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JP2012029722A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波を利用した変位の計測に係る新しい計測原理を提供する。
【解決手段】エコートラッキング処理部22は、エコートラッキング処理により、対象組織の境界に対応した複数の境界点を追跡する。形状データ生成部24は、複数の境界点に基づいて、対象組織の境界に関する形状データを生成する。形状データ生成部24は、形状データとして、例えば複数の境界点を結ぶ境界線データを形成する。さらに、移動量算出部26は、互いに異なる時刻に得られた形状データ同士を比較することにより、対象組織の変位に関する計測値として、形状データの移動量を算出する。つまり、境界線データの移動量が算出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、対象物の変位を計測する技術に関する。
超音波を利用して生体内の対象物の変位を計測する技術として、例えば特許文献1に記載されたエコートラッキングの技術が知られている。その技術によれば、例えば、超音波ビームに沿って得られるエコー信号内において、血管壁などに対応した信号部分のゼロクロス点が検知され、さらにそのゼロクロス点が追跡される。これにより、血管壁などの変位を極めて高い精度で計測することが可能になる。
また、特許文献2には、エコートラッキングの技術を利用して、骨の力学的特性を評価する旨の極めて画期的な発明が記載されている。特許文献2には、例えばエコートラッキングを利用して複数の超音波ビームから骨表面に対応する複数の表面ポイントを特定し、複数の表面ポイントに基づいて骨表面の形状データを生成し、形状データの変化に基づいて骨の力学的特性を評価する旨の技術が記載されている。
特許第3609688号公報 特許第3954981号公報
上述した背景技術に鑑み、本願の発明者は、超音波を利用して生体内の対象物の変位を計測する技術について研究開発を重ねてきた。特に、超音波ビームに沿った方向に関する変位成分はもちろんのこと、超音波ビームに対して交差する方向に沿った変位成分、例えば超音波ビームに対して直交する方向に沿った変位成分にも注目した。
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、超音波を利用した変位の計測に係る新しい計測原理を提供することにある。
上記目的を達成する好適な超音波診断装置は、生体に対して超音波を送受するプローブと、プローブを制御することにより生体内の対象物に対して複数の超音波ビームを形成して各超音波ビームごとに受信信号を得る送受信部と、各超音波ビームごとにその受信信号内において対象物の境界を特定することにより、複数の超音波ビームに対応した複数の境界点を得る境界特定部と、前記複数の境界点に基づいて対象物の境界に関する形状データを得る形状特定部と、互いに異なる時刻に得られた形状データ同士を比較することにより対象物の変位に関する計測結果として、形状データの移動量を算出する変位計測部と、を有することを特徴とする。
この超音波診断装置では、互いに異なる時刻に得られたそれぞれの形状データを比較することにより、対象物の変位に関する計測結果として、形状データの移動量が算出される。そのため、例えば二次元的な形状データに基づいて二次元的な移動量を算出することができ、必要に応じて、例えば超音波ビームに直交する方向に関する移動量の成分を得ることもできる。もちろん、超音波ビームを立体的に走査して三次元的な形状データを形成し、その形状データに基づいて三次元的な移動量を算出してもよい。
望ましい具体例において、前記変位計測部は、互いに異なる時刻に得られた形状データ同士の相関演算により前記移動量を算出する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記変位計測部は、各超音波ビームに対して交差する方向に沿った前記移動量の成分を算出する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記送受信部は、前記形状データの移動量に基づいて、対象物の変位に追従するように前記複数の超音波ビームの位置を変更することを特徴とする。
望ましい具体例において、前記境界特定部は、各超音波ビームごとに得られる受信信号内においてエコートラッキング処理により各境界点を追跡する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記形状特定部は、前記形状データとして、複数の境界点を結ぶ境界線データを形成する、ことを特徴とする。
本発明により、超音波を利用した変位の計測に係る新しい計測原理が提供される。例えば、本発明の好適な態様によれば、二次元的な形状データに基づいて二次元的な移動量を算出することができ、必要に応じて、超音波ビームに直交する方向に関する移動量の成分を得ることもできる。
本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。 境界線データの形成処理を説明するための図である。 移動量の算出処理を説明するための図である。 超音波ビームの位置の変更を説明するための図である。 三次元座標系における変位の計測を説明するための図である。
以下に本発明の好適な実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。プローブ10は、例えば被検者の体表に当接して用いられる超音波探触子である。プローブ10は、被検者の体内に向けて超音波ビームを形成し、その超音波ビームを走査する。プローブ10としては、例えば、二次元平面内で超音波ビームをリニア走査するリニアプローブが好適であるため、以下においてはリニアプローブを利用した形態について説明する。なお、プローブ10として、コンベックスプローブや、三次元空間内で超音波ビームを立体的に走査する三次元プローブが利用されてもよい。
プローブ10は、送受信部12により制御され、被検者の体内の対象組織を含む二次元平面内で超音波ビームを電子的に走査する。そして、複数の超音波ビームが次々に電子走査され、各超音波ビームごとにエコー信号(受信信号)が取得される。取得された複数のエコー信号は超音波画像形成部20に出力され、超音波画像形成部20は複数のエコー信号に基づいて対象組織を含む超音波画像(例えばBモード画像など)を形成する。
送受信部12で取得されたエコー信号は、エコートラッキング処理部(ET処理部)22へも出力される。エコートラッキング処理部22は、例えば特許文献1または特許文献2などに記載されたエコートラッキング処理により、対象組織の境界に対応した境界点を追跡する。エコートラッキング処理においては、複数のトラッキング用の超音波ビームが利用される。トラッキング用の超音波ビームは、超音波画像の形成に利用される複数の超音波ビームの中から選択されてもよいし、超音波画像用の超音波ビームとは別に、トラッキング用の超音波ビームが形成されてもよい。
エコートラッキング処理では、各超音波ビームごとに、そのエコー信号内の比較的振幅の大きな信号部分で、対象組織の境界に対応した境界点が特定される。単に振幅の大きな部分として信号部分を捉えてしまうと、信号部分は時間軸方向(深さ方向)に広がっているため、その広がりの程度に応じた誤差が生じてしまう可能性がある。そこで、エコートラッキング処理では、信号部分の代表点としてゼロクロス点が検知され、検知されたゼロクロス点をトラッキングすることで、境界点の特定の精度を飛躍的に高めている。ゼロクロス点は、トラッキングの範囲として設定されたトラッキングゲート期間内において、エコー信号(受信信号)の振幅が正から負へ、または、負から正へと極性が反転するタイミングとして検知される。ゼロクロス点が検知されるとその点を中心として、新たにトラッキングゲートが設定される。そして、次の送受信タイミングで、同じ部位から取得されるエコー信号においては、新たに設定されたトラッキングゲート期間内でゼロクロス点が検知される。こうして、エコートラッキング処理により、各超音波ビームごとに境界点が特定され、複数のトラッキング用の超音波ビームを利用して複数の境界点が追跡される。
形状データ生成部24は、複数の境界点に基づいて、対象組織の境界に関する形状データを生成する。形状データ生成部24は、形状データとして、例えば複数の境界点を結ぶ境界線データを形成する。さらに、移動量算出部26は、互いに異なる時刻に得られた形状データ同士を比較することにより、対象組織の変位に関する計測値として、形状データの移動量を算出する。つまり、境界線データの移動量が算出される。境界線データの形成処理と移動量の算出処理については後に詳述する。
表示画像形成部30は、超音波画像形成部20から得られる超音波画像や、移動量算出部26において算出された移動量を表示した表示画像を形成する。そして、形成された表示画像が表示部40に表示される。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、制御部50により制御される。
次に、図1の超音波診断装置による変位の計測原理について詳述する。なお、既に図1
に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
図2は、境界線データの形成処理を説明するための図である。図2(A)は、対象組織が変位する前の計測状態を示しており、図2(A)には、プローブ10により形成される5本のトラッキング用の超音波ビームB1〜B5と、各超音波ビーム上において特定される境界点P1〜P5が図示されている。
境界点P1〜P5は、エコートラッキング処理部22において前述のエコートラッキング処理により追跡されるゼロクロス点である。形状データ生成部24は、境界点P1〜P5に基づいて、対象組織の境界の形状を反映させた境界線データLaを形成する。
超音波ビームB1〜B5は、送受信部12の制御に応じてプローブ10により形成される。そのため、プローブ10を基準とした図2のXY座標系上において、各超音波ビームB1〜B5のX軸上における位置は予め分かっている。そして、各超音波ビームB1〜B5上において、エコートラッキング処理により各境界点P1〜P5が追跡され、各境界点P1〜P5のY軸上における位置(深さ)が計測される。これにより、図2のXY座標系内における各境界点P1〜P5の座標値が得られる。
形状データ生成部24は、図2のXY座標系上において、各境界点P1〜P5の座標値に基づいて、5つの境界点P1〜P5を結ぶ境界線データLaを形成する。形状データ生成部24は、例えば、5つの境界点P1〜P5を対象とした多項式近似やスプライン補間などの数学的な演算を用い、対象組織の境界線に関する近似曲線である境界線データLaを形成する。
エコートラッキング処理部22は、各超音波ビームB1〜B5上において、刻々と変位する境界点P1〜P5を追跡している。そのため、図2(A)の変位前と同様に、図2(B)に示す対象組織が変位した後においても、各境界点P1〜P5のY軸上における位置が計測され、図2のXY座標系内において各境界点P1〜P5の座標値が得られる。
そして、形状データ生成部24は、図2(B)の変位後においても、各境界点P1〜P5の座標値に基づいて、5つの境界点P1〜P5を結ぶ境界線データLbを形成する。境界線データLbも、例えば5つの境界点P1〜P5を対象とした多項式近似やスプライン補間などにより形成される。
こうして、対象組織の変位前と変位後において、境界線データLaと境界線データLbが形成されると、移動量算出部26は、境界線データLaと境界線データLbを比較して境界線の移動量を算出する。
図3は、移動量の算出処理を説明するための図である。図3には、図2のXY座標系内において形成された境界線データLaと境界線データLbが図示されている。図2に示す変位前と変位後において、プローブ10に対して対象組織が変位すると、図3に示すように、対象組織の変位に応じて境界線データも変位する。
移動量算出部26は、境界線データLaと境界線データLbとを対象とした相関演算により、境界線データの移動量を算出する。その相関演算においては、例えば、XY座標系内において境界線データLa上の座標に対応したデータを「1」として他の座標に対応したデータを「0」とした変位前の二次元データと、XY座標系内において境界線データLb上の座標に対応したデータを「1」として他の座標に対応したデータを「0」とした変位後の二次元データが利用される。
そして、移動量算出部26は、変位前の二次元データをX軸方向とY軸方向に段階的に微小距離だけ移動させつつ、各段階ごとに、変位後の二次元データとの間の全座標に亘るデータの相関値を算出し、相関値が最大となるX軸方向の移動量ΔxとY軸方向の移動量Δyを探索する。つまり、パターンマッチングの原理により、移動量Δxと移動量Δyが特定される。なお、変位前の二次元データをX軸方向とY軸方向に段階的に微小距離だけ移動させつつ、さらに微小角度だけ回転させつつパターンマッチングを行うことにより、移動量Δxと移動量Δyに加えて、回転移動量を算出してもよい。
このようにして算出された境界線データに関する移動量Δxと移動量Δyが、対象組織の変位の計測結果として、例えば表示画像形成部30を介して表示部40に表示される。また、算出された境界線データに関する移動量に基づいて、トラッキング用の超音波ビームの位置が変更されてもよい。
図4は、超音波ビームの位置の変更を説明するための図である。図4(B)は、超音波ビームの位置が変更される前の計測状態を示しており、この計測状態は、図2(B)の変位後の計測状態と同じである。
上述したように、図2(A)の変位前から図2(B)の変位後において、図3に示したように境界線データに関する移動量Δxと移動量Δyが得られる。そこで、制御部50はビームの走査方向に対応した移動量Δxに基づいて、送受信部12を制御してトラッキング用の超音波ビームの位置を移動させる。
図4(C)は、超音波ビームの位置が変更された後の計測状態を示している。図4(C)においては、5本のトラッキング用の超音波ビームB2〜B6が利用されている。つまり、図4(B)において利用されていた超音波ビームB1に代えて、図4(C)では超音波ビームB6が利用されており、5本のトラッキング用の超音波ビームが全体としてX軸に沿って正方向にシフトされている。このように、対象組織の変位に追従するように、5本のトラッキング用の超音波ビームの位置を変更してもよい。もちろん、5本のトラッキング用の超音波ビームの各々を移動量ΔxだけX軸の正方向にシフトさせてもよい。
以上、図1の超音波診断装置による変位の計測原理について説明したが、トラッキング用の超音波ビームは5本以外の複数本であってもよいことは言うまでもない。また、以上の説明では、リニアプローブの走査態様に適したXY直交座標系を利用しているが、座標系は直交座標系に限定されない。例えば、コンベックスプローブの走査態様に合わせて、ビームの深さ方向をrとして扇状に走査されるビームの走査方向をθとした、二次元rθ座標系が利用されてもよい。さらに、上述した二次元のXY座標系内における変位の計測原理を三次元の座標系に拡張することも可能である。
図5は、三次元座標系における変位の計測を説明するための図である。対象組織の変位を三次元的に計測するためには、プローブ10として、三次元空間内で超音波ビームを立体的に走査する三次元プローブが利用される。例えば、方位方向を電子走査方向、エレベーション方向を機械走査方向として、超音波ビームが立体的に走査される。図5には、方位方向をX軸とし、エレベーション方向をZ軸とし、深さ方向をY軸とした、三次元のXYZ座標系が図示されている。
三次元的な計測においては、XY平面内の複数の走査位置にトラッキング用の超音波ビームが設定される。例えば、同一直線上に無い3つ以上の走査位置にトラッキング用の超音波ビームが設定され、各超音波ビームごとに、エコートラッキング処理により、対象組織の境界に対応した境界点が追跡される。
こうして、三次元のXYZ座標系内において複数の境界点が特定されると、それら複数の境界点に基づいて、対象組織の境界の形状を二次元的に反映させた境界面Sfが形成される。そして、対象組織の変位前の境界面Sfaと変位後の境界面Sfbの比較から、対象組織の変位の計測結果として、境界面SfのX軸方向の移動量ΔxとY軸方向の移動量ΔyとZ軸方向の移動量Δzが算出される。変位前後の境界面Sfの比較においても、三次元のXYZ座標系内において、例えば相関演算とマッチング処理が利用される。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
22 エコートラッキング処理部、24 形状データ生成部、26 移動量算出部。

Claims (6)

  1. 生体に対して超音波を送受するプローブと、
    プローブを制御することにより生体内の対象物に対して複数の超音波ビームを形成して各超音波ビームごとに受信信号を得る送受信部と、
    各超音波ビームごとにその受信信号内において対象物の境界を特定することにより、複数の超音波ビームに対応した複数の境界点を得る境界特定部と、
    前記複数の境界点に基づいて対象物の境界に関する形状データを得る形状特定部と、
    互いに異なる時刻に得られた形状データ同士を比較することにより、対象物の変位に関する計測結果として、形状データの移動量を算出する変位計測部と、
    を有する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記変位計測部は、互いに異なる時刻に得られた形状データ同士の相関演算により前記移動量を算出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項1または2に記載の超音波診断装置において、
    前記変位計測部は、各超音波ビームに対して交差する方向に沿った前記移動量の成分を算出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送受信部は、前記形状データの移動量に基づいて、対象物の変位に追従するように前記複数の超音波ビームの位置を変更する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記境界特定部は、各超音波ビームごとに得られる受信信号内においてエコートラッキング処理により各境界点を追跡する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記形状特定部は、前記形状データとして、複数の境界点を結ぶ境界線データを形成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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