JP2012142322A - 絶縁ゲート型半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来のプレーナ型IGBTでは、VCE(on)を低減すべくゲート幅Lgを広げると、独立した各セルのベース領域から広がる空乏層が不連続となり、耐圧の劣化や容量が増大する問題があった。
【解決手段】 IGBTのゲート電極のゲート幅を広げる。ゲート電極の略中央のn−型半導体層表面に第1p型不純物領域を設ける。ゲート幅を広げることでVCE(on)を低減し、第1p型不純物領域によって逆方向電圧印加時に各ベース領域から広がる空乏層を緩やかに連続させて耐圧を確保する。第1p型不純物領域は、ガードリングと同一工程にて形成できる。また、ゲート電極の下方に厚い絶縁膜を設けることで、ゲート幅を広げた場合であっても容量の低減が図れる。
【選択図】 図1
【解決手段】 IGBTのゲート電極のゲート幅を広げる。ゲート電極の略中央のn−型半導体層表面に第1p型不純物領域を設ける。ゲート幅を広げることでVCE(on)を低減し、第1p型不純物領域によって逆方向電圧印加時に各ベース領域から広がる空乏層を緩やかに連続させて耐圧を確保する。第1p型不純物領域は、ガードリングと同一工程にて形成できる。また、ゲート電極の下方に厚い絶縁膜を設けることで、ゲート幅を広げた場合であっても容量の低減が図れる。
【選択図】 図1
Description
本発明は絶縁ゲート型半導体装置およびその製造方法に係り、特にVCE(on)を低減し、耐圧の劣化を抑制できる絶縁ゲート型半導体装置およびその製造方法に関する。
絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、IGBT(Insulated−Gate Bipolar Transistor))は、パワーエレクトニクス分野におけるスイッチング素子として用いられている。
IGBTにおいて、コレクタ−エミッタ間飽和電圧(以下、VCE(on))は抵抗成分となるため、低い方が望ましい。このため、例えばトレンチ構造のゲート電極を有するIGBT(トレンチ型IGBT)では、エミッタ電極が接触するベース領域の面積を低減し、ドリフト層から注入された正孔(ホール)がベース領域を介してエミッタ電極に排出されることを抑制している。このように、ドリフト層における正孔の蓄積量を保ち、伝導度変調を促進することによってVCE(on)を低減することができる(例えば特許文献1、特許文献2参照。)。
また、ゲート電極が絶縁膜を介して基板表面に設けられるプレーナ構造のゲート電極を有するIGBT(プレーナ型IGBT)においては、ゲート電極の幅(ゲート幅)を広げて正孔の蓄積量を保ち、低いVCE(on)を実現する構造が知られている(例えば非特許文献1参照。)。
図17は従来の、プレーナ型IGBT200を示す断面図である。
IGBTは、例えばドリフト層となる高濃度のp型(p++型)半導体層201の上にn+型半導体層202が積層され、その上にドリフト層となるn−型半導体層203が積層される。n−型半導体層203の表面に、ゲート絶縁膜211を介してゲート電極206が設けられる。ゲート電極206の両側には、p型のイオン注入および拡散によってベース領域207が設けられ、ベース領域207の表面には、互いに離間してn型のエミッタ領域208が設けられる。n型のエミッタ領域208間にp型のイオン注入および拡散によってボディ領域209が設けられる。
この構造において、非特許文献2に記載の如くゲート電極206のゲート幅Lgを広げて隣り合うベース領域207間の距離を広げ、すなわちチップ全体の面積に対するベース領域207の面積の割合を低減させることにより、ドリフト層(n−型半導体層203)に蓄積された正孔がベース領域207およびエミッタ領域208を介して、エミッタ電極212に排出されることを防止できる。
岡村 勝也、他4名、「クライストロンモジュレータ用IEGTスイッチの開発(DEVELOPMENT OF IEGT SWITCH FOR A KLYSTRON MODULATOR)」、第25回リニアック技術研究会 プロシーディングス(Proceedings of the 25th Linear Accelerator Meeting in Japan)、2000年7月12日−14日、p.243
図17を参照して、ベース領域の端部がトレンチと接するトレンチ型IGBTと異なり、プレーナ型IGBTは一般的にトランジスタセルごとにベース領域207が分断し、その端部は所定の曲率を有する湾曲構造となっている。そして、逆方向電圧印加時にはそれぞれ分離されたベース領域207から空乏層dが広がり、隣り合う空乏層dに互いに到達してドリフト層全体に広がり、所定の耐圧を確保する。
このプレーナ型IGBT200において、ゲート幅Lgを広げて、その両端のベース領域207のチップ全体に対する面積割合を低減した場合、個々のベース領域207から広がる空乏層dが互いに到達しなくなるおそれがある。
空乏層d同士が到達しない場合には、湾曲構造を有する個々の空乏層dの曲率による電界強度によってブレークダウン電圧が制約される。しかし、一般的なベース領域207の形成条件(深さや、不純物濃度など)では曲率を小さくするにも限界があり、分断したベース領域207間で耐圧が劣化してしまう問題があった。
一方で、ゲート電極206直下のゲート絶縁膜211はその厚みが薄い(例えば300Å〜1000Å)ため、ゲート幅Lg(ゲート電極206の面積)の増加は、低容量化の観点からは大きな弊害となる。
このように従来のプレーナ型IGBTではVCE(on)を低減すべくゲート幅Lgを広げると、耐圧の劣化や容量が増大する問題があった。
本発明はかかる課題に鑑みてなされ、第1に、一導電型半導体層と、該一導電型半導体層上に設けられた逆導電型半導体層と、該逆導電型半導体層に設けられた一導電型のベース領域と、該ベース領域に設けられた逆導電型のエミッタ領域と、前記逆導電型半導体層表面に設けられた第1絶縁膜と、隣り合う前記ベース領域間の前記第1絶縁膜上に設けられたゲート電極と、該ゲート電極を被覆する第2絶縁膜と、前記ゲート電極の中央付近の前記逆導電型半導体層に前記ベース領域と離間して設けられた第1の一導電型不純物領域と、前記逆導電型半導体層の外周付近に環状に設けられた第2の一導電型不純物領域と、を具備することにより解決するものである。
第2に、一導電型半導体層上に逆導電型半導体層が設けられた基板を準備する工程と、前記逆導電型半導体層表面に延在する第1の一導電型不純物領域を形成する工程と、前記逆導電型半導体層の外周付近に第2の一導電型不純物領域を形成する工程と、前記第1の一導電型不純物領域が中央付近に位置するように前記逆導電型半導体層表面に第1絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の両側の前記逆導電型半導体層表面に一導電型のベース領域を形成する工程と、前記ゲート電極の両側の前記ベース領域表面に逆導電型のエミッタ領域を形成する工程と、前記ゲート電極を一体で被覆する第2絶縁膜を形成する工程と、を具備することにより解決するものである。
本発明によれば、以下の効果が得られる、
第1に、逆方向電圧印加時にゲート電極の略中央のn−型半導体層に配置した第1p型不純物領域から空乏層を広げることができる。これにより、VCE(on)の低減を目的としてゲート幅Lgを拡張した場合であっても、分離した各ベース領域から広がる空乏層を、その間の第1p型不純物領域から広がる空乏層で緩やかに連続させることができる。従って、ゲート幅Lgの増大による耐圧の劣化を防止できる。
第1に、逆方向電圧印加時にゲート電極の略中央のn−型半導体層に配置した第1p型不純物領域から空乏層を広げることができる。これにより、VCE(on)の低減を目的としてゲート幅Lgを拡張した場合であっても、分離した各ベース領域から広がる空乏層を、その間の第1p型不純物領域から広がる空乏層で緩やかに連続させることができる。従って、ゲート幅Lgの増大による耐圧の劣化を防止できる。
また、第1p型不純物領域をIGBTの電極とは直接接続せず、電位的にフローティングとすることで、ドリフト層であるn−型半導体層に注入された正孔が第1p型不純物領域を介して外部に流出することを防止できる。
第2に、ゲート電極の下方に、第1絶縁膜(ゲート絶縁膜)より厚い絶縁膜を設けることで、容量の増加を防止できる。VCE(on)の低減を目的としてゲート幅Lgを増加させることは、薄いゲート絶縁膜の面積を増加させることとなり、容量が増加する。しかし、ゲート電極の下方に厚い絶縁膜を設けることで、容量の増加を回避できる。
第3に、第1p型不純物領域を接地することで、コレクタ電極への高電圧印加時にゲート絶縁膜の破壊を防止できる。すなわち、第1p型不純物領域がフローティングの場合、コレクタ電極に印加される高電圧によって第1p型不純物領域の電位が上昇する。ゲート電極の下方が薄いゲート絶縁膜のみの場合、これに高電圧が印加され破壊されることが懸念される。そのような場合には、第1p型不純物領域を接地することで、電位の上昇を回避できる。
第1p型不純物領域を、周辺p型不純物領域(例えばガードリングである第2p型不純物領域)に接続、つまりこれに連続するパターンとすることで、容易に接地することができる。
第4に、第1p型不純物領域は、外周部に形成される第2p型不純物領域と同一工程にて形成できるので、第2p型不純物領域を形成するマスクを変更するのみでよく、第1p型不純物領域を形成することによる工数の増加を防止できる。
本発明の実施の形態を、nチャネル型のIGBTを例に図1から図16を参照して説明する。
まず、図1および図2を参照して本発明の第1の実施形態のIGBTについて説明する。図1および図2は本実施形態のIGBT100を説明するための図である。図1が断面図であり、図1(A)は各構成要素を説明する断面図であり、図1(B)は逆方向電圧印加時に広がる空乏層の様子を示す断面図である。図2は基板表面の絶縁膜および電極等を省略し要部を抜き出した平面図である。尚、図1は図2のa−a線の断面図である。
図1(A)を参照してIGBT100は、p+型半導体層1と、n−型半導体層3と、第1p型不純物領域21と、第2p型不純物領域6iと、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8と、ベース領域10と、エミッタ領域15と、層間絶縁膜16とを有する。
基板はp+型半導体層1上にn+型半導体層2およびn−型半導体層3を積層してなる。一例として、p+型半導体層1はp+型シリコン半導体基板であり、n+型半導体層2は不純物濃度が1E16cm−3程度のシリコン半導体エピタキシャル層である。n−型半導体層3は例えば不純物濃度は例えば7E13cm−3程度のシリコン半導体エピタキシャル層であり、IGBTのいわゆるドリフト層を構成する。
尚、基板は、n−型半導体層3の裏面に不純物拡散によって低抵抗のp+型半導体層1を設けるものであってもよい。
ゲート電極8は、n−型半導体層3表面を覆うゲート絶縁膜7上に設けられる。本実施形態ではゲート絶縁膜7の一部は、それより厚い酸化膜4の上に設けられる。つまり、n−型半導体層3表面に例えば6000Å〜9500Åの酸化膜4を設け、その表面が別の工程でゲート絶縁膜7(厚みは例えば700Å〜900Å)で覆われ、その上にゲート電極8が配置される。ゲート電極8直下に配置される絶縁膜(ゲート絶縁膜7を含む)はゲート電極8両端部を除き厚く設けられるので、ゲート電極8のゲート幅Lgを広げた場合であっても、それによる容量の増大を抑制できる。
ベース領域10は、n−型半導体層3表面にドーズ量で6E13cm−2〜7E13cm−2のp型不純物(例えばボロン(B))をイオン注入および拡散して設けた領域であり、深さは、2μm〜3μmである。
エミッタ領域15は、ベース領域10表面にドーズ量で4E15cm−2〜6E15cm−2のn型不純物(例えばヒ素(As)をイオン注入および拡散して設けた領域である。
隣り合うベース領域10間に、ゲート絶縁膜7(および酸化膜4)を介してゲート電極8が配置される。つまり、ゲート電極8の両側にベース領域10とエミッタ領域15が配置され、ゲート電極8と隣接した領域がIGBTのトランジスタセルCとなる。
ボディ領域12は電位安定化のためにベース領域10の内側に設けられ、ドーズ量で4E15cm−2〜5E15cm−2のp型不純物(例えばボロン(B))をイオン注入および拡散して設けた領域であり、深さは3μm〜4μmである。
VCE(on)を決定するゲート電極8のゲート幅Lgは、ここでは一例として40μm〜50μmである。ゲート幅Lgをこのように広げることで、ベース領域10面積のチップ全体の面積に対する割合を低減できる。つまり、正孔の流出する面積を低減し、VCE(on)を低減できる。
第1p型不純物領域21は、ゲート電極8の中央付近のn−型半導体層3表面に設けられたp型不純物(例えばボロン(B))の拡散領域である。隣り合うベース領域10とは離間して設けられ、不純物濃度はドーズ量で7E14cm−2〜9E14cm−2程度、深さは8μm〜10μm程度である。
n−型半導体層3の外周付近に第2p型不純物領域6iが設けられる。第2p型不純物領域6iはいわゆるガードリングであり、不純物濃度はドーズ量で7E14cm−2〜9E14cm−2程度、深さは8μm〜10μm程度である。
また第2p型不純物領域6iの外周に他の第2p型不純物領域6oが設けられる。他の第2p型不純物領域6oもガードリングであり、複数設けられる場合もある。以下、最内周の第2p型不純物領域6iの外側に設けられる他の第2p型不純物領域6oを(これらが複数の場合も含め)外周の第2p型不純物領域6oと総称する。
更にn−型半導体層3の外周端部には、空乏層ストッパーとなる高濃度のn+型不純物領域14が設けられる。基板の端部(半導体チップの端部)はダイシングラインに近いことから多数の欠陥が生じている。空乏層がその欠陥領域まで広がるとリークが発生するため、高濃度の不純物領域を設けて空乏層の広がりを抑制する。尚、nチャネル型のIGBTの場合は、n+型不純物領域14は省略してもよい。
基板の一主面側には、例えばチタン(Ti)又はこれを含有する合金などによってエミッタ領域15とコンタクトするエミッタ電極17が設けられる。第1p型不純物領域21の表面は、酸化膜4、ゲート絶縁膜7で被覆されてエミッタ電極17とは絶縁される。また、最内周の第2p型不純物領域6iはボディ領域12およびベース領域10を介して、エミッタ電極17と電気的に接続する。
また外周の第2p型不純物領域6o上には、これと重畳して接続するシールドメタル19が設けられる。高濃度のn+型不純物領域14上にはこれと重畳してコンタクトするアニュラーシールドメタル20が設けられる。シールドメタル19およびアニュラーシールドメタル20はIGBT100の電極とは接続しない。また基板の他の主面側にはAl/Ti/Ni/Auなどによりp+型半導体層1とコンタクトするコレクタ電極18が設けられる。
図1(B)を参照して、IGBT100に逆方向電圧を印加した際に、主にn−型半導体層3に広がる空乏層dについて説明する。
本実施形態のIGBT100は、ゲート電極8がプレーナ構造であり、ベース領域10がトランジスタセルCごとに独立(分離)している。また、第1p型不純物領域21は、エミッタ電極17とは絶縁されるため、IGBT100のいずれの電極も直接接続せず、電位的にフローティングとなっている。
この構造においてIGBT100に逆方向電圧を印加した際に本実施形態では、各ベース領域10から空乏層dが広がるとともに、各ベース領域10の中央付近に設けられた第1p型不純物領域21からも空乏層dが広がり、各ベース領域10周囲の空乏層dと緩やかに連続して、n−型半導体層3の全体に広がる。これにより、VCE(on)を低減するために、ゲート幅Lgを広げた構成でありながら、耐圧の劣化を防止できる。
本実施形態では、第1p型不純物領域21の端部から隣り合うベース領域10の端部までの距離Lは、第2p型不純物領域6iと隣り合う外周の第2p型不純物領域6oの離間距離L1または外周の第2p型不純物領域6oが複数ある場合は、隣り合うそれらの距離L2以下とする。これにより、ベース領域10と第1p型不純物領域からそれぞれ広がる空乏層dを確実に連続させることができる。
第1p型不純物領域21表面は厚い酸化膜4およびゲート絶縁膜7で覆われてエミッタ電極17とは絶縁されている。従って、ドリフト層であるn−型半導体層3に蓄積された正孔が第1p型不純物領域21を介してエミッタ電極17に流出することを防止できる。
更に、ゲート電極8の両端部を除く直下に厚い酸化膜4を配置することで、ゲート幅Lgを増加させ、薄いゲート絶縁膜7の面積が増加した場合であっても、ゲート電極8直下の容量の増大を抑制できる。
図2を参照して、ゲート電極8、ベース領域10(一点鎖線で示す)、ボディ領域12(二点鎖線で示す)およびエミッタ領域15は例えば一の方向に延在するストライプ状に設けられる。そして、第1p型不純物領域21もゲート電極8の延在方向に沿ってストライプ状に設けられる。
各ゲート電極8は、ゲート電極8と同材料により周辺部に環状に形成されたゲート配線層28まで延在して接続し、ここでは不図示のゲートパッド電極に接続する。尚、ここではゲート電極8の両端がゲート配線層28に接続する場合を示している。しかしこれに限らず、ゲート電極8の一端のみがゲート配線層28と接続し、ゲート電極8の他端が開放された櫛状のパターンであってもよい。
第2p型不純物領域6iはn−型半導体層3の外周付近に位置し、複数設けられるトランジスタセルCの全体を囲む環状に設けられる。第2p型不純物領域6iの外周には、環状の外周の第2p型不純物領域6oが例えば複数設けられる。尚、図2において最内周の第2p型不純物領域6iのみ環状に示しているが、外周の第2p型不純物領域6oも環状である。
また図2では第2p型不純物領域6iと外周の第2p型不純物領域6oの距離L1、および隣り合う外周の第2p型不純物領域6o同士間の距離L2を第1p型不純物領域21とベース領域10間の距離Lより小さく記載しているが、実際は、距離Lは距離L1または距離L2のいずれか小さいほうの距離以下である。
距離L1(例えば28μm)は、外周の第2p型不純物領域6o同士の距離L2と同じでもよいし、異なってもよい。例えば距離L2が距離L1より大きく(例えば30μm)ても良いし、小さくてもよい。また3重以上設けられる場合は、距離L1と2以上存在する距離L2とは、それぞれが異なる距離であっても良い。いずれにしても、距離Lは、全ての隣り合うガードリングの離間距離L1、L2のうち最小の距離以下とする。
図2では1つのストライプ状のベース領域10を示しているが、実際は複数設けられる。複数のベース領域10のうち、最も外側のベース領域10も、第2p型不純物領域6iに沿った環状に設けられてこれと接続する。本実施形態では、外周付近の環状のベース領域10と第2p型不純物領域6iを周辺p型不純物領域PPと総称する。また最も外側のボディ領域12も環状に設けられて周辺p型不純物領域PPの一部となってもよい。
一方、第1p型不純物領域21、周辺p型不純物領域PPより内側のベース領域10、ボディ領域12およびエミッタ領域15はいずれも、周辺p型不純物領域PPに達しない。
ベース領域10、ボディ領域12および、周辺p型不純物領域PPにはエミッタ電極(ここでは不図示)が接続し、接地電位が印加される。一方、第1p型不純物領域21は、周辺p型不純物領域PPと接続せず、エミッタ電極とは絶縁されるため、IGBT100のいずれの電極も直接接続せず、電位的にフローティングとなっている。
図3を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。図3は第2の実施形態を説明する断面図である。第2の実施形態は、ゲート電極8下方に厚い酸化膜を設けない構成である。
例えば車載用などの大面積チップではそれだけ容量も大きいので容量低減の必要性が高いため、第1の実施形態の如く厚い酸化膜を設けるとよい。しかし、厚い酸化膜を設けると表面の平坦性が悪くなるので、例えばワイヤーボンディング時のクラックやクリップボンド実装時の半田濡れ性に悪影響を及ぼす場合がある。また、工程途中でもリソグラフィ工程で厚い酸化膜の段差部にレジスト溜まりができるなどのデメリットも生じる場合がある。
そこで、例えば民生用など小型チップで容量が問題にならなければ、第2の実施形態の如く厚い酸化膜を設けず、n−型半導体層3表面に、直接、700Å〜900Å程度のゲート絶縁膜7を設け、その上にゲート電極8を配置する。これにより、厚い酸化膜の段差による上記のデメリットを排除することができる。
これ以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
図4を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
第1の実施形態における第1p型不純物領域21は、電位的にフローティングとしたが、これを接地(GND電位)してもよい。
コレクタ電極に印加される高電圧によって第1p型不純物領域21の電位が上昇し、特に第2の実施形態において薄いゲート絶縁膜に高電圧が印加され破壊されることが懸念される場合に、第1p型不純物領域21を接地することで、電位の上昇を回避でき、ゲート絶縁膜の破壊を防止できる。
第1p型不純物領域21は、例えばエミッタ電極と電気的に接続することで接地できる。具体的には、図4の如く、第1p型不純物領域21を延在し、最内周の第2p型不純物領域6iに接続する。周辺p型不純物領域PPの一部である第2p型不純物領域6iはエミッタ電極17と接続しているので、これを介して第1p型不純物領域21を接地できる。また、周辺p型不純物領域PPを構成するベース領域10やボディ領域12と接続してもよい。
第1p型不純物領域21を接地することによって正孔がエミッタ電極に流出する経路を作ることになるものの、エミッタ電極とオーミックコンタクトする部分をセル周辺部分(周辺p型不純物領域PP)に部分的に設けることによって、正孔の流出経路に第1p型不純物領域21の抵抗成分を介在させ、正孔の流出をある程度は阻害できる。従って正孔の蓄積効果を無にすることは無く、正孔の蓄積効果とゲート絶縁膜の破壊耐量とはトレードオフの関係となる。
尚、図4では周辺p型不純物領域PPで囲まれるトランジスタセルCのベース領域10やボディ領域12を周辺p型不純物領域PPと離間しているが、これが連続していてもよい。
次に、図5から図11を参照して第1の実施形態のIGBT100の製造方法について説明する。尚、以降の図においては1つのゲート電極8部分と周辺部のみの概略図とし、外周の第2p型不純物領域6oは1つのみ示す。
まず図5を参照して、p型半導体層1上にn+型半導体層2およびn−型半導体層3を積層するなどした基板を準備する。一例として、p型半導体層1はp+型シリコン半導体基板であり、その上にエピタキシャル成長などによりn+型半導体層2およびn−型半導体層3を順次積層する。または、n−型半導体層3となるn−型半導体基板を準備し、その裏面に高濃度にp型不純物をイオン注入および拡散してp型半導体層1を形成してもよい。
図6(A)を参照して、基板の全面を熱酸化(1000℃程度)し、n−型半導体層3の表面に、酸化膜4を形成する。その後、フォトリソグラフィ工程によって第1p型不純物領域の形成領域と、第2p型不純物領域および外周の第2p型不純物領域(ガードリング)の形成領域の酸化膜4を開口する。
酸化膜4をマスクとして、p型不純物(例えばB)をイオン注入する。一例として注入エネルギーは70keV〜90keV、ドーズ量は7E14cm−2〜9E14cm−2である。
図6(B)を参照して、熱処理(1000℃〜1200℃)を施し、注入したp型不純物を拡散する。これにより、図2に示す例えばストライプ状のパターンでn−型半導体層3表面に延在する第1p型不純物領域21を形成する。また、n−型半導体層3の外周付近に環状の第2p型不純物領域6iと、外周の第2p型不純物領域6oとを形成する。これらの形成深さは例えば8μm〜10μmである。
第1p型不純物領域21の形成領域が開口された酸化膜4のマスクを用いることによって、第2p型不純物領域6i(外周の第2p型不純物領域6o)と同一工程で、第1p型不純物領域21を形成できる。
また拡散時の熱処理(酸化)で、酸化膜4の厚みを例えば6000Å〜9500Åまで増加させる。
図7(A)を参照して、エッチングによりベース領域の形成領域上と第2p型不純物領域6i上、外周の第2p型不純物領域6o上、およびn−型半導体層3の外周端部上の酸化膜4を除去する。後の工程でゲート電極が形成される領域には、厚い酸化膜4が残される。
その後図7(B)の如く、全面を熱酸化(例えば800℃〜1000℃)し、例えば700Å〜900Åのゲート絶縁膜7を形成する。ゲート電極が形成される領域は、厚い酸化膜4を被覆してこの上にゲート絶縁膜7が形成される。
図8(A)を参照して、全面に、ポリシリコン8’を例えば6000Å〜7000Å堆積し、例えばn型不純物をドープして低抵抗化する。尚不純物をドープしたポリシリコン8’を堆積してもよい。
図8(B)を参照して、ポリシリコン8’をパターンニングし、n−型半導体層3表面にゲート絶縁膜7を介してその上に配置されるゲート電極8を形成する。ゲート電極8の直下はその両端を除いてゲート絶縁膜7と厚い酸化膜4が配置される。
図9(A)を参照して、レジストを塗布しフォトリソグラフィ工程によってベース領域の形成領域が露出するマスクMを設け、p型不純物(例えばB)をイオン注入する。注入エネルギーは例えば60keV〜80keVであり、ドーズ量は、例えば6E13cm−2〜7E13cm−2である。
図9(B)を参照して、レジストを除去し、新たなレジストを塗布してフォトリソグラフィ工程によってボディ領域の形成領域が露出するマスクMを設け、p型不純物(例えばB)をイオン注入する。注入エネルギーは例えば40keV〜60keVであり、ドーズ量は、例えば2E15cm−2〜4E15cm−2である。
図9(C)を参照して、レジストを除去し、熱処理を行って注入したp型不純物をそれぞれ拡散し、ベース領域10およびボディ領域12を形成する。ベース領域10はゲート電極8の両外側のn−型半導体層3表面に設けられ、ボディ領域12は、ベース領域10の内側に設けられる。また、ベース領域10の深さは2〜3μm程度であり、ボディ領域12の深さは3μm〜4μm程度である。
図10(A)を参照して、露出したゲート絶縁膜7をコントロールエッチングして膜厚を例えば250Åまで薄くした後、新たなレジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程によってエミッタ領域とn−型半導体層3の外周端部が露出するマスクMを形成する。マスクMを介してn型不純物(例えばAs)をイオン注入する。注入エネルギーは130keV〜150keV、ドーズ量は4E15cm−2〜6E15cm−2である。
図10(B)を参照して、マスクMを除去後、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によりPSG(Phospho Silicate Glass)膜16’(厚みは8000Å〜9000Å)を堆積する。PSG膜のリフロー(温度800℃〜1000℃)によって注入したn型不純物を拡散し、エミッタ領域15を形成する。エミッタ領域15は、ゲート電極8の両外側のベース領域10表面に設けられる。また同時に、n−型半導体層3の外周端部に空乏層ストッパーとなる高濃度のn+型不純物領域14を形成する。
図11(A)を参照してPSG膜16’を所望の形状にパターンニングし、ゲート電極8を被覆する層間絶縁膜16を形成するとともに、ベース領域10、ボディ領域12およびエミッタ領域15、n+型不純物領域14を露出させる。
図11(B)を参照して、基板の全面に、例えばTi/TiNの合金層MLを形成し、所望の形状にパターンニングする。
これにより、図1(A)の如く、ベース領域10、ボディ領域12およびエミッタ領域15にコンタクトするエミッタ電極17を形成し、外周の第2p型不純物領域6o上にこれと重畳するシールドメタル19を形成する。さらにn+型不純物領域14上にこれと重畳してコンタクトするアニュラーシールドメタル20を形成する。
また、p型半導体層1の裏面には、例えばAl/Ti/Ni/Auなどの蒸着によってコレクタ電極18を形成し、図1(A)に示す最終構造を得る。
次に、図12および図13を参照して、図3に示す第2の実施形態の製造方法について説明する。
第1の実施形態の製造方法における第1p型不純物領域21の拡散工程(図6(B))後の酸化膜4のエッチング工程においてゲート電極の形成領域上の酸化膜4も除去し、トランジスタセルの形成領域のn−型半導体層3表面を露出させる(図12(A))。
その後、全面に厚みが例えば700Å〜900Åのゲート絶縁膜7を形成する(図12(B))。そして、図8(A)と同様の工程にて、ゲート絶縁膜7上にポリシリコン8’を堆積し(図12(C))、所望の形状にパターンニングする(図12(D))。ゲート電極8下方は、薄いゲート絶縁膜7のみが配置される。
その後、第1の実施形態の製造方法と同様に、ベース領域10およびボディ領域12を形成し(図13(A))、エミッタ領域15を形成するとともに層間絶縁膜16でゲート電極8を被覆して、エミッタ電極17等を形成する合金層MLを形成(図13(B))した後、所望の形状にパターンニングして、図3に示す最終構造を得る。
次に、図14および図15を参照して、外周端部のn+型不純物領域14は、エミッタ領域15と同時形成ではなく、第1p型不純物領域21の形成後、ゲート電極8の形成前に形成してもよい。
図14は、第1の実施形態の場合である。図7(A)で外周端部の酸化膜4を開口した後、引き続き図14(A)の如く外周端部にn型不純物をイオン注入してこれを拡散し、n+型不純物領域14を形成する。引き続きゲート電極の形成領域に厚く設けられた酸化膜4上にゲート絶縁膜7を形成する(図14(B))。その後ゲート電極8を形成する(図14(C))。
図15は、第2の実施形態の場合である。図12(A)で外周端部の酸化膜4を開口した後、引き続きn−型半導体層3の外周端部に図15(A)の如くn型不純物をイオン注入してこれを拡散し、n+型不純物領域14を形成する。引き続きゲート電極の形成領域に露出したn−型半導体層3上にゲート絶縁膜7を形成する(図15(B))。その後ゲート電極8を形成する(図15(C))。
更に、nチャネル型のIGBTの場合は、n+型不純物領域14を設けなくてもよい。その場合は、図7(A)で外周端部を露出させず、図10(A)または図14(A)、図15(A)で外周端部のn型不純物のイオン注入も行わない。
尚、第1p型不純物領域21と周辺p型不純物領域PPとを接続する場合は、第1p型不純物領域21の形成工程(例えば図12(A))でマスクを変更し図4に示すパターンにすることで形成できる。
本実施形態ではゲート電極8がストライプ状の場合を例に説明したが、ゲート電極8は格子状であってもよい。
図16は、格子状のゲート電極8の場合の第1p型不純物領域21の配置例を説明する平面図であり、ボディ領域やエミッタ領域などの構成要素は省略している。
ゲート電極8を格子状に配置し、ゲート電極8で囲まれたn−型半導体層表面にベース領域10を設ける。ベース領域10は互いに分離(独立)している。ベース領域10は、表面にボディ領域およびソース領域(不図示)が設けられ、コンタクトホールCHを介して不図示のエミッタ電極とコンタクトする。また、ゲート電極8の略中央に位置するn−型半導体層表面に、第1p型不純物領域21を配置する。この場合第1p型不純物領域21は行方向および列方向のいずれにおいても隣り合う第1p型不純物領域21とは連続しない、独立した島状である。
以上、本発明の実施の形態ではnチャネル型のIGBTを例に説明したが、導電型を逆にしたpチャネル型IGBTであっても同様に実施できる。
1 p型半導体層板
3 n−型半導体層
6i 第2p型不純物領域
6o 外周の第2p型不純物領域
8 ゲート電極
10 ベース領域
12 ボディ領域
15 エミッタ領域
21 第1p型不純物領域
PP 周辺p型不純物領域
3 n−型半導体層
6i 第2p型不純物領域
6o 外周の第2p型不純物領域
8 ゲート電極
10 ベース領域
12 ボディ領域
15 エミッタ領域
21 第1p型不純物領域
PP 周辺p型不純物領域
Claims (12)
- 一導電型半導体層と、
該一導電型半導体層上に設けられた逆導電型半導体層と、
該逆導電型半導体層に設けられた一導電型のベース領域と、
該ベース領域に設けられた逆導電型のエミッタ領域と、
前記逆導電型半導体層表面に設けられた第1絶縁膜と、
隣り合う前記ベース領域間の前記第1絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
該ゲート電極を被覆する第2絶縁膜と、
前記ゲート電極の中央付近の前記逆導電型半導体層に前記ベース領域と離間して設けられた第1の一導電型不純物領域と、
前記逆導電型半導体層の外周付近に環状に設けられた第2の一導電型不純物領域と、
を具備することを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置。 - 前記第2の一導電型不純物領域の外周に少なくとも1つの他の第2の一導電型不純物領域が設けられ、前記ベース領域と前記第1の一導電型不純物領域との距離は、前記第2の一導電型不純物領域および前記他の第2の一導電型不純物領域の隣り合う2つの領域の離間距離のうち最小の距離以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体装置。
- 前記第1の一導電型不純物領域を接地することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の絶縁ゲート型半導体装置。
- 前記第1の一導電型不純物領域を前記第2の一導電型不純物領域と電気的に接続することを特徴とする請求項3に記載の絶縁ゲート型半導体装置。
- 前記ゲート電極下方に前記第1絶縁膜より厚い他の絶縁膜を設けることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の絶縁ゲート型半導体装置。
- 前記逆導電型半導体層の外周端部に高濃度の逆導電型不純物領域を設けることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の絶縁ゲート型半導体装置。
- 一導電型半導体層上に逆導電型半導体層が設けられた基板を準備する工程と、
前記逆導電型半導体層表面に延在する第1の一導電型不純物領域を形成する工程と、
前記逆導電型半導体層の外周付近に第2の一導電型不純物領域を形成する工程と、
前記第1の一導電型不純物領域が中央付近に位置するように前記逆導電型半導体層表面に第1絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側の前記逆導電型半導体層表面に一導電型のベース領域を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側の前記ベース領域表面に逆導電型のエミッタ領域を形成する工程と、
前記ゲート電極を一体で被覆する第2絶縁膜を形成する工程と、
を具備することを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の製造方法。 - 該第1の一導電型不純物領域と前記第2の一導電型不純物領域は同時に形成することを特徴とする請求項7に記載の絶縁ゲート型半導体装置の製造方法。
- 前記ゲート電極下方に前記第1絶縁膜より厚い他の絶縁膜を形成することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の絶縁ゲート型半導体装置の製造方法。
- 前記逆導電型半導体層の外周端部に高濃度の逆導電型不純物領域を形成することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の絶縁ゲート型半導体装置の製造方法。
- 前記高濃度の逆導電型不純物領域は前記エミッタ領域と同時に形成することを特徴とする請求項10に記載の絶縁ゲート型半導体装置の製造方法。
- 前記高濃度の逆導電型不純物領域は前記第1の一導電型不純物領域の形成後、前記ゲート電極の形成前に形成することを特徴とする請求項10に記載の絶縁ゲート型半導体装置の製造方法。
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JP2010291965A JP2012142322A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 絶縁ゲート型半導体装置およびその製造方法 |
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CN112151604A (zh) * | 2020-10-27 | 2020-12-29 | 上海菱芯半导体技术有限公司 | 一种平面型igbt器件米勒电容的绝缘栅双极型晶体管及其制备方法 |
-
2010
- 2010-12-28 JP JP2010291965A patent/JP2012142322A/ja active Pending
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