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JP2012204778A - リアクトル、及びリアクトル用ケース - Google Patents

リアクトル、及びリアクトル用ケース Download PDF

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JP2012204778A JP2011070554A JP2011070554A JP2012204778A JP 2012204778 A JP2012204778 A JP 2012204778A JP 2011070554 A JP2011070554 A JP 2011070554A JP 2011070554 A JP2011070554 A JP 2011070554A JP 2012204778 A JP2012204778 A JP 2012204778A
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Abstract

【課題】組立作業性の向上を図ることができるリアクトル、及びリアクトル用ケースを提供する。
【解決手段】リアクトル1は、巻線を巻回してなるコイル2とこのコイル2が配置される磁性コア3とを有する組合体10と、この組合体10を収納するケース4とを具える。ケース4は、底板部40と、この底板部40とは独立した部材である側壁部41とを具える。底板部40は、リアクトル1が設置対象に設置されるときに当該設置対象に接する部材である。側壁部41は、固定材料により底板部40と一体化され、組合体10の周囲を囲むように配置される。そして、底板部40の内面には、コイル2及び磁性コア3の少なくとも一方を位置決めする位置決め溝45が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトル、及びそのリアクトルに用いられるリアクトル用ケースに関する。特に、組立作業性に優れるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータに利用されるリアクトルを開示している。このリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、コイルが配置される環状の磁性コアと、コイルと磁性コアとの組合体を収納するケースと、ケース内に充填される封止樹脂とを具える。コイルを構成する巻線の端部には端子金具が取り付けられ、コイルは、この端子金具を介して電源などの外部装置から給電される。このリアクトルは、一般に、通電時に発熱するコイルなどを冷却するために、冷却ベースに固定されて利用される。
上記ケースは、アルミニウムのダイキャスト品が代表的であり、上記冷却ベースに固定されて上記コイルなどの熱を放出するための放熱経路に利用される。
特開2010‐050408号公報
上記ケースは、ケース内面の底面を形成する底板部と、ケース内面の側壁面を形成する側壁部とが予め一体成形されている。そして、上記コイルには銅、上記磁性コアには鉄が通常用いられているため、上記組合体は重量物である。従って、従来のアルミニウムケースを具えるリアクトルでは、組合体をケースに組み付ける際に、重量物である上記組合体を持ち上げてケースの開口部から挿入することになり、組立作業性に劣る。
ところで、ケースを省略することも考えられる。しかし、ケースを省略した場合、コイルや磁性コアがむき出しの状態となるため、コイルや磁性コアを、粉塵や水分などの外部環境や衝撃などの機械的外力から全く保護することができない。
そこで、本発明の目的の一つは、組立作業性に優れるリアクトルを提供することにある。また、本発明の別の目的は、組立作業性が向上するリアクトル用ケースを提供することにある。
本発明は、(1)ケースを底板部と側壁部とに分割した構造とすると共に、(2)底板部の内面(ケースとしたきに内面側となる面)にコイル及び磁性コアの少なくとも一方を位置決めする位置決め溝が形成されている構成とすることで、上記目的を達成する。
本発明のリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルとこのコイルが配置される磁性コアとを有する組合体と、この組合体を収納するケースとを具える。上記ケースは、底板部と、この底板部とは独立した部材である側壁部とを具える。上記底板部は、リアクトルが設置対象に設置されるときに当該設置対象に接する部材である。上記側壁部は、固定材料により上記底板部と一体化され、上記組合体の周囲を囲むように配置される。そして、上記底板部の内面には、上記コイル及び上記磁性コアの少なくとも一方を位置決めする位置決め溝が形成されていることを特徴とする。
本発明のリアクトル用ケースは、巻線を巻回してなるコイルとこのコイルが配置される磁性コアとを有する組合体を収納するものであり、底板部と、この底板部とは独立した部材である側壁部とを具える。上記底板部は、リアクトルが設置対象に設置されるときに当該設置対象に接する部材である。上記側壁部は、固定材料により上記底板部と一体化され、上記組合体の周囲を囲むように配置される。そして、上記底板部の内面には、上記コイル及び上記磁性コアの少なくとも一方を位置決めする位置決め溝が形成されていることを特徴とする。
上記した本発明のリアクトル及びリアクトル用ケースによれば、ケースを底板部と側壁部とに分割した構造とすることで、組立作業性の向上を図ることができる。具体的には、側壁部を外した状態で底板部の内面に組合体を載置して組合体を底板部に組み付けた後、側壁部を配置して、底板部と側壁部とを一体化することで、リアクトルを組み立てることができる。そのため、従来のように、重量物である組合体をケースの開口部まで持ち上げる作業が不要となり、組立作業性の向上を図ることができる。
また、底板部の内面にコイル及び磁性コアの少なくとも一方を位置決めする位置決め溝が形成されていることで、組合体を底板部に載置する際、組合体の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。底板部の内面が平面の場合は、組合体を底板部に載置する際、底板部に対する組合体の位置決めを正確に行うことが難しく、この位置決めは治具などを用いて行う必要がある。これに対し、底板部の内面に位置決め溝が形成されている場合は、位置決め用治具がなくても、コイル及び磁性コアの少なくとも一方を容易に位置決めして、組合体の位置決めを正確かつ容易に行うことができるので、組立作業性のより一層の向上を図ることができる。
加えて、上記した本発明のリアクトル及びリアクトル用ケースによれば、底板部と、側壁部とが別部材であり、それぞれを別個に作製することができるため、組立形態の自由度が大きい。例えば、側壁部を外した状態で底板部の内面に組合体を載置することができる他、側壁部を外した状態で底板部の内面にコイルを固定する接合層を形成することもできる。ここで、底板部と側壁部とが一体成形されて分離不可能な従来のケースでは、側壁部が邪魔をして、底板部の内面(ケースの底面)に接合層を形成し難い。よって、本発明のリアクトル及びリアクトル用ケースでは、底板部に対する接合層の形成作業が容易であり、この点においても、組立作業性の向上が期待できる。或いは、側壁部に端子金具が固定された一体物を作製するにあたり、側壁部を作製する際に端子金具を射出成形などにより一体成形したり、ボルトなどの締付部材を利用して一体物を作製したりすることができる。射出成形などにより一体成形した場合、部品点数や組立工程数が少なくなり、生産性の向上が期待できる。ボルトなどの締付部材を利用した場合、端子金具などの部品の交換や変更などが容易であり、保守性や設計変更の容易性の点で優れる。その他、本発明のリアクトルでは、ケースを具えることで、コイルや磁性コアを外部環境や機械的外力からの保護を図ることができる。
ケースを構成する底板部と側壁部とを異種材料で形成する場合の一例としては、底板部を金属材料で形成し、側壁部を絶縁性樹脂材料で形成することが挙げられる。底板部を金属材料で形成した場合、熱伝導率が高く、放熱性の向上を図ることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウムやマグネシウムなどの金属及びその合金並びにステンレス鋼が挙げられる。中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金は、熱伝導率が高く(アルミニウム:237W/m・K)、軽量であることから、放熱性の向上と軽量化を図ることができる。
一方、側壁部が絶縁性樹脂材料で形成されていることで、小型化を図ることができる。従来のアルミニウムケースを具えるリアクトルでは、コイルとケースとを電気的に絶縁する必要があり、コイルとケースの内面との間には通常、電気的絶縁距離を確保するために比較的大きな間隔が設けている。よって、従来のリアクトルでは、この絶縁距離を確保する観点から、小型化を図ることが難しい。これに対し、側壁部を絶縁性樹脂材料で形成した場合、側壁部をコイルに近づけて配置することができ、小型化を図ることができる。また、金属材料よりも軽量の絶縁性樹脂材料を選択すれば、更なる軽量化を図ることができる。絶縁性樹脂材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)樹脂が挙げられる。なお、側壁部を導電性かつ非磁性の金属材料で形成した場合、放熱性が高められると共に、磁気シールドとして機能するので、漏れ磁束を抑制することができる。
本発明のリアクトルの一形態としては、上記コイルの軸方向が上記底板部の内面に平行するように、上記組合体が上記ケースに収納され、上記位置決め溝は、上記コイルの軸方向に直交する方向の断面において、上記底板部の内面に対向する上記コイルの外周面に沿った形状であることが挙げられる。
この構成によれば、コイルの外周面が底板部の内面に対向し、位置決め溝がコイルの外周面に沿った形状であることで、底板部に対するコイル(組合体)の位置決めが容易となるだけでなく、リアクトルの使用時に発熱するコイルと底板部との距離が短くなるので、コイルの熱を底板部に効率よく伝えることができる。よって、コイルに発生する熱を、底板部を介して冷却ベースといった設置対象に効率よく放熱することができるため、放熱性が向上する。
本発明のリアクトルの一形態としては、上記底板部は、プレス加工により上記位置決め溝が形成された金属板であることが挙げられる。
この構成によれば、底板部の位置決め溝がプレス加工により形成されていることで、生産性の向上が期待できる。この位置決め溝は、板材にプレス加工により形成する他、切削加工により形成したり、底板部がダイキャスト品であれば、一体成形により形成したりすることができる。中でも、位置決め溝を板材にプレス加工により形成する場合、板材は汎用性が高いことから入手が容易であり、また、板材のプレス加工は広く行われているため、低コスト化、生産性の向上を図ることができる。さらに、底板部が金属板であることで、熱伝導率が高く、放熱性が向上する。
ここで、プレス加工により位置決め溝が形成された金属板を底板部に用いる場合、底板部の厚さ(位置決め溝を形成する凹凸部を除く)を例えば1mm以上5mm以下、好ましくは2mm以上とし、位置決め溝の高さは、底板部の厚さの10%以上100%以下、好ましくは50%以上とすることが挙げられる。底板部の厚さを1mm以上、好ましくは2mm以上とすることで、強度を確保し易い。底板部の厚さを5mm以下とすることで、熱抵抗を低減でき、放熱性を確保し易い。また、位置決め溝の高さを底板部の厚さの10%以上、好ましくは50%以上とすることで、位置決め溝としての機能を確保し易く、上記接合層の形成による位置決め溝の消失を防止し易い。位置決め溝の高さを底板部の厚さの100%以下とすることで、プレス加工による位置決め溝の形成が行い易い。なお、位置決め溝の高さは、例えば0.1mm以上4.5mm以下、好ましくは1mm以上を確保することが好ましい。
上記接合層は、上記コイルに接する側に配置され、絶縁性接着剤からなる接着層と、上記底板部に接する側に配置された放熱層とを具える多層構造とすることが挙げられる。この場合、放熱層を含む接合層によりコイルが底板部に固定されることになる。つまり、コイルにおいてリアクトルを設置対象に設置したときに設置側となる面(以下、コイル設置面と呼ぶ)が放熱層に近接している、好ましくは接触している。従って、コイルの熱が効率よく放熱層に伝えられ、この放熱層を介して冷却ベースといった設置対象に効率よく放熱することができるため、放熱性が向上する。特に、この接合層は、少なくともコイルと接する側に絶縁性接着剤からなる接着層を具えることから、放熱層や底板部が導電性の金属材料で形成されていても、コイルと底板部とを電気的に絶縁することができる。従って、放熱層を含む接合層の厚さを薄くすることができ、この点からも、熱抵抗を低減して、放熱性の向上を図ることができる。
また、接合層が放熱層を具えることで、上述したように、少なくともコイル設置面から放熱層を介して効率よく放熱することができるので、例えば、ケース内に封止樹脂を充填する場合、封止樹脂に熱伝導性に劣る樹脂を利用したとしても、放熱層により放熱性を確保することができる。従って、使用する封止樹脂の選択の幅を拡げることができる。例えば、熱伝導性を付与するためのフィラーを含有しない樹脂を封止樹脂に使用しても放熱性を確保し易い。或いは、封止樹脂を充填しない場合であっても、放熱層により十分な放熱性を有することができる。
更に、上述したように、放熱層を含む接合層の厚さを薄くすることで、コイル設置面と底板部の内面との間隔を小さくすることができ、更なる小型化を図ることができる。
上記接合層は、絶縁性材料(例、絶縁性接着剤)からなる単層構造、或いは絶縁性材料からなる層を含む多層構造とすることができる。単層構造であれば、接合層の形成作業が簡易であり、一方、多層構造であれば、ピンホールなどの欠陥が生じ難く、絶縁性を確保し易い。特に、同材質の多層構造とすると、一層あたりの厚さを薄くでき、接合層を形成し易い。一方、異種材質の多層構造とすると、コイルと底板部との絶縁性、コイルとの密着性、コイルから底板部への放熱性などの複数の特性を兼備することができる。例えば、上述したような接着層と放熱層とを具える多層構造の接合層とすることが挙げられる。接着層には、例えば、放熱層よりも接着性に優れる接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)を使用し、放熱層には、例えば、接着層よりも熱伝導性に優れる材料(例えば、アルミナフィラー入りエポキシ系接着剤)を使用することで、コイルとの密着性を高められると共に、この密着によりコイルの熱を放熱層に効率よく伝えることができる。勿論、接着層及び放熱層に使用する接着剤(上記の例ではエポキシ系接着剤)の種類を異ならせてもよい。また、接着層が絶縁性接着剤からなることで、接着層を薄くしても、コイルと底板部との間の絶縁を十分に確保し、この薄膜化によってもコイルの熱を放熱層に伝え易い。更に、放熱層も絶縁性材料で形成すると、絶縁性を更に高められ、各層の厚さを薄くしても多層構造であることから、十分な絶縁性を有することができる。その他、接着層及び放熱層の少なくとも一方に絶縁シートを使用してもよい。
ここで、接合層を多層構造とする場合、一層あたりの厚さ並びに層数は、適宜選択すればよい。合計厚さが厚いほど絶縁性が高くなり、薄いと放熱性が高くなる傾向がある。各層の材料が絶縁性に優れる材質である場合、各層が薄く、かつ層数が少なくても十分な放熱性、絶縁性を得ることができる。例えば、合計厚さが2mm未満、更に1mm以下、特に0.5mm以下の接合層とすることができる。
上述したような接着層と放熱層とを具える多層構造の接合層において、放熱性を高める観点から、放熱層の少なくとも一部は、熱伝導率が2W/m・K超の材料で形成することが好ましい。例えば、アルミナフィラーを含有するエポキシ系接着剤は、絶縁性及び放熱性の双方に優れ、熱伝導率が3W/m・K以上を満たすことができる。また、この場合、接合層の全体が絶縁性材料からなるので、絶縁性を更に高めることができる。なお、接着層に上記したようなフィラーを含有する接着剤を使用してもよい。
本発明のリアクトル及びリアクトル用ケースは、ケースを底板部と側壁部とに分割した構造とすると共に、底板部の内面に位置決め溝が形成されていることで、組立作業性の向上を図ることができる。
実施形態のリアクトルを示す概略斜視図である。 実施形態のリアクトルの概略を示す分解斜視図である。 実施形態のリアクトルに具えるコイルと磁性コアとの組合体の概略を示す分解斜視図である。 実施形態のリアクトルに具える底板部の概略を示す図であり、コイルの軸方向に直交する方向の断面図である。
以下、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、以下の説明では、リアクトルを設置対象に設置したときに設置側となる側を下側、その対向側(反対側)を上側として説明する。
《全体構成》
リアクトル1は、巻線2wを巻回してなるコイル2とコイル2が配置される磁性コア3との組合体10と、組合体10を収納するケース4とを具える。ケース4は、一面が開口した箱体であり、代表的には封止樹脂(図示せず)が充填され、組合体10は、巻線の端部2eを除いて封止樹脂に埋設される。各巻線の端部2eには端子金具8が接合され、端子金具8を介してコイル2に給電される。リアクトル1の特徴とするところは、ケース4が独立した複数の部材を組み合せて構成されること、及びケース4を構成する底板部40に位置決め溝45(図2参照)が形成されているところある。以下、各構成部材をより詳細に説明する。
〔組合体〕
[コイル]
コイル2は、図2,図3を参照して説明する。コイル2は、接合部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを連結するコイル連結部2rとを具える。各コイル素子2a,2bは、互いに同一の巻数で、軸方向から見た形状(端面形状)が略矩形状(角部を丸めた長方形状)である。これら両コイル素子2a,2bは、各軸方向が平行するように横並びに並列されており、コイル2の他端側(図2では紙面奥側)において巻線2wの一部がU字状に屈曲されてコイル連結部2rが形成されている。この構成により、両コイル素子2a,2bの巻回方向は同一となっている。
巻線2wは、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド樹脂)からなる被覆平角線を使用している。絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が好ましく、厚いほどピンホールを低減できて電気絶縁性を高めることができる。両コイル素子2a,2bは、上記被覆平角線をエッジワイズ巻きにして、中空の角筒状に形成されている。巻線2wは、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、楕円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用することができる。平角線は、断面が円形状の丸線を用いた場合に比較して占積率の高いコイルを形成し易い。また、平角線を用いると、コイル2においてリアクトル1を設置対象に設置したときに設置側となる面(以下、コイル設置面と呼ぶ。図2,図3において下面)が、平角線の厚さとターン数との積に基づく面積を実質的に有するため、丸線を用いた場合に比較して、後述する接合層42との接触面積を広く確保し易い。更に、平角線は、そのままの形状で端子金具8との接合面積を確保し易い。なお、各コイル素子を別々の巻線により作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接や半田付けなどにより接合して一体のコイルとした形態とすることも可能である。
コイル2を形成する巻線の両端部2eは、コイル2の一端側(図2において紙面手前側)においてターン形成部分から適宜引き延ばされてケース4の外部に引き出される(図1参照)。引き出された巻線の両端部2eは、絶縁被覆が剥がされて露出した導体部分に、導電性材料からなる端子金具8が接続される。この端子金具8を介して、コイル2に給電する電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
[磁性コア]
磁性コア3は、図3を参照して説明する。磁性コア3は、各コイル素子2a,2bがそれぞれ配置される一対の内側コア部31と、コイル2が配置されず、コイル2から露出される一対の外側コア部32とを具える。ここでは、各内側コア部31はそれぞれ直方体状であり(ここでは角部を丸めている)、各外側コア部32はそれぞれ一対の台形状面を有する角柱状体である。磁性コア3は、離間して配置される内側コア部31を挟むように外側コア部32が配置され、各内側コア部31の端面31eと外側コア部32の内端面32eとを接触させて環状に形成される。これら内側コア部31及び外側コア部32により、コイル2を励磁したとき、閉磁路を形成する。
内側コア部31は、磁性材料からなるコア片31mと、代表的には非磁性材料からなるギャップ材31gとを交互に積層して構成された積層体であり、外側コア部32は、磁性材料からなるコア片である。上記コア片31mやギャップ材31gは、例えば、接着剤を塗布したり接着テープを巻回したりするなどにより接合して一体化することができる。また、内側コア部31の形成にあたり接着剤を用い、内側コア部31と外側コア部32との接合に接着剤を用いない形態とすることも可能である。ここでは、コア片31mやギャップ材31gの接合に接着剤を一切使用しない形態としている。
各コア片は、磁性粉末を用いた成形体や、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体を利用できる。上記成形体は、例えば、Fe,Co,Niといった鉄族金属、Fe-Si,Fe-Ni,Fe-Al,Fe-Co,Fe-Cr,Fe-Si-AlなどのFe基合金、希土類金属やアモルファス磁性体といった軟磁性材料からなる粉末を用いた圧粉成形体、上記粉末をプレス成形後に焼結した焼結体、上記粉末と樹脂との混合体を射出成形や注型成型などした成形硬化体が挙げられる。その他、金属酸化物の焼結体であるフェライトコアなどが挙げられる。成形体は、種々の立体形状の磁性コアを容易に形成することができる。
圧粉成形体は、上記軟磁性材料からなる粉末の表面に絶縁被膜を具えるものを好適に利用することができ、この場合、当該粉末を成形後、上記絶縁被膜の耐熱温度以下で熱処理を施すことにより得られる。絶縁被膜は、代表的には、シリコーン樹脂やリン酸塩からなるものが挙げられる。
内側コア部31の材質と外側コア部32の材質とを異ならせた形態とすることも可能である。例えば、内側コア部31を上記圧粉成形体や上記積層体とし、外側コア部32を上記成形硬化体とすると、内側コア部31の飽和磁束密度を外側コア部32よりも高めることができる。ここでは、各コア片は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性粉末の圧粉成形体としている。
ギャップ材31gは、インダクタンスの調整のためにコア片31m間に設けられる隙間に配置される板状材であり、アルミナやガラスエポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなど、上記コア片よりも透磁率が低い材料、代表的には非磁性材料からなる(エアギャップの場合もある)。その他、ギャップ材31gに、セラミックスやフェノール樹脂などの非磁性材料に磁性粉末(例えば、フェライト、Fe,Fe-Si、センダスト)が分散した混合材料を用いると、ギャップ部分の漏れ磁束を低減することができる。
コア片やギャップ材の個数は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片やギャップ材の形状は適宜選択することができる。ここでは、内側コア部31は複数のコア片31m及び複数のギャップ材31gから構成される形態を示すが、ギャップ材を一つ具える形態としたり、コア片の材質によってはギャップ材を設けない形態とすることも可能である。また、ここでは、各外側コア部32は、一つのコア片から構成される形態を示すが、複数のコア片から構成される形態とすることも可能である。コア片を圧粉成形体で構成する場合、複数のコア片で内側コア部や外側コア部を構成する形態とすると、各コア片を小さくできるため、成形性に優れる。
その他、内側コア部31の外周に、絶縁材料からなる被覆層を設けた構成とすると、コイル2と内側コア部31との間の絶縁性を高めることができる。上記被覆層は、例えば、熱収縮チューブや常温収縮チューブ、絶縁テープや絶縁紙などを配置することで設けられる。上記収縮チューブを内側コア部31の外周に配置したり、絶縁テープなどを貼り付けたりすることで、絶縁性を高めることに加えて、接着剤を用いることなくコア片とギャップ材とを一体化することもできる。また、後述するインシュレータ5(周壁部51)に代えて、これら収縮チューブや絶縁テープを利用することができる。
この例に示す磁性コア3は、内側コア部31の設置側の面と外側コア部32の設置側の面とが面一になっていない。具体的には、リアクトル1を設置対象に設置したとき、外側コア部32において設置側となる面(以下、コア設置面と呼ぶ。図3において下面)が内側コア部31において設置側となる面よりも突出している。ここでは、外側コア部32のコア設置面とコイル2のコイル設置面とが面一となるように、かつ、内側コア部31において設置側となる面との対向面(図3において上面)と外側コア部32のコア設置面との対向面(図3において上面)とが面一となるように、外側コア部32の高さ(リアクトル1を設置対象に設置した状態において、当該設置対象の表面に対して垂直な方向(ここでは、コイル2の軸方向に直交する方向であり、図3において上下方向)の長さ)を調整している。従って、磁性コア3は、リアクトル1を設置した状態において、側面から透視すると、門形である。また、コア設置面及びコイル設置面が面一であることから、コイル2のコイル設置面だけでなく、磁性コア3のコア設置面も、後述する接合層42(図2参照)に接触することができる。更に、磁性コア3を環状に組み立てた状態において、外側コア部32の側面(図3において紙面手前及び奥の面)は、内側コア部31の側面よりも外方に突出している。従って、磁性コア3は、リアクトルを設置した状態において(図3では下方を設置側とした状態において)、上面又は下面から透視すると、H字状である。このような三次元形状の磁性コア3は、圧粉成形体とすることで形成が容易である上に、外側コア部32において内側コア部31よりも突出した箇所をも磁束経路に利用することができる。また、コア設置面及びコイル設置面が面一であることで組合体10の設置面が大きく、組合体10を安定して設置することができる。
[インシュレータ]
組合体10は、図3に示すようにコイル2と磁性コア3との間にインシュレータ5を具え、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高めている。インシュレータ5は、内側コア部31の外周に配置される周壁部51と、コイル2の端面(コイル素子のターンが環状に見える面)に当接される一対の枠状部52とを具える。
周壁部51は、コイル2の内周面と内側コア部31の外周面との間に介在され、コイル2と内側コア部31との間を絶縁する。ここでは、周壁部51は、一対の断面]状の分割片511,512により構成される。各分割片511,512は互いに接触せず、内側コア部31の外周面の一部のみ(ここでは、主として内側コア部31の設置側の面及びその対向面)に当該分割片511,512が配置される構成としている。周壁部51は、内側コア部31の外周面の全周に沿って配置される筒状体としてもよく、コイル2と内側コア部31との間の絶縁距離を確保することができれば、図3に示すように、内側コア部31の外周面の一部が周壁部51により覆われない形態としてもよい。また、ここでは、周壁部51は、表裏に貫通する窓部を具えるものを利用している。
内側コア部31の一部が周壁部51から露出されることで、インシュレータ5の材料を低減することができる。また、封止樹脂を具える形態では、上記窓部を有する分割片511,512としたり、内側コア部31の外周面の一部が周壁部51により覆われない構成とすることで、内側コア部31と封止樹脂との接触面積を大きくできる上に、封止樹脂を流し込むときに気泡が抜け易く、リアクトル1の製造性に優れる。
各枠状部52は、コイル2の端面と外側コア部32の内端面32eとの間に介在され、コイル2と外側コア部32との間を絶縁する。各枠状部52はそれぞれ、平板状の本体部を有し、この本体部に各内側コア部31がそれぞれ挿通される一対の開口部を有するB字状体である。ここでは、内側コア部31を挿入し易いように、本体部の開口部から連続し、内側コア部31の側に突出する短い筒状部を具える。また、一方(図3では右方)の枠状部52には、コイル連結部2rが載置され、コイル連結部2rと外側コア部32との間を絶縁するための台座52pを具える。
インシュレータ5の構成材料には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁性樹脂材料が利用できる。インシュレータ5を具えない形態としてもよい。
〔ケース〕
ケース4は、図2を参照して説明する。上記コイル2と磁性コア3との組合体10が収納されるケース4は、平板状の底板部40と、底板部40に立設する枠状の側壁部41とを具える。ここでは、コイル2(コイル素子2a,2b)の軸方向が底板部40の内面に平行するように、組合体10がケース4に収納されている。また、ケース4は、底板部40と側壁部41とが一体に成形されておらず、それぞれ独立した部材であり、固定材により一体化される点、底板部40に位置決め部45が形成されている点、底板部40に接合層42を具える点がそれぞれ特徴である。
[底板部]
底板部40は、矩形状板であり、リアクトル1が設置対象に設置されるときに湿地対象に接する。図2に示す例では、底板部40が下方となる設置状態を示すが、底板部40が上方、或いは側方となる設置状態も有り得る。この底板部40には、ケース4を組み立てたとき、ケース内側となる内面に位置決め溝45が形成されていると共に接合層42が設けられている。底板部40の外形は適宜選択することができる。ここでは、底板部40は、四隅のそれぞれから突出した取付部400を有しており、その外形は後述する側壁部41の外形に沿った形状である。底板部40と側壁部41とを組み合せてケース4を構成した場合、この取付部400は、側壁部41の取付部411と重なり合う。各取付部400にはそれぞれ、設置対象にケース4を固定するボルト(図示せず)が挿通されるボルト孔400hが設けられている。ボルト孔400hは、後述する側壁部41のボルト孔411hに連続するように設けられている。ボルト孔400h,411hは、ネジ加工が施されていない貫通孔、ネジ加工が施されたネジ孔のいずれも利用でき、個数なども適宜選択することができる。
或いは、側壁部41が取付部を有さず、底板部40のみが取付部400を有する形態としてもよい。この形態の場合、底板部40の取付部400が側壁部41の外形から突出するように底板部40の外形を形成する。或いは、側壁部41のみが取付部411を有し、底板部40が取付部を有しない形態としてもよい。この形態の場合、側壁部41の取付部411が底板部40の外形から突出するように側壁部41の外形を形成する。
[側壁部]
側壁部41は、矩形枠状体であり、一方の開口部を底板部40により塞いでケース4を組み立てたとき、上記組合体10の周囲を囲むように配置され、他方の開口部が開放される。ここでは、側壁部41は、リアクトル1を設置対象に設置したときに設置側となる領域が上記底板部40の外形に沿った矩形状であり、開放された開口側の領域がコイル2と磁性コア3との組合体10の外周面に沿った曲面形状である。ケース4を組み立てた状態において、コイル2の外周面と側壁部41の内面とは近接しており、コイル2の外周面と側壁部41の内面との間隔は、0mm〜1.0mm程度と非常に狭い。また、ここでは、側壁部41の開口側の領域には、組合体10の両外側コア部32の台形状面を覆うように配置される庇状部が設けられている。ケース4に収納された組合体10は、図1に示すようにコイル2が露出され、磁性コア3は実質的にケース4に覆われる。上記庇状部を具えることで、(1)耐振動性の向上、(2)ケース4(側壁部41)の剛性の向上、(3)組合体10の外部環境や機械的外力からの保護、といった種々の効果が得られる。上記庇状部を省略して、コイル2と、少なくとも一方の外側コア部32の台形状面との双方が露出した形態としてもよい。
(取付箇所)
側壁部41の設置側の領域は、底板部40と同様に、四隅のそれぞれから突出する取付部411を有し、各取付部411には、ボルト孔411hが設けられて、取付箇所を構成している。ボルト孔411hは、側壁部41の構成材料のみにより形成してもよいし、別材料からなる筒体を配置して形成してもよい。例えば、側壁部41を後述するように樹脂で形成する場合、上記筒体に、例えば、真鍮、鋼、ステンレス鋼などの金属からなる金属管を利用すると、強度に優れることから、樹脂のクリープ変形を抑制することができる。ここでは、金属管を配置してボルト孔411hを形成している。
(端子台)
上記側壁部41の開口側の領域において、一方の外側コア部32の上方を覆う庇状部は、後述する一対の端子金具8が固定される端子台410として機能する。まず、端子金具8を説明する。
[端子金具]
端子金具8は、図2を参照して説明する。コイル2を構成する巻線2wの各端部2eがそれぞれ接続される各端子金具8は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金といった導電性材料からなる板材を適宜屈曲して形成された導電部材である。各端子金具8の一端側に巻線の端部2eが溶接や半田付けなどにより接合され、他端側に電源などの外部装置が接続され、コイル2への給電を可能にする。
各端子金具8の一端側には、巻線の端部2eを挟む一対の接合片81a,81bが設けられている。ここでは、板材の一部をU字状に屈曲して形成しており、各接合片81a,81bは、湾曲部分を介して連結され、かつ平行配置された矩形状片である。この形態では、巻線の端部2eを両接合片81a,81bの間に挿入した後、巻線の端部2eの導体部分と端子金具8の接合片81a,81bとを、TIG溶接といった溶接、半田付け、圧着などにより接合して、電気的に接続する。
各端子金具8の他端側には、電源などの外部装置と接続するためのボルトといった連結部材が挿通される貫通孔82hが設けられておる。この形態では、端子金具8が側壁部41に固定された状態において、貫通孔82hを有する他端側領域が側壁部41から突出して配置される(図1参照)。その他、貫通孔82hを有する他端側領域も、側壁部41の構成材料により支持される形態とすることも可能である。例えば、側壁部41を後述するような絶縁性樹脂材料で形成する場合、当該材料により他端側領域の支持台(図示せず)を一体に形成することが挙げられる。この支持台に適宜ナットなどを配置し、このナットの孔と同軸に貫通孔82hを配置することで、上記ボルトといった連結部材を挿通して外部装置を接続することができる。
各端子金具8は、端子台410に載置した後、その上方から端子固定部材9を被せ、端子固定部材9をボルト91により締め付けることで、端子台410に固定される。端子固定部材9の構成材料には、後述するケースの構成材料に利用されるような絶縁性樹脂材料を好適に利用できる。また、側壁部41を後述するような絶縁性樹脂材料で形成する場合、端子固定部材9及びボルト91の使用に代えて、端子金具8を射出成形などにより側壁部41に一体成形した形態とすることも可能である。
(ケース材質)
ケース4の構成材料には、例えば、金属材料を利用できる。金属材料は一般に熱伝導率が高いことから、放熱性に優れるケースとすることができる。具体的な金属材料としては、例えば、アルミニウムやその合金、マグネシウム(熱伝導率:156W/m・K)やその合金、銅(398W/m・K)やその合金、銀(427W/m・K)やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼(例、SUS304:16.7W/m・K)が挙げられる。上記アルミニウムやマグネシウム、その合金を利用すると、軽量なケースとすることができ、軽量化に寄与することができる。特に、アルミニウムやその合金は、耐食性にも優れるため、車載部品の用途に好適である。金属材料によりケース4を形成する場合、ダイキャストといった鋳造の他、プレス加工などの塑性加工により形成することができる。
或いは、ケース4の構成材料には、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)樹脂などの樹脂といった絶縁性樹脂材料を利用できる。このような絶縁性樹脂材料は、電気絶縁性を有することから、コイル2とケース4との間の絶縁性を高めることができる。また、このような絶縁性樹脂材料は、上記金属材料よりも軽く、更なる軽量化に寄与する。上記絶縁性樹脂材料に、後述するようなセラミックスのフィラーを混合した形態とすると、放熱性を高めることができる。絶縁性樹脂材料によりケース4を形成する場合、射出成形により形成することができる。
底板部40及び側壁部41の構成材料は同種の材料とすることができ、この場合、両者の熱伝導率は等しくなる。或いは、底板部40及び側壁部41とは別部材であるため、両者の構成材料は異種の材料とすることができる。この場合、特に、底板部40の熱伝導率が側壁部41の熱伝導率よりも大きくなるように、両者の構成材料を選択すると、底板部40に配置されるコイル2及び磁性コア3の熱を冷却ベースといった設置対象に効率よく放熱できる。ここでは、底板部40をアルミニウで形成し、側壁部41をPBT樹脂で形成している。底板部40が導電性を有する場合、アルマイト処理などを施して、その内面に極薄い絶縁被膜(厚さ:1μm〜10μm程度)を具える形態とすると、絶縁性を高められる。
(一体化方法)
底板部40と側壁部41とを一体化するには、種々の固定材を利用でき、例えば、接着剤やボルトといった締結部材が挙げられる。ここでは、底板部40及び側壁部41にボルト孔(図示せず)を設け、固定材にボルト(図示せず)を利用して、ボルトにより両者を一体化している。
[位置決め溝]
位置決め溝45は、底板部40の内面に形成されており、ここでは、コイル2を位置決めする。具体的には、上述したように底板部40がアルミニウム製の金属板であり、プレス加工により位置決め溝45が形成されている。この位置決め溝45は、図4に示すように、底板部40の内面とは反対側の面から押圧されることで形成されており、その形状が、コイル2(コイル素子2a,2b)の軸方向に直交する方向の断面において、底板部40の内面に対向するコイル2(コイル素子2a,2b)の外周面に沿った形状である。これにより、底板部40に組合体10を載置する際、位置決め用治具を用いることなく、コイル2(組合体10)の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。また、位置決め溝45がコイル2の外周面に沿った形状であることで、コイル2と底板部40との距離が短くなる(接触面積が大きくなる)ので、コイル2の熱を底板部40に効率よく伝えることができる。また、位置決め溝45がプレス加工により形成されていることで、生産性の向上が期待できる。この位置決め溝45は、金属板にプレス加工により形成する他、切削加工により形成したり、底板部40がダイキャスト品であれば、一体成形により形成した形態とすることも可能である。
ここでは、プレス加工により位置決め溝45が形成された金属板を底板部40に用いている。この場合、底板部40の厚さt(位置決め溝45形成する凹凸部を除く)を例えば1mm以上5mm以下、好ましくは2mm以上とし、位置決め溝の高さは、底板部40の厚さtの10%以上100%以下、好ましくは50%以上とすることが挙げられる。この例では、両コイル素子2a,2bが互いに対向する面の間に形成された位置決め溝45の高さを底板部40の厚さtの100%とし、両コイル素子2a,2bが互いに対向する面とは反対側に形成された位置決め溝45の高さを底板部40の厚さtの50%としている。この例では、底板部40の厚さが2mm以上であり、位置決め溝45の高さが1mm以上4.5mm以下である。位置決め溝45の高さが1mm以上であれば、後述する接合層42の形成による位置決め溝45の消失を防止し易い。
この形態では、コイル2のみを位置決めする位置決め溝45について説明したが、更に、磁性コア3を位置決めする位置決め溝を形成してもよい。この場合、例えば、外側コア部32のコア設置面に対応するように、外側コア部32の内端面32eとは反対側の面に接する位置決め溝を形成することが挙げられる。これにより、組合体10のコイル2の軸方向における位置決めをより確実に行うことができる。
[接合層]
底板部40は、少なくともコイル2のコイル設置面が接触する箇所に接合層42を具える。ここでは、接合層42は、外側コア部32のコア設置面も接触可能な大きさを有する。この接合層42は、コイル設置面やコア設置面が接する側に絶縁性材料からなる接着層を具え、底板部40に接する側に熱伝導性に優れる材料からなる放熱層を具える多層構造であることが好ましい。
接着層は、例えば、絶縁性接着剤で形成することができる。具体的には、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、などが挙げられる。ここでは、接着層は、絶縁性接着剤の単層構造であり、コイル2や磁性コア3(外側コア部32)を固定するときに押し潰されて引き伸ばされる。
一方、放熱層は、熱伝導率が2W/m・K超の材料で形成されている。放熱層の熱伝導率は、高いほど好ましく、3W/m・K以上、更に10W/m・K以上、特に20W/m・K以上、とりわけ30W/m・K以上の材料で形成されていることが好ましい。
放熱層の具体的な構成材料としては、例えば、金属材料が挙げられる。金属材料は一般に熱伝導率が高いものの導電性を有するので、上記接着層の絶縁性を高めることが望まれる。また、金属材料からなる放熱層は重くなり易い。これに対して、放熱層の構成材料として、金属元素、B及びSiの酸化物、炭化物、及び窒化物から選択される一種の材料といったセラミックスなどの非金属無機材料は、放熱性に優れる上に、電気絶縁性にも優れるので好ましい。より具体的なセラミックスは、窒化珪素(Si3N4):20W/m・K〜150W/m・K程度、アルミナ(Al2O3):20W/m・K〜30W/m・K程度、窒化アルミニウム(AlN):200W/m・K〜250W/m・K程度、窒化ホウ素(BN):50W/m・K〜65W/m・K程度、炭化珪素(SiC):50W/m・K〜130W/m・K程度などが挙げられる。上記セラミックスにより放熱層を形成する場合、例えば、PVD法やCVD法といった蒸着法を利用することができる。或いは、上記セラミックスの焼結板などを用意して、適宜な接着剤により底板部40に接合することでも、放熱層を形成するが可能である。
或いは、放熱層の構成材料には、上記セラミックスからなるフィラーを含有する絶縁性樹脂を利用できる。絶縁性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。絶縁性樹脂に上記放熱性及び電気絶縁性に優れるフィラーを含有することで、放熱性及び電気絶縁性に優れる放熱層とすることができる。また、フィラーを含有する樹脂を利用した場合でも、底板部40に当該樹脂を塗布などすることで、放熱層を容易に形成することができる。放熱層を絶縁性樹脂により構成する場合、特に、接着剤とすると、放熱層と接着層との密着性に優れることから、この放熱層を具える接合層は、コイル2と底板部40との間を強固に接合することができる。上記絶縁性樹脂により放熱層を形成する場合、例えば、スクリーン印刷を利用すると容易に形成することができる。上述した接着層にもスクリーン印刷を利用することが可能である。
ここでは、放熱層は、アルミナからなるフィラーを含有するエポキシ系接着剤により形成されている(熱伝導率:3W/m・K)。また、放熱層は、上記接着剤からなる二層構造であり、一層あたりの厚さを0.2mm(計0.4mm)としている(接着層との合計厚さ0.5mm)。放熱層は、三層以上としてもよい。このような多層構造とする場合、少なくとも一層の材質を異ならせてもよい。例えば、放熱層は、熱伝導率が異なる材質からなる多層構造とすることが可能である。
接合層42は、少なくともコイル設置面が十分に接触可能な面積を有していれば、特に形状は問わない。ここでは、接合層42は、図2に示すようにコイル2のコイル設置面及び外側コア部32のコア設置面に対応した形状を有する。そのため、コイル設置面及びコア設置面の双方を接合層42に十分に接触させることができる。
[封止樹脂]
ケース4内に絶縁性樹脂からなる封止樹脂(図示せず)を充填した形態とすることも可能である。この場合、巻線の端部2eは、ケース4の開口部から外部に引き出して、封止樹脂から露出させ、巻線の端部2eと端子金具8とを溶接や半田付けなどにより接合することができるようにする。或いは、側壁部41の形状によっては、上記溶接などにより接合した後、巻線の端部2eと端子金具8とを埋設するように封止樹脂を充填してもよい。
上記封止樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが利用できる。また、電気絶縁性及び熱伝導性に優れるフィラー、例えば、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを含有する封止樹脂とすると、放熱性を更に高めることができる。
ケース4内に封止樹脂を充填する場合、未硬化の樹脂が底板部40と側壁部41との隙間から漏れることを防止するために、パッキン6を配置するとよい。ここでは、パッキン6は、コイル2と磁性コア3との組合体10の外周に嵌合可能な大きさを有する環状体であり、合成ゴムで形成されたものを利用しているが、適宜な材質のものを利用できる。ケース4の側壁部41の設置面側には、パッキン6を配置するパッキン溝(図示せず)が形成されている。
《リアクトルの製造》
上記構成を具えるリアクトル1は、代表的には、組合体の準備、側壁部の準備、底板部の準備⇒組合体の載置・固定⇒側壁部の配置⇒ケースの組立⇒端子金具と巻線との接合⇒封止樹脂の充填、という工程により製造することができる。
[組合体の準備]
まず、コイル2と磁性コア3との組合体10の作製手順を説明する。具体的には、図3に示すように、コア片31mやギャップ材31gを積層して内側コア部31を形成し、この外周にインシュレータ5の周壁部51(分割片511,512)を配置した状態で、各コイル素子2a,2bに挿入する。周壁部51は、断面]状であることで、内側コア部31の設置側の面及びその対向面に配置し易い。両コイル素子2a,2bの端面及び内側コア部31の端面31eをインシュレータ5の枠状部52及び外側コア部32の内端面32eで挟むように、枠状部52及び外側コア部32を配置して、組合体10を作製する。このとき、内側コア部31の端面31eは、枠状部52の開口部から露出され、外側コア部32の内端面32eに接触する。この組合体10の作製にあたり、枠状部52の筒状部をガイドとして利用できる。
周壁部51を構成する一対の分割片511,512は、互いに係合する構成ではないが、内側コア部31と共にコイル素子2a,2b内に挿入され、更に外側コア部32が配置されることで、コイル素子2a,2bの内周面と内側コア部31の外周面との間に配置された状態が維持され、ずれたり脱落したりすることが無い。
[側壁部の準備]
側壁部41は、絶縁性樹脂材料であるPBT樹脂を射出成形などにより所定の形状に形成した後、側壁部41の端子台410に端子金具8を端子固定部材9及びボルト91により固定して、端子金具8が固定された側壁部41を用意する。上述したように、端子金具8を側壁部41に一体成形したものを用意してもよい。
[底板部の準備、組合体の載置・固定]
図2に示すようにアルミニウム製の金属板を所定の形状に打ち抜いた後、金属板の一方の面に位置決め溝45を形成し、この面を内面とする底板部40を用意する。また、この内面に接合層を含む多層構造の接合層42をスクリーン印刷により所定の形状に形成する。そして、底板部40の接合層42の上に作製した組合体10を載置し、その後、接合層42を硬化させて組合体10を底板部40に固定する。底板部40の内面には位置決め溝45が形成されており、これをコイル2の位置決めに利用することができるので、底板部40に対するコイル2の位置決め、ひいては組合体10の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
また、接合層42により、コイル2を底板部40に密着させられると共に、コイル2と外側コア部32との位置が固定され、ひいては一対の外側コア部32に挟まれた内側コア部31も位置が固定される。即ち、コア片31mやギャップ材31gの接合に接着剤を別途使用しなくても、接合層42によって内側コア部31及び外側コア部32を具える磁性コア3が一体化される。また、接合層42に接着剤を利用することで、組合体10が接合層42に強固に固定される。
接合層42は、組合体10を載置する直前に形成してもよいが、予め接合層42を形成しておいてもよい。後者の場合、組合体10を載置するまでの間に接合層42に異物などが付着しないように離型紙を取り付けておくとよい。放熱層のみ予め形成しておき、組合体10の載置直前に接着層のみを形成してもよい。
なお、組合体10の作製にあたり、コア片31mやギャップ材31gの接合に接着剤を用いることができる。この場合、例えば、接着剤を塗布したコア片31mとギャップ材31gとを積層し、内側コア部31を組み立てた後、上述したようにインシュレータ5の周壁部51並びにコイル2を配置する。そして、コイル2と外側コア部32との間に上述したようにインシュレータ5の枠状部52を配置すると共に、接着剤を塗布した内側コア部31の端面31eと外側コア部32の内端面32eとを接触させて接着剤を硬化させ、組合体10を作製する。この形態は、内側コア部31や組合体10の取り扱いが容易になる。このような組合体10を接合層42に接触させることで、コア片31mやギャップ材31gの接合に接着剤を用いない場合と同様に、組合体10(特にコイル2)を接合層42に強固に固定できる。
[側壁部の配置]
端子金具8が固定された側壁部41を、上記組合体10の外周面を囲むように組合体10の上方から被せ、底板部40の上に配置する。このとき、巻線の端部2eが端子金具8の両接合片81a,81b間に挿入されるように側壁部41を配置する。
[ケースの組立]
両接合片81a,81b間に巻線の端部2eが介在された状態で、別途用意したボルト(図示せず)により、底板部40と側壁部41とを一体化する。このとき、側壁部41の位置を調整することで接合片81a,81の位置も調整可能である。
なお、上述したように側壁部41を組合体10の上方から被せると、側壁部41の上述した両庇状部(一方の庇状部は端子台410となる)により、組合体10の両外側コア部32の上方の台形状面が覆われて当たり止めとなる。即ち、上記庇状部は、組合体10に対する側壁部41の位置決めとして機能する。その他、上記庇状部は、底板部40が上方や側方となるようにリアクトル1を設置対象に設置する場合に、組合体10が側壁部41から脱落することを防止する。上記庇状部の内側に、外側コア部32の脱落を防止する位置固定部などを別途設けておいてもよい。
上記工程により、図1に示すような箱状のケース4が組み立てられると共に、ケース4内に組合体10が収納された状態とすることができる。また、端子金具8の両接合片81a,81b間に巻線の端部2eが介在された状態とすることができる。
[端子金具と巻線との接合]
巻線の端部2eと端子金具8の接合片81a,81bとの少なくとも一方とを溶接や半田付けなどにより接合して、両者を電気的に接続する。この例では、巻線の端部2eは、一対の接合片81a,81bの間に介在され、かつ接合片81a,81bとの少なくとも一方に接触した状態が維持されている。従って、この接合にあたり、接合片81a,81bと巻線の端部2eとを接触させるための治具が不要である。或いは、接合片81a,81bと巻線の端部2eとの間に半田を充填することで、半田を介して、両者を電気的に接続できる。従って、この接続でも上記治具が不要である。この工程により、ケース4に封止樹脂が充填されていないリアクトル1が製造される。
[封止樹脂の充填]
一方、ケース4内に封止樹脂(図示せず)を充填してもよい。ケース4内に封止樹脂を充填し硬化させることで、封止樹脂を具えるリアクトル1が製造される。この形態では、接合片81a,81bと巻線の端部2eとの接合を封止樹脂の充填後に行ってもよい。
《用途》
上記構成を具えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的にはハイブリッド自動車や電気自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
《効果》
上記構成を具えるリアクトル1は、ケース4を底板部40と側壁部41とに分割した構造とすることで、側壁部を外した状態で底板部に組合体を載置することができ、従来のように重量物である組合体をケースの開口部まで持ち上げる作業が不要となり、組立作業性の向上を図ることができる。また、リアクトル1では、底板部40の内面に位置決め溝45が形成されていることから、組合体を底板部に載置する際、位置決め用治具がなくても、組合体の位置決めを正確かつ容易に行うことができるので、組立作業性のより一層の向上を図ることができる。さらに、位置決め溝45は、コイル2の軸方向と直交する方向の断面において、底板部40の内面に対向するコイル2の外周面に沿った形状である。そのため、底板部40に対するコイル2(組合体10)の位置決めが容易となるだけでなく、コイル2と底板部40との距離が短くなることから、コイル2の熱を底板部40に効率よく伝えることができる。よって、コイル2の熱を、底板部40を介して冷却ベースといった設置対象に効率よく放熱することができ、放熱性に優れる。
リアクトル1では、底板部40がアルミニウムといった熱伝導性に優れる金属材料で形成されていることから、コイル2の熱を設置対象に効率よく放熱でき、放熱性に優れる。ここで、底板部40の内面には接合層42が形成され、接合層42の少なくともコイル2に接する側が絶縁性材料で形成されていることから、接合層42の厚さが例え0.1mm程度と非常に薄くても、コイル2と底板部40との間の絶縁性を確保することができる。特に、接合層42は、熱伝導率が2W/m・K超といった熱伝導性に優れる放熱層を含むことから、組立体10を構成するコイル2や磁性コア3の熱を放熱層を介して底板部40に効率よく伝え、設置対象に効率よく放熱できるので、放熱性が向上する。この例では、接合層42を構成する全ての層が絶縁性材料で形成されていることから、コイル2と底板部40との間の十分に絶縁することができる。加えて、接合層42が薄いことからも、コイル2などの熱を底板部40に伝え易く、底板部40を介して設置対象に効率よく放熱できるので、放熱性が向上する。また、接合層42が薄いことから、コイル2のコイル設置面と底板部40の内面との間隔を小さくすることができ、小型化を実現できる。更に、接合層42を構成する全ての層が絶縁性接着剤により形成されていることから、コイル2や磁性コア3と接合層42との密着性に優れるので、コイル2などの熱を接合層42に伝え易く、放熱性が向上する。その上、巻線2wに被覆平角線を使用していることから、コイル設置面を構成する各ターンの側面部分の実質的に全体を接合層42に接触させることができ、コイル2と接合層42との接触面積が広いことから、放熱性が向上する。接合層42の形成作業は、側壁部41を外した状態で行うことができるので、容易であり、組立作業性の向上が期待できる。
ここで、底板部40は、プレス加工により位置決め溝45が形成されたアルミニウムといった金属板であるので、作製が容易であり、低コスト化、生産性の向上を図ることができる。
一方、側壁部41は、PBT樹脂といった絶縁性樹脂材料で形成されていることから、側壁部41の内面をコイル2の外周面に近接して配置することが可能であるため、小型化を図ることができる。また、金属材料よりも軽量の樹脂材料で形成されていることから、軽量化を図ることができる。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、位置決め溝の形状や形成箇所、数などを適宜変更することができる。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータといった電力変換装置の構成部品などに好適に利用することができる。本発明のリアクトル用ケースは、上記本発明のリアクトルに好適に利用することができる。
1 リアクトル 10 組合体
2 コイル
2a,2b コイル素子 2r コイル連結部 2w 巻線
2e 巻線の端部(給電箇所)
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面 31m コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部 32e 内端面
4 ケース
40 底板部 41 側壁部 42 接合層 45 位置決め溝
400,411 取付部 400h,411h ボルト孔 410 端子台
5 インシュレータ
51 周壁部 511,512 分割片
52 枠状部 52p 台座
6 パッキン
8 端子金具
81a,81b 接合片 82h 貫通孔
9 端子固定部材 91 ボルト

Claims (7)

  1. 巻線を巻回してなるコイルとこのコイルが配置される磁性コアとを有する組合体と、この組合体を収納するケースとを具えるリアクトルであって、
    前記ケースは、
    リアクトルが設置対象に設置されるときに当該設置対象に接する底板部と、
    前記底板部とは独立しており、固定材により当該底板部と一体化され、前記組合体の周囲を囲む側壁部とを具え、
    前記底板部の内面には、前記コイル及び前記磁性コアの少なくとも一方を位置決めする位置決め溝が形成されていることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記コイルの軸方向が前記底板部の内面に平行するように、前記組合体が前記ケースに収納され、
    前記位置決め溝は、前記コイルの軸方向に直交する方向の断面において、前記底板部の内面に対向する前記コイルの外周面に沿った形状であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記底板部は、プレス加工により前記位置決め溝が形成された金属板であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル。
  4. 前記側壁部は、絶縁性樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
  5. 前記底板部の内面に前記コイルを固定する接合層を具え、
    前記接合層は、前記コイルに接する側に配置され、絶縁性接着剤からなる接着層と、前記底板部に接する側に配置される放熱層とを有し、
    前記接合層の合計厚さが、2mm未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトル。
  6. 前記放熱層の少なくとも一部は、熱伝導率が2W/m・K超の材料で形成されていることを特徴とする請求項5に記載のリアクトル。
  7. 巻線を巻回してなるコイルとこのコイルが配置される磁性コアとを有する組合体を収納するリアクトル用ケースであって、
    リアクトルが設置対象に設置されるときに当該設置対象に接する底板部と、
    前記底板部とは独立しており、固定材により当該底板部と一体化され、前記組合体の周囲を囲む側壁部とを具え、
    前記底板部の内面には、前記コイル及び前記磁性コアの少なくとも一方を位置決めする位置決め溝が形成されていることを特徴とするリアクトル用ケース。
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