そのモータ12を駆動源とするEPSアクチュエータ10の作動、即ち操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
On the other hand, a torque sensor 14 is connected to the
次に、本実施形態のEPSの電気的構成について説明する。
図2は、本実施形態のEPSの制御ブロック図である。同図に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するモータ制御信号出力手段としてのマイコン17と、同マイコン17の出力するモータ制御信号に基づいてモータ12に三相の駆動電力を供給する駆動回路18とを備えている。
Next, the electrical configuration of the EPS of this embodiment will be described.
FIG. 2 is a control block diagram of the EPS of this embodiment. As shown in the figure, the ECU 11 supplies three-phase drive power to the
尚、以下に示す各制御ブロックは、マイコン17が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、同マイコン17は、所定のサンプリング周期で上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。 Each control block shown below is realized by a computer program executed by the microcomputer 17. The microcomputer 17 detects each state quantity at a predetermined sampling period, and generates a motor control signal by executing each arithmetic processing shown in the following control blocks at every predetermined period.
詳述すると、本実施形態の駆動回路18には、直列に接続された一対のスイッチング素子を基本単位(スイッチングアーム)として、各相モータコイル12u,12v,12wに対応する3つのスイッチングアームを並列に接続してなる周知のPWMインバータが採用されている。即ち、マイコン17の出力するモータ制御信号は、この駆動回路を構成する各相スイッチング素子のオン/オフ状態(各相スイッチングアームのDuty)を規定するものとなっている。そして、駆動回路18は、このモータ制御信号の入力により作動して、その印加される電源電圧V_pigに基づく三相の駆動電力をモータに供給する構成となっている。
Specifically, in the
さらに詳述すると、ECU11には、モータ12の各相電流値Iu,Iv,Iwを検出するための電流センサ21が設けられている。尚、本実施形態の電流センサ21は、上記駆動回路18を構成する各スイッチングアームの低電位側(接地側)に、それぞれ、シャント抵抗を接続してなる周知の構成を有している。そして、本実施形態のマイコン17は、この電流センサ21の出力信号(シャント抵抗の端子間電圧)に基づいて、各相モータコイル12u,12v,12wに流れる相電流値Iu,Iv,Iwを検出する。
More specifically, the
また、本実施形態のマイコン17は、モータレゾルバ23の出力信号に基づいて、モータ12の回転角(電気角)θmを検出する。尚、本実施形態では、モータレゾルバ23には、そのセンサ信号として、モータ12の実回転角(電気角)に応じて振幅が変化する二相の正弦波状信号(正弦信号S_sin及び余弦信号S_cos)を出力する巻線型のレゾルバが採用されている。そして、本実施形態のマイコン17は、これらモータ12の各相電流値Iu,Iv,Iw及び回転角θmに基づいて、電流フィードバック制御を実行することにより、その駆動回路18に出力するモータ制御信号を生成する。
Further, the microcomputer 17 of the present embodiment detects the rotation angle (electrical angle) θm of the
さらに詳述すると、本実施形態では、マイコン17のモータ制御部24には、回転座標系における電流制御の実行によりモータ12の各相に印加すべき相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*(Vu**,Vv**,Vw**)を演算する第1制御部25及び第2制御部26、並びに、その相電圧指令値をモータ制御信号に変換するPWM変換部27が設けられている。そして、本実施形態のマイコン17は、このモータ制御部24において生成されたモータ制御信号を駆動回路18に出力する構成となっている。
More specifically, in the present embodiment, the motor controller 24 of the microcomputer 17 provides the phase voltage command values Vu *, Vv *, Vw * to be applied to each phase of the
図3に示すように、第1制御部25は、上記のように検出される操舵トルクτ及び車速Vに基づいて目標アシスト力に対応した電流指令値を演算する電流指令値演算部31を備えている。また、第1制御部25は、d/q変換部32を備えており、同d/q変換部32は、モータレゾルバ23により検出される上記回転角θmに基づいて、各相電流値Iu,Iv,Iwをd/q座標上に写像することにより、d軸電流値Id及びq軸電流値Iqを演算する。そして、第1制御部25は、このモータ12の実回転角(θm)に従う回転座標系(d/q座標系)において電流フィードバック制御を実行することにより、モータ12の各相に印加すべき電圧を示す相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を演算する構成となっている。
As shown in FIG. 3, the
即ち、上記電流指令値演算部31は、電流指令値としてq軸電流指令値Iq*を演算する。具体的には、同電流指令値演算部31は、入力される操舵トルクτが大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きなアシスト力を発生させるようなq軸電流指令値Iq*を演算する。尚、d軸電流指令値Id*は「0」に固定される(Id*=0)。そして、これらd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*は、d/q変換部32の出力するd軸電流値Id及びq軸電流値Iqとともに、その対応する減算器33d,33qに入力される。
That is, the current command
次に、これら各減算器33d,33qが演算する各軸の電流偏差ΔId,ΔIqは、それぞれ、対応するF/B制御部(フィードバック制御部)34d,34qに入力される。そして、各F/B制御部34d,34qは、その入力される電流偏差ΔId,ΔIq及び所定のフィードバックゲイン(比例:P、積分:I)に基づくフィードバック制御演算を実行することにより、d/q座標系の電圧指令値であるd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を演算する。
Next, the current deviations ΔId and ΔIq of the respective axes calculated by the
具体的には、各F/B制御部34d,34qは、それぞれ、その入力される電流偏差ΔId,ΔIqに比例ゲインを乗ずることにより得られる比例成分、及び当該電流偏差ΔId,ΔIqの積分値に積分ゲインを乗ずることにより得られる積分成分を演算する。そして、これらの比例成分及び積分成分を加算することにより、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を生成する。
Specifically, each of the F /
次に、これらのd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*は、d/q逆変換部35において、三相(U,V,W)の交流座標上に写像される。そして、第1制御部25は、このd/q逆変換部35が実行する逆変換により得られる相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を、上記PWM変換部27に出力する構成となっている。
Next, the d-axis voltage command value Vd * and the q-axis voltage command value Vq * are mapped onto three-phase (U, V, W) AC coordinates in the d / q
一方、図4に示すように、第2制御部26は、演算周期毎のモータ回転角変化量に相当する加算角θa(θa´)を演算する加算角演算部41と、その加算角θa(θa´)を演算周期毎に積算することにより制御上の仮想的なモータ回転角としての制御角θcを演算する制御角演算部42とを備えている。そして、第2制御部26は、その制御角θcに従う回転座標系(γ/δ座標系)において電流フィードバック制御を実行することにより、相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を演算する構成となっている。
On the other hand, as shown in FIG. 4, the
詳述すると、本実施形態の加算角演算部41には、上記のように検出される操舵トルクτ、車速V、操舵角θsが入力される。また、加算角演算部41は、ステアリング2に生じた操舵角θs及び車速Vに基づいて、操舵トルクτの目標値に対応した目標操舵トルクτ*を演算する目標操舵トルク演算部45を備えており、同目標操舵トルク演算部45において演算された目標操舵トルクτ*は、操舵トルクτとともに減算器46に入力される。そして、本実施形態の加算角演算部41は、トルクセンサ14により検出される実際の操舵トルクτから目標操舵トルクτ*を減算することにより得られるトルク偏差Δτに基づいて上記加算角θaを演算する。
More specifically, the steering torque τ, the vehicle speed V, and the steering angle θs detected as described above are input to the addition
即ち、モータトルクに基づくアシスト力を操舵系に付与するEPSにおいて、目標操舵トルクτ*は、モータ12が発生すべきモータトルク(目標トルク)に対応するパラメータであり、操舵トルクτは、モータ12の実トルクに対応するパラメータである。つまり、これら目標操舵トルクτ*と実際の操舵トルクτとの間の差分(トルク偏差Δτ)は、目標トルクに対する実トルクの過不足を示す状態量となっている。そして、本実施形態の加算角演算部41は、その目標操舵トルクτ*に実際の操舵トルクτを追従させるべく、トルクフィードバック制御を実行することにより加算角θaを演算する。
That is, in EPS that applies assist force based on motor torque to the steering system, the target steering torque τ * is a parameter corresponding to the motor torque (target torque) to be generated by the
具体的には、減算器46において演算されたトルク偏差Δτは、F/B制御部47に入力される。そして、F/B制御部47は、そのトルク偏差Δτに比例ゲインを乗ずることにより得られる比例成分、及び当該トルク偏差Δτの積分値に積分ゲインを乗ずることにより得られる積分成分の加算値を、各演算周期におけるモータ回転角の第1変化成分dθτとして演算する。
Specifically, the torque deviation Δτ calculated by the
また、本実施形態では、第2制御部26には、モータ回転角速度を推定するモータ回転角速度推定手段としての回転角速度推定演算部50が設けられており、上記加算角演算部41には、この回転角速度推定演算部50の推定するモータ回転角速度ωm_eが、各演算周期におけるモータ回転角の第2変化成分dθωとして入力される。そして、本実施形態の加算角演算部41は、上記トルク偏差Δτに基づく第1変化成分dθτとともに、このモータ回転角速度ωm_eに基づく第2変化成分dθωを用いて、上記加算角θaを演算する。
In the present embodiment, the
詳述すると、第2制御部26には、上記PWM変換部27がモータ制御信号を生成する際に用いる相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*(Vu**,Vv**,Vw**)に対応した内部指令値、即ちDutyが入力される。また、本実施形態のECU11は、電圧センサ51によって、その駆動回路18に印加される電源電圧V_pigを検出する(図2参照)。そして、第2制御部26には、その検出される電源電圧V_pig及び上記Dutyに基づいて、モータ12の各相電圧値Vu,Vv,Vwを演算する相電圧演算部52が設けられている。
More specifically, the
また、これらの各相電圧値Vu,Vv,Vw、及び上記電流センサ21により検出されたモータ12の各相電流値Iu,Iv,Iwは、α/β変換部53において、それぞれ、二相固定座標系(α/β座標系)のα軸電圧値Vα及びβ軸電圧値Vβ並びにα軸電流値Iα及びβ軸電流値Iβに変換される。そして、本実施形態の回転角速度推定演算部50は、これらα軸電圧値Vα及びβ軸電圧値Vβ並びにα軸電流値Iα及びβ軸電流値Iβに示されるモータ電圧及びモータ電流に基づいて、モータ回転角速度ωm_eを推定する。
Further, these phase voltage values Vu, Vv, Vw and the phase current values Iu, Iv, Iw of the
さらに詳述すると、本実施形態の回転角速度推定演算部50は、モータモデルに基づいて、そのモータ12に生ずる誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバ54を備えている。
More specifically, the rotational angular velocity
即ち、図5に示すブロック線図において、モータ12は、モータ電圧(Vα,Vβ)及び誘起電圧(Eα,Eβ)に基づいてモータ電流(Iα,Iβ)を生じせしめるモータモデルM1に表される。従って、そのモータ電流(Iα,Iβ)を入力とする逆モータモデルM2、及び当該逆モータモデルM2の出力及びモータ電圧(Vα,Vβ)を入力とする差分器55によって、上記のような誘起電圧推定値(Eα_e,Eβ_e)を出力する外乱オブザーバ54を形成することができる。尚、例えば、モータモデルM1を「1/(R+pL)」とすると、逆モータモデルM2は「R+pL」となる(但し、R:電機子巻線抵抗、L:インダクタンス、p:微分演算子)。そして、本実施形態の回転角速度推定演算部50は、この外乱オブザーバ54が出力する誘起電圧推定値(Eα_e,Eβ_e)に基づいて、モータ回転角速度ωm_eを推定する。
That is, in the block diagram shown in FIG. 5, the
即ち、α/β座標系の誘起電圧(Eα,Eβ)は、それぞれ、次の(1)(2)式に表される。尚、各式中、「Ke」は誘起電圧定数、「ωm」はモータ回転角速度である。
Eα=−Ke×ωm×sinθ ・・・(1)
Eβ=Ke×ωm×cosθ ・・・(2)
更に、これら(1)(2)式を角度「θ」について解くことにより、次の(3)式を得る。尚、同式中、「arctan」は「アークタンジェント」である。
That is, the induced voltages (Eα, Eβ) in the α / β coordinate system are expressed by the following equations (1) and (2), respectively. In each equation, “Ke” is an induced voltage constant, and “ωm” is a motor rotation angular velocity.
Eα = −Ke × ωm × sinθ (1)
Eβ = Ke × ωm × cosθ (2)
Further, the following equation (3) is obtained by solving these equations (1) and (2) with respect to the angle “θ”. In the formula, “arctan” is “arc tangent”.
θ=arctan(−Eα/Eβ) ・・・(3)
従って、外乱オブザーバ54が出力する誘起電圧推定値(Eα_e,Eβ_e)からモータ回転角(θm_e)を推定することができる。そして、本実施形態の回転角速度推定演算部50は、そのモータ回転角の推定値(θm_e)を微分することにより、モータ回転角速度(の推定値)ωm_eを演算する。
θ = arctan (−Eα / Eβ) (3)
Therefore, the motor rotation angle (θm_e) can be estimated from the estimated voltage estimated values (Eα_e, Eβ_e) output from the
具体的には、図6のフローチャートに示すように、回転角速度推定演算部50は、上記外乱オブザーバ54によりモータ12の誘起電圧を推定すると(Eα_e,Eβ_e、ステップ101)、先ず、その誘起電圧推定値(Eα_e,Eβ_e)にフィルタ処理を施す(LPF:ローパスフィルタ、ステップ102)。次に、回転角速度推定演算部50は、上記(3)式を用いることにより、その誘起電圧推定値(Eα_e,Eβ_e)から、モータ回転角(θm_e)を推定する(回転角推定、ステップ103)。そして、そのモータ回転角(θm_e)を微分することによりモータ回転角速度(の推定値)ωm_eを演算する(回転角度推定、ステップ104)。
Specifically, as shown in the flowchart in FIG. 6, when the rotational angular velocity
そして、本実施形態の回転角速度推定演算部50は、そのモータ回転角速度ωm_eを、各演算周期におけるモータ回転角の第2変化成分dθωとして、上記加算角演算部41に出力する構成になっている(ステップ105)。
The rotational angular velocity
図4に示すように、本実施形態の加算角演算部41において、上記F/B制御部47の演算するトルク偏差Δτに基づくモータ回転角の第1変化成分dθτ、及び上記回転角速度推定演算部50の演算するモータ回転角速度ωm_eに基づくモータ回転角の第2変化成分dθωは、ともに加算角調整演算部58に入力される。また、本実施形態では、上記回転角速度推定演算部50は、その外乱オブザーバ54が出力する誘起電圧推定値(Eα_e,Eβ_e)の二乗和を演算し(Esq_αβ=(Eα_e)^2+(Eβ_e)^2、但し「^2」は二乗を示す)、その誘起電圧二乗和Esq_αβを加算角調整演算部58に出力する。そして、本実施形態の加算角演算部41は、この誘起電圧二乗和Esq_αβの値に基づいて、その加算角θaの演算形態を変更する。
As shown in FIG. 4, in the addition
詳述すると、本実施形態の加算角調整演算部58は、その入力される誘起電圧二乗和Esq_αβを所定の閾値(E0)と比較する。そして、当該誘起電圧二乗和Esq_αβが閾値(E0)を超える場合には、上記トルク偏差Δτに基づく第1変化成分dθτ及びモータ回転角速度ωm_eに基づく第2変化成分dθωの加算値を加算角θaとし、閾値(E0)以下である場合には、そのトルク偏差Δτに基づく第1変化成分dθτを加算角θaとする構成になっている。 More specifically, the addition angle adjustment calculation unit 58 of the present embodiment compares the input induced voltage square sum Esq_αβ with a predetermined threshold value (E0). When the induced voltage square sum Esq_αβ exceeds the threshold value (E0), the addition value of the first change component dθτ based on the torque deviation Δτ and the second change component dθω based on the motor rotation angular velocity ωm_e is defined as an addition angle θa. When the value is equal to or less than the threshold value (E0), the first change component dθτ based on the torque deviation Δτ is set as the addition angle θa.
即ち、一演算周期を基本単位とするモータ回転角速度ωm_eは、その一演算周期あたりのモータ回転角変化量と等価的な意味を有する。そして、上記のような外乱オブザーバ54を用いたモータ電流及びモータ電圧に基づく誘起電圧の推定は、当該誘起電圧が増大する高速回転領域において、より高い精度が確保される。
That is, the motor rotation angular velocity ωm_e having one calculation cycle as a basic unit has an equivalent meaning to the motor rotation angle change amount per one calculation cycle. The estimation of the induced voltage based on the motor current and the motor voltage using the
この点を踏まえ、本実施形態の加算角調整演算部58は、上記誘起電圧二乗和Esq_αβと閾値(E0)との比較により、モータ12の回転状態が、その推定されるモータ回転角速度ωm_eをモータ回転角の第2変化成分dθωとして利用可能な推定精度が担保される高速回転領域にあるか否かを判定する。そして、その要求される推定精度が担保される高速回転領域にある場合にのみ、上記モータ回転角速度ωm_eに基づく第2変化成分dθωを用いる構成となっている。
In consideration of this point, the addition angle adjustment calculation unit 58 of the present embodiment compares the estimated voltage square sum Esq_αβ and the threshold value (E0) with the estimated rotation speed ωm_e of the
具体的には、図7のフローチャートに示すように、加算角調整演算部58は、先ず、上記トルク偏差Δτに基づく第1変化成分dθτ、及び上記モータ回転角速度ωm_eに基づく第2変化成分dθω、並びに上記誘起電圧二乗和Esq_αβを取得する(ステップ201〜ステップ203)。
Specifically, as shown in the flowchart of FIG. 7, the addition angle adjustment calculation unit 58 firstly includes a first change component dθτ based on the torque deviation Δτ and a second change component dθω based on the motor rotation angular velocity ωm_e, The induced voltage square sum Esq_αβ is acquired (
次に、加算角調整演算部58は、誘起電圧二乗和Esq_αβが閾値E0を超えるか否かを判定し(ステップ204)、閾値E0を超える場合(ステップ204:YES)には、続いて、既に当該誘起電圧二乗和Esq_αβが閾値E0を超える状態にあったことを示す超過フラグがセットされているか否かを判定する(ステップ205)。そして、当該超過フラグがセットされていない場合(ステップ205:NO)には、当該超過フラグをセットし(ステップ206)、上記ステップ201において取得した第1変化成分dθτの値をクリアする(dθτ=0、ステップ207)。
Next, the addition angle adjustment calculation unit 58 determines whether or not the induced voltage square sum Esq_αβ exceeds the threshold value E0 (step 204), and if it exceeds the threshold value E0 (step 204: YES), It is determined whether or not an excess flag indicating that the induced voltage square sum Esq_αβ is in a state exceeding the threshold value E0 is set (step 205). If the excess flag is not set (step 205: NO), the excess flag is set (step 206), and the value of the first change component dθτ acquired in
尚、上記ステップ205において、既に超過フラグがセットされている場合(ステップ205:YES)には、上記ステップ206及びステップ207の処理は実行されない。そして、これら上記ステップ204において誘起電圧二乗和Esq_αβが閾値E0を超えると判定された場合(ステップ204:YES)には、その超過フラグの如何にかかわらず、そのトルク偏差Δτに基づく第1変化成分dθτ及びモータ回転角速度ωm_eに基づく第2変化成分dθωを加算することにより加算角θaを演算する(ステップ208)。
If the excess flag has already been set in step 205 (step 205: YES), the processing in
一方、上記ステップ204において、誘起電圧二乗和Esq_αβが閾値E0以下であると判定した場合(ステップ204:NO)もまた、加算角調整演算部58は、超過フラグがセットされているか否かを判定する(ステップ209)。そして、当該超過フラグがセットされている場合(ステップ209:YES)には、当該超過フラグをリセットする(ステップ210)。尚、超過フラグがセットされていない場合(ステップ209:NO)には、このステップ210の処理は実行されない。そして、その上記ステップ201において取得した第1変化成分dθτを加算角θaとして演算する(ステップ211)。
On the other hand, when it is determined in
そして、本実施形態の加算角調整演算部58は、このように上記ステップ208又はステップ211において演算した加算角θaを外部に出力する構成となっている(ステップ212)。
The addition angle adjustment calculation unit 58 of the present embodiment is configured to output the addition angle θa calculated in
即ち、上記トルク偏差Δτに基づく第1変化成分dθτは、モータ12の実回転角と制御上の仮想的なモータ回転角との乖離の大きさに応じた値となる。従って、上記モータ回転角速度ωm_eに基づく第2変化成分dθωよりも、その値がモータ回転状態に左右されにくい。この点を踏まえ、本実施形態では、上記のように、モータ回転状態が低速領域にある場合には、当該第1変化成分dθτを加算角θaとする。尚、モータ回転角速度ωm_eに基づく第2変化成分dθωを用いて加算角θaを演算する最初の演算周期(ステップ204:YES、及びステップ205:NO)において、第1変化成分dθτをクリアするのは(ステップ207)、当該第1変化成分dθτが、第2変化成分dθωを用いなかった前回演算周期の状態を反映するものだからである。そして、本実施形態では、これにより、そのモータ回転状態に依らず、高精度な加算角演算が可能となっている。
That is, the first change component dθτ based on the torque deviation Δτ is a value corresponding to the magnitude of the deviation between the actual rotation angle of the
図4に示すように、加算角演算部41において、上記加算角調整演算部58の出力する加算角θaは、加算角制限部59に入力される。そして、本実施形態の加算角演算部41は、この加算角制限部59において加算角制限処理が施された後の加算角θa´を、制御角演算部42へと出力する。
As shown in FIG. 4, in the addition
一方、制御角演算部42は、前回の演算周期において演算した制御角θcの前回値を記憶領域(図示略)に保持するとともに、当該前回値に上記加算角θaを加算することにより新たな制御角θcを演算する。そして、その当該新たな制御角θcにて、上記記憶領域に保持する前回値を更新することにより、その演算周期毎に、加算角θaの積算による制御角θcの演算を実行する構成となっている。
On the other hand, the control
第2制御部26において、このようにして演算された制御上の仮想的なモータ回転角としての制御角θcは、上記α/β変換部53が出力する二相固定座標系(α/β座標系)のα軸電流値Iα及びβ軸電流値Iβとともに、γ/δ変換部60に入力される。そして、γ/δ変換部60は、当該α軸電流値Iα及びβ軸電流値Iβを、その制御角θcに従う回転座標系、即ちγ/δ座標系の直交座標上に写像することにより、当該γ/δ座標系の実電流値として、γ軸電流値Iγ及びδ軸電流値Iδを演算する。
In the
尚、本実施形態では、制御上の仮想的な回転座標としての上記γ/δ座標系は、制御角θcと実際のモータ回転角(θm)との乖離(負荷角)が「0」である場合に、その「γ軸」が「d軸」に一致する。 In the present embodiment, in the γ / δ coordinate system as a virtual rotation coordinate for control, the deviation (load angle) between the control angle θc and the actual motor rotation angle (θm) is “0”. In this case, the “γ axis” coincides with the “d axis”.
また、第2制御部26は、そのγ/δ座標系の電流指令値として、γ軸電流指令値Iγ*及びδ軸電流指令値Iδ*を演算する電流指令値演算部61を備えている。そして、電流指令値演算部61は、上記加算角演算部41において演算されたトルク偏差Δτ、及び目標操舵トルクτ*に基づいて、γ軸電流指令値Iγ*及びδ軸電流指令値Iδ*を演算する。
The
電流指令値演算部61により演算されたγ軸電流指令値Iγ*は、上記γ軸電流値Iγとともに、その対応する減算器64aに入力される。同様に、δ軸電流指令値Iδ*もまた、δ軸電流値Iδとともに、その対応する減算器64bに入力される。尚、本実施形態では、δ軸電流指令値Iδ*は「0」に固定される(Iδ*=0)。そして、これら各減算器64a,64bにおいて演算される電流偏差ΔIγ,ΔIδは、それぞれ、その対応する各F/B制御部65a,65bに入力される。
The γ-axis current command value Iγ * calculated by the current command
次に、各F/B制御部65a,65bは、その電流偏差ΔIγ,ΔIδ及び所定のフィードバックゲイン(比例:P、積分:I)に基づくフィードバック制御演算を実行することにより、γ/δ座標系の電圧指令値であるγ軸電圧指令値Vγ*及びδ軸電圧指令値Vδ*を演算する。尚、これら各F/B制御部65a,65bの実行するフィードバック制御演算の態様については、上記第1制御部25側の各F/B制御部34d,34qと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
Next, each F /
更に、これらのγ軸電圧指令値Vγ*及びδ軸電圧指令値Vδ*は、2相/3相変換部66において、三相(U,V,W)の交流座標上に写像される。そして、第2制御部26は、この2相/3相変換部66において生成された相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を、上記PWM変換部27に出力する構成となっている。尚、このように、第2制御部26が実行するレゾルバレス制御の原理についての詳細は、例えば、上記特許文献1及び特許文献2等の記載を参照されたい。
Further, the γ-axis voltage command value Vγ * and the δ-axis voltage command value Vδ * are mapped onto the three-phase (U, V, W) AC coordinates in the two-phase / three-
また、図2に示すように、本実施形態のマイコン17は、上記モータレゾルバ23により検出される上記回転角θmの異常を検出する回転角異常検出部68を備えている。具体的には、本実施形態の回転角異常検出部68は、そのモータレゾルバ23が出力する正弦信号S_sin及び余弦信号S_cosの二乗和が適正範囲内にあるか否かを判定する。そして、その判定結果に基づいて、モータ12の実回転角として回転角θmの異常を検出する。尚、このような回転角異常検出の詳細については、例えば、特開2006−177750号公報等の記載を参照されたい。
As shown in FIG. 2, the microcomputer 17 according to the present embodiment includes a rotation angle
更に、本実施形態では、この回転角異常検出部68による異常検出の結果は、回転角異常検出信号S_rsfとして上記モータ制御部24に入力される。そして、本実施形態のモータ制御部24は、回転角θmに異常のない場合には、上記第1制御部25が演算する相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいてモータ制御信号を出力し、回転角θmに異常が生じた場合には、上記第2制御部26が演算する相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**に基づいて、そのモータ制御信号の出力を実行する。
Further, in the present embodiment, the result of abnormality detection by the rotation angle
即ち、第2制御部26は、モータ12の実回転角であるモータレゾルバ23により検出される回転角θmを用いることなく、制御上の仮想的なモータ回転角である制御角θcを用いて、その相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を演算する。そして、本実施形態のECU11は、その第2制御部26が演算する相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**に基づいてモータ制御信号を生成することにより、回転角θmに異常が検出された後においても、安定的に、そのモータ制御を継続することが可能となっている。
That is, the
(電流指令値演算)
次に、本実施形態の電流指令値演算部61による電流指令値演算の態様について説明する。
(Current command value calculation)
Next, a mode of current command value calculation by the current command
図8に示すように、本実施形態の電流指令値演算部61は、目標操舵トルクτ*と実際の操舵トルクτとの間のトルク偏差Δτに基づいて各演算周期におけるγ軸電流指令値Iγ*の増減値(γ軸電流増減値η)を演算するγ軸電流増減値演算部71と、入力されるγ軸電流増減値ηを演算周期毎に積算する積算制御部72とを備えている。
As shown in FIG. 8, the current command
本実施形態の積算制御部72は、前回の演算周期における制御出力、即ちγ軸電流指令値Iγ*の前回値を記憶領域(図示略)に保持する。そして、積算制御部72は、入力されるγ軸電流増減値ηを当該前回値に加算することにより新たなγ軸電流指令値Iγ*を演算するとともに、当該新たなγ軸電流指令値Iγ*によって、その記憶領域に保持する前回値を更新する。
The
そして、本実施形態の電流指令値演算部61は、この積算制御部72の制御出力、即ちγ軸電流増減値ηの積算値をγ軸電流指令値Iγ*とする構成になっている。
さらに詳述すると、本実施形態のγ軸電流増減値演算部71は、トルク偏差Δτとγ軸電流増減値ηが関連付けられた二つのマップ(71a,71b)を備えている。具体的には、第1マップ71aは、目標操舵トルクτ*の符号(方向)が「正である場合(τ*>0)」に対応して形成される一方、第2マップ71bは、目標操舵トルクτ*の符号が「負である場合(τ*<0)」に対応して形成されている。尚、目標操舵トルクτ*が「0」である場合には、その直前の符号が用いられる。そして、γ軸電流増減値演算部71は、入力される目標操舵トルクτ*の符号に応じて参照するマップを切り替えつつ、そのトルク偏差Δτに基づいて、各演算周期におけるγ軸電流増減値ηを演算する。
The current command
More specifically, the γ-axis current increase / decrease value computing unit 71 of this embodiment includes two maps (71a, 71b) in which the torque deviation Δτ and the γ-axis current increase / decrease value η are associated. Specifically, the
即ち、目標操舵トルクτ*が「正の値」である場合にトルク偏差Δτが「正の値」、又は目標操舵トルクτ*の符号が「負の値」である場合にトルク偏差Δτが「負の値」にある状態は、モータ12が発生すべき目標トルクに対して実トルクが「不足」していることを示している。一方、目標操舵トルクτ*が「正の値」である場合にトルク偏差Δτが「負の値」、又は目標操舵トルクτ*の符号が「負の値」である場合にトルク偏差Δτが「正の値」にある状態は、モータ12が発生すべき目標トルクに対して実トルクが「過剰」であることを示している。そして、本実施形態のγ軸電流増減値演算部71は、そのトルク偏差Δτに示されるモータ12が発生すべき目標トルクに対する実トルクの過不足に基づいて、各演算周期におけるγ軸電流増減値ηを演算する。
That is, when the target steering torque τ * is “positive value”, the torque deviation Δτ is “positive value”, or when the sign of the target steering torque τ * is “negative value”, the torque deviation Δτ is “ The state of “negative value” indicates that the actual torque is “insufficient” with respect to the target torque that should be generated by the
具体的には、第1マップ71aにおいて、γ軸電流増減値ηは、トルク偏差Δτが「正の値」を有する所定値A1以上、且つ同じく「正の値」を有する所定値A2より小さい場合(A1≦Δτ<A2)には、当該トルク偏差Δτが大きな値となる程、より大きな絶対値を有する「正の値」となるように設定されている。また、トルク偏差Δτが所定値A1より小さく、且つ同じく「正の値」を有する所定値A3以上である場合(A3≦Δτ<A1)には、当該トルク偏差Δτが小さな値となるほど、より大きな絶対値を有する「負の値」となるように設定されている。そして、トルク偏差Δτが所定値A2以上である場合(A2≦Δτ)には、γ軸電流増減値ηが、一定の「正の値(最大増加値γ1)」となり、トルク偏差Δτが所定値A3より小さい場合(Δτ<A3)には、同γ軸電流増減値ηが、一定の「負の値(最大減少値γ2)」となるように設定されている。
Specifically, in the
一方、第2マップ71bにおいて、γ軸電流増減値ηは、トルク偏差Δτが「負の値」を有する所定値A4以下、且つ同じく「負の値」を有する所定値A5より大きい範囲にある場合(A5<Δτ≦A4)には、当該トルク偏差Δτが小さな値となる程、より大きな絶対値を有する「正の値」となるように設定されている。また、トルク偏差Δτが所定値A4より大きく、且つ同じく「負の値」を有する所定値A6以下である場合(A4<Δτ≦A6)には、当該トルク偏差Δτが大きな値(絶対値小)となるほど、より大きな絶対値を有する「負の値」となるように設定されている。そして、トルク偏差Δτが所定値A5以下である場合(Δτ≦A5)には、γ軸電流増減値ηが、一定の「正の値(最大増加値γ1)」となり、トルク偏差Δτが所定値A6より大きい場合(A6<Δτ)には、同γ軸電流増減値ηが、一定の「負の値(最大減少値γ2)」となるように設定されている。 On the other hand, in the second map 71b, the γ-axis current increase / decrease value η is in a range where the torque deviation Δτ is equal to or less than the predetermined value A4 having the “negative value” and larger than the predetermined value A5 having the same “negative value”. (A5 <Δτ ≦ A4) is set so that the smaller the torque deviation Δτ, the “positive value” having a larger absolute value. When the torque deviation Δτ is greater than the predetermined value A4 and equal to or less than the predetermined value A6 having the same “negative value” (A4 <Δτ ≦ A6), the torque deviation Δτ is a large value (small absolute value). Is set to be a “negative value” having a larger absolute value. When the torque deviation Δτ is equal to or less than the predetermined value A5 (Δτ ≦ A5), the γ-axis current increase / decrease value η is a constant “positive value (maximum increase value γ1)”, and the torque deviation Δτ is a predetermined value. When larger than A6 (A6 <Δτ), the γ-axis current increase / decrease value η is set to be a constant “negative value (maximum decrease value γ2)”.
本実施形態のγ軸電流増減値演算部71は、これら二つのマップ(71a,71b)を参照することにより、モータ12が発生すべき目標トルクに対して実トルクが「過剰」である場合(τ*>0においてΔτ<0、又はτ*<0においてΔτ>0)には、γ軸電流指令値Iγ*を低減するような「負の値」を有したγ軸電流増減値ηを演算する。 The γ-axis current increase / decrease value calculation unit 71 of the present embodiment refers to these two maps (71a, 71b), and the actual torque is “excess” with respect to the target torque that should be generated by the motor 12 ( When τ *> 0, Δτ <0, or when τ * <0, Δτ> 0), the γ-axis current increase / decrease value η having a “negative value” that reduces the γ-axis current command value Iγ * is calculated. To do.
更に、本実施形態では、モータ12が発生すべき目標トルクに対して実トルクが「不足」することを示す領域についても、その「実トルクの不足」を許容する範囲が設定されている(τ*>0において0≦Δτ<A1、又はτ*<0においてA4<Δτ≦0)。そして、γ軸電流増減値演算部71は、そのトルク偏差Δτに示される「実トルクの不足」が上記許容範囲内にある場合にも、γ軸電流指令値Iγ*を低減するような「負の値」を有したγ軸電流増減値ηを演算する。 Furthermore, in the present embodiment, a range in which the “shortage of actual torque” is allowed is set for the region indicating that the real torque is “insufficient” with respect to the target torque to be generated by the motor 12 (τ). *> 0, 0 ≦ Δτ <A1, or τ * <0, A4 <Δτ ≦ 0). Then, the γ-axis current increase / decrease value calculating unit 71 reduces the γ-axis current command value Iγ * so as to reduce the γ-axis current command value Iγ * even when “insufficient actual torque” indicated by the torque deviation Δτ is within the allowable range. Γ-axis current increase / decrease value η having “value” is calculated.
そして、本実施形態のγ軸電流増減値演算部71は、そのトルク偏差Δτに示される「実トルクの不足」が上記許容範囲を超える場合(τ*>0においてΔτ≧A1、又はτ*<0においてΔτ≦A4)には、γ軸電流指令値Iγ*を増大させるような「正の値」を有したγ軸電流増減値ηを演算する構成となっている。 Then, the γ-axis current increase / decrease value calculation unit 71 of the present embodiment, when “insufficient actual torque” indicated by the torque deviation Δτ exceeds the allowable range (Δτ ≧ A1 or τ * < At 0, Δτ ≦ A4) is configured to calculate a γ-axis current increase / decrease value η having a “positive value” that increases the γ-axis current command value Iγ *.
また、本実施形態の電流指令値演算部61には、電流指令値制限部73が設けられており、上記積算制御部72により演算されたγ軸電流指令値Iγ*は、この電流指令値制限部73に入力される。そして、本実施形態の電流指令値演算部61は、同電流指令値制限部73において制限処理が施された後のγ軸電流指令値Iγ**を、上記減算器64aに出力する(図4参照)。
Further, the current command
詳述すると、本実施形態の電流指令値制限部73は、γ軸電流指令値Iγ*を電流指令上限値Ilim以下に制限する。換言すると、電流指令上限値Ilimを超えないようにγ軸電流指令値Iγ*を補正する(Ilim≧Iγ**)。また、本実施形態では、電流指令値制限部73には、上記トルク偏差Δτが入力されるようになっている。そして、電流指令値制限部73は、そのトルク偏差Δτに基づいて、上記電流指令上限値Ilimを変更する。
Specifically, the current command
具体的には、図9に示すように、本実施形態の電流指令値制限部73は、トルク偏差Δτ(の絶対値)が所定値T1以下である場合(|Δτ|≦T1)には、上記電流指令上限値Ilimとして所定値I1を設定する(Ilim=I1)。そして、電流指令値制限部73は、トルク偏差Δτが所定値T1を超える場合には、所定値I1よりも高い値に上記電流指令上限値Ilimを変更する。
Specifically, as shown in FIG. 9, the current command
具体的には、電流指令値制限部73は、トルク偏差Δτ(の絶対値)が上記所定値T1より大きく所定値T2以下の範囲にある場合(T1<|Δτ|≦T2)には、当該トルク偏差Δτが大きいほど、より大きな値を電流指令上限値Ilimに設定する。そして、トルク偏差Δτが所定値T2を超える場合(|Δτ|≧T2)には、その電流指令上限値Ilimとして所定値I2を設定する構成になっている(Ilim=I2)。 Specifically, when the torque deviation Δτ (the absolute value thereof) is in a range greater than the predetermined value T1 and equal to or less than the predetermined value T2 (T1 <| Δτ | ≦ T2), The larger the torque deviation Δτ, the larger the current command upper limit value Ilim is set. When the torque deviation Δτ exceeds the predetermined value T2 (| Δτ | ≧ T2), the predetermined value I2 is set as the current command upper limit value Ilim (Ilim = I2).
即ち、本実施形態の第2制御部26は、上記のように、トルク偏差Δτに基づくトルクフィードバック制御を実行することにより、制御上の仮想的な制御角θcを演算する。そして、当該制御角θcに従う回転座標系(γ/δ座標系)において電流フィードバック制御を実行するモータ制御では、ロータの回転位置を保持するために必要な起磁力をステータが発生し得る限りにおいて、その制御角θcと実際のモータ回転角(θm)との乖離を安定的に制御可能な範囲に留めおくことが可能になる。
That is, the
つまり、目標操舵トルクτ*に実際の操舵トルクτが追従する安定的な制御状態は、逆説的に、そのモータ制御の安定性を維持するために必要な量以上のモータ電流が流れていることを示す。 In other words, in a stable control state where the actual steering torque τ follows the target steering torque τ *, paradoxically, the motor current exceeds the amount necessary to maintain the stability of the motor control. Indicates.
この点に着目し、本実施形態の電流指令値制限部73は、そのトルク偏差Δτ(の絶対値)が、安定的な制御状態にあることを示す所定値T1以下の領域(安定領域)内にある場合には、モータ電流を抑えるべく、上記電流指令上限値Ilimを低い値(所定値I0)に設定する。そして、当該トルク偏差Δτが上記の安定領域を超える範囲にある場合(|Δτ|>T1)、つまり制御状態の安定性の低下を示す場合には、より大きなモータ電流の通電を許容してモータ制御の安定性を高めるべく、電流指令上限値Ilimをより高い値に変更する構成になっている。
Focusing on this point, the current command
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第2制御部26は、目標操舵トルクτ*に実際の操舵トルクτを追従させるべく、トルク偏差Δτに基づくトルクフィードバック制御を実行することにより制御上の仮想的な制御角θcを演算する。また、第2制御部26は、トルク偏差Δτに基づくγ軸電流増減値ηを演算し、当該γ軸電流増減値ηを積算することによりγ軸電流指令値Iγ*を演算する。そして、上記制御角θcに従う回転座標系(γ/δ座標系)において電流フィードバック制御を実行する。更に、第2制御部26(電流指令値演算部61)は、上記γ軸電流指令値Iγ*を電流指令上限値Ilim以下に制限する電流指令値制限部73を備える。そして、当該電流指令値制限部73は、トルク偏差Δτに基づいて、電流指令上限値Ilimを変更する。
As described above, according to the present embodiment, the following effects can be obtained.
(1) The
即ち、トルク偏差Δτに基づくトルクフィードバック制御の実行により制御角θcを演算し、当該制御角θcに従う回転座標系(γ/δ座標系)で電流フィードバック制御を実行するモータ制御においては、目標操舵トルクτ*に対する実際の操舵トルクτの追従性が高いほど、より安定的な制御状態にある。そして、このような安定的な制御状態ある場合には、そのモータ制御の安定性を維持するために必要なモータ電流もまた小さな値となる。従って、上記構成によれば、モータ制御の安定性を好適に維持しつつ、効果的に、モータ電流を抑制することができる。その結果、エネルギー効率を改善するとともに、モータの発熱を抑えて信頼性の向上を図ることができる。 That is, in the motor control in which the control angle θc is calculated by executing the torque feedback control based on the torque deviation Δτ and the current feedback control is executed in the rotating coordinate system (γ / δ coordinate system) according to the control angle θc, the target steering torque The higher the followability of the actual steering torque τ with respect to τ *, the more stable the control state. In such a stable control state, the motor current necessary for maintaining the stability of the motor control is also a small value. Therefore, according to the said structure, a motor current can be suppressed effectively, maintaining the stability of motor control suitably. As a result, the energy efficiency can be improved and the reliability of the motor can be improved by suppressing the heat generation of the motor.
(2)電流指令値制限部73は、トルク偏差Δτ(の絶対値)が、安定的な制御状態にあることを示す所定値T1以下の領域(安定領域)を超える範囲にある場合(|Δτ|>T1)には、当該トルク偏差Δτが安定領域内にある場合(Ilim=I1)よりも高い値に電流指令上限値Ilimを変更する。
(2) The current
上記構成によれば、制御状態が安定的であることを示すトルク偏差Δτの小さい領域、即ち安定領域内にある場合については、その電流指令上限値Ilimを低い値(所定値I0)に設定して過剰なモータ電流の通電を抑制する。そして、トルク偏差Δτが安定領域を超える範囲にある場合、即ち制御状態の安定性の低下を示す場合には、その電流指令上限値Ilimを高い値に変更し、より大きなモータ電流の通電を許容することによって、モータ制御の安定性を高めることができる。その結果、モータ制御の安定性を好適に維持しつつ、効果的にモータ電流を抑制することができる。 According to the above configuration, the current command upper limit value Ilim is set to a low value (predetermined value I0) when the torque deviation Δτ indicating that the control state is stable, that is, in the stable region. Suppress excessive motor current. When the torque deviation Δτ is in a range exceeding the stable region, that is, when the stability of the control state is reduced, the current command upper limit value Ilim is changed to a high value to allow energization of a larger motor current. By doing so, the stability of motor control can be improved. As a result, it is possible to effectively suppress the motor current while suitably maintaining the stability of the motor control.
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本発明を所謂コラム型の電動パワーステアリング装置(EPS)1に具体化した。しかし、これに限らず、所謂ピニオン型やラックアシスト型等のEPSに適用してもよい。
In addition, you may change the said embodiment as follows.
In the above embodiment, the present invention is embodied in a so-called column type electric power steering device (EPS) 1. However, the present invention is not limited to this, and the present invention may be applied to a so-called pinion type or rack assist type EPS.
・また、本発明は、モータが発生すべき目標トルクと実トルクとの偏差を検出可能であれば、EPS以外の用途に用いられるモータ制御装置に適用してもよい。
・上記実施形態では、電流指令値制限部73は、トルク偏差Δτに基づいて、直接的に電流指令上限値Ilimを変更することとした。しかし、これに限らず、トルク偏差Δτに応じて変化するゲインKを演算することにより、その他、複数の状態量との組合せに基づいて、電流指令上限値Ilimを変更する構成であってもよい。
In addition, the present invention may be applied to a motor control device used for purposes other than EPS as long as the deviation between the target torque to be generated by the motor and the actual torque can be detected.
In the above embodiment, the current command
具体的には、例えば、図10に示される電流上限値決定部74は、トルク偏差Δτ以外の状態量である車速Vと上限基礎値Ilmbとが関連付けられた基礎値マップ74aと、トルク偏差ΔτとゲインKとが関連付けられたゲインマップ74bとを備えている。尚、基礎値マップ74aにおいて、上限基礎値Ilmbは、車速Vが速いほど、より小さな値となるように設定されている。また、ゲインマップ74bにおいて、ゲインKは、上記実施形態における電流指令上限値Ilimと同様、トルク偏差Δτ(の絶値値)が大きい領域において、より大きな値となるように設定されている(図9参照)。そして、電流上限値決定部74は、これら二つのマップ(74a,74b)に基づき演算される上限基礎値Ilmb及びゲインKを乗算した値を電流指令上限値Ilimとして決定する。
Specifically, for example, the current upper
このようにして演算される電流指令上限値Ilimを用いる構成としても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、トルク偏差Δτ(の絶値値)に応じたゲインKを乗ずる電流指令上限値Ilimの基礎値(上限基礎値Ilmb)については、固定値であってもよい。 Even when the current command upper limit value Ilim calculated in this way is used, the same effect as in the above embodiment can be obtained. Incidentally, the basic value (upper limit basic value Ilmb) of the current command upper limit value Ilim multiplied by the gain K corresponding to the torque deviation Δτ (absolute value thereof) may be a fixed value.
・また、上記実施形態では、トルク偏差Δτ(の絶値値)に応じて連続的に電流指令上限値Ilimを変更する構成(図9参照)としたが、非連続に電流指令上限値Ilimを変更する構成であってもよい。 In the above embodiment, the current command upper limit value Ilim is continuously changed according to the torque deviation Δτ (absolute value) (see FIG. 9), but the current command upper limit value Ilim is discontinuously set. The structure to change may be sufficient.
具体的には、例えば、図11に示される電流上限値決定部75は、トルク偏差Δτ以外の状態量である車速Vと電流指令上限値Ilimとが関連付けられた二つのマップ(75a,75b)を備えている。第1マップ75aにおいて、電流指令上限値Ilimは、車速Vに依らず一定の値(所定値I3)となるように設定されている。一方、第2マップ75bにおいて、電流指令上限値Ilimは、車速Vが速いほど、より小さな値となるように設定されるとともに、その最小値I4が上記第1マップ75aにおける所定値I3よりも大きな値となるように設定されている。また、この例では、トルク偏差Δτ(の絶値値)が所定値T3以下の領域が上記安定領域となっている。そして、電流上限値決定部75は、そのトルク偏差Δτ(の絶対値)が所定値T3以下である場合(|Δτ|≦T3)には、第1マップ75aを参照することにより電流指令上限値Ilimを決定し、当該トルク偏差Δτが所定値T3を超える場合(|Δτ|>T3)には、第2マップ75bを参照することにより電流指令上限値Ilimを決定する。
Specifically, for example, the current upper
このような構成としても、上記実施形態と同様、トルク偏差Δτが安定領域を超える範囲にある場合(|Δτ|>T3)には、当該トルク偏差Δτが安定領域内にある場合(|Δτ|≦T3)よりも高い値に電流指令上限値Ilimを変更して、そのモータ制御の安定性を高めることができる。 Even in such a configuration, when the torque deviation Δτ is in the range exceeding the stable region (| Δτ |> T3), the torque deviation Δτ is in the stable region (| Δτ | By changing the current command upper limit value Ilim to a value higher than ≦ T3), the stability of the motor control can be improved.
尚、トルク偏差Δτ以外の状態量については、必ずしも車速Vに限るものではなく、その他の状態量であってもよい。また、このような複数のマップを用いる構成のみならず、トルク偏差Δτ(の絶値値)に応じて、ステップ状に電流指令上限値Ilimを変更する構成であってもよい。 The state quantities other than the torque deviation Δτ are not necessarily limited to the vehicle speed V, and may be other state quantities. In addition to such a configuration using a plurality of maps, the current command upper limit value Ilim may be changed stepwise in accordance with the torque deviation Δτ (absolute value thereof).
・上記実施形態では、加算角演算部41は、トルク偏差Δτに基づくトルクフィードバック制御の実行により加算角θaを演算する。そして、γ軸電流増減値演算部71は、同じくトルク偏差Δτに基づいてγ軸電流増減値ηを演算することとした。しかし、目標操舵トルクτ*を「0」に固定して制御する場合には、トルク偏差Δτに代えて操舵トルクτを用いる構成としても全く等価であることは言うまでもない(Δτ=τ−τ*)。
In the above embodiment, the addition
・上記実施形態では、ステアリングセンサ16を用いて操舵角θsを検出することとしたが、車輪速差から操舵角θsを推定する構成であってもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
In the above embodiment, the steering angle θs is detected using the
Next, technical ideas that can be grasped from the above embodiments will be described together with effects.
(イ)モータ制御信号を出力するモータ制御信号出力手段と、前記モータ制御信号に基づいて三相の駆動電力をモータに供給する駆動回路とを備え、前記モータ制御信号出力手段は、前記モータが発生すべき目標トルクに対する実トルクのトルク偏差に基づくトルクフィードバック制御の実行により演算周期毎のモータ回転角変化量に相当する加算角を演算し、該加算角を積算することにより制御上のモータ回転角を演算するとともに、前記演算周期毎に、前記トルク偏差に基づく増減値を演算し、該増減値を積算することにより電流指令値を演算しつつ、前記制御上のモータ回転角に従う回転座標系において電流フィードバック制御を実行することにより、前記モータ制御信号を出力するモータ制御装置において、前記モータ制御信号出力手段は、前記電流指令値を上限値以下に制限するとともに、前記トルク偏差に基づいて前記上限値を変更すること、を特徴とするモータ制御装置。上記構成によれば、モータ制御の安定性を好適に維持しつつ、効果的にモータ電流を抑制することが可能なモータ制御装置を提供することができる。 (A) a motor control signal output means for outputting a motor control signal; and a drive circuit for supplying three-phase drive power to the motor based on the motor control signal, wherein the motor control signal output means By executing torque feedback control based on the torque deviation of the actual torque with respect to the target torque to be generated, an addition angle corresponding to the amount of change in motor rotation angle for each calculation cycle is calculated, and the motor rotation on the control is calculated by integrating the addition angle A rotation coordinate system that calculates an angle, calculates an increase / decrease value based on the torque deviation for each calculation cycle, calculates a current command value by integrating the increase / decrease value, and follows the motor rotation angle on the control In the motor control device that outputs the motor control signal by executing current feedback control in the motor control signal output Stage, as well as limiting the current command value below the upper limit value, the motor control apparatus characterized by, for changing the upper limit value based on the torque deviation. According to the said structure, the motor control apparatus which can suppress a motor current effectively can be provided, maintaining the stability of motor control suitably.
(ロ)前記モータ制御信号出力手段は、前記上限値の基礎値に前記トルク偏差に応じて変化するゲインを乗ずることにより、前記上限値を決定すること、を特徴とする。
(ハ)前記モータ制御信号出力手段は、前記トルク偏差以外の状態量と前記上限値とが関連付けられた複数のマップを備え、前記トルク偏差に基づき参照する前記マップを切り替えつつ、前記上限値を決定すること、を特徴とする。
(B) The motor control signal output means determines the upper limit value by multiplying a basic value of the upper limit value by a gain that changes according to the torque deviation.
(C) The motor control signal output means includes a plurality of maps in which state quantities other than the torque deviation are associated with the upper limit value, and the upper limit value is determined while switching the map to be referred to based on the torque deviation. It is characterized by determining.
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、12u,12v,12w…モータコイル、14…トルクセンサ、15…車速センサ、16…ステアリングセンサ、17…マイコン、18…駆動回路、21…電流センサ、23…モータレゾルバ、24…モータ制御部、25…第1制御部、26…第2制御部、27…PWM変換部、41…加算角演算部、42…制御角演算部、45…目標操舵トルク演算部、46…減算器、47…F/B制御部、50…回転角速度推定演算部、52…相電圧演算部、53…α/β変換部、54…外乱オブザーバ、58…加算角調整演算部、59…加算角制限部、60…γ/δ変換部、61…電流指令値演算部、65a,65b…F/B制御部、66…2相/3相変換部、68…回転角異常検出部、71…γ軸電流増減値演算部、71a…第1マップ、71b…第2マップ、72…積算制御部、73…電流指令値制限部、74…電流上限値決定部、74a…基礎値マップ、74b…ゲインマップ、75…電流上限値決定部、75a…第1マップ、75b…第2マップ、Iu,Iv,Iw…相電流値、θm…回転角、Id…d軸電流値、Iq…q軸電流値、Id*…d軸電流指令値、Iq*…q軸電流指令値、ΔId,ΔIq…電流偏差、Vu*,Vv*,Vw*…相電圧指令値、τ…操舵トルク、τ*…目標操舵トルク、Δτ…トルク偏差、A1〜A6…所定値、T1,T2,T3…所定値、η…γ軸電流増減値、dθτ…第1変化成分、Iα…α軸電流値、Iβ…β軸電流値、Vα…α軸電圧値、Vβ…β軸電圧値、Eα,Eβ…誘起電圧、Eα_e,Eβ_e…誘起電圧推定値、Esq_αβ…誘起電圧二乗和、E0…閾値、ωm_e…モータ回転角速度、dθω…第2変化成分、θa,θa´…加算角、θc…制御角、Iγ…γ軸電流値、Iδ…δ軸電流値、Iγ*,Iγ**…γ軸電流指令値、Iδ*…δ軸電流指令値、ΔIγ,ΔIδ…電流偏差、Vu**,Vv**,Vw**…相電圧指令値、θs…操舵角、V…車速、Ilim…電流指令上限値、I1,I2,I3…所定値、I4…最小値、Ilmb…上限基礎値、K…ゲイン、S_rsf…回転角異常検出信号。
DESCRIPTION OF
Claims (2)
前記モータ制御信号出力手段は、前記電流指令値を上限値以下に制限するとともに、前記トルク偏差に基づいて前記上限値を変更すること、
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 A steering force assisting device for applying an assisting force to a steering system using a motor as a drive source; and a control means for controlling the operation of the steering force assisting device, wherein the control means outputs a motor control signal. Output means, and a drive circuit that supplies three-phase drive power to the motor based on the motor control signal, and the motor control signal output means generates a torque deviation between the target steering torque and the actual steering torque. Based on the execution of torque feedback control based on the calculation, an addition angle corresponding to the amount of change in the motor rotation angle for each calculation cycle is calculated, and the motor rotation angle on the control is calculated by integrating the addition angle, and for each calculation cycle, In the rotating coordinate system according to the motor rotation angle on the control while calculating the current command value by calculating the increase / decrease value based on the torque deviation and integrating the increase / decrease value By executing the flow feedback control, the electric power steering device for outputting the motor control signal,
The motor control signal output means limits the current command value to an upper limit value or less and changes the upper limit value based on the torque deviation.
An electric power steering device.
前記モータ制御信号出力手段は、前記トルク偏差が安定領域を超える範囲にある場合には、前記トルク偏差が安定領域内にある場合よりも高い値に前記上限値を変更すること、
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 The electric power steering apparatus according to claim 1, wherein
The motor control signal output means, when the torque deviation is in a range exceeding the stable region, changing the upper limit value to a higher value than when the torque deviation is in the stable region;
An electric power steering device.
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