JP2012026806A - リモートフィールド渦電流探傷装置、及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リモートフィールド渦電流探傷装置10において、被検査体30に直接磁場を付与して渦電流を誘導する励磁コイル31と、前記渦電流から誘導される間接磁場を検知する検出コイル32とを備え、検出コイル32は、その中心軸Qが被検査体の面Sに略直交するように配置され、励磁コイル31及び検出コイル32の間隔W、被検査体の面Sから励磁コイル31の最も離れた点までの距離H、被検査体の厚みTとした場合、W≦(H+2T)×2の関係式を満たすことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
すなわち、被検査体である金属配管等の内側に励磁コイルを設置して直接磁場を発生させる。さらにこの直接磁場が、金属配管の内表面および内部に渦電流を誘起して、管内外面に間接磁場を発生させる。
そして、金属配管にき裂があるとこの間接磁場の強度分布が変化するために、励磁コイルの近傍に設置した検出コイルでその強度分布の変化を検出することにより、き裂の有無を検知することができる(例えば、特許文献1参照)。
しかし、検出コイルが直接磁場の影響を受けないように距離を隔てて配置されれば、検出コイルで検出される間接磁場の強度も低下して、欠陥検出の感度低下を招く課題がある。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、リモートフィールド渦電流探傷装置10(以下、単に「装置10」という)は、被検査体30に直接磁場を付与して渦電流を誘導する励磁コイル31と、前記渦電流から誘導される間接磁場を検知する検出コイル32と、制御部20と、から構成されている。
従って、関係式(1)で表される励磁コイル31及び検出コイル32の間隔Wは、金属配管(被検査体30a)の外径の二倍以下に設定されることになる。
励磁コイル31に交流の設定電流Jが流れると、この励磁コイル31の内部および周辺に交流磁場(直接磁場)が発生する。そして、この交流磁場(直接磁場)により被検査体30の表面および内部に渦電流が誘起され、さらにこの渦電流により二次的な間接磁場が被検査体30の表面と裏面に発生する。
そして、被検査体30にき裂があると間接磁場の流れが変化し、間接磁場の強度分布が変化する。この間接磁場の強度分布変化を検出コイル32で検出することで、き裂の有無を検知することができる。
このために、励磁コイル31及び検出コイル32の間隔Wが、前記した関係式(1)で示されるように互いに近接しているにもかかわらず、検出コイル32は、その直下位置の管内を通過した径方向磁場に対する感度が高いため、直接磁場の影響をまともに受けず間接磁場に対する感度が高い。
そして、自走手段(図示略)により、励磁コイル31及び検出コイル32が、金属配管(被検査体30a)を移動することにより、その表面及び内部に存在するき裂等の欠陥を探知することができる。
そして、制御部20は、オペレータにより情報入力手段21から設定電流Jに係る情報が入力され、出力手段28にき裂等の欠陥の有無に係る解析結果を出力する。
つまり、検出された電気信号Dは、被検査体30に発生する渦電流の複素インピーダンスの変化を表しているため、実数部と虚数部に分解してリサージュを描画することができる。そして、このリサージュを出力手段28に表示して、き裂等の欠陥の有無を判断する。なお、き裂等の欠陥の有無を判断するための解析部27の上述した動作は、例示であって、これに限定されるものではない。
第1実施形態(図1,図2)の装置10aにおいては、励磁コイル31aの中心軸Pと検出コイル32の中心軸Qとが略直交の関係にあるものを例示したが、図3に示すように、第2実施形態の装置10bでは、励磁コイル31bの中心軸Pと検出コイル32の中心軸Qとが略平行の関係にある。なお、図3において図1と同一又は相当する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
従って、関係式(1)で表される励磁コイル31及び検出コイル32の間隔Wは、この励磁コイル31bの高さに金属板(被検査体30b)の厚さの二倍を加えさらに全体を二倍した値以下に設定されることになる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、励磁コイルの中心軸Pが、被検査体の面Sに対して、平行する場合及び直交する場合を例示したが、0〜90°の範囲で傾斜する場合も取り得る。
図4に示すように、第3実施形態の装置10cは、励磁コイル31が、一対の端板34a,34bが支持軸35の両端へ固定され磁性体材料からなるボビン33aに巻回されている。このボビン33aを形成する磁性体材料としては、例えば炭素鋼等が挙げられる。なお、図4において図1と同一又は相当する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
その結果、励磁コイル31及び検出コイル32の間隔Wをさらに狭くして、検出コイル32で検出する間接磁場の強度を増加させることができる。これにより、装置10cにおける欠陥の検出感度の向上に寄与する。
図5に示すように、第4実施形態の装置10dは、検出コイル32が、一対の端板34a,34bが支持軸35の両端へ固定され磁性体材料からなるボビン33bに巻回されている。なお、図5において図4と同一又は相当する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
その結果、検出コイル32で検出する間接磁場の強度を増加させることができる。これにより、装置10cにおける欠陥の検出感度の向上に寄与する。
この場合、第3実施形態及び第4実施形態をそれぞれ単独で実施するよりも、装置10cにおける欠陥の検出感度のさらなる向上が実現される。
そして、実施例◆として、それぞれボビン33に巻回された励磁コイル31及び検出コイル32(第3実施形態と第4実施形態との組み合わせ)を適用している。
また、比較例◇として、励磁コイル31、検出コイル32及び金属配管の中心軸P,Q,Uが平行となるように同軸配置され、それ以外は実施例と同条件であるものを適用している。
ここで、比較例◇の場合、直接磁場の強度の減衰率が励磁コイル31からの間隔Wに大きく依存する一方、間接磁場の強度の減衰率は間隔Wに対する依存性が比較的少ないことが、知られている。
つまり、比較例◇において、直接磁場の影響を排除して金属配管の欠陥検出の精度を確保しようとする場合、励磁コイル31と検出コイル32との間隔Wを少なくとも65mm以上(金属配管の外径の約二倍)離さなければならないことを示している。
この実施例◆の65mm(金属配管の外径の約二倍)以下の範囲においては、検出コイルの設置向きと磁性体材料のボビンによって、上述したように間接磁場に対する感度が高くなっており、間接磁場の方が支配的である。
さらに、被検査体が板状である場合、励磁コイル31が図3に示されるように中心軸Pを被検査体の面Sに略直交するように配置した場合等の、各実施形態に準ずる構成においても、その作用は本実験と同様であり、前記した関係式(1)で示される間隔Wの範囲において同様の結論が得られる。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、共通する技術思想の範囲内において、適宜変形して実施することができる。
Claims (7)
- 被検査体に直接磁場を付与して渦電流を誘導する励磁コイルと、
前記渦電流から誘導される間接磁場を検知する検出コイルと、を備え、
前記検出コイルはその中心軸が前記被検査体の面に略直交するように配置され、
前記励磁コイル及び前記検出コイルの間隔W、前記被検査体の面から前記励磁コイルの最も離れた点までの距離H、被検査体の厚みTとした場合、
W≦(H+2T)×2の関係式を満たすことを特徴とするリモートフィールド渦電流探傷装置。 - 請求項1に記載のリモートフィールド渦電流探傷装置において、
前記励磁コイルの中心軸と前記検出コイルの中心軸とが略直交又は略平行の関係にあることを特徴とするリモートフィールド渦電流探傷装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のリモートフィールド渦電流探傷装置において、
前記励磁コイル及び前記検出コイルのうち少なくとも一方が、
一対の端板が支持軸の両端へ固定され磁性体材料からなるボビンに巻回されていることを特徴とするリモートフィールド渦電流探傷装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリモートフィールド渦電流探傷装置において、
前記励磁コイルに入力する設定電流の周波数を変化させる周波数設定手段を備えることを特徴とするリモートフィールド渦電流探傷装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリモートフィールド渦電流探傷装置において、
前記励磁コイルに入力する設定電流の振幅を変化させる振幅設定手段を備えることを特徴とするリモートフィールド渦電流探傷装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリモートフィールド渦電流探傷装置において、
前記励磁コイルに入力する設定電流に直流電流を重畳させる直流電流設定手段を備えることを特徴とするリモートフィールド渦電流探傷装置。 - 被検査体に直接磁場を付与して渦電流を誘導する励磁コイルと、
前記渦電流から誘導される間接磁場を検知する検出コイルとを、前記被検査体に配置する工程を含み、
前記検出コイルはその中心軸が前記被検査体の面に略直交するように配置され、
前記励磁コイル及び前記検出コイルの間隔W、前記被検査体の面から前記励磁コイルの最も離れた点までの距離H、被検査体の厚みTとした場合、
W≦(H+2T)×2の関係式を満たすことを特徴とするリモートフィールド渦電流探傷方法。
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