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JP2012191937A - アルコール飲料の製造方法 - Google Patents

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Kenji Arai
健司 新井
Atsushi Tanigawa
篤史 谷川
Masahide Sato
雅英 佐藤
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Abstract

【課題】インドール濃度が十分に低いアルコール飲料を製造するための方法を提供すること。
【解決手段】アルコール飲料を製造する方法であって、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質の存在下、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる発酵工程を含み、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質は、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルコール飲料の製造方法に関する。
酵母を利用して醸造されるアルコール飲料において、香味はその品質を決定する重要な因子である。例えば、ビール、発泡酒、ワイン、清酒、その他の醸造酒においては、需要者の好みに合った香味の飲料を開発することに主眼を置いて様々な研究が進められている。
アルコール飲料の香味に影響を与える因子の中でも、含硫化合物は、酵母を利用して醸造されるアルコール飲料の香味に負の影響を与える因子としてよく知られている。
特に、低窒素麦汁を発酵させて醸造される発泡酒や、麦芽と大麦の代わりにエンドウ、大豆等を原料に使用して醸造されるアルコール飲料の場合には、硫黄臭の原因となる硫化水素が最終製品中に残存することがあり、アルコール飲料の香味や品質に悪影響を与えることが商品開発上の大きな問題となっている。
このため、酵母の含硫化合物の生成を抑制するための方策がいくつか提案されている。そのような方策としては、例えば、酵母がアルコール発酵を活発に行う発酵工程で、原料液に硫化水素の代謝物を過剰に加えて、硫化水素の生成をフィードバック阻害する方法や、硫化水素産生能の低い醸造用酵母株を選抜し、これを用いて醸造する方法が挙げられる。
これに関して、ビールの醸造に使用される下面ビール酵母では、発酵工程における麦汁中のメチオニン濃度又はアンモニウムイオン濃度を高めることによって、硫化水素の生成がフィードバック阻害されることが報告されている(非特許文献1)。
また、ワインの醸造に使用するワイン酵母については、硫化水素産生能が低い酵母株として、含硫アミノ酸アナログ(例えば、エチオニン、セレノメチオニン、S−エチルシステイン)の耐性株が報告されている(特許文献1)。
特開平8−214869号公報
J.ASBC,2004年,62巻,1号,p.35−41
ところで、本発明者らは、アルコール飲料に関して、従来の製造方法では、発酵工程でインドールが生成され、これがオフフレーバーの原因となることを見出した。
本発明の課題は、インドール濃度が十分に低いアルコール飲料を製造するための方法を提供することにある。
本発明は、アルコール飲料を製造する方法であって、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質の存在下、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる発酵工程を含む方法を提供する。
通常、酵母を用いたアルコール飲料の製造方法は、主原料(例えば、穀類(麦芽、大麦、米、コーン等)、豆類(エンドウ、大豆等))及び水を含む原料混合物を加温する仕込工程と、原料混合物(原料液)中の糖分(エキス分)を酵母に分解させてアルコール発酵させる発酵工程と、発酵工程で得られた発酵液中に残存する糖分(エキス分)を低温で再発酵させ、発酵液を熟成させる貯酒工程と、の3工程を含む。
本発明の方法は、発酵工程における発酵を、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質の存在下で行うものである。ビタミンB群に属する物質は、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる際のインドール及び硫化水素の生成を抑制することができる。そのため、本発明の方法によれば、発酵中のインドール及び硫化水素の生成が顕著に抑制され、その結果、インドール及び硫化水素の濃度が十分に低く、香味の優れたアルコール飲料を製造することが可能となる。
また、本発明の方法を用いれば、発酵液中のインドールを低減させるための長期の貯酒期間を設ける必要がないため、貯酒期間の短縮が可能となる。
また、本発明の方法によれば、発酵速度の低下や主要な香味成分の減少を生じることなく、アルコール飲料を製造することが可能となる。また、例えば、含硫アミノ酸アナログの耐性株を用いて酵母育種を行う必要がないので、アルコール飲料の開発コストを抑制することができる。
上述のように、本発明の方法によれば、ビタミンB群に属する物質の非存在下で製造されたアルコール飲料と比較して、インドール及び硫化水素の濃度が低減され、香味が改善されたアルコール飲料を製造することが可能となる。すなわち、本発明の方法はまた、香味の改善されたアルコール飲料を製造する方法、インドール濃度の低減されたアルコール飲料を製造する方法、及び硫化水素濃度の低減されたアルコール飲料を製造する方法である。
本発明は、本発明の方法により得ることができるアルコール飲料を包含する。
ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質は、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる際のインドール及び/又は硫化水素の生成抑制剤として使用することができる。
また、ビタミンB群に属する物質は、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる際の発酵を促進する作用を有する。したがって、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質は、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる際の発酵を促進するための発酵促進剤として使用することができる。
このような発酵促進剤をアルコール飲料の製造に用いれば、発酵が促進され、その結果、香味の改善されたアルコール飲料を製造することが可能となる。また、発酵期間が短縮され、アルコール飲料の製造コストを低減させることが可能となる。また、アルコール濃度の高い飲料(例えば、アルコール濃度が8%以上の飲料)を選択的に製造することが可能となる。
本発明において、ビタミンB群に属する物質としては、例えば、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ビオチン、葉酸、プテロイルトリグルタミン酸、プテロイルヘプタグルタミン酸、シアノコバラミン及びそれらの塩が挙げられ、インドール及び硫化水素の生成抑制効果や発酵促進効果の点で、例えば、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン及びそれらの塩が好ましい。
アルコール飲料としては、例えば、ビール、発泡酒、又は麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料が挙げられる。これらのアルコール飲料は、酵母を使用して醸造される主要なアルコール飲料であり、本発明の方法又は剤を用いて製造するのに好適である。
本発明によれば、インドール濃度が十分に低いアルコール飲料を製造するための方法が提供される。
実施例1で得られた原料液のインドール濃度の経時的変化を示すグラフである。 実施例2で得られた原料液(試験液)のインドール濃度の経時的変化を示すグラフである。 実施例3で得られた原料液のインドール濃度を示すグラフである。 実施例4で得られた原料液のインドール濃度を示すグラフである。 実施例5で得られた原料液のインドール濃度の経時的変化を示すグラフである。 実施例6で得られた濾液の硫化水素濃度を示すグラフである。 実施例7で得られた濾液の硫化水素濃度を示すグラフである。 実施例8で得られた原料液の残存エキス量の経時的変化を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のアルコール飲料の製造方法は、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質の存在下、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる発酵工程を含むものである。
本発明の発酵促進剤は、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる際の発酵を促進するための発酵促進剤であって、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質からなるものである。
本発明において、「アルコール飲料」とは、原料となる穀類(麦芽、大麦、米、コーン等)、豆類(エンドウ、大豆等)又は果実(ブドウ、リンゴ、杏等)を酵母にアルコール発酵させて得られる飲料のことをいい、例えば、ビール、発泡酒、ワイン、清酒、又は麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料が挙げられる。なお、「ビール」とは、麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの、又は麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品(麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類、又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料)を原料として発酵させたものであって、麦芽使用比率が2/3以上のものをいう。また、「発泡酒」とは、麦芽又は麦を原料の一部とした、発泡性を有する酒類であって、麦芽使用比率が2/3未満のものをいう。また、「麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料」とは、麦芽及び麦の代わりにエンドウ、大豆、コーン等を原料に使用して醸造した、ビール風味の発泡性アルコール飲料のことをいう。
本発明において、アルコール飲料としては、インドール及び硫化水素の生成抑制効果や発酵促進効果の点で、例えば、ビール、発泡酒、又は麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料が好適であり、発泡酒、又は麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料がより好適であり、麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料が更に好適である。
通常、酵母を用いたアルコール飲料の製造方法は、主原料(例えば、穀類(麦芽、大麦、米、コーン等)、豆類(エンドウ、大豆等))及び水を含む原料混合物を加温する仕込工程と、原料混合物(原料液)中の糖分(エキス分)を酵母に分解させてアルコール発酵させる発酵工程と、発酵工程で得られた発酵液中に残存する糖分(エキス分)を低温で再発酵させ、発酵液を熟成させる貯酒工程と、の3工程を含む(場合により、貯酒工程で得られた熟成液から酵母及び混濁物質を取り除く濾過工程を更に含む)。本発明の方法又は剤を用いてアルコール飲料を製造する場合、発酵工程において、ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質を共存させること以外は、酵母を用いた従来のアルコール飲料の製造方法と同様にして、アルコール飲料を製造することができる。発酵工程の条件(酵母菌株、培地、培地への通気量、発酵温度、発酵時間等)についても、従来の方法と同様に適宜選択することができる。
ビタミンB群に属する物質としては、例えば、チアミン、リボフラビン、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)、パントテン酸、ビタミンB(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)、ビオチン、ホラシン(葉酸、プテロイルトリグルタミン酸、プテロイルヘプタグルタミン酸)、シアノコバラミン及びそれらの塩(例えば、チアミン塩酸塩、パントテン酸カルシウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサール塩酸塩、ピリドキサミン塩酸塩)が挙げられる。インドール及び硫化水素の生成抑制効果や発酵促進効果の点で、例えば、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)、ビタミンB(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)及びそれらの塩(例えば、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサール塩酸塩、ピリドキサミン塩酸塩)が好ましい。
発酵の際に共存させる、ビタミンB群に属する物質の量は、インドール及び硫化水素の生成抑制効果や発酵促進効果の点で、例えば、ビタミンB(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)又はその塩の場合は、当該物質及び水を含む原料混合物(原料液)に対して0.01〜50ppm(w/v)であることが好ましく、0.1〜20ppm(w/v)であることがより好ましく、1〜10ppm(w/v)であることが更に好ましい。また、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)の場合は、当該物質及び水を含む原料混合物(原料液)に対して0.01〜50ppm(w/v)であることが好ましく、5〜40ppm(w/v)であることがより好ましく、9〜27ppm(w/v)であることが更に好ましい。
本発明の方法を用いれば、インドール及び硫化水素の濃度が十分に低く、香味の優れたアルコール飲料を製造することができる。アルコール飲料の「香味」とは、例えば、芳香性、芳醇性(コク)、酸味、甘味、塩味、苦味、キレ味、口当たり等のことをいう。アルコール飲料の香味は、製造されたアルコール飲料をパネリストに試飲させ、官能評価試験を実施することによって評価することができる。また、アルコール飲料の香味は、香味に負の影響を与える因子(例えば、硫化水素又はダイアセチルの濃度)を分析することによって、数値化して評価することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「ppm」及び「ppb」は、特に断らない限り、それぞれ、原料液に対するppm(w/v)及びppb(w/v)を表すものとする。また、図面中、「ピリドキシン」、「ピリドキサール」及び「ピリドキサミン」は、それぞれピリドキシン塩酸塩、ピリドキサール塩酸塩及びピリドキサミン塩酸塩を表すものとする。
〔実施例1:ピリドキシン塩酸塩によるインドール生成抑制〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
まず、エンドウタンパク、糖類及びカラメル色素を80℃の湯に溶かし、そこにホップを加えて煮沸し、これを冷却してもろみを得た。得られたもろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にピリドキシン塩酸塩10ppmを添加して、原料液(試験液)を得た。また、もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムのみを添加して、コントロールとなる原料液を得た。
他方、上述と同様にして調製したもろみに下面ビール酵母(S.pastorianus)を添加し、4〜5日間、12〜15℃で好気培養した。培養した下面ビール酵母を各原料液に添加し、4〜5日間、12〜15℃で発酵させた(発酵工程)。次いで、得られた発酵液を酵母と共に貯酒タンクに移して10℃で1週間静置し、引き続き1℃で2週間静置して熟成させ(貯酒工程)、更に酵母及び浮遊物を濾過して(濾過工程)、発泡性アルコール飲料を得た。なお、発酵工程の条件は次の通りである。
・エキス濃度:約11%
・原料液の容量:2.5L
・原料液の溶存酸素濃度:約5〜10ppm(v/v)
・下面ビール酵母投入量:20〜24g湿酵母菌体
(インドール濃度の測定)
酵母添加後15、30、39及び63時間の時点で、各原料液のインドール濃度を測定した。インドール濃度の測定は、下記の装置及び条件を用いて行った。測定の際のサンプルは、NaCl 3gを入れた20mL容ガラスバイアルに原料液8mLを入れて調製した(調製後、測定時までバイアルを密栓して保存した)。
・装置:GC−MS(GC:Agilent6890、MS:Agilent5973)
・カラム:HP−1MS(30m×250μm×1.0μm)
・温度条件:60℃に5分間保持した後、10℃/分で250℃に昇温させる。
・インジェクション温度:250℃
・SPMEファイバー:100μm Polydimethylsiloxane(Red plain)
・吸着条件:40℃で15分間振とうした後、40℃で15分間吸着させる。
・SIMターゲットイオン:117
図1は、原料液のインドール濃度の経時的変化を示すグラフである。
図1から明らかなように、発酵工程において原料液中にピリドキシン塩酸塩10ppmを共存させた場合は、ピリドキシン塩酸塩が存在しない場合と比較して、インドールの生成が顕著に抑制された。
〔実施例2:ピリドキシン塩酸塩によるインドール生成抑制〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にピリドキシン塩酸塩0.1ppm、1ppm、5ppm又は10ppmを添加して、原料液(試験液)を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性アルコール飲料を得た。
(インドール濃度の測定)
酵母添加後24時間、48時間、72時間及び96時間の時点で、各原料液のインドール濃度を測定した(コントロールについては、8時間の時点でもインドール濃度を測定した)。インドール濃度は、実施例1と同様にして測定した。
表1は、原料液(コントロール)のインドール濃度の経時的変化を示す表である。図2は、原料液(試験液)のインドール濃度の経時的変化を示すグラフである。
Figure 2012191937
表1及び図2から明らかなように、発酵工程において原料液中にピリドキシン塩酸塩0.1ppm、1ppm、5ppm又は10ppmを共存させた場合は、ピリドキシン塩酸塩が存在しない場合と比較して、インドールの生成が顕著に抑制された。また、ピリドキシン塩酸塩1ppm、5ppm又は10ppmを共存させた場合は、ピリドキシン塩酸塩0.1ppmを共存させた場合と比較して、インドールの生成が顕著に抑制された。
〔実施例3:ピリドキサール塩酸塩によるインドール生成抑制〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にピリドキサール塩酸塩1ppm又は10ppmを添加して、原料液(試験液)を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性アルコール飲料を得た。
(インドール濃度の測定)
酵母添加後3日目に、各原料液のインドール濃度を測定した。インドール濃度は、実施例1と同様にして測定した。
図3は、原料液のインドール濃度を示すグラフである。
図3から明らかなように、発酵工程において原料液中にピリドキサール塩酸塩1ppm又は10ppmを共存させた場合は、ピリドキサール塩酸塩が存在しない場合と比較して、インドールの生成が顕著に抑制された。
〔実施例4:ピリドキサミン塩酸塩によるインドール生成抑制〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にピリドキサミン塩酸塩1ppm又は10ppmを添加して、原料液(試験液)を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性アルコール飲料を得た。
(インドール濃度の測定)
酵母添加後3日目に、各原料液のインドール濃度を測定した。インドール濃度は、実施例1と同様にして測定した。
図4は、原料液のインドール濃度を示すグラフである。
図4から明らかなように、発酵工程において原料液中にピリドキサミン塩酸塩1ppm又は10ppmを共存させた場合は、ピリドキサミン塩酸塩が存在しない場合と比較して、インドールの生成が顕著に抑制された。
〔実施例5:ニコチン酸によるインドール生成抑制〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にニコチン酸9ppmを添加して、原料液(試験液)を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性アルコール飲料を得た。
(インドール濃度の測定)
酵母添加後1、2、3、4及び5日目に、各原料液のインドール濃度を測定した。インドール濃度は、実施例1と同様にして測定した。
図5は、原料液のインドール濃度の経時的変化を示すグラフである。
図5から明らかなように、発酵工程において原料液中にニコチン酸9ppmを共存させた場合は、ニコチン酸が存在しない場合と比較して、インドールの生成が顕著に抑制された。
〔実施例6:ピリドキシン塩酸塩による硫化水素生成抑制〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にピリドキシン塩酸塩10ppmを添加して、原料液(試験液)を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性アルコール飲料を得た。
(硫化水素濃度の測定)
濾過工程後、各濾液(発泡性アルコール飲料)の硫化水素濃度を測定した。硫化水素濃度は、ガスクロマトグラフ6890N(アジレント社)を用いて室温で測定した。検出器としては、Sievers355(アジレント社)を用いた。
図6は、濾液の硫化水素濃度を示すグラフである。
図6から明らかなように、発酵工程において原料液中にピリドキシン塩酸塩10ppmを共存させた場合は、ピリドキシン塩酸塩が存在しない場合と比較して、硫化水素の生成が顕著に抑制された。
〔実施例7:ニコチン酸による硫化水素生成抑制〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にニコチン酸9ppm又は27ppmを添加して、原料液(試験液)を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性アルコール飲料を得た。
(硫化水素濃度の測定)
濾過工程後、各濾液(発泡性アルコール飲料)の硫化水素濃度を測定した。硫化水素濃度は、ガスクロマトグラフ6890N(アジレント社)を用いて室温で測定した。検出器としては、Sievers355(アジレント社)を用いた。
図7は、濾液の硫化水素濃度を示すグラフである。
図7から明らかなように、発酵工程において原料液中にニコチン酸9ppm又は27ppmを共存させた場合は、ニコチン酸が存在しない場合と比較して、硫化水素の生成が顕著に抑制された。
〔実施例8:ピリドキシン塩酸塩による発酵促進〕
(発泡性アルコール飲料の製造)
もろみに硫酸マグネシウム及びリン酸二水素カリウムを添加した後、更にピリドキシン塩酸塩0.1ppm、1ppm、5ppm又は10ppmを添加して、原料液(試験液)を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性アルコール飲料を得た。
(残存エキス量の測定)
酵母添加後0、1、2、3及び4日目に、各原料液の残存エキス量(残存する糖分の量)を測定した。
図8は、原料液の残存エキス量の経時的変化を示すグラフである。
図8から明らかなように、発酵工程において原料液中にピリドキシン塩酸塩0.1ppm、1ppm、5ppm又は10ppmを共存させた場合は、ピリドキシン塩酸塩が存在しない場合と比較して、発酵が促進された。また、ピリドキシン塩酸塩1ppm、5ppm又は10ppmを共存させた場合は、ピリドキシン塩酸塩0.1ppmを共存させた場合と比較して、発酵が顕著に促進された。
実験例1〜5の結果により、ビタミンB群に属する物質の存在下でアルコール飲料の原料を酵母で発酵させる発酵工程を実施すれば、インドール濃度が十分に低いアルコール飲料を得ることが可能となることが示された。
また、実施例6及び7の結果により、ビタミンB群に属する物質の存在下でアルコール飲料の原料を酵母で発酵させる発酵工程を実施すれば、硫化水素濃度が十分に低いアルコール飲料を得ることが可能となることが示された。
また、実施例8の結果により、ビタミンB群に属する物質が、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる際の発酵を促進するために使用可能であることが示された。

Claims (7)

  1. アルコール飲料を製造する方法であって、
    ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質の存在下、アルコール飲料の原料を酵母で発酵させる発酵工程を含み、
    ビタミンB群に属する少なくとも1種の物質は、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、方法。
  2. アルコール飲料は、麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料、或いはビール又は発泡酒である、請求項1に記載の方法。
  3. アルコール飲料は、麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料である、請求項2に記載の方法。
  4. 香味の改善されたアルコール飲料を製造する方法である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. インドール濃度の低減されたアルコール飲料を製造する方法である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 硫化水素濃度の低減されたアルコール飲料を製造する方法である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法により得ることができるアルコール飲料。
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