JP2012013637A - エンジン制御パラメータの適合方法及び適合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの制御パラメータを適合する際に用いるエンジン特性モデルの精度向上(制御パラメータの適合値の精度向上)と工数削減とを両立させる。
【解決手段】適合対象となる制御パラメータに対する物理パラメータを選択する(101)。適合対象となる制御パラメータがVCT進角値であれば、それに対する物理パラメータとして、筒内EGR率、筒内流速、吸気温度、ポンピングロス、吸気管圧力、実圧縮比の中から選択し、適合対象となる制御パラメータが噴射時期であれば、それに対する物理パラメータとして、噴霧移動距離、霧化時間、蒸発燃料量、噴射時筒内流速の中から選択する。次に、制御パラメータと物理パラメータとの関係を計測データにより算出し(102)、制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を生じさせる制御パラメータの値を算出して(103)、制御パラメータの実験計画範囲を決定する(104)。
【選択図】図3
【解決手段】適合対象となる制御パラメータに対する物理パラメータを選択する(101)。適合対象となる制御パラメータがVCT進角値であれば、それに対する物理パラメータとして、筒内EGR率、筒内流速、吸気温度、ポンピングロス、吸気管圧力、実圧縮比の中から選択し、適合対象となる制御パラメータが噴射時期であれば、それに対する物理パラメータとして、噴霧移動距離、霧化時間、蒸発燃料量、噴射時筒内流速の中から選択する。次に、制御パラメータと物理パラメータとの関係を計測データにより算出し(102)、制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を生じさせる制御パラメータの値を算出して(103)、制御パラメータの実験計画範囲を決定する(104)。
【選択図】図3
Description
本発明は、エンジン特性モデルを用いてエンジンの制御パラメータの適合値をエンジンの要求性能が満たれるように決定するエンジン制御パラメータの適合方法及び適合装置に関する発明である。
近年の高性能エンジンは、出力向上、排気エミッション低減、燃費節減等を実現するために、可変バルブタイミング機構やEGRシステム等の様々な機能を搭載しているため、適合すべき制御パラメータが噴射時期や点火時期のみではなく、バルブタイミングやEGR率等も適合する必要があり、適合すべき制御パラメータの数が増加して、制御パラメータの適合作業が非常に面倒なものとなってきている。
そこで、特許文献1(特開2002−206456号公報)や、特許文献2(特開2005−42656号公報)に記載されているように、計測対象となるエンジンの制御パラメータを変化させて所定数の計測点でエンジン特性値(物理パラメータ)を計測して、その計測結果に基づいて各制御パラメータとエンジン特性値との関係をモデル化してエンジン特性モデルを作成し、このエンジン特性モデルを用いて制御パラメータの適合値を算出するようにしたものがある。
しかし、上記特許文献1,2の技術では、エンジンの制御パラメータを変化させる計測点が安定燃焼領域内に配置されるとは限らず、燃焼悪化領域に配置される可能性があり、燃焼悪化領域では、失火や燃焼不安定になったり、異常燃焼によってエンジンが損傷する可能性がある。燃焼悪化領域に計測点が配置されると、当該計測点の計測精度が悪化したり、計測不能となるため、エンジン特性モデルの精度が悪化して、当該エンジン特性モデルを用いて算出する制御パラメータの適合値の精度も悪化する。
そこで、特許文献3(特開2004−263680号公報)に記載されているように、エンジン特性の計測データに基づいてエンジンの制御パラメータと着火遅れ・燃焼期間との関係と、着火遅れ・燃焼期間と燃焼安定性との関係をモデル化して失火推定モデルを作成し、この失火推定モデルを用いて失火領域を推定した後、推定した失火領域を除いた燃焼可能領域内に必要数の計測点を配置するようにしたものがある。
しかし、上記特許文献3の技術では、失火推定モデルを作成するのに、エンジン特性モデルを作成するのとほぼ同様の工程が必要となるため、制御パラメータの適合工数が増加して、工数削減の要求を満たすことができない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、エンジン特性モデルの精度向上(制御パラメータの適合値の精度向上)と工数削減とを両立できるエンジン制御パラメータの適合方法及び適合装置を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、エンジンの制御パラメータを変化させて当該制御パラメータの変化に応じて変化する物理量(以下「物理パラメータ」という)を所定数の計測点で計測し、前記所定数の計測点での計測結果に基づいて前記制御パラメータと前記物理パラメータとの関係をモデル化してエンジン特性モデルを作成し、前記エンジン特性モデルを用いて前記制御パラメータの適合値を前記エンジンの要求性能が満たされるように決定するエンジン制御パラメータの適合方法において、前記制御パラメータを変化させる計測点を配置する実験計画範囲を燃焼に寄与する物理パラメータで設定するようにしたものである。
従来技術では、制御パラメータの実験計画範囲を当該制御パラメータで設定するようにしていたが、制御パラメータは、エンジンを動作させる際の指令値であり、実際の燃焼との関係が複雑である。しかも、燃焼の結果によって得られる物理パラメータの計測値は、ばらつきが大きく、制御パラメータとの関係を正確に定義するには多くの計測工数が必要となる。
これに対し、本発明では、制御パラメータの実験計画範囲を燃焼に寄与する物理パラメータで設定するようにしている。燃焼に寄与する物理パラメータは、燃焼状態を表す指標となるため、燃焼に寄与する物理パラメータを用いて実験計画範囲を設定すれば、比較的少ない計測工数で、実験計画範囲を安定燃焼領域内に精度良く設定することが可能となる。また、制御パラメータは、変化する物理パラメータが共通のものがあるため、変化する物理パラメータが共通の複数の制御パラメータを同時に変化させた場合、制御パラメータの実験計画範囲も複合的に変化することがあるが、複数の制御パラメータに対して共通の物理パラメータを用いて実験計画範囲を設定すれば、比較的少ない計測工数で、複合的な実験計画範囲も安定燃焼領域内に精度良く設定することが可能となる。これにより、エンジン特性モデルの精度向上(制御パラメータの適合値の精度向上)と工数削減とを両立させることができる。
この場合、請求項2のように、制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界(安定燃焼領域の限界)を越えないように決定するようにすれば良い。これにより、計測点が安定燃焼限界を越えた領域に配置されることを確実に防止でき、全ての計測点で物理パラメータを精度良く計測することができる。
また、請求項3のように、単一の制御パラメータを変化させて当該単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を求め、複数の制御パラメータを同時に変化させる場合の実験計画範囲を前記単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を用いて設定するようにしても良い。このようにすれば、全ての制御パラメータの組み合わせを計測する必要がなくなり、適合工数を更に削減できる。また、物理パラメータで実験計画範囲の境界を設定することで、複数の制御パラメータを同時に変化させる場合でも、実験計画範囲の境界のラインが単調な傾向となり、少ない計測点数でも実験計画範囲の境界を精度良く予測することができる。
また、請求項4のように、複数の制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界を越えないように決定する際に、いずれかの制御パラメータの可動範囲の限界でも前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えない場合は、当該制御パラメータを可動範囲の限界に固定した状態で他の制御パラメータを前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えるまで変化させて前記複数の制御パラメータの実験計画範囲を設定するようにしても良い。このようにすれば、単一の制御パラメータをその可動範囲の限界まで変化させても物理パラメータが安定燃焼限界を越えない場合に、他の制御パラメータを変化させて物理パラメータが安定燃焼限界を越える計測点を探索することが可能となり、実験計画範囲を安定燃焼限界まで拡大することができる。
また、請求項5のように、制御パラメータの適合値を決定する際にエンジン特性モデルと制御パラメータの実験計画範囲を考慮して当該制御パラメータの適合値を決定するようにしても良い。このようにすれば、例えば、エンジンの機差やばらつきを考慮して実験計画範囲の境界から所定の余裕度を持たせた範囲で制御パラメータの適合値を決定することが可能となり、適合値の精度やロバスト性を高めることができる。
また、請求項6のように、代表運転条件での計測結果に基づいて当該代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定すると共に、運転条件の変化による物理パラメータの変化を予測し、前記代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲と前記運転条件の変化による物理パラメータの変化の予測結果に基づいて他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定するようにしても良い。このようにすれば、代表運転条件でのみ物理パラメータを計測すれば良く、計測工数を削減できる。また、運転条件の変化による物理パラメータの変化を予測するため、危険性のある運転条件での安定燃焼限界を実機で探索する必要がなくなると共に、計測精度にとらわれることなく、他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定することができる。
尚、請求項7は、請求項1に記載の適合方法の発明と実質的に同一の技術思想を適合装置の発明として記載したものである。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した6つの実施例1〜6を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図7に基づいて説明する。
まず、適合システムの構成を図1に基づいて説明する。
適合するエンジン11(内燃機関)をベンチ12上に取り付け、このエンジン11のクランク軸を動力計13に連結する。適合作業中は、エンジン11に装着された後述する各種のアクチュエータを電子制御ユニット(ECU)14によって制御する。この電子制御ユニット14は、通信ボックス16を介して適合制御用コンピュータ17に接続され、適合作業中は、この適合制御用コンピュータ17から通信ボックス16を介して電子制御ユニット14に適合制御信号を送信することで、電子制御ユニット14内の各制御パラメータのマップ定数等を変更する。適合作業中のエンジン11のスロットル開度は、スロットルコントロール装置15によって調整される。
まず、適合システムの構成を図1に基づいて説明する。
適合するエンジン11(内燃機関)をベンチ12上に取り付け、このエンジン11のクランク軸を動力計13に連結する。適合作業中は、エンジン11に装着された後述する各種のアクチュエータを電子制御ユニット(ECU)14によって制御する。この電子制御ユニット14は、通信ボックス16を介して適合制御用コンピュータ17に接続され、適合作業中は、この適合制御用コンピュータ17から通信ボックス16を介して電子制御ユニット14に適合制御信号を送信することで、電子制御ユニット14内の各制御パラメータのマップ定数等を変更する。適合作業中のエンジン11のスロットル開度は、スロットルコントロール装置15によって調整される。
適合作業中は、動力計制御盤18によって動力計13とスロットルコントロール装置15を制御してエンジン負荷を制御すると共に、動力計13で計測したエンジントルクを適合制御用コンピュータ17に送信する。エンジン11には、クーラント(冷却水)の温度を調整するクーラント温度調整装置19と、エンジンオイルの温度を調整するオイル温度調整装置20と、燃料の温度を調整する燃費計測機能付きの燃料温度調整装置21を接続し、適合作業中は、これら各温度調整装置21によってクーラント温度、エンジンオイル温度、燃料温度が一定条件に自動調整される。適合作業中にエンジン11から排出される排出ガスは、排出ガス分析計22で分析され、排出ガス中のNOx、CO、HC等のエミッションの測定結果が適合制御用コンピュータ17に送信される。
この適合システムで適合可能なエンジン11は、吸気ポート噴射エンジン、直噴エンジン、ディーゼルエンジン等のいずれの方式でも良い。適合対象となる制御パラメータは、例えば、燃料噴射弁23の噴射時期、点火プラグ24の点火時期、モータ等で駆動されるスロットルバルブ25の開度(スロットル開度)、スワールコントロールバルブ26の開度(SCV開度)、吸気バルブ及び排気バルブの可変バルブタイミング機構27の進角値(VCT進角値)、排気環流制御バルブ28の開度(EGR開度)等である。
制御パラメータを適合する場合は、後述する方法で決定した制御パラメータの実験計画範囲内に所定数の計測点を配置して、当該制御パラメータを各計測点に変化させて、各計測点で当該制御パラメータの変化に応じて変化する物理量(以下「物理パラメータ」という)を計測し、その計測結果に基づいて前記制御パラメータと前記物理パラメータとの関係をモデル化してエンジン特性モデルを作成し、前記エンジン特性モデルを用いて制御パラメータの適合値をエンジン11の要求性能が満たされるように決定する。
従来の適合方法では、制御パラメータの実験計画範囲(計測点配置範囲)を当該制御パラメータで設定するようにしていたが、制御パラメータは、エンジン11を動作させる際の指令値であり、実際の燃焼との関係が複雑である。しかも、燃焼の結果によって得られる物理パラメータの計測値(例えば図示平均有効圧IMEPの標準偏差、トルク変動等)は、ばらつきが大きく、制御パラメータとの関係を正確に定義するには多くの計測工数が必要となる。
そこで、本実施例1では、制御パラメータの実験計画範囲を燃焼に寄与する物理パラメータで設定するようにしている。燃焼に寄与する物理パラメータは、燃焼状態を表す指標となるため、燃焼に寄与する物理パラメータを用いて実験計画範囲を設定すれば、比較的少ない計測工数で、実験計画範囲を安定燃焼領域内に精度良く設定することが可能となる。また、制御パラメータは、それにより変化する物理パラメータが共通のものがあるため、変化する物理パラメータが共通の複数の制御パラメータを同時に変化させた場合、制御パラメータの実験計画範囲も複合的に変化することがあるが、実験計画範囲を物理パラメータにて設定すれば、比較的少ない計測工数で、複合的な実験計画範囲も安定燃焼領域内に精度良く設定することが可能となる。これにより、エンジン特性モデルの精度向上(制御パラメータの適合値の精度向上)と工数削減とを両立させることができる。
ここで、制御パラメータがEGR開度の場合は、それにより変化する物理パラメータは筒内EGR率、吸気管圧力等である。
制御パラメータがVCT進角値の場合は、それにより変化する物理パラメータは、筒内EGR率、筒内流速、吸気温度、ポンピングロス、吸気管圧力、実圧縮比等である。
制御パラメータが噴射時期の場合は、それにより変化する物理パラメータは、噴霧移動距離、霧化時間、蒸発燃料量(割合)、噴射時筒内流速等である。
制御パラメータがVCT進角値の場合は、それにより変化する物理パラメータは、筒内EGR率、筒内流速、吸気温度、ポンピングロス、吸気管圧力、実圧縮比等である。
制御パラメータが噴射時期の場合は、それにより変化する物理パラメータは、噴霧移動距離、霧化時間、蒸発燃料量(割合)、噴射時筒内流速等である。
本実施例1では、制御パラメータと物理パラメータとの関係をシミュレーション又は実機で求め、物理パラメータで実験計画範囲を設定する。例えば、筒内EGR率が所定%以下又は筒内流速が所定m/s以上等である。
或は、複数の物理パラメータのAND(論理積)をとっても良い。例えば、筒内EGR率が所定%以下且つ筒内流速が所定m/s以上となる範囲を、VCT進角値の実験計画範囲としても良い。
また、EGRと可変バルブタイミング機構27(VCT)は、排気ガスを筒内に戻して内部EGR率を変化させる役割を持つため、この2つの制御パラメータは、相互相関し、EGRによる外部EGR率とVCTによる内部EGR率とを合計した筒内EGR率により、設定すべき実験計画範囲も変化する。そこで、シミュレーションによりEGRとVCTを変化させた場合に筒内に導入されるEGR量を算出し、同一の筒内EGR率以下となる範囲を実験計画範囲とする。
尚、実験計画法で所定数の計測点を予め広い範囲に配置し、物理パラメータが判定閾値を越える計測点を、計測前に排除すると共に、排除した計測点を物理パラメータが判定閾値以下となる実験計画範囲内に再配置するようにしても良い。
また、設定した実験計画範囲内に配置したいずれかの計測点で計測した物理パラメータが判定閾値を越える場合は、当該実験計画範囲を修正して、物理パラメータが判定閾値を越えた計測点を修正後の実験計画範囲内に再配置するようにしても良い。
実験計画法で物理パラメータを配置する際に、物理パラメータの特性を考慮して物理パラメータを配置するようにしても良い。
実験計画法で物理パラメータを配置する際に、物理パラメータの特性を考慮して物理パラメータを配置するようにしても良い。
本実施例1の実験計画範囲の設定は、図3の実験計画範囲設定プログラム(実験計画範囲設定手段)に従って次の手順で行われる。
まず、ステップ101で、適合対象となる制御パラメータに対する物理パラメータを選択する。
まず、ステップ101で、適合対象となる制御パラメータに対する物理パラメータを選択する。
例えば、適合対象となる制御パラメータがEGR開度であれば、それに対する物理パラメータとして、筒内EGR率と吸気管圧力のいずれかを選択する(図4の例では筒内EGR率を選択している)。
適合対象となる制御パラメータがVCT進角値であれば、それに対する物理パラメータとして、筒内EGR率、筒内流速、吸気温度、ポンピングロス、吸気管圧力、実圧縮比の中から選択する(図5の例では筒内EGR率を選択している)。
適合対象となる制御パラメータが噴射時期であれば、それに対する物理パラメータとして、噴霧移動距離、霧化時間、蒸発燃料量(割合)、噴射時筒内流速の中から選択する(図6の例では蒸発燃料量を選択している)。
図7に示すように、EGR開度とVCT進角値を同時に変化させる場合は、両者に共通する物理パラメータとして、筒内EGR率と吸気管圧力のいずれかを選択すれば良い(図7の例では筒内EGR率を選択している)。
次のステップ102で、制御パラメータと物理パラメータとの関係(図4〜図7の実線)をシミュレーション又は実機で求めた計測データにより算出する。この後、ステップ103に進み、制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を生じさせる制御パラメータの値を算出して、次のステップ104で、制御パラメータの実験計画範囲を決定する。
以上のようにして決定した制御パラメータの実験計画範囲内に所定数の計測点を配置して、当該制御パラメータを各計測点に変化させて、各計測点で物理パラメータを計測し、その計測結果に基づいて制御パラメータと物理パラメータとの関係をモデル化してエンジン特性モデルを作成し、このエンジン特性モデルを用いて制御パラメータの適合値をエンジン11の要求性能が満たされるように決定する。
以上説明した本実施例1によれば、制御パラメータの実験計画範囲を燃焼状態を表す指標となる物理パラメータで設定するようにしたので、比較的少ない計測工数で、実験計画範囲を安定燃焼領域内に精度良く設定することが可能となる。また、制御パラメータは、変化する物理パラメータが共通のものがあるため、変化する物理パラメータが共通の複数の制御パラメータを同時に変化させた場合、制御パラメータの実験計画範囲も複合的に変化することがあるが、複数の制御パラメータに対して共通の物理パラメータを用いて実験計画範囲を設定すれば、比較的少ない計測工数で、複合的な実験計画範囲も安定燃焼領域内に精度良く設定することが可能となる。これにより、エンジン特性モデルの精度向上(制御パラメータの適合値の精度向上)と工数削減とを両立させることができる。
次に、図8乃至図10を用いて本発明の実施例2を説明する。
本実施例2では、制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界(安定燃焼領域の限界)を越えないように決定する。ここで、安定燃焼限界は、燃焼安定指標によって判断する。燃焼安定指標としては、例えばCOV(図示平均有効圧IMEPの標準偏差)、トルク変動、点火プラグ近傍当量比等を用いれば良い。これらの燃焼安定指標を用いることで、安定燃焼限界を精度良く判定することができる。
本実施例2では、制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界(安定燃焼領域の限界)を越えないように決定する。ここで、安定燃焼限界は、燃焼安定指標によって判断する。燃焼安定指標としては、例えばCOV(図示平均有効圧IMEPの標準偏差)、トルク変動、点火プラグ近傍当量比等を用いれば良い。これらの燃焼安定指標を用いることで、安定燃焼限界を精度良く判定することができる。
燃焼悪化領域では、失火や燃焼不安定になったり、異常燃焼によってエンジンが損傷する可能性があるため、計測点が安定燃焼限界を越えて燃焼悪化領域に配置されると、当該計測点の計測精度が悪化したり、計測不能となる。
安定燃焼限界を定める物理パラメータの判定閾値は、エンジン機種や製品の仕様により変化することがあるため、適合対象システム毎に物理パラメータと燃焼安定指標との関係を求めて、この関係から物理パラメータの判定閾値を求めるようにしても良い。
適合対象システムの制御パラメータと燃焼安定指標との関係は、実機又はシミュレーションで求めれば良い。この関係を実機で求める場合は、図9に示すように、制御パラメータを変化させたときの物理パラメータ(例えば筒内EGR率)と燃焼安定指標(例えばトルク変動)を計測し、計測した2つのデータの関係を求め、燃焼安定指標が安定燃焼限界を越える物理パラメータの値を判定閾値として決定すれば良い。
判定閾値の決定後、図10に示すように、制御パラメータ(例えばEGR開度)と物理パラメータ(例えば筒内EGR率)との関係において、物理パラメータが図9の判定閾値以下となる範囲を実験計画範囲とすれば良い。これにより、実験計画範囲を安定燃焼領域内に設定することができる。
本実施例2の実験計画範囲の設定は、図8の実験計画範囲設定プログラムに従って次の手順で行われる。まず、ステップ201で、前記実施例1と同様の方法で、適合対象となる制御パラメータに対する物理パラメータを選択し、次のステップ202で、選択した物理パラメータに対する燃焼安定指標を、COV、トルク変動、点火プラグ近傍当量比等の中から選択する。
次のステップ203で、制御パラメータに対する物理パラメータと燃焼安定指標をシミュレーション又は実機により算出又は計測する。この後、ステップ204で、物理パラメータと燃焼安定指標との関係から、燃焼安定指標が安定燃焼限界を越える物理パラメータの値を判定閾値として決定する。
この後、ステップ205で、制御パラメータと物理パラメータとの関係から、物理パラメータが判定閾値となる制御パラメータの値を実験計画範囲の境界値として算出し、次のステップ206で、制御パラメータの実験計画範囲を決定する。
以上説明した本実施例2によれば、制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界(安定燃焼領域の限界)を越えないように決定することができるため、計測点が安定燃焼限界を越えた領域に配置されることを確実に防止でき、全ての計測点で物理パラメータを精度良く計測することができる。
次に、図11乃至図15を用いて本発明の実施例3を説明する。
本実施例3では、単一の制御パラメータを変化させて当該単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を実機又はシミュレーションにより求め、複数の制御パラメータを同時に変化させる場合の実験計画範囲を前記単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を用いて設定する。このようにすれば、実機又はシミュレーションにより全ての制御パラメータの組み合わせを計測する必要がなくなり、適合工数を更に削減できる。
本実施例3では、単一の制御パラメータを変化させて当該単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を実機又はシミュレーションにより求め、複数の制御パラメータを同時に変化させる場合の実験計画範囲を前記単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を用いて設定する。このようにすれば、実機又はシミュレーションにより全ての制御パラメータの組み合わせを計測する必要がなくなり、適合工数を更に削減できる。
また、物理パラメータで実験計画範囲の境界を設定することで、複数の制御パラメータを同時に変化させる場合でも、実験計画範囲の境界のラインが単調な傾向となり、少ない計測点数でも実験計画範囲の境界を精度良く予測することができる。
例えば、EGR開度と噴射時期を同時に変化させる場合は、まず、図12に示すように、EGR開度と筒内EGR率との関係を実機又はシミュレーションにより求めると共に、図13に示すように、噴射時期と噴霧移動距離(燃料噴射弁23の噴射燃料が燃焼するまでに移動する距離)との関係を実機又はシミュレーションにより計測又は算出する。
計測又は算出した2つの物理パラメータに相関関係がある場合は、重み付け、加減乗算等により、1つの評価関数を作成し、相関関係が無い場合には、独立した評価関数を作成する。
図12、図13の例では、計測又は算出した2つの物理パラメータは、筒内EGR率と噴霧移動距離であり、相関関係があるため、2つの物理パラメータを変数とする1つの評価関数を作成する。
評価関数=a×筒内EGR率+b×噴霧移動距離
上式において、a,bは係数である。この評価関数は、大きな値になるほど、燃焼安定性が低下することを意味する。
評価関数=a×筒内EGR率+b×噴霧移動距離
上式において、a,bは係数である。この評価関数は、大きな値になるほど、燃焼安定性が低下することを意味する。
上式のように、評価関数を、2つの物理パラメータ(筒内EGR率と噴霧移動距離)を変数とする一次式で定義する場合は、図14に示すように、評価関数が同一の値になるラインが直線となる。評価関数の値は、燃焼安定指標となるため、評価関数の値が所定の閾値以下になる範囲を安定燃焼領域と判断し、評価関数の値が所定の閾値(安定燃焼限界)となる物理パラメータ(筒内EGR率と噴霧移動距離)を用いて、評価関数の値が所定の閾値となる制御パラメータ(EGR開度と噴射時期)を、図12と図13の関係から算出し、図15に示すように、評価関数の値が所定の閾値以下となる制御パラメータ(EGR開度と噴射時期)の実験計画範囲を設定する。これにより、実験計画範囲を安定燃焼領域内に設定することができる。
本実施例3の実験計画範囲の設定は、図11の実験計画範囲設定プログラムに従って次の手順で行われる。まず、ステップ301で、前記実施例1と同様の方法で、適合対象となる制御パラメータに対する物理パラメータを選択し、次のステップ302で、単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係をシミュレーション又は実機により算出又は計測する処理を、適合する制御パラメータの数だけ繰り返す。
この後、ステップ303で、相関関係がある物理パラメータを用いて評価関数の値を算出する。次のステップ304で、評価関数の値が所定の閾値(安定燃焼限界)となる制御パラメータの値を実験計画範囲の境界値として算出し、次のステップ305で、制御パラメータの実験計画範囲を決定する。
次に、図16乃至図20を用いて本発明の実施例4を説明する。
本実施例4では、複数の制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界を越えないように決定する際に、いずれかの制御パラメータの可動範囲の限界(可動限界)でも前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えない場合は、当該制御パラメータを可動限界に固定した状態で他の制御パラメータを前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えるまで変化させて前記複数の制御パラメータの実験計画範囲を設定する。このようにすれば、単一の制御パラメータをその可動限界まで変化させても物理パラメータが安定燃焼限界を越えない場合に、他の制御パラメータを変化させて物理パラメータが安定燃焼限界を越える計測点を探索することができ、実験計画範囲を安定燃焼限界まで拡大することができる。また、単独で可動範囲内を変化させても燃焼安定性に大きな影響を与えない制御パラメータを考慮した実験計画範囲を精度良く設定できる。
本実施例4では、複数の制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界を越えないように決定する際に、いずれかの制御パラメータの可動範囲の限界(可動限界)でも前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えない場合は、当該制御パラメータを可動限界に固定した状態で他の制御パラメータを前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えるまで変化させて前記複数の制御パラメータの実験計画範囲を設定する。このようにすれば、単一の制御パラメータをその可動限界まで変化させても物理パラメータが安定燃焼限界を越えない場合に、他の制御パラメータを変化させて物理パラメータが安定燃焼限界を越える計測点を探索することができ、実験計画範囲を安定燃焼限界まで拡大することができる。また、単独で可動範囲内を変化させても燃焼安定性に大きな影響を与えない制御パラメータを考慮した実験計画範囲を精度良く設定できる。
例えば、VCT進角値とEGR開度の実験計画範囲を設定する方法を図17乃至図20を用いて説明する。図17及び図18に示すように、VCT進角値を可動限界まで変化させても、物理パラメータである筒内EGR率は、安定燃焼限界に相当する判定閾値を越えない。
そこで、図19に示すように、VCT進角値を可動限界に固定した状態で、他の制御パラメータであるEGR開度を所定のインクリメント量ずつ変化させ(以下この処理を「インクリメント」という)、物理パラメータである筒内EGR率をシミュレーション又は実機により算出又は計測する処理を、筒内EGR率が安定燃焼限界に相当する判定閾値を越えるまで繰り返す。尚、VCT進角値を変化させて求める物理パラメータと、筒内EGR率を変化させて求める物理パラメータは、異なっても良い。
EGR開度のインクリメント量の算出方法は、安定燃焼限界(判定閾値)に相当する物理パラメータの値を整数で割り算した値をEGR開度の変化量に換算して得られた値をインクリメント量とすれば良い。
本実施例4の実験計画範囲の設定は、図16の実験計画範囲設定プログラムに従って次の手順で行われる。まず、ステップ401で、前記実施例1と同様の方法で、適合対象となる制御パラメータAに対する物理パラメータを選択し、次のステップ402で、選択した物理パラメータに対する燃焼安定指標を、COV、トルク変動、点火プラグ近傍当量比等の中から選択する。
次のステップ403で、制御パラメータAに対する物理パラメータと燃焼安定指標をシミュレーション又は実機により算出又は計測する。この後、ステップ404で、物理パラメータと燃焼安定指標との関係から、燃焼安定指標が安定燃焼限界に達する物理パラメータの値を判定閾値として決定する。
この後、ステップ405で、物理パラメータが判定閾値を越えたか否かを判定し、物理パラメータが判定閾値を越えていなければ、ステップ409に進み、制御パラメータAと相関の強い制御パラメータBを選択する。次のステップ410で、制御パラメータBに対する物理パラメータと燃焼安定指標をシミュレーション又は実機により算出又は計測する。この後、ステップ411で、物理パラメータと燃焼安定指標との関係から、燃焼安定指標が安定燃焼限界に達する物理パラメータの値を判定閾値として決定する。
この後、ステップ412で、安定燃焼限界(判定閾値)に相当する物理パラメータの値を整数で割り算した値を制御パラメータBの変化量に換算して得られた値をインクリメント量とする。次のステップ413で、制御パラメータAを可動限界に固定した状態で、制御パラメータBをインクリメント量だけ変化させて物理パラメータを算出又は計測する。
この後、ステップ414で、物理パラメータが判定閾値を越えたか否かを判定し、物理パラメータが判定閾値を越えていなければ、ステップ413に戻る。これにより、物理パラメータが判定閾値を越えるまで、制御パラメータBをインクリメント量ずつ変化させて物理パラメータを算出又は計測する処理を繰り返す。
その後、上記ステップ414又は405で、物理パラメータが判定閾値を越えたと判定された時点で、ステップ406に進み、制御パラメータと物理パラメータとの関係から、物理パラメータが判定閾値となる制御パラメータの値を実験計画範囲の境界値として算出し、次のステップ407で、制御パラメータの実験計画範囲を決定する(図20参照)。
次に、図21を用いて本発明の実施例5を説明する。
本実施例5では、制御パラメータの適合値を決定する際に、エンジン特性モデルと制御パラメータの実験計画範囲を考慮して当該制御パラメータの適合値を決定する。このようにすれば、例えば、製品機差やばらつきを考慮して実験計画範囲の境界から所定の余裕度を持たせた適合範囲で制御パラメータの適合値を決定することが可能となり、適合値の精度やロバスト性を高めることができる。
本実施例5では、制御パラメータの適合値を決定する際に、エンジン特性モデルと制御パラメータの実験計画範囲を考慮して当該制御パラメータの適合値を決定する。このようにすれば、例えば、製品機差やばらつきを考慮して実験計画範囲の境界から所定の余裕度を持たせた適合範囲で制御パラメータの適合値を決定することが可能となり、適合値の精度やロバスト性を高めることができる。
次に、図22乃至図24を用いて本発明の実施例5を説明する。
本実施例6では、代表運転条件での計測結果に基づいて当該代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定すると共に、運転条件の変化による物理パラメータの変化を予測し、前記代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲と前記運転条件の変化による物理パラメータの変化の予測結果に基づいて他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定する。このようにすれば、代表運転条件でのみ物理パラメータを計測すれば良く、計測工数を削減できる。また、運転条件の変化による物理パラメータの変化を予測するため、危険性のある運転条件での安定燃焼限界を実機で探索する必要がなくなると共に、計測精度にとらわれることなく、他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定することができる。
本実施例6では、代表運転条件での計測結果に基づいて当該代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定すると共に、運転条件の変化による物理パラメータの変化を予測し、前記代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲と前記運転条件の変化による物理パラメータの変化の予測結果に基づいて他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定する。このようにすれば、代表運転条件でのみ物理パラメータを計測すれば良く、計測工数を削減できる。また、運転条件の変化による物理パラメータの変化を予測するため、危険性のある運転条件での安定燃焼限界を実機で探索する必要がなくなると共に、計測精度にとらわれることなく、他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定することができる。
具体的には、まず、代表運転条件で制御パラメータと物理パラメータとの関係をシミュレーション又は実機により算出又は計測して、例えば、前記実施例3と同様の方法で、代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲[図24(b)の斜線部分]を設定する。図24の例では、制御パラメータの実験計画範囲は、評価関数1と評価関数2とで囲まれた領域となるが、代表運転条件では評価関数2は全運転領域を許容するようになっているため、代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲は、評価関数1で囲まれた領域となる。
次に、図22に示すように、負荷が変化したときの制御パラメータと物理パラメータとの関係を予測して、負荷変化時の制御パラメータの実験計画範囲[図24(c)の斜線部分]を予測する。負荷変化時には、評価関数2は全運転領域を許容するため、負荷変化時の制御パラメータの実験計画範囲は、評価関数1で囲まれた領域となる。
更に、図23に示すように、エンジン回転速度が変化したときの制御パラメータと物理パラメータとの関係を予測して、図24(d)に示す回転変化時の制御パラメータの実験計画範囲[図24(d)の斜線部分]を予測する。回転変化時の制御パラメータの実験計画範囲は、評価関数1と評価関数2とで囲まれた領域となる。
この後、代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲(評価関数1)と運転条件の変化による物理パラメータの変化の予測結果に基づいて他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定する。
本発明は、上記各実施例1〜6に限定されず、適合対象となる制御パラメータと、当該制御パラメータの変化に応じて変化する物理パラメータを適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
11…エンジン、14…電子制御ユニット(ECU)、17…適合制御用コンピュータ(実験計画範囲設定手段)
Claims (7)
- 計測対象となるエンジンの制御パラメータを変化させて当該制御パラメータの変化に応じて変化する物理量(以下「物理パラメータ」という)を所定数の計測点で計測し、前記所定数の計測点での計測結果に基づいて前記制御パラメータと前記物理パラメータとの関係をモデル化してエンジン特性モデルを作成し、前記エンジン特性モデルを用いて前記制御パラメータの適合値を前記エンジンの要求性能が満たされるように決定するエンジン制御パラメータの適合方法において、
前記制御パラメータを変化させる計測点を配置する実験計画範囲を燃焼に寄与する物理パラメータで設定することを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 請求項1に記載のエンジン制御パラメータの適合方法において、
前記制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界を越えないように決定することを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 請求項1に記載のエンジン制御パラメータの適合方法において、
単一の制御パラメータを変化させて当該単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を求め、複数の制御パラメータを同時に変化させる場合の実験計画範囲を前記単一の制御パラメータと物理パラメータとの関係を用いて設定することを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 請求項2に記載のエンジン制御パラメータの適合方法において、
複数の制御パラメータの実験計画範囲の境界を定める物理パラメータの判定閾値を当該物理パラメータが安定燃焼限界を越えないように決定する際に、いずれかの制御パラメータの可動範囲の限界でも前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えない場合は、当該制御パラメータを可動範囲の限界に固定した状態で他の制御パラメータを前記物理パラメータが前記安定燃焼限界を越えるまで変化させて前記複数の制御パラメータの実験計画範囲を設定することを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 請求項1に記載のエンジン制御パラメータの適合方法において、
前記制御パラメータの適合値を決定する際に前記エンジン特性モデルと前記制御パラメータの実験計画範囲を考慮して当該制御パラメータの適合値を決定することを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 請求項1に記載のエンジン制御パラメータの適合方法において、
代表運転条件での計測結果に基づいて当該代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定すると共に、運転条件の変化による物理パラメータの変化を予測し、前記代表運転条件での制御パラメータの実験計画範囲と前記運転条件の変化による物理パラメータの変化の予測結果に基づいて他の運転条件での制御パラメータの実験計画範囲を設定することを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 計測対象となるエンジンの制御パラメータを変化させて当該制御パラメータの変化に応じて変化する物理量(以下「物理パラメータ」という)を所定数の計測点で計測し、前記所定数の計測点での計測結果に基づいて前記制御パラメータと前記物理パラメータとの関係をモデル化してエンジン特性モデルを作成し、前記エンジン特性モデルを用いて前記制御パラメータの適合値を前記エンジンの要求性能が満たされるように決定するエンジン制御パラメータの適合装置において、
前記制御パラメータを変化させる計測点を配置する実験計画範囲を燃焼に寄与する物理パラメータで設定する実験計画範囲設定手段を備えていることを特徴とするエンジン制御パラメータの適合装置。
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