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JP2012137697A - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物並びに該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物並びに該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】線幅の面内均一性(CDU)に優れたパターンを形成することができる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A)特定のラクトン構造を有する繰り返し単位と、特定の単環脂環構造を有する繰り返し単位とを有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する特定構造を有する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びにそれを用いたレジスト膜及びパターン形成方法に関する。より詳細には、本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造工程、並びにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程に好適な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びにそれを用いたレジスト膜及びパターン形成方法に関する。特には、本発明は、波長250nm以下の遠紫外線及び電子線などを照射源とする場合に好適な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びにそれを用いたレジスト膜及びパターン形成方法に関する。
化学増幅レジスト組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部との現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、かつ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
一方、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
このため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されてきている。
また、半導体素子の微細化に伴い露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、更なる波長の短波化による高解像力化を目指して、投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、所謂、液浸法が知られている。液浸法はあらゆるパターン形状に対して有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることが可能である。
このような化学増幅機構を用いたArFエキシマレーザー用(193nm)レジストは、現在主流になりつつあるが、特に、線幅が110nm以下の微細なパターンを形成する際には、レジストとしての総合性能の観点から更なる改良が求められていた。
このようなレジストとしての総合性能の向上の観点から、種々のラクトン構造を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有させたレジスト組成物が知られている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
しかしながら、種々のラクトン構造を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有させたレジスト組成物を使用してもレジストとしての総合性能のうちの1つとしてのパターンの線幅の面内均一性(CDU)については更なる改善が求められており、特に、線幅が110nm以下の微細なパターンを形成する際には、CDUに優れるレジスト組成物が求められていた。
特開2008−257198号公報 特開2005−31624号公報 特開2010−159393号公報 特開2006−18229号公報 特開2009−86445号公報 特開2005−234330号公報 特開2005−234119号公報
本発明の目的は、線幅の面内均一性(CDU)に優れたパターンを形成することができる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びにそれを用いたレジスト膜及びパターン形成方法を提供することにある。
〔1〕
(A)下記一般式(A−I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する下記一般式(ZI−3)で表される化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
上記一般式(A−I)において、
01は、水素原子又はアルキル基を表す。
上記一般式(1)において、
は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rは炭素原子とともに単環の脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
上記一般式(ZI−3)において、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
-は、スルホン酸アニオンを表す。
〔2〕
疎水性樹脂(C)を更に含有する、〔1〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔3〕
窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(D)を更に含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔4〕
前記一般式(ZI−3)で表される化合物以外の活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を更に含有する、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔5〕
前記一般式(1)で表される繰り返し単位が下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
上記一般式(1−1)中、
は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
〔6〕
前記樹脂(A)が、水酸基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を更に有する、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
〔8〕
〔7〕に記載のレジスト膜を露光する工程、及び
前記露光したレジスト膜を現像する工程
を含むパターン形成方法。
〔9〕
前記露光が液浸露光である、〔8〕に記載のパターン形成方法。
本発明は、更に、下記の構成であることが好ましい。
〔10〕
前記一般式(ZI−3)におけるスルホン酸アニオンZが下記一般式(III)で表される、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
上記一般式(III)中、
は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。
Lは単結合又は連結基を表す。
p1は1〜8の整数を表し、p2は1又は2を表す。
p2が2である場合、2つのRは同じであっても異なっていてもよく、2つのRは互いに結合し環構造を形成してもよい。
〔11〕
前記一般式(ZI−3)で表される化合物以外の活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物がトリアリールスルホニウム化合物である、〔4〕〜〔6〕及び〔10〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔12〕
前記の窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(D)が下記一般式(A)で表される構造を有する化合物である、〔3〕〜〔6〕、〔10〕及び〔11〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(A)において、Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、n=2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に結合して、2価の複素環式炭化水素基若しくはその誘導体を形成していてもよい。
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基を示す。但し、−C(Rb)(Rb)(Rb)において、1つ以上のRbが水素原子のとき、残りのRbの少なくとも1つはシクロプロピル基、1−アルコキシアルキル基又はアリール基である。
少なくとも2つのRbが結合して脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体を形成していてもよい。
nは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、n+m=3である。
〔13〕
前記露光がArFエキシマレーザーによる露光である、〔8〕又は〔9〕に記載のパターン形成方法。
本発明によれば、線幅の面内均一性(CDU)に優れたパターンを形成することができる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びにそれを用いたレジスト膜及びパターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、
(A)下記一般式(A−I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する下記一般式(ZI−3)で表される化合物を含有する。
上記一般式(A−I)において、
01は、水素原子又はアルキル基を表す。
上記一般式(1)において、
は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rは炭素原子とともに単環の脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
上記一般式(ZI−3)において、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
-は、スルホン酸アニオンを表す。
[1](A)前記一般式(A−I)で表される繰り返し単位と、前記一般式(1)で表される繰り返し単位とを有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(以下、単に「樹脂(A)」ともいう。)
本発明において、樹脂(A)は下記一般式(A−I)で表される繰り返し単位を有する。
上記一般式(A−I)において、
01は、水素原子又はアルキル基を表す。
01のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。R01におけるアルキル基は、置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。R01は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
上記一般式(A−I)で表される繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
一般式(A−I)で表される繰り返し単位の含有量は、複数種類含有する場合は合計して樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜70mol%であることが好ましく、20〜65mol%であることがより好ましく、30〜60mol%であることが更に好ましい。
本発明において、樹脂(A)は下記一般式(1)で表される繰り返し単位も有する。
上記一般式(1)中、
は、水素原子、アルキル基を表す。
は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rは炭素原子とともに単環の脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位は、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する繰り返し単位に相当し得る。
についてのアルキル基としては、一般式(A−I)のR01についての具体例及び好ましい例と同様な具体例及び好ましい例が挙げられる。Rは、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。Rにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。Rにおけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基等が挙げられる。
は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは1〜5のものであり、例えばメチル基、エチル基が挙げられる。
Rは炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。Rが該炭素原子とともに形成する脂環構造としては、単環の脂環構造(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基)であり、その炭素数は好ましくは3〜8、より好ましくは3〜7であり、更に好ましくは5又は6である。
また、一般式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(1−1)中、R及びRは、一般式(1)におけるものと同義である。
一般式(1)で表される繰り返し単位は1種で用いてもよいし複数種で用いてもよい。
一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量(複数種類含有する場合はその合計)は樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜70mol%であることが好ましく、20〜65mol%であることがより好ましく、30〜65mol%であることが更に好ましい。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位は、他の酸分解性基を有する繰り返し単位と組み合わせて併用することができる。
このような併用し得る他の酸分解性基を有する繰り返し単位としては、一般式(1)におけるRに相当する基がメチル基又はエチル基でありRが形成する環に相当する環がアダマンタン環である繰り返し単位が挙げられる。
本発明において、他の酸分解性基を有する繰り返し単位と組み合わせて併用する態様の1つとしては、上記一般式(1−1)においてRがメチル基又はエチル基である繰り返し単位と、一般式(1)におけるR2に相当する基がメチル基又はエチル基でありRが形成する環に相当する環がアダマンタン環である繰り返し単位との併用が好ましい。
このような一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の酸分解性基を有する繰り返し単位を併用する場合、一般式(1)で表される繰り返し単位と他の酸分解性基を有する繰り返し単位との合計した含有量は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜70mol%であることが好ましく、20〜65mol%であることがより好ましく、30〜65mol%であることが更に好ましい。
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上し得る。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルニル基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、モノヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、モノヒドロキシジアマンチル基、ジヒドロキシジアマンチル基、シアノ基で置換されたノルボルニル基等が挙げられる。
上記原子団を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、
cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
c〜Rcは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、Rc〜Rcの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、Rc〜Rcの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、Rc〜Rcの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜40モル%が好ましく、より好ましくは5〜30モル%、更に好ましくは10〜25モル%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有してもよい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフルオロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
本発明における樹脂(A)はアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有していても含有していなくてもよいが、含有する場合、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、RxはH,CH,CHOH,又はCFを表す。
本発明における樹脂(A)は、更に極性基(例えば、前記アルカリ可溶性基、水酸基、シアノ基)を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(IV)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、極性基を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3〜7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
上記水素原子の置換基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
樹脂(A)は、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有していても含有していなくてもよいが、含有する場合、この繰り返し単位の含有量は、樹脂(B)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは2〜20モル%である。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)は実質的には芳香族基を有さないことが好ましい。より具体的には、樹脂(A)の全繰り返し中、芳香族基を有する繰り返し単位が全体の5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、理想的には0モル%、すなわち芳香族基を有する繰り返し単位を有さないことが更に好ましい。また、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
なお、樹脂(A)は、後述する疎水性樹脂(C)との相溶性の観点から、フッ素原子及び珪素原子を含有しないことが好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50mol%以下であることが好ましい。
本発明における樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
また、組成物の調製後に樹脂が凝集することなどを抑制する為に、例えば、特開2009−037108号公報に記載のように、合成された樹脂を溶剤に溶解して溶液とし、その溶液を30℃〜90℃程度で30分〜4時間程度加熱するような工程を加えてもよい。
本発明の樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜12,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、かつ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.6、更に好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.4〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、かつレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
本発明において樹脂(A)の組成物全体中の含有量は、全固形分中30〜99質量%が好ましく、より好ましくは60〜95質量%である。
また、本発明の樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
[2](B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する下記一般式(ZI−3)で表される化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)であって、下記一般式(ZI−3)で表される化合物(以下、「化合物(ZI−3)」ともいう)を含有する。
本発明における化合物(ZI−3)は、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
一般式(ZI−3)において、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
上記環構造としては、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。環構造としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
5cとR6c、及び、R5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基であることが好ましく、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等を挙げることができる。
-は、スルホン酸アニオンを表す。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアリール基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基の具体例は、前記R1c〜R5cとしてのアルコキシ基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのアルキルカルボニルオキシ基及びアルキルチオ基におけるアルキル基の具体例は、前記R1c〜R5cとしてのアルキル基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのアリールオキシ基及びアリールチオ基におけるアリール基の具体例は、前記R1c〜R5cとしてのアリール基の具体例と同様である。
好ましくは、R1c〜R5cの内のいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐若しくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくは、R1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
1c〜R5cのいずれか2つ以上が互いに結合して形成してもよい環構造としては、好ましくは5員又は6員の環、特に好ましくは6員の環(例えばフェニル環)が挙げられる。
5c及びR6cが互いに結合して形成してもよい環構造としては、R5c及びR6cが互いに結合して単結合又はアルキレン基(メチレン基、エチレン基等)を構成することにより、一般式(I)中のカルボニル炭素原子及び炭素原子と共に形成する4員以上の環(特に好ましくは5〜6員の環)が挙げられる。
6c及びR7cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
6cとR7cとが結合して環を形成する場合に、R6cとR7cとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R6cとR7cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
及びRとしての2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
及びRとしてのアルコキシカルボニルアルキル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cおけると同様のアルコキシ基を挙げることができ、アルキル基については、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を挙げることができる。
及びRとしてのアリル基としては、特に制限は無いが、無置換のアリル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基)で置換されたアリル基であることが好ましい。
及びRとしてのビニル基としては特に制限は無いが、無置換のビニル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基)で置換されたビニル基であることが好ましい。
及びRが互いに結合して形成してもよい環構造としては、2価のR及びR(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等)が一般式(ZI−3)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。
及びRは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
1c〜R7c、R及びRは、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アリールカルボニル基、アルコキシアルキル基、アリールオシキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜12個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を挙げることができる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10個のシクロアルキル基を挙げることができる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜15のアリール基を挙げることができる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜10個のアリールオキシ基等を挙げることができる。
前記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、n−ブタノイル基、i−ブタノイル基、n−ヘプタノイル基、2−メチルブタノイル基、1−メチルブタノイル基、t−ヘプタノイル基等の炭素原子数2〜12の直鎖状若しくは分岐状のアシル基等を挙げることができる。
前記アリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等の炭素数6〜10個のアリールオキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
前記アリールオキシアルキル基としては、例えば、フェニルオキシメチル基、フェニルオキシエチル基、ナフチルオキシメチル基、ナフチルオキシエチル基等の炭素数7〜12個のアリールオキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数7〜11個のアリールオキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、例えば、フェニルオキシカルボニルオキシ基、ナフチルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数7〜11個のアリールオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
上記一般式(ZI−3)中、R1c、R2c、R4c及びR5cが、各々独立に、水素原子を表し、R3cが水素原子以外の基、すなわち、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表すことがより好ましい。
-は、非求核性アニオンとしてのスルホン酸アニオンを表す。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基等を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
化合物(ZI−3)のカチオン部分の具体例を以下に挙げる。
についてのスルホン酸アニオンが、感度の観点から下記一般式(III)で表されることが特に好ましい。
上記一般式(III)中、
は、複数ある場合はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。
Lは単結合又は連結基を表す。
p1は1〜8の整数を表し、p2は1又は2を表す。
p2が2である場合、2つのRは同じであっても異なっていてもよく、2つのRは互いに結合し環構造を形成してもよい。
により表されるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の具体例としては、鎖式アルキル基、単環式アルキル基、多環式炭化水素基、又は単環式アリール基を表し、該鎖状アルキル基、該単環式アルキル基、該多環式炭化水素基、該単環式アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としてはフッ素原子を有していてもよい。
鎖式アルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ドデシル、2−エチルヘキシル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−アミル等が挙げられる。
該アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、カルボキシ基が挙げられる。
単環式アルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクタジエニル等が挙げられ、特にシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルが好ましい。
該単環式アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、カルボキシ基が挙げられる。
多環式炭化水素基としては、ビシクロ[4.3.0]ノナニル、デカヒドロナフタレニル、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル、ボルニル、イソボルニル、ノルボルニル、アダマンチル、ノルアダマンチル、1,7,7−トリメチルトリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタニル、3,7,7−トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタニル等があげられ、特にノルボルニル、アダマンチル、ノルアダマンチルが好ましい。
単環式アリール基は、置換又は無置換のフェニル基を意味し、置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、カルボキシ基が挙げられる。
なお、Rは低フッ素含率の観点からフッ素原子を有さないことが好ましい。
Lについての連結基としては、p2が1のときの、2価の連結基、p2が2のときの3価の連結基が挙げられる。
Lについての2価の連結基としては、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、窒素原子(−NH−)、カルボキシル基(−OC=O−、−CO(=O)−)、アミド基(−NHC(=O)−)、スルホンアミド基(−NHSO−)等が挙げられる。
Lについての3価の連結基としては、窒素原子(>N−)、アミド基(>NC(=O)−)、スルホンアミド基(>NSO−)等が挙げられる。特に、p2が2であり、2つのRが互いに結合して環を形成する場合、Lはアミド基、スルホンアミド基等の窒素原子を有する連結基であることが好ましく、このとき2つのRは互いに結合してL上の窒素原子を環内に有する環状アミン残基を形成することができる。
環状アミン残基構造としてはアジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ピペラジン、デカヒドロキノリン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、インドール、オキサゾリジン、チアゾリジン、2−アザノルボルナン、7−アザノルボルナン、モルホリン、チアモルホリン等が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、及び環を形成する炭素上のカルボニル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、カルボキシ基が挙げられる。
一般式(III)で表されるスルホン酸アニオンとしては、Rがシクロアルキル基又はアリール基である態様、又はp2が2のとき、2つのRが互いに結合して環を形成する態様であることが好ましい。
としてのスルホン酸アニオンとしては以下の具体例が挙げられる。
化合物(ZI−3)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物(ZI−3)は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
化合物(ZI−3)は、任意の方法、例えば、特開2002−236359号公報の[0157]に記載の方法、特開2004−139014号公報の[0316]に記載の方法等に準じて製造することができる。特に、前記一般式(III)で表されるスルホン酸アニオンについては、例えば、特開2005−266766号公報の[0362]〜[0372]に記載の方法等に準じて製造することができる。
化合物(ZI−3)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、3〜30質量%が好ましく、7〜30質量%がより好ましく、7〜25質量%が更に好ましい。
また、本発明における化合物(ZI−3)は、化合物(ZI−3)以外の酸発生剤(以下、併用酸発生剤ともいう)と組み合わされて使用されても良い。
併用酸発生剤としては、特に限定されないが、好ましくは下記一般式(ZI’)、(ZII’)、(ZIII’)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI’)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
としては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
スルホン酸アニオンの具体例、好ましい例としては、一般式(ZI−3)におけるスルホン酸アニオンについて前述したスルホン酸アニオンの具体例及び好ましい例と同様なものが挙げられる。
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、一般式(ZI−3)におけるスルホン酸アニオンについて前述した脂肪族部位と同様なものが挙げられる。
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、一般式(ZI−3)におけるスルホン酸アニオンについて前述した芳香族基と同様なものが挙げられる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他のZとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等を挙げることができる。
としては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
201、R202及びR203により表される有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI’−1)及び(ZI’−2)における対応する基を挙げることができる。
なお、一般式(ZI’)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI’)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI’)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つと、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI’)成分として、以下に説明する化合物(ZI’−1)及び(ZI’−2)を挙げることができる。
化合物(ZI’−1)は、上記一般式(ZI’)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよいが、R201〜R203の全てがアリール基であることが好ましい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができ、トリアリールスルホニウム化合物であることが好ましい。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、ベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(ZI’−2)について説明する。
化合物(ZI’−2)は、式(ZI’)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に一般式(ZII’)、(ZIII’)について説明する。
一般式(ZII’)、(ZIII’)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI’−1)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明したアリール基と同様である。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI’−1)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI’)に於けるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
本発明における化合物(ZI−3)と併用し得る併用酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV’)、(ZV’)、(ZVI’)で表される化合物も挙げられる。
一般式(ZIV’)〜(ZVI’)中、
Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
Ar、Ar、R208、R209及びR210のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI’−1)におけるR201、R202及びR203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208、R209及びR210のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI’−2)におけるR201、R202及びR203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
本発明における化合物(ZI−3)と併用し得る併用酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
化合物(ZI−3)と、化合物(ZI−3)以外の併用酸発生剤とを併用した場合の酸発生剤の使用量は、モル比(化合物(ZI−3)/併用酸発生剤)で、通常99/1〜20/80、好ましくは99/1〜40/60、更に好ましくは99/1〜50/50である。
[3]疎水性樹脂(C)
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、疎水性樹脂(C)を含有し得る。
樹脂(C)は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有している。
樹脂(C)に於けるフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかは、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
樹脂(C)がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4であり、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)のいずれかで表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
一般式(F2)〜(F4)中、
57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ及びR65〜R68の少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、フルオロアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。R62及びR63がパーフルオロアルキル基であるとき、R64は水素原子であることが好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CFOH、−C(COH、−C(CF)(CH)OH、−CH(CF)OH等が挙げられ、−C(CFOHが好ましい。
フッ素原子を含む部分構造は、主鎖に直接結合しても良く、更に、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレイレン結合よりなる群から選択される基、あるいはこれらの2つ以上を組み合わせた基を介して主鎖に結合しても良い。
フッ素原子を有する好適な繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられる。
式中、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる。
〜Wは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
また、樹脂(C)は、これら以外にも、フッ素原子を有する繰り返し単位として下記に示すような単位を有していてもよい。
式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる。
ただし、R〜Rの少なくとも1つはフッ素原子を表す。RとR若しくはRとRは環を形成していてもよい。
は、少なくとも1つのフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
は、単結合、あるいは2価の連結基を示す。2価の連結基としては、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−N(R)−(式中、Rは水素原子又はアルキルを表す)、−NHSO−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を示す。
Qは脂環式構造を表す。脂環式構造は置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、多環型の場合は有橋式であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。Qとして特に好ましくはノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。
樹脂(C)は、珪素原子を含有してもよい。
珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、又は環状シロキサン構造を有することが好ましい。
アルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
一般式(CS−1)〜(CS−3)に於いて、
12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
〜Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレイレン結合よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
フッ素原子又は珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位は(メタ)アクリレート系繰り返し単位であることが好ましい。
以下、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表し、Xは、−F又は−CFを表す。
樹脂(C)は、下記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)を有することが好ましい。
(x)アルカリ可溶基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基
繰り返し単位(b)としては、以下の類型が挙げられる。
・1つの側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかと、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b’)
・上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子を有さない繰り返し単位(b*)
・1つの側鎖上に上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、同一繰り返し単位内の前記側鎖と異なる側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b”)
樹脂(C)は、繰り返し単位(b)として繰り返し単位(b’)を有することがより好ましい。すなわち、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有することがより好ましい。
なお、樹脂(C)が、繰り返し単位(b*)を有する場合、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(前記繰り返し単位(b’)、(b”)とは異なる繰り返し単位)とのコポリマーであることが好ましい。また、繰り返し単位(b”)における、下記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する側鎖とフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する側鎖とは、主鎖中の同一の炭素原子に結合している、すなわち下記式(K1)のような位置関係にあることが好ましい。
式中、B1は上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する部分構造、B2はフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する部分構造を表す。
上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる基は、好ましくは、(x)アルカリ可溶基又は(y)極性変換基であり、(y)極性変換基であることがより好ましい。
アルカリ可溶性基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。
繰り返し単位(bx)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(bx)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(bx)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の含有量は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜20mol%である。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
下記式中、XはH、CH、CF、CHOHを表す。
極性変換基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSOO−)、スルホン酸エステル基(−SOO−)などが挙げられ、好ましくはラクトン基である。
極性変換基(y)は、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルによる繰り返し単位中に含まれることにより、樹脂の側鎖に導入される形態、あるいは極性変換基(y)を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入される形態のいずれも好ましい。
極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)の具体例としては、後述の式(KA−1−1)〜(KA−1−17)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を挙げることができる。
更に、極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である(すなわち、前記繰り返し単位(b’)、(b”)に相当する)ことが好ましい。該繰り返し単位(by)を有する樹脂は疎水性を有するものであるが、特に現像欠陥の低減の点で好ましい。
繰り返し単位(by)として、例えば、式(K0)で示される繰り返し単位を挙げることができる。
式中、Rk1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
k2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
但し、Rk1、Rk2の少なくとも一方は、極性変換基を含む基を表す。
極性変換基とは、上述したようにアルカリ現像液の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を表す。極性変換基としては、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造におけるXで表される基であることが好ましい。
一般式(KA−1)又は(KB−1)におけるXは、カルボン酸エステル基:−COO−、酸無水物基:−C(O)OC(O)−、酸イミド基:−NHCONH−、カルボン酸チオエステル基:−COS−、炭酸エステル基:−OC(O)O−、硫酸エステル基:−OSOO−、スルホン酸エステル基:−SOO−を表す。
及びYは、それぞれ同一でも異なっても良く、電子求引性基を表す。
なお、繰り返し単位(by)は、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造を有する基を有することで、好ましいアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有するが、一般式(KA−1)で表される部分構造、Y及びYが1価である場合の(KB−1)で表される部分構造の場合のように、該部分構造が結合手を有しない場合は、該部分構造を有する基とは、該部分構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造は、任意の位置で置換基を介して樹脂(C)の主鎖に連結している。
一般式(KA−1)で表される部分構造は、Xとしての基とともに環構造を形成する構造である。
一般式(KA−1)におけるXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(即ち、KA−1としてラクトン環構造を形成する場合)、及び酸無水物基、炭酸エステル基である。より好ましくはカルボン酸エステル基である。
一般式(KA−1)で表される環構造は、置換基を有していてもよく、例えば、置換基Zka1をnka個有していてもよい。
ka1は、複数ある場合はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。
ka1同士が連結して環を形成しても良い。Zka1同士が連結して形成する環としては、例えば、シクロアルキル環、ヘテロ環(環状エーテル環、ラクトン環など)が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。好ましくは0〜8の整数、より好ましくは0〜5の整数、更に好ましくは1〜4の整数、最も好ましくは1〜3の整数である。
ka1としての電子求引性基は、後述のY及びYとしての電子求引性基と同様である。なお、上記電子求引性基は、別の電子求引性基で置換されていてもよい。
ka1は好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、又は電子求引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は電子求引性基である。なお、エーテル基としては、アルキル基又はシクロアルキル基等で置換されたもの、すなわち、アルキルエーテル基等が好ましい。電子求引性基は前記と同義である。
ka1としてのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ka1としてのアルキル基は置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜30、更に好ましくは3〜20であり、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基、t−デカノイル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
ka1としてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよい。多環型の場合、シクロアルキル基は有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は橋かけ構造を有していてもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基が挙げられる。シクロアルキル基としては下記構造も好ましい。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記脂環部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基である。
これらの脂環式構造の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。上記アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等を挙げることができる。
また、上記基は更に置換基を有していてもよく、更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基、フエネチル基、クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基等を挙げることができる。
一般式(KA−1)におけるXがカルボン酸エステル基であり、一般式(KA−1)が示す部分構造がラクトン環であることが好ましく、5〜7員環ラクトン環であることが好ましい。
なお、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)におけるように、一般式(KA−1)で表される部分構造としての5〜7員環ラクトン環に、ビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環していることが好ましい。
一般式(KA−1)で表される環構造が結合してもよい周辺の環構造については、例えば、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)におけるもの、又はこれに準じたものを挙げることができる。
一般式(KA−1)が示すラクトン環構造を含有する構造として、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)のいずれかで表される構造がより好ましい。なお、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としては、(KA−1−1)、(KA−1−4)、(KA−1−5)、(KA−1−6)、(KA−1−13)、(KA−1−14)、(KA−1−17)である。
上記ラクトン環構造を含有する構造は、置換基を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基としては、上記一般式(KA−1)が示す環構造が有してもよい置換基Zka1と同様のものが挙げられる。
一般式(KB−1)のXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(−COO−)を挙げることができる。
一般式(KB−1)におけるY及びYは、それぞれ独立に、電子求引性基を表す。
電子求引性基は、下記式(EW)で示す部分構造である。式(EW)における*は(KA−1)に直結している結合手、又は(KB−1)中のXに直結している結合手を表す。
式(EW)中、
ewは−C(Rew1)(Rew2)−で表される連結基の繰り返し数であり、0又は1の整数を表す。newが0の場合は単結合を表し、直接Yew1が結合していることを示す。
ew1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、及びこれらの組み合わせをあげることができ、電子求引性基は例えば下記構造であってもよい。なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアルキル基及びシクロアルキル基を表し、「ハロアリール基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアリール基を表す。下記構造式において、Rew3、Rew4は、各々独立して任意の構造を表す。Rew3、Rew4はどのような構造でも式(EW)で表される部分構造は電子求引性を有し、例えば樹脂の主鎖に連結していてもよいが、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、フッ化アルキル基である。
ew1が2価以上の基である場合、残る結合手は、任意の原子又は置換基との結合を形成するものである。Yew1、Rew1、Rew2の少なくとも何れかの基が更なる置換基を介して樹脂(C)の主鎖に連結していてもよい。
ew1は、好ましくはハロゲン原子、又は、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
ew1、Rew2は、各々独立して任意の置換基を表し、例えば水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
ew1、Rew2及びYew1の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
ここでRf1はハロゲン原子、パーハロアルキル基、パーハロシクロアルキル基、又はパーハロアリール基を表し、より好ましくはフッ素原子、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロシクロアルキル基、更に好ましくはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
f2、Rf3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子又は有機基を表し、Rf2とRf3とが連結して環を形成してもよい。有機基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等を表す。Rf2はRf1と同様の基を表すか、又はRf3と連結して環を形成していることがより好ましい。
f1〜Rf3とは連結して環を形成してもよく、形成する環としては、(ハロ)シクロアルキル環、(ハロ)アリール環等が挙げられる。
f1〜Rf3における(ハロ)アルキル基としては、例えば前述したZka1におけるアルキル基、及びこれがハロゲン化した構造が挙げられる。
f1〜Rf3における、又は、Rf2とRf3とが連結して形成する環における(パー)ハロシクロアルキル基及び(パー)ハロアリール基としては、例えば前述したZka1におけるシクロアルキル基がハロゲン化した構造、より好ましくは−C(n)(2n−2)Hで表されるフルオロシクロアルキル基、及び、−C(n)(n−1)で表されるパーフルオロアリール基が挙げられる。ここで炭素数nは特に限定されないが、5〜13のものが好ましく、6がより好ましい。
ew1、Rew2及びYew1の少なくとも2つが互いに連結して形成してもよい環としては、好ましくはシクロアルキル基又はヘテロ環基が挙げられ、ヘテロ環基としてはラクトン環基が好ましい。ラクトン環としては、例えば上記式(KA−1−1)〜(KA−1−17)で表される構造が挙げられる。
なお、繰り返し単位(by)中に、一般式(KA−1)で表される部分構造を複数、あるいは、一般式(KB−1)で表される部分構造を複数、あるいは、一般式(KA−1)で表される部分構造と一般式(KB−1)で表される部分構造の両方を有していてもよい。
なお、一般式(KA−1)の部分構造の一部又は全部が、一般式(KB−1)におけるY又はYとしての電子求引性基を兼ねてもよい。例えば、一般式(KA−1)のXがカルボン酸エステル基である場合、そのカルボン酸エステル基は一般式(KB−1)におけるY又はYとしての電子求引性基として機能することもあり得る。
また、繰り返し単位(by)が、上記繰り返し単位(b*)又は繰り返し単位(b”)に該当し、かつ、一般式(KA−1)で表される部分構造を有する場合、一般式(KA−1)で表される部分構造は、極性変換基が、一般式(KA−1)で示す構造における−COO−で表される部分構造であることがより好ましい。
繰り返し単位(by)は、一般式(KY−0)で表わされる部分構造を有する繰り返し単位でありえる。
一般式(KY−0)に於いて、
は、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
は、構成炭素上の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換され、直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。
は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR−C(=O)−若しくはR−C(=O)O−で表される基(Rは、アルキル基若しくはシクロアルキル基を表す。)を表す。Rが複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよく、また、2つ以上のRが結合し、環を形成していても良い。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Z、Zaは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。
oは、置換基数であって、1〜7の整数を表す。
mは、置換基数であって、0〜7の整数を表す。
nは、繰り返し数を表し、0〜5の整数を表す。
−R−Z−の構造として好ましくは、−(CH−COO−で表される構造が好ましい(lは1〜5の整数を表す)。
としての鎖状若しくは環状アルキレン基の好ましい炭素数範囲及び具体例は、一般式(bb)のZにおける鎖状アルキレン基及び環状アルキレン基で説明したものと同様である。
としての直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基の炭素数は、直鎖状の場合、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20であり、分岐状の場合、好ましくは3〜30、更に好ましくは3〜20であり、環状の場合、6〜20である。Rの具体例としては、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例を挙げることができる。
及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基における好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
としてのアシル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基などを挙げることができる。
としてのアルコキシ基及びアルコキシカルボニル基におけるアルキル部位としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル部位を挙げることができ、アルキル部位の好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
Xとしてのアルキレン基としては、鎖状若しくは環状アルキレン基を挙げることができ、好ましい炭素数及びその具体例は、Rとしての鎖状アルキレン基及び環状アルキレン基で説明したものと同様である。
また、繰り返し単位(by)の具体的な構造として、以下に示す部分構造を有する繰り返し単位も挙げられる。
一般式(rf−1)及び(rf−2)中、
X´は、電子求引性の置換基を表し、好ましくは、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、フッ素原子で置換されたアルキレン基、フッ素原子で置換されたシクロアルキレン基である。
Aは、単結合又は−C(Rx)(Ry)−で表される2価の連結基を表す。ここで、Rx、Ryは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6で、フッ素原子等で置換されていてもよい)、又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜12で、フッ素原子等で置換されていてもよい)を表す。Rx,Ryとして好ましくは、水素原子、アルキル基、フッ素原子で置換されたアルキル基である。
Xは、電子求引性基を表し、その具体例としては、前述のY及びYとしての電子求引性基を挙げることができ、好ましくは、フッ化アルキル基、フッ化シクロアルキル基、フッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアリール基、フッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアラルキル基、シアノ基、ニトロ基である。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。即ち、単結合あるいは連結基を通じて樹脂の主鎖に結合する結合手を表す。
なお、X´がカルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基であるとき、Aは単結合ではない。
極性変換基がアルカリ現像液の作用により分解し極性変換がなされることによって、アルカリ現像後のレジスト膜の水との後退接触角を下げることが出来る。アルカリ現像後における膜の水との後退接触角が下がることは、現像欠陥の抑制の観点から好ましい。
アルカリ現像後のレジスト膜の水との後退接触角は、温度23±3℃、湿度45±5%において50°以下であることが好ましく、より好ましくは40°以下、更に好ましくは35°以下、最も好ましくは30°以下である。
後退接触角とは、液滴−基板界面での接触線が後退する際に測定される接触角であり、動的な状態での液滴の移動しやすさをシミュレートする際に有用であることが一般に知られている。簡易的には、針先端から吐出した液滴を基板上に着滴させた後、その液滴を再び針へと吸い込んだときの、液滴の界面が後退するときの接触角として定義でき、一般に拡張収縮法と呼ばれる接触角の測定方法を用いて測定することができる。
アルカリ現像後における膜の上記後退接触角は、以下に示す膜について、後掲の実施例に記載の拡張収縮法により測定した場合の接触角である。すなわち、シリコンウエハ(8インチ口径)上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い形成された膜厚98nmの反射防止膜上に、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を塗布し、120℃で60秒間ベークを行い、膜厚120nmの膜を形成する。この膜をテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥して得られる膜についての、拡張収縮法による接触角である。
樹脂(C)のアルカリ現像液に対する加水分解速度は0.001nm/秒以上であることが好ましく、0.01nm/秒以上であることがより好ましく、0.1nm/秒以上であることが更に好ましく、1nm/秒以上であることが最も好ましい。
ここで樹脂(C)のアルカリ現像液に対する加水分解速度は23℃のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)(2.38質量%)に対して、樹脂(C)のみで樹脂膜を製膜した際の膜厚が減少する速度である。
また、繰り返し単位(by)は、少なくとも2つ以上の極性変換基を有する繰り返し単位であることがより好ましい。
繰り返し単位(by)が少なくとも2つの極性変換基を有する場合、下記一般式(KY−1)で示す、2つの極性変換基を有する部分構造を有する基を有することが好ましい。なお、一般式(KY−1)で表される構造が、結合手を有さない場合は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KY−1)において、
ky1、Rky4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。或いは、Rky1、Rky4が同一の原子と結合して二重結合を形成していてもよく、例えばRky1、Rky4が同一の酸素原子と結合してカルボニル基の一部(=O)を形成してもよい。
ky2、Rky3はそれぞれ独立して電子求引性基であるか、又はRky1とRky2が連結してラクトン環を形成するとともにRky3が電子求引性基である。形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY、Yと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。好ましくはRky3がハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基であり、Rky2はRky1と連結してラクトン環を形成するか、ハロゲン原子を有さない電子求引性基である。
ky1、Rky2、Rky4はそれぞれ互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
ky1、Rky4は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
ky1とRky2が連結して形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY、Yと同様のものが挙げられる。
一般式(KY−1)で表される構造としては、下記一般式(KY−2)で示す構造であることがより好ましい。なお、一般式(KY−2)で表される構造は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
式(KY−2)中、
ky6〜Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。
ky6〜Rky10は、2つ以上が互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
ky5は電子求引性基を表す。電子求引性基は前記Y、Yにおけるものと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
ky5〜Rky10は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
式(KY−2)で表される構造は、下記一般式(KY−3)で示す部分構造であることがより好ましい。
式(KY−3)中、Zka1、nkaは各々前記一般式(KA−1)と同義である。Rky5は前記式(KY−2)と同義である。
kyはアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Lkyは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
繰り返し単位(b)は、付加重合、縮合重合、付加縮合、等、重合により得られる繰り返し単位であれば限定されるものではないが、炭素−炭素2重結合の付加重合により得られる繰り返し単位であることが好ましい。例として、アクリレート系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、スチレン系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位、マレイン酸誘導体(マレイン酸無水物やその誘導体、マレイミド等)の繰り返し単位、等を挙げることが出来、アクリレート系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位が最も好ましい。
繰り返し単位(by)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(by)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(by)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
樹脂(C)に於ける、繰り返し単位(by)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜100mol%が好ましく、より好ましくは20〜99mol%、更に好ましくは30〜97mol%、最も好ましくは40〜95mol%である。
アルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有する繰り返し単位(by)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。また、前記樹脂(A)の繰り返し単位(a3)の具体例として挙げたものも、繰り返し単位(by)の具体例として挙げることができる。
Raは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
樹脂(C)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位(bz)は、酸分解性基を有する繰り返し単位が挙げられる。
酸分解性基は、アルカリ可溶性基を酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。 式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
繰り返し単位(bz)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(bz)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(by)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
樹脂(C)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位(bz)の含有量は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜80mol%が好ましく、より好ましくは10〜80mol%、更に好ましくは20〜60mol%である。
以上、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)について説明したが、樹脂(C)に於ける、繰り返し単位(b)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜98mol%が好ましく、より好ましくは3〜98mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
繰り返し単位(b’)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜100mol%が好ましく、より好ましくは3〜99mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
繰り返し単位(b*)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜90mol%が好ましく、より好ましくは3〜80mol%、更に好ましくは5〜70mol%、最も好ましくは10〜60mol%である。繰り返し単位(b*)と共に用いられる、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜99mol%が好ましく、より好ましくは20〜97mol%、更に好ましくは30〜95mol%、最も好ましくは40〜90mol%である。
繰り返し単位(b”)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜100mol%が好ましく、より好ましくは3〜99mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
樹脂(C)は、更に、下記一般式(CIII)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
一般式(CIII)に於いて、
c31は、水素原子、アルキル基、又はフッ素で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又はアリール基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子を含む基等で置換されていても良い。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(CIII)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
アリール基は、炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基が好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
c32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
樹脂(C)は、更に、下記一般式(BII−AB)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
式(BII−AB)中、
c11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
一般式(III)、(BII−AB)で表される繰り返し単位における各基が、フッ素原子又は珪素原子を含む基で置換されている場合、その繰り返し単位は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位にも相当する。
以下に一般式(III)、(BII−AB)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。なお、RaがCFである場合の繰り返し単位は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位にも相当する。
樹脂(C)は、樹脂(A)と同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のないレジスト組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜3の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2、更に好ましくは1〜1.8、最も好ましくは1〜1.5の範囲である。
樹脂(C)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒、重合開始剤、反応条件(温度、濃度等)、及び、反応後の精製方法は、樹脂(A)で説明した内容と同様である。
以下に樹脂(C)の具体例を示す。また、後掲の表に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、分散度を示す。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを含有する疎水性の樹脂(C)を含有することにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成された膜の表層に樹脂(C)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対する該膜表面の後退接触角を向上させ、液浸液追随性を向上させることができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物からなる塗膜をベークした後でかつ露光前の膜の後退接触角は露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°以上、更に好ましくは70°以上、特に好ましくは75°以上である。
樹脂(C)は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があるので、動的な状態に於けるレジスト膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能がレジストには求められる。
樹脂(C)は、疎水的であるためアルカリ現像後に現像残渣(スカム)、BLOB欠陥が悪化しやすいが、少なくとも1つの分岐部を介してポリマー鎖を3つ以上有することで直鎖型樹脂に比べ、アルカリ溶解速度が向上するため現像残渣(スカム)、BLO欠陥性能が改善される。
樹脂(C)がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有量は、樹脂(C)の重量平均分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜100モル%であることが好ましく、20〜100モル%であることがより好ましい。
樹脂(C)が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有量は、樹脂(C)の重量平均分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、樹脂(C)の全繰り返し単位に対し、10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましい。
樹脂(C)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜30,000である。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の樹脂(C)の含有量は、レジスト膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.5〜8質量%である。
樹脂(C)は1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
〔4〕塩基性化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジン等を挙げることができ、更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)若しくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−若しくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
アンモニウム塩化合物は、1級、2級、3級、4級のアンモニウム塩化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアンモニウム塩化合物が好ましい。アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)若しくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−若しくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、フォスフェート等が挙げられるが、中でもハロゲン原子、スルホネートが好ましい。ハロゲン原子としてはクロライド、ブロマイド、アイオダイドが特に好ましく、スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、アリールスルホネートが挙げられる。アルキルスルホネートのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的にはメタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基として、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物とは、アミン化合物又はアンモニウム塩化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、置換基を有していてもよい。フェノキシ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。置換基の置換位は、2〜6位のいずれであってもよい。置換基の数は、1〜5の範囲で何れであってもよい。
フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)若しくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−若しくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
スルホン酸エステル基を有するアミン化合物、スルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物に於ける、スルホン酸エステル基としては、アルキルスルホン酸エステル、シクロアルキル基スルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステルのいずれであっても良く、アルキルスルホン酸エステルの場合にアルキル基は炭素数1〜20、シクロアルキルスルホン酸エステルの場合にシクロアルキル基は炭素数3〜20、アリールスルホン酸エステルの場合にアリール基は炭素数6〜12が好ましい。アルキルスルホン酸エステル、シクロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステルは置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基が好ましい。
スルホン酸エステル基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)若しくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−若しくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
また、下記化合物も塩基性化合物として好ましい。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は塩基性化合物を含有していても含有していなくてもよいが、含有する場合、塩基性化合物の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
酸発生剤と塩基性化合物の組成物中の使用割合は、酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/塩基性化合物(モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
これらの塩基性化合物は下記((D)窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物に対しモル比(D)窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物/塩基性化合物=100/0〜10/90で用いることが好ましく、モル比(D)窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物/塩基性化合物=100/0〜30/70で用いることがより好ましく、(D)窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物/塩基性化合物=100/0〜50/50でもちいる事が特に好ましい。
なお、ここでの塩基性化合物は、塩基性化合物でもある場合の(D)窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物を含まない。
[5](D)窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(以下において、「低分子化合物(D)」又は「化合物(D)」ともいう)を含有することができる。
酸の作用により脱離する基としては特に限定されないが、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。
窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(D)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が特に好ましい。
化合物(D)としては、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体が好ましい。
化合物(D)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有しても良い。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表すことができる。
一般式(d−1)において、
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルコキシアルキル基を表す。Rbは相互に結合して環を形成していても良い。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
前記Rbのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、上記官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい)としては、
例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、これらのアルカンに由来する基を、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ノルボルナン、アダマンタン、ノラダマンタン等のシクロアルカンに由来する基、これらのシクロアルカンに由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物に由来する基、これらの芳香族化合物に由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、インドール、インドリン、キノリン、パーヒドロキノリン、インダゾール、ベンズイミダゾール等の複素環化合物に由来する基、これらの複素環化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルキル基或いは芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基、直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基・シクロアルカンに由来する基をフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基等或いは前記の置換基がヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基で置換された基等が挙げられる。
Rbとして好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。より好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基である。
2つのRbが相互に結合して形成する環としては、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造を以下に示す。
化合物(D)は、前記塩基性化合物と一般式(d−1)で表される構造を任意に組み合わせることで構成することも出来る。
化合物(D)は、下記一般式(A)で表される構造を有することが特に好ましい。
なお、化合物(D)は、窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物である限り、前記の塩基性化合物に相当するものであってもよい。
一般式(A)において、Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、n=2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に結合して、2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)若しくはその誘導体を形成していてもよい。
Rbは、前記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。但し、−C(Rb)(Rb)(Rb)において、1つ以上のRbが水素原子のとき、残りのRbの少なくとも1つはシクロプロピル基、1−アルコキシアルキル基又はアリール基である。
nは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、n+m=3である。
一般式(A)において、Raが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
前記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、上記官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
また、前記Raが相互に結合して、形成する2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20)若しくはその誘導体としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に由来する基、これらの複素環式化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、シクロアルカンに由来する基、芳香族化合物に由来する基、複素環化合物に由来する基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(D)を具体的に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
一般式(A)で表される化合物は、特開2007−298569号公報、特開2009−199021号公報などに基づき合成することができる。
本発明において、(D)窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、(D)窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、化合物(D)の含有量は、前記塩基性化合物と合わせた組成物の全固形分を基準として、通常、0.001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
酸発生剤と化合物(D)の樹脂組成物中の使用割合は、酸発生剤/[化合物(D)+前記塩基性化合物](モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/[化合物(D)+前記塩基性化合物](モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
〔6〕溶剤
前記各成分を溶解させて本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルを好ましく挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルを好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチルを好ましく挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが好ましく挙げられる。
環を含有しても良いモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン、3−メチルシクロヘプタノンが好ましく挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートが好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピルが好ましく挙げられる。
好ましく使用できる溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が挙げられる。具体的には、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられる。
本発明に於いては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有しても良いモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
〔7〕界面活性剤
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有してもよいし、含有していなくてもよい。含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が上記界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられ、例えばエフトップEF301、EF303(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等である。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)若しくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。更に、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)、C13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体等を挙げることができる。
また、本発明では、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は界面活性剤を含有していても含有していなくてもよいが、含有する場合、界面活性剤の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分量(溶剤を除く全量)に対して、好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜1質量%である。
一方、界面活性剤の添加量を10ppm以下、或いは含有しないことも好ましい。これにより疎水性樹脂の表面偏在性があがり、それにより、レジスト膜表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性を向上させることが出来る。
〔8〕カルボン酸オニウム塩
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもよい。カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好ましい。アニオン部としては、炭素数1〜30の直鎖、分岐、単環又は多環環状アルキルカルボン酸アニオンが好ましい。更に好ましくはこれらのアルキル基の一部又は全てがフッ素置換されたカルボン酸のアニオンが好ましい。アルキル鎖中に酸素原子を含んでいても良い。これにより220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度、解像力が向上し、疎密依存性、露光マージンが改良される。
フッ素置換されたカルボン酸のアニオンとしては、フロロ酢酸、ジフロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ペンタフロロプロピオン酸、ヘプタフロロ酪酸、ノナフロロペンタン酸、パーフロロドデカン酸、パーフロロトリデカン酸、パーフロロシクロヘキサンカルボン酸、2,2−ビストリフロロメチルプロピオン酸のアニオン等が挙げられる。
カルボン酸オニウム塩の組成物中の含有率は、組成物の全固形分に対し、一般的には0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
〔9〕酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)を含有していてもよい。溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE,2724,355(1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、樹脂(A)のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
なお、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか、或いは電子線で照射する場合には、溶解阻止化合物としてはフェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解性基で置換した構造を含有するものが好ましい。フェノール化合物としてはフェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、更に好ましくは2〜6個含有するものである。
溶解阻止化合物の添加量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
〔10〕その他の添加剤
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて更に染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号公報、特開平2−28531号公報、米国特許第4,916,210号明細書、欧州特許第219294号明細書等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
<パターン形成方法>
本発明のパターン形成方法は、レジスト膜を、露光、現像する工程を含んでいる。
レジスト膜は、上記した本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成されるものであり、より具体的には、基板上に形成されることが好ましい。本発明のパターン形成方法に於いて、レジスト組成物による膜を基板上に形成する工程、膜を露光する工程、及び現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、解像力向上の観点から、膜厚30〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚30〜200nmで使用されることが好ましい。感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%、より好ましくは1〜8.0質量%、更に好ましくは1.0〜6.0質量%である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。なお、フィルターは、複数種類を直列又は並列に接続して用いてもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理などを行ってもよい。
例えば、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、レジスト膜を形成することができる。
当該レジスト膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像、リンスする。これにより良好なパターンを得ることができる。
製膜後、露光工程の前に、前加熱工程(PB;Prebake)を含むことも好ましい。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜120℃で行うことが好ましく、80〜110℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行っても良い。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、電子ビーム等であり、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(13nm)、電子ビームが好ましい。
レジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
現像工程におけるアルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルコールアミン、環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
更に、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
また、現像工程又はリンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成した膜に対しては、液浸露光を行ってもよい。即ち、膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体を満たした状態で、活性光線又は放射線の照射を行ってもよい。これにより、解像性を更に高めることが可能となる。
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ感活性光線性又は感放射線性膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましい。特に、露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ及び取り扱いのし易さといった点から、水を用いるのが好ましい。
また、更なる短波長化を図るべく、屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液であってもよく、有機溶剤であってもよい。
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、かつレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加してもよい。
その添加剤としては、水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、感活性光線性又は感放射線性膜上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
液浸液として用いる水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理がされていることが望ましい。
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を向上させるための添加剤を水に加えてもよく、水の代わりに重水(DO)を用いてもよい。
レジスト膜と液浸液との間には、レジスト膜と液浸液との接触を避けるために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト膜上への塗布適性、放射線、特には193nmの波長を有した放射線に対する透明性、及び液浸液難溶性が挙げられる。トップコートとしては、レジスト膜と混合せず、レジスト膜上に均一に塗布できるものを用いることが好ましい。
トップコートは、193nmにおける透明性という観点からは、芳香族を含有しないポリマーが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー及びフッ素含有ポリマーが挙げられる。上述した疎水性樹脂は、トップコートとしても好適なものである。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染されるため、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は、少ない方が好ましい。
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、レジスト膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程がレジストの現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性であることが好ましいが、レジストとの非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
トップコートと液浸液との間には、屈折率の差がないか又は小さいことが好ましい。この場合、解像力を向上させることが可能となる。露光光源がArFエキシマレーザー(波長:193nm)の場合には、液浸液として水を用いることが好ましいため、ArF液浸露光用トップコートは、水の屈折率(1.44)に近いことが好ましい。
また、透明性及び屈折率の観点から、トップコートは、薄膜であることが好ましい。トップコートは、レジスト膜と混合せず、更に液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。また、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
現像工程におけるアルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩の水溶液が用いられるが、無機アルカリ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルコールアミン及び環状アミン等の他のアルカリ水溶液も使用可能である。アルカリ現像液には、適当量のアルコール類及び/又は界面活性剤を添加してもよい。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常は0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常は10.0〜15.0である。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に、本実施例に用いた樹脂(A)中の繰り返し単位を示す。
以下に、比較例に用いた樹脂中の繰り返し単位を示す。
合成例1 樹脂(A)の合成
・樹脂(A−1)の合成
窒素気流下、シクロヘキサノン40gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した(溶剤1)。各繰り返し単位に対応するモノマーをそれぞれモル比40/10/50の割合でシクロヘキサノンに溶解し、22質量%のモノマー溶液(400g)を調製した。更に、重合開始剤V−601(和光純薬工業製)をモノマーに対し7.2mol%を加え、溶解させた溶液を、上記溶剤1に対して6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後ヘプタン3600ml/酢酸エチル400mlに注ぎ、析出した粉体をろ取、乾燥すると、樹脂(A−1)が74g得られた。NMRから求めたポリマー組成比は40/10/50であった(モル比)。また、得られた樹脂(A−1)の重量平均分子量は、10200、分散度(Mw/Mn)は、1.53であった。
合成例1と同様の操作を行い、樹脂(A−2)〜(A−17)及び(AA−1)〜(AA−6)を合成した。
下記表2及び3に、樹脂(A−1)〜(A−17)及び(AA−1)〜(AA−6)について、繰り返し単位、組成比(モル比)、重量平均分子量、分散度を示す。組成比は、各繰り返し単位の左から順に対応する。
合成例2 疎水性樹脂r1の合成
下記繰り返し単位に対応するモノマーを各々50/50の割合(モル比)で仕込み、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、固形分濃度15質量%の溶液450gを調製した。この溶液に和光純薬工業製重合開始剤V−60を1mol%加え、これを窒素雰囲気下、6時間かけて、100℃に加熱したPGMEA50gに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール5Lに晶析、析出した白色粉体を濾取し、目的物である疎水性樹脂r1を回収した。
NMRから求めたポリマー組成比は50/50であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は4000、分散度1.4であった。
各繰り返し単位に対応するモノマーを、所望の組成比(モル比)となるように使用した以外は、上記合成例2と同様にして、疎水性樹脂r2〜r8を合成した。
以下、疎水性樹脂r1〜r8の構造を示す。また、疎水性樹脂r1〜r8の組成比(モル比)、重量平均分子量、分散度を表4に示す。
合成例3 化合物(b39)の合成
特開2004−139014号公報の[0316]に準じて、一般式(ZI−3)で表される化合物として上述した化合物(b39)を合成した。
同様にして、一般式(ZI−3)で表される化合物として上述した化合物(b11)、(b13)、(b21)、(b31)、(b36)〜(b38)、(b41)、(b43)、(b45)〜(b50)、下記式で表される酸発生剤(J1)、(J3)、(J7)及び(J8)を合成した。
表5及び6における略号は、次の通りである。
化合物(b11)、(b13)、(b21)、(b31)、(b36)〜(b39)、(b41)、(b43)、(b45)〜(b50)、(J1)、(J3)、(J7)及び(J8)は、先に示した通りである。
N−1:2,6−ジイソプロピルアニリン
N−2:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
N−3:トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
N−4:N−フェニルジエタノールアミン
N−5:トリオクチルアミン
N−6:2−フェニルベンゾイミダゾール
N−7:N,N−ジヘキシルアニリン
N−8:トリエタノールアミン
N−9:N,N−ジブチルアニリン
C−13及びC−58は、先に示した通りである。
AD−1〜AD−3:各々下記化合物を示す。
W−1:PolyFoxTM PF−6320(OMNOVA solution inc.製)(フッ素系)
W−2:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
SL−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
SL−2:シクロヘキサノン
SL−3:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
SL−4:γ−ブチロラクトン
SL−5:プロピレンカーボネート
〔感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の調製〕
下記表5及び6に示す成分を溶剤に溶解させ、それぞれについてのレジスト溶液を調製し、これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を調製した。調製した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を下記の方法で評価し、結果を表に示した。
〔画像性能試験〕
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上に調製した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を塗布し、100℃で、60秒間ベークを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。得られたウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用い、線幅48nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を使用した。その後105℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥してレジストパターンを得た。
表5に示す実施例1〜29及び比較例1〜8の組成物については、上記のように、液浸露光によるパターニングを行い、評価し、結果を表5に示した。
なお、表5中の「添加形態」の列には、疎水性樹脂の添加形態を「添加」又は「TC」として記載している。「添加」と記載した例では、疎水性樹脂は、レジスト溶液中に含まれている。「TC」と記載した例では、疎水性樹脂を含んでいないレジスト溶液を用いてレジスト膜を形成した後、その上層に、疎水性樹脂を含んだトップコート(TC)保護膜を設けている。
疎水性樹脂の添加形態が「TC」である場合、レジスト膜を形成した後、下記の操作を行った。なお、「TCの場合の溶媒」の列に挙げた溶媒は、以下の通りである。
SL−6:2−エチルブタノール
SL−7:パーフルオロブチルテトラヒドロフラン
<トップコートの形成方法>
疎水性樹脂を溶剤に溶解させ、得られた溶液を、スピンコータを用いて、上記レジスト膜上に塗布した。その後、これを115℃で60秒間に亘って加熱乾燥して、膜厚が0.05μmのトップコート層を形成させた。形成後、トップコート層の塗布ムラを観察し、トップコート層が均一に塗布されていることを確認した。
また、表6に示す実施例30〜33及び比較例9及び10の組成物については、液浸液を用いず、Dry露光(ArFエキシマレーザースキャナー、NA0.75)により線幅75nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成する以外は、上記液浸露光によるパターニングにおけるのと同様に、評価を行い、結果を表6に示した。
〔線幅の面内均一性(CDU)評価法〕
ラインアンドスペース1:1パターンの線幅が液浸露光においては48nmとなる露光量において、ドライ露光においては75nmとなる露光量において、各ラインパターン中の100個の線幅(CD)を測定し、その測定結果から算出した平均値の標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めてCDの面内均一性(CDU)を評価した。液浸露光の場合の結果を表5に、ドライ露光の場合の結果を表6に示す。以上から求められる3σは、その値が小さいほど、当該レジスト膜に形成された各ラインCDの面内均一性(CDU)が高いことを意味する。
表5から明らかなように、一般式(A−I)で表される繰り返し単位を有しない樹脂を使用した比較例1、2、一般式(1)で表される繰り返し単位を有しない樹脂を使用した比較例3〜6、一般式(ZI−3)で表される化合物以外の酸発生剤を使用した比較例7、8はいずれもCDUが大きく、劣っていることがわかる。
これに対し、一般式(A−I)で表される繰り返し単位及び一般式(1)で表される繰り返し単位をいずれも有する樹脂と、一般式(ZI−3)で表される化合物とを使用した実施例1〜29は、液浸露光においてCDUが小さく、優れていることがわかる。
表6から明らかなように、一般式(1)で表される繰り返し単位を有しない樹脂を使用した比較例9、一般式(ZI−3)で表される化合物以外の酸発生剤を使用した比較例10はいずれもCDUが大きく、劣っていることがわかる。
これに対し、一般式(A−I)で表される繰り返し単位及び一般式(1)で表される繰り返し単位をいずれも有する樹脂と、一般式(ZI−3)で表される化合物とを使用した実施例30〜33は、ドライ露光においてもCDUが小さく、優れていることがわかる。

Claims (9)

  1. (A)下記一般式(A−I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び
    (B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する下記一般式(ZI−3)で表される化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    上記一般式(A−I)において、
    01は、水素原子又はアルキル基を表す。
    上記一般式(1)において、
    は、水素原子又はアルキル基を表す。
    は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    Rは炭素原子とともに単環の脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
    上記一般式(ZI−3)において、
    1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
    6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
    及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
    1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
    -は、スルホン酸アニオンを表す。
  2. 疎水性樹脂(C)を更に含有する、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  3. 窒素原子を有し、かつ酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(D)を更に含有する、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(ZI−3)で表される化合物以外の活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  5. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位が下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    上記一般式(1−1)中、
    は、水素原子又はアルキル基を表す。
    は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
  6. 前記樹脂(A)が、水酸基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を更に有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
  8. 請求項7に記載のレジスト膜を露光する工程、及び
    前記露光したレジスト膜を現像する工程
    を含むパターン形成方法。
  9. 前記露光が液浸露光である、請求項8に記載のパターン形成方法。
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