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JP2012028929A - 波長選択光クロスコネクト装置 - Google Patents

波長選択光クロスコネクト装置 Download PDF

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康樹 桜井
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Abstract

【課題】波長選択光クロスコネクト装置において、波長選択スイッチやMEMS等の可動部品を用いることなく、小型で実装面積を小さくし、伝送信頼性を向上させること。
【解決手段】波長選択光クロスコネクト装置1Aは、経路選択素子11−1〜11−Nからなる経路選択部10A、波長選択器20A、経路選択素子41−1〜41−Mからなる経路選択部40A、及びコントローラ50Aによって構成される。経路選択素子11−1〜11−Nは入力方路Rin1〜RinNに入力されたNチャンネル分のWDM信号を経路を選択して波長選択器20Aに加える。波長選択器20AはN×M個のWDM信号の夫々について波長毎に選択操作を行って出力する。波長選択素子40−1〜40−Mは夫々の経路選択素子から波長選択器20Aを介して得られた異なる出力を入力とし、経路を選択して出力方路Rout1〜RoutMより出力する。
【選択図】図2

Description

本発明は光通信分野における光ネットワーク網の分岐点に相当する光ノードに設けられる複数の入出力方路を有する波長選択光クロスコネクト装置に関するものである。
今日の高度情報通信社会を支える高速大容量光ネットワークには、波長多重光通信技術が利用されている。光ネットワーク網の分岐点に相当する光ノードでは、再構成可能なアド、ドロップ機能を有するROADM(Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexer)装置の導入が進められている。ROADM装置を実現するため、任意の波長を任意の方向に切り換える波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch、WSSともいう)が注目されている。現在の波長選択スイッチとしては、入力方路数Nが1、出力方路数Mが2以上のものが利用されているが、今後の大容量ネットワークを実現するためにはノード処理能力の向上が求められ、入力方路数及び出力方路数がいずれも複数で、入力方路の任意の複数の波長を選択して出力方路に変換することができる波長選択光クロスコネクト装置が求められている。
従来の方法では、特許文献1に示すように入力方路に接続されるN個の1×M波長選択スイッチと、その各出力を夫々入力とするM個のN×1波長選択スイッチとを用いて波長選択光クロスコネクト装置を実現することができる。図1は入力方路数Nが4、出力方路数Mが6の場合の波長選択光クロスコネクト装置の一例を示す図である。本図において、波長選択光クロスコネクト装置は入力方路Rin1〜Rin4に接続された4個の1×6の波長選択スイッチ(WSS)110−1〜110−4を有している。各波長選択スイッチ110−1〜110−4の出力は夫々6個の4×1の波長選択スイッチ120−1〜120−6に入力され、その選択出力が出力方路Rout1〜Rout6より出力される。これによって波長選択光クロスコネクト装置が実現できる。
しかしながら波長選択スイッチは複雑な構造であるため、光伝送実装ボードに搭載が困難なほど、装置面積が大きくなり、装置の価格が高額になる。図1の構成では波長選択スイッチを(N+M)個使用するので、故障率が高く、伝送信頼度が低いという欠点がある。
そこで、少ない部品点数で小型の波長選択光クロスコネクト装置を実現するため、特許文献1ではMEMS(Micro Electric Mechanical System)微小ミラーの傾斜を利用した複数の2×N波長選択スイッチを利用することを提案している。
特開2008−147804号公報
しかしながらこの方式では入力方路数Nと出力方路数Mが等しい場合に制限されている。又この場合も波長選択スイッチを2N個使用するので、1つの波長選択スイッチを用いたときに比べて故障率が2N倍になり、伝送信頼度が低下する。又MEMSなどのミラーを機械的に駆動制御するため、本質的に振動や衝撃などの外乱に弱いという欠点があった。
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであって、従来の波長選択スイッチやMEMS等の可動部品を用いることなく、小型で実装面積を小さくし、伝送信頼性を向上させることを目的とする。
この課題を解決するために、本発明の波長選択光クロスコネクト装置は、N個の入力方路(Nは2以上の自然数)に夫々波長λ1〜λL(Lは2以上の自然数)の第1〜第Nチャンネルの波長多重光信号が加えられ、夫々の入力の波長多重光信号について任意の複数の波長の信号を選択してM個の出力方路(Mは2以上の自然数)より出力する波長選択光クロスコネクト装置であって、1つの入力端子とM個の出力端子を有し、各入力方路に加えられたWDM信号について経路を選択してM個の出力端子より出力する第1群のN個の経路選択素子と、前記N個の経路選択素子のN×M個の出力を入力とし、入力された各WDM信号について任意の波長の光信号を選択し、入力数と同一数のWDM信号を出力する波長選択器と、N個の入力端子と1つの出力端子を有し、各入力方路に加えられたM個のWDM信号について経路を選択して1つの出力端子より出力する第2群のM個の経路選択素子と、を具備するものである。
ここで前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力に分岐するN個のスプリッタであり、前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力に合成するM個のカップラとしてもよい。
ここで前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力のいずれかに選択的に伝えるN個の1×M光スイッチであり、前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力に合成するM個のカップラとしてもよい。
ここで前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力に分岐するN個のスプリッタであり、前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力を選択するM個の1×N光スイッチとしてもよい。
ここで前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力のいずれかに選択的に伝えるN個の1×M光スイッチであり、前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力を選択するM個の1×N光スイッチとしてもよい。
ここで前記第1群の夫々の経路選択素子は、光導波路上に縦続接続された分岐路によって出力を選択する導波路素子であり、前記第2群の夫々の経路選択素子は、光導波路上に縦続接続された分岐路によって入力を選択する導波路素子としてもよい。
ここで前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力に分岐するN個のスプリッタであり、前記波長選択器は、前記第1群の経路選択素子の夫々より得られた入力の波長操作後の出力の少なくとも一部をドロップとして出力するものであり、前記第2群の経路選択素子は、夫々その入力の少なくとも一部はアド入力であり、その他の入力は前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力であり、これらを入力とし1つの出力に合成するM個のカップラとしてもよい。
ここで前記波長選択器は、y軸にそって配列され、多数の波長の光から成る第1〜第N×M個のWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる第1の波長分散素子と、前記第1の分散素子によって分散した各チャンネルのWDM光を平行光とする第1の集光素子と、波長に応じてx軸方向に配列され、更にN×M個のWDM光が夫々y軸の異なった位置に配列されてxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の透過特性を切換えることにより任意のWDM信号について任意の波長帯の光を選択する波長選択素子と、前記波長選択素子のxy方向に配列された電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の光透過特性を制御する波長選択素子駆動部と、前記波長選択素子を透過した各波長の光を集光する第2の集光素子と、前記第2の集光素子によって集光された分散光を合成する第2の波長分散素子と、を具備するようにしてもよい。
ここで前記波長選択器は、y軸にそって配列され、夫々が多数の波長の光から成る第1〜第N×M個のWDM信号光を入射し、各チャンネルについて選択された波長の光信号を出射する複数の入出射部と、前記入射部より得られるN×M個のWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる波長分散素子と、前記波長分散素子によって分散した各チャンネルのWDM光を2次元のxy平面上に集光する集光素子と、波長に応じてx軸方向に配列され、更にN×M個のWDM光が夫々y軸の異なった位置に配列されてxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の反射特性を切換えることにより任意のWDM信号について任意の波長帯の光を選択する波長選択素子と、前記波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の光反射特性を制御する波長選択素子駆動部と、を具備するようにしてもよい。
ここで前記波長選択素子は、LCOS素子としてもよい。
ここで前記波長選択素子は、2次元液晶アレイ素子としてもよい。
ここで前記波長選択器は波長ブロッカとしてもよい。
以上詳細に説明したように本発明によれば、波長選択光クロスコネクト装置を全体として構成しており、波長選択スイッチを用いることはないので、小型で実装面積が小さくなり、信頼性を向上させることができる。又MEMSの可動部品を用いることがなく、振動や衝撃等に外乱の影響を受けにくい波長選択光クロスコネクト装置を提供することが可能となる。
図1は入力方路数4、出力方路数6を有する従来の波長選択光クロスコネクト装置の一例を示すブロック図である。 図2は本発明の第1の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置の一例を示すブロック図である。 図3は本発明の第2の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置の一例を示すブロック図である。 図4(a)は本発明の第2の実施の形態による波長選択器のx軸方向から見た光学的な配置、図4(b)はそのy軸方向からの光学的な配置を示す図である。 図5は本実施の形態による波長選択器に用いられるLCOS素子を示す図である。 図6Aは本実施の形態に用いられるLCOS素子の変調方式の一例を示す図である。 図6Bは本実施の形態に用いられるLCOS素子の変調方式の他の例を示す図である。 図7はLCOS素子の駆動状態を示す図である。 図8はLCOS素子の駆動状態に対応するフィルタの選択特性を示す図である。 図9は本発明の第3の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置の一例を示すブロック図である。 図10は本発明の第4の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置の一例を示すブロック図である。 図11は本発明の第5の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置の一例を示すブロック図である。 図12は第2〜第5の実施の形態の波長選択光クロスコネクト装置の機能をまとめた表である。 図13は本発明の第6の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置に用いられる経路選択素子の一例を示す図である。 図14は本発明の第7の実施の形態によるアドドロップ機能を加えた波長選択光クロスコネクト装置を示すブロック図である。 図15(a)は本発明の第8の実施の形態に用いられる反射型の波長選択器のx軸方向から見た光学的な配置、図15(b)はそのy軸方向からの光学的な配置を示す図である。 図16Aは本発明の第8の実施の形態に用いられるLCOS素子の変調方式の一例を示す図である。 図16Bは本発明の第8の実施の形態に用いられるLCOS素子の変調方式の他の例を示す図である。 図17は本発明の波長選択素子の他の例を示す図である。 図18は本発明の波長選択器の更に他の例を示す図である。
(第1の実施の形態)
図2は本発明の基本構成による波長選択光クロスコネクト装置1Aの構成図である。波長選択光クロスコネクト装置1AはN個(Nは2以上の自然数)の入力方路Rin1〜RinNと、M個(Mは2以上の自然数)の出力方路Rout1〜RoutMを有している。この波長選択光クロスコネクト装置1Aは、経路選択部10Aと、波長選択部20A、経路選択部40A及びコントローラ50Aによって構成される。ここで入力方路Rin1に入力される第1チャンネルの光信号はλ11〜λL1(Lは2以上の自然数)の光信号が多重化された波長多重光信号(以下、WDM信号という)とする。入力方路Rin2に入力される第2チャンネルの光信号も同様に波長λ12〜λL2の光信号が多重化されたWDM信号とする。一般的に表現すると、入力方路Rin(k)に入力される第kチャンネルのWDM信号は、波長λ1k〜λLkの光信号が多重化されたWDM信号(k=1〜N)とする。ここで第1サフィックス(1〜L)が同一のものは同一波長を表し、第2サフィックス(1〜N)はチャンネルを表す。このNチャンネルのWDM信号は光ファイバを介して又は直接に経路選択部10Aに入力される。
経路選択部10Aは夫々の入力方路に接続される第1群のN個の経路選択素子11−1〜11−Nを有している。夫々の経路選択素子は入力方路に加えられたWDM信号をM個の出力端に任意に選択して出力することができる素子である。ここで経路選択部10Aにおいて「経路選択」とは、出力端の少なくとも1つの経路を選択することに加えて、出力端の全ての経路を選択する場合も含む。
又波長選択器20AはN×M個の入力端子とN×M個の出力端子を有し、夫々の入力端子に入力されるWDM信号に対して夫々波長毎に分離し、各波長に対してフィルタ操作を行って再び合成して、WDM信号として出力するものである。波長選択器20Aはi番目(i=1〜N×M)のWDM信号にフィルタ操作を行ってi番目のWDM信号として出力する。このフィルタ操作は典型的には特定の波長の光をブロックしたり、特定の波長の光を透過させるものである。又これに加えて透過させる波長の光レベルを等しいレベルに保つようなイコライザ機能を設けるようにしてもよい。
波長選択器20Aの出力端に接続される経路選択部40Aは第2群のM個の経路選択素子41−1〜41−Mを有している。夫々の経路選択素子はN個の入力端に加えられたWDM信号を選択して1つの出力端に任意に出力することができる素子である。波長選択素子41−1は波長選択素子11−1〜11−Nの夫々の第1の出力が波長選択器20Aを通過した出力を入力とし、これを選択して1つのWDM信号として出力方路Rout1に出力するものである。この場合に1つの波長帯は1つのチャンネルのWDM信号からのものを用いる。又波長選択素子41−2は波長選択素子11−1〜11−Nの夫々の第2の出力が波長選択器20Aを通過した出力を入力とし、これを選択して1つのWDM信号として出力方路Rout2に出力するものである。この場合に1つの波長帯は1つのチャンネルのWDM信号からのものを用いる。その他の波長選択素子についても同様である。一般的に表現すると波長選択素子41−P(P=1〜M)は波長選択素子11−1〜11−Nの夫々の第Pの出力が波長選択器20Aを通過した出力を入力とし、これを選択して1つのWDM信号として出力方路RoutPに出力するものである。ここで経路選択部40Aにおいて「経路選択」とは、入力経路の少なくとも1つを選択することに加えて、入力経路の全てを選択して合成する場合も含む。
次にコントローラ50AはN個の経路選択素子11−1〜11−N、波長選択器20A及びM個の経路選択素子41−1〜41−Mのスイッチング状態を制御する。又コントローラ50Aは波長選択器20Aの各WDM信号の各波長の信号光のレベルを波長毎に制御するものである。
本発明による波長選択光クロスコネクト装置では波長選択部10A,40Aと波長選択器20Aを用いることによって各入力方路Rin1〜RinNに入力されたWDM信号について任意の複数の波長を選択して任意の出力方路Rout1〜RoutMに出力することができる。
(第2の実施の形態)
次に本発明のより詳細な実施の形態について説明する。図3は本発明の第2の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置1Bの構成図である。本実施の形態の波長選択光クロスコネクト装置1Bは、経路選択部10B,波長選択器20B,経路選択部40Bとコントローラ50Bによって構成される。経路選択部10Bにおける第1群のN個の経路選択素子は、入力を出力方路数分に分岐するN個のスプリッタ12−1〜12−Nによって構成される。スプリッタ12−1は入力方路Rin1より入力された第1チャンネルのWDM信号をM個に分岐し、各出力を波長選択器20Bに出力するものである。スプリッタ12−2も同様にして入力方路Rin2に加えられた第2チャンネルのWDM信号をM個に分岐して各出力を波長選択器20Bに出力するものである。その他のスプリッタ12−3〜12−Nについても同様である。これによって入力方路に加えられたNチャンネルのWDM信号の全てについて夫々M個のWDM信号を波長選択器20Bの入力とすることができる。
次に本実施の形態における波長選択器20Bの詳細な構成について説明する。波長選択器20BはN×M個の入力端及びN×M個の出力端を有している。図4において入射光の番号を第1〜第(N×M)とすると、波長選択器20Bへの入射光はN×M個のWDM信号であり、夫々コリメートレンズ21−1〜21−N×Mに入射され、平行な光ビームとしてレンズ22に与えられる。レンズ22は各WDM光をy軸方向に集束して一点に集光するもので、集光位置には第1の波長分散素子23が設けられる。第1の波長分散素子23は、回折格子やプリズム、もしくは回折格子とプリズムの組み合わせで実現することができる。波長分散素子23は図4(b)に示すように光の波長毎にxz平面上で異なった方向に光を出射するものである。この光はいずれもレンズ24に入射される。レンズ24はxy平面上で分散した光をz軸方向に平行に集光する第1の集光素子である。又レンズ24の光軸に垂直に波長選択素子25が配置される。波長選択素子25はコントローラ50Bからの出力に基づいて入射光を部分的に透過させるものであり、詳細については後述する。波長選択素子25を透過した光はレンズ26に入射される。レンズ24、第1の波長分散素子23とレンズ26、第2の波長分散素子27は波長選択素子25の中心のxy面に対して面対称である。レンズ26はxz平面上の平行な光を集光する第2の集光素子であり、波長分散素子27は異なった波長成分の異なった方向からの光を合成して出射するものである。波長分散素子27によって合成された光はレンズ28によってz軸に平行でy軸方向に分離したM個のWDM光に変換される。各WDM光はコリメートレンズ29−1〜29−N×Mを介してカップラ42−1〜42−N×Mに出力される。
次に実施の形態に用いられる波長選択素子25について説明する。波長選択素子25は図5に示すようにマトリックス状に配置された2次元のP×Qドットの画素構造の素子である。又波長選択素子25にはコントローラ50B内の設定部51がドライバ52を介して接続されている。設定部51はxz平面の光を透過する画素を選択チャンネルの選択波長に合わせて決定するものであり、ドライバ52は所定の位置の画素の光透過特性を制御する波長選択素子の駆動部である。
ここで第1〜第(N×M)のWDM光を夫々y軸方向に分散させると共に、波長によってx軸方向に分散させ、M本の平行な帯状の光として波長選択素子25に入射したとき、第1〜第N×M番目のWDM光の入射領域R1〜R(N×M)は図5に示す長方形状の領域であるとする。即ち入射領域R1〜R(N×M)に加わる光は夫々第1〜第(N×M)のWDM光を波長選択素子25への入力番号i(i=1〜(N×M))と波長帯λj(j=1〜L)に応じてxy平面に展開した光である。波長選択器20Bでは、透過させる画素を選択することによって、任意の波長の光を選択することができる。
波長選択素子25はLCOS(Liquid Crystal On Silicon)の液晶素子を用いて実現することができる。LCOS素子25Aは各画素の背面に液晶変調ドライバ52を内蔵しているため、画素数を多くすることができ、例えば1000×1000の多数の格子状の画素から構成することができる。LCOS素子25Aでは各チャンネル毎及び波長毎に異なる位置に各光ビームが入射するので、その位置の画素を透過状態とすればその光信号を選択することができる。
ここでLCOS素子25Aにおける変調方式の1つである位相変調方式について説明する。図6AはLCOS素子を示す概略図であり、光が入射する面からz軸に沿って透明電極31,液晶32及び透明電極33を積層して構成されている。LCOS素子25Aは1つのWDM信号の1つの波長帯を複数の画素で構成するため、複数画素について屈折率の凹凸を形成し、回折現象を発現することができる。従って透明電極31と透明電極33との間に電圧を印加することによって各周波数成分の回折角を独立に制御し、特定波長の入力光をz軸方向に直進させてそのまま透過させたり、他の波長成分の光を不要な光として回折させ、z軸方向とは異なった方向に光を回折させることができる。このため各画素に印加する電圧を制御することによって、必要な画素を回折させずに透過状態とすることができる。
次にLCOS素子の他の変調方式である強度変調方式について説明する。図6Bは強度変調方式による波長選択方法を示す図であり、入射光の入射する面には偏光子34を配置する。偏光子34は入射光を図中○で示す特定の偏光状態にしてLCOS素子25Aに入射する。この場合にもLCOS素子25Aは透明電極31,液晶32及び透明電極33によって構成される。LCOS素子25Aを透過した出射光光軸上には偏光子35を配置する。偏光子35は入射光を図中○で示す特定の偏光状態の光のみを出射するものである。LCOS素子に光を入射すると、電圧の印加状態によって電極間の液晶の複屈折率差を制御することができる。従って印加する電圧の偏光状態を独立に制御することにより透過光の偏光状態を異ならせることができる。ここで液晶分子の配向成分によって電圧を制御したときに偏光面が回転するか保持されるかが決定される。例えば電圧を印加しない場合に偏光面が保持されるとすると、図中○状態で示す光がそのまま透過することとなる。一方電圧を印加すれば偏光面が回転して透過するため、透過光は偏光子35によって遮蔽される。従って画素に加える電圧を制御して入射光を選択することができる。ここで任意数の画素を透過状態とすれば任意の複数のWDM信号光の、任意の複数の波長帯を選択することができる。
第2の実施の形態では夫々がλ1〜λLのLの波長帯を有するN×M個のWDM信号に対して例えば3(N×M)×3Lの画素を有するLCOS素子25Aを用いるものとする。そうすれば特定のWDM信号の特定波長、例えば図7(a)に示すようにi番目の入力のWDM光のλjの波長帯の信号を選択する場合には、3i〜3j+2,3j〜3j+2の9ドットの画素を透過状態とすることによってその入力番号のその波長を選択することができる。図7では透過状態とする画素を黒く示している。ここでLCOS素子25Aの透過状態とした画素に光が入射すると、入射光はそのまま透過されて出力側に得られる。又選択されていない画素に入射した波長の光は回折又は遮蔽されるため、出力されない。このように特定の波長帯に対応する9画素を選択する場合には、図8(a)に示すようにフィルタ形状として信号スペクトル成分を包含しつつ隣接波長帯に影響のないフラットトップ型のスペクトル波形を得ることができる。
更にLCOS素子25Aにおいてオンオフさせる画素数を制御することによってフィルタの形状も任意に設定することができる。即ち図7(a)においてその入力の特定波長帯の3×3の画素のうち一つの画素を選択すれば、低いレベルとすることができる。又LCOS素子25Aのi番目の入力の波長λj帯を選択する9画素のうち一部を選択すれば任意の波長とすることができる。こうすれば光がLCOS素子25Aに入射すると、透過領域の幅に対応したパスバンドの幅が得られる。例えば図7(b)に示すようにi番目の入力の波長λj帯を選択する9画素のうち中央の3画素を透過状態とすれば、図8(b)に示すようにλj帯の中心部分の波長を選択する幅が狭い選択特性が得られる。
又図7(c)に示すようにこれに隣接する中央の画素も同時に透過状態とすれば、図8(c)に示すようにパスバンドの幅を少し広くし、ガウシアン状に近い選択特性とすることができる。
更に図7(d)に示すように、波長λjの9画素に加えて隣接する画素の一部も透過状態とすれば、図8(d)に示すようにパスバンドの幅をより広くすることができる。
次に波長選択器20Bの出力側には、経路選択部40Bが設けられる。経路選択部40Bを構成する第2群の経路選択素子は、M個のカップラ42−1〜42−Mによって構成される。カップラ42−1はスプリッタ12−1〜12−Nの夫々の第1の出力が波長選択器20Bを通過した出力を入力とし、合成して1つのWDM信号として出力方路Rout1に出力するものである。この場合に1つの波長帯はあらかじめ波長選択器20Bで1つだけ選択されているものとする。又カップラ42−2はスプリッタ12−1〜12−Nの夫々の第2の出力が波長選択器20Bを通過した出力を入力とし、合成して1つのWDM信号として出力方路Rout2に出力するものである。この場合に1つの波長帯はあらかじめ波長選択器20Bで1つだけ選択されているものとする。その他のカップラへの入力についても同様である。一般的に表現すると、カップラ42−P(P=1〜M)はスプリッタ12−1〜12−Nの夫々の第Pの出力が波長選択器20Bを通過した出力を入力とし、合成して1つのWDM信号として出力方路RoutPに出力するものである。尚カップラとスプリッタとは部品としては同一のものであり、入出力を逆転させたものである。
この実施の形態では同一チャンネルのWDM信号を夫々M個波長選択器20Bに入力し、複数の出力方路より出力することができるマルチキャスト機能が実現できる。又1つの出力方路が選択できる入力方路数はNであるので、複数の入力方路から異なる波長帯の信号を組み合わせて1つの出力WDM信号として出力することができる。
本実施の形態では波長選択光クロスコネクト装置1BはN個のスプリッタと、M個のカップラを有している。これらはいずれも波長選択スイッチと比べて故障率が極めて低い単機能部品であり、信頼性を向上させることができる。又いずれも小型な部品であり実装面積を少なくすることができるという効果が得られる。ここで波長選択光クロスコネクト装置1Bを小型化するため、N個のスプリッタ11−1〜11−Nと、M個のカップラ42−1〜42−Mとを同一の平面光導波路に形成してもよい。
又本実施の形態では波長選択器20BとしてLCOS素子を波長選択素子として用いている。このように波長選択器を構成することによって可動部品を用いる必要がないため、振動や衝撃等の外乱の影響のない波長選択光クロスコネクト装置を実現することができる。
又各LCOS素子25Aの画素は印加する電圧レベルを制御することによって透過率を連続的に変化させることができる。従って電圧を印加する画素とそのレベルを制御することによって種々のフィルタ特性を得ることができる。又波長選択器20Aの各WDM信号出力について波長毎にパワーモニタを行い、透過させるべき波長の光についてはそのレベルを一定とするように帰還制御を行うことにより、イコライジングを実現することができる。
尚本実施の形態ではWDM信号の1つのチャンネルの各波長帯について3×3画素を対応させるようにしているが、更に多数の画素を対応させたり、夫々の画素について電圧レベルを制御すれば、より精密なフィルタ特性の制御が可能となる。
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。図9は本発明の第3の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置1Cの構成図である。この実施の形態では、経路選択部10Cの複数の経路選択素子を光スイッチによって構成したものである。即ち、経路選択部10Cは経路選択素子としてスプリッタに代えてN個の1×M光スイッチ(OSW)13−1〜13−Nを用いる。光スイッチ13−1は第1チャンネルのWDM光信号を選択してM個の出力端子のうちいずれかの端子より波長選択器20Bに出力するようにしたものである。光スイッチ13−2は第2チャンネルのWDM光信号を選択してM個の出力端子のうちいずれかの端子より波長選択器20Bに出力するようにしたものである。その他の光スイッチ13−3〜13−Nについても同様である。その他の構成は第2の実施の形態とほぼ同様であり、各光スイッチの出力を波長選択器20Bに与え、波長選択器20Bからの出力を経路選択部40Bのカップラ42−1〜42−Mに出力する。又コントローラ50Cは波長選択器20Bの波長選択に加えて、光スイッチ13−1〜13−Nのスイッチング状態を制御するものとする。
この場合には1つの出力方路が選択できる入力方路はNであるので、複数の入力方路から異なる波長帯の信号を組み合わせて1つの出力WDM信号として出力することができる。又各出力方路の出力として入力方路Rin1〜RinNの全てから任意の波長の光信号を選択することもできる。この場合には入力側の経路選択部10Cに光スイッチを設けているため、光のロスは少なくなるが、1つの出力方路が全ての入力方路のWDM光信号を選択した場合には、他の出力方路からは光信号を出力することはなくなる。即ち、1つの入力方路に加わるWDM信号を複数の出力方路より出力するマルチキャスト機能を実現することはできない。
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。図10は本発明の第4の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置1Dの構成図である。この実施の形態では出力側の波長選択部40Cは経路選択素子としてカップラ42−1〜42−Mに代えて、M個のN×1光スイッチ(OSW)43−1〜43−Mを用いて構成したものである。その他の構成は第2の実施の形態と同様であり、入力方路には経路選択部10Bとしてスプリッタ12−1〜12−Nを用い、夫々M個の出力を波長選択器20Bに出力する。光スイッチ43−1はスプリッタ12−1〜12−Nの夫々の第1の出力が波長選択器20Bを通過した出力を入力とし、このうち1つを選択して1つのWDM信号として出力方路Rout1に出力するものである。又光スイッチ43−2はスプリッタ12−1〜12−Nの夫々の第2の出力が波長選択器20Bを通過した出力を入力とし、このうち1つを選択して1つのWDM信号として出力方路Rout2に出力するものである。他の光スイッチ43−3〜43−Mについても同様である。又コントローラ50Dは波長選択器20Bの波長を選択を制御するだけでなく、光スイッチ43−1〜43−Mのスイッチング状態を制御するものである。
この場合には出力側の経路選択素子を光スイッチとしているため、1つの出力方路から見て選択可能な入力方路数は1つとなる。一方入力側にスプリッタ12−1〜12−Nを設けているため、1つの入力方路に加えられたWDM光信号を複数の出力方路より出力するマルチキャスト機能を実現することができる。更に出力側の経路選択素子を光スイッチとしているため、光のロスは少なくなる。
(第5の実施の形態)
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。図11は本発明の第5の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置1Eの構成図である。この実施の形態では入力側の経路選択部10Cの各素子を光スイッチ13−1〜13−Nとすると共に、出力側の経路選択部40Cの各素子を光スイッチ43−1〜43−Mで構成したものである。コントローラ50Eは波長選択器20Bの波長選択に加えて光スイッチ13−1〜13−N,43−1〜32−Mのスイッチング状態を制御するものとする。
この場合には1つの出力方路の出力として複数の入力方路からの波長を混在して出力することはできなくなる。又1つの入力方路のWDM信号を複数の出力方路より出力することはできなくなるが、波長選択素子を用いているため、夫々の入力方路のWDM信号の波長を波長単位でフィルタリングすることができ、光ロスは最も少なくすることができる。
図12は前述した第2〜第5の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置の経路選択部の構成とその機能を示したものである。ここで入力方路選択数とは、1つの出力方路が選択可能な入力方路の数である。
(第6の実施の形態)
次に本発明の第6の実施の形態について説明する。この実施の形態では経路選択素子として光スイッチやスプリッタ,カップラに代えて、図13に示すように光導波路14上に形成されたY字型の分岐回路を用い、分岐点に重畳して加熱層15を配置し、選択的に加熱層に加える電流を制御することによってスプリッタやカップラと光スイッチの機能を外部から制御可能になるようにしたものである。その他の構成については第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
例えば図13の構成においては1つの入力方路にY字分岐路をツリー型に組み合わせることによって8つの出力としている。各分岐部分の加熱層に分岐を許容するレベルの電圧を印加することによって各出力端に等分割した出力を出すようにすることもできるし、又いずれかの出力端に入力端から加わったWDM信号をそのまま出力するようにすることもできる。このY字型分岐路に代えて、方向性結合器を用いて構成してよい。こうすればスイッチとして用いることもでき、スプリッタとして用いることもでき、これらの機能を制御することによっていずれかの機能を達成することもできる。出力側の経路選択素子についても図13において入出力を逆方向とすることにより1つの入力を選択したり、各入力をそのまま重畳させて1つの出力とすることができる。こうして夫々の経路選択素子を光導波路上に形成することによって第2〜第5の実施の形態の機能を切り換えることができる。この場合は光導波路を用いて構成されるため、故障率が低く小型で実装面積が小さくなり、伝送信頼性を向上させることができる。
(第7の実施の形態)
次に本発明の第7の実施の形態について説明する。図14は第7の実施の形態による波長選択光クロスコネクト装置1Fの構成図である。この実施の形態は前述した第2の実施の形態の波長選択光クロスコネクト装置にアドドロップ機能を加え、4入力4出力の波長選択光クロスコネクト装置1F(N=M=4)として構成したものである。この実施の形態では入力側の経路選択部は4つのスプリッタ16−1〜16−4により構成される。波長選択器は4入力4出力の4つの波長選択器20C−1〜20C−4によって構成される。又出力側の経路選択部は4つのカップラ44−1〜44−4によって構成される。
本図において入力方路Rin1〜Rin4には夫々スプリッタ16−1〜16−4が接続される。スプリッタ16−1は入力信号を4つのWDM信号に分割し、波長選択器20C−1に与えるものである。他のスプリッタ16−2〜16−4についても入力信号を4つのWDM信号に分割し、夫々波長選択器20C−2〜20C−4に与えるものである。波長選択器20C−1は前述した波長選択器と同様に、4つの入力の夫々について、波長毎に分離してフィルタ操作を行う。スプリッタ16−1から得られる第1の入力についてはフィルタ操作を行った後、ドロップ(Drop)出力とする。第2〜第4の入力については、同一の入出力チャンネルとは異なるチャンネルの3つのカップラ44−2〜44〜4に夫々出力するものである。他の波長選択器20C−2〜20C−4についても同様である。尚図14では各波長選択器20C−1〜20C−4を制御するコントローラについては図示を省略している。
カップラ44−1は3つの波長選択器20C−2,20C−3,20C−4の夫々の1つの出力と、アド(Add)端子から加えられる特定波長の光信号とを合成して、出力端Rout1より出力するものである。カップラ44−2は波長選択器20C−1,20C−3,20C−4の夫々の1つの出力と、1つのアド(Add)端子から加えられる特定波長の光信号とを合成して、Rout2より出力するものである。又カップラ44−3は20C−1,20C−2,20C−4の1つの出力とアド端子に加わる特定波長の光信号とを合成して、Rout3より出力するものである。カップラ44−4は20C−1,20C−2,20C−3の1つの出力とアド端子に加わる特定波長の光信号とを合成して、Rout4より出力するものである。こうすれば光クロスコネクト装置にアドドロップ機能を加えてRODAM装置を実現することができる。
ここでは波長選択器を4入力4出力の4つの波長選択器20C−1〜20C−4で構成しているが、16入力16出力の1つの波長選択器を用いて構成することもできる。
(第8の実施の形態)
第2〜第7の実施の形態では波長選択器としてLCOSによる透過型の波長選択器について説明しているが、反射型の波長選択器20Dとすることもできる。図15(a)は反射型の波長選択器20Dの光学素子の構成を示すx軸方向から見た側面図、図15(b)はそのy軸方向から見た側面図である。入射光はN×MのWDM信号光であり、各WDM光は夫々波長λ1〜λLの光信号が多重化されたものである。各WDM光は夫々光ファイバ61−1〜61−N×Mを介してサーキュレータ62−1〜62−N×Mに与えられる。入射光は光ファイバ61−1〜61−N×Mを介してサーキュレータ62−1〜62−N×Mに入力してもよく、又直接入力してもよい。サーキュレータ62−1〜62−N×Mは入射光を光ファイバ63−1〜63−N×Mを介してコリメートレンズ64−1〜64−N×Mに出射すると共に、光ファイバ63−1〜63−N×Mから入射された光を光ファイバ65−1〜65−N×Mに出射するものである。又光ファイバ63−1〜63−N×Mを介してコリメートレンズ64−1〜64−N×Mから出射された光はz軸方向に互いに平行であり、全チャンネルのWDM光はレンズ66によって焦点の位置で一点に集光され、集光された位置に配置された波長分散素子67に入射される。波長分散素子67は光を波長に応じてx軸方向の異なった方向に分散するものである。ここで波長分散素子67としては、透過型又は反射型の回折格子であってもよく、又プリズム等を用いてもよい。又回折格子とプリズムを組み合わせた構成でもよい。こうして波長分散素子67で分散された光は集光素子であるレンズ68に与えられる。レンズ68はxz平面上で分散した光をz軸方向に平行に集光する集光素子であって、集光した光は波長選択素子69に垂直に入射される。
尚ここでは図15(b)に最短波長λ1及び最長波長λLの光を例示しているが、入射光は波長λ1〜λLまでの間で多数のスペクトルを有するWDM信号光であるので、xz平面に沿って展開されたN×M個のWDM信号光が帯状に波長選択素子69に加わる。波長選択素子69は入射光を選択的に反射するものであり、その反射特性に応じて光フィルタの選択特性が決定される。波長選択素子69によって反射された光は、同一の経路を通ってレンズ68に加わり、再び波長分散素子67に加わる。波長分散素子67は反射光に対しては元の入射光と同一方向に集束し、集束した光をレンズ66に入射する。レンズ66は入射光と同一の経路で光をz軸に平行な光に変換し、コリメートレンズ64−1〜64−N×Mを介して光ファイバ63−1〜63−N×Mに出射する。この光はサーキュレータ62−1〜62−N×Mによって光ファイバ65―1〜65−N×Mに出射される。ここで光ファイバ61−1〜61−N×M,63−1〜63−N×M,65―1〜65−N×Mとサーキュレータ62−1〜62−N×M、コリメートレンズ64−1〜64−N×M、およびレンズ66は、N×M個のWDM信号光を入射し、選択された光を出射する入出射部を構成している。尚サーキュレータ62−1〜62−N×Mはファイバ型である必要はなく、空間型を用いる場合は光ファイバ63−1〜63−N×Mは不要である。
次に反射型の波長選択器20Dに用いられる波長選択素子69は、前述したLCOS素子を反射型とすることで実現できる。反射型のLCOS素子69Aは各画素の背面に液晶変調ドライバを内蔵しているため、画素数を多くすることができる。LCOS素子69Aでは各WDM信号毎及び波長毎に異なる位置に各光ビームが入射するので、その位置の画素を反射状態とすればその光信号を選択することができる。ここで透過型のLCOS素子25Aと同様に、1つの入力WDM信号の1つの波長を多数の画素で構成すれば、図7,図8に示すように種々のフィルタ形状とすることができる。
ここで波長型のLCOS素子69Aにおける変調方式の1つである位相変調方式について説明する。図16AはLCOS素子69Aを示す概略図であり、光が入射する面からz軸に沿って透明電極71,液晶72及び背面反射電極73を積層して構成されている。LCOS素子69Aは1つのチャンネルの1つの波長帯を複数の画素で構成するため、複数画素について屈折率の凹凸を形成し、回折現象を発現することができる。従って透明電極71と背面反射電極73との間に電圧を印加することによって各周波数成分の回折角を独立に制御し、特定波長の入力光をそのまま入射方向に反射させたり、他の波長成分の光を不要な光として回折させ、入射方向とは異なった方向に光を反射させることができる。このため各画素に印加する電圧を制御することによって、必要な画素を回折させずに正反射状態とすることができる。
次にLCOS素子69Aの他の変調方式である強度変調方式について説明する。図16Bは強度変調方式による波長選択方法を示す図であり、入出射光の入射する面には偏光子74を配置する。偏光子74は入射光を図中○で示す特定の偏光状態にして反射型のLCOS素子69Aに入射する。この場合にもLCOS素子69Aは透明電極71,液晶72及び背面反射電極73によって構成される。LCOS素子69Aに光を入射すると、電圧の印加状態によって電極間の液晶の複屈折率差を制御することができる。従って印加する電圧の偏光状態を独立に制御することにより反射光の偏光状態を異ならせることができる。ここで液晶分子の配向成分によって電圧を制御したときに偏光面が回転するか保持されるかが決定される。例えば電圧を印加しない場合に偏光面が保持されるとすると、図中○状態で示す光がそのまま反射することとなる。一方電圧を印加すれば偏光面が回転して反射するため、反射光は偏光子74によって遮蔽される。従って画素に加える電圧を制御して入射光を選択することができる。ここで任意数の画素を反射状態とすれば任意の複数のWDM信号光の任意の複数の波長帯を選択することができる。
次に前述した第1〜第7の実施の形態では波長選択器の波長選択素子25としてLCOS素子25Aを用いているが、波長選択素子25としては、LCOS構造ではない2D電極アレイを有する液晶素子25Bを用いることができる。LCOS素子の場合には画素の背面に液晶ドライバが内蔵されているが、2D電極アレイ液晶素子25Bは液晶変調用のドライバ52が素子の外部に装備されており、画素数をLCOS素子のように多くすることは難しくなる。従って図17に示すように、N×Mの入力WDM信号について夫々λ1〜λLのL波長を2次元に展開した数L×N×Mに対応するように、L×M×N構成の画素とすることが好ましい。この場合にはフィルタ形状を変化させることはできないが、1つの入力WDM信号から任意の複数波長帯を選択することができる。この場合は前述した強度変調方式のみを実現することができる。又画素について電圧レベルを変化させることによって透過レベルを変化させることが可能となる。尚、第8の実施の形態に用いた反射型のLCOS素子69Aに代えて、反射型の2D電極アレイを有する液晶素子を用いてもよい。
また第2〜第8の実施の形態では波長選択器にLCOSによる波長選択素子25A又は波長選択素子69Aを用いているが、波長選択器として図18に示すように第1〜第N×Mの入力に対してN×M個の波長ブロッカ20E−1〜20E−(N×M)を用いて波長選択器を構成することもできる。波長ブロッカはWDM信号の任意の波長の信号を透過したりブロックすることができる素子である。又この場合に各波長の信号レベルをパワーモニタによって検出し、出力を制御することによって通過させる帯域の波長のレベルを揃えるようにすることもできる。
本発明は光ネットワークの分岐点に設けられる光ノードの波長選択装置として用いることができる。
1A,1B,1C,1D,1E,1F 波長選択光クロスコネクト装置
10A,10B,10C,40A,40B,40C 経路選択部
11−1〜11−N,41−1〜41−M 経路選択素子
12−1〜12−M,14−1〜14−4 スプリッタ
13−1〜13−N 1×M光スイッチ
20A,20B,20C−1〜20C−4,20D 波長選択器
20E−1〜20E−(N×M) 波長ブロッカ
21−1〜21−N×M,29−1〜29−N×M,64−1〜64−N×M コリメートレンズ
22,24,26,28 レンズ
23,27,67 波長分散素子
25,69 波長選択素子
25A,69A LCOS素子
25B 2D電極アレイ液晶素子
31,33,71 透明電極
32,72 液晶
34,25 偏光子
42−1〜42−M,44−1〜44−4 カップラ
43−1〜43−M N×1光スイッチ
50A,50B,50C,50D,50E コントローラ
73 背面反射電極

Claims (12)

  1. N個の入力方路(Nは2以上の自然数)に夫々波長λ1〜λL(Lは2以上の自然数)の第1〜第Nチャンネルの波長多重光信号が加えられ、夫々の入力の波長多重光信号について任意の複数の波長の信号を選択してM個の出力方路(Mは2以上の自然数)より出力する波長選択光クロスコネクト装置であって、
    1つの入力端子とM個の出力端子を有し、各入力方路に加えられたWDM信号について経路を選択してM個の出力端子より出力する第1群のN個の経路選択素子と、
    前記N個の経路選択素子のN×M個の出力を入力とし、入力された各WDM信号について任意の波長の光信号を選択し、入力数と同一数のWDM信号を出力する波長選択器と、
    N個の入力端子と1つの出力端子を有し、各入力方路に加えられたM個のWDM信号について経路を選択して1つの出力端子より出力する第2群のM個の経路選択素子と、を具備する波長選択光クロスコネクト装置。
  2. 前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力に分岐するN個のスプリッタであり、
    前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力に合成するM個のカップラである請求項1記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  3. 前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力のいずれかに選択的に伝えるN個の1×M光スイッチであり、
    前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力に合成するM個のカップラである請求項1記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  4. 前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力に分岐するN個のスプリッタであり、
    前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力を選択するM個の1×N光スイッチである請求項1記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  5. 前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力のいずれかに選択的に伝えるN個の1×M光スイッチであり、
    前記第2群の経路選択素子は、前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力を入力とし、1つの出力を選択するM個の1×N光スイッチである請求項1記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  6. 前記第1群の夫々の経路選択素子は、光導波路上に縦続接続された分岐路によって出力を選択する導波路素子であり、
    前記第2群の夫々の経路選択素子は、光導波路上に縦続接続された分岐路によって入力を選択する導波路素子である請求項1記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  7. 前記第1群の経路選択素子は、入力されたWDM信号をM個の出力に分岐するN個のスプリッタであり、
    前記波長選択器は、前記第1群の経路選択素子の夫々より得られた入力の波長操作後の出力の少なくとも一部をドロップとして出力するものであり、
    前記第2群の経路選択素子は、夫々その入力の少なくとも一部はアド入力であり、その他の入力は前記第1群の経路選択素子の夫々の出力の1つが前記波長選択器を通過した出力であり、これらを入力とし1つの出力に合成するM個のカップラである請求項1記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  8. 前記波長選択器は、
    y軸にそって配列され、多数の波長の光から成る第1〜第N×M個のWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる第1の波長分散素子と、
    前記第1の分散素子によって分散した各チャンネルのWDM光を平行光とする第1の集光素子と、
    波長に応じてx軸方向に配列され、更にN×M個のWDM光が夫々y軸の異なった位置に配列されてxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の透過特性を切換えることにより任意のWDM信号について任意の波長帯の光を選択する波長選択素子と、
    前記波長選択素子のxy方向に配列された電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の光透過特性を制御する波長選択素子駆動部と、
    前記波長選択素子を透過した各波長の光を集光する第2の集光素子と、
    前記第2の集光素子によって集光された分散光を合成する第2の波長分散素子と、を具備する請求項1〜7のいずれか1項記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  9. 前記波長選択器は、
    y軸にそって配列され、夫々が多数の波長の光から成る第1〜第N×M個のWDM信号光を入射し、各チャンネルについて選択された波長の光信号を出射する複数の入出射部と、
    前記入射部より得られるN×M個のWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる波長分散素子と、
    前記波長分散素子によって分散した各チャンネルのWDM光を2次元のxy平面上に集光する集光素子と、
    波長に応じてx軸方向に配列され、更にN×M個のWDM光が夫々y軸の異なった位置に配列されてxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の反射特性を切換えることにより任意のWDM信号について任意の波長帯の光を選択する波長選択素子と、
    前記波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の光反射特性を制御する波長選択素子駆動部と、を具備する請求項1〜7のいずれか1項記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  10. 前記波長選択素子は、LCOS素子である請求項8又は9記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  11. 前記波長選択素子は、2次元液晶アレイ素子である請求項8又は9記載の波長選択光クロスコネクト装置。
  12. 前記波長選択器は波長ブロッカである請求項1〜7のいずれか1項記載の波長選択光クロスコネクト装置。
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