JP2012016280A - 電動機駆動システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子を少なくとも2個直列接続したアーム部を、直流電圧部に直接またはダイオードを介してn(n≧2)個並列に接続し、かつ、アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点を出力端子として電動機に接続したシステムにおいて、電動機の回転中にインバータを構成する1個のスイッチング素子にオン信号を与えた後、所定期間にわたり電流通流が開始しなければ、当該スイッチング素子またはその駆動回路等の関連装置、電動機、もしくは電動機とインバータとの間のケーブルの故障と判定する。
【選択図】図2
Description
インバータ10は、電解コンデンサ等からなる直流電圧部11に、還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子(ここではIGBT)を2個直列接続してなるアーム部を三相分並列に接続して構成されている。図において、Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzはスイッチング素子、Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dzは還流ダイオードである。
このような電動機駆動システムは例えば特許文献1等に記載されており、その構成及び制御方法は公知であって広く実用化されているため、これらの説明は省略する。
図10の構成では、電動機駆動システムの停止状態において、インバータ10の全スイッチング素子に対してこれらをオフにするための信号(オフ信号)が制御装置(図示せず)から与えられている。
界磁付き電動機Mを発電機として用いる場合、図示するように直流電圧部11の電圧を阻止する極性でダイオード12を挿入することにより、スイッチング素子群に短絡故障が生じても上記ダイオード12の作用によって直流電圧部11の電圧が維持されるという特徴がある。なお、この構成は、本件出願時において未だ出願公開されていない特願2004−158548に開示されている。
特に、この状態ではスイッチング素子が短絡故障しているため制御不能であり、電動機Mが外力によって回されている限り大電流は流れ続けてしまう。
そこで本発明の解決課題は、スイッチング素子、電動機内部またはインバータと電動機とを接続するケーブル等における故障を速やかに検出すると共に、故障検出時にはシステムを安全に停止させるようにした電動機駆動システムを提供することにある。
還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子を少なくとも2個直列接続してなるアーム部を、直流電圧部に直接またはダイオードを介してn個並列に接続し、かつ、前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点を出力端子として電動機に接続してなる電動機駆動システムにおいて、
電動機の回転中にインバータを構成する1個のスイッチング素子にオン信号を与えた後、所定期間にわたり電流通流が開始しなければ、当該スイッチング素子またはその駆動回路等の関連装置、電動機、もしくは電動機とインバータとの間のケーブルの故障と判定するものである。
断線検出のためのスイッチング素子の操作を、電動機の回転子位置を検出するためのスイッチング素子の操作と兼用させるものである。
還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子を少なくとも2個直列接続してなるアーム部を、直流電圧部に直接またはダイオードを介してn個並列に接続し、かつ、前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点を出力端子として電動機に接続してなる電動機駆動システムにおいて、
電動機の回転中にインバータを構成する1個のスイッチング素子にオン信号を与えた後、電動機の電流の通流開始を検出したら当該スイッチング素子をオフし、
電動機駆動システムが正常な状態において、前記電動機の電流が流れた相の情報に基づいて特定可能なスイッチング素子であって、オン信号を与えても直ちに電流が通流しないはずのスイッチング素子にオン信号を与えた際に、
電動機に電流が直ちに通流する場合には、電動機、または電動機とインバータとの間のケーブルの地絡と判定するものである。
この電動機の回転速度に同期したn相電圧を前記電動機に印加する電源装置と、
この電源から出力される前記n相電圧の指令値を生成する制御装置と、を備えた電動機駆動システムにおいて、
前記電動機の各相電流波形の相違またはこれに起因する前記制御装置の内部変数の持続的な変動のうち少なくとも一方に基づいて、前記電動機の異常を判定するものである。
各相電流波形の特徴量の差または前記内部変数の変動量が所定値を超えた時に、前記電動機を異常と判定するものである。
この電動機の回転速度に同期したn相電圧を前記電動機に印加する電源装置と、
この電源から出力される前記n相電圧の指令値を生成する制御装置と、を備えた電動機駆動システムにおいて、
前記制御装置は、
前記電動機の複数相の電流検出値から前記電動機の回転速度に同期した2軸電流検出値を生成する手段と、
2軸電流指令値と前記2軸電流検出値との偏差に基づいて2軸電圧指令値を生成する調節手段と、
前記2軸電圧指令値に基づいて前記電源に与える前記n相電圧の指令値を生成する手段と、を備え、
前記調節手段に設けられた積分要素または低域通過フィルタの出力、もしくはこれらの出力を含む前記調節手段の出力が所定値を超えた時に前記電動機の異常と判定するものである。
更に、請求項4〜6に記載した発明によれば、電動機内部のコイルの短絡や減磁等の異常を一層確実に検出することができる。
まず、図1は本発明の参考形態を示す構成図である。図1において、インバータ31を構成する三相各相(U,V,W相)のうちU相、W相の交流出力線30u,30wには、電流検出器CTu,CTwがそれぞれ接続されており、これらの電流検出器CTu,CTwの出力はスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzをオンオフ制御するための制御装置20に入力されている。
なお、インバータ31の他の構成は図10と同一であるが、図11に示したように直流電圧部11の電圧を阻止する極性でダイオード(以下、直流部ダイオードという)を挿入しても良い。
界磁付き電動機Mは、例えば永久磁石同期電動機である。
ただし、電動機Mの回転速度が高く、従って誘起電圧が高い場合、誘起電圧の線間ピーク値が直流電圧部11の電圧よりも高ければ、上アームの還流ダイオードも順バイアスされることになり、全スイッチング素子が正常であっても電流が流れる。しかし、その場合の電流は上記短絡電流よりも格段に小さいこと、また、図示していない回転子の位置情報または速度センサの速度情報、あるいは流れる電流の周波数情報から、無負荷誘起電圧が直流電圧部11の電圧よりも高くなるほど回転子の回転速度が高いか否かを判断できることから、スイッチング素子の故障によって電流が流れている場合と、電動機Mの回転速度が高いことに起因して電流が流れている場合とは明確に区別可能である。
電動機Mやケーブルの故障としては、図1を用いて説明した短絡故障以外に断線がある。界磁付き電動機Mの断線は、電動機Mが回転している場合には、インバータの複数のスイッチング素子のうち1個にオン信号を与え、所定期間を経過しても電流通流が開始しないことをもって検出可能である。
このことを、図2、図3を用いて説明する。図2は三相界磁付き電動機Mのインバータによる駆動システムの主回路構成を示している。また、図3は、上記電動機Mが一定速度で回転している場合の三相誘起電圧波形を示している。
このことは逆に、電気角が120゜変化する期間を超えてスイッチング素子のオン信号を与えても電流通流が開始しなければ、当該相において断線が生じているか、あるいは当該スイッチング素子がオンしていないと判定できることを示している。
また、このような断線判定動作を起動時に複数相について実施することにより、運転開始前に確実に断線を検出することも可能である。
上述した断線検出のためのスイッチング素子の操作は、先願である特願2004−306890「交流電動機用電力変換装置」に記載されたフリーラン起動技術と多くの共通性がある。
システムが正常であり、電動機の回転速度が一定と見なせる場合、例えばU相の下アームのスイッチング素子をオンすることにより電流無通流の状態から電流通流開始を検出した時には、電流通流がU相及びV相(すなわちW相電流はゼロのまま)である場合には、誘起電圧の大小関係が次のようになったことが分かる。
・誘起電圧の大小関係:V相<U相<W相
電流通流前はU相の誘起電圧euが最低だったのであるから、図3から次のことが分かる。
・誘起電圧の電気角は150゜を通過し、誘起電圧の相順はU−V−Wである。
一方、電流通流開始を検出した時に電流通流がU相及びW相(すなわちV相電流はゼロのまま)である場合には、同じように誘起電圧の電気角が通過した角度(=210°)と、相順がU−W−Vであることが分かる。
誘起電圧の相順は回転方向と一対一に対応するため、これによって回転方向を判別することができ、前者(相順がU−V−W)の場合は正転、後者(相順がU−W−V)の場合は逆転であることが判明する。
例えば、前述のように相順がU−V−Wと判明したならば、通流開始検出後にU相下アームのスイッチング素子をオフしてV相下アームのスイッチング素子をオンしても、図3より、電気角が150゜〜270°の期間はV相誘起電圧evが最小であるため、電流は直ちには通流しない。この状態で、やがて電気角が270゜を超えて通流開始を検出したら、同様にV相下アームのスイッチング素子をオフし、W相下アームのスイッチング素子をオンする、という操作を繰り返すことができる。
上述したようなスイッチング素子の操作により、電動機Mやケーブルの地絡を検出することもできる。
すなわち、図3を引用して説明したように、システムが正常な状態において、ある相(例えばU相)の下アームのスイッチング素子をオンし、電流無通流状態から電流通流開始を検出した場合には、次にオン信号を与えても電流が直ちに通流しないスイッチング素子(例えばV相下アームのスイッチング素子)を特定できることを説明した。
一方、電動機Mやケーブルが地絡している場合には、システムが正常であれば直ちに電流通流しないはずのスイッチング素子(上記の例ではV相下アームのスイッチング素子)をオンすると地絡電流が通流する。従って、この現象を利用すれば、電動機Mの内部、またはインバータと電動機Mとの間のケーブルの地絡と判定することが可能である。
図4はこの実施形態の全体構成を示すもので、三相の界磁付き電動機Mは電源装置300に接続されている。この電源装置300は、電動機Mの回転子位置及び速度に応じて適切な振幅及び周波数の電圧を電動機Mに印加するように構成されており、電動機Mに印加するべき電圧は制御装置200によって指令される。
ここで、例えば、電源装置300は図1におけるインバータ31の主回路を含み、また、制御装置200は図1における制御装置20と同等のものである。
しかし、コイルの短絡が電動機端子から遠い部分で発生した場合には、電源装置300の線間から見たインピーダンスは比較的大きくなるため、過電流や脱調が生じずにそのまま電動機Mの運転が継続される可能性がある。この場合、コイルの短絡が生じているため、界磁付き電動機Mの誘起電圧によって過大な電流が電動機内部の短絡ループに還流し、コイルが加熱、焼損する危険性がある。
通常、三相の誘起電圧波形は電気角で120°ずつ位相差のある同一の波形となる。しかし、電動機内部のコイルの任意箇所にて短絡が生じるとこの関係が崩れ、三相の誘起電圧波形が同一にならなくなる。一方、電動機に電圧を印加する電源装置は、電動機の三相の誘起電圧波形が120°位相差の同一波形であるという前提で動作するため、各相毎に誘起電圧波形が異なる場合には、各相の電流波形に相違が発生する。
図5において、電動機Mの電流は電流検出器CTw,CTuによって検出される。なお、全相の電流の合計がゼロとなることを利用して二相分の電流のみを検出する構成を示してあるが、本質的には全相の電流値が検出される。この点は、図1においても同様である。
電流調節器202は、各軸の電流検出値が電流指令値にそれぞれ一致するようにd軸,q軸電圧指令値を出力し、これらのd軸,q軸電圧指令値は、電圧座標変換器203によって三相電圧指令値に変換される。電源装置300は、上記三相電圧指令値に従って電動機Mに印加する三相電圧を出力する。なお、電源装置300としては、例えば三相PWMインバータが用いられる。また、電流座標変換器201及び電圧座標変換器203における座標変換のために、回転子位置検出器MSによる位置検出値が用いられる。
従って、この各相電流波形の相違、あるいはこれに起因する制御装置の内部変数の継続的な変動(この場合にはd軸,q軸電流の振動)について、例えば各相電流波形の特徴量としての振幅の差や内部変数の変動量について予め異常判定レベルを設けておき、前記振幅の差や変動量がそれぞれの異常判定レベルを超過することをもって電動機の異常を検出することができる。ここで、異常判定には、各相電流波形の相違、あるいはこれに起因する制御装置の内部変数の継続的な変動の両方を用いてもよいが、少なくとも一方を用いれば足りる。
なお、d軸,q軸電流の振動は、誘起電圧の周波数すなわち回転子の回転速度に同期しているため、この特徴を利用して更に精度良く電動機の異常を判定することも可能である。
図7は、センサレス駆動方式の一例を示しており、図4,図5における回転子位置検出器MSを除去した具体例に相当する。
なお、位置ずれ推定値には振動は発生するものの直流成分が重畳していないため、位置ずれが拡大して脱調に至らない可能性があること、及び、誘起電圧の変化による過電流が発生していないことから、脱調や過電流のみに着目していては異常を検出することができず、運転が継続されてしまうおそれがある。言い換えれば、本実施形態のように各相電流波形の相違や制御系の内部変数の変動に基づいて異常判定を行う着想の有効性が明らかである。
図5または図7に示した制御系において、回転子位置が正しく検出または推定され、かつ電源装置300が指令値通りの電圧を出力する場合、制御系は電流調節器202の出力であるd軸,q軸電圧指令値が電動機Mの2軸モデルに直結されるモデルにより考察することができる。図9はこれを表したものである。
また、電流調節器202としては代表的な構成例を示してあり、この電流調節器202は、d軸,q軸電流検出値の各指令値に対する偏差をPI調節器に入力するフィードバック制御を行う。ただし、これに加えて誘起電圧成分ωΨ’、及び、d軸,q軸間の相互作用である電機子反作用項ωLIを補償するフィードフォワードが設けられている。なお、フィードフォワードとしては、これ以外にもコイルの抵抗による電圧降下を補償するRI項を追加することもある。ただし、その影響が小さい場合にはこれを設けない場合も多い。このようなフィードフォワードが設けられている場合、定常状態における電動機Mの2軸電圧はほぼフィードフォワードによって決定され、PI調節器は様々な誤差要因に起因する成分を補正的に出力するのみとなる。誤差のない理想状態では、PI調節器の出力は定常状態においてゼロとなる。
Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz:還流ダイオード
M:界磁付き電動機
MM:電動機2軸モデル
MS:回転子位置検出器
CTu,CTw:電流検出器
11:直流電圧部
20:制御装置
30u,30w:交流出力線
31:インバータ
200,210:制御装置
201:電流座標変換器
202:電流調節器
203:電圧座標変換器
204:位置ずれ推定器
205:反転器
206:PI調節器
207:積分器
300:電源装置
Claims (6)
- 界磁付きn相(nは2以上の整数)電動機をn相インバータにより駆動する電動機駆動システムであって、
還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子を少なくとも2個直列接続してなるアーム部を、直流電圧部に直接またはダイオードを介してn個並列に接続し、かつ、前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点を出力端子として電動機に接続してなる電動機駆動システムにおいて、
電動機の回転中にインバータを構成する1個のスイッチング素子にオン信号を与えた後、所定期間にわたり電流通流が開始しなければ、当該スイッチング素子またはその駆動回路等の関連装置、電動機、もしくは電動機とインバータとの間のケーブルの故障と判定することを特徴とする電動機駆動システム。 - 請求項1に記載した電動機駆動システムにおいて、
断線検出のためのスイッチング素子の操作を、電動機の回転子位置を検出するためのスイッチング素子の操作と兼用させることを特徴とする電動機駆動システム。 - 界磁付きn相(nは2以上の整数)電動機をn相インバータにより駆動する電動機駆動システムであって、
還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子を少なくとも2個直列接続してなるアーム部を、直流電圧部に直接またはダイオードを介してn個並列に接続し、かつ、前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点を出力端子として電動機に接続してなる電動機駆動システムにおいて、
電動機の回転中にインバータを構成する1個のスイッチング素子にオン信号を与えた後、電動機の電流の通流開始を検出したら当該スイッチング素子をオフし、
電動機駆動システムが正常な状態において、前記電動機の電流が流れた相の情報に基づいて特定可能なスイッチング素子であって、オン信号を与えても直ちに電流が通流しないはずのスイッチング素子にオン信号を与えた際に、
電動機に電流が直ちに通流する場合には、電動機、または電動機とインバータとの間のケーブルの地絡と判定することを特徴とする電動機駆動システム。 - 界磁付きn相(nは2以上の整数)電動機と、
この電動機の回転速度に同期したn相電圧を前記電動機に印加する電源装置と、
この電源から出力される前記n相電圧の指令値を生成する制御装置と、
を備えた電動機駆動システムにおいて、
前記電動機の各相電流波形の相違またはこれに起因する前記制御装置の内部変数の持続的な変動のうち少なくとも一方に基づいて、前記電動機の異常を判定することを特徴とする電動機駆動システム。 - 請求項4に記載した電動機駆動システムにおいて、
各相電流波形の特徴量の差または前記内部変数の変動量が所定値を超えた時に、前記電動機を異常と判定することを特徴とする電動機駆動システム。 - 界磁付きn相(nは2以上の整数)電動機と、
この電動機の回転速度に同期したn相電圧を前記電動機に印加する電源装置と、
この電源から出力される前記n相電圧の指令値を生成する制御装置と、
を備えた電動機駆動システムにおいて、
前記制御装置は、
前記電動機の複数相の電流検出値から前記電動機の回転速度に同期した2軸電流検出値を生成する手段と、
2軸電流指令値と前記2軸電流検出値との偏差に基づいて2軸電圧指令値を生成する調節手段と、
前記2軸電圧指令値に基づいて前記電源に与える前記n相電圧の指令値を生成する手段と、
を備え、
前記調節手段に設けられた積分要素または低域通過フィルタの出力、もしくはこれらの出力を含む前記調節手段の出力が所定値を超えた時に前記電動機の異常と判定することを特徴とする電動機駆動システム。
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