JP2012125179A - 野菜汁及び/又は果汁の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】野菜及び/又は果実を、次の処理(A)及び処理(B):
(A)25〜60℃でセルラーゼ及びペクチナーゼを用いる酵素処理、
(B)機械的剪断処理
を同時に行う工程を含み、処理(A)における酵素総量が野菜及び/又は果実の食物繊維量1gに対して0.15〜0.4gであり、かつ酵素総量中のセルラーゼ量が10〜70質量%である、野菜汁及び/又は果汁の製造方法。
【選択図】なし
Description
従って本発明の課題は、ミネラルの吸収性を向上させ、かつ飲み易く、コクのある野菜汁及び/又は果汁の製造方法を提供することにある。
そして更に検討を続けたところ、一定の温度で酵素処理と機械的剪断処理を同時に行う工程を行い、当該酵素中にセルラーゼを一定量含有させ、かつ酵素総量を一定の範囲に調整することにより、不溶性固形分表面積が一定以上となるためミネラル吸収性が向上し、かつ舌触りなどの飲用感も良好な野菜汁及び/又は果汁が得られることを見出し、本発明を完成した。
(A)25〜60℃でセルラーゼ及びペクチナーゼを用いる酵素処理、
(B)機械的剪断処理
を同時に行う工程を含み、処理(A)における酵素総量が野菜及び/又は果実の食物繊維量1gに対して0.15〜0.4g、かつ酵素総量中のセルラーゼ量が10〜70質量%である野菜汁及び/又は果汁の製造方法を提供するものである。
本発明で使用する野菜及び果実は特に限定されないが、人参、大根、アスパラガス、たまねぎ、ビート、しょうが、紫芋、ごぼうなどの根菜;セロリ、ほうれん草、白菜、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、小松菜、パセリ、ケール、クレソン、モロヘイヤ、あしたば、レタスなどの葉菜;トマト、ピーマン、赤ピーマン、なす、かぼちゃなどの果菜;バナナ、りんご、メロン、みかん、ブドウなどの果実などが例示される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
破砕処理された野菜及び/又は果実の形態としては、微粒状、さいの目状、短冊状、ペースト状等が例示されるが、加熱効率や不溶性固形分表面積制御の観点から、ペースト状であることが好ましい。ペースト状に破砕処理された野菜及び/又は果実の粘度は特に限定されないが、100〜3000mPa・sであることが好ましく、必要により濃縮又は希釈して所望の粘度に調整してもよい。破砕処理後の野菜及び/又は果実を上記粘度範囲にすることで、処理(B)においてより一層大きな剪断応力を付与することが可能になり、その結果不溶性食物繊維をより一層効率よく微細化することができる。なお、本明細書において「粘度」とは、レオメーターを用いて20℃で測定された値をいい、具体的には、ローターはクエットCC27を使用し、20℃にてずり速度0.1s-1から1000s-1の範囲で測定し、ずり速度100s-1における数値を読み取った値をいう。レオメーターとして、例えば、PHYSICA MCR300(Anton Paar(株)製)を使用することができる。
本処理に付する時間は野菜及び果実の種類により適宜設定することが可能であるが、加熱臭等の風味劣化や色調変化の抑制の観点から、0.5〜30分、更に1〜20分、更に1〜15分であることが好ましい。
ブランチング処理後においては、冷却プレート等を用いて野菜及び/又は果実を冷却すると、色を鮮やかに保持することができるため好ましい。
処理(A)は、25〜60℃でセルラーゼ及びペクチナーゼの両方を用いる酵素処理である。これにより、不溶性食物繊維を酵素で分解して粘度を低下させるとともに、不溶性食物繊維を微細化させることができる。
なお、食物繊維量とは、実施例記載の方法により定量されるものであり、水溶性食物繊維量と不溶性食物繊維量の総量である。酵素は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方に対して作用するため、食物繊維量に対して上記の量を用いる。
また、野菜及び/又は果実の食物繊維量1gに対するセルラーゼ量(酵素活性基準)は、10〜200EGUが好ましく、20〜175EGUがより好ましく、30〜150EGUが更に好ましく、70〜150EGUが特に好ましい。ここで、EGUとはエンドグルカナーゼ活性を表し、実施例に記載の測定方法により求めることができる。
また、野菜及び/又は果実の食物繊維量1gに対するペクチナーゼ量(酵素活性基準)は、200〜1200PGNUが好ましく、220〜1000PGNUがより好ましく、250〜800PGNUが更に好ましく、250〜400PGNUが特に好ましい。ここで、PGNUとはポリガラクチュロナーゼ活性を表し、実施例に記載の測定方法により求めることができる。
酵素反応時間は、3時間以内、更に30分以上2時間以内が好ましい。
処理(B)は、機械的剪断処理である。これにより、不溶性食物繊維を機械的に破砕して粘度をより一層低下させるとともに、不溶性食物繊維をより一層微細化させることができる。
剪断処理に用いる装置としては特に限定されないが、例えば、回転カッター式装置を使用することができる。ここで、本明細書において「回転カッター式装置」とは、回転する刃又は櫛状の歯を有する破砕装置を指し、磨砕ではなく、剪断応力の働きにより物体を微細化するものをいう。
剪断装置により付与される剪断速度は103〜106s-1であるのが好ましく、不溶性食物繊維の微細化の観点から、2×103〜106s-1、特に1×104〜106s-1であることが好ましい。なお、本明細書において「剪断速度」とは、回転カッター式装置の回転体の最高周速をv(m/s)、最高周速部分と壁面との距離をd(m)とした場合にv/d(1/s)で計算される値をいう。当該剪断速度は、回転体の回転速度、及び、回転体と壁面との距離を調節することにより調整することができる。剪断速度を上記範囲内とすることで十分な剪断応力が確保される。
剪断処理の温度は、野菜及び果実の風味劣化抑制の観点から、0〜60℃、特に0〜40℃であることが好ましい。
さらに殺菌処理を施すことで、酵素を失活させることと殺菌を同時に行ってもよい。殺菌条件は、例えば、加熱殺菌に適用されるべき法規(日本国にあっては食品衛生法)に定められた条件で行うことができる。
本発明の野菜汁及び/又は果汁には、野菜汁や果汁由来にあわせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独で又は併用して配合してもよい。
また、本発明のミネラル吸収促進剤等は、ミネラル吸収促進、骨粗鬆症等の予防又は改善するための飲食品、医薬部外品、医薬品等として使用可能である。また、ミネラル吸収促進剤等は、ミネラル吸収促進、骨粗鬆症等の予防又は改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した飲食品、例えば病者用食品、特定保健用食品等の機能性飲食品として使用することができる。
このような種々の剤型の医薬製剤を調製する場合には、本発明の野菜汁及び/又は果汁を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与である。
種々の形態の食品を調製するには、本発明の野菜汁及び/又は果汁を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。当該食品中の本発明の野菜汁及び/又は果汁の含有量は、0.01〜100質量%、更に0.1〜100質量%、特に1〜100質量%とすることが好ましい。
また、本発明のミネラル吸収促進剤等は、摂食・摂餌時又は摂食・摂餌前に投与又は摂取することが好ましく、特に摂食・摂餌前5〜30分以内に投与又は摂取することが好ましい。
試料を、粒径分布測定装置(SALD−2100、(株)島津製作所製)を用いて、フローセルを使用し水を溶媒として体積基準の粒径分布及び平均粒径(メジアン径)を測定した。
試料中の不溶性食物繊維量は、プロスキー変法(酵素−重量法)(分析実務者が書いた五訂日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説、編集者:財団法人 日本食品分析センター、発行者:中央法規出版(株)、2001年発行、66〜72頁)により定量分析した。
不溶性固形分の定量は、25℃に恒温したサンプルを良く攪拌し均一な状態にし、10gを遠沈管に定量し、高速冷却遠心機(HITACHI himac CR20G)を用いて、処理温度20℃、最大遠心加速度4×105〜5.2×105[m/s2]の範囲に設定して10分間遠心した。保留粒子径が1μm(ADVANTEC No.5C、直径90mm)の濾紙の乾燥質量を測定した後、遠沈管内の遠心後の上清固形分を減圧濾過により集めた。次に遠沈管中にイオン交換水を加えて攪拌し、再び同条件で10分間遠心した。遠沈管内の遠心後の上清固形分を該濾紙上に減圧濾過により集めた。更に遠沈管中にイオン交換水を加えて攪拌し、同条件で10分間遠心した。遠沈管内の遠心後の上清固形分を該濾紙上に減圧濾過により集めた。残った固形分も該濾紙上に集めて水洗し、減圧濾過した。水洗に用いたイオン交換水は全量で100mLとした。該濾紙を乾燥後に質量を測定した。(不溶性固形分量(質量%))=((乾燥後の濾紙質量(g))−(濾紙の初期乾燥質量(g)))/10(g)×100とした。
レオメーター(PHYSICA MCR300(Anton Paar(株)製))を用いて、ローターはクエットCC27を使用し、20℃にてずり速度0.1s-1から1000s-1の範囲で測定し、ずり速度100s-1における数値を読み取った値とした。
Ca吸収性はラットへの45Ca経口投与後の血漿中45Ca放射活性を指標に評価した。SD−IGS雄性ラット(7週令又は8週令、日本チャールズリバー(株))を馴化した後、試験前日から19時間絶食させて試験に用いた。試験前日の各ラットの体重を測定して体重のばらつきが一定になるように群分けを行い、更に平均体重当たりのサンプル投与量及び45CaCl2投与量(1μCi)を決定した。ジエチルエーテルにて吸入麻酔したラットに、サンプルを経口ゾンデ投与し、直後に45CaCl2水溶液(1.5Ci/mmol〜2.5Ci/mmol(株)パーキンエルマー)を経口ゾンデ投与した。投与30分、2時間後に、ジエチルエーテル吸入麻酔下で頚静脈より約0.5mLの血液を採取し、ヘパチンリチウム含有血漿用採血管に入れて遠心処理(3000rpm、15分)を行い、血漿を分離した。血漿100μLに対して液体シンチレーションカクテル(ULTIMA GOLD XR(株)パーキンエルマー)を3mL加えて、十分に混和した後、液体シンチレーションカウンター(TRI−CARB3100TR(株)パーキンエルマー)にて45Caの放射活性の測定を行った。
また、試料中のカルシウム濃度を測定し、必要に応じて塩化カルシウムを用いてサンプルと対照サンプルのカルシウム濃度が同じになるように調製した。
(実施例1及び比較例1)
平均体重あたり2.5mLのサンプル(Ca濃度 0.72mg/mL)をゾンデで経口投与し、更に放射能量が1μCiとなるように濃度調製した45CaCl2水溶液1.0mLを投与した。
平均体重あたり2.5mLのサンプル(Ca濃度 0.66mg/mL)をゾンデで経口投与し、更に放射能量が1μCiとなるように濃度調製した45CaCl2水溶液1.0mLを投与した。
平均体重あたり1.5mLのサンプル(Ca濃度 0.48mg/mL)をゾンデで経口投与し、更に放射能量が1μCiとなるように濃度調製した45CaCl2水溶液1.0mLを投与した。
平均体重あたり1.5mLのサンプル(Ca濃度 0.15mg/mL)をゾンデで経口投与し、更に放射能量が1μCiとなるように濃度調製した45CaCl2水溶液1.0mLを投与した。
平均体重あたり2.5mLのサンプル(Ca濃度 0.31mg/mL)をゾンデで経口投与し、更に放射能量が1μCiとなるように濃度調製した45CaCl2水溶液1.0mLを投与した。
カルシウムの吸収性評価は、処理(A)及び処理(B)を行う前の野菜と、本実施例の野菜汁について実施した。処理(A)及び処理(B)を行う前の野菜については、ペースト状に破砕されていない場合は適宜破砕してから試験に供した。なお、実施例1については、処理(A)及び処理(B)を行う前の野菜についても、1.5倍に加水してから試験に供した。
Ca吸収性上昇率は、処理(A)及び処理(B)を行う前の野菜と、本実施例の野菜汁について、投与前から投与30分後及び投与2時間後の血漿中の45Ca濃度を算出し、下記式より算出した値である投与30分後のCa吸収性上昇率及び投与2時間後のCa吸収性上昇率から求めた平均値をCa吸収性上昇率とした。
試料中のCa濃度の測定は、MXB法を用いたキット(和光純薬工業(株)カルシウムE−テストワコー)を用いて行った。
各実施例及び比較例で得られた野菜汁について、評価パネラー5名により飲み易さ(舌触り、のど越し及び総合点)を下記の基準で評価し、その後協議により最終スコアを決定した。
1:舌にざらつきを感じ、極めて口に残る
2:舌にざらつきを感じ、口に残る
3:舌にざらつきはあまり感じないが、口に残る
4:舌にざらつきは感じないが、わずかに口に残る
5:舌にざらつきは全く感じず、口に残らない
1:ドロドロとしており、喉に通りづらく、後味が極めて残る
2:ドロドロとしており、喉に引っかかり、後味が残る
3:さらさらとしているが、喉に少し残り、後味が僅かに残る
4:さらさらとしており、喉に引っかからず、後味が残らない
5:さらさらとしており、喉に全く引っかからず、後味が全く残らない
1:コクがない
2:ややコクがない
3:普通
4:ややコクがある
5:コクがある
基質としてCMC(カルボキシメチルセルロース)3.11%(質量/体積)溶液を用い、反応pH6.0、反応温度40℃で30分間反応させる。その後、CMCの分解による基質溶液粘度低下とノボザイムズ社スタンダード酵素の検量線をもとに、単位をEGUとして活性を決定する。
基質として0.25%(質量/体積)のポリガラクチュロン酸溶液を用い、pH4.5、反応温度40℃で10分間反応させる。その後、ポリガラクチュロン酸の分解による還元糖増加を3,5−ジニトロサリチル酸にて反応させて540nmにて吸光度測定を行い、ポリガラクチュロン酸濃度を変えた検量線をもとに、単位をPGNUとして活性を決定する。
小松菜を洗浄し水切りした後、包丁で3cm程度の大きさに裁断し、蒸煮コンベアを用いて、100℃の飽和水蒸気で70秒間スチームブランチング処理を行った。その後、コミトロール((株)URSCHEL製)を用いてマイクロカッティング仕様のブレード212枚(開口0.127mm)を使用し、周速70m/sで粉砕処理を1回行った。これを87℃で90秒間殺菌した後、22℃の水槽で冷却し、小松菜ペーストを作製した。作製した小松菜ペーストの食物繊維量は1.4質量%であった。
この小松菜ペースト1000gに、セルラーゼ(セルクラスト1.5LFG、ノボザイムズ(株)製、700EGU/g)2gを10質量%水溶液として、またペクチナーゼ(ペクチネックスウルトラSPL、ノボザイムズ(株)製、3800PGNU/g)1gを10質量%水溶液として添加し、小松菜ペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.21g、酵素総量に対するセルラーゼ量を67質量%とした。その後、ホモミクサー(T.K.ホモミクサーMARKII2.5型、プライミクス(株)製)を用いて、30℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に行った。1時間後、95℃において3分間保持することにより、酵素を失活し、小松菜汁を得た。
小松菜を洗浄し水切りした後、包丁で3cm程度の大きさに裁断し、95℃の湯で1分間小松菜を湯通しした後、20℃の水で冷却した。その後、コミトロールを用いて実施例1と同様の粉砕処理を1回行った後、殺菌、冷却を経て小松菜ペーストを作製した。作製した小松菜ペーストの食物繊維量は1.2質量%であった。
この小松菜ペーストに、実施例1と同様の酵素2種を実施例1と同量添加し、小松菜ペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.25g、酵素総量に対するセルラーゼ量を67質量%とした。その後、マイルダー(303V−A、荏原(株)製)を用いて、30℃にて剪断速度8.6×105s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に行った。1時間後、実施例1と同様の方法で酵素を失活し、小松菜汁を得た。
実施例2と同様の小松菜ペーストに、更に90℃で10分間の撹拌処理を行った後、実施例1と同様の酵素2種を実施例1と同量添加し、小松菜ペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.25g、酵素総量に対するセルラーゼ量を67質量%とした。その後、実施例2と同様の方法によりマイルダーを用いて、機械的剪断処理と酵素反応を同時に行い、酵素を失活し、小松菜汁を得た。
小松菜を洗浄し水切りした後、鍋で小松菜を3分間蒸し、ミクロマイスターミニ(4M7−10、増幸産業(株)製)にて目開き2.5mmの4枚刃を使用し、2500rpmで破砕処理を1回行った。これをミクロマイスター(3M7−40、増幸産業(株)製)にてブレードにS216(目開き0.08mm、9枚刃)を用いて9000rpmで破砕処理を1回行った。これを水で1.5倍に希釈し、小松菜ペーストを作製した。作製した小松菜ペーストの食物繊維量は1.1質量%であった。
この小松菜ペーストに、実施例1と同様の酵素2種を実施例1と同量添加し、小松菜ペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.27g、酵素総量に対するセルラーゼ量を67質量%とした。その後、実施例1と同様の方法によりホモミクサーを用いて、機械的剪断処理と酵素反応を同時に行い、酵素を失活し、小松菜汁を得た。
人参を5cm長さに切断して100℃の飽和水蒸気(ウォーターオーブンAX−HT3−W、シャープ製)で9分間加熱処理を行った後、包丁で裁断した。これをジューサーミキサー(MX−152S、National)でペースト処理し、水で1.7倍に希釈し人参ペーストを作製した。作製した人参ペーストの食物繊維量は1.9質量%であった。
この人参ペーストに、実施例1と同様の酵素2種を実施例1と同量添加し、人参ペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.16g、酵素総量に対するセルラーゼ量を67質量%とした。その後、実施例1と同様のホモミクサーを用いて、30℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に10分間行った後、直径7.5cmの2段撹拌翼を用いて30℃にて150rpmで50分間撹拌した。この操作を2回繰り返し、実施例1と同様の方法で酵素を失活し、人参汁を得た。
市販の濃縮トマトペースト(Bx28)を2.25倍に希釈し、トマトペーストを作製した。作製したトマトペーストの食物繊維量は1.9質量%であった。
このトマトペースト1000gに、実施例1と同様の酵素2種を、セルラーゼの10質量%水溶液10gと、ペクチナーゼの10質量%水溶液40gを添加し、トマトペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.26g、酵素総量に対するセルラーゼ量を20質量%とした。その後、実施例1で使用したホモミクサーで、40℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に行った。90分後、実施例1と同様の方法により酵素を失活し、これを水で1.5倍に希釈してトマト汁を得た。
実施例1と同様の方法で小松菜ペーストを作製し、これを使用した。
実施例2と同様の方法で小松菜ペーストを作製し、これを使用した。
実施例5と同様の方法で人参ペーストを作製し、これを使用した。
実施例6と同様の方法でトマトペーストを作製し、これを水で1.5倍に希釈して使用した。
実施例4と同様の方法で小松菜ペーストを作製し、実施例4と同様の酵素2種を実施例4と同量添加した。
その後、直径7.5cmの2段撹拌翼を用いて30℃にて150rpmで60分間撹拌した後、実施例4と同様の方法で酵素を失活し、小松菜汁を得た。
実施例6と同様の方法で作製したトマトペースト1000gに、実施例6と同様のセルラーゼ5gを、10質量%水溶液として添加し、トマトペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.26g、酵素総量に対するセルラーゼ量を100質量%とした。
その後、実施例6で使用したホモミクサーで、30℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に行った。120分後、実施例6と同様の方法により酵素を失活し、トマト汁を得た。
実施例6と同様の方法で作製したトマトペースト1000gに、実施例6と同様のペクチナーゼ5gを、10質量%水溶液として添加し、トマトペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.26g、酵素総量に対するセルラーゼ量を0質量%とした。
その後、実施例6で使用したホモミクサーで、30℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に行った。60分後、実施例6と同様の方法により酵素を失活し、トマト汁を得た。
実施例6と同様の方法でトマトペーストを作製し、これを実施例6で使用したホモミキサーで、40℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理を90分間行った。その後、機械的剪断処理を行ったトマトペースト1000gに、実施例6と同様の酵素2種を実施例6と同量添加し、直径7.5cmの2段撹拌翼を用いて40℃にて250rpmで撹拌した。90分後、実施例6と同様の方法により酵素を失活し、トマト汁を得た。
実施例6と同様の方法でトマトペーストを作製し、実施例6と同様の酵素2種を実施例6と同量添加した。これを直径7.5cmの2段撹拌翼を用いて40℃にて250rpmで90分間撹拌した後、実施例6と同様の方法により酵素を失活した。酵素失活したトマトペーストを、実施例6で使用したホモミクサーを用いて40℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理を90分間行い、トマト汁を得た。
実施例6と同様の方法で作製したトマトペースト1000gに、実施例6と同様の酵素2種を、セルラーゼ1.6gを10質量%水溶液として、またペクチナーゼ6.4gを10質量%水溶液として添加し、トマトペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.42g、酵素総量に対するセルラーゼ量を20質量%とした。
その後、実施例6で使用したホモミクサーで、40℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に行った。90分後、実施例6と同様の方法により酵素を失活し、トマト汁を得た。
実施例6と同様の方法で作製したトマトペースト1000gに、実施例6と同様の酵素2種を、セルラーゼ0.38gを10質量%水溶液として、またペクチナーゼ1.52gを10質量%水溶液として添加し、トマトペーストの食物繊維量1gあたりの酵素総量を0.10g、酵素総量に対するセルラーゼ量を20質量%とした。その後、実施例6と同様の方法によりホモミクサーを用いて、機械的剪断処理と酵素反応を同時に行い、酵素を失活し小松菜汁を得た。
実施例6と同様の方法でトマトペーストを作製し、実施例6と同様の酵素2種を実施例6と同量添加した。その後、実施例6で使用したホモミクサーで、20℃にて剪断速度4.4×104s-1で機械的剪断処理と酵素反応を同時に行った。90分後、実施例6と同様の方法により酵素を失活し、トマト汁を得た。
図1、表1及び2から、本発明方法により得られた野菜汁又は果汁は飲み易く、かつ不溶性固形分表面積が高くCa吸収性が向上していることがわかる。
セルラーゼのみ、又はペクチナーゼのみを用いて処理をした場合(比較例6、7)、平均粒径が大きく舌触りが不十分であり、粘度が高くのど越しが不十分であった。また、酵素処理と剪断処理を同時に行わなかった場合(比較例8、9)、粒径が大きく、不溶性固形分表面積が低かった。また粘度が高く、のど越しが不十分であった。
また、酵素量が多すぎる場合(比較例10)、不溶性固形分が低下し、コクが不十分となった。一方、酵素量が不足の場合(比較例11)、粒径が大きく、粘度が高くのど越しが不十分であった。酵素処理の温度が低い場合(比較例12)、粘度が高くのど越しが不十分であった。
Claims (5)
- 野菜及び/又は果実を、次の処理(A)及び処理(B):
(A)25〜60℃でセルラーゼ及びペクチナーゼを用いる酵素処理、
(B)機械的剪断処理
を同時に行う工程を含み、処理(A)における酵素総量が野菜及び/又は果実の食物繊維量1gに対して0.15〜0.4gであり、かつ酵素総量中のセルラーゼ量が10〜70質量%である、野菜汁及び/又は果汁の製造方法。 - 得られる野菜汁及び/又は果汁の不溶性固形分表面積が65cm2/(g−野菜汁及び/又は果汁)以上である請求項1記載の製造方法。
- 得られる野菜汁及び/又は果汁の不溶性固形分の体積平均粒径が60μm以下である請求項1又は2記載の製造方法。
- 不溶性固形分を0.4〜5質量%含有し、不溶性固形分の体積平均粒径が5〜60μm、不溶性固形分表面積が65cm2/(g−野菜汁及び/又は果汁)以上である、野菜汁及び/又は果汁。
- 20℃における粘度が1〜40mPa・sである、請求項4記載の野菜汁及び/又は果汁。
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