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JP2012119395A - 半導体デバイスダイシング用粘着テープ及び半導体デバイスチップの製造方法 - Google Patents

半導体デバイスダイシング用粘着テープ及び半導体デバイスチップの製造方法 Download PDF

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JP2012119395A JP2010265688A JP2010265688A JP2012119395A JP 2012119395 A JP2012119395 A JP 2012119395A JP 2010265688 A JP2010265688 A JP 2010265688A JP 2010265688 A JP2010265688 A JP 2010265688A JP 2012119395 A JP2012119395 A JP 2012119395A
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Takeshi Takeuchi
剛 竹内
Tsutomu Yoshitani
勉 芳谷
Shozo Yano
正三 矢野
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】ダイシング工程におけるヒゲ状切削屑の付着が低減され、半導体デバイスレーザーマークを中心とした部分に粘着剤付着が低減された半導体デバイスダイシング用粘着テープ及びそれを用いた半導体デバイスチップの製造方法を提供する。
【解決手段】基材樹脂フィルム10上に粘着剤層20が形成された半導体デバイスダイシング用粘着テープ100であって、該粘着剤層20に接する基材樹脂フィルム10を構成する樹脂組成物は、メルトフローレートが1〜20でかつ重量平均分子量が15万〜60万のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とする半導体デバイスダイシング用粘着テープ100。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体デバイスを小片に切断分離する半導体デバイスダイシング工程に用いられる半導体デバイスダイシング用粘着テープ及びそれを用いた半導体デバイスチップの製造方法に関する。本明細書において半導体デバイスとは、半導体デバイスウエハや半導体デバイス一括モールド封止パッケージの両者を含む。
回路パターンの形成された半導体デバイスウエハをチップ状に分離する、いわゆるウエハダイシング加工を行うに際し、半導体デバイスウエハをダイシング用粘着テープに固定し、ピックアップする方式が提案されている。この方式では、半導体デバイスウエハは、マウント工程に移されるまでにウエハダイシング用粘着テープに貼着、固定された状態で、チップ状にウエハダイシングされる。その後、得られた半導体デバイスウエハチップは洗浄され、乾燥された後に、ピックアップされ、硬化樹脂による封止によりパッケージ化されて、半導体デバイスパッケージとされる。
従来、上記の工程で半導体デバイスウエハチップ作製した後に別個に封止する方法が用いられてきた。近年、一枚の基板上にボンディングされた複数の半導体デバイスウエハチップを硬化樹脂で一括封止したパッケージをパッケージダイシングして個々の半導体デバイスを得る、一括モールド封止パッケージダイシングが行われている。
一括封止方式における硬化樹脂からなる封止樹脂層には、製品ロット番号やメーカーのロゴマーク等の捺印加工がレーザー光で行われている。この方法は、封止樹脂層の表面にレーザー光によりわずかな溝を形成し、さらにその溝の表面に、レーザー光のエネルギーによって変性・発色した封止樹脂からなる微量の灰もしくは屑を堆積させることによりレーザーマーキングする方法である。ところが、従来のパッケージダイシング用粘着テープが、前記樹脂面に貼着され、パッケージダイシング後に半導体デバイスをピックアップする際、捺印加工部に該粘着テープの粘着剤が付着し、半導体デバイスの歩留まりが低下することがあった。
そこで粘着剤層にエネルギー線硬化型の粘着剤を用い、かつ該粘着剤層のエネルギー線硬化前の貯蔵弾性率が特定の値以上である半導体パッケージダイシング用粘着テープが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし特許文献1記載の粘着テープでは、粘着剤の付着低減については十分とはいえない。
一方、ダイシング工程においては、回転刃であるダイシングブレード(以下ブレード)が、半導体デバイスウエハダイシング用粘着テープ、または半導体デバイスパッケージダイシング用粘着テープの基材樹脂フィルムの一部まで切り込まれる。このため、半導体デバイスウエハ、または半導体デバイスパッケージ切削屑の他に、該粘着テープの基材樹脂フィルムが切削時に溶融・延伸された糸状のヒゲ状切削屑が発生し、この切削屑が半導体デバイス表面の凹凸に残留することが多い。特に、一括封止されたパッケージをダイシングする際にはダイシングブレード刃厚が0.1〜0.5mm程度の厚いものを用いるため、ダイシングブレード刃厚が0.02〜0.1mm程度の薄いものを用いる半導体デバイスウエハをダイシングする場合と比較して、特にヒゲ状切削屑が発生しやすい。
また近年、半導体デバイスパッケージを小型化する要求が大きくなっている。このため、ダイシング切削予定ラインを狭くし、ダイシングブレードを薄くする必要がある。この場合、ダイシング工程でのダイシングブレード切削負荷が過剰になることによるブレード破損を防止するため、ダイシングブレードは硬くされている。このため、ダイシングブレードの自己磨耗による自己発刃機能が低下し、ヒゲ状切削屑が増加する傾向にある。一般に、ダイシングブレードは自己磨耗により自己発刃機能を活性化させて切削性能を出すため、逆に自己磨耗を活発にしすぎるとブレードの寿命が短くなる。このため切削性を低下させて耐磨耗性を上げたブレードも上市されている。この場合、ヒゲ状切削屑がさらに発生しやすくなっている。
特許文献2には粘着剤面側の基材フィルム樹脂として、エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を用いた半導体ウエハダイシング用粘着テープが提案されている。特許文献2記載の粘着テープでは、アイオノマー化によってカルボキシル基が金属架橋に消費されることにより、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性が低下して半導体デバイスレーザーマーク部に粘着剤が付着し、半導体デバイスパッケージダイシングに使用するには十分とはいえない。
特開2005−277297号公報 特許第3845129号公報
本発明は、ダイシング工程におけるヒゲ状切削屑の付着が低減され、半導体デバイスレーザーマークを中心とした部分に粘着剤付着が低減された半導体デバイスパッケージダイシング用粘着テープ及びそれを用いた半導体デバイスパッケージチップの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、半導体デバイスダイシング用粘着テープの粘着剤層に接する基材樹脂フィルムの重量平均分子量とメルトフローレートが特定の範囲内のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分として用いることにより、半導体デバイスレーザーマークを中心とした部分に粘着剤付着を著しく低減できることを見出した。
さらに、本発明者らは、粘着剤層に接する基材樹脂フィルムの重量平均分子量とメルトフローレートを特定の範囲内のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とすることにより、粘着剤付着の低減だけでなく、ダイシング工程でのブレードと被切削体との切削抵抗熱による溶融物の発生を少なくでき、溶融したヒゲ状切削屑が発生してもその切削屑が切れやすく、半導体デバイスチップにヒゲ状切削屑が付着しにくくなることを見出した。
本発明はこの知見に基づきなされたものである。
すなわち本発明は、以下の半導体デバイスダイシング用粘着テープ及びそれを用いた半導体デバイスチップの製造方法を提供するものである。
<1>基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された半導体デバイスダイシング用粘着テープであって、該粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、メルトフローレートが1〜20かつ重量平均分子量が15万〜60万のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とすることを特徴とする半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
<2>前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が5〜50%であることを特徴とする<1>記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
<3>前記基材樹脂フィルムが少なくとも3層以上の樹脂フィルムからなり、該樹脂フィルムの最外層と粘着剤層に接する樹脂フィルムに挟まれた層の曲げ弾性率が、粘着剤層に接する基材樹脂フィルム層の曲げ弾性率より大きいことを特徴とする<1>又は<2>記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
<4>前記樹脂フィルムの最外層と粘着剤層に接する樹脂フィルムに挟まれた層を構成する樹脂組成物が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする<3>記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
<5>前記粘着剤層を構成する粘着剤が放射線硬化性であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
<6> 基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された半導体デバイスダイシング用粘着テープであって、該粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、メルトフローレートが1〜20でかつ重量平均分子量が15万〜60万のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とする半導体デバイスダイシング用粘着テープを、半導体デバイスウエハまたは半導体デバイス一括モールド封止パッケージモールド樹脂面に貼合してダイシングを行う工程を含む方法により半導体デバイスチップを作製することを特徴とする半導体デバイスチップの製造方法。
本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープを用いることにより、ダイシング工程におけるヒゲ状切削屑の付着を低減することができ、半導体デバイスチップへの粘着剤付着を低減でき、製品の外観歩留まりを大幅に向上させることができる。
また本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープを、樹脂組成物で一括封止された半導体デバイスウェハまたは半導体デバイス一括モールド封止パッケージモールド樹脂面に貼合してダイシングを行う工程を含む方法により半導体デバイスチップを作製する方法により、ヒゲ状切削屑の付着を低減することができ、半導体デバイスチップへの粘着剤付着を低減することができる。
本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープの他の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープのさらに他の一実施形態を模式的に示す断面図である。
本発明を、図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープの好ましい一実施態様が模式的に示されている。半導体デバイスダイシング用粘着テープ100には、基材樹脂フィルム10と、基材樹脂フィルム10上に粘着剤層20が形成されている。
また図2には、本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープ好ましい他の一実施形態が模式的に示されている。半導体デバイスダイシング用粘着テープ100では、基材樹脂フィルム10が最外層の樹脂フィルム層1と粘着剤層に接する樹脂フィルム層2とからなり、基材樹脂フィルム10上に粘着剤層20が形成されている。
さらに図3には、本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープ好ましい他の一実施形態が模式的に示されている。半導体デバイスダイシング用粘着テープ100では、基材樹脂フィルム10が最外層の樹脂フィルム層1、最外層の樹脂フィルムと粘着剤層に接する樹脂フィルムに挟まれた樹脂フィルム層2及び粘着剤層に接する樹脂フィルム層3とからなり、基材樹脂フィルム10上に粘着剤層20が形成されている。
1.基材樹脂フィルム
本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープの粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、メルトフローレートが1〜20で、重量平均分子量が15万〜60万のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とする。本発明においては、メルトフローレート(以下、MFRともいう)は、JIS K 7210で規定された、190℃、2.16kg荷重条件による値をいうものとする。また本発明における粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物の重量平均分子量は、以下の方法によって求めた値をいうものとする。
(使用装置)
測定装置:ゲルパーミエイションクロマトグラフ(Waters社製150−C型)
解析装置:システムコントローラ(東ソー(株)製SC−8010型)
検出器:示差屈折計
(測定条件)
カラム:TSKgel GMH6−HT×1+TSKgel GMH6−HTL×1(7.8mmID×60mmL、東ソー(株)製)
移動相:o−ジクロロベンゼン(以下ODCBと略する)
移動相安定剤:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(5g/20kg−ODCB)
カラム温度:140℃
流速:1.0ml/min
注入量:500μl
測定試料濃度:30mg/20ml−ODCB
標準試料濃度:15mg/20ml−ODCB
分子量校正:単分散ポリスチレン16種(東ソー(株)製)
粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物のメルトフローレートと重量平均分子量が上記の範囲内のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分として用いることにより、粘着剤の付着を著しく低減することができ、ヒゲ状切削屑を低減するとともに、切削屑が発生したとしても、その切削屑を切れやすくすることができる。
基材樹脂フィルムは、上記のメルトフローレートと重量平均分子量が上記の範囲内のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分として用い、ダイシング工程でのブレードによる一括モールド封止パッケージの切断に対する耐熱性に優れているものであれば特に制限なく、他の樹脂やゴムなどシート状に成形できるものを併用してもよい。例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、アイオノマー、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムおよびその水添加物または変性物等などを、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体と併用した樹脂組成物を使用することができる。
しかしレーザーマーク部への粘着剤付着については、従来の半導体ウエハダイシング用粘着テープとは比較できないほど高レベルのものが必要とされることから、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体は、樹脂組成物中、好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは、メルトフローレートと重量平均分子量が上記の範囲内のエチレン−酢酸ビニル共重合体のみを用いることが好ましい。
粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物としては、基材樹脂フィルムと粘着剤の密着性を高め、半導体デバイスチップ上に形成されたレーザーマーク部への粘着剤の剥離を低減するために、エチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とした樹脂組成物を用いる。
粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物のベース樹脂成分として、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を用いた場合には、前記樹脂組成物のメルトフローレートが1〜20、かつ重量平均分子量が15万〜60万のものを用いたとしても、粘着剤層との密着力が十分ではなく、レーザーマーク部への粘着剤付着の問題が生じるため、従来の半導体ウエハダイシング用粘着テープに使用することができても、本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープに使用することができない。レーザーマーク部への粘着剤付着については、従来の半導体ウエハダイシング用粘着テープとは比較できないほど高い剥離性が要求されるからである。
これに対して、粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物のベース樹脂成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることにより、粘着層との密着性が一層向上され、レーザーマーク部への粘着剤付着がない優れた半導体デバイスダイシング用粘着テープを提供することができる。さらにエチレン−酢酸ビニル共重合体は様々な品種のものが容易に入手でき、粘着剤との密着性が優れるため、半導体デバイスダイシング用粘着テープに好適に使用することができる。
後述の図3に示すように、基材樹脂フィルム10が少なくとも3層以上の樹脂フィルムからなり、樹脂フィルム層2を構成する樹脂組成物が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどを含有する場合は、粘着剤層に接する層3として上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた場合には、特に粘着剤層との密着性に優れ、レーザーマーク部への粘着剤の付着を著しく低減することができる。
粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合には、酢酸ビニル含量が5〜50%のものを使用することが好ましい。酢酸ビニル含量がこの範囲内のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることにより、粘着剤層との密着性を特に上げることができ、半導体デバイスパッケージチップ上に形成されたレーザーマーク部への粘着剤の剥離を特に低減することができる。なお基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニル共重合体の場合の酢酸ビニル含量は、JIS K 6730によって求めることができる。
基材樹脂フィルムは図1に示されるように単層でもよく、図2、3に示されるように複層(2層以上)でもよい。図1に示されるように基材樹脂フィルムが単層で構成されている場合は、基材樹脂フィルム10を上記のメルトフローレートと重量平均分子量を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分として用いるものとする。
図2に示されるように基材樹脂フィルムが複層で構成されている場合は、基材樹脂フィルム10のうち、少なくとも樹脂フィルム層2を上記のメルトフローレートと重量平均分子量を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分として用いるものとする。また本発明の半導体デバイスダイシング用粘着テープは、図3に示されるように、最外層の樹脂フィルム層1、最外層の樹脂フィルムと粘着剤層に接する樹脂フィルムに挟まれた樹脂フィルム層2及び粘着剤層に接する樹脂フィルム層3が積層された基材樹脂フィルム10上に粘着剤層20が形成されたものでもよい。さらに基材樹脂フィルムは4層以上のフィルムが積層されたものでもよい。基材樹脂フィルムが2層以上からなる場合、粘着剤層に接する樹脂フィルムを上記のメルトフローレートと重量平均分子量を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分として用いることが必要である。この場合、さらに粘着剤層に接する層以外のフィルムも上記のメルトフローレートと重量平均分子量を有するものを使用してもよい。基材樹脂フィルムが2層以上からなる場合は、基材樹脂フィルム間の層間密着が良好なものを組み合わせることが好ましい。
図3に示すように、基材樹脂フィルム10が少なくとも3層以上の樹脂フィルムからなる場合は、樹脂フィルムの最外層1と粘着剤層に接する樹脂フィルム3に挟まれた層2の曲げ弾性率が、粘着剤層に接する樹脂フィルム層3の曲げ弾性率より大きいことが好ましい。これによりテープ背面からに回転丸刃が入り込み易くなり、半導体デバイスに半導体デバイスダイシングテープを貼合するときに、ロール状のテープのカッティング性を向上させることができる。この中でも樹脂フィルム層2を構成する樹脂組成物が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。これにより、ダイシング中の切削熱に耐えることができ、また粘着剤層として放射線硬化性の樹脂組成物を使用した場合の、放射線、例えば紫外線を照射して粘着剤層を硬化させる工程における発熱に耐えうるテープとすることができる。
粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する層には密着性をさらに向上させるために、コロナ処理を施したり、プライマー等の処理を施してもよい。
ダイシング加工時に使用されるブレード外周部断面はR形状を持っていることから、半導体デバイスの側面であるダイシングブレード切削面を平滑にするためには、ブレード刃厚の厚いものを用いるときほどダイシングテープに深く切り込む必要がある。このため、ブレード刃厚の厚いものを用いるときほど基材樹脂フィルムを厚くする必要がある。そこで、基材樹脂フィルムの厚さは、ダイシングに用いるブレード厚さの最低30%以上の厚さとすることが好ましい。一方、基材樹脂フィルムが厚くなりすぎると、半導体デバイスパッケージダイシング用粘着テープの剛性が上がり、作業性が悪化することがある。
モールド樹脂一括封止パッケージダイシング用のブレードとしては刃厚50〜400μm程度のブレードが使用されるので、本発明の半導体デバイスパッケージダイシング用粘着テープの基材樹脂フィルムの厚さは、好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜250μmである。
粘着剤層には、種々の粘着剤を使用することができる。粘着剤としては、何ら限定されるものではない。例えば、ベース樹脂として、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等の材料を用いたものが粘着剤として用いられる。
これらのベース樹脂に凝集力を付加するために架橋剤を配合することができる。架橋剤としては、ベース樹脂に対応して、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン樹脂などが挙げられる。さらに粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種添加成分を含有させることができる。
粘着剤として、放射線硬化型や加熱発泡型の粘着剤を用いることができる。放射線硬化型の粘着剤としては、紫外線、電子線等で硬化し、剥離時には剥離しやすくなる粘着剤を使用することができ、加熱発泡型の粘着剤とは、加熱により発泡剤や膨張剤により剥離しやすくなる粘着剤を使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、たとえば、特開平7−135189号公報等に記載のものが好ましく使用されるがこれらに限定されることはない。本発明においては、紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。その場合には、放射線により硬化し三次元網状化する性質を有すればよく、ベース樹脂成分として、主鎖の有する官能基に対して、放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基及び官能基を併せ持つ単量体の官能基部を結合した重合体(a)を主成分とするものを使用することができる。本発明において、重合体(a)を主成分とするとは、ベース樹脂中の含有割合が50〜100質量%のものをいう。また本発明においては、(メタ)アクリル系単量体は、アクリル系単量体とメタクリル系単量体の両者を含むものとする。
前記重合体(a)はどのようにして製造されたものでもよい。例えば、官能基を有するアクリル系共重合体及び/又はメタクリル系共重合体を(a1)とし、放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有するとともに(a1)の官能基と反応し得る官能基を有する化合物を(a2)とし、これらを反応させて、重合体(a)とすることができる。
前記の官能基を有するアクリル系共重合体及び/又はメタクリル系共重合体(a1)は、例えば、炭素−炭素二重結合を有するアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルなどの単量体(a1−1)と、官能基および炭素−炭素二重結合を有する単量体(a1−2)とを共重合させて得ることができる。
単量体(a1−1)としては、例えば、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が6〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、デシルアクリレート)を挙げることができる。また、単量体(a1−1)としては、例えば、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が5以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、ペンチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、またはこれらと同様のメタクリレートなど)を挙げることができる。
単量体(a1−1)として、アルキルエステルを適宜選択することにより、所望のガラス転移点を有する重合体(a)を得ることができる。
また、ガラス転移点の他、他の成分との相溶性や各種性能を上げる目的で酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどの炭素−炭素二重結合をもつ低分子化合物を(a1−1)に加えて重合体(a)を得ることができる。これらの低分子化合物の配合量は、単量体(a1−1)の5質量%以下とすることが好ましい。
単量体(a1−2)が有する官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、環状酸無水基、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができる。単量体(a1−−2)の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、イタコン酸、フマル酸、フタル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、4−ヒドロキシアルキルアクリレート類、4−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリコールモノアクリレート類、グリコールモノメタクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルアルコール、N−アルキルアミノエチルアクリレート類、N−アルキルアミノエチルメタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、無水フタル酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基またはカルボキシル基および放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有する単量体でウレタン化したものなどを列挙することができる。
前記(a2)の官能基がカルボキシル基や環状酸無水基の場合は、(a1)の有する官能基としては、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができる。また(a2)の官能基が水酸基の場合は、(a1)の有する官能基としては、例えば、環状酸無水基、イソシアネート基などを挙げることができる。(a2)の官能基がアミノ基の場合は、(a1)の有する官能基としては、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができる。(a2)の官能基がエポキシ基である場合には、(a1)の有する官能基としては、例えば、カルボキシル基、環状酸無水基、アミノ基などを挙げることができる。
具体例としては、単量体(a1−2)の具体例で列挙したものと同様のものを列挙することができる。
(a1)と(a2)の反応において、未反応の官能基を残すことにより、酸価または水酸基価などを好ましくは、後述の通りの範囲に適宜設定することができる。
主鎖に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を1つ以上有する(メタ)アクリル系単量体を構成単位として含む重合体(a)は、各種の溶剤中で溶液重合することにより得ることができる。溶液重合で行う場合の有機溶剤としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、芳香族系のものを使用することができる。一般にアクリル系重合体の良溶媒で、沸点60〜120℃の溶剤を使用することが好ましい。例えば、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ベンゼン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。重合開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾビス系、ベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物系などのラジカル発生剤を用いることができる。この際、必要に応じて触媒、重合禁止剤を併用することができ、重合温度および重合時間を調節することにより、所望の分子量の重合体(a)を得ることができる。また、分子量を調節することに関しては、メルカプタン、四塩化炭素系の溶剤を用いることが好ましい。なお、重合体(a)の合成は、溶液重合に限定されるものではなく、塊状重合、懸濁重合など別の方法でもさしつかえない。
本発明において、主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を1つ以上有する(メタ)アクリル系単量体部を有する残基を結合した重合体(a)の重量平均分子量は、10万〜100万程度が好ましい。重量平均分子量が小さすぎると、凝集力が小さくなって、ウエハをダイシングする時に、素子のずれが生じやすくなり、画像認識が困難となることがある。この素子のずれを、極力防止するためには、分子量が、20万以上である方が好ましい。重量平均分子量が大きすぎると、合成時にゲル化する可能性がある。
前記重合体(a)の水酸基価が5〜100の場合は、放射線照射後の粘着力を減少することによりピックアップミスの危険性をさらに低減することができるので好ましい。また、重合体(a)の酸価は0.5〜30となることが好ましい。ここで水酸基価はJIS K 0070に記載のピリジンー塩化アセチル法により測定された値をいい、酸価はJIS K 0070に記載の中和滴定法により測定された値をいうものとする。重合体(a)の水酸基価を適切な範囲内とすることにより、放射線照射後の粘着剤層の流動性を適切な範囲内とすることができ、放射線照射後の粘着力を十分に低下させることができる。重合体(a)の酸価を適切な範囲内とすることにより、放射線照射後の粘着剤層の流動性を適切な範囲内とすることができ、テープ復元性を満足させることができる。
本発明の粘着剤層を構成する放射線硬化性樹脂組成物に使用されるベース樹脂成分には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、従来のものを配合してもよい。例えば、天然ゴム、各種の合成ゴムなどのゴム系ポリマー、あるいはポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な他の不飽和単量体との共重合物などのアクリル系共重合体を使用することができる。
その他、通常のゴム系あるいはアクリル系の感圧性ベース樹脂に対して、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物を配合することにより、粘着剤層を構成する樹脂組成物を放射線硬化性とすることができる。本発明における分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物は、放射線の照射により硬化して三次元網状化するものであれば特に制限なく使用することができる。該化合物の分子量としては、重量平均分子量が10,000以下のものが好ましい。放射線の照射による粘着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、分子量が5,000以下でかつ分子内の放射線重合性の炭素−炭素二重結合の数が2〜6個であるものが好ましい。
放射線重合性化合物としては、たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オルガノポリシロキサン組成物、市販のオリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する低分子量化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。配合量は、ベース樹脂100質量部に対し、1〜300質量部である。好ましくは、ベース樹脂100質量部に対し、30〜200質量部、さらに好ましくは、50〜150質量部である。この量が少なすぎると、粘着剤層の放射線の照射による三次元網状化が不十分となり、半導体デバイスパッケージダイシング用粘着テープを半導体デバイスパッケージから剥離しにくくなり、該パッケージを汚染するおそれがある。この量が多すぎると、放射線による重合反応が過度に進み、放射線の照射による硬化収縮が発生する。その結果、粘着剤層が被着体の表面に追従して食い込み、ダイシング後の半導体チップをピックアップする際に、ピックアップしにくくなる。また、放射線重合性化合物の量が多すぎると、粘着剤層の形状を保持しにくくなり、厚み精度が悪くなるなどの問題がある。
粘着剤を構成する樹脂組成物に、イソシアネート系硬化剤を混合することにより、初期の接着力を任意の値に設定することができる。このような硬化剤としては、具体的には多価イソシアネート化合物、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが用いられる。
放射線硬化性の粘着剤の場合には、粘着剤中に光重合開始剤を混入することにより、放射線照射による重合硬化時間ならびに放射線照射量を少なくなることができる。
このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。
粘着剤層の厚さは特に制限されないが、好ましくは4〜100μm、特に好ましくは5〜40μmである。粘着剤層の厚さについては配合組成にもよるが、厚さが薄すぎると、半導体デバイスパッケージへの密着性不足や、ダイシング中のダイフライによる歩留まり低下、さらには飛散したダイがブレードに当たることによるブレード破損が起こる場合がある。粘着剤層の厚さが薄すぎると、ダイシング中ブレード回転により粘着剤層がかき上げられ、ピックアップ工程において半導体デバイスからの剥離不良が起こる場合がある。
本発明の半導体デバイスパッケージダイシング用粘着テープに、一括モールド封止パッケージのパッケージ面を貼合し、ダイシングを行うことにより、半導体チップを作製することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた粘着剤組成、基材構成樹脂は以下のとおりである。
(粘着剤を構成する樹脂組成物A)
ブチルアクリレート(79質量%)、メタクリル酸(1質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(20質量%)からなるアクリル系共重合体に、光重合性炭素−炭素二重結合および官能基を有する化合物として、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工製カレンズMOI(商品名))を反応させて、主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を有するアクリル系単量体部を有する残基を結合した重合体を得た。重合体(a)の重量平均分子量は600,000であった。重量平均分子量は、テトラヒドロフランに溶解して得た1%溶液を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ウオータース社製、商品名:150−C ALC/GPC)により測定した値をポリスチレン換算して算出したものである。また、Wijs法により算出したヨウ素価は1.0であった。重合体(a)100質量部に対して、ポリイソシアネートとして日本ポリウレンタン社製のコロネートL(商品名)を0.5質量部、光重合開始剤として日本チバガイギー社製のイルガキュアー184(商品名)を0.5質量部加えて混合し、放射線硬化性の粘着剤樹脂組成物Aを調製した。
(粘着剤を構成する樹脂組成物B)
ブチルアクリレート(89質量%)、メタクリル酸(1質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(10質量%)からなるアクリル系共重合体100質量部に対して、光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート50質量部、ポリイソシアネートとして日本ポリウレンタン社製のコロネートL(商品名)を0.5質量部、光重合開始剤として日本チバガイギー社製のイルガキュアー184(商品名)を0.5質量部加えて混合し、放射線硬化性の粘着剤樹脂組成物Bを調製した。
(基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物)
基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物として、以下のA1〜A8、B1、B2、C1、C2、及びD1〜D4を用いた。
なお基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物のメルトフローレートは、JIS K 7210で規定された、190℃、2.16kg荷重条件で測定した。また基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニル共重合体の場合の酢酸ビニル含量は、JIS K 6730によって求めた。さらに重量平均分子量は、以下の方法によって求めた。
(使用装置)
測定装置:ゲルパーミエイションクロマトグラフ(Waters社製150−C型)
解析装置:システムコントローラ(東ソー(株)製SC−8010型)
検出器:示差屈折計
(測定条件)
カラム:TSKgel GMH6−HT×1+TSKgel GMH6−HTL×1(7.8mmID×60mmL、東ソー(株)製)
移動相:o−ジクロロベンゼン(以下ODCBと略する)
移動相安定剤:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(5g/20kg−ODCB)
カラム温度:140℃
流速:1.0ml/min
注入量:500μl
測定試料濃度:30mg/20ml−ODCB
標準試料濃度:15mg/20ml−ODCB
分子量校正:単分散ポリスチレン16種(東ソー(株)製)
(樹脂A1)
酢酸ビニル含量が19質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(メルトフローレート2.5、重量平均分子量373,000、曲げ弾性率38MPa)A1を用いた。
(樹脂A2)
酢酸ビニル含量9質量%で、メルトフローレート1.7、重量平均分子量259,000、曲げ弾性率73MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体A2を用いた。
(樹脂A3)
酢酸ビニル含量10質量%で、メルトフローレート9、重量平均分子量189,000、曲げ弾性率72MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体A3を用いた。
(樹脂A4)
酢酸ビニル含量28質量%、メルトフローレート15、重量平均分子量143,000、曲げ弾性率14MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体A4を用いた。
(樹脂A5)
酢酸ビニル含量7質量%、メルトフローレート1.5、重量平均分子量595,000、曲げ弾性率91MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体A5を用いた。
(樹脂A6)
酢酸ビニル含量19質量%、メルトフローレート1.5、重量平均分子量158,000、曲げ弾性率39MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体A6を用いた。
(樹脂A7)
酢酸ビニル含量35質量%、メルトフローレート15、重量平均分子量573,000、曲げ弾性率10MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体A7を用いた。
(樹脂A8)
酢酸ビニル含量9質量%、メルトフローレート16、重量平均分子量186,000、曲げ弾性率74MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体A8を用いた。
(樹脂B1)
酢酸ビニル含量10質量%、メルトフローレート3、重量平均分子量120,000、曲げ弾性率80MPaのエチレン−酢酸ビニル共重合体B1を用いた。
(樹脂B2)
酢酸ビニル含量19質量%、メルトフローレート2.5、重量平均分子量88,000、曲げ弾性率40MPaのエチレン酢酸ビニル共重合体B2を用いた。
(樹脂C1)
三井・デュポンポリケミカル社製Znアイオノマー樹脂、商品名「ハイミラン1706」(曲げ弾性率310MPa)を用いた。
(樹脂C2)
樹脂C2として、三井・デュポンポリケミカル社製Znアイオノマー樹脂、商品名「ハイミランAM7316」(曲げ弾性率38MPa)を用いた。
(樹脂D1)
樹脂D1として、日本ポリプロ社製ポリプロピレン、商品名「ノバテックPP FX4E」(曲げ弾性率650MPa)を用いた。
(樹脂D2)
樹脂D2として、日本ポリエチレン社製高密度ポリエチレン、商品名「ノバテックHD HF560」(曲げ弾性率1,050MPa)を用いた。
(樹脂D3)
樹脂D3として、日本ポリエチレン社製低密度ポリエチレン、商品名「ノバテックLD LF640MA」(曲げ弾性率160MPa)を用いた。
(樹脂D4)
樹脂D4として、日本ポリプロ社製ポリプロピレン、商品名「ノバテックPP FX4E」を70質量パーセントと、クラレ社製スチレンー水添イソプレンースチレンブロック共重合体、商品名「セプトン KF−2104」を30質量%、ドライブレンドし、溶融混練した樹脂組成物(曲げ弾性率240MPa)を用いた。
Figure 2012119395
(実施例1〜13、比較例1〜4)
表2の構成の通り、粘着剤層に接する層の基材樹脂フィルムの厚さ45μm、基材樹脂フィルムの最外層の厚さ45μm、これらの基材樹脂フィルム層に挟まれた層の厚さ60μmとなる様に、2軸混練機で約200℃でフィルム押出成形し、厚さの合計が150μmの実施例1〜13及び比較例1〜4の各基材樹脂フィルムを製造した。
得られた各基材樹脂フィルムの粘着剤層に接する層に、上記の粘着剤を表2の組み合わせの通り、乾燥後の厚さが20μmになるように塗工して、粘着剤層を形成し、実施例1〜13及び比較例1〜4のパッケージダイシング加工用粘着テープを製造した。
リングフレームに、実施例1〜13および比較例1〜4のパッケージダイシング加工用粘着テープを貼合し、リングフレーム中央部に、巾50mm、長さ150mm、厚さ500μmの一括封止型パッケージを固定した。その後、ダイシング装置(DISCO社製、DAD−340(商品名))を使用して、チップサイズが6mm角となるようにダイシングブレード(三菱マテリアル社製レジンボンドブレードSDC230−R100IP05(商品名)、60×0.32×40)によりパッケージダイシングをおこなった。ダイシング条件は、回転丸刃回転数:30000rpm、切削速度:100mm/s、切削水流量はブレードクーラー:2L/min、シャワー:1L/min、スプレー:1L/minとした。また、ダイシングブレードがパッケージダイシングテープに切り込む深さは100μmとなるように、ダイシングを行った。
以下の試験を行い、その性能を評価した。結果を表2に示した。
(ヒゲ状切削屑残存率)
実施例1〜13および比較例1〜4において、パッケージダイシング後、100チップを観察し、ヒゲ状切削屑の有無を観察した。1チップ当たり50μm以上のヒゲ状切削屑が一つでも残存しているものをヒゲ状切削屑の残存率として表2に表示した。ヒゲ状切削屑の残存率が10%以下のものを合格とし、10%を越えるものを不合格とした。
(粘着剤付着率)
実施例1〜13および比較例1〜4において、パッケージダイシング後、照度4mW/cm2のブラックライトにて積算照射量200mJ/cm2の紫外線を照射し、ピックアップを行った。ピックアップ条件は、キヤノンマシナリー社製CAP−300IIを用い、先端径R:150μmのピンで、突き上げスピード:50mm/sec、ピン突き上げ高さ:1mmとした。ピックアップを行った100チップを観察し、レーザーマーク部の粘着剤の付着の様子を観察した。1チップあたり、レーザーマーク部において10μm以上の粘着剤が一つでも付着しているものを粘着剤付着率とした。粘着剤付着率が1%以下のものを合格、1%を越えるものを不合格とした。
Figure 2012119395
表2に示されているように、粘着剤層に接する層の重量平均分子量が小さい比較例1及び2では、粘着剤付着率は0%と合格レベルであったが、ヒゲ状切削屑が大きく、半導体デバイスダイシング用粘着テープとして使用できるものではなかった。また、比較例3、4では、ヒゲ状切削屑は合格レベルであったが、粘着剤付着率がきわめて大きい結果となった。比較例3、4では、基材樹脂フィルム層と粘着剤層の間での層間剥離が観察され、粘着剤層がデバイスに付着して、半導体デバイスダイシング用粘着テープとして使用できるものではなかった。
これに対して、実施例1〜13の半導体デバイスパッケージダイシング用粘着テープは、ヒゲ状切削屑の残存率と粘着剤付着率がともに合格レベルで、優れた効果を奏するものであった。
1 最外層の樹脂フィルム層
2 最外層の樹脂フィルムと粘着剤層に接する樹脂フィルムに挟まれた樹脂フィルム層
3 粘着剤層に接する樹脂フィルム樹脂フィルム層
10 基材樹脂フィルム
20 粘着剤層
100 半導体デバイスダイシング用粘着テープ

Claims (6)

  1. 基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された半導体デバイスダイシング用粘着テープであって、該粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、メルトフローレートが1〜20かつ重量平均分子量が15万〜60万のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とすることを特徴とする半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
  2. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が5〜50%であることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
  3. 前記基材樹脂フィルムが少なくとも3層以上の樹脂フィルムからなり、該樹脂フィルムの最外層と粘着剤層に接する樹脂フィルムに挟まれた層の曲げ弾性率が、粘着剤層に接する基材樹脂フィルム層の曲げ弾性率より大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
  4. 前記樹脂フィルムの最外層と粘着剤層に接する樹脂フィルムに挟まれた層を構成する樹脂組成物が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項3記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
  5. 前記粘着剤層を構成する粘着剤が放射線硬化性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の半導体デバイスダイシング用粘着テープ。
  6. 基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された半導体デバイスダイシング用粘着テープであって、該粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、メルトフローレートが1〜20でかつ重量平均分子量が15万〜60万のエチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂成分とする半導体デバイスダイシング用粘着テープを、半導体デバイスウエハまたは半導体デバイス一括モールド封止パッケージモールド樹脂面に貼合してダイシングを行う工程を含む方法により半導体デバイスチップを作製することを特徴とする半導体デバイスチップの製造方法。
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