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JP2012211819A - バイオセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】常時持ち運びができるようなコンパクトな構造で、夾雑物による擬陽性が生じる確率を大きく低減することができ、低濃度サンプル測定時の検査時間を短縮することができるバイオセンサを提供する。
【解決手段】特定の標的分子を特異的に吸着する捕獲担体を表面に結合した微粒子107が溶液に分散されている。溶液が表面に位置する一定の横幅と奥行きと深さとの凹溝が基体に形成されている。凹溝の内部に露出している少なくとも一対の対向する電極の表面に捕獲担体が結合されている。一対の電極の電気的な結合状態の変化に応じて液体試料中の標的分子量を分子測定手段が測定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、特定の標的分子を特異的に吸着する性質を持った捕獲担体を用い、特定の標的分子を含む物質群の存在を検出することが可能なバイオセンサに関する。
近年、爆発物や銃火器などの危険物を用いたテロ、覚醒剤、麻薬などの禁止薬物の流通、新型インフルエンザや未知の感染性病原体の発生、食品の汚染、大気汚染、水質汚染など、様々な脅威の存在が安全、安心な社会的生活を脅かしている。
それらの脅威の根源となる物質・分子を対象とするセンシング技術は、安心・安全な社会形成不可欠なものである。特に、誰でも気軽に使えるような、安価で簡単な方式やセンシング装置の開発が希求されている。
現在、微量な物質を検査、検出する方法には、蛍光X線分析、質量分析器(MS:MASSSPECTROMETRY)、イオンモビリティスペクトロメトリ(IMS:IONMOBILITY SPECTROMETRY)、ガスクロマトグラフィ(GC:GASCHROMATOGRAPHY)、液体クロマトグラフィ(LC:LIQUIDCHROMATOGRAPHY)、焼結半導体式、定電位電解式、ガルバニ式、赤外線吸収式、などの各種ガスセンサーなどがある。
他にも、化学反応を用いた化学発光法、化学的染色法、また、抗体や酵素、アプタマーなどの生体反応物質を使った免疫クロマトグラフィ、酵素免疫測定(ELISA:ENZYME-LINKEDIMMUNOSORBENTASSAY)法、表面プラズモン共鳴(SPR:SURF ACEPLASMONRESONANCE)法、水晶振動子マイクロバランス(QCM:QUARTZCRYSTALM ICROBALANCE)法、表面弾性波(SAW:SURFACEACOUSTICWAVE)センサ、バイオ発光法など多種多様の方法が存在する。
従って、これらの中から目的の被検出物質に応じて、最も適した方法を採用することは難しくない。しかし、それをセンサとして用いる場合は、様々な応用局面に応じるために、常時持ち運びが可能な、できるだけコンパクトな装置でセンシングができる可搬性といった観点も非常に重要な要素となる。
その観点では、蛍光X線、MS、GC、LCなどの一般的に物理的な検出方法と呼ばれる手法は、総じて高い分子認識能と、高い感度を有している。しかし、装置は卓上サイズ程度で可搬性は低く、高価で、分析に時間がかかったりする点で、応用範囲は限られている。
一方で、各種のガスセンサー、免疫クロマトグラフィ、化学染色・発光法、バイオ発光法などは、可搬性が高いセンシング装置が作製可能であり、従来から様々な場所で用いられている。
例えば、種々のガスセンサーは、ガス漏れ検知器や、酸素濃度計など、広く一般に普及しているものがある。化学反応を用いた化学物質検出方法には、例えば、ルミノール反応など、特定の官能基に反応し光を発する薬剤を用いて標的分子物質を検出するメカニズムを使うため、装置の簡略化が可能である。また、ルシフェリンとルシフェラーゼの特異な反応を用いるバイオ発光メカニズムを用いる装置も、コンパクトで高い感度をもつものがある。
免疫クロマトグラフィは、インフルエンザウィルスなど標的分子を特化し、それに対応した抗体に事前に検出用の標識を施す準備をしておくことで、非常に簡単な手順だけで目的の物質を検出することが可能である。
具体的には、目的物質の抗体を二種類用意し、その一方を基板の特定の領域に固定し、もう一方には金微粒子などの発色標識を修飾しておく。そして、目的物質を含むと思われる試料の溶液と、金コロイド標識付きの抗体の混合溶液を基板上に展開すると、抗体を固定してある基板の特定領域に、目的物質をサンドイッチする形で、金コロイドが固定される。
その結果、金コロイドの光吸収により基板には色の変化が蓄積し、その変化量をもって、目的物質の含有量を推定する。また、用いる抗体を変えることで、様々な標的分子に対応できる優位性がある。
また、電極構造を用いた巨大生体高分子の検出方法の提案もある。その技術では、第一および第二電極を有する電極構造を備えており、電極において第一電気的測定が実施される。
他の工程では、調査対象の溶液を電極構造に接触させる。このとき、溶液は、検出対象の巨大生体高分子を含んでいてもよい。さらに他の工程では、調査する溶液中に含まれる検出対象の巨大生体高分子が、第一および第二電極上の捕捉分子に結合し、電極構造は、巨大生体高分子に結合するとともにそれに電気的伝導性を付与する巨大生体高分子の伝導性を高めるための試薬に、接触する。その後、電極において第二電気的測定を実施し、電極において二つの電気的測定の結果を比較することによって、巨大生体高分子を検出する(特許文献1)。
また、各々のバイオセンサセルが感知ゾーンを備えるバイオセンサセルおよび複数のバイオセンサセルを備えるバイオセンサアレイの提案もある。その技術では、第一の感知電極、第二の感知電極、および感知電極を隔てるギャップが、感知ゾーン内に配列される。
第一の感知電極は、ギャップを使って第二の感知電極から電気的に絶縁される。捕捉分子は、感知ゾーン内に固定化され、電界効果トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極を有し、第一の感知電極は、電界効果トランジスタのゲート電極に電気的に接続され、第二の感知電極は、ゲート電圧に電気的に接続可能である(特許文献2)。
特表2004−524534号公報 特表2009−524046号公報
免疫クロマトグラフィには、可搬性が高く、様々な標的分子に対応できるセンシング手法という観点で大きな利点があるが、一方で、ELISAやSPR法と比較すると感度や定量性の点で劣ること、高い検出感度を得るための手法も存在するが、検査時間や操作手順が増えてしまうこと、限られた目的物質以外については何も分からないことなどの課題がある。
また、検査時間に関しては、ELISAなどと比較すると十分短く、免疫クロマトグラフィの優位性の一つではあるが、さらに短時間での検出が要求される場合もあることから、この点に関しても課題が残されていると言える。
個々の課題について詳しく述べると、まず感度に関しては、通常金コロイドによる発色(光J吸収)を目視で観察するため、信号の増幅機能があるELISAや、共鳴効果を用いるSPRと比較して、劣る。また、定量性についても、目視観察では限界がある。
そのため、感度を向上させるための方法として、金属コロイドを触媒にして、増感剤を反応させることで、感度を向上する方法が提案されている。また、レーザーなどを用いて光学的に吸着した金コロイドの量を定量する方法も提案されている。
しかし、実際は何れの方法においても、従来の免疫クロマトグラフィによる測定キットに加えて、操作手順とともに誤差要因が増えたり、測定器を新たに設ける必要があったりするなどの点で、免疫クロマトグラフィに要求される簡便さの利点が大きく損なわれてしまうために、広く普及していない。
次に、測定時感に関しては、免疫クロマトグラフィでは、通常基板として横幅5MM程度の短冊形の繊維質材料を用い、液体のサンプルは繊維質材料の内部の隙間を毛細管現象を使って輸送するため、少なくとも5分程度の時間を要することや、検査対象が陰性なのか、低濃度だから陽性なのかといった、実際の運用上で重要な判定を下す局面では、さらに長い15分から30分の時間を要する。
この検査時間をさらに短くすることが、免疫クロマトグラフィの大きな課題の一つである。測定感度、測定時間を改善する方法として、電気的検出方法を用いた免疫クロマトグラフィが検討されている。
一定のギャップを隔てた二つの電極の間を、DNAなどの生体巨大分子を用いて架橋することで生じる電極間の導電率変化によって、分子を検出する方法も提案されている。また、対向する二つの櫛形電極を用意し、その間の導電性変化を測定することで、目的分子の定量を行う方法も提案されている。
これらの電極を用いる方法の利点は、定量性の向上にある。感度は、原理的に従来の免疫クロマトグラフィと同等であるが、定量性が向上することによって、実質的な最低検出限界が下がる、つまり感度が向上することが期待できる。
しかし、これらの方法には解決すべき課題の一つとして、夾雑物の影響を受け易い問題がある。上述の二つの方法とも、電極間の距離が短く、かつ表面が露出しているため、試料溶液に含まれる非常に小さな1UM程度の粒子によっても、電極間が短絡し、容易に擬陽性が生じてしまう。そのため、結果として実用的な検査の局面では全く信頼性が得られない。
もう一つの課題として、センサーチップの小型化、測定時間の問題がある。電気的に評価する免疫クロマトグラフィでは、通常電極をパターニングした平坦な基板を用いるが、キットとして実装したときの基板の体積辺りの表面積という観点では、目視で評価する従来法で用いる繊維状基板と比較して大きく劣る。
そのため、免疫アッセイを行うために同等の表面積を用意しようとすると、平坦基板の大きさは、非常に大きくなってしまう。もし、基板の大きさに制限がある場合は、感度と測定時間を犠牲にしなければならない。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、常時持ち運びができるようなコンパクトな構造で、夾雑物による擬陽性が生じる確率を大きく低減することができ、低濃度サンプル測定時の検査時間を短縮することができるバイオセンサを提供するものである。
本発明のバイオセンサは、特定の標的分子を特異的に吸着する捕獲担体を表面に結合した微粒子が分散されている溶液と、溶液が表面に位置する一定の横幅と奥行きと深さとの凹溝が形成されている基体と、凹溝の内部に露出していて捕獲担体が表面に結合されている少なくとも一対の対向する電極と、一対の電極の電気的な結合状態の変化に応じて液体試料中の標的分子量を測定する分子測定手段と、を有する。
本発明のバイオセンサでは、特定の標的分子を特異的に吸着する捕獲担体を表面に結合した微粒子が溶液に分散されている。溶液が表面に位置する一定の横幅と奥行きと深さとの凹溝が基体に形成されている。凹溝の内部に露出している少なくとも一対の対向する電極の表面に捕獲担体が結合されている。一対の電極の電気的な結合状態の変化に応じて液体試料中の標的分子量を分子測定手段が測定する。このため、常時持ち運びができるようなコンパクトな構造で、夾雑物による擬陽性が生じる確率を大きく低減することができ、低濃度サンプル測定時の検査時間を短縮することができる。
本発明の実施の第一の形態のバイオセンサの製造工程の一部を示し、(A)は模式的な正面図、(B)は模式的な平面図、である。 バイオセンサの製造工程の一部を示し、(A)は模式的な正面図、(B)は模式的な平面図、である。 完成したバイオセンサの構造を示し、(A)は模式的な正面図、(B)は模式的な平面図、である。 バイオセンサにより標的分子を吸着する状態を示す模式的な正面図である。 バイオセンサにより標的分子を吸着する微視的な状態を示す模式的な正面図である。 本発明の実施の第二の形態のバイオセンサの構造を示す模式的な平面図である。 本発明の実施の第二の形態のバイオセンサの実装方法を示す模式的な平面図である。
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態のバイオセンサは、図3および図4に示すように、特定の標的分子を特異的に吸着する捕獲担体を表面に結合した微粒子107が分散されている溶液(図示せず)と、一定の横幅と奥行きと深さとの凹溝を構成する基体102〜104と、凹溝の内部に露出していて捕獲担体が表面に結合されている少なくとも一対の対向する櫛型パターン電極101と、一対の櫛型パターン電極101の電気的な結合状態の変化に応じて液体試料中の標的分子量を測定する分子測定手段と、を有する。
本実施の形態のバイオセンサは、特定の標的分子を特異的に吸着する性質(抗原特異性)を持った捕獲担体となる分子(捕獲分子)、特にタンパクや、ハプテン、核酸アプタマ、受容体などの生体由来の捕獲分子を用いる。
特に溶液中に分散した、捕獲分子を表面に結合した微粒子107と、同じく捕獲分子を表面に結合させた対向する二つの対向する櫛型パターン電極101を用いて、液体試料中の標的分子の存在の有無や含有量などを、二つの対向する櫛型パターン電極101の間の電気的な結合状態の変化により検出する。
捕獲分子には、生体内で行われている遺伝子情報伝達、細胞内外の信号伝達、神経情報伝達、免疫システムなどで用いられる分子認識機能を持つ分子を応用することができる。例えば、Gタンパク共役受容体や免疫グロブリンを用いることができ、必要に応じて分子認識部位などのアミノ酸配列を改変することも可能である。
また、核酸やペプチドの中から、特定の分子に特異的に吸着する性質を持つ分子だけを抽出する既存の方法を用い、特別に選んだ捕獲分子を用いることも可能である。これらの捕獲分子には、櫛型パターン電極101の表面や微粒子107の表面へ効果的に吸着、または結合させる目的の官能基やアミノ酸配列、塩基配列などを追加で修飾することが可能である。
櫛型パターン電極101の材料には、金属を用いることができる。好ましくは、金、白金、銀、パラジウムなどの貴金属を用いることができる。特に、捕獲分子の固定を容易にするために用いるチオール分子との親和性を高めるために、これらの貴金属のうち、少なくとも一つを含む合金を用いることができる。
また、櫛型パターン電極101の材料に金属ではなく、有機物を用いることで櫛型パターン電極101の構造の製造コストを低減することが可能である。櫛型パターン電極101の材料には、カーボンナノチューブや、ポリアセチレン、ポリチオフェンなどのパイ共役電子ネットワークが伝導を担う高分子導電材料などを用いることが可能である。さらに、有機物からなる櫛型パターン電極101の表面へは、捕獲分子の固定を容易にするために用いる官能基を修飾しておくことが好ましい。
各櫛型パターン電極101には、夾雑物が非特異的に接触し短絡することにより生じる夾雑物電流を防ぐため、櫛型パターン電極101の一部分を覆うように、絶縁材料による被覆層を設ける。絶縁材料には、シリコン酸化膜などの酸化絶縁膜、ポリイミド、パリレンなどの有機絶縁膜や、絶縁性の自己配向膜などを用いることができる。
対向する櫛型パターン電極101の間には、少なくとも電極層の厚みと、被覆層の厚みとを合わせた深さの凹溝が生じる。凹溝の横幅は、以下で説明する捕獲分子を表面に結合した微粒子107の直径以上の大きさとする、さらにその中から最適な微粒子107の吸着効率と、最適な夾雑物電流の抑制効果が得られる大きさを選ぶことができる。
凹溝の深さは、少なくとも凹溝の横幅の等倍以上であり、好ましくは二倍以上とする。凹溝を深くするために、基板をエッチングすることも可能である。その結果、ギャップのサイズ以上に大きな粒子は、対向する櫛型パターン電極101の間の凹溝には物理的に入り込むことができなくなる。
そのため、結果として夾雑物電流を抑制することができ、擬陽性が生じる確率を大きく低減することができる。上記の櫛型パターン電極101の構造を加工するためには、半導体リソグラフィを用いることができる。一方、微粒子107にも、捕獲分子を結合させて使用する。
微粒子107に結合させる捕獲分子は、櫛型パターン電極101に結合させた捕獲分子と、測定の対照となる特定の物質や分子に特異的に結合する点で同様の性質を持つものを利用する。つまり、全く同じ捕獲分子を使用することもできるし、測定対象の分子の異なる部位に特異的な結合力を持つ全く異なる二種類の捕獲分子を使用することも可能である。
捕獲分子を結合させた微粒子107は、溶液中に最適な濃度に調整し分散させて使用する。測定に際しては、まず測定以前に対向する櫛型パターン電極101が電気的に短絡していないことを確認し、測定用の標準溶液に浸漬する。その状態で、まず対向する櫛型パターン電極101の間に一定電圧VDCを印加し、電流の初期値IDC1を記録する。
次に、標準溶液に、実際に測定を行う試料、微粒子107が分散した溶液を加えて、吸着反応を行う。吸着反応中は適宜、攪拌を行うことが可能である。場合によっては、対向する櫛型パターン電極101の両方に定電位を印加したり、対向する櫛型パターン電極101の間に数百KHZ以上の高周波を印加したりして、吸着反応を促進することが可能である。
また、逆に微粒子107の吸着を抑制したり、特異的吸着を示さない微粒子107を櫛型パターン電極101から遠ざけたりすることも可能である。そして、対向する櫛型パターン電極101の間に改めて一定電圧VDCを印加し、処理後の電流値IDC2を記録することで、優位に抗原抗体反応による結合が生じれば、電流変化率(IDC2−IDC1)/IDC1として、優位に大きな値を得ることができる。
また、電圧の印加、電流計測はこの方法には限らず、交流電圧、パルス電圧。周波数スイープなど様々な計測方法を用いることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について図1ないし図4を参照して詳細に説明する。図1ないし図3は、本実施形態で用いる尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)検査用センサの基本構成となる櫛型パターン電極101の作製プロセスを説明する模式図である。
図1は、まずリフトオフプロセスまたはレジストパターンをマスクにしたミリングプロセスにより櫛型パターン電極101を作製した状態の基板の断面図と、上面図を模式的に示したものである。基板の断面図は、上面図にA−Bで記した部分の断面に対応する。
また基板には、表面に厚さ20NMの酸化シリコン層102、その下に厚さ300NMのシリコン層103、さらにその下には厚さ50NMの埋め込み酸化シリコン層104を有するSOI(SILICON ON INSULATOR)基板を用いた。
櫛型パターン電極101は、電子ビーム蒸着法により作製した厚さ20NMの金を、レジストパターンをマスクにしてミリングによりパターニングしたもので、横幅は80NM、電極間のギャップは内幅80NMである。
さらに電極には、ポジ型のレジストを用いて、上面図に記した櫛型パターン電極上の領域105を露光、現像し、窓開けする。続いて、異方性の反応性イオンエッチングを用いて、領域105で規定したレジストで覆われていない領域の酸化シリコン層102を除去し、さらにその後レジストを除去する。
そして、櫛型パターン電極101と酸化シリコン層102をマスクとして、さらに異方性の反応性イオンエッチングを用いて、露出しているシリコン層を除去した結果、図2に示す構造を得る。
最後に、櫛型パターン電極101のコンタクト部分を残して、被覆膜として50NMの酸化シリコン層106をスパッタ蒸着した結果、図3に示すようなギャップ中に露出する埋め込み電極構造を得る。
この電極構造では、複数の対向する櫛型パターン電極101が並列に配置する構造をとり、各対向する櫛型パターン電極101の一方は各々が電気的に接続していて、接地している。各対向する櫛型パターン電極101のもう一方は、電気的に独立していて、信号の合成、差分などの演算処理を行う回路に接続する構造を持つ。
次に、櫛型パターン電極101の表面への捕獲分子の固定方法を説明する。まず、櫛型パターン電極表面に対し、酸素プラズマ処理による清浄化処理を施したあと、エタノールを溶媒にした1MMのカルボキシデカンチオールに1時間浸漬し、さらに1MMのヒドロキシウンデカンチオールに1時間浸漬することで、櫛型パターン電極101の表面をカルボキシル基で終端する。
次に、0.1MのN−ヒドロキシコハク酸水溶液で15分処理した後、10MM PH7のリン酸緩衝生理食塩水中(PBS)に10UG/MLの濃度となるよう調整した抗HCG−Α−マウスIGGを1時間処理することで、櫛型パターン電極101の表面に、抗HCG−Α抗体を固定した。抗体を固定した結果、抗体などを含む膜の厚さは約10NMであったため、電極間のギャップは80NMから20NM狭まり、60NMになった。
一方、捕獲分子付き微粒子107には、平均粒径40NMの金コロイドに、同様に表面に抗HCG−Β抗体を固定してある市販品を用い、同じく10MM PH7のPBS、非イオン性界面活性剤を0.05重量%添加したものにOD520が0.1となるように調整した。
このとき、金コロイド表面の抗体などを含む膜の厚さは約10NMであったため、捕獲分子付き微粒子107の平均の大きさは、約60NMであった。この大きさは、実効的な電極間のギャップ60NMとちょうど同じ大きさであるが、実際の捕獲分子膜の構造は流動的であるため、標的分子として4NM程度の大きさを持つタンパクであるHCGは、問題なくその隙間に固定される。
また、捕獲分子付き微粒子107の大きさをD、微粒子表面の捕獲分子膜109の厚さをD1、電極表面の捕獲分子膜110の厚さをD2、標的分子111の大きさをA、櫛型パターン電極101の電極間距離をLとしたとき、ほぼL=2×(D1+D2+A)+Dの関係が成り立つように、各構成要素の大きさを調整すると、図5のように微粒子107が、対向する両電極表面に2箇所で固定される状況を実現することができる。
このような条件が成り立つとき、電極と微粒子の乖離乗数を定義すると、一箇所で固定が起きる場合の乖離乗数、つまり標的分子に対する捕獲分子の乖離乗数よりも実効的に小さくなる。従って、同じ濃度の場合、一箇所で固定するよりも、より多くの微粒子が固定され、大きなシグナルを得ることができる。
本実施の形態のバイオセンサは、上述のように特定の標的分子を特異的に吸着する捕獲担体を表面に結合した微粒子107が溶液に分散されている。溶液が表面に位置する一定の横幅と奥行きと深さとの凹溝が基体102〜104により形成されている。
凹溝の内部に露出している少なくとも一対の対向する電極の表面に捕獲担体が結合されている。液体試料中に標的分子が存在する場合、この一対の電極の電気的な結合状態の変化が生じ、その変化量や応答時間に応じて液体試料中の標的分子量を分子測定手段が測定する。もしくは、電気的な結合状態の変化が生じる電極の数の変化や応答時間に応じて、液体試料中の標的分子量を分子測定手段が測定する。
このため、常時持ち運びができるようなコンパクトな構造で、夾雑物による擬陽性が生じる確率を大きく低減することができ、低濃度サンプル測定時の検査時間を短縮することができる。
続いて、本発明の実施の第二の形態のバイオセンサを図6を参照して以下に説明する。本実施の形態のバイオセンサでは、図示するように、HCG検査用の櫛型パターン電極101を、二セット用いる。
一方は、先述した方法により、抗HCG−Α抗体を櫛型パターン電極101の表面に固定した評価用の電極セット201で、もう一方は、同じく先述した方法により牛血清アルブミン(BSA)を固定した基準用の電極セット202である。
各電極セットとも、対向する櫛型パターン電極101の一方は全てが接地され、もう一方の櫛型パターン電極101は各々が独立して信号選択回路203,204に接続されている。信号選択回路203,204では、各電極セットに測定溶液を滴下する以前に、まず接地側との抵抗が一定の基準以下となっている櫛型パターン電極101を選び、それらの櫛型パターン電極101に対しては不良ラインと判断し、信号選択回路203、204を用いて電気的接続を遮断する。
次に、電極セット201,202に、測定溶液として、先述の抗HCG−Β抗体付きの金コロイド溶液1ULを、各々の電極セットに滴下する。さらに、溶液を滴下した状態で、再度各櫛型パターン電極101の接地抵抗を10秒ごとに評価し、基準データとして演算記録回路205に記録しておく。
続いて、標準試料として濃度10NG/MLのHCGを含む10MM PH7のPBSを1UL添加する。その結果、櫛型パターン電極101上の抗体と、金コロイド上の抗体により、HCGが挟み込むように固定される。
このとき、図6に示す櫛型パターン電極101の断面図のように、80NMの櫛型パターン電極101間のギャップよりも大きい108のような伝導性の物質が測定溶液中に混入していても、物理的に櫛型パターン電極101間には入り込めないため、夾雑物の影響は大きく低減される。
一方、コロイド追加して、溶液を添加すると、電極セット上の測定溶液全体のPHや電解質濃度が変化するため、評価用の電極セット201、基準用の電極セット202の各櫛型パターン電極101全体について、接地抵抗が一様に変化する。この添加によるショックを、測定試料の添加タイミングと判断する回路を備えておき、それ以降は2分間に渡って1秒おきに各櫛型パターン電極101の接地抵抗を測定する。
各櫛型パターン電極101について、添加前後の接地抵抗の変化率で評価を行うと、接地抵抗が一定基準以下で、添加タイミングで変化率がゼロに近いものと、添加前は接地抵抗が一定基準以上で、添加タイミング後に変化率の絶対値が徐々に大きくなっていくものの、おおよそ二つのグループに分類できる。
演算記録回路205では、評価用の電極セット201と、基準用の電極セット202から、それぞれ低変化率グループ、高変化率グループの4グループのデータを得ることができるが、これら全てのデータを用いて評価用の電極セット201からの信号で、高変化率グループに入るものの数や、変化率について、有意性があるかどうかを判断し、平均変化率から試料濃度の推定を行う。推定は、事前に測定しておいた校正用のデータに照らし合わせて行う。
図7は、本発明の実施の第二の形態のバイオセンサを液体試料測定用のチップに実装した状態の断面を図示したものである。
第二の形態の電極セットを作成した基板301は、ダイシング、基板の洗浄、電極への抗体の修飾を行ったあと、電気的入出力を行うためのコネクタ302を実装した。
また、一端がテーパー状に薄くなるように加工された試料導入側の親水性不織布303と、試料リザーバー側の親水性不織布304を準備し、試料導入側の不織布303には305に図示する位置に、本発明の実施の第二の形態で用いたのと同じ、捕獲分子付き微粒子を滴下し乾燥させたプローブ固定領域305を作成した。
作成したコネクタ付き電極セット301は、図7のように不織布302と303とを挟み込むようにすることで樹脂パッケージ306との間に約15ΜMの空隙ができるように、かつ空隙側に電極を作成した面が向くように固定した。
さらに、電極セット301の凹溝の長手方向が、試料溶液の流れに沿う方向に略平行となるように配置することで、電極表面と標的分子の接触頻度を高めることができる。また、同様にの凹溝の長手方向を、溶液の流れの方向に対して45度以下の角度を付けて配置することによって、さらに電極表面と標的分子の接触頻度を高めることができる。
測定に際しては、作成した液体試料測定用のチップを測定用の電気回路に接続し、本発明の実施の第二の形態と同様に、不良ラインの遮断を行った後、樹脂パッケージ306にある開口部307から、約30ΜLの液体試料を導入した。
導入した液体試料は、毛細管現象により導入側不織布303内を伝い、途中でプローブ固定位置305を通り、捕獲分子付き微粒子を液中に浮遊させた状態で、基板301に到達した。液体試料は、さらに空隙部へも毛細管現象により導入され、最終的には約3分で、リザーバー側不織布304に到達した。
試料導入から3分経過した後、再度接続してあった測定用の電気回路を介して抵抗変化率を調べ、本発明の実施の第二の形態と同様に解析を行った結果、効果的に液体試料中のHCG濃度を調べることができた。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。また、上述した実施の形態では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
101 櫛型パターン電極
102 酸化シリコン層
103 シリコン層
104 酸化シリコン層
105 領域
106 酸化シリコン層
107 微粒子
108 夾雑物
109 捕獲分子膜
110 捕獲分子膜
111 標的分子
201 電極セット
202 電極セット
203,204 信号選択回路
205 演算記録回路
301 電極セット
302 コネクタ
303 試料導入側不織布
304 リザーバー側不織布
305 プローブ固定領域
306 樹脂パッケージ
307 開口部

Claims (9)

  1. 特定の標的分子を特異的に吸着する捕獲担体を表面に結合した微粒子が分散されている溶液と、
    前記溶液が表面に位置する一定の横幅と奥行きと深さとの凹溝が形成されている基体と、
    前記凹溝の内部に露出していて前記捕獲担体が表面に結合されている少なくとも一対の対向する電極と、
    一対の前記電極の電気的な結合状態の変化に応じて液体試料中の標的分子量を測定する分子測定手段と、
    を有するバイオセンサ。
  2. 前記捕獲担体を表面に結合した微粒子が、対向する前記電極の両者それぞれに、少なくとも一つずつの前記標的分子を介して捕獲されるように前記微粒子の平均粒径を調整してあることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ。
  3. 前記捕獲担体を表面に結合した微粒子の平均粒径は、前記対向する電極の間の長さと同等の大きさを持つことを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ。
  4. 前記電極の表面に前記溶液および前記液体試料が混合する溶液の層流を生じさせて、液体試料中の標的分子量を測定することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載のバイオセンサ。
  5. 前記凹溝の一定の横幅と奥行きのうち、より長手の軸が、前記層流を生じさせる方向に略平行であることを特徴とする請求項4に記載のバイオセンサ。
  6. 前記凹溝の一定の横幅と奥行きのうち、より長手の軸が、前記層流を生じさせる方向に対して45度以下の角度に接することを特徴とする請求項4に記載のバイオセンサ。
  7. 電気的に独立な一対以上の前記電極を有する請求項1ないし6の何れか一項に記載のバイオセンサ。
  8. 電気的に独立な複数の前記電極の各々と前記分子測定手段との導通を個々に切断する導通切断手段を、さらに有する請求項7に記載のバイオセンサ。
  9. 相違する前記標的分子を吸着する複数種類の前記捕獲担体を電気的に独立な前記電極ごとに有する請求項7に記載のバイオセンサ。
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KR20210069315A (ko) * 2019-12-03 2021-06-11 숙명여자대학교산학협력단 고분자 분자량 측정 장치 및 그 측정 방법

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