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JP2012130391A - 心拍数検出装置、心拍数検出方法、およびプログラム - Google Patents

心拍数検出装置、心拍数検出方法、およびプログラム Download PDF

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JP2012130391A JP2010282946A JP2010282946A JP2012130391A JP 2012130391 A JP2012130391 A JP 2012130391A JP 2010282946 A JP2010282946 A JP 2010282946A JP 2010282946 A JP2010282946 A JP 2010282946A JP 2012130391 A JP2012130391 A JP 2012130391A
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Abstract

【課題】高い精度の心拍数を検出する心拍数検出装置、心拍数検出方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】心拍数検出装置100は、被験者Mに対して放射した電磁波又は超音波である放射波Txの周波数と、上記放射波が上記被験者により反射した反射波Rxの周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を取得するデータ取得部1061と、上記ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解し、複数の上記成分信号についてそれぞれ信号強度の時間変動を解析する時間周波数解析部1062と、複数の上記成分信号についてそれぞれ信号強度の自己相関を解析する自己相関解析部1063と、上記複数の成分信号の中から最も自己相関関数の周期性が高い成分信号を選択し、選択された成分信号の上記自己相関の解析結果に基づいて上記被験者の心拍数を検出する心拍数検出部1064とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、心拍数検出装置、心拍数検出方法、およびプログラムに関し、特にドップラーセンサの出力信号に基づいて心拍数を検出する心拍数検出装置、心拍数検出方法、およびプログラムに関する。
近年、ドップラーセンサを用いて心拍数を検知するシステムに関する研究が進められている。ドップラーセンサは、検知対象に対して放射する電磁波又は超音波である放射波の周波数と、放射波が検知対象により反射した反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を出力する。従って、ドップラーセンサを用いた心拍数検出装置は、被験者に接触することなく心拍数を検出することができるという利点がある。例えば特許文献1には、このドップラーセンサ出力信号のうち、心拍数の周波数帯域(0.8〜2.5Hz)を通過帯域とするフィルタを通した波形のうち最大振幅の周波数から心拍数を検出する装置が開示されている。
特開2000−83927号公報
しかし、ドップラーセンサ出力信号には、心拍による影響のみならず、呼吸による身体の動き、身体の揺れ、その他の環境雑音などが含まれている。このため、心拍数を正確に抽出するのが困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より精度の高い心拍数を検出することが可能な、新規かつ改良された心拍数検出装置、心拍数検出方法、およびプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、被験者に対して放射した電磁波又は超音波である放射波の周波数と、上記放射波が上記被験者により反射した反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を取得するデータ取得部と、上記ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解し、複数の上記成分信号についてそれぞれ信号強度の時間変動を解析する時間周波数解析部と、複数の上記成分信号についてそれぞれ信号強度の自己相関を解析する自己相関解析部と、上記複数の成分信号の中から自己相関関数に基づいて周期性の最も高い成分信号を選択し、選択された成分信号の上記自己相関の解析結果に基づいて上記被験者の心拍数を検出する心拍数検出部と、を有することを特徴とする、心拍数検出装置が提供される。
かかる構成によれば、ドップラーセンサ出力信号を複数の成分信号に分け、この成分信号のうち周期性の高い成分信号に基づいて心拍数を検出することができる。これにより、分解しないそのままのドップラーセンサ出力信号の自己相関を解析する場合と比較して精度の高い心拍数を検出することができる。
また、上記ドップラーセンサ出力信号から、心拍に起因した上記被験者の身体の動きの速度変化に応じた周波数成分を含む信号を抽出するフィルタ部、をさらに有してもよい。
また、上記被験者の身体の動きの位置変化に応じた周波数成分を含む信号を除去するフィルタ部、をさらに有してもよい。
また、上記心拍数検出部は、自己相関関数のピークのうち最も振幅の大きい第一ピークの値と2番目に振幅の大きい第二ピークの値との比に基づいて、周期性が最も高い成分信号を選択してもよい。
また、上記心拍数検出部は、上記第一ピークの時間を心拍間隔として上記心拍数を検出してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、被験者に対して電磁波又は超音波である放射波を放射するステップと、上記放射波が上記被験者により反射した反射波を検出するステップと、上記放射波の周波数と上記反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を取得するステップと、上記ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解するステップと、複数の上記成分信号についてそれぞれ信号強度の時間変動を解析するステップと、複数の上記成分信号についてそれぞれ上記信号強度の自己相関を解析するステップと、複数の上記成分信号の中から最も自己相関関数の周期性が高い成分信号を選択するステップと、上記選択された成分信号の上記自己相関の解析結果に基づいて、上記被験者の心拍数を検出するステップと、を含む、心拍数検出方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、被験者に対して放射した電磁波又は超音波である放射波の周波数と、上記放射波が上記被験者により反射した反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を取得するデータ取得部と、上記ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解し、複数の上記成分信号についてそれぞれ信号強度の時間変動を解析する時間周波数解析部と、複数の上記成分信号についてそれぞれ信号強度の自己相関を解析する自己相関解析部と、上記複数の成分信号の中から最も自己相関関数の周期性が高い成分信号を選択し、選択された成分信号の上記自己相関の解析結果に基づいて上記被験者の心拍数を検出する心拍数検出部とを有することを特徴とする、心拍数検出装置として機能させるためのプログラムが提供される。
以上説明したように本発明によれば、より精度の高い心拍数を検出することができる。
本発明の一実施形態に係る心拍数検出装置の概要について説明するための説明図である。 同実施形態に係る心拍数検出装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態に係る心拍数検出装置の心拍数抽出部106の詳細な構成を示すブロック図である。 同実施形態に係る心拍数検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。 ドップラーセンサ出力信号から心拍に依存した低周波数成分を含む成分を抽出した信号の一例を示すグラフである。 ドップラーセンサ出力信号から心拍に依存した高周波数成分を抽出した信号の一例を示すグラフである。 5Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。 10Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。 15Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。 20Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。 図7のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。 図8のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。 図9のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。 図10のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。 周期性を評価するための評価関数について説明するための説明図である。 同実施形態による精度向上の効果を説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.構成
3.動作例
4.効果の例
<1.概要>
まず初めに、本発明の一実施形態に係る心拍数検出装置の概要について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る心拍検出装置の概要について説明するための説明図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る心拍数検出装置100は、被験者Mの胸部付近に放射波Txを放射し、放射波Txが被験者Mに反射した反射波Rxを取得するドップラーセンサを有する。このドップラーセンサは、放射波Txの周波数と反射波Rxの周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を出力する。心拍数検出装置100は、このドップラーセンサ出力信号の解析結果に基づいて被験者Mの心拍数を検出する。
心拍数検出装置100は、電磁波又は超音波である放射波Txを用いるため、被験者Mに接触することなく心拍数を検出することができる。このため、心拍数検出装置100は、ヘルスケアの分野における利用が期待されている。例えば心拍数検出装置100は、高齢者などの健康状態を遠隔監視するシステムなどに用いることができる。
なお、ドップラーセンサは、対象物(ここでは被験者M)の移動速度に比例して反射波Rxの周波数がシフトする現象(ドップラー効果)を利用したセンサである。しかし、ここで取得されるドップラーセンサ出力信号には、検出対象である心拍による影響だけでなく、例えば呼吸による身体の動き、身体の揺れ、およびその他の環境雑音等が含まれる。精度の高い心拍数を検出するためには、これらの心拍以外の要因によるドップラーセンサ出力信号への影響を取り除き、心拍による周波数シフトを検出することが重要である。
被験者Mが動くとき、ドップラーセンサから観測されるドップラーセンサ出力信号Vは、以下の式で表される。
Figure 2012130391
なお、振幅Kは、被験者Mの身体の動きの変位に依存する。また、周波数fは、被験者Mの身体の動きの速度に依存する。1分間の心拍数が60である場合には、1秒の周期で被験者Mの身体の動きが生じる。このため、ドップラーセンサ出力信号にもこの動きに起因する振幅Kの変化に依存した成分が含まれている。ところが、この1秒前後の周期を持つ信号には、呼吸による影響や身体の揺れによる影響が含まれやすい。このため、正確に心拍数を検出することが困難であった。
そこで、本実施形態に係る心拍数検出装置100は、心拍に起因した身体の動きの変位に応じた周波数成分ではなく、身体の動きによる速度の大小、つまりfの大小変化に依存した周波数成分を観測する。このとき、fの大小変化に依存した成分を含む信号の周波数は、個人差がある。また、同一人物であっても放射波Txの放射される位置や放射波Txに対する身体の向きが異なると、fの大小変化に依存した成分を含む信号の周波数、およびその信号の振幅の大きさは異なる。このため、心拍数検出装置100は、ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数成分に分解して得られる複数の成分信号から最も周期性の高い成分信号を選択し、選択された成分信号を用いて心拍数の検出を行う。
かかる心拍数検出装置100の機能を実現するための機能構成と、動作の一例について次に説明される。
<2.構成>
ここで、図2および図3を参照しながら、本実施形態に係る心拍数検出装置100の機能構成の一例について説明する。図2は、本実施形態に係る心拍数検出装置の構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態に係る心拍数検出装置の心拍数抽出部106の詳細な構成を示すブロック図である。
心拍数検出装置100は、ドップラーセンサ101と、増幅器102と、アナログフィルタ103と、A/D(Analog/Digital)変換器104と、デジタルフィルタ105と、心拍数抽出部106と、心拍数表示部107とを主に有する。
ドップラーセンサ101は、上述の通り、対象物(ここでは被験者M)の移動速度に比例して反射波Rxの周波数がシフトする現象(ドップラー効果)を利用したセンサである。ドップラーセンサ101は、放射波Txが被験者Mに反射した反射波Rxを検出する。そしてドップラーセンサ101は、放射波Txの周波数fと反射波Rxの周波数fとの差分の周波数f=f−fを有するドップラーセンサ出力信号を出力する。このドップラーセンサ出力信号の電圧Vdは、既出の通り下記の数式1で示される。
Figure 2012130391
ここで、振幅Kは、電波受信強度に依存する値となり、電波受信強度Pは、一般的に以下の数式2で表されるレーダ方程式に従う。ここで、Pは送信電力、Gは送信アンテナ利得、σは当該場所における散乱断面積、Aは受信アンテナの有効開口面積、Rはセンサと認識対象間の距離である。
Figure 2012130391
なお、ここで用いられる放射波Txは、電磁波又は超音波などであってよい。ドップラーセンサ101は、一般的なドップラーセンサモジュールが用いられてよい。そして、ドップラーセンサ101は、取得したドップラーセンサ出力信号を増幅器102に入力する。
増幅器102は、ドップラーセンサ101から入力されたドップラーセンサ出力信号を増幅する機能を有する。増幅器102は、一般的な増幅回路が用いられてよい。このとき増幅器102は、アナログフィルタ103およびデジタルフィルタ105を通した後のドップラーセンサ出力信号の振幅が観察に適した振幅となるように増幅率が決められる。増幅器102は、増幅処理を施した後のドップラーセンサ出力信号をアナログフィルタ103に入力する。
アナログフィルタ103は、増幅器102から入力されたドップラーセンサ出力信号から雑音等による影響の大きい周波数成分を除去し、心拍の影響を含む周波数成分を抽出するフィルタである。なお、雑音等の影響が大きい周波数成分を除去することにより、心拍による動きの変位に起因する周波数成分も除去される。アナログフィルタ103は、例えばローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはバンドパスフィルタ等のいずれかであってよい。或いはアナログフィルタ103は、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはバンドパスフィルタ等が組み合わせて用いられてもよい。アナログフィルタ103は、フィルタリング処理後のドップラーセンサ出力信号をA/D変換器104に入力する。
A/D変換器104は、アナログフィルタ103から入力されたアナログ信号であるドップラーセンサ出力信号をデジタル信号に変換する機能を有する。A/D変換器104は、デジタル信号に変換されたドップラーセンサ出力信号をデジタルフィルタ105に入力する。
デジタルフィルタ105は、A/D変換器104によりデジタル化されたドップラーセンサ出力信号にフィルタリング処理を行うフィルタである。デジタルフィルタ105は、アナログフィルタ103では除ききれなかった周波数成分を除去する機能を有する。デジタルフィルタ105は、フィルタリング処理後のドップラーセンサ出力信号を心拍数抽出部106に入力する。
心拍数抽出部106は、入力されたドップラーセンサ出力信号に基づいて心拍数を抽出する機能を有する。図3を参照すると、心拍数抽出部106は、ドップラーセンサ出力信号を取得するデータ取得部1061と、取得したドップラーセンサ出力信号をウェーブレット変換により複数の周波数における成分信号に分解し、成分信号の信号強度の時間変動を解析するウェーブレット解析部1062と、ウェーブレット係数の自己相関を解析する自己相関解析部1063と、自己相関の解析結果に基づいて心拍数を検出する心拍数検出部1064として主に機能する。
ここでウェーブレット解析部1062は、データ取得部が取得したドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解し、この成分信号について信号強度の時間変動を解析する時間周波数解析部の一例である。ウェーブレット解析部1062はウェーブレット変換を用いて、ドップラーセンサ出力信号を複数の擬似周波数における成分信号に分解する。本実施形態においては、5Hz、10Hz、15Hz、20Hzの擬似周波数についてウェーブレット解析が実施される。
また、自己相関解析部1063は、ウェーブレット変換後の各成分信号の自己相関関数からピークを抽出し、抽出したピークに基づいて複数の成分信号から最も周期性の高い成分信号を選択する。心拍数検出部1064は、自己相関解析部により選択された成分信号を用いて心拍数を検出する。
心拍数表示部107は、心拍数抽出部106により抽出された心拍数の情報を表示する機能を有する。心拍数表示部107は、例えば心拍数抽出部106により抽出された心拍数の情報を含む表示画面を生成する表示画面生成部と、生成された表示画面を表示する表示装置とを含んでもよい。表示装置は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、およびランプなどの表示装置であってよい。表示装置がランプである場合には、例えば心拍数抽出部106が抽出した心拍数に基づいて、心拍と同じ間隔でランプを点滅させてもよい。
以上、本実施形態に係る心拍数検出装置100の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る心拍数検出装置100の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
<3.動作>
次に、図4〜図14を参照しながら、本実施形態に係る心拍数検出装置100の動作について説明する。図4は、本実施形態に係る心拍数検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、ドップラーセンサ出力信号の一例を示すグラフである。図6は、図5のドップラーセンサ出力信号から高周波数成分を抽出した信号の一例を示すグラフである。図7は、5Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。図8は、10Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。図9は、15Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。図10は、20Hzにおけるウェーブレット係数の時間変化を示すグラフである。図11は、図7のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。図12は、図8のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。図13は、図9のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。図14は、図10のウェーブレット係数の自己相関関数を示すグラフである。
まず図4を参照すると、本実施形態に係る心拍数検出装置100の動作の一例が示されている。ここに示される動作は、主に1.ドップラーセンサ出力信号を取得し、心拍の影響を含む高周波成分を抽出する第1段階(S101〜S105)、2.複数の周波数における成分信号を抽出する第2段階(S107)、3.成分信号の自己相関関数に基づいて心拍数を検出する第3段階(S109〜S115)、の3つに区分される。
まず、第1段階について説明する。心拍数検出装置100のドップラーセンサから放射される放射波Txの放射方向が被験者Mの方向となるように心拍数検出装置100の設置位置または被験者Mの位置を調整する。そして、心拍数検出装置100は、被験者Mの胸部付近に放射波Txを放射する(S101)。このとき、放射波Txの放射位置は、検出したい動きの影響を観測しやすい部位とすることが好ましい。本実施形態においては、心拍の影響は胸部付近において観測しやすいため、胸部に放射波Txを放射する。また、観測時において被験者Mの身体の動きは少ない方が心拍数の検出精度は高まる。
そして、ドップラーセンサ101は、放射波Txと、放射波Txが被験者Mにより反射した反射波Rxとに基づいて、放射波Txの周波数ftと反射波Rxの周波数frとの差分の周波数fdを有するドップラーセンサ出力信号を出力する(S103)。このとき出力されるドップラーセンサ出力信号は、例えば図5に示されるように、呼吸による信号強度の変動と心拍による信号強度の変動とを含む。図5は、ドップラーセンサ101が出力したドップラーセンサ出力信号を増幅器102で増幅した後、電源ノイズをカットした後の波形を示したものである。
次に、心拍数検出装置100は、増幅器102、アナログフィルタ103、A/D変換器104、およびデジタルフィルタ105を用いて、取得されたドップラーセンサ出力信号に各種の信号処理を行う(S105)。ここで行われるフィルタリング処理は、例えば環境雑音、身体の揺れ、および呼吸などの心拍による影響とは無関係な成分を除き、心拍による身体の動きの速度の変化による周波数成分を抽出するために行われる。なお、本実施形態においては、心拍による身体の位置変化に応じた周波数成分もドップラーセンサ出力信号から除く。心拍による身体の位置変化に応じた周波数成分は、概ね1秒前後の心拍間隔の周期を有する。かかる周波数成分は、身体のゆれなどによって生じる周波数成分と重なりやすい。このため、本実施形態においては、1秒前後の周期を有する信号を除き、これより高い周波数を有する信号を抽出する。
なお、図6に、ドップラーセンサ出力信号を増幅器102で増幅した後、カットオフ周波数が2Hzのハイパスフィルタ及びカットオフ周波数20Hzのローパスフィルタを通した後の信号が示される。図5に存在する低周波の信号成分がカットされている。
次に、第2段階について説明する。第1段階の処理によって、各種の信号処理が施されたドップラーセンサ出力信号を用いて、心拍数抽出部106は、各周波数成分に分解した成分信号の解析を行う。具体的には、データ取得部1061はデジタルフィルタ105から入力されたドップラーセンサ出力信号を取得する。そして、ウェーブレット解析部1062は、取得されたドップラーセンサ出力信号を連続ウェーブレット変換して各擬似周波数の成分信号に分解して解析する。
第1段階の処理によって、ドップラーセンサ出力信号は、主な雑音成分等が取り除かれ、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分を含む信号となった。しかし、このドップラーセンサ出力信号の中にも雑音となる身体の動きの影響による周波数成分が含まれる場合がある。また、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分の周波数の高さやその振幅の大きさには個人差がある。さらに、同一の被験者Mであっても、ドップラーセンサの放射波Txが放射される位置又は放射波Txの放射方向に対する身体の向きが異なると、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分の周波数の高さやその振幅の大きさは異なる。このように、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分の周波数は被験者Mおよびドップラーセンサのセンシング環境によって異なる。このため、本実施形態に係る心拍数検出装置100は、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分を含む信号を複数の周波数成分に分解する。具体的には、ウェーブレット解析部1062は、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分を含むドップラーセンサ出力信号を連続ウェーブレット変換により複数の擬似周波数における成分信号に分解する(S107)。図7〜図10には、上記ドップラーセンサ出力信号に連続ウェーブレット変換を行ったときの5Hz、10Hz、15Hz、20Hzの各擬似周波数におけるウェーブレット係数が示される。ウェーブレット係数は、信号強度に比例する値となる。
次に、第3段階について説明する。第2段階により、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分を含むドップラーセンサ出力信号は、複数の周波数における成分信号に分解された。第3段階は、これら複数の成分信号の中から、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周期的な振幅変動を含む成分信号を選択し、選択した成分信号から心拍数を検出する段階である。
心拍による身体の動きに依存したドップラーセンサ出力信号の振幅に比べ、一般的に呼吸や身体の揺れ等に依存した振幅の方が大きい。このため、元の信号の自己相関からは心拍の周期を明確に抽出することが困難な場合もある。このため、本実施形態においては、第2段階において求めた、複数の擬似周波数におけるそれぞれのウェーブレット係数を求めて、それぞれの周波数成分における自己相関関数をとることにより、周期性が低く振幅の大きい周波数成分の影響を分離することができる。
一般的に、人間の心拍の時間間隔には上限と下限が存在する。このため、自己相関解析部1063は、この上限と下限との間の範囲内における自己相関関数を図11〜図14に示すように求める(S109)。本実施形態においては、これらの自己相関関数の中から最も周期性が高いものを選択し、選択した自己相関関数に基づいて心拍数を検出する。例えば、ここでは周期性の判断に、自己相関関数の最も大きいピークと2番目に大きいピークの値の比が用いられる。
図15に示されるように、自己相関関数には、一般的に複数のピークが存在する。最も大きい振幅を有するピークを第一ピークと称し、2番目に大きい振幅を有するピークを第二ピークと称する。このとき、自己相関解析部1063は、第一ピークと第二ピークの比を評価関数として周期性の評価を実行し(S111)、複数の成分信号についての自己相関関数の中から心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分を最も含む成分信号の自己相関関数を選択する。すなわち、評価関数は次のように表される。
評価関数=(第一ピークの振幅の大きさ)÷(第二ピークの振幅の大きさ)
ここで、心拍数検出部1064は、自己相関解析部1063により選択された、評価関数の最も高い擬似周波数のウェーブレット係数の自己相関関数に基づいて、選択された自己相関関数の第一ピークの時間を心拍間隔とする(S113)。例えば、図11〜図14の例においては、5Hz、10Hz、15Hz、20Hzのそれぞれの擬似周波数における評価関数の評価値は、それぞれ1.40、2.03、2.84、3.36となる。すなわち、最も評価値の高い20Hzにおける自己相関関数を用いて心拍数は求められる。なお、若し自己相関関数のピークが1つしかない場合には、身体の揺れなどの影響を含む低い擬似周波数帯における信号成分の自己相関関数である場合がある。このため、その擬似周波数におけるウェーブレット係数の自己相関関数については評価の対象外とする。心拍数検出部1064は、自己相関関数のピークの時間を心拍間隔として、単位時間(例えば1分間)当たりの心拍数を求める(S115)。心拍数検出部1064は、求めた心拍数の情報を心拍数表示部107に入力する。心拍数表示部107は、入力された情報に基づいて心拍数の情報を提供する。
<4.効果の例>
以上説明してきたように、本実施形態に係る心拍数検出装置100によれば、取得したドップラーセンサ出力信号から雑音成分をフィルタリングにより取り除き、さらに複数の擬似周波数における成分信号に分解する。そして複数の成分信号の中から、心拍による身体の動きの速度変化による周波数成分を含み、最も周期性が高い成分信号が選択される。心拍数検出装置100は、選択された成分信号の自己相関関数のピーク値に基づいて心拍間隔を抽出する。そして心拍数検出装置100は、この心拍間隔から単位時間当たりの心拍数を検出することができる。
複数の成分信号への分解前のドップラーセンサ出力信号は、心拍による影響以外の雑音、例えば身体の揺れなどの影響による周波数成分を含んでいる場合もある。ここで身体の揺れなどの影響による周波数成分は、心拍による影響と比べて一般的に振幅が大きい。このため、このドップラーセンサ出力信号の自己相関を取ったとしても雑音による影響を受けて周期性の検出は困難である場合がある。また、心拍による身体の動きの速度変化の影響による周波数成分の周波数の高さやその振幅の大きさは、個人差やセンシング環境によって異なる。そこで本実施形態においては、ドップラーセンサ出力信号を各周波数における成分信号に分解し、この成分信号毎に自己相関を解析する。また、この複数の成分信号の中から、心拍による影響を含み周期性の高い成分信号を選択し、選択された成分信号の自己相関関数のピーク値に基づいて心拍数が検出される。かかる構成により、心拍数検出装置100は、より精度の高い心拍数の情報を提供することができる。
なお、心拍数検出の精度について検証した実験結果が図16に示される。ここでは、三人の被験者について、本実施形態で検出した心拍数の精度と比較例の条件で検出した心拍数の精度とが示される。なお、比較例は、適切な振幅に増幅処理を行った後のドップラーセンサ出力信号の自己相関関数から心拍数を検出する方法が用いられた。なお、エラー率は、本実施形態と比較例のそれぞれについて、脈波計から求めた実際の心拍数の値との誤差率を示す。この図16から、被験者A、被験者B、および被験者Cのいずれについても、本実施形態の方法を用いて検出した心拍数が比較例の方法により検出した心拍数よりも精度が向上していることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、心拍を検出する装置について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、呼吸、貧乏ゆすり、震え、筋音など他の生体情報を測定することとしてもよい。フィルタの通過帯域の周波数などのパラメータを変更することにより、周期性を有するものの検知に広く応用できることはいうまでもない。
また、上記実施形態では、求められた心拍数をそのままの値で提供することとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、所定期間の心拍数の中央値をとることにより、異常値の影響を低減するなど様々な精度向上のための手法が用いられてよい。
また、上記実施形態では、自己相関関数の第一ピークの値と第二ピークの値との比に基づいて周期性の高い成分信号が選択されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、心拍間隔の範囲における第一ピークの値と、自己相関関数の時間が0のときの値との比に基づいて成分信号が選択されてもよい。その他、自己相関関数の周期性を評価するための手法が用いられてよい。
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
100 心拍数検出装置
101 ドップラーセンサ
102 増幅器
103 アナログフィルタ
104 A/D変換器
105 デジタルフィルタ
106 心拍数抽出部
107 心拍数表示部

Claims (7)

  1. 被験者に対して放射した電磁波又は超音波である放射波の周波数と、前記放射波が前記被験者により反射した反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を取得するデータ取得部と、
    前記ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解し、複数の前記成分信号についてそれぞれ信号強度の時間変動を解析する時間周波数解析部と、
    複数の前記成分信号についてそれぞれ信号強度の自己相関を解析する自己相関解析部と、
    前記複数の成分信号の中から自己相関関数に基づいて周期性の最も高い成分信号を選択し、選択された成分信号の前記自己相関の解析結果に基づいて前記被験者の心拍数を検出する心拍数検出部と、
    を備えることを特徴とする、心拍数検出装置。
  2. 前記ドップラーセンサ出力信号から、心拍に起因した前記被験者の身体の動きの速度変化に応じた周波数成分を含む信号を抽出するフィルタ部、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の心拍数検出装置。
  3. 前記ドップラーセンサ出力信号から、心拍に起因した前記被験者の身体の動きの位置変化に応じた周波数成分を含む信号を除去するフィルタ部、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の心拍数検出装置。
  4. 前記心拍数検出部は、自己相関関数のピークのうち最も振幅の大きい第一ピークの値と2番目に振幅の大きい第二ピークの値との比に基づいて、周期性が最も高い成分信号を選択する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の心拍数検出装置。
  5. 前記心拍数検出部は、前記第一ピークの時間を心拍間隔として前記心拍数を検出する、請求項4に記載の心拍数検出装置。
  6. 被験者に対して電磁波又は超音波である放射波を放射するステップと、
    前記放射波が前記被験者により反射した反射波を検出するステップと、
    前記放射波の周波数と前記反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を取得するステップと、
    前記ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解するステップと、
    複数の前記成分信号についてそれぞれ信号強度の時間変動を解析するステップと、
    複数の前記成分信号についてそれぞれ前記信号強度の自己相関を解析するステップと、
    複数の前記成分信号の中から最も自己相関関数の周期性が高い成分信号を選択するステップと、
    前記選択された成分信号の前記自己相関の解析結果に基づいて、前記被験者の心拍数を検出するステップと、
    を含む、心拍数検出方法。
  7. コンピュータを、
    被験者に対して放射した電磁波又は超音波である放射波の周波数と、前記放射波が前記被験者により反射した反射波の周波数との差分の周波数を有するドップラーセンサ出力信号を取得するデータ取得部と、
    前記ドップラーセンサ出力信号を複数の周波数における成分信号に分解し、複数の前記成分信号についてそれぞれ信号強度の時間変動を解析する時間周波数解析部と、
    複数の前記成分信号についてそれぞれ信号強度の自己相関を解析する自己相関解析部と、
    前記複数の成分信号の中から最も自己相関関数の周期性が高い成分信号を選択し、選択された成分信号の前記自己相関の解析結果に基づいて前記被験者の心拍数を検出する心拍数検出部と、
    を備えることを特徴とする、心拍数検出装置として機能させるためのプログラム。
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