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JP2012134290A - 露光装置、露光装置のステージ製造方法及びデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置、露光装置のステージ製造方法及びデバイス製造方法 Download PDF

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JP2012134290A JP2010284483A JP2010284483A JP2012134290A JP 2012134290 A JP2012134290 A JP 2012134290A JP 2010284483 A JP2010284483 A JP 2010284483A JP 2010284483 A JP2010284483 A JP 2010284483A JP 2012134290 A JP2012134290 A JP 2012134290A
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Shunji Watanabe
俊二 渡辺
Tadashi Ichikawa
正 市川
Yukinobu Kakutani
幸信 角谷
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Abstract

【課題】 液浸露光装置のステージ上に搭載された複数の部材間に存在する隙間への液体の侵入を防止できる液浸露光装置を提供する。
【解決手段】 液体を介して基板を露光する露光装置であって、複数の部材からその表面が組み立てられたステージと、前記ステージの表面に存在する、前記部材間の少なくとも一つの隙間を封止する封止材を備える。前記封止材としては、細長状のフッ素樹脂製チューブ、テープ及び外側の面にフッ素樹脂層が設けられた金属箔からなる管を用いることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、露光装置、露光装置のステージ製造方法及びデバイス製造方法に関する。
半導体デバイス、液晶表示デバイス等のマイクロデバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィ工程では、マスクに露光光を照射することでマスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に投影露光する。近年のマイクロデバイスの高密度化に応えるべく、フォトリソグラフ工程では、基板上に形成されるパターンを一層微細化することが要求されている。そのようなパターンの微細化を実現するための手段の一つとして、下記特許文献1に開示されているような、投影光学系と基板との間の露光光の光路空間を液体(以下、適宜、必要に応じて液浸用液体と記載する)、例えば純水で満たし、液体を介して基板を露光する液浸法が提案されている。そして、このような液浸法に用いる露光装置(以下、適宜、必要に応じて液浸露光装置と記載する)では、液体は投影光学系下の局所的な領域にのみ存在するので、ウエハステージの全てのショットエリアや計測ステージの計測領域上を液体が接触しながら移動する。
国際公開第99/49504号パンフレット
液浸露光装置のステージには、複数の部材(部品)が搭載されており、それら部材間には隙間が存在する。その隙間を通じて、ステージ内部に液浸用液体が浸入することは、電気的及び機械的動作に悪影響を及ぼすことになる。また、ステージ内部にまで液体が浸入せずとも隙間内に液体が残存すると、液体の蒸発時の気化熱によるステージの温度低下がステージの寸法変化をもたらし、露光精度を低下させる。
本発明の態様は、このような事情に鑑み、液浸露光装置のステージ上に搭載された複数の部材間に存在する隙間への液体の侵入を防止できる液浸露光装置を提供することを目的とする。
第1の態様によれば、液体を介して基板を露光する露光装置であって、複数の部材からその表面が組み立てられたステージと、前記ステージの表面に存在する、前記部材間の少なくとも一つの隙間を封止する封止材を備える露光装置が提供される。
第2の態様によれば、液体を介して基板を露光する露光装置に搭載されるステージの製造方法であって、複数の部材からステージを組み立てることと、細長状のフッ素樹脂製チューブを用意することと、前記組み立てられたステージの前記液体と接する表面に存在する前記部材間の隙間に、該隙間にそって前記細長状のフッ素樹脂製チューブを挿入することと、及び前記フッ素樹脂製チューブを前記隙間の中に固定させて、前記隙間を封止することを含むステージの製造方法が提供される。
第3の態様によれば、第1の態様の露光装置を用いるデバイス製造方法が提供される。
本発明の態様によれば、液浸露光装置のステージを構成する複数の部材間に生じた隙間を封止材により封止することで、ステージ内部に液浸用液体が浸入すること、及び隙間内に液浸用液体が残存することを防止して液浸露光装置を電気的及び機械的に保護し、露光精度の低下を防ぐことができる。
第1の実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。 図1中のウエハステージの平面図である。 ウエハステージに搭載される複数の部材(部品)間に生じる隙間を示す図である。 第1の実施形態の封止材(断面楕円形)が部材間の隙間を封止する様子を示す図である。 第1の実施形態のウエハステージ製造方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態の封止材(断面涙型)が部材間の隙間を封止する様子を示す図である。 第1の実施形態の封止材(断面アーモンド型)が部材間の隙間を封止する様子を示す図である。 第2の実施形態の封止材が部材間の隙間を封止する様子を示す図である。 第3の実施形態の封止材が部材間の隙間を封止する様子を示す図である。 第3の実施形態の封止材の概略図である。 基準部材、照度ムラセンサ及び空間像計測センサを有するウエハステージの平面図である。 半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の態様の露光装置及び露光装置のステージ製造方法の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
<露光装置>
図1に示す露光装置EXは、スキャニングステッパーよりなる走査露光型の露光装置である。露光装置EXは投影光学系PL(投影ユニットPU)を備えており、以下において、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに直交する面(ほぼ水平面に平行な面)内でレチクルとウエハとが相対走査される方向にY軸を、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸を取り、X軸、Y軸、及びZ軸の回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置EXは、照明系10、照明系10からの露光用の照明光(露光光)ILにより照明されるレチクルR(マスク)を保持するレチクルステージRST、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持するウエハステージWST(基板ステージ)を含むステージ装置95、及び制御系等を備えている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、照明光学系とを含み、照明光学系は、回折光学素子等を含み通常照明、複数極照明、又は輪帯照明等のための光量分布を形成する光量分布形成光学系、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ又はロッドインテグレータ等)を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する。照明系10は、レチクルブラインドで規定されたレチクルRのパターン面のスリット状の照明領域IARを照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。なお、照明光としては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、YAGレーザ若しくは固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波、又は水銀ランプの輝線(i線等)なども使用できる。
レチクルRはレチクルステージRSTの上面に真空吸着等により保持され、レチクルRのパターン面(下面)には、回路パターンなどが形成されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11によって、XY平面内で微少駆動可能であると共に、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)は、レーザ干渉計よりなるレチクル干渉計116によって、移動鏡15(又は鏡面加工されたステージ端面)を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20に送られる。主制御装置20は、その計測値に基づいてレチクルステージRSTの少なくともX方向、Y方向、及びθz方向の位置を算出し、この算出結果に基づいてレチクルステージ駆動系11を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
図1において、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍などの縮小倍率)を有する。照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、レチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介して照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの像が、ウエハWの一つのショット領域上の露光領域IA(照明領域IARと共役な領域)に形成される。ウエハWは、例えばシリコン又はSOI(silicon on insulator)等からなる直径が200mmから450mm程度の円板状の基材の表面に、フォトレジスト(感光剤)を所定の厚さ(例えば200nm程度)で塗布した基板を含む。
また、露光装置EXは、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ191を保持する鏡筒40の下端部の周囲を取り囲むように、局所液浸装置8の一部を構成するノズルユニット32が設けられている。ノズルユニット32は、露光用液体Lq(例えば純水)を供給可能な供給口と、液浸用液体Lqを回収可能な多孔部材(メッシュ)が配置された回収口とを有する。ノズルユニット32の供給口は、供給流路及び供給管31Aを介して、液体Lqを送出可能な液体供給装置186に接続されている。
液浸法によるウエハWの露光時に、液体供給装置186から送出された液浸用液体Lqは、図1の供給管31A及びノズルユニット32の供給流路を流れた後、その供給口より照明光ILの光路空間を含むウエハW上の液浸領域14に供給される。また、液浸領域14からノズルユニット32の回収口を介して回収された液浸液体Lqは、回収流路及び回収管31Bを介して液体回収装置189に回収される。
図1において、ウエハステージWSTは、不図示の複数の例えば真空予圧型空気静圧軸受を構成するエアパッドを介して、ベース盤12のXY面に平行な上面12a上に数μm程度のクリアランスを介して非接触で支持されている。また、ウエハステージWSTは、例えば平面モータ、又は直交する2組のリニアモータを含むステージ駆動系124によってX方向及びY方向に駆動可能である。更に、露光装置EXは、ウエハステージWSTの位置情報を計測するために、エンコーダシステムを含む位置計測システムを備えている。
ウエハステージWSTは、X方向、Y方向に駆動されるステージ本体91と、ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体91内に設けられて、ステージ本体91に対するウエハテーブルWTB(ウエハW)のZ方向の位置、及びθx方向、θy方向のチルト角を相対的に微小駆動するZ・レベリング機構(不図示)とを備えている。ウエハテーブルWTBの中央の上部には、ウエハWを真空吸着等によってほぼXY平面に平行な吸着面上に保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。
また、図2に示すように、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハWの表面とほぼ同一面となる、液浸液体Lqに対して撥液化処理された表面(又は保護部材)を有し、且つ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成された高平面度の平板状のプレート体28が設けられている。
プレート体28は、図2のウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の平面図に示されるように、その円形の開口を囲む、外形(輪郭)が矩形の表面に撥液化処理が施されたプレート部(撥液板)28aと、プレート部28aをY方向に挟むように配置されたX方向に細長い1対の第1及び第2のスケール体(グレーティング板)28b、28cと、プレート部28aをX方向に挟むように配置されたY方向に細長い1対の第3及び第4のスケール体(グレーティング板)28d、28eを有する。スケール体28b、28cは同じ構成であり、スケール体28d、28eはほぼスケール体28b、28cを90°回転した構成である。
また、第1、第2のスケール体28b、28cの表面にX軸の回折格子39X1、39X2が形成され、第3、第4のスケール体28d、28eの表面にY軸の回折格子39Y1、39Y2が形成されている。回折格子39X1、39X2及び39Y1、39Y2は、それぞれY方向及びX方向を長手方向とする格子線37及び38を所定の周期(ピッチ)でX方向及びY方向に沿って形成した反射型の回折格子(例えば位相型の回折格子)である。回折格子39X1〜39Y2は、スケール体28b〜28eの表面に、100nm〜4μmの周期(例えば2μm周期)で例えばホログラム(例えば感光性樹脂に干渉縞を焼き付けて作成される)により反射型の回折格子を形成することで作製できる。なお、各スケール体に形成される回折格子は、機械的に溝等を形成して作製してもよい。なお、図2では、図示の便宜上から、回折格子の周期は、実際の周期に比べて格段に広く図示されている。スケール体28b〜28dの構成は同様であるため、代表的にスケール体28dの概略構成を説明する。
スケール体28dは、表面にY方向(計測方向)に所定の周期PYを持つ回折格子39Y1が形成された平板状部材である。なお、回折格子39Y1の表面を保護するために、その表面を覆うように、薄い接着層を介して平板状のカバーガラス(不図示)を配置してもよい。スケール体28dは、低熱膨張率の材料、例えばガラス、ガラスセラミックス(例えばショット社のゼロデュア(商品名))、又はセラミックス(例えばAl23あるいはTiCなど)等から形成されている。スケール体28dは、ウエハテーブルWTBの表面に例えば吸着保持されている。
本実施形態の露光装置EXは、ステージの変位情報を得るために、該回折格子を用いたエンコーダシステムを含む位置計測システムを備える。投影光学系PLの下端のノズルユニット32の周囲には、エンコーダシステムの一部である、レーザ光源を備える検出ヘッド(不図示)が設けられている。検出ヘッドは、それぞれY方向及びX方向に所定周期で形成された回折格子39X1、39X2及び39Y1、39Y2にレーザビームを照射して、回折格子から発生する回折光よりなる干渉光を光電変換して、その回折格子のY方向及びX方向の位置、即ちステージの位置を例えば0.5〜0.1nmの分解能で、例えば数nm程度の精度で計測する。
更に、本実施形態では、図2に示すプレート部28aの一部に基準マークが形成された基準マーク板(不図示)が固定されている。この底面に、その基準マークと対応するレチクルRのアライメントマークの像との位置関係を計測するレチクルアライメント系(不図示)が設置され、この検出結果が主制御装置20に供給されている。さらに、本実施形態では、図1に示すベース盤12の上面12aに、ウエハステージWSTと独立にX方向、Y方向に移動可能に計測ステージ(不図示)が載置されている。計測ステージには、例えば投影光学系PLの結像特性を計測する空間像計測装置(不図示)が配置されている。
図2に示すように、ウエハステージWST(WTB)は、複数の部材(28a〜28e)からその表面が組み立てられている。そして、上述のように、グレーティング板28b〜28eは、ステージの位置を検出する位置計測システムの一部であるので、応力により歪みが生じることのないよう、撥水板28aとの接触を避けて設置される。したがって、図3に示すように、撥水板28aとグレーティング板28b〜28eの間には隙間27が生じる。更に、撥水板28aとグレーティング板28b〜28eとの間隔は一定ではなく、隙間27の幅Dは約0.1〜0.5mmの間で変動する。
撥水板28aとグレーティング板28b〜28eの間に隙間を生じさせないために、撥水板28aとグレーティング板28b〜28eを一体に成形することも考えられるが、以下のような課題があり実現されていない。まず、グレーティング板28b〜28eがガラス又はセラミックスに撥水層を設けた精密部品であるのに対し、撥水板28aは、金属表面に撥水層を設けた比較的高い精度を要求されない部品である。このように、材質及び要求される精度の異なる撥水板28aとグレーティング板28b〜28eを一体物として形成することは難しい。また、撥水板28aは、グレーティング板28b〜28eと比較して交換頻度が高い部品なので、露光装置のメンテナンスコストの点からも、撥水板28aとグレーティング板28b〜28eは、別部品とすることが望ましい。
図4に示すように、本実施形態では、撥水板28aとグレーティング板28b〜28eの間に生じる隙間27を封止する封止材として、細長状のフッ素樹脂製チューブ50を用いる。細長状のフッ素樹脂製チューブ50を、その長手方向がステージの表面とほぼ平行となる向きで隙間27の中に設置することで、フッ素樹脂製チューブ50は、隙間27に沿ってその隙間27を封止する。本実施形態において、「ステージの表面」とは、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)の液浸用液体が接触する面であり、撥水板28aおよびグレーティング板28b〜28e等の複数の部材から組み立てられている、XY平面とほぼ平行な面である。このように、フッ素樹脂製チューブ50を隙間27内に設置することにより、以下のような効果を奏する。
フッ素樹脂製チューブ50は、可撓性で且つ中空であるため弾力性があり、隙間27を形成する壁面に柔軟にフィットし、幅Dの一定でない隙間27を効果的に封止することができる。これにより、ステージ内部に液浸用液体の浸入を防止できる。また、隙間27を封止するフッ素樹脂製チューブ50の側壁の一部は、ウエハテーブルWTBの表面に露出して液浸用液体に接することになるが、フッ素樹脂は撥水性であるため、フッ素樹脂製チューブ50上及び、フッ素樹脂製チューブ50と隙間27を形成する壁面とが形成する窪み51に液浸用液体が残存することがない。
更に、フッ素樹脂製チューブ50からは、液浸用液体への不純物の溶出が極めて少ない。したがって、液浸用液体へ溶出した不純物がウエハWに付着して生じる露光不良を防止できる。また、フッ素樹脂製チューブ50は、露光光に用いられる深紫外線であるArFエキシマレーザ光に対する耐久性が高く、長期間に渡り、撥水性を保ったまま封止材として機能する。
図4に示すように、フッ素樹脂製チューブ50は、やや潰れた状態で、即ち、長手方向に対して垂直な断面の形状を楕円形に変形させた状態で隙間27の中に設置される。やや潰れた状態のフッ素樹脂製チューブ50は、弾性力によりその断面形状を円形に復活させようとする。そのため、フッ素樹脂製チューブ50の側面は、隙間27の幅Dが変化しても、隙間27を形成する壁面に常にフィットして隙間を封止できる。
フッ素樹脂製チューブ50は、チューブの両脇に配置され接触している撥水板28aとグレーティング板28b〜28eの表面と面一となるように設置されることが好ましい。これは、隙間27において、撥水板28aとグレーティング板28b〜28eの表面と面一である仮想平面26を考えた場合に、この仮想平面26に、フッ素樹脂製チューブ50の側面のうち、ウエハステージWSTの外部に向かって最もに突出した部分52が接触することを意味する。このように配置することで、フッ素樹脂製チューブ50の周辺に液浸用液体が残存する可能性をより小さくすることができる。
フッ素樹脂製チューブ50は、その弾性力及び隙間27を形成する壁面との摩擦力によって、隙間27内の特定位置に留まることができるが、フッ素樹脂製チューブ50をより確実に隙間27内に設置するために、ウエハステージWSTの内部の隙間27に対応する位置に、フッ素樹脂製チューブ50(封止材)を下側から接触して支持する支持部材29を設けてもよい。ステージ内部において、支持部材29は、フッ素樹脂製チューブ50を支持するので、フッ素樹脂製チューブ50が何らかの原因で隙間27から外れステージ内に落下することを防止し、隙間27の封止をより確実なものにする。図4において、支持部材29は、撥水板28aを支持する部材に一体に形成されているが、これに限定されず、グレーティング板28b〜28eを支持する部材に一体に形成されていてもよい。
フッ素樹脂製チューブ50の材質であるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)及びポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が挙げられる。特に、レーザ耐久性及び撥水性の点から、PTFE製チューブ及びPFA製のチューブが好ましい。
フッ素樹脂製チューブ50の直径(長手方向に対して垂直な方向の断面における直径)は、隙間27を封止する観点から隙間27の幅Dの最大値より大きく、且つ、取り扱い性及び作業性の観点から0.5mm〜5mmが好ましい。また、フッ素樹脂製チューブ50を隙間27に挿入できるように、図4に示すフッ素樹脂製チューブの肉厚d50は、隙間27の幅Dの最小値の半分より小さく、且つ、剛性の観点から10μm〜50μmが好ましい。更に、フッ素樹脂製チューブ50の長手方向の長さは、それが設置される隙間27の長さに合わせて適宜選択可能であるが、取り扱い性、作業性及び直線性保持の観点から、5〜20cmが好ましい。
<ステージの製造方法>
フッ素樹脂製チューブの設置方法を含む、露光装置のステージの製造方法について、図5に従って説明する。まず、複数の部材(部品)からステージを組み立てる(ステップS1)。本実施形態においては、撥水板28aとグレーティング板28b〜28e等からウエハステージWSTを組み立る。
撥水板28aとグレーティング板28b〜28eの間には、隙間27が存在しており、この隙間27の幅Dに合わせて、適当な直径及び肉厚のフッ素樹脂製チューブ50を用意する(ステップS2)。例えば、様々のサイズの医療用PTFE製チューブが米国Zeus社から販売されており、これから適時選択して用いることもできる。
用意したフッ素樹脂製チューブ50の長手方向に対して垂直な断面が、1つの先端部を有する涙型(ティアドロップ型、ペアシェイプ)となるようにフッ素樹脂製チューブ50を変形させる。例えば、バイス(万力)の口金の長手方向とフッ素樹脂製チューブの長手方向が平行となるように互いを配置し、フッ素樹脂製チューブの一部を口金で挟んで口金を加圧する。チューブは、口金で挟んだ部分が潰れて先端部を形成し、その断面が涙型に変形する。
次に、変形させたフッ素樹脂製チューブ50を隙間27に沿って、即ち、その長手方向がウエハステージWSTの表面とほぼ平行となるように隙間27に挿入する(ステップS3)。このとき、図6に示すように、変形させたフッ素樹脂製チューブ50の先端部が前記ステージの内部を向く方向にフッ素樹脂製チューブを隙間に挿入する。フッ素樹脂製チューブは潰されて変形し、長手方向に対して垂直な断面における先端部の幅が小さくなっているので、隙間27に挿入しやすい。フッ素樹脂製チューブを隙間に挿入しやすいように変形させる作業は、チューブを隙間に挿入する直前に行ってもよいし、また、予め変形させたチューブを用意してもよい。
次に、チューブを隙間27の中に固定させて、前記隙間を封止する(ステップS4)。変形を加えたフッ素樹脂製チューブ50は、その弾性により断面を円形に復元しようとする力が働くので、一定時間放置することにより、フッ素樹脂製チューブ50の側壁から、側壁が接触している隙間27を形成する壁面に向かって力が加わる。その結果、フッ素樹脂製チューブ50は隙間27を確実に封止し、フッ素樹脂製チューブ50と隙間27を形成する壁面との間に生じる摩擦力により、フッ素樹脂製チューブ50は隙間27内に固定される。フッ素樹脂製チューブ50を隙間27に、より短時間で固定させるために、フッ素樹脂製チューブ50を加熱してもよい。例えば、ドライヤー等により熱風を照射することにより、変形させたチューブはより短時間で元の形に復元しようとし、その結果、より短時間で隙間27内に固定される。また、フッ素樹脂製チューブ50の中空部分に空気、窒素等の不活性ガスを送り、内部から圧力をかけることによって変形されたチューブの復元を促進してもよい。不活性ガスの温度が高いとより効果的である。尚、復元される力によって隙間27の中に固定されたチューブ50は、図4に示すように、潰した先端部が無くなり断面が楕円形となるか、又は、図6に示すように、潰した先端部が無くなるまでは復元せずに、先端部を残したまま涙型を維持する。また、上述のように、フッ素樹脂製チューブ50による隙間27の封止をより確実なものとするために、ウエハステージWSTの内部の隙間27に対応する位置に、フッ素樹脂製チューブ50(封止材)を支持する支持部材29を設け、支持部材29によりフッ素樹脂製チューブ50を支持してもよい。
以上説明したように、ステップS1〜ステップS4の工程を経て、本実施形態のウエハステージWSTは製造される。尚、本実施形態では、フッ素樹脂製チューブ50を隙間27に挿入しやすいように、その断面を涙型に変形させたが、図7に示すように断面を2つの先端部を有するアーモンド型(ラグビーボール型)に変形させてもよい。例えば、バイス(万力)の口金の長手方向とフッ素樹脂製チューブ50の長手方向が平行となるように互いを配置し、フッ素樹脂製チューブ50の一部を口金で挟んで口金を加圧して先端部を形成することを2回繰り返して、2つの先端部を有するアーモンド形に変形することができる。又は、バイス(万力)の口金でチューブ全体を挟み、空洞部を潰して端面が直線となるよう変形してもよい。チューブの復元が可能な範囲の変形であれば、チューブの復元の後、隙間を封止することが可能である。
尚、本実施形態では、ウエハステージWSTの製造方法の一部として、隙間27を封止材であるフッ素樹脂製チューブ50で封止する方法を説明したが、露光装置EXのメンテナンス方法の一部として、隙間27を封止するフッ素樹脂製チューブ50を交換することもできる。例えば、露光装置EXの使用により、フッ素樹脂製チューブ50が劣化した場合、露光装置EXのメンテナンス方法の一部として、劣化したフッ素樹脂製チューブ50を取り出し、次に、上述の方法で隙間27を新しいフッ素樹脂製チューブ50で封止する。また、撥水板28aは交換可能な部品であり、露光装置EXのメンテナンス時に交換されるが、このとき、同時にフッ素樹脂製チューブ50も交換することも考えられる。この場合、撥水板28aを新しい部品に交換した後、同様に上述の方法で、隙間27を新しいフッ素樹脂製チューブ50で封止する。
<露光方法>
次に、上述した露光装置EXを使ってウエハWを液浸露光する方法について説明する。主制御装置20は、局所液浸装置8を制御してノズルユニット32を介し投影光学系PLとウエハWとの間の露光光ILの光路空間を液体Lqで満たしてウエハW上に液体Lqの液浸領域14を形成する。主制御装置20は、照明系10、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを制御して、レチクルRを通過した露光光ILを投影光学系PLとウエハWとの間の液浸用液体Lq及び投影光学系PLを介してウエハWに照射することによって、レチクルRのパターンの像をステップ・アンド・スキャン方式でウエハWに投影する。
液浸露光中、又はその前後において、例えば、ウエハWの端部を露光する場合などに、液浸領域14は撥水板28a上とグレーティング板28b〜28e上に跨って存在する。この時、液浸領域14を構成する液浸液体Lqは、撥水板28a、グレーティング板28b〜28e及びこれらの間に形成される隙間27に配置されるフッ素樹脂製チューブ50と接触するが、隙間27はフッ素樹脂製チューブ50により封止されているので、液浸用液体Lqはステージ内部へ浸入しない。また、フッ素樹脂製チューブ50は撥水性なので、フッ素樹脂製チューブ50上及び、フッ素樹脂製チューブ50と隙間27を区画する壁面とが形成する窪み51に液浸用液体が残存することはない。更に、フッ素樹脂製チューブ50からは、液浸用液体への不純物の溶出が極めて少なく、不純物による露光不良を防止できる。また、フッ素樹脂製チューブ50は、露光光に用いられる深紫外線であるArFエキシマレーザ等に対する耐久性が高く、長期間に渡り、撥水性を保ったまま封止材として機能することができる。
[第2の実施形態]
本実施形態の露光装置は、図8に示すように、封止材としてテープ150を用いた以外は第1の実施形態と同様の構成である。尚、第1の実施形態と共通の部材には、同一の番号を付し、その説明を省略する。
テープ150は、金属箔151と、金属箔151の一方の面に設けられた粘着層153と、金属箔151の他方の面に設けられたフッ素樹脂層152を有し、粘着層153を介して隙間27を覆うようにステージの表面に貼付され、隙間27を封止する。
フッ素樹脂層152に用いられるフッ素樹脂としては、第1の実施形態で用いたフッ素樹脂製チューブの材質であるフッ素樹脂と同等のものが挙げられる。特に、PFA、PTFE及びFEPは、レーザ耐久性が高く、液浸用液体への不純物への溶出が少ないので好ましい。
金属箔151は、テープ150の基材としての役割を果たし、レーザ耐久性を有し、且つ液浸用液体への不純物への溶出が少ないものが好ましい。このような材料として、例えば、チタン箔、チタン合金箔、タンタル箔又は、タンタル合金箔が好ましい。
粘着層153も液浸用液体への不純物への溶出が少ないことが好ましく、且つ他部材を汚染しないよう、アウトガスが少ないものが好ましい。また、粘着層153は金属箔151によってレーザ光から遮蔽されるため、レーザ耐久性は不要である。このような材料として、例えば、アクリル系粘着層、エポキシ系接着層等が好ましい。
テープ150の幅や長さは、隙間27を十分に覆い封止可能なように、隙間27の大きさに合わせて適宜選択可能であるが、取り扱い性及び作業性の観点から、幅0.3cm〜1.0cm及び長さ5cm〜20cmとすることが好ましい。また、粘着層153をレーザ光から確実に遮蔽し、且つ粘着層153の液浸用液体との接触をできるだけ回避するため、粘着層153の幅は金属箔151より、0.1〜1mm程度狭く、図8に示すように、粘着層153の両端部は金属箔151の両端部より内側に配置されていることが好ましい。テープ150の基材である金属箔151の厚さは、作業性が良い可撓性を得られるよう、10〜50μmが好ましく、更に、テープ150の全体の厚みは、テープ150とステージの表面との段差に液体残りが生じないよう、10〜30μmが好ましい。
テープ150は、隙間27を上側から(ウエハテーブルWTBの外部から)覆うように封止するので、幅Dの一定でない隙間27を効果的に封止することができる。また、テープ150の表面は撥水性のフッ素樹脂層152が設けられているので、その上を液浸用液体が通過しても、液浸用液体が残存することがない。更に、テープ150は、上述のように液浸用液体への不純物の溶出が極めて少ない材料により構成されているので、液浸用液体へ溶出した不純物による露光不良を防止できる。また、テープ150は、露光光に用いられる深紫外線であるArFエキシマレーザ光に対する耐久性が高く、長期間に渡り、撥水性を保ったまま封止材として機能する。
テープ150は、例えば以下のようにして製造できる。まず、金属箔151を用意し、その一方の表面にフッ素樹脂層152を形成する。金属箔としては、例えば、TP270CやTP340C(JIS番号)等のチタン箔、TP270PdCやTP270PdC(JIS番号)等のチタン合金箔を用いることができる。フッ素樹脂層は、例えば、PFA、PTFE及びFEP等の蒸着、CYTOP(旭化学)及びTEFLON―AF(デュポン)などの湿式コートにより形成できる。フッ素樹脂層152の形成後、フッ素樹脂層152のレーザ耐久性を向上させるために、必要により120〜200℃で加熱を行ってもよい。次に、金属箔151のフッ素樹脂層152が形成された面とは異なる面(フッ素樹脂層152が形成された面の裏面)に粘着層153を形成する。例えば、粘着層153として、アクリル系の両面テープを用いることができる。尚、フッ素樹脂層をディップコートにより金属箔表面に形成した場合、金属箔の両表面にフッ素樹脂層が形成されるが、この場合、金属箔のどちらか一方の面にのみ、フッ素樹脂層に積層する形で、粘着層を形成する。
以上の方法で製造されたテープ150は、露光装置EXのウエハステージWSTの製造過程において、又は、露光装置EXのメンテナンス時において、隙間27を覆うように粘着層153を介してウエハステージWSTの表面に貼付され、隙間27を封止する。
隙間27をテープ150で封止された露光装置EXは、第1の実施形態と同様の方法で、液浸露光を行うことができる。液浸露光中、液浸領域14を構成する液浸液体は、撥水板28a、グレーティング板28b〜28e及びこれらの間に形成される隙間27上に配置されるテープ150と接触するが、隙間27はテープ150により封止されているので、ステージ内部への液浸用液体の浸入を防止できる。また、テープ150の表面は撥水性であるため、テープ150の表面に液浸用液体が残存することがない。また、テープ150の厚みは十分に薄いため、ステージ表面とテープ150の段差に液浸用液体が残存することもない。更に、テープ150からは、液浸用液体への不純物の溶出は極めて少なく、不純物による露光不良を防止できる。また、テープ150は、露光光に用いられる深紫外線であるArFエキシマレーザ等に対する耐久性が高く、長期間に渡り、撥水性を保ったまま封止材として機能することができる。
[第3の実施形態]
本実施形態の露光装置は、図9および図10に示すように、封止材として管250を用いた以外は第1の実施形態と同様の構成である。尚、第1の実施形態と共通の部材には、同一の番号を付しその説明を省略する。
本実施形態の封止材は、シート状基材を中空部が形成されるように屈曲した部材であって、部材の外側の面はフッ素樹脂で形成されている。本実施形態では、このような部材として、外側の面にフッ素樹脂層252が設けられた金属箔251からなる管250を用いた。本実施形態の管250の長手方向に対して垂直な断面は、潰れた先端部253と丸みを有する末端部254を有する涙型である。管250は、隙間27に沿って、即ち、その長手方向がステージの表面とほぼ平行となる向きで、且つ、先端部253をステージの内部に向けて隙間27の中に設置され、隙間27を封止する。
管250を構成する金属箔251及びその外側の面に形成されるフッ素樹脂層252は、第2の実施形態の封止材に用いる金属箔及びフッ素樹脂層と同様の材料を用いることができる。管250は、第2の実施形態の封止材と同様に、液浸用液体と接触し、且つレーザ光が照射されるため、液浸用液体への不純物への溶出が少なく、且つレーザ耐久性を有することが好ましい。このような観点から、金属箔としては、チタン箔、チタン合金箔、タンタル箔又はタンタル合金箔が、フッ素樹脂層としては、PFA、PTFE又はFEPが好ましい。
管250の長手方向に対して垂直な断面の幅であって、ステージの表面とほぼ平行な方向の幅の最大値D250は、上述のように管250が隙間27を封止できるように、隙間27の幅Dの最大値より大きく、且つ取り扱い性及び作業性の観点から0.30mm〜0.34mmが好ましい。また、管250の肉厚d250は、剛性の観点から、5μm〜30μmであることが好ましい。更に、管250の長手方向に対して垂直な断面における、先端部253から末端部254までの長さa、管250の長手方向の長さbは、それぞれ、作業性や直線性保持の観点から、長さaは、3mm〜10mm、長さbは、5cm〜20cmの範囲であることが好ましい。
管250は、中空であり、特に丸みを有する末端部254近傍は弾力性があるため、隙間27を形成する壁面に柔軟にフィットし、幅Dの一定でない隙間27を効果的に封止する。また、管250の表面は、撥水性のフッ素樹脂層252が設けられているので、液浸用液体が管250の表面及び管250と隙間27を区画する壁面とが形成する窪み51に残存することがない。更に、管250は、液浸用液体への不純物の溶出が極めて少なく、液浸用液体へ溶出した不純物による露光不良を防止できる。また、露光光に用いられる深紫外線であるArFエキシマレーザ等に対する耐久性が高く、長期間に渡り、撥水性を保ったまま封止材として機能する。
管250の周辺に液浸用液体が残存する可能性をより小さくするために、管250は、管250の両脇に配置され、管250と接触している撥水板28a及びグレーティング板28b〜28eと面一、つまり仮想平面26と面一となるように配置されることが好ましい。仮想平面26と面一となるとは、管250の側面のうち、ウエハステージWSTの外部に向かって最も突出した部分255が仮想名面26と接触するように配置されることである。また、管250は、隙間27を形成する壁面との摩擦力によって、隙間27内の特定の位置に位置しているが、その位置を固定し隙間27内への設置を確実にするため、ウエハステージWSTの内部の隙間27に対応する位置に、管250(封止材)を支持する支持部材29を設けてもよい。
管250は、例えば以下の様にして製造することができる。まず、矩形の金属箔251を用意し、その一方の表面にフッ素樹脂層252を形成する。金属箔251は、第2の実施形態で用いた金属箔151と同様のものを用いることができ、フッ素樹脂層252も第2の実施形態で用いたフッ素樹脂層152と同様の方法で形成することができる。次に、フッ素樹脂層252が形成された面を外側の面とする管(筒)が形成されるように、矩形の金属箔251の対向する両端を折り曲げ、その両端部を接着する。このとき、両端部の接着面を金属箔251における同一面(フッ素樹脂層252が形成されていない面)上に設けることで、管250の断面は、接着部分を潰れた先端部253とする涙型を形成する。金属箔251は、例えば点溶接により接着することができ、図10に示すように、管250は複数の点溶接部255を有する。尚、フッ素樹脂層252をディップコートにより金属箔251の表面に形成した場合、金属箔251の両表面にフッ素樹脂層252が形成されるが、この場合、どちらか一方の面を外側にして管250を形成すればよい。
以上の方法で製造された管250は、露光装置EXのウエハステージWSTの製造過程において、又は、露光装置EXのメンテナンス時において、その長手方向をステージの表面とほぼ平行となる向きで、且つ、先端部253をステージの内部に向けて隙間27の中に設置され、隙間27を封止する。
隙間27を管250で封止された露光装置EXは、第1の実施形態で説明した方法と同様の方法で、液浸露光を行うことができる。液浸露光中、液浸領域14を構成する液浸液体は、撥水板28a、グレーティング板28b〜28e及びこれらの間に形成される隙間27に配置される管250と接触するが、隙間27は管250により封止されているので、ステージ内部への液浸用液体の浸入を防止できる。また、管250の表面は撥水性であるため、管250の表面に液浸用液体が残存することがない。更に管250からは、液浸用液体への不純物の溶出が極めて少なく、不純物による露光不良を防止できる。管250は、露光光に用いられる深紫外線であるArFエキシマレーザ等に対する耐久性が高く、長期間に渡り、撥水性を保ったまま封止材として機能することができる。
尚、本実施形態のシート状基材は金属箔に限られず、例えば、フッ素樹脂製シートを用いることもできる。この場合、部材の外側の面はフッ素樹脂で形成されるので、別途、外側の面にフッ素樹脂層を設ける必要がない。また、本実施形態では、点溶接により金属箔の端部を閉じて管形状にした部材(封止材)を用いたが、本実施形態の部材(封止材)は、必ずしも管形状である必要はない。例えば、フッ素樹脂製シートを中空部が形成されるように屈曲して、曲面部を形成した部材でもよく、フッ素樹脂製シートの端部は、閉じられている必要はない。そして、このような部材も、部材が屈曲することによって形成された曲面部をステージの外部に向けて隙間27の中に設置され、隙間27を封止でき、上述の管250を用いた場合と同様の効果を奏する。
尚、上述の第1〜3の実施形態では、撥水板28aと封止材50、150及び250は別々の部品であったが、撥水板と封止材は一体に接続されたひとつの部品であってもよい。例えば、撥水板28aの矩形の外周の4辺に、フッ素樹脂製チューブ50の側面が接続されている形態である。撥水板28aは交換可能な部品であり、露光装置EXのメンテナンス時に交換されるが、撥水板28aとフッ素樹脂製チューブ50を一体の部品とすると、撥水板の交換とフッ素樹脂製チューブ50の隙間27への設置を一度に行うことができ作業効率がよい。
また、第1〜3の実施形態では、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)上の部品である、撥水板28aとグレーティング板28b〜28eの間に生じる隙間27を封止する態様について説明したが、封止材が封止する隙間はこれに限られない。例えば、露光装置EXは、上述のようにベース盤12の上面12aに、ウエハステージWSTと独立にX方向、Y方向に移動可能な計測ステージ(不図示)が載置されている。計測ステージには、例えば投影光学系PLの結像特性を計測する空間像計測装置等、複数の部品が配置されているが、これら部品間に生じる隙間、又はこれら部品と計測ステージとの間に生じた隙間を上述の実施形態で説明した封止材によって封止してもよい。また、上述の実施形態で説明した封止材は、例えば、露光装置EXにおけるノズルユニット32と鏡筒40との間に生じる隙間を封止することもきる。このような隙間を封止することにより、液浸用液体が露光装置内部に進入することを防止し、露光装置を電気的及び機械的に保護することができる。
更なる例として、図11に、ウエハW2を保持するウエハステージWST2を示す。ウエハステージWST2には、第1〜3の実施形態で説明したウエハステージWSTとは異なり、撥水板28a及びグレーティング板28b〜28dの代わりに、基準部材300、照度ムラセンサ400及び空間像計測センサ500が設けられている。そして、基準部材300、照度ムラセンサ400及び空間像計測センサ500と、ウエハステージWST2の表面との間には、それぞれ、隙間K、L及びNが形成されている。これら隙間K、L及びNも、上述の実施形態で説明した封止材を用いて封止することが可能である。これにより、液浸用液体が露光装置内に進入することを防止できる等、上述の実施形態と同等の効果を奏することができる。
また、上記の実施形態の露光装置EX又は露光方法を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造することができる。電子デバイスは、図12に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップS11、この設計ステップに基づいたレチクル(マスク)を製作するステップS12、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップS13、前述した実施形態の露光装置(露光方法)によりレチクルのパターンを基板(感光基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップS14、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)S15、並びに検査ステップS16等を経て製造される。
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置EX(露光方法)を用いてレチクルのパターンの像を基板(ウエハ)に転写することと、そのパターンの像が転写されたその基板をそのパターンの像に基づいて加工すること(ステップS14の現像、エッチング等)とを含んでいる。
なお、本発明は、上述のステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置(スキャナ)の他に、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ等)にも適用できる。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子やプラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックスウエハ上に転写する露光装置、並びに撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシーン、MEMS(Microelectromechanical Systems)、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。このように、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る
EX…露光装置、R…レチクル、W…ウエハ、WTB…ウエハテーブル、WST…ウエハステージ、20…主制御装置、50、150、250…封止材、28a…撥水板、28b〜28e…グレーティング板

Claims (15)

  1. 液体を介して基板を露光する露光装置であって、
    複数の部材からその表面が組み立てられたステージと、
    前記ステージの表面に存在する、前記部材間の少なくとも一つの隙間を封止する封止材を備える露光装置。
  2. 前記封止材が細長状のフッ素樹脂製チューブであり、
    前記フッ素樹脂製チューブが、前記隙間に沿ってその隙間を封止している請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記フッ素樹脂製チューブの長手方向に対して垂直な断面が、楕円形又は涙型である請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記封止材が、
    金属箔と、
    前記金属箔の一方の面に設けられた粘着層と、
    前記金属箔の他方の面に設けられたフッ素樹脂層を含むテープであり、
    前記テープが、前記隙間を覆うように、前記粘着層を介して前記ステージの表面に貼付されている請求項1に記載の露光装置。
  5. 前記封止材は、シート状基材を中空部が形成されるように屈曲した部材であって、
    前記部材の外側の面はフッ素樹脂で形成され、
    前記部材は、前記部材が屈曲することによって形成された曲面部を前記ステージの外部に向けて、前記隙間に沿ってその隙間を封止する請求項1に記載の露光装置。
  6. 前記シート状基材が金属箔であって、前記部材の外側にはフッ素樹脂層が設けられており、
    前記部材の長手方向に対して垂直な断面は、潰れた先端部と丸みを有する末端部を有する涙型であり、
    前記部材は、前記先端部を前記ステージの内部に向けて、前記隙間に沿ってその隙間を封止している請求項5に記載の露光装置。
  7. 前記フッ素樹脂製チューブ、前記フッ素樹脂層又は、前記部材の外側の面を形成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)のいずれか一種を含む請求項2〜6のいずれか一項に記載の露光装置。
  8. 前記金属箔が、チタン、チタン合金、タンタル及びタンタル合金のいずれか一種を含む請求項4又は6に記載の露光装置。
  9. 前記ステージの内部の前記隙間に対応する位置に、前記封止材を支持する支持部材が設けられている請求項1に記載の露光装置。
  10. 前記ステージが、基板ステージである請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置。
  11. 前記部材が、撥水板及びグレーティング板である請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置。
  12. 液体を介して基板を露光する露光装置に搭載されるステージの製造方法であって、
    複数の部材からステージを組み立てることと、
    細長状のフッ素樹脂製チューブを用意することと、
    前記組み立てられたステージの前記液体と接する表面に存在する前記部材間の隙間に、該隙間にそって前記細長状のフッ素樹脂製チューブを挿入することと、及び
    前記フッ素樹脂製チューブを前記隙間の中に固定させて、前記隙間を封止することを含むステージの製造方法。
  13. 更に、前記フッ素樹脂製チューブを前記隙間に挿入する前に、前記フッ素樹脂製チューブの長手方向に対して垂直な断面が、1つの先端部を有する涙型又は2つの先端部を有するアーモンド型となるように前記フッ素樹脂製チューブを変形させることを含み、
    前記フッ素樹脂製チューブの前記隙間への挿入は、前記変形させたフッ素樹脂製チューブのいずれかの先端部が前記ステージの内部を向く方向に、前記フッ素樹脂製チューブを前記隙間に挿入することを含む請求項12に記載のステージの製造方法。
  14. 前記ステージの内部の前記隙間に対応する位置に、前記フッ素樹脂製チューブを支持する支持部材を設け、
    前記フッ素樹脂製チューブの前記隙間の中への固定は、前記支持部材により前記フッ素樹脂製チューブを支持することを含む請求項12又は13に記載のステージの製造方法。
  15. 請求項1から11のいずれか一項に記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
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