JP2012029494A - 電動機およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】作動時の振動を抑制した電動機を提供する。
【解決手段】電磁鋼板13を積層して形成されるスタータコアを備える電動機であって、積層した電磁鋼板13の間に、電磁鋼板13の外形形状に沿って室15を形成し、室15よりも電磁鋼板13の外縁部13a側に、積層した電磁鋼板13を接着する接着領域を形成する。
【選択図】図4
【解決手段】電磁鋼板13を積層して形成されるスタータコアを備える電動機であって、積層した電磁鋼板13の間に、電磁鋼板13の外形形状に沿って室15を形成し、室15よりも電磁鋼板13の外縁部13a側に、積層した電磁鋼板13を接着する接着領域を形成する。
【選択図】図4
Description
本発明は電動機に関するものである。
従来、電動機の固定子コアとして、複数の電磁鋼板を積層して構成するものが特許文献1に開示されている。
特許文献1では、積層する電磁鋼板の外周縁部同士を接着剤によって接着することで、固定子コアの剛性を高くしている。また、電磁鋼板間に生じる隙間を接着剤で埋めることで、電動機の作動時における振動を抑制している。
しかし、上記の発明では、積層する電磁鋼板の外周縁部間に浸透する接着剤の浸透範囲を制御することが困難であり、接着剤が所望する接着領域よりも広い範囲まで広がる場合がある。接着領域が広くなると、積層する電磁鋼板間の隙間が少なくなり、この隙間で発生する電磁鋼板同士の摩擦による振動の消散効果が低下し、かえって電動機の作動時に振動が大きくなる、といった問題点がある。
本発明はこのような問題点を解決するために発明されたもので、電動機の作動時の振動を抑制することを目的とする。
本発明のある態様に係る電動機は、電磁鋼板を積層して形成されるステータコアを備える電動機であって、積層した電磁鋼板の間に形成され、電磁鋼板の外形形状に沿って形成される室を備え、室よりも電磁鋼板の外縁部側に、積層した電磁鋼板を接着部材によって接着する接着領域が形成される。
本発明の別の態様に係る電動機の製造方法は、電磁鋼板を積層して形成されるステータコアを備える電動機の製造方法であって、積層した電磁鋼板の間に、電磁鋼板の外形形状に沿った室を形成し、室よりも外側から接着部材を浸透させて、積層した電磁鋼板を接着する。
本発明によると、電動機の作動時の振動を抑制することができる。
本発明の第1実施形態の構成を図1、図2を用いて説明する。図1は、本実施形態における電動機の構成図である。図2は、図1のII−II断面における概略断面図である。本実施形態では、交流モータを例として説明するが、これに限られることはなく、直流モータであってもよい。
電動機1は、シャフト2と、シャフト2と同軸に設けたロータ3と、シャフト2と同軸であり、シャフト2の径方向においてロータ3よりも外側に設けたステータ4と、スタータ4よりも外側に設けたケース5とを備える。
ロータ3は、シャフト2に取り付けられており、ステータ4の内側をシャフト2と一体に回転するインナー型の回転子である。ロータ3は、薄板状の鋼板8をシャフト2の軸方向に積層して形成されるロータコア6と、ロータコア6に埋め込まれた永久磁石7とを備える。永久磁石7は、ロータ3の外周側に位置し、シャフト2の軸方向に沿って埋め込まれている。また、永久磁石7は、周方向に沿って所定の間隔で埋め込まれている。薄板状の鋼板8を複数積層してロータコア6を形成することで、渦電流の発生を抑制することができる。
ステータ4は、ステータコア9と、コイル10とを備える固定子である。ステータ4をシャフト2の軸方向から見た場合に、ステータ4の外周形状は円形である。この円形の外周を覆うようにケース5が設けられている。
ステータコア9は、円筒状のヨーク部11と、ヨーク部11の内壁からステータコア9の軸に向けて突出する複数のティース部12とを備える。ステータコア9は、板状の電磁鋼板13をシャフト2の軸方向(ステータコア9の軸方向)に複数積層して形成される。ステータコア9を複数の電磁鋼板13を積層して形成することで、渦電流の発生を抑制することができる。
ティース部12は、ヨーク部11の周方向に沿って所定の間隔で設けられる。ティース部12の先端部12aは、ロータ3の外周壁3aと所定のエアギャップを設けて向かい合っている。
ここで、ステータコア9を形成する電磁鋼板13について図3を用いて説明する。図3は、電磁鋼板の平面図である。
電磁鋼板13は、電磁鋼板13の外形形状に沿って溝14を備える。溝14は、電磁鋼板13の外縁部13aから所定の距離離れた位置に形成される。所定の距離は、ワニスを浸透させて、積層した電磁鋼板13を接着させる接着領域18に応じて設定される。なお、溝14は、電磁鋼板13の片面または両面に設けられる。
電磁鋼板13を積層した場合には、図4に示すように、積層した電磁鋼板13の間に、溝14の高さに応じた室15が形成される。図4は、積層した電磁鋼板13の一部を示す断面図である。
積層される電磁鋼板13は、ワニス(接着部材)16によって接着される。ここで使用されるワニス16は、常温時には浸透性が良く、その後加熱されると硬化する熱硬化性樹脂のワニス16である。積層した電磁鋼板13は、積層した鋼板間の隙間から毛細管現象によってワニス16が浸透する。電磁鋼板13の表面には微小な凹凸があるため、電磁鋼板13を密着させて積層した場合でも、積層した電磁鋼板13間にはわずかな隙間が生じている。この隙間を通ってワニス16が浸透する。そして、ワニス16を加熱することで、積層した電磁鋼板13は接着する。
本実施形態では、電磁鋼板13に溝14を設けているので、積層した電磁鋼板13の間には室15が形成されている。この室15が形成されることで、毛細管現象による表面張力によって、ワニス16が室15よりも先が浸透しない。つまり、室15は、室15よりも内側の電磁鋼板13間にワニス16が浸透することを防ぐことができ、ワニス16は室15よりも外縁部13a側に浸透する。そのため、室15よりも外縁部13a側に接着領域18が形成される。
このように室15を設けることで、電磁鋼板13の間でワニス16が浸透する領域を制御することができる。
図1に戻りコイル10は、例えば銅線などの電線をティース部12に巻回されて形成される。なお、ステータコア9とコイル10との間には絶縁部材17が設けられる。
コイル10は、電動機1の運転時に発生する振動によってコイル10が解けたり、ステータコア9との絶縁性が損なわれないように、ワニス16によって固着されている。また、ワニス16は、コイル10とステータコア9とを固着するので、電動機1の運転時にコイル10で発生した熱はステータコア9へ伝達され、コイル10の温度上昇を抑制することができる。
次に本実施形態の電動機1における作用について説明する。
ロータ3をステータ4に組み付けて、ステータ4のコイル10に電流を流すと、ロータ3に埋め込まれた永久磁石7とステータ4の電磁石との関係で磁路が形成される。永久磁石7と電磁石とによる吸引力は、電磁石の時間的な変化により、時間的、空間的に変化し、それに応じてロータ3およびシャフト2が回転する。このとき、固定子であるステータ4では振動が発生する。積層した電磁鋼板13を例えばかしめなどで部分的に結合せずに、本実施形態のようにワニス16で接着している場合には、電磁鋼板13の間で摩擦が発生し、振動が低減される。
電磁鋼板13間のワニス16による接着領域が大きくなると摩擦が小さくなるので、この振動低減効果は小さくなる。本実施形態では、電磁鋼板13の外縁部13a付近に室15を設けることでワニス16が室15を超えて浸透することを防ぎ、振動を低減することができる。
なお、本実施形態では、電磁鋼板13に溝14を形成したが、スリットを設けても良い。
本発明の第1実施形態の効果について説明する。
ここで、本実施形態を用いた電動機1と、本実施形態を用いない電動機とにおける振動レベルを比較した結果を図5に示す。図5は、横軸に周波数、縦軸に振動加速度を加振入力で除した値である振動レベルについて示した図である。本実施形態の電動機1における振動レベルを実線で示し、本実施形態を用いない電動機における振動レベルを破線で示す。なお、本実施形態を用いない電動機は、積層する電磁鋼板をワニスによって全面で接着した電動機である。
本実施形態を用いた電動機1は、本実施形態を用いない電動機と比較して、振動レベルの最大値(ピーク値)が小さくなり、振動レベルを低減することができた。
電磁鋼板13の外形形状に沿って室15を設けることで、積層した電磁鋼板13の間から浸透するワニス16が、室15よりも内側の隙間に浸透することを防ぐことができ、積層した電磁鋼板13の接着領域18が広くなることを防ぐことができる。そのため、電動機1が作動した場合に発生する振動を低減することができる。
また、室15を設けることで、ワニス16による接着領域を定めることができ、ステータコア9の剛性を均一化することができ、ステータ4をケース5に挿入する場合に、応力分布を均一にすることができる。そのため、ステータコア9の鉄損、電動機1の作動時の発熱を均一にすることができる。また応力集中によるステータコア9の塑性変形を防止することができる。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、第1実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
本実施形態では、ステータコアは、2種類の第1電磁鋼板20と、第2電磁鋼板21を交互に積層して形成される。ここで、第1電磁鋼板20について図6を用いて説明し、第2電磁鋼板21について図7を用いて説明する。図6は、第1電磁鋼板20の一部を示す平面図である。図7は、第2電磁鋼板21の一部を示す平面図である。
第1電磁鋼板20は、第1電磁鋼板20の外形形状に沿って所定の間隔で設けられ、第1電磁鋼板20を貫通する第1スリット22と、隣接する第1スリット22の間に設けられた第1ブリッジ部23とを備える。第2電磁鋼板21は、第2電磁鋼板21の外形形状に沿って所定の間隔で設けられ、第2電磁鋼板21を貫通する第2スリット24と、隣接する第2スリット24の間に設けた第2ブリッジ部25とを備える。
次に、第1電磁鋼板20と第2電磁鋼板21とを積層し、第1電磁鋼板20側から見た平面図の一部を図8に示し、図8のIX−IX断面図を図9に示す。なお、図8においては、第2スリット24を説明のため破線で示す。
第1スリット22と第2スリット24とは、第1電磁鋼板20と第2電磁鋼板21とを積層し、積層方向からステータコア9を見た場合に、第1スリット22と第2スリット24との位置と形状とが異なるように設けられる。
本実施形態では、特に第1スリット22と第2スリット24とが重ならないように設けられる。つまり、積層した第1電磁鋼板20と第2電磁鋼板21とを積層方向から見た場合に、第1スリット22と第2スリット24とは、第1スリット22と第2ブリッジ部25とが重なり、第1ブリッジ部23と第2スリット24とが重なるように設けられる。これにより、第1電磁鋼板20と第2電磁鋼板21との積層方向において、第1スリット22は第2ブリッジ部25によって挟まれて第1室26を形成し、第2スリット24は第1ブリッジ部23によって挟まれて第2室27を形成する。
本発明の第2実施形態の効果について説明する。
全ての電磁鋼板でスリットの位置および形状を等しくすると、スリットを設けた箇所は剛性が低下し、ブリッジ部に応力が集中する。そのため、ステータコアをケースに締り嵌めで挿入する場合や、電線の巻回によって電磁鋼板が変形するおそれがある。
本実施形態では、第1スリット22と第2スリット24との位置および形状が異なる第1電磁鋼板20と第2電磁鋼板21とを交互に積層することで、剛性が均一化され、応力集中によるステータコア9の変形を抑制することができる。
また、隣接する第1スリット22と第2ブリッジ部25とによって第1室26が形成され、隣接する第2スリット24と第1ブリッジ部とによって第2室27が形成されるので、ワニス16の浸透を第1室26および第2室27によって防止することができる。
次に本発明の第3実施形態について図10、図11を用いて説明する。図10は本実施形態のステータコアの一部を示す平面図である。図11は、図10のXI−XI断面における概略断面図である。
本実施形態は、第2実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第2実施形態と異なる箇所について説明する。
ステータコア30を積層方向から見た場合に、第1電磁鋼板31の第1スリット32と第2電磁鋼板33の第2スリット34とは、第1スリット32の一部と第2スリット34の一部とが重なるように形成される。つまり、第1電磁鋼板31の第1室35と第2電磁鋼板33の第2室36とが連通するように、第1スリット32と第2スリット34とが形成される。
本発明の第3実施形態の効果について説明する。
積層方向からステータコア30を見た場合に、第1スリット32の一部と第2スリット34の一部とが重なるように第1スリット32と第2スリット34とを形成することで、ワニスが第1室35および第2室36よりも内側に浸透することをより防止することができる。
次に本発明の第4実施形態について図12を用いて説明する。図12は本実施形態の第1電磁鋼板の一部を示す平面図である。
本実施形態では、第2実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第2実施形態と異なる箇所について説明する。
第1電磁鋼板40は、第1スリット41の長さL1と、第1ブリッジ部42の長さL2とを略等しくする。また、第2電磁鋼板においても同様である。さらに、第1電磁鋼板40と第2電磁鋼板において、第1スリット41、第1ブリッジ部42、第2スリットおよび第2ブリッジ部の長さを略等しくしてもよい。
本発明の第4実施形態の効果について説明する。
例えば第1電磁鋼板において、第1スリットの長さを長くすると、第1電磁鋼板の剛性が他の箇所と比較して低下し、ステータコアが変形し、応力増加によって鉄損が悪化するおそれがある。
本実施形態では、第1電磁鋼板40において、第1スリット41の長さL1と、第1ブリッジ部42の長さL2とを略等しくし、第2電磁鋼板において、第2スリットの長さと、第2ブリッジ部の長さとを略等しくする。これにより、第1電磁鋼板40と第2電磁鋼板との強度を均一化し、磁束分布を均一化することができ、ケース挿入時のステータコアの変形や、鉄損の悪化を抑制することができる。
次に本発明の第5実施形態について図13を用いて説明する。図13は本実施形態の第1電磁鋼板の一部を示す平面図である。
本実施形態では、第2実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第2実施形態と異なる箇所について説明する。
第1電磁鋼板50は、ティース部12の先端部12a側の第1スリット51の径方向における幅Xを、ロータ3の外周壁3aとティース部12の先端部12aとの距離であるエアギャップX1以下とするものである。また、第2電磁鋼板においても同様としてもよい。
本発明の第5実施形態の効果について説明する。
電動機を作動させると、ティース部では径方向に磁束は発生し、これを寸断するようなスリットは、電動機の性能を低下させるおそれがある。
本実施形態では、ティース部12の先端部12a側の第1スリット51の幅XをエアギャップX1以下とすることで、電動機の性能低下を抑制することができる。
次に本発明の第6実施形態について図14を用いて説明する。図14は本実施形態の第1電磁鋼板の一部を示す平面図である。
本実施形態では、第2実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第2実施形態と異なる箇所について説明する。
第1電磁鋼板60には、ティース部12の先端部12a側を形成する箇所に、スリットが形成されない第1領域61が形成される。第2電磁鋼板についても同様である。
ワニスは主にコイルを固着させる目的で塗布される。ワニスを塗布する方法は、ステータコアの内径を支持し、ステータコアを斜めに傾けてゆっくり回転させて、第1電磁鋼板と第2電磁鋼板とを積層する積層方向へ突出したコイルに対して、ワニスを徐々に滴下して行われる。これによって、ワニスはコイルの電線などを伝わってコイル全体に浸透し、コイルが固着する。
そのため、ワニスは、主にヨーク部とティース部との間に形成されるスロット部から、積層した第1電磁鋼板と第2電磁鋼板との間に浸透する。つまり、ワニスは、ティース部の先端側からはさほど浸透しない。そこで、本実施形態では、第1電磁鋼板60および第2電磁鋼板には、ティース部12の先端部12a側となる箇所にスリットがない第1領域61が形成される。
なお、ティース部12の先端部12a側となる箇所から若干量のワニスが浸透する場合には、ティース部12の先端部12a側をマスキングテープなどによって保護してもよい。
本発明の第6実施形態の効果について説明する。
第1電磁鋼板60のティース部12の先端部12a側に、スリットが形成されない第1領域61を設けることで、ティース部12で磁束が妨げられることがなく、電動機の性能低下を抑制することができる。
次に本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態では、第6実施形態と比較してステータコアが異なっている。以下においては、第6実施形態と異なる箇所について説明する。
ステータコア70は、図15に示すように、分割コア71を周方向に円形に並べて形成される。図15は、本実施形態のスタータコアを積層方向から見た平面図である。なお、本実施形態では、コイルは、1つの分割コア71に例えば銅線などの電線が巻回される集中巻きである。
分割コア71は、第1スリットと第1ブリッジ部とを有する第1電磁鋼板と、第2スリットと第2ブリッジ部とを有する第2電磁鋼板とを交互に積層して形成される。
ここで、第1電磁鋼板について図16を用いて説明する。図16は、第1電磁鋼板の平面図である。
第1電磁鋼板72は、周方向において隣接する第1電磁鋼板と当接する当接部73に沿って第2領域74が形成される。第2領域74では、第1スリット75が形成されていない。なお、第2電磁鋼板についても同様である。
本発明の第7実施形態の効果について説明する。
電動機を作動させた場合に、ステータコアのヨーク部では、周方向に磁束が発生する。
本実施形態では、分割コア71を形成する例えば第1電磁鋼板72において、周方向に隣接する第1電磁鋼板と接触する当接部73に沿って、第1スリット75が形成されない第2領域74を設けることで、ステータコア70の周方向で磁束が妨げられることを抑制し、電動機の性能低下を抑制することができる。
次に本発明の第8実施形態について図17を用いて説明する。図17は、本実施形態の第1電磁鋼板の平面図である。
本実施形態では、第7実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第7実施形態と異なる箇所について説明する。
第1電磁鋼板80は、当接部81に隣接する第1スリット82において、隣接する第1電磁鋼板80に向けて開口する第1開口部83と、ティース部12の先端部12aに隣接する第1スリット84において、ロータに向けて開口する第2開口部85とを備える。つまり、第1電磁鋼板80の端部に位置する第1スリットは、面内方向に開口する第1開口部83と第2開口部85とを備える。
なお、第2電磁鋼板の第2スリットも同様に開口するように設けてもよい。
本発明の第8実施形態の効果について説明する。
第1電磁鋼板80の当接部81側に位置する第1スリット82は、隣接する第1電磁鋼板に向けて開口する第1開口部83を備えることで、例えば隣接する第1電磁鋼板との間からワニスが浸透することを防止することができる。
次に本発明の第9実施形態について図18、図19を用いて説明する。図18は、本実施形態の第1電磁鋼板の平面図であり、図19は図18の一部を拡大した拡大図である。
本実施形態では、第8実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第8実施形態と異なる箇所について説明する。
第1電磁鋼板90は、第1電磁鋼板90の径方向軸側に位置し、第1開口部91を有する第1スリット92において、径方向軸側、つまりワニスが浸透する径方向に向けて第1開口部91から開口する第1切欠部93を備える。また、第1電磁鋼板90は、第1電磁鋼板90の径方向外側に位置し、第1開口部94を有する第1スリット95において、径方向外側、つまりワニスが浸透する径方向に向けて第1開口部94から開口する第2切欠部96を備える。第1切欠部93および第2切欠部96は、当接部81を径方向に延長した線97と、第1切欠部93の周方向の壁98および第2切欠部96の周方向の壁99との間に隙間が生じるように形成される。つまり、第1切欠部93および第2切欠部96は、隣接する第1電磁鋼板間で隙間が生じるように形成される。なお、第2電磁鋼板についても同様である。
本発明の第9実施形態の効果について説明する。
分割コアをケースに挿入する場合には、分割コアの当接部に大きな荷重がかかる。このとき例えば隣接する第1電磁鋼板の当接部においては、径方向の幅が比較的小さい箇所が挿入時の圧力によって変形するおそれがある。
本実施形態では、このような箇所に第1切欠部93および第2切欠部96を設けることで、分割コアをケースに挿入する場合に、例えば第1電磁鋼板90が変形することを防止することができる。
次に本発明の第10実施形態について図20を用いて説明する。図20は、本実施形態の電磁鋼板の一部を示す平面図である。
本実施形態では、第2実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第2実施形態と異なる箇所について説明する。
電磁鋼板100の外形形状は、ステータコアの軸を通り、径方向に延びる軸101に対して線対称となる。しかし、電磁鋼板100のスリット102は、軸に対して非線対称となるように設けられる。
電磁鋼板100を積層する場合には、電磁鋼板100を1枚おきに裏返して積層する。例えば、図20に示す面を表面した場合に、図20に示す電磁鋼板100と、これを裏返した電磁鋼板100とが交互に積層される。本実施形態では、ある電磁鋼板100と、裏返した電磁鋼板100とを積層し、積層方向から電磁鋼板100を見た場合に、スリット102が重ならないようにスリット102は形成されている。
本発明の第10実施形態の効果について説明する。
電磁鋼板100の外形形状を、ステータコアの軸を通り、径方向に延びる軸101に対して線対称とし、電磁鋼板100のスリット102を、軸101に対して非線対称とする。そして、電磁鋼板100を1枚おきに裏返して積層することで、1種類の電磁鋼板100で、電磁鋼板100の外形形状に沿った室を形成することができ、ワニスの浸透を抑制することができ、さらにコストを削減することができる。
次に本発明の第11実施形態について図21を用いて説明する。図21は、本実施形態の電磁鋼板を示す平面図である。
本実施形態では、第2実施形態と比較して電磁鋼板が異なっている。以下においては、第2実施形態と異なる箇所について説明する。
電磁鋼板110の外形形状は、ステータコアの軸111を通り、径方向に延びる軸101に対して対称となる。しかし、電磁鋼板110のスリット112は、ステータコアの軸111を中心として、n個(nは自然数)のティース部12の分だけ回転させて場合に、回転前のスリット112と、回転後のスリット112との位置が一致しないように設けられる。つまり、回転前の電磁鋼板110と、回転後の電磁鋼板110とを積層し、積層方向から見た場合に、2つの電磁鋼板110のスリット112が重ならないようにスリット112は形成されている。スリット112は、周方向で隣り合うティース部12において、例えば、スリット112のピッチを反転させて形成する。なお、nを「1」として、電磁鋼板110を積層する場合には、電磁鋼板110を同一方向に回転させて積層することが望ましい。なお、図21のスリット112の長さは、説明のために図示するものであり、これに限定されるものではない。また、積層方向から見た場合に、スリット112の一部が重ならないようにスリット112は形成されてもよい。
本発明の第11実施形態の効果について説明する。
例えばプレスによって電磁鋼板を打ち抜く場合には、板厚が一定とならないことがある。本実施形態では、このような場合に、周方向に回転させて電磁鋼板110の積層方向における厚さを調整可能とし、ステータコアの厚さを均一化することができる。また、電磁鋼板110を裏返す工程を設けずに1種類の電磁鋼板110で、ワニスの浸透を抑制することができる。
なお、上記実施形態における構成を組み合わせることも可能である。
また、溝、スリットは、径方向に複数設けてもよい。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
1 電動機
9、70 ステータコア
13 電磁鋼板
14 溝
15 室
16 ワニス(接着部材)
18 接着領域
20、31、40、50、60、72、80、90、100、110 第1電磁鋼板
21、33 第2電磁鋼板
22、32、41、51、75、82、84、92 第1スリット
23、42 第1ブリッジ部
24、34 第2スリット
25 第2ブリッジ部
26、35 第1室
27、36 第2室
61 第1領域
71 分割コア
73、81 当接部
74 第2領域
83、91、94 第1開口部
85 第2開口部
93、96 第1切欠部
102、112 スリット
9、70 ステータコア
13 電磁鋼板
14 溝
15 室
16 ワニス(接着部材)
18 接着領域
20、31、40、50、60、72、80、90、100、110 第1電磁鋼板
21、33 第2電磁鋼板
22、32、41、51、75、82、84、92 第1スリット
23、42 第1ブリッジ部
24、34 第2スリット
25 第2ブリッジ部
26、35 第1室
27、36 第2室
61 第1領域
71 分割コア
73、81 当接部
74 第2領域
83、91、94 第1開口部
85 第2開口部
93、96 第1切欠部
102、112 スリット
Claims (17)
- 電磁鋼板を積層して形成されるステータコアを備える電動機であって、
積層した前記電磁鋼板の間に形成され、前記電磁鋼板の外形形状に沿って形成される室を備え、
前記室よりも前記電磁鋼板の外縁部側に、積層した前記電磁鋼板を接着部材によって接着する接着領域が形成されることを特徴とする電動機。 - 前記電磁鋼板は、前記電磁鋼板の外形形状に沿って形成される溝を備え、
前記室は、前記溝によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動機。 - 前記電磁鋼板は、前記電磁鋼板の外形形状に沿って形成されるスリットと、隣り合う前記スリットとの間に形成されるブリッジ部とを備え、
前記室は、前記スリットによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動機。 - 前記スリットは、前記電磁鋼板を貫通することを特徴とする請求項3に記載の電動機。
- 前記電磁鋼板は、前記電磁鋼板の外形状に沿って形成される第1スリットを有する第1電磁鋼板と、前記電磁鋼板の外形状に沿って形成される第2スリットを有する第2電磁鋼板と備え、
前記ステータコアは、前記第1電磁鋼板と前記第2電磁鋼板とを交互に積層して形成され、
前記第1電磁鋼板と前記第2電磁鋼板との積層方向から前記ステータコアを見た場合に、前記ステータコアは、前記第1スリットと前記第2スリットとの位置および形状が異なることを特徴とする請求項4に記載の電動機。 - 前記第1電磁鋼板は、隣り合う前記第1スリットの間に形成される第1ブリッジ部を備え、
前記第2電磁鋼板は、隣り合う前記第2スリットの間に形成される第2ブリッジ部を備え、
前記第1電磁鋼板と前記第2電磁鋼板との積層方向から前記ステータコアを見た場合に、前記スタータコアは、前記第1スリットと前記第2ブリッジ部とが重なり、前記第2スリットと前記第1ブリッジ部とが重なることを特徴とする請求項5に記載の電動機。 - 前記積層方向から前記ステータコアを見た場合に、前記ステータコアは、前記第1スリットの一部と前記第2スリットの一部とが重なることを特徴とする請求項6に記載の電動機。
- 前記スリットと前記ブリッジ部との長さが略同一であることを特徴とする請求項3から7のいずれか一つに記載の電動機。
- 前記ステータコアのティース部の径方向軸側の外形形状に沿って形成される前記スリットの径方向における幅は、エアギャップ以下であることを特徴とする請求項3から8のいずれか一つに記載の電動機。
- 前記電磁鋼板は、前記ステータコアのティース部の径方向軸側に、前記スリットが形成されない第1領域を有することを特徴とする請求項3から8のいずれか一つに記載の電動機。
- 前記ステータコアは、複数の分割コアによって形成され、
前記電磁鋼板は、隣接する電磁鋼板と当接する当接部を備え、前記スリットが形成されない第2領域を前記当接部に沿って有することを特徴とする請求項3から10のいずれか一つに記載の電動機。 - 前記ステータコアは、複数の分割コアによって形成され、
前記電磁鋼板は、隣接する電磁鋼板と当接する当接部と、
前記当接部に隣接する前記スリットにおいて、前記隣接する電磁鋼板に向けて開口する開口部とを備えることを特徴とする請求項3から9のいずれか一つに記載の電動機。 - 前記電磁鋼板は、前記開口部を有する前記スリットに、前記接着部材が浸透する径方向に向けて前記開口部から開口する切欠部を備えることを特徴とする請求項12に記載の電動機。
- 前記電磁鋼板の外形形状は、前記ステータコアの軸を通り、径方向に延びる軸を中心として線対称であり、
前記スリットは、前記径方向に延びる軸を中心として非線対称であり、
前記ステータコアは、前記電磁鋼板を1枚おきに裏返して積層して形成されることを特徴とする請求項3から10のいずれか一つに記載の電動機。 - 前記電磁鋼板の外形形状は、前記ステータコアの軸を通り、径方向に延びる軸を中心として線対称であり、
前記ステータコアのn個(nは自然数)のティース部の分、前記ステータコアの軸を中心に前記電磁鋼板を回転させて、積層した前記電磁鋼板を前記電磁鋼板の積層方向から見た場合に、前記スリットの一部が重ならないように前記スリットは形成され、
前記ステータコアは、前記電磁鋼板をn個のティース部ずつ回転させて積層して形成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の電動機。 - 前記nは1であることを特徴とする請求項15に記載の電動機。
- 電磁鋼板を積層して形成されるステータコアを備える電動機の製造方法であって、
積層した電磁鋼板の間に、前記電磁鋼板の外形形状に沿った室を形成し、
前記室よりも前記外側から接着部材を浸透させて、前記積層した前記電磁鋼板を接着することを特徴とする電動機の製造方法。
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