JP2012031126A - アミド化合物の精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、アミド化合物含有液、特にニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体、または該微生物菌体の処理物を用いてニトリル化合物の水和反応で製造されたアミド化合物含有液中に含まれる不純物を効率的に除去する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
アミド化合物含有液を0.5ml/g以上の細孔容積を有する活性炭と接触させることを特徴とするアミド化合物の精製方法。本発明は、特にアクリルアミドまたはメタクリルアミドに好適に用いることが出来る。
【選択図】なし
本発明は、アミド化合物含有液、特にニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体、または該微生物菌体の処理物を用いてニトリル化合物の水和反応で製造されたアミド化合物含有液中に含まれる不純物を効率的に除去する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
アミド化合物含有液を0.5ml/g以上の細孔容積を有する活性炭と接触させることを特徴とするアミド化合物の精製方法。本発明は、特にアクリルアミドまたはメタクリルアミドに好適に用いることが出来る。
【選択図】なし
Description
本発明はアミド化合物の精製方法に関する。より詳しくは、アミド化合物の含有液を活性炭を用いて処理することにより、効率的に純度の高いアミド化合物を得る方法に関する。
アミド化合物、特にニトリル化合物を水和して得られるアミド化合物生成液中にはその製法により種類は異なるものの、通常は高分子物質や界面活性剤、着色分、溶出物、または他の不純物等が存在する。これらを除去するために, 例えば特開昭61−115495号公報および特開昭61−122253号公報には活性炭による精製処理方法が、特開昭61−115058号公報にはイオン交換膜による精製処理方法が、また特開昭61−122227号公報には多孔質中空糸膜による精製処理方法が記載されている。
しかしながら、上記イオン交換膜や多孔質中空糸膜を用いた精製方法では特殊な精製装置が必要となる等、その実施において、経済性の面でのデメリットは避けられない。また、活性炭による精製方法においては、通常は特殊な設備は必要ないものの、得られる製品中にはなお不純物が存在し、効果の点で未だ不十分である。特に、ニトリル水和能を有する酵素であるニトリルヒドラターゼ等を用いてニトリル化合物を直接水和してアミド化合物を製造する場合、上記先行技術の活性炭による精製方法では、反応液中に混入する微生物等に由来する蛋白質の除去が不十分であり、その結果、その量が微量であれば、反応液が発泡し易くなり、また多くなれば反応液が白濁することとなり、製品品質に悪影響を及ぼす。
また活性炭にはその原料や調製法により、様々な細孔径や比表面積を持つものが知られているが、本発明らの検討に拠れば、活性炭の細孔容積が小さい場合には、微生物等に由来する蛋白質が十分に除去できないことがわかった。
従って、本発明の課題は、アミド化合物含有液中に含まれる不純物を効率的に除去する方法を提供することにある。本発明は特に、微生物菌体またはその処理物を用いてニトリル化合物から対応するアミド化合物を製造する際に、得られるアミド化合物含有液より、微生物由来の蛋白質を効率的に除去する精製方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前述のアミド化合物含有液の活性炭を用いた精製方法に関して鋭意検討を行なってきたところ、アミド化合物含有液を特定の細孔容積を有する活性炭と接触することにより、該アミド化合物含有液中に含まれる不純物、特に蛋白質を、極めて効率的に除去しうることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、以下にある:
[1] アミド化合物含有液を0.5ml/g以上の細孔容積を有する活性炭と接触させることを特徴とするアミド化合物の精製方法。
[2] アミド化合物含有液を酸性条件下で活性炭と接触させる[1]に記載の精製方法。
[3] アミド化合物含有液が、対応するニトリル化合物の水和反応により得られる生成液である[1]または[2]に記載の精製方法。
[4] アミド化合物が炭素数2〜20のものである、[1]から[3]のいずれかに記載の精製方法。
[5] アミド化合物が炭素間2重結合を有するものである、[1]から[4]のいずれかに記載の精製方法。
[6] アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである、[5]に記載の精製方法。
[7] アミド化合物が、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体、または該微生物菌体の処理物を用いて合成されたものである、[1]から[6]のいずれかに記載の精製方法。
[8] 微生物菌体が、微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質転換体であることを特徴とする[7]記載の精製方法。
[9] 活性炭との接触時のアミド化合物含有液のpHが3.5〜6.5である、[1]から[7]のいずれかに記載の精製方法。
[10] 酸解離指数3.5〜5.5の有機酸、または該有機酸と塩基を用いてアミド化合物含有液を酸性に調製することを特徴とする、[2]から[8]に記載の精製方法。
[11] 有機酸がアクリル酸またはメタクリル酸であることを特徴とする、[10]に記載の精製方法。
[12] 活性炭が、木質またはヤシ殻を原料とした活性炭であることを特徴とする、[1]から[11]のいずれかに記載の精製方法。
[13] 活性炭との接触時の温度が10〜50℃である、[1]から[12]のいずれかに記載の精製方法。
[14] アミド化合物含有液を活性炭と接触させた後、活性炭を分離し、残液を飽和温度以下として結晶を析出させることを特徴とする、[1]から[13]のいずれかに記載の精製方法。
[1] アミド化合物含有液を0.5ml/g以上の細孔容積を有する活性炭と接触させることを特徴とするアミド化合物の精製方法。
[2] アミド化合物含有液を酸性条件下で活性炭と接触させる[1]に記載の精製方法。
[3] アミド化合物含有液が、対応するニトリル化合物の水和反応により得られる生成液である[1]または[2]に記載の精製方法。
[4] アミド化合物が炭素数2〜20のものである、[1]から[3]のいずれかに記載の精製方法。
[5] アミド化合物が炭素間2重結合を有するものである、[1]から[4]のいずれかに記載の精製方法。
[6] アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである、[5]に記載の精製方法。
[7] アミド化合物が、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体、または該微生物菌体の処理物を用いて合成されたものである、[1]から[6]のいずれかに記載の精製方法。
[8] 微生物菌体が、微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質転換体であることを特徴とする[7]記載の精製方法。
[9] 活性炭との接触時のアミド化合物含有液のpHが3.5〜6.5である、[1]から[7]のいずれかに記載の精製方法。
[10] 酸解離指数3.5〜5.5の有機酸、または該有機酸と塩基を用いてアミド化合物含有液を酸性に調製することを特徴とする、[2]から[8]に記載の精製方法。
[11] 有機酸がアクリル酸またはメタクリル酸であることを特徴とする、[10]に記載の精製方法。
[12] 活性炭が、木質またはヤシ殻を原料とした活性炭であることを特徴とする、[1]から[11]のいずれかに記載の精製方法。
[13] 活性炭との接触時の温度が10〜50℃である、[1]から[12]のいずれかに記載の精製方法。
[14] アミド化合物含有液を活性炭と接触させた後、活性炭を分離し、残液を飽和温度以下として結晶を析出させることを特徴とする、[1]から[13]のいずれかに記載の精製方法。
以上の説明、特に上記実施例および比較例の結果からも明らかなように、本発明の方法によれば、従来の活性炭による精製方法に比べ、特定の細孔容積を有する活性炭と接触することにより、遙かに効果的にアミド化合物の精製を行うことができる。特に、本発明の方法によれば、微生物菌体またはその処理物を用いてニトリル化合物から対応するアミド化合物を製造する際に、アミド化合物に含まれる菌体由来の蛋白質を、極めて効率的に除去しうる。
本発明におけるアミド化合物含有液は特に限定されるものではなく、具体的には炭素数が2〜20程度のニトリル化合物を水和し、得られるアミド化合物含有生成液であるものが挙げられる。水和反応に供されるニトリル化合物としては、広い範囲のニトリル、たとえば脂肪族ニトリル、芳香族ニトリルなどが含まれる。脂肪族ニトリルとしては、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリル、たとえば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレルニトリル、イソバレロニトリル、カプロニトリルなどの脂肪族飽和モノニトリル類;マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリルなどの脂肪族飽和ジニトリル類;アクリルニトリル、メタアクリロニトリル、クロトノニトリルなどの脂肪族不飽和ニトリルなどが挙げられる。芳香族ニトリルとしては、ベンゾニトリル、o−,m−,およびp−クロロベンゾニトリル、o−,m−,およびp−フルオロベンゾニトリル、o−,m−,およびp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−,およびp−トルニトリル、ベンジルシアナイド等が挙げられる、特に、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のような、不飽和結合を持つニトリル化合物を水和することにより得られる、アクリルアミドやメタクリルアミドを含む水溶液に対して、本発明の精製方法は好適である。
本発明において、処理の対象とされるアミド化合物含有液に関しては、既知のいずれの水和方法により得られたものであっても構わない。すなわち、硫酸による水和法や、ラネー銅触媒等の金属銅を含む触媒による接触水和法、ニトリル化合物を水和する能力を有する酵素(ニトリルヒドラターゼ)およびこれを含有する微生物菌体、それらの酵素および微生物菌体処理物等を用いて水和したもの等、いずれであっても構わない。
なかでも、ニトリル化合物を水和する能力を有する酵素であるニトリルヒドラターゼ、ニトリルヒドラターゼの処理物、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体、あるいは該微生物菌体の処理物等を用いて得られるアミド化合物含有液は、本発明の精製方法に好適である。 なお、上記におけるニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力をもつ酵素をいう。
ここで、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物としては、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力を有するニトリルヒドラターゼを産生し、かつ30重量%のアクリルアミド水溶液中でニトリルヒドラターゼの活性を保持している微生物であれば、特に制限されるものではない。具体的には、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表されるロドコッッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属またはサーモフィラ(thermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する微生物を好適な例として挙げることができる。
また、該微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質転換体も本発明でいう微生物に含まれる。なお、ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、とくに大腸菌に限定されるのものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の微生物菌株も含まれる。その様なものの例として、MT−10822(本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−5785として、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている)が挙げられる。また、組換えDNA技術を用いて該酵素の構成アミノ酸の1個または2個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体も、本発明でいう微生物に含まれる。
上記したような微生物を用い、アミド化合物を製造するに際しては通常、該微生物の菌体あるいは菌体処理物を用いる。菌体は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法を利用して調製すればよい。例えば、LB培地やM9培地等の通常液体培地に該微生物を植菌した後、適当な培養温度(一般的には、20℃〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以上でもよい)で生育させ、続いて、該微生物を遠心分離によって培養液より分離、回収して得る方法が挙げられる。
また、本発明における微生物の菌体処理物は、上記微生物菌体の抽出物や磨砕物、該抽出物や磨砕物のニトリルヒドラターゼ活性画分を分離精製して得られれる後分離物、該微生物菌体や該菌体の抽出物、磨砕物、後分離物を適当な担体を用いて固定化した固定化物等を指し、これらがニトリルヒドラターゼの活性を有している限りは本発明の菌体処理物に相当する。
本発明が精製の対象とするアミド化合物において、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体、あるいはその微生物菌体の処理物を用い、ニトリル化合物を水和してアミド化合物を得る場合の反応形式は、対応するニトリル化合物を回分反応に供する方法でもよいし、連続反応であってもよい。また、反応の形式も特に限定はなく、例えば懸濁床として行なってもよいし、固定床であってもよい。この際の反応液中での触媒、例えば微生物の菌体または菌体処理物の濃度は、水性媒体とニトリル化合物の混合に支障をきたさない限り、特に制限されるものではない。
上記において、ニトリル化合物を反応開始時に添加する場合のニトリル化合物の濃度は、該ニトリル化合物の飽和濃度以上であればよい。一方、その濃度の上限は特に限定されるものではなく、想定する反応終了時のアミド化合物濃度およびニトリル化合物濃度により任意に決定すればよい。
また、未反応のニトリル化合物は、反応後に蒸留等の手段により反応液より除去することもできる。よって、想定する反応終了時のアミド化合物濃度に達した時点でもニトリル化合物が過剰となるようにニトリル化合物を添加することもできる。 具体的には、例えばニトリル化合物がアクリロニトリルである場合、水に対する本化合物の飽和濃度は20℃で約7重量%であるので、約7重量%以上が好適である。また、メタクリロニトリルまたはクロトンニトリルがニトリル化合物である場合、水に対するこれらの化合物の飽和濃度は20℃で約2重量%であるので、約2重量%以上が好適である。
上記におけるアミド化反応は通常は常圧下で行われるが、水性媒体中へのニトリル化合物の溶解度を高めるために加圧下で行うこともできる。また、反応温度は、水性媒体の凝固点以上であれば特に制限はされないが、触媒がニトリルヒドラターゼを含む場合は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜30℃の範囲内で行われる。
また、上記におけるアミド化反応時の反応液のpHは、ニトリルヒドラターゼ活性が維持されている限りは特に制限されるものではないが、好ましくはpH6〜10の範囲、より好ましくはpH7〜9の範囲である。
本発明におけるアミド化合物の精製において、アミド化合物を含有する液のpHは特に制限するものではないが、好ましくは酸性下に、より好ましくはpH2以上7未満、更に好ましくはpH3.5〜6.5の範囲にて活性炭と接触させることにより行う。
本発明において、アミド化合物含有液を酸性とするには通常、該アミド化合物含有液に酸を添加する必要があるが、その酸の種類としてはアミド化合物の安定性に影響を与えるものでなければ広い範囲のものが使用でき、例えば硫酸や硝酸等のような鉱酸、あるいは酢酸やアクリル酸のような有機酸等が挙げられ、二種以上が用いられても構わない。これらのうちでも、本発明では、よりpH調製が容易でかつ安定し、しかもより高い精製効果およびアミド化合物の安定性を得る上から弱酸の使用が効果的であり、更にはpH緩衝効果をも持たせる上から、弱酸と塩基との両方を用いて上記pH範囲に調製することが、非常に好ましい。
好ましく用いられる弱酸としては、pH制御範囲を考慮すると、酸解離指数(pKa;25℃、水中)が2.0〜6.0のものが好ましく、更には3.5〜5.5であるものがより好ましい。これら酸の代表的なものとしては酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、吉草酸等の脂肪族飽和モノカルボン酸、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。また、上記塩基としては強塩基であるものが好ましく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。
また本発明において、処理の対象とするアミド化合物が、特に不飽和結合を持つようなものである場合は、精製後にそれが重合反応に供される際に、得られた重合物中に酸が残存、あるいは遊離したりする不都合を生ずることになる。このため、上記のような不飽和結合を有するアミド化合物が精製対象となる場合は、酸としては不飽和結合を有するものであってかつ、当該アミド化合物と共重合することが可能なもの、具体的にはアクリル酸やメタクリル酸、あるいはクロトン酸等を使用することが好ましい。
本発明において、上記酸、または上記酸と塩基の濃度は、アミド化合物含有液の性状および用いる酸のpKaにもよるが、酸換算でアミド化合物含有液に対し、通常10重量ppm〜5重量%の範囲である。
また、本発明では上記した酸性条件下に該アミド化合物含有液を活性炭と接触させるが、活性炭と接触している際にアミド化合物含有液が酸性となっている、あるいは酸性とする形態であれば特に限定はなく、活性炭の添加と同時にアミド化合物含有液を酸性下に調製する方法であっても何ら構わない。
本発明で使用する活性炭は、その細孔容積が0.5ml/g以上、好ましくは0.5ml/g〜10ml/g、より好ましくは0.6ml/g〜5ml/gの範囲にある。
細孔容積が0.5ml/g以上あると、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物ないしその処理物を用いてニトリル化合物から対応するアミド化合物を製造する際に、生成物であるアミド化合物含有液より、微生物由来の蛋白質を効率的に除去することが可能となるため、好ましい。
細孔容積が0.5ml/g以上あると、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物ないしその処理物を用いてニトリル化合物から対応するアミド化合物を製造する際に、生成物であるアミド化合物含有液より、微生物由来の蛋白質を効率的に除去することが可能となるため、好ましい。
活性炭の細孔容積は、ガス吸着法あるいは水銀圧入法によって測定することができる。
0.5ml/g以上の細孔容積を有する活性炭は、市販の活性炭の中から適宜選択することができる。例えばクラレ株式会社の品名PM−SX、カルゴン カーボン ジャパン株式会社より販売されている6MW−K、S−W50があげられる。
0.5ml/g以上の細孔容積を有する活性炭は、市販の活性炭の中から適宜選択することができる。例えばクラレ株式会社の品名PM−SX、カルゴン カーボン ジャパン株式会社より販売されている6MW−K、S−W50があげられる。
活性炭は粉状および粒状のいずれであっても使用することができる。また、精製処理を行う装置においても、用いる活性炭の粒度に適したものを用いればよい。例えば粉状活性炭を用いる場合は、液の攪拌が可能な槽において、回分式および連続式のいずれでも実施することができる。また、粒状活性炭を用いるような場合は、上記形式の他に、充填塔形式による連続処理も可能である。
また、活性炭には一般的には、原料として石炭、木、およびヤシ殻等を用いたもの等があるが、細孔容積が前記範囲にあり、かつ吸着能を有するものであれば特段の限定はなく、いずれのものであっても使用することが可能である。しかしながら、処理の対象とするアミド化合物が特に不飽和結合を有するものである場合は、該アミド化合物の保存安定性や重合し易さ等を考慮すると、活性炭としては金属分含有量の少ないものを使用することが好ましく、原料が木質のもの、またはヤシ殻のものを使用することがより好ましい。
また、活性炭には一般的には、原料として石炭、木、およびヤシ殻等を用いたもの等があるが、細孔容積が前記範囲にあり、かつ吸着能を有するものであれば特段の限定はなく、いずれのものであっても使用することが可能である。しかしながら、処理の対象とするアミド化合物が特に不飽和結合を有するものである場合は、該アミド化合物の保存安定性や重合し易さ等を考慮すると、活性炭としては金属分含有量の少ないものを使用することが好ましく、原料が木質のもの、またはヤシ殻のものを使用することがより好ましい。
本発明において、アミド化合物を精製処理する際に使用する活性炭量は、あまり少ない場合は十分な精製効果を得ることが困難であり、またあまり多く使用しても不経済となることから、その使用量としてはアミド化合物含有液に対して、通常0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは0.05〜10重量%の範囲である。 また、活性炭として特に粉状のものを用いる場合、該活性炭はアミド化合物含有液中にそのまま直接添加してもよく、または一旦、活性炭を水等の媒体中に分散させ、スラリー状としたものをアミド化合物含有液に添加、あるいは供給するようにしてもよい。
本発明において、活性炭によりアミド化合物含有液を精製処理する際の温度は、アミド化合物の結晶が析出せずに、かつその安定性に影響のない範囲であれば特に制限はないが、通常は0〜80℃の範囲で行われる。特にアクリルアミドやメタクリルアミド含有液のような、不飽和結合を有するアミド化合物含有液を精製処理する場合は、重合反応生起によるゲル化を防止するために60℃以下、更には10〜50℃の範囲にて、活性炭と接触させることが好ましい。また、活性炭との接触処理に要する時間は、処理形式や活性炭の量にもよるが、通常は0.5〜20時間の範囲である。
次いで、本発明では上記接触処理したアミド化合物含有液から活性炭を分離し、該アミド化合物含有液の精製液を得る。活性炭を分離する方法としては、一般に用いられる固液分離装置を用いる方法であれば特に限定はなく、例えば加圧濾過器、減圧濾過器、または遠心分離器等があげられ、更には回分式および連続式のいずれであっても構わない。 また、本発明においては上記活性炭を分離した後のアミド化合物含有液を冷却し、液中より目的のアミド化合物を晶析させるという方法を採用することにより、更なる精製されたアミド化合物を得ることも可能である。
また、本実施例ではニトリルヒドラターゼ活性を保持したアミノ酸置換体の取得を部位特異的な変異によって行っている。しかし、実施例において開示される変異点と置換される塩基の種類に基づいて、部位特異的な変異以外の方法で組替えプラスミドを構築し、それを宿主細胞に導入しても、本実施例と同様の結果を得ることが可能である。例えば、実施例において開示される変異点に相当する領域のDNAの塩基配列がアミノ酸置換後の配列となるような塩基配列を有するDNAフラグメントをDNAシンセサイザー等で合成し、得られたフラグメントと別途分離しておいたpPT−DB1の該フラグメントに相当する領域とを置換することにより、目的とする組替えプラスミドを取得することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって何等限定されるものではない。以下において、反応液のHPLC分析は、カラムとしてULTRON 80HG(50×8φmm)を用い、10mMリン酸水溶液を展開液として行い、アクリルアミドは220nmの吸光度により検出する。また、本発明の効果を確認するために、得られたアミド化合物含有液中に含まれるタンパク質を分析した。タンパク質濃度は、アミド化合物含有液に含まれるアミド化合物を半透膜により透析除去した後、バイオラット社製タンパク質分析キットを用いて定量し、タンパク質除去率を求めた。
(実施例1)
500mlのバッフル付三角フラスコに下記の組成の培地100mlを調製し、121℃、20分間、オートクレーブにより滅菌した。この培地に終濃度が50μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した後、MT−10822株(FERM BP−5785)を一白菌耳植菌し、37℃、130rpmにて20時間培養した。遠心分離(15000G×15分間)により菌体のみを培養液より分離し、続いて、50mlの生理食塩水に該菌体を再懸濁した後に、再度遠心分離を行って湿菌体を得た。
培地組成 (pH7.5)
酵母エキストラクト 5.0g/L
ポリペプトン 10.0g/L
NaCl 5.0g/L
塩化コバルト・六水和物 10.0mg/L
硫酸第二鉄・七水和物 40.0mg/L
500mlのバッフル付三角フラスコに下記の組成の培地100mlを調製し、121℃、20分間、オートクレーブにより滅菌した。この培地に終濃度が50μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した後、MT−10822株(FERM BP−5785)を一白菌耳植菌し、37℃、130rpmにて20時間培養した。遠心分離(15000G×15分間)により菌体のみを培養液より分離し、続いて、50mlの生理食塩水に該菌体を再懸濁した後に、再度遠心分離を行って湿菌体を得た。
培地組成 (pH7.5)
酵母エキストラクト 5.0g/L
ポリペプトン 10.0g/L
NaCl 5.0g/L
塩化コバルト・六水和物 10.0mg/L
硫酸第二鉄・七水和物 40.0mg/L
上記で得られた湿菌体1.5gを98.5gの0.3mM-NaOH水溶液に懸濁し、この懸濁液にアクリロニトリルを36gを一括添加して、10℃にて攪拌を行いながら反応した。反応開始から24時間後にHPLC分析により反応液の分析を行った。その結果、反応液中にはアクリルアミドのみが存在(濃度=35重量%)しており、アクリロニトリルは認められなかった。この反応液のpHは8.0であった。
この反応液を、10%硫酸水溶液でpH5に調整し、反応液に対しクラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM−SX(細孔容積:1.38ml/g)2重量%を添加し、25℃で5時間攪拌を行ったあと、濾紙にて濾過を行った。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率99%以上であった。
この反応液を、10%硫酸水溶液でpH5に調整し、反応液に対しクラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM−SX(細孔容積:1.38ml/g)2重量%を添加し、25℃で5時間攪拌を行ったあと、濾紙にて濾過を行った。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率99%以上であった。
(実施例2)
実施例1において、クラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM-SXを使用する代わりにカルゴン カーボン ジャパン株式会社製 粉末活性炭 S−W50(細孔容積:1.08ml/g)2重量%を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い濾液を得た。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率99%以上であった。
実施例1において、クラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM-SXを使用する代わりにカルゴン カーボン ジャパン株式会社製 粉末活性炭 S−W50(細孔容積:1.08ml/g)2重量%を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い濾液を得た。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率99%以上であった。
(実施例3)
実施例1において、クラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM-SXを使用する代わりにカルゴン カーボン ジャパン株式会社製 粉末活性炭 6MW―K(細孔容積:0.64ml/g)2重量%を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い濾液を得た。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率99%以上であった。
実施例1において、クラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM-SXを使用する代わりにカルゴン カーボン ジャパン株式会社製 粉末活性炭 6MW―K(細孔容積:0.64ml/g)2重量%を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い濾液を得た。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率99%以上であった。
(比較例)
実施例1において、クラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM-SXを使用する代わりにカルゴン カーボン ジャパン株式会社製 粉末活性炭 6MW(細孔容積:0.40ml/g)2重量%を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い濾液を得た。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率50%であった。
実施例1において、クラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM-SXを使用する代わりにカルゴン カーボン ジャパン株式会社製 粉末活性炭 6MW(細孔容積:0.40ml/g)2重量%を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い濾液を得た。得られた濾液中のタンパク質濃度を測定したところ除去率50%であった。
Claims (14)
- アミド化合物含有液を0.5ml/g以上の細孔容積を有する活性炭と接触させることを特徴とするアミド化合物の精製方法。
- アミド化合物含有液を酸性条件下で活性炭と接触させる請求項1に記載の精製方法。
- アミド化合物含有液が、対応するニトリル化合物の水和反応により得られる生成液である請求項1または2に記載の精製方法。
- アミド化合物が炭素数2〜20のものである、請求項1から3のいずれかに記載の精製方法。
- アミド化合物が炭素間2重結合を有するものである、請求項1から4のいずれかに記載の精製方法。
- アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである、請求項5に記載の精製方法。
- アミド化合物が、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体、または該微生物菌体の処理物を用いて合成されたものである、請求項1から6のいずれかに記載の精製方法。
- 微生物菌体が、微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質転換体であることを特徴とする請求項7記載の精製方法。
- 活性炭との接触時のアミド化合物含有液のpHが3.5〜6.5である、請求項2から7のいずれかに記載の精製方法。
- 酸解離指数3.5〜5.5の有機酸、または該有機酸と塩基を用いてアミド化合物含有液を酸性に調製することを特徴とする、請求項2から8のいずれかに記載の精製方法。
- 有機酸がアクリル酸またはメタクリル酸であることを特徴とする、請求項10に記載の精製方法。
- 活性炭が、木質またはヤシ殻を原料とした活性炭であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の精製方法。
- 活性炭との接触時の温度が10〜50℃である、請求項1から12のいずれかに記載の精製方法。
- アミド化合物含有液を活性炭と接触させた後、活性炭を分離し、残液を飽和温度以下として結晶を析出させることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の精製方法。
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-
2010
- 2010-08-03 JP JP2010174141A patent/JP2012031126A/ja active Pending
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