以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
[管理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る管理システム1の構成を示す模式図である。管理システム1は、病院又は検査センター等のユーザー施設に設置された検体分析装置2,2,…と、検体分析装置2の保守業務を行う検体分析装置2のメーカー等の保守サービス提供業者施設に設置された管理サーバ5とを備えている。検体分析装置2,2,…と管理サーバ5とは、インターネット又は専用回線等の通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続されている。また、管理サーバ5は、保守サービス提供業者の技術者に使用される複数のクライアント装置6とLANによってデータ通信可能に接続されている。
<検体分析装置の構成>
図2は、本実施の形態に係る検体分析装置2の構成を示す斜視図である。検体分析装置2は、検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定ユニット3と、測定ユニット3による測定データを分析するとともに、測定ユニット3に操作指示を与える情報処理ユニット4とで構成されている。
図3は、測定ユニット3の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図である。測定ユニット3は、測定部10と、検出部40と、搬送部50とによって構成されている。
測定部10は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25と、第1キャッチャユニット26と、第2キャッチャユニット27と、第3キャッチャユニット28と、試薬バーコードリーダ31と、キュベット搬送器32と、希釈液搬送器33と、キュベット口34と、廃棄口35、36を備えている。
第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16は、円形状のテーブルであり、それぞれ、時計回り及び反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配された複数のステッピングモータ(図示せず)により行われる。
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、図示の如く、それぞれ、5つの第1容器ラック13と5つの第2容器ラック14が着脱可能に配置されている。第1容器ラック13と第2容器ラック14には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12に保持されている試薬容器のそれぞれには、試薬の種類、ロット番号、使用期限等の試薬情報が記録されたバーコードが印刷されたバーコードラベルが貼布されている。かかる試薬容器のバーコードは、バーコードリーダ31により読み取られる。
キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a、16aが形成されている。キュベット保持孔15a、16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
図4は、第1試薬分注ユニット23の構成を示す側面図である。第1試薬分注ユニット23は、図示の如く、駆動部23aと、アーム23bと、ピペット23cとを備えている。駆動部23aは、回転用モータ231と、昇降用モータ232と、回転用モータ231及び昇降用モータ232の動力を軸233に伝達する伝達機構234とを備えている。伝達機構234は、回転用モータ231の回転動力を減速して軸233に伝達するベルト伝動機構又はギヤ機構等、昇降用モータ232の回転動力を上下方向の直線動力に変換して軸233に伝達するベルト伝動機構又はラック・ピニオン機構等により構成されている。回転用モータ231の回転方向及び回転量はロータリーエンコーダ235によって、昇降用モータ232の回転方向及び回転量(つまり、ピペット23cの上下移動方向及び移動量)はロータリーエンコーダ236によってそれぞれ検出される。
図5は、アーム部23bの一部の構成を示す斜視図である。この図には、上部カバー23b1(2点鎖線で示す)が取り外されることによって内部が露出したアーム部23bが示されている。ピペットPは、アーム部23bに上下方向に移動(摺動)可能に支持されるとともに、下方への移動が所定に規制されている。また、ピペットPは、圧縮コイルバネからなる付勢部材171によって下方へ付勢されている。アーム部23bには、ピペットPとともに上下方向に移動可能な台座172が設けられ、この台座172上に検知部材173が取り付けられている。アーム部23bには回路基板174が立設され、この回路基板174に衝突検出用センサ170が取り付けられている。
衝突検出用センサ170は、投光部と受光部とを有する透過型センサからなる。検知部材173には、衝突検出用センサ170の投受光部の間に配置される遮光板173aが設けられている。遮光板173aは、正常時に衝突検出用センサ170を遮光し、衝突検出用センサ170をオフ状態とする。ピペットPが下降して障害物に衝突すると、アーム部23bに対してピペットPが上昇し、台座172を介して遮光板173aも上昇するため、衝突検出用センサ170の遮光が解除される。これによって衝突検出用センサ170がオンとなった場合に、測定制御部140により、ピペットPが障害物に衝突したことが検出される。
また、第1試薬分注ユニット23は、CCD等の撮像素子を備えるカメラ23dを備えている。カメラ23dは、アーム部23bの先端に取り付けられており、下方のピペットPを含む領域を撮像可能である。また、カメラ23dはアーム部23bに固定されているため、アーム部23bが移動したとしてもピペットPとの相対的な位置関係は変化せず、常にピッペットPの先端を含む領域を撮像するようになっている。カメラ23dは具体的にはピペットの一部とピペットがアクセスしようとしている対象物である容器(さらに具体的には容器の開口部)とを撮像する。また、カメラ23dはアーム部23bの回転軸とピペット取付位置とを結ぶライン上に設けられており、カメラ23dによってピペットの容器に対する位置ずれを良好に判別可能な画像が得られるようになっている。
なお、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25の構成は、第1試薬分注ユニット23の構成と同様であるので、その説明を省略する。
図3に戻り、第1キャッチャユニット26は、アーム26bを支持する支持部26aと、伸縮可能なアーム26bと、把持部26cとで構成されている。支持部26aは、下面裏側に配されたステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。把持部26cは、アーム26bの先端に取り付けられており、キュベットを把持することができる。なお、第2キャッチャユニット27についても、第1キャッチャユニット26と同様の構成となっており、ステッピングモータ(図示せず)により回転される。
第3キャッチャユニット28は、図示の如く、アーム28bを支持する支持部28aと、伸縮可能なアーム28bと、アーム28bの先端に取り付けられた把持部28cとで構成されている。支持部28aは、左右方向に配されたレールに沿って駆動される。把持部28cは、キュベットを把持することができる。
キュベット搬送器32及び希釈液搬送器33は、レール上を左右方向に駆動する。また、キュベット搬送器32と希釈液搬送器33には、それぞれ、キュベット及び希釈液容器を保持するための孔が設けられている。
キュベット口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27により、キュベット搬送器32のキュベットを保持する孔及びキュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口35、36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
検出部40は、上面にキュベットを収容する20個の保持孔41が設けられており、下面裏側に検出部(図示せず)が配されている。保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベット中の測定試料から光学的情報が検出される。
搬送部50は、搬送路51と検体バーコードリーダ52を備えている。搬送路51の底面は、右側に分析前ラック保持領域、中央に搬送領域、左側に分析後ラック保持領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、搬送領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。
図6は、測定ユニット3の回路構成を示すブロック図である。
測定ユニット3は、制御部300と、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、キュベットテーブルステッピングモータ313と、加温テーブルステッピングモータ314と、キャッチャユニットステッピングモータ部315と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、衝突検出用センサ部323と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332と、撮像部324とを有している。制御部300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、通信インターフェース305と、I/Oインターフェース306とを有する。
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。ハードディスク304には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク304には、CPU301に測定ユニット3の各部を制御するための制御プログラムがインストールされている。また、通信インターフェース305により、情報処理ユニット4に対してデータの送受信が可能となる。
また、CPU301は、I/Oインターフェースを介して、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、衝突検出用センサ部323と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332とを制御する。
試薬テーブルステッピングモータ部311は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のそれぞれを互いに独立して回転駆動させる複数のステッピングモータで構成されている。分注ユニットステッピングモータ部312は、前述した第1試薬分注ユニット23の回転用モータ231及び昇降用モータ232並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25それぞれの回転用モータ及び昇降用モータによって構成されている。これらの回転用モータ及び昇降用モータは、ステッピングモータである。
キュベットテーブルステッピングモータ313は、キュベットテーブル15を回転駆動させるステッピングモータで構成されている。加温テーブルステッピングモータ314は、加温テーブル16回転駆動させるステッピングモータで構成されている。キャッチャユニットステッピングモータ部315は、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27のそれぞれを回転させる複数のステッピングモータで構成されている。
試薬テーブルロータリーエンコーダ部321は、試薬テーブルステッピングモータ部311に含まれる複数のステッピングモータの回転方向及び回転量を各別に検出可能な複数のロータリーエンコーダにより構成されている。試薬テーブル原点センサ部331は、試薬テーブルステッピングモータ部311に含まれる複数のステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを各別に検出する複数の原点センサにより構成されている。CPU301は、かかる試薬テーブルロータリーエンコーダ部321及び試薬テーブル原点センサ部331の出力信号を受け取ることにより、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のそれぞれが、原点位置から時計方向又は反時計方向へ何度回転したかを認識することができる。
分注ユニットロータリーエンコーダ部322には、前述した第1試薬分注ユニット23のロータリーエンコーダ235、236並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれのロータリーエンコーダによって構成されている。つまり、分注ユニットロータリーエンコーダ部322は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転方向及び回転量を各別に検出可能な複数のロータリーエンコーダにより構成されている。分注ユニット原点センサ部332は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを各別に検出する複数の原点センサにより構成されている。CPU301は、かかる分注ユニットロータリーエンコーダ部322及び分注ユニット原点センサ部332の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のアーム21a、22a、23a、24a、25aのそれぞれが、回転方向の原点位置から時計方向又は反時計方向へ何度回転したか、及び高さ方向の原点位置(基準高さ)から上方又は下方へどの程度移動したかを認識することができる。
また、衝突検出用センサ部323は、前述した第1試薬分注ユニット23の衝突検出用センサ170並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれの衝突検出用センサによって構成されている。CPU301は、かかる衝突検出用センサ部323の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のピペット21c、22c、23c、24c、25cのそれぞれが、障害物に衝突したか否かを認識することができる。
また、撮像部324は、前述した第1試薬分注ユニット23のカメラ23d並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれのカメラによって構成されている。CPU301は、かかる撮像部324に含まれる各カメラの出力信号(画像信号)を受け取ることが可能である。
図7は、情報処理ユニット4の構成を示すブロック図である。
情報処理ユニット4は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409とから構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、コンピュータを本実施の形態に係る情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
また、ハードディスク404には、後述する検体測定データの校正に使用される検量線が測定項目毎に記憶されている。
読出装置405は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウス及びキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理ユニット4にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また情報処理ユニット4は、通信インターフェース410により測定ユニット3、管理サーバ5及びクライアント装置6に対してデータの送受信が可能となる。
<管理サーバの構成>
図8は、管理サーバ5の構成を示すブロック図である。
管理サーバ5は、パーソナルコンピュータからなっており、本体500と、入力部508と、表示部509とから構成されている。本体500は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、ハードディスク504と、読出装置505と、入出力インターフェース506と、画像出力インターフェース507と、通信インターフェース510とを有する。
CPU501は、ROM502に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM502にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM503は、ROM502及びハードディスク504に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM503は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU501の作業領域としても利用される。
ハードディスク504には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU501に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク504には、コンピュータを本実施の形態に係る管理サーバとして機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
読出装置505は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース506には、マウス及びキーボードからなる入力部508が接続されており、ユーザが入力部508を使用することにより、管理サーバ5にデータが入力される。画像出力インターフェース507は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部509に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部509に出力する。表示部509は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また管理サーバ5は、通信インターフェース510により検体分析装置2及びクライアント装置6に対してデータの送受信が可能となる。
<クライアント装置の構成>
クライアント装置6は、パーソナルコンピュータからなっている。クライアント装置6の構成は、情報処理ユニット4としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムではなく、管理サーバにアクセスし、検体分析装置2の保守管理業務を行うために使用されるクライアント装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムがハードディスクにインストールされている他は、上述した情報処理ユニット4の構成と同一であるので、その説明を省略する。
[管理システムの動作]
以下、本実施の形態に係る管理システムの動作について説明する。
<検体毎の分析手順>
まず、検体分析装置2による検体の分析の手順について説明する。検体の分析手順は、検体の測定項目(PT,APTT等)によって異なる。検体の測定項目は、測定オーダにより指定される。検体分析装置2では、ユーザによる測定オーダの登録が可能であり、また図示しないホストコンピュータから測定オーダを受け付けることも可能である。つまり、ユーザが測定オーダを登録する場合は、ユーザが情報処理ユニット4の入力部408を操作することにより、測定オーダを検体分析装置2に入力する。ホストコンピュータから測定オーダを受け付ける場合には、予めユーザがホストコンピュータに測定オーダを登録しておく。
複数の検体容器61を収容した検体ラック60が、ユーザによって搬送路51の分析前ラック保持領域にセットされる。検体ラック60は、分析前ラック保持領域において後方に移動された後、搬送領域において左方向に移動される。このとき、検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる。検体容器61のバーコードには検体IDが記録されており、情報処理ユニット4は、読み取られた検体IDをキーにして当該検体の測定オーダを通信ネットワークを介して接続された図示しないホストコンピュータから取得する。
続いて、検体ラック60が、搬送領域の所定の場所に位置づけられる。搬送領域にて検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、搬送領域において左方向に移動された後、分析後ラック保持領域において前方に移動される。
第1検体分注ユニット21は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第1検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。
第2検体分注ユニット22は、検体吸引位置19にあるキュベットに収容されている検体、又は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置54に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第2検体分注ユニット22よって吸引された検体は、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される。なお、第2検体分注ユニット22は、希釈液搬送器33にセットされた希釈液を吸入することができる。この場合、検体分注ユニット22は、検体の吸引前に希釈液吸引位置37にて希釈液を吸引した後、検体吸引位置19又は54にて検体を吸引する。
1つの検体について複数の測定項目を含む測定オーダが取得された場合、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされたキュベットから、測定項目数分のキュベットに検体が小分けされる。各キュベットは1つずつ測定項目に対応しており、キュベットに小分けされた検体は、当該キュベットに対応する測定項目について測定される。
キュベット搬送器32は、収容したキュベットに検体が吐出(小分け)されると、所定のタイミングにて、レール上を右方向に駆動される。続いて、第1キャッチャユニット26により、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットが把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。キュベットに収容された検体は、加温テーブル16において測定項目に応じた時間加温される。例えば、測定項目がPTの場合には、検体が3分間加温され、測定項目がAPTTの場合には、検体が1分間加温される。
検体が加温された後、検体に試薬が混和される。測定項目によって、試薬と混合された検体が検出部40によって測定されるか、再度加温されるかが異なる。例えば、測定項目がPTの場合、加温された検体を収容するキュベットにPT試薬が分注され、その後検出部40において光学測定される。
この場合、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25により、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬が吸引され、試薬吐出位置39a又は39bにて試薬が吐出される。こうして試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出部40の保持孔41にセットする。その後、検出部40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
加温された検体に試薬が混和された後、再度加温される場合について説明する。このように検体を2回加温する測定項目の場合、加温テーブル16において検体が所定時間加温された後、第2キャッチャユニット27が、保持孔16aにセットされた当該検体を収容しているキュベットを把持し、試薬吐出位置38まで移動させる。ここで、第1試薬分注ユニット23は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬を吸引し、試薬吐出位置38にて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第2キャッチャユニット27は、かかるキュベットを攪拌した上で、再び加温テーブルのキュベット保持孔16aにセットする。
加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、次に、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬を吸引し、試薬吐出位置39a又は39bにて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出部40の保持孔41にセットする。その後、検出部40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
検出部40によって取得された測定データ(光学的情報)は、情報処理ユニット4へ送信される。情報処理ユニット4は、対応する測定項目の検量線データをハードディスク404から読み出し、検量線を用いて測定データを変換する。変換後の測定データが最終的な測定結果とされ、ハードディスク404に設けられた測定結果データベース(図示せず)に検体ID等の検体情報と対応付けて保存される。また、測定結果は表示部409に表示される。
検出部40による検出が終了し不要となったキュベットは、第3キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。また、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aに保持されているキュベットについても、分析が終了し不要となると、キュベットテーブル15が回転され、第2キャッチャユニット27に近い場所に位置づけられる。第2キャッチャユニット27は、キュベット保持孔15aに保持されている不要となったキュベットを把持し、廃棄口36に廃棄する。
<ピペットの位置調整動作>
次に、検体分析装置2におけるピペットの位置調整動作について説明する。図9は、本実施の形態に係る管理システムにおけるピペットの位置調整動作の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは第1試薬分注ユニット23のピペット位置を調整する場合について説明するが、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25におけるピペット位置調整も同様の動作により調整される。
検体分析装置2は、衝突検出用センサ部324により、ピペットがキュベットの壁等の障害物に衝突したことを検出可能である。第1試薬分注ユニット23のピペットPが、試薬吐出位置38に位置するキュベットに試薬を分注する場合、試薬容器から試薬を吸引したピペットPが上昇された後、駆動部23aによりアーム23bが回転され、ピペットPが試薬吐出位置38に位置決めされる。続いてピペットPが下方へ移動され、キュベット内にピペットPの先端が挿入されることになる。ここで、経時的なピペットPの位置ずれ等により、ピペットPが試薬吐出位置38に正確に位置決めされない場合には、ピペットPの下降の際にピペットPがキュベットの壁等に接触することになる。こうしたピペットPの障害物への衝突は、衝突検出用センサ170により検出される。
このように、検体分析装置2において異常が検出された場合(ステップS101)、情報処理ユニット4のCPU401は、ハードディスク404に記憶された当該検体分析装置2の認証ID及び発生した異常に関する異常情報を含む自己調整承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS102)。この異常情報には、異常の発生日時、異常の種類(上記の場合は、第1試薬分注ユニット23のピペットの停止位置異常)、異常に関するデータ(例えば異常を検出したときにカメラ32dにより撮像された画像)、及び当該異常と同時期に発生していたエラーの情報等が含まれる。
管理サーバ5は、自己調整承認要求データを受信する(ステップS103)。管理サーバ5のCPU501は、受信した自己調整承認要求データに基づいて、自己調整の可否を判定する(ステップS104)。この自己調整の可否判定処理は、受信した認証IDが不正なものでないか否かを判定したり、ユーザが契約している保守サービスに検体分析装置の自己調整が含まれているかどうかをチェックすることにより行われる。自己調整が許可されない場合には(ステップS104においてNO)、CPU501は、クライアント装置6へ当該異常が発生した検体分析装置を特定する情報(装置ID、機種名、施設名等)及び異常の種類を示す情報又は不正アクセスが発生したことを示す情報等を含む通知データを送信し、技術者に異常の発生又は不正アクセスの発生を通知する(ステップS105)。これにより、異常発生の通知があった場合には、技術者がユーザに電話をかけたり、施設を訪問したりして、異常の解消のための処置が行われる。また、不正アクセス発生の通知があった場合には、技術者が保守サービス提供業者のセキュリティ部問等に連絡する等して、不正アクセスに対する必要な処置が行われる。
ステップS104において、自己調整が許可された場合には(ステップS104においてYES)、CPU501は、自己調整の許可を示す自己調整許可データを検体分析装置2へ送信する(ステップS106)。この自己調整許可データには、自己調整の種類、即ち、第1試薬分注ユニット23のピペット位置調整を示す情報等の自己調整動作の実行に必要な情報が含まれている。
情報処理ユニット4のCPU401は、自己調整許可データを受信したか否かを判定し(ステップS107)、自己調整許可データを受信しなかった場合には(ステップS107においてNO)、処理を終了する。一方、自己調整許可データを受信した場合には(ステップS107においてYES)、CPU401は、調整量検出処理を実行する(ステップS108)。
ここで調整量検出処理について説明する。図10は、調整量検出処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU401は、第1試薬分注ユニット23の駆動部23aを制御して、ピペットPを上限位置にまで上昇させた上で、アーム23bを回転させ、ピペットPを試薬吐出位置38まで移動させる(ステップS201)。この試薬吐出位置38の位置情報は、ハードディスク404にアーム23bの原点位置から試薬吐出位置38までの移動量(回転用モータ231のパルス数)として記憶されている。つまり、ステップS201においては、原点位置から設定されている移動量だけアーム23bを回転させることにより、試薬吐出位置38までピペットPが移動される。なお、位置調整を行うべき位置が試薬吐出位置38ではなく、試薬容器から試薬を吸引するための位置の場合には、当該位置にピペットPを位置決めすることになる。
次にCPU401は、カメラ23dにより試薬吐出位置38にあるキュベットを撮像し、キュベットの画像を取得する(ステップS202)。このとき、キュベットが試薬吐出位置38にない場合には、第2キャッチャユニット27を駆動してキュベットを試薬吐出位置38に位置させておく。
図11は、ピペットの位置ずれが生じていない場合のキュベットの画像を示す模式図であり、図12は、ピペットの位置ずれが生じている場合のキュベットの画像の一例を示す模式図である。カメラ23dは、常に撮像領域の左右方向中央にピペットPが位置するようにアーム部23bに取り付けられている。図11に示すように、ピペットの位置ずれが生じていない場合には、キュベットの幅方向の中心C1と、画像の左右方向の中心C0とは一致している。一方、図12に示すように、ピペットの位置ずれが生じている場合には、キュベットの幅方向の中心C1は、画像の左右方向の中心C0と一致していない。つまり、中心C0と中心C1の距離Dの分、ピペットPに位置ずれが生じている。また、画像の中心C0は、ピペットPの中心位置でもある。したがって、中心C0から中心C1へ向かう方向へ、距離Dの調整量でピペットの位置を調整すればよいことになる。
CPU401は、画像処理によりキュベットの幅方向の中心C1を検出する(ステップS203)。具体的には、CPU401は、階調画像であるカメラ23dの画像(以下、「キュベット画像」という)の横方向に連なる所定の画素列について、画素データ(輝度値)を微分する。キュベットの壁の部分は、背景より輝度が高くなっている。よって、左から右へ向かって微分を行うと、背景とキュベットの左側の壁との境界において微分値が急激に高くなり、キュベットの右側の壁と背景との境界において微分値が急激に低くなる。CPU401は、所定の正の値の第1閾値によって、背景とキュベットの左側の壁との境界における微分値のピークを検出し、所定の負の値の第2閾値によって、キュベットの右側の壁と背景との境界における微分値のピークを検出する。さらにCPU401は、検出した両方のピーク位置の中間位置を求め、この位置をキュベットの幅方向の中心C1とする。
なお、キュベットの幅方向の中心C1の位置を求めるための画像処理は上記のものに限られず、キュベット画像を2値化することでキュベットの壁の位置を検出したり、及びパターンマッチングによってキュベットの位置を検出したりしてもよい。
次にCPU401は、検出した中心C1とキュベット画像の中心C0から、ピペットの位置の調整方向及び調整量を算出する(ステップS204)。具体的には、CPU401は、中心C0から中心C1へ向かう方向が右方向である場合には、アーム23bの回転方向において時計回り方向を調整方向とし、中心C0から中心C1へ向かう方向が左方向である場合には、アーム23bの回転方向において反時計回り方向を調整方向とする。また、ハードディスク404には、距離Dと回転用モータ231のパルス数との関係が記憶されており、CPU401は、中心C0とステップS203において検出された中心C1との距離Dから対応するパルス数を調整量として導出する。
ステップS204の処理の後、CPU401は、メインルーチンにおける調整量検出処理の呼出アドレスへ処理をリターンする。
調整量検出処理が終了した後、CPU401は、認証ID、並びに検出された調整方向及び調整量を含むピペット位置調整承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS109)。
管理サーバ5は、ピペット位置調整承認要求データを受信する(ステップS110)。管理サーバ5のCPU501は、受信したピペット位置調整承認要求データに基づいて、ピペット位置調整の可否を判定する(ステップS111)。このピペット位置調整の可否判定処理は、受信した認証IDが不正なものでないか否かを判定したり、ユーザが契約している保守サービスに検体分析装置の自己調整が含まれているかどうかをチェックしたりすることに加え、ピペット位置調整要求データに含まれる調整量が、所定の許容範囲に収まっているか否かにより判断される。つまり、調整量が許容範囲内である場合には、ピペット位置調整が許可され、調整量が許容範囲を逸脱する場合には、ピペット位置調整が許可されない。
ピペット位置の調整が許可されない場合には(ステップS111においてNO)、CPU501は、クライアント装置6へ異常が発生した検体分析装置を特定する情報(装置ID、機種名、施設名等)及び異常の種類を示す情報又は不正アクセスが発生したことを示す情報等を含む通知データを送信し、技術者に異常の発生又は不正アクセスの発生を通知する(ステップS105)。これにより、異常発生の通知があった場合には、技術者がユーザに電話をかけたり、施設を訪問したりして、異常の解消のための処置が行われる。また、不正アクセス発生の通知があった場合には、技術者が保守サービス提供業者のセキュリティ部問等に連絡する等して、不正アクセスに対する必要な処置が行われる。
ステップS111において、ピペット位置調整が許可された場合には(ステップS111においてYES)、CPU501は、ピペット位置調整の許可を示すピペット位置調整許可データを検体分析装置2へ送信し(ステップS112)、処理を終了する。
情報処理ユニット4のCPU401は、ピペット位置調整許可データを受信したか否かを判定し(ステップS113)、ピペット位置調整許可データを受信しなかった場合には(ステップS113においてNO)、処理を終了する。一方、ピペット位置調整許可データを受信した場合には(ステップS113においてYES)、CPU401は、ステップS108において検出された調整方向及び調整量にピペット位置を調整し(ステップS114)、処理を終了する。ステップS114においては、ハードディスク404に記憶されている試薬吐出位置38の位置情報を、ステップS108において検出された調整方向及び調整量によって更新することによってピペット位置の調整が行われる。つまり、アーム23bの原点位置から試薬吐出位置38までの回転用モータ231の回転方向と調整方向が同一の場合には、ハードディスク404に記憶されている位置情報(回転用モータ231のパルス数)に調整量を加え、アーム23bの原点位置から試薬吐出位置38までの回転用モータ231の回転方向と調整方向が反対の場合には、ハードディスク404に記憶されている位置情報から調整量を減ずることによりピペットの位置調整が行われる。これにより、検体分析装置2の自己調整(ピペット位置調整)が完了する。
上記のごとく構成したことにより、本実施の形態に係る管理システムは、技術者が検体分析装置2を遠隔操作するためのコマンドを決定し、検体分析装置2へ送信するなど、複雑な操作を必要とせず、技術者の負担が従来に比して軽減される。また、検体分析装置2の個体差による調整量を自動的に検出し、この調整量によって検体分析装置2の自己調整が可能であるので、検体分析装置毎に適切な調整が可能となる。さらに、検体分析装置2が検体分析装置2の判断により勝手に自己調整を行ってしまうと、適切な調整が行われているか否かが分からず、測定結果の信頼性を確保することができない。本実施の形態に係る管理システムでは、管理サーバ5による承認を得なければ、検体分析装置2が自己調整を行うことができない構成としたので、検体分析装置2の調整が必要な場合にだけ自己調整を行うことができ、検体分析装置2の測定結果の信頼性が損なわれることがない。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る検体分析装置の構成は、実施の形態1に係る検体分析装置2の構成と同様であるので、同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、本実施の形態に係る検体分析装置2の動作について説明する。図13は、本実施の形態に係る検体分析装置におけるピペットの位置調整動作の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは第1試薬分注ユニット23のピペット位置を調整する場合について説明するが、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25におけるピペット位置調整も同様の動作により調整される。
実施の形態1と同様に、検体分析装置2は、衝突検出用センサ部324により、ピペットがキュベットの壁等の障害物に衝突したことを検出する。このように、検体分析装置2において異常が検出された場合(ステップS301)、情報処理ユニット4のCPU401は、調整量検出処理を実行する(ステップ302)。なお、当該調整量検出処理は、実施の形態1において説明した調整量検出処理と同様であるので、その説明を省略する。
次にCPU401は、調整量検出処理により検出された調整量が、所定の許容範囲に収まっているか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303において、調整量が許容範囲を逸脱する場合には(ステップS303においてNO)、CPU401は、異常警告画面(図示せず)を表示部410に表示させ(ステップS304)、処理を終了する。この異常警告画面には、発生した異常に関する異常情報、即ち、異常の発生日時、異常の種類(上記の場合は、第1試薬分注ユニット23のピペットの停止位置異常)、異常に関するデータ(例えば異常を検出したときにカメラ32dにより撮像された画像)、及び当該異常と同時期に発生していたエラーの情報等が表示される。また、当該異常警告画面には、自己調整によっては対処できない異常である旨が示され、保守サービス提供業者へ連絡をすべき旨が示される。このようにして、異常警告画面において、ユーザ(又は保守担当の技術者)に異常に対する注意喚起がなされる。なお、異常警告画面を表示するとともに、保守サービス提供業者に検体分析装置2が自動的に異常の発生を通知する構成としてもよい。
ステップS303において、調整量が許容範囲内である場合には(ステップS303においてYES)、CPU401は、調整承認要求画面(図示せず)を表示部410に表示させる(ステップS305)。この調整承認要求画面において、ユーザ(又は保守担当の技術者)は、自己調整の実行の承認及び不承認の何れか一方を入力可能である。また、調整承認要求画面には、発生した異常に関する異常情報及び検出された調整量の情報等、自己調整の可否判断に必要な情報も表示される。
ユーザ(又は保守担当の技術者)から自己調整の承認を受け付けた場合(ステップS306においてYES)、CPU401は、ステップS302において検出された調整方向及び調整量にピペット位置を調整し(ステップS307)、処理を終了する。ステップS307の処理は、実施の形態1のステップS114の処理と同様であるので、その説明を省略する。また、ユーザ(又は保守担当の技術者)から自己調整の不承認を受け付けた場合(ステップS306においてNO)、CPU401は、そのまま処理を終了する。これにより、検体分析装置2の自己調整(ピペット位置調整)が完了する。
上記のごとく構成したことにより、本実施の形態に係る検体分析装置は、技術者が検体分析装置2を遠隔操作するためのコマンドを決定し、検体分析装置2へ送信するなど、複雑な操作を必要とせず、技術者の負担が従来に比して軽減される。また、検体分析装置2の個体差による調整量を自動的に検出し、この調整量によって検体分析装置2の自己調整が可能であるので、検体分析装置毎に適切な調整が可能となる。
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態1,2においては、自己調整機能を有する検体分析装置2を血液凝固測定装置としたが、これに限定されるものではない。血球計数装置、免疫分析装置、遺伝子増幅測定装置、生化学分析装置、尿定性分析装置、尿中有形成分分析装置、又は血液塗抹標本作成装置等の検体を処理する検体処理装置が自己調整を行う構成としてもよい。
また、上記の実施の形態1,2においては、異常検出のイベントをトリガーとして自己調整を開始する構成について述べたが、これに限定されるものではない。具体的には、操作者が検体分析装置に備えられた所定のコマンドキーを手動入力し、このコマンド入力のイベントを情報処理ユニット4のCPU401が検出することにより自己調整開始の指示を行なう構成としてもよく、検体分析装置が所定条件を満たすイベントが発生した場合(例えば、検体分析装置の分析動作回数が所定回数に達した場合、稼動時間が所定時間に達した場合、又は前回の自己調整実施から所定時間が経過した場合など)に情報処理ユニット4のCPU401が当該イベントを検出したときに、自己調整を開始する構成としてもよい。また、管理サーバ等の検体分析装置に接続された装置から自己調整開始を指示するコマンドを検体分析装置へ送信し、情報処理ユニット4のCPU401が当該コマンドを受信するというイベントを検出したときに自己調整を開始する構成としてもよい。
また、上記の実施の形態1,2においては、ピペットの位置調整の自己調整の実施について、検体分析装置2が管理サーバ5又はユーザ(若しくは保守担当の技術者)に自己調整の承認要求を行い、承認を得てから自己調整を実施する構成について述べたが、これに限定されるものではない。管理サーバ5又はユーザ(若しくは保守担当の技術者)の承認を得ることなく、検体分析装置が自己調整を実行する構成としてもよい。
また、上記の実施の形態1,2においては、検体分析装置2の自己調整機能として、試薬又は検体を分注するピペットの位置調整を行う構成について述べたが、これに限定されるものではなく、他の機構の自己調整を行う構成であってもよい。例えば、第1キャッチャユニット〜第3キャッチャユニットのアームの先端にカメラを取り付け、把持部のアクセス対象物であるキュベットを撮像可能とし、把持部によるキュベットの把持不良が生じた場合に、当該カメラによってキュベットの把持不良が発生したキュベットを撮像し、これによって把持部の位置調整を行う構成としてもよい。また、バーコードリーダ31にステッピングモータ等のアクチュエータを設けて位置調整可能とし、バーコードリーダによるバーコード読取不良が発生した場合に、バーコードリーダの位置を自己調整する構成としてもよい。この場合、バーコードリーダのアクセス対象物はバーコードであり、カメラによってバーコードを撮像し、当該撮像により得られた画像を処理してバーコードリーダの位置調整を行う。
また、上記の実施の形態1においては、管理サーバ5が自動的に自己調整の承認を行う構成について述べたが、これに限定されるものではなく、管理サーバ5からクライアント装置6へ検体分析装置2の自己調整の承認を要求するデータを送信し、クライアント装置6によって保守担当の技術者に自己調整の承認を要求し、技術者から承認が得られたときにクライアント装置6から検体分析装置2に自己調整の許可データを送信して、検体分析装置2に自己調整を実施させる構成としてもよい。
また、上記の実施の形態1,2においては、軸233を中心として回転するアーム23bの先端にカメラ23dを設け、当該カメラ23dによってキュベット画像を撮像し、撮像されたキュベット画像に基づいてピペットの位置調整量を検出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。ピペットが水平方向に延びる直交2軸(X軸及びY軸)のそれぞれについて移動可能な分注ユニットを備える検体処理装置の場合には、当該分注ユニットに、X軸方向の位置調整用のカメラと、Y軸方向の位置調整用のカメラとを取り付け、これらのカメラによってキュベット等の対象物を撮像して位置調整を行う構成としてもよい。