JP2012189725A - Ti合金バリアメタルを用いた配線膜および電極、並びにTi合金スパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエットエッチングによる加工性に優れた特性を有する新規な配線用膜を提供する。
【解決手段】表示装置またはタッチパネルセンサーの配線用膜であって、合金成分としてX群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含有し、残部Tiおよび不可避不純物からなるTi合金層と、純CuまたはCu合金からなる層とを含む2層以上の積層構造を有することに要旨を有する配線用膜。
【選択図】図1
【解決手段】表示装置またはタッチパネルセンサーの配線用膜であって、合金成分としてX群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含有し、残部Tiおよび不可避不純物からなるTi合金層と、純CuまたはCu合金からなる層とを含む2層以上の積層構造を有することに要旨を有する配線用膜。
【選択図】図1
Description
本発明は、ウエットエッチング性に優れた表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる配線用の薄膜に関するものである。詳細には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置やタッチパネルセンサーに使用される各種配線や電極の形成に有用な配線用膜、該配線用膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置やタッチパネルセンサー、並びに配線用膜を構成するTi合金層の形成に有用なスパッタリングターゲットに関する。以下、液晶ディスプレイを代表例として本発明で対象とする表示装置の背景技術を説明するが、本発明はこれに限定する趣旨ではない。
液晶ディスプレイ等のアクティブマトリックス型の液晶表示装置においては、薄膜トランジスタ(以下「TFT」という。)がスイッチング素子として用いられる。液晶表示装置はTFT素子を備えるTFTアレイ基板と、それに対して所定の間隔をおいて対向配置され共通電極を備えた対向基板と、TFT基板と対向基板との間に充填された液晶層から構成されている。
TFT基板を構成するTFT素子は、ガラス基板上に形成されたTFTのオン・オフを制御するゲート電極と、ゲート絶縁膜を介して設けられた半導体シリコン層(シリコン半導体層)と、それに接続するドレイン電極とソース電極とを有する。ドレイン電極には、更に液晶表示部の画素電極に使用される透明導電膜(透明画素電極)が接続される。ゲート電極や、ドレイン電極およびソース電極に用いられる配線用金属には、電気抵抗(比抵抗)が低い等の理由により、純CuまたはCu合金の適用が求められている。
Cu系膜(以下、純CuとCu合金を含む意味である。)と絶縁体層、半導体層、ガラスとの界面とTFTの半導体シリコン層との界面には、これらが直接接触しないよう、Mo、Cr、W等の高融点金属からなるバリアメタル層を設けられている。
バリアメタル層を介在させずにCu系膜をTFTの半導体層に直接接触させると、その後の工程(例えば、TFTの上に形成する絶縁層等の成膜工程や、シンタリングやアニーリング等の熱工程等)における熱履歴によって、Cu原子がシリコン半導体層中に拡散するとTFT特性が劣化すると共に、Si原子がCu系膜中に拡散するとCu系膜の電気抵抗が増大するという問題が発生する。また拡散したCuとSiの層が形成されると(拡散層)、該拡散層から膜剥離が発生することがある。しかもCu系膜はガラス基板や絶縁体層などとの密着性が十分でないという問題もある。
バリアメタル層はこれら問題を解消する手段としては有効であるが、Mo、Cr、Ti、W等の高融点金属のバリアメタル層を形成すると、微細加工プロセスの際に、Cu系膜とバリアメタル層とで異なるエッチング処理を行う必要があった(2段階エッチング)。複数のプロセスでエッチングを行うと、エッチングコストが増大するだけでなく、プロセスが煩雑になり、スループットが低下するという問題がある。またCu系膜とバリアメタル層を一括でエッチング処理しようとすると、バリアメタルとCu系膜では薬液に対するエッチングレートが異なるため、バリアメタル層が庇やステップ形状に残留しやすく、加工精度が低下するという問題があった。これらの庇やステップは上層に積層する膜のカバレッジ不良をひき起こし、電流のリークや配線間の短絡の原因になり、歩留まりを低下させる原因となっていた。
このようなウエットエッチングによる加工性の問題を回避しつつ、Cu系膜とバリアメタル層を一括処理する技術として、バリアメタル層とCu系膜の両方に適したエッチング液を使用することが提案されている。
例えばウエットエッチングでは通常、硫酸および硝酸を含む混酸系エッチング液が用いられるが、バリアメタル層を構成するMo、Cr、Ti、W等は、配線用膜を構成するCuに比べてエッチングレートが非常に遅いため、バリアメタル層がステップ状や庇の形状に残留しやすく、良好な配線形状が得られない。特に液晶表示装置などの表示装置の配線加工では、高精度の配線加工が要求されており、バリアメタル層のエッチングに時間を要するとCu系膜のエッチングが進行し過ぎてCu系膜が消失してしまうなど所望の精度で加工することが難しい。
そこで例えばエッチング液として、OXONE(登録商標、2KHSO5・KHSO4・K2SO4)またはOXONEと弗酸(HF)とフッ化アンモニウム(NH4F)を混合した混合液を用いてウエットエッチングを行なったときのエッチング不良改善技術が提案されている(特許文献1)。詳細には、特許文献1では、バリアメタルとしてW、Nd、Nbを含むMo合金を用い、Cu/Mo合金の積層膜をゲート配線やデータ配線に用いることにより、OXONE含有エッチング液を用いたときのMo合金膜の損傷を防止してCu系膜の剥がれを防止する方法が開示されている。しかしながら、Cu系膜と純Ti膜の積層膜に上記エッチング液を用いると、バリアメタルである純Ti膜がステップや庇状に残留することがわかった。
本発明は上記事情に着目してなされたものであって、その目的は、ウエットエッチングによるCu系膜とTi系合金膜の加工性を向上させることにある。具体的にはウエットエッチング後、Ti系合金膜のステップ、庇、残渣などがなく、更に良好なテーパー形状を形成できる良好な加工性を有する配線用膜を提供することである。特に従来のバリアメタル層よりもエッチングレートが速いTi系合金膜と、Cu系膜との積層構造で形成された配線用膜、及び該配線用膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置やタッチパネルセンサー、並びにTi合金膜の成膜に適したスパッタリングターゲットを提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明は、合金成分としてX群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含有し、残部Tiおよび不可避不純物からなるTi合金層と、純CuまたはCu合金からなる層とを含む2層以上の積層構造を有することに要旨を有する表示装置またはタッチパネルセンサーの配線用膜である。
また本発明では、前記Ti合金層は、前記純CuまたはCu合金からなる層の上部および/または下部に形成されていることも好ましい実施態様である。
更に本発明では、Ti合金層の膜厚は10〜100nmであることも好ましい実施態様である。
更に前記配線用膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置やタッチパネルセンサーも本発明に含まれる。
更に本発明には、Ti合金層の形成に用いるスパッタリングターゲットであって、前記X群元素を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含み、残部Tiおよび不可避不純物であることを特徴とするTi−X合金スパッタリングターゲットも含まれる。
本発明によれば、従来の高融点金属からなるバリアメタル層の代わりにエッチングレートの速い所定元素Xを含むTi−X合金膜、或いは所定量の酸素を含むTi−X−O合金膜、またはTi−O合金膜(以下、これらをまとめてTi系合金膜ということがある。)を用いることにより、Cu系膜(純CuおよびCu合金を含む意味である。以下、同じ)との積層構造において良好なエッチング性を有する配線用膜を提供できる。したがって本発明で規定する配線用膜を用いれば、一括ウエットエッチングプロセスで問題となっていたステップや庇の残留を抑制して良好な断面形状を形成することが可能となり、Cu系膜とTi系合金膜の配線加工を容易にし、製造歩留まり向上に寄与することができる。また本発明によれば上記配線用膜を構成するTi系合金膜の成膜に好適なスパッタリングターゲットを提供することができる。
本発明者らは、ウエットエッチングによる加工性に優れた特性を有する新規な配線用膜を提供するため、検討を重ねてきた。特に一括ウエットエッチングを行った時のウエットエッチング性に優れた配線用膜を提供するため、Cu系膜の下地材料(バリアメタル)として用いられるTi系材料に着目して検討を重ねて来た。その結果、純Tiではなく、所定元素Xを含むTi−X合金、あるいは所定量の酸素を含むTi−O合金、更に所定元素Xと所定量の酸素を含むTi−X−O合金をバリアメタルとして用いれば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
このように本発明は表示装置やタッチパネルセンサー用の配線用材料としてAlよりも低抵抗のCu系膜(純CuまたはCu合金からなる層)と、Ti系合金膜(Ti合金層)のバリアメタルと、からなる積層構造の配線用膜を用いることによって、ウエットエッチングによる加工性を高めたところに特徴がある。特にエッチング液として、フッ化物含有エッチング液を本発明のTi系合金膜とCu系膜とを含む積層構造の配線用膜のエッチングに用いると、一括パターニングが容易にでき、Ti系合金膜のステップや庇の発生を抑制でき、良好な配線形状を得ることができる。
(第1層)
まず、本発明のTi−X合金膜(第1層)について説明する。
まず、本発明のTi−X合金膜(第1層)について説明する。
本発明に用いられるX群元素は、[希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNi]である。これらの元素は、単独で添加しても良いし、2種以上を併用しても良い。
「希土類元素」とは、ランタノイド元素(周期表において、原子番号57のLaから原子番号71のLuまでの合計15元素)に、Sc(スカンジウム)とY(イットリウム)とを加えた元素群を意味する。希土類元素は1種または2種以上を用いることができる。
好ましいX群元素は、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種、より好ましくはSn、Hf、Zr、及びAlよりなる群から選択される少なくとも一種、更に好ましくはAlおよび/またはZrである。
後記する実施例に示すように、これらの元素は、フッ化物含有エッチング液を用いたときのウエットエッチングレートを速める効果を有することが本発明者らの実験結果によって明らかになった。すなわち、所定量のX群元素を含むTi合金膜は、純Ti膜やX群元素以外の元素を含むTi合金膜に見られるような緻密なTi酸化膜(不動態膜)の形成を抑制することができる。しかもX群元素(及びその酸化物)は、フッ化物含有エッチング液中のフッ化物に起因して溶出しやすいため、Ti−X合金膜のエッチングレートが大幅に上昇する。したがって、純Ti膜を用いた場合に比べて、Cu系膜とのエッチングレート差が減少するため、一括ウエットエッチングによる配線用膜の加工の際、上層のCu系膜と下地のTi−X合金膜との界面の段差(ステップ)や庇形状の処理痕を低減することができ、良好なエッチング形状が得られる。
このように本発明のTi−X合金膜を用いれば、優れたウエットエッチング性を得ることができる。
本発明では、上記X群元素の含有量(単独で含むときは単独の量であり、二種以上を含むときは合計量である)を3原子%以上50原子%以下とする。X群元素の添加による良好なウエットエッチングによる配線加工性を有効に発揮させるためには、X群元素の含有量を3原子%以上とする必要がある。一方、X群元素の含有量が多くなるにつれてエッチングレートは上昇するが、高価な希土類元素などの使用によるコスト上昇を招く。したがってX群元素の含有量の上限を50原子%とする。X群元素の好ましい含有量は4原子%以上40原子%以下であり、より好ましくは5原子%以上30原子%以下である。
本発明のTi−X合金膜は上記X群元素を含み、残部Ti及び不可避不純物である。不可避不純物としては、例えばFe、Si、N、C、Hなどが挙げられるが、これら不可避的に混入してくる微量成分まで規定するものではなく、本発明の特性が阻害されない限り、それら不可避不純物の微量混入は許容することができる。なお、本発明でX群元素として規定しているFeやSiなどが不可避不純物として混入することもあるが、その場合であっても単独でおおむね1.0質量%以下の場合は、不可避不純物とみなす趣旨であって、上記X群元素として算入しない(以下、同じ)。
また他の元素による優れた作用を有効に発揮させる目的で、後記する酸素(固溶酸素)を0.2〜3.0質量%含有させたTi−X−O合金膜としても良い。
以上、本発明のTi−X合金膜について説明した。続いて本発明のTi−O合金膜について説明する。
ウエットエッチングレートに優れる本発明の他の構成であるTi−O合金膜は、合金成分として酸素を0.2〜3.0質量%含有し、残部Ti及び不可避不純物である。
Ti膜中に所定量の固溶酸素を存在させると、エッチングレートを向上させる効果がある。すなわち、所定量の固溶酸素を含むTi−O合金膜をフッ化物含有エッチング液でウエットエッチングすると、エッチング液浸漬後、Ti−O合金膜が溶解し始めてエッチングを開始するまでの時間が早くなるため、ウエットエッチングプロセス時にTi合金の溶出が進むため、Ti系合金膜のステップや庇などの発生を抑制することができる。このような効果を発揮するには、Ti−O合金膜における酸素含有量(固溶量)を0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.35質量%以上とすることが望ましい。一方、酸素含有量が多くなりすぎると、急激にエッチングレートが低下して、エッチング時間短縮効果が得られなくなるため、酸素含有量は3.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。本発明のTi系合金膜中の固溶酸素量はSIMS(二次イオン質量分析法:Secondary Ion Mass Spectrometry)によって測定できる。
本発明のTi系合金膜に酸素を含有させた場合、酸素は固溶状態で存在していることが必要である。酸素がチタン酸化物として存在していると、チタン酸化物は不動態であり、エッチングレートを低下する要因となるからである。なお、酸化チタンの有無は各種分析装置による他、膜該当部分の透明度などを目視で確認することもできる。
なお、Ti系合金膜中に酸素を固溶状態で含有させる場合、上記したようにターゲットに予め所定量の酸素を含有させておく以外にも、後記するように成膜時の雰囲気中に酸素を導入することによっても達成できる。
本発明に係るTi−O合金膜は、合金成分として酸素(固溶状態)を0.2〜3.0質量%含有し、残部Ti及び不可避不純物である。不可避不純物としては、例えばFe、Si、N、C、Hなどが挙げられるが、これら不可避的に混入してくる微量成分まで規定するものではなく、本発明の特性が阻害されない限り、それら不可避不純物の微量混入は許容することができる。
例えばFeやSiが不可避的不純物として含まれる場合、これらの含有量は少ないほど望ましく、Fe、Siについてはそれぞれの濃度がおおむね1.0質量%以下とするのがよい。
本発明の第1層としてはTi−X合金膜、Ti−O合金膜のいずれも望ましい実施態様であるが、より一層効果を高めるために上記所定量の酸素(固溶状態)をTi−X合金膜に含有させて、Ti−X−O合金膜としてもよい。
Ti−X−O合金膜は、上記Ti−X合金膜の効果と上記Ti−O合金膜の効果を発現できる。すなわち不動態形成抑制効果とTi合金溶出効果を発現するため、ウエットエッチングによる加工性が一層向上すると考えられる。
第1層としてのTi系合金膜の膜厚の上限は配線膜自体の電気抵抗率を考慮して適宜決定すれば良いが、膜厚が厚くなるとステップや残渣が発生し易くなると共に、エッチング時間が長くなり、第2層(純CuまたはCu合金膜)が過度にエッチングされてしまうため、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。また第1層の膜厚の下限も特に限定されないが、膜厚が薄すぎると面内の膜厚分布やプロセスなどの影響で基板面内でTi系合金膜が消失(例えば他の層をエッチングする際にTiが削れて消失)する部分が発生することが考えられるため、おおむね、10nm以上であることが好ましい。
(第2層)
次に、本発明の配線用膜を構成する第2層について説明する。本発明の第2層は、純Cu(残部不可避不純物)、または合金元素(好ましくは上記合金元素)と残部Cu及び不可避不純物からなるCu合金で構成されている。この第2層は、配線膜全体の電気抵抗率低減の目的で形成されたものであり、したがって、第1層よりも電気抵抗率を低くすることが望ましい。具体的な配線抵抗は特に限定されず、必要に応じて第2層の膜厚や組成を調整して適切に配線の抵抗値を制御すればよい。
次に、本発明の配線用膜を構成する第2層について説明する。本発明の第2層は、純Cu(残部不可避不純物)、または合金元素(好ましくは上記合金元素)と残部Cu及び不可避不純物からなるCu合金で構成されている。この第2層は、配線膜全体の電気抵抗率低減の目的で形成されたものであり、したがって、第1層よりも電気抵抗率を低くすることが望ましい。具体的な配線抵抗は特に限定されず、必要に応じて第2層の膜厚や組成を調整して適切に配線の抵抗値を制御すればよい。
本発明の第2層に添加する合金元素は純Cuを含め、特に限定されず、合金元素の組成や含有量を適切に制御して用いることができる。このようなCu合金として、具体的には、例えば、Cu−0.5原子%Ni、Cu−0.5原子%Zn、Cu−0.3原子%Mnなどが好ましく用いられる。また、第2層に適用可能な上記合金元素は、酸素ガスや窒素ガスのガス成分を含んでいても良く、例えば、Cu−OやCu−Nなどを用いることもできる。合金元素は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の第2層の好ましい膜厚は特に限定されず、配線用膜の適用部位や、用途などによっても相違するが、膜厚が薄すぎると、膜全体の電気抵抗率低減効果が十分に得られなくなるため、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上とすることが望ましい。一方、第2層を厚くし過ぎると、積層する膜(例えば上層に形成する膜)のカバレッジが悪くなったり、スパッタ時間が長くなるため工程が長時間化するなどの問題があるため、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは600nm以下とすることが望ましい。
第1層と第2層を含む配線用膜全体の膜厚は、特に限定されず、各層の好ましい範囲内で要求される膜厚に応じて適宜調節すればよい。
本発明の配線用膜は、例えば基板側からみて、第1層の上に直接第2層が積層されていても良いし、その逆に第2層の上に直接第1層が積層されていても良い。また本発明の配線用膜は上記第1層と第2層のみで構成してもよいし、或いは任意の第3層を形成してもよい。3層とする場合、Ti合金からなる第1層と第3層は第2層の上部および下部に第3層は第2層に積層させることが好ましい。
(第3層)
次に、本発明に用いられる第3層について説明する。本発明の第3層の組成は特に限定されず、例えば上記第1層と同一または類似(X群元素の種類、添加量が異なる)の組成あってもよいし、或いは第2層と異なる組成のCu合金やこれらとは異なる組成であってもよく、要求される膜特性に応じて適宜選択することができる。
次に、本発明に用いられる第3層について説明する。本発明の第3層の組成は特に限定されず、例えば上記第1層と同一または類似(X群元素の種類、添加量が異なる)の組成あってもよいし、或いは第2層と異なる組成のCu合金やこれらとは異なる組成であってもよく、要求される膜特性に応じて適宜選択することができる。
例えば製造プロセスの熱履歴等から上記配線の酸化などを抑制するためのバリア層としてCu合金膜やTi系合金膜などの第3層を形成したり、電気抵抗率を向上させる目的で電気伝導率に優れた組成からなる第3層を形成するなど、各種目的に応じた第3層を設けてもよく、第3層の組成も上記第1層、第2層の効果を阻害しない範囲で適宜設定することも可能である。
第3層の膜厚は、配線用膜が適用される部位や、用途などに応じて適宜設定すればよい。
例えば第3層は、薄膜トランジスタの絶縁膜などと直接接続する側に設けてもよく、その際、第3層の組成として前記X群元素を含むTi−X合金を用いることも好ましい。勿論、第1層および第3層は、全く同じ組成である必要はなく、上述したTi−X合金の要件を満足する限り、組成は異なっていても良い。生産性を向上させるために、第1層と第3層を同一組成とすることが好ましいが、第1層と第3層で組成が異なってもよい。また膜厚も第1層と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
以上、本発明の配線用膜について説明した。続いて本発明の配線用膜の形成方法について説明する。
本発明の配線用膜を構成する第1層及び第2層は、蒸着法、スプレー法、ALD法などを用いて形成することもできるが、スパッタリング法によって形成することが好ましい。スパッタリング法を用いれば、スパッタリングターゲットとほぼ同じ組成の配線用膜を成膜することができ、しかも膜厚や成分の面内均一性に優れた薄膜を容易に形成できる。
上記第1〜3層はスパッタリング法によって形成することが好ましい。具体的には上記第1〜3層を構成する材料(スパッタリングターゲット)を用いてスパッタリング法により成膜すればよい。
また第1層の上に第2層を形成した積層構造とする場合は、上記第1層を形成した後、その上に、上記の第2層を構成する組成のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法により第2層を形成すればよい。このようにして積層構造からなる配線用膜を形成した後、所定のパターニングを行えばよい。またカバレッジの観点から断面形状を好ましくはテーパ角度45〜60°程度のテーパ状に加工することが好ましい。
本発明のTi−X合金膜(第1層)の形成に用いるスパッタリングターゲットとしては、X群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%含み、残部Ti及び不可避不純物からなるTi−X合金スパッタリングターゲットを用いればよい。
また更に上記所定量(0.2〜3.0質量%)の酸素をターゲットに含有させたTi−X−O合金ターゲットを用いれば、上記Ti−X−O合金膜を成膜することができる。
本発明のTi−O合金膜の形成に用いるスパッタリングターゲットとしては、上記所定量(0.2〜3.0質量%)の酸素を含み、残部Ti及び不可避不純物からなるTi−O合金スパッタリングターゲットを用いればよい。
なお、Ti系合金配線膜中に酸素を固溶状態で含有される場合、上記したようにターゲットに予め所定量の酸素を含有させておく以外にも、成膜時の雰囲気中に酸素を導入してもよい。例えば酸素(O2)ガスや酸素原子を含むO3などの酸化ガスを用いることができる。酸素の供給方法としては、スパッタリング法に通常用いられるプロセスガス(たとえばArなど)に酸素を添加した混合ガスを用いればよい。Ti系合金配線膜中の固溶酸素量は、プロセスガス中に占める酸素ガスの混合比率によって制御できるため、導入したい酸素量に応じて、上記の混合比率を適宜調整すればよい。
Cu系膜の形成に用いるスパッタリングターゲットとしては、所望の組成を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなるCu合金スパッタリングターゲットを用いればよい。
複数の合金元素を用いる場合のスパッタリングターゲットの組成は、異なる組成のターゲットを用いて調整しても良いし、あるいは、スパッタリングターゲットに合金元素の金属をチップオンすることによって調整しても良い。
なお、第3層を積層させる場合も、所望の成分組成のスパッタリングターゲットを用いて成膜すればよい。
上記ターゲットの形状は、スパッタリング装置の形状や構造に応じて任意の形状(角型プレート状、円形プレート状、ドーナツプレート状、円筒状など)に加工したものが含まれる。
上記本発明のTi系合金膜用のスパッタリングターゲットの製造方法としては、溶解鋳造法や粉末焼結法などで、所望の成分組成を有するTi合金からなるインゴットを製造して得る方法などが挙げられる。
本発明の配線用膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどの各種表示装置が例示される。
また本発明の配線用膜で形成された配線および/または電極を備えたタッチパネルセンサーとしては、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、光センサ式など各種方式のタッチパネルセンサーが例示される。
本発明の配線用膜は、液晶ディスプレイ等の表示装置やタッチパネルセンサーに組み込まれているULSI、ASIC、ダイオード、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ基板などの配線構造の各種配線や電極に好適に用いられる。具体的には、走査線、ソース線、ドレイン線などの各種配線、ゲート電極、ソース−ドレイン電極などの各種電極の形成に用いることができる。上記配線構造を備えた表示装置やタッチパネルセンサーを製造するにあたっては、表示装置の一般的な工程を採用することができる。
例えば表示装置の配線構造に本発明の配線用膜を適用する場合、次の様な構成とすることができる。基板の上に、絶縁膜と;薄膜トランジスタの半導体層と;配線・電極と;透明導電膜と;基板、絶縁膜、薄膜トランジスタの半導体層、および透明導電膜よりなる群から選択される少なくとも一種と直接接続する配線膜とを有する配線構造が例示される。本発明の配線用膜は上記配線、電極に用いることができる。本発明の配線用膜は、表示装置の配線(および/または電極)の一部または全部に採用することもでき、複数の配線・電極に適用する場合は、同一または異なる成分組成とすることができる。
上記本発明の配線用膜から形成された配線および/または電極を有する配線構造を製造するにあたっては、表示装置の一般的な工程を採用することができる。また本発明の配線用膜以外の他の部分は特に限定されず、表示装置の分野で通常用いられるものを採用することができる。
例えば表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる基板として、通常用いられるものであれば特に限定されない。代表的には、ガラス基板(無アルカリガラス、高歪点ガラス、ソーダライムガラスなど)などに代表される透明基板やPETフィルムや金属箔などのフレキシブル基板などが挙げられる。
例えば、表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる画素電極を構成する透明導電膜としては、代表的には、アモルファスITOやITO、IZO、ZnOなどが例示される。
また、表示装置やタッチパネルセンサーに用いられる薄膜トランジスタの半導体層も特に限定されず、水素化アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、酸化物半導体(例えばInGaZnO、ZnO、ZnSnO、AlZnO、GaZnO、InZnSnO、ITO)などが挙げられる。
また、ゲート絶縁膜などの絶縁膜や半導体の上に形成される保護膜は特に限定されず、通常用いられるもの、例えば、SiO2、SiON、SiNなどが挙げられる。
本発明のTi系合金膜は、フッ化物含有ウエットエッチング液を用いてエッチングすることが望ましい。フッ化物含有ウエットエッチング液の種類についても特に限定されないが、本発明のTi系合金膜をエッチングするためのウエットエッチング液として、フッ酸(HF)やフッ化アンモニウム(NH4F)などを含むフッ化物含有エッチング液を用いた場合にエッチングレートの大幅な向上が認められるからである。具体的にはフッ化物と酸化剤(あるいは更に酸)を含むエッチング液(例えば特開2008−53374号公報、特開2007−67367号公報、特開2010−199121号公報);フッ化物とヨウ素酸、硫酸を含むエッチング液(例えば特開2000−133635号公報);ペルオキソニ硫酸、水素カリウム、フッ酸を含むエッチング液(例えば特開2001−59191号公報);過酸化水素とフッ化物、硫酸(または硝酸またはリン酸)を含むエッチング液(例えば特開2004−43850号公報);硝酸とフッ化水素酸、酢酸イオン供給源を含むエッチング液(例えば特開2004−71920号公報);フッ素イオン供給源と過酸化水素、硫酸塩、リン酸塩、アゾール系化合物を含むエッチング液(例えば特開2008−288575号公報);フッ素化合物と鉄イオン、更に硝酸または塩酸または過塩素酸またはメタンスルホン酸、及び亜リン酸またはリン酸を含むエッチング液(例えば特開2010−199121号公報);フッ酸とフッ化アンモニウム、グリセリンを含むエッチング液(例えば特開平11−87325号公報);フッ化水素アンモニウムと過酸化水素を含むエッチング液(例えば特開2008−81832号公報);珪フッ化水素酸と水、珪フッ化水素酸塩を含むエッチング液(例えば特開2009−182218号公報)などが例示される。
またエッチング液には、通常添加される補助酸化剤などの添加剤が含まれていてもよく、フッ素化合物含有エッチング液は市販品を用いることができる。
以上、本発明のTi系合金膜(第1層)とCu系膜(第2層)を含む積層構造の配線用膜は、上記第1層のエッチングレートが速くなっているために第2層とのエッチングレート差が少なくなっている。したがって第1層と第2層を含む配線膜をフッ化物含有エッチング液にて一括エッチング処理した場合に、ステップ状や庇の形状に残留することがなく、良好な配線形状が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限されず、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本実施例では、以下の方法によって作製した試料を用い、配線用膜(第1層/第2層の積層構造)のエッチング後のステップ長さを測定した。また第1層のみを形成した試料を作製し、エッチングレートを測定した。実施例において表1および表2に示す種々の合金組成のTi−X合金膜の形成には、純Tiターゲットに種々の組成のX合金をチップオンしてX群元素の添加されたターゲットをスパッタリングターゲットとして用いた。なお、Ti−O合金膜を作製する場合は、酸素含有Ti合金ターゲットを用いた。
実施例1
(エッチング後のステップ長さの評価)
(試料の作製)
ガラス基板(コーニング社製:Eagle XG、φ4inch、厚さ=0.7mm)上に表1に示す成分組成の第1層(Ti−X合金膜:膜厚50nm)、第2層(純Cu膜:膜厚300nm)をスパッタリング法により順次形成して積層膜の試料を作製した。
(エッチング後のステップ長さの評価)
(試料の作製)
ガラス基板(コーニング社製:Eagle XG、φ4inch、厚さ=0.7mm)上に表1に示す成分組成の第1層(Ti−X合金膜:膜厚50nm)、第2層(純Cu膜:膜厚300nm)をスパッタリング法により順次形成して積層膜の試料を作製した。
スパッタリングには、島津製作所製の「HSM−552」を使用し、DCマグネトロンスパッタリング法[背圧:0.27×10−3Pa以下、雰囲気ガス:Ar、Arガス圧:2mTorr、Arガス流量:30sccm、スパッタパワー:DC260W、極間距離:50.4mm、基板温度:25℃(室温)]によって第1層、第2層を成膜した試料を作製した。
上記第1層、第2層の組成は、ICP発光分光分析装置(島津製作所製のICP発光分光分析装置「ICP−8000型」)を用い、定量分析して確認した。また膜厚は触針型段差計KLA-TENCOR社製α-stepによって測定した。比較のため、純Ti膜を上記試料と同様にして成膜した試料(No.1:純Ti/純Cuの積層構造)を作製した。
次に、上記の各試料について、フォトレジストとしてTSMR8900(東京応化社製)を用いてラインアンドスペースパターン(50μm間隔)に加工した後、各試料を1cm×4cmのサイズに切り出した試験片を作製し、各試験片をエッチング液に浸漬してエッチング処理をした。エッチング処理条件は以下の通りである。
エッチング液はエッチング液A(表1に記載)とエッチング液B(表2に記載)のいずれかを用いた。
エッチング液A:表1(特開2004−43850号公報記載のエッチング液に類似する薬液として、過酸化水素水:硝酸:リン酸:フッ化アンモニウム=18:2:4:1の割合で混合し、300nm程度のTi単層膜を5分程度で溶解できる程度に濃度調整(希釈したもの)したものを用いた。)
エッチング液B:表2(関東化学株式会社製KSMF−240)
処理温度:エッチング液Aは室温、エッチング液Bは40℃
処理方法:静置(浸漬)
処理時間:レジストによる配線用膜のエッチング除去が確認できた時間を100%としたとき、その150%(ジャストエッチングから50%オーバーエッチングするまで)に相当する時間までエッチングを行った。
エッチング液B:表2(関東化学株式会社製KSMF−240)
処理温度:エッチング液Aは室温、エッチング液Bは40℃
処理方法:静置(浸漬)
処理時間:レジストによる配線用膜のエッチング除去が確認できた時間を100%としたとき、その150%(ジャストエッチングから50%オーバーエッチングするまで)に相当する時間までエッチングを行った。
次いで、レジストを除去し、試験片上部(第2層側)から光学顕微鏡(倍率500倍)にて観察し、エッチング後の純Cu膜とTi系合金膜の幅の差(ステップ長さ:純Cu膜の端部からTi系合金膜の端部までの長さ)を測定した。ステップ長さが小さいほど、良好なエッチング形状が得られることを示している。
評価基準:ステップ長さが純Ti膜の90%以下のものを良好(○)と評価した。本実施例ではエッチング液Aを用いた場合(表1)、ステップ長さが4.3μm以下を○、エッチング液Bを用いた場合(表2)、ステップ長さが1.6μm以下を○と評価した。
これらの結果を表1および表2に示す。
表1および表2より、Ti−X合金膜中のX群元素の添加量が増加するにつれて、エッチングによるステップ長さが減少する傾向を示し、良好なエッチング形状が得られることが分った。これは、Ti−X合金膜と純Cu膜とのエッチングレート差が小さくなっているためである。またTi−O合金膜の場合も所定量の酸素を含有させることで良好なエッチング形状が得られた。
参考のため、図1に実験に用いた表1のNo.1(純Ti膜/純Cu膜)および、図2に実験に用いた表1のNo.11−6(Ti−30原子%Al膜/純Cu膜)のステップ長さの結果を示す。No.11−6はNo.1と比べてエッチングによるステップ長さが減少しており、良好なエッチング形状が得られることが分った。
更に各試験片についてウエットエッチングによる配線加工の際に良好なテーパ形状が得られかを調べたところ、本発明のTi−X合金膜と純Cu膜を積層させた配線用膜はいずれも良好なテーパ形状が得られており、ウエットエッチング加工性に優れていることが分かった。
また参考として、上記実験においてエッチング液Aを用いた場合のエッチングレートを図3(A)、エッチング液Bを用いた場合のエッチングレートを図3(B)に示す。図3(A)、図3(B)共に、第1層に純Ti膜を用いた場合(図中、○)と比べて、本発明のTi−X合金膜を用いた場合(図中、●)は、エッチングレートが優れていた。一方、本願発明のX群元素以外の合金元素を用いた場合(図中、■)はエッチングレートが純Tiよりも悪かったことが分かった。
上記実施例では、第2層に純Cuを用いたが、Ni、Mn、Znなどの元素を含むCu合金を用いたときも同様の結果が得られると推察される。また、固溶酸素を含むTi合金膜(Ti−O合金膜、Ti−X−O合金膜)を用いたときも、上記と同様の実験結果が得られることを実験により確認している。
実施例2
(エッチングレートの測定)
ガラス基板(コーニング社製のEagle XG、厚さ=0.7mm、φ4inch)上に、DCマグネトロン・スパッタ法により、表1、表2に示す各種合金元素のTi−X合金膜(膜厚300nm)を成膜して単層の試料を作製した。Ti−X合金膜のスパッタリングリング条件は、上記実施例1に記載のTi−X合金膜のときと同じである。比較のため、純Ti膜の試料も、同様にして作製した。
(エッチングレートの測定)
ガラス基板(コーニング社製のEagle XG、厚さ=0.7mm、φ4inch)上に、DCマグネトロン・スパッタ法により、表1、表2に示す各種合金元素のTi−X合金膜(膜厚300nm)を成膜して単層の試料を作製した。Ti−X合金膜のスパッタリングリング条件は、上記実施例1に記載のTi−X合金膜のときと同じである。比較のため、純Ti膜の試料も、同様にして作製した。
作製した各試料のエッチングレートを測定して評価した。具体的には、各エッチング液(エッチング液Aの場合を表1、エッチング液Bの場合を表2に示す)に、各試料を浸漬(エッチング液の温度は、共に室温)した後、触針型段差計(KLA-TENCOR社製α-step)によって試料の膜減少量を測定した。エッチングレート(単位時間あたりのエッチング量)は、膜減少量とエッチング時間の傾きから算出した。純Ti膜(各表試料No.1)に対し、1.10倍以上のエッチングレートが得られたものを○(ウエットエッチング性に優れる)と判定し、1.10倍未満のものを×と判定した。
結果を表1、2に示す。各表には、純Ti膜のエッチングレートに対する各試料の比率(Ti系合金膜/純Ti膜)も併記した。この比率が大きいほど、Cu系膜との差が小さくなってウエットエッチング性に優れることを意味する。
表1および表2より、以下のように考察することができる。
本発明で規定するX群元素を所定量含む表1および表2に記載のTi−X合金膜、及びTi−O合金膜を用いた例では、純Ti膜(各表No.1)よりもエッチングレートに優れていた。よって、本発明のTi系合金膜を用いれば、フッ化物含有エッチング液を用いたときのウエットエッチングの加工性が向上することが分った。
本発明で規定するX群元素を所定量含む表1および表2に記載のTi−X合金膜、及びTi−O合金膜を用いた例では、純Ti膜(各表No.1)よりもエッチングレートに優れていた。よって、本発明のTi系合金膜を用いれば、フッ化物含有エッチング液を用いたときのウエットエッチングの加工性が向上することが分った。
上記では、Cu系膜を積層させていないが、実験によりCu系膜に対するエッチングレートの比率も良好であることを確認している。
Claims (6)
- 表示装置またはタッチパネルセンサーの配線用膜であって、
合金成分としてX群元素(Xは、希土類元素、Ge、Si、Sn、Hf、Zr、Mg、Ca、Sr、Al、Zn、Mn、Co、Fe、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素)を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含有し、残部Tiおよび不可避不純物からなるTi合金層と、純CuまたはCu合金からなる層とを含む2層以上の積層構造を有することを特徴とする配線用膜。 - 前記Ti合金層は、前記純CuまたはCu合金からなる層の上部および/または下部に形成されているものである請求項1に記載の配線用膜。
- 前記Ti合金層の膜厚は10〜100nmである請求項1または2に記載の配線用膜。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の配線用膜で形成された配線および/または電極を備えた表示装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の配線用膜で形成された配線および/または電極を備えたタッチパネルセンサー。
- 請求項1または2に記載のTi合金層の形成に用いるスパッタリングターゲットであって、前記X群元素を3〜50原子%、および/または酸素を0.2〜3.0質量%含み、残部Tiおよび不可避不純物であることを特徴とするTi合金スパッタリングターゲット。
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-
2011
- 2011-03-09 JP JP2011052245A patent/JP2012189725A/ja not_active Withdrawn
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