以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.構成>
図1は、本実施の形態の表示システム100の構成の概要を示すブロック図である。この表示システム100は、自動車などの車両に搭載される車載表示システムであり、ドライバなどのユーザに対して各種の情報を表示する。表示システム100は、主な機能としてオーディオ機能とナビゲーション機能とを有しており、オーディオ機能で再生する映像やナビゲーション用の地図画像などの各種情報を表示可能となっている。
図1に示すように、表示システム100は、システム全体を統括する本体部10と、各種情報を表示するディスプレイ3と、各種音声を出力するスピーカ4と、ユーザが操作を行う操作部5とを備えている。
操作部5は、メインコントローラ50とモード切替ボタン59とを含んでいる。メインコントローラ50は、表示システム100に各種の指示を行う際に、ユーザが主に操作するものである。一方、モード切替ボタン59は、表示システム100の表示モードを切り替えるためのボタンである。表示システム100の表示モードには、オーディオ機能に係る情報を表示するオーディオモードと、ナビゲーション機能に係る情報を表示するナビゲーションモードとがある。
ディスプレイ3、スピーカ4及び操作部5は、本体部10とケーブルを介して電気的に接続される。このため、ディスプレイ3及びスピーカ4は本体部10の制御下で動作するとともに、操作部5へのユーザの操作内容は信号として本体部10に入力される。
本体部10は、表示システム100の全体を統括する装置であり、車両の所定の位置に配置される。本体部10は、放送信号を受信する放送受信部21と、ディスクを再生するディスク再生部22と、デジタル形式の音声データ(音楽データ)を再生するデータ再生部23と、ナビゲーション機能を提供するナビゲーション部24とを備えている。
放送受信部21は、AM、FM等のラジオ放送や地上デジタルテレビ放送などの放送信号を受信するアンテナを備えており、受信した放送信号に基づく音声信号や映像信号を取得する。放送受信部21で取得された音声信号はスピーカ4から出力され、映像信号はディスプレイ3に表示される。
ディスク再生部22は、CD、DVD及びBD(Blu-ray Disc)などのディスクメディアの記録内容を読み取って、音声信号や映像信号を取得する。ディスク再生部22で取得された音声信号はスピーカ4から出力され、映像信号はディスプレイ3に表示される。
データ再生部23は、ハードディスクを備えており、ハードディスクに予め記憶されたMP3などのデジタル形式の音声データを読み取ってデコードし、再生可能な音声信号を取得する。ディスク再生部22で取得された音声信号はスピーカ4から出力される。
ナビゲーション部24は、車両の現在位置に応じた地図画像をディスプレイ3に表示させるとともに、目的地が設定された場合は目的地までのルート案内を行う。ナビゲーション部24はGPSを備えており、GPSで車両の現在位置を取得する。ルートを含む地図画像はディスプレイ3に表示され、ルート案内用の音声はスピーカ4から出力される。
さらに、本体部10は、システム全体を制御する制御部1を備えている。制御部1は、例えば、CPU11、RAM12、ROM13及び不揮発性メモリ14などを備えたコンピュータである。制御部1の各種の機能は、ROM13に予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことで実現される。図中に示す、指示受付部11a、指示実行部11b、位置判定部11c、及び、方向反転部11dは、このようにして実現される制御部1の機能のうちの一部を示している。
指示受付部11aは、操作部5への操作内容に基づいてユーザの指示を受け付ける。また、指示実行部11bは、指示受付部11aが受け付けたユーザの指示を実行する。
操作部5においては、複数の種類の操作を行うことが可能となっており、各操作には表示システム100に対する指示が割り当てられている。指示受付部11aは、操作部5へのユーザの操作内容を示す信号を入力し、当該操作に割り当てられたユーザの指示を受け付けることになる。
また、表示システム100では、ユーザインタフェースとしてGUI(Graphical User Interface)が採用されている。ユーザから指示を受け付ける場合には、それぞれ選択肢となる複数の項目を含むリストが指示受付部11aの制御によりディスプレイ3の画面に表示される。これら複数の項目にはそれぞれ、表示システム100に対する指示が割り当てられる。ユーザは、この画面を確認しながら、操作部5を操作して、カーソル(フォーカス)を所望の項目に移動させ、カーソルのある項目の選択を確定する。これにより、複数の項目のうちから一の項目がユーザに選択される。指示受付部11aは、ユーザに選択された項目に割り当てられた指示を受け付ける。このようにして指示受付部11aが受け付けた指示は、指示実行部11bにより実行される。
表示システム100では、ユーザが選択することにより表示システム100に実行させることが可能な多数のコマンドが存在している。これらのコマンドは階層構造に分類され、階層構造のいずれかの階層の項目(選択肢)に含まれている。指示受付部11aは、表示対象とする階層を切り替えつつ階層ごとに項目をユーザに選択させることで、階層構造のいずれかの階層の項目に含まれるコマンドのうちから一のコマンドの選択をユーザから受け付けるようになっている。
位置判定部11cは、表示システム100が搭載される車両におけるハンドル(ステアリングホイール)の位置、すなわち、該車両が右ハンドル車か左ハンドル車かを判定する。本体部10は、表示システム100とは別に車両に設けられる外部装置8からの信号を制御部1に入力する外部入力部25を備えている。ステアリング制御装置やボディ制御装置などの外部装置8から車両のハンドルの位置を示すハンドル信号が送出され、このハンドル信号は外部入力部25を介して制御部1に入力される。位置判定部11cは、このハンドル信号に基づいて車両のハンドルの位置を判定する。
また、方向反転部11dは、位置判定部11cの判定結果に基づいて、選択肢となる複数の項目を含むリストをスクロールさせる方向を変更する(詳細は後述)。
ディスプレイ3、スピーカ4及び操作部5は、本体部10とは独立して、車室内におけるそれぞれに適した位置に配置される。図2は、表示システム100を右ハンドル車に搭載した場合における、ディスプレイ3、スピーカ4及び操作部5の配置の一例を示す図である。
図2に示すように、ディスプレイ3は、視認するドライバの視線の移動量が少なくなるように、インストルメントパネル91の左右中央で、フロントガラス90に近接した位置に配置される。スピーカ4は、このディスプレイ3に近接して配置される。
また、操作部5は、ユーザが操作しやすいようにディスプレイ3から独立して、ディスプレイ3から離間した位置に配置される。具体的には、操作部5は、運転席95と助手席96との間に設けられるセンターコンソール93に配置される。センターコンソール93にはシフトレバー94が設けられており、このシフトレバー94に近接して操作部5が配置されている。
メインコントローラ50はシフトレバー94よりも後方に配置され、メインコントローラ50の周辺にモード切替ボタン59が設けられる。図2に示す車両は右ハンドル車であるため、運転席95に着座するドライバは、運転中においてハンドル92を操作しながら、必要に応じてシフトレバー94を左手で操作する。操作部5は、このシフトレバー94に近接して配置されるため、ドライバはドライビングポジションのまま左手で操作部5を操作することが可能である。
操作部5のメインコントローラ50は、回転操作、押圧操作(プッシュ操作)及び方向操作(スライド操作)のすべてをユーザから受け付け可能な一つの操作部材を備えている。ユーザは、回転操作、押圧操作及び方向操作のすべてをメインコントローラ50に対して片手のみで行うことが可能である。
図3は、メインコントローラ50の外観を示す斜視図である。図に示すように、メインコントローラ50は、略円柱形状をしており、ユーザがその全体を片手で覆って把持できる程度の大きさとされている。
メインコントローラ50は、図中の矢印AR1で示す方向に回転する回転操作を受け付け可能である。この回転操作がなされると、回転操作がなされたこと、及び、その回転方向(左方向、及び、右方向)を示す信号が制御部1に入力される。このような信号を出力するデバイスとしてロータリーエンコーダを採用することができる。
また、メインコントローラ50は、図中の矢印AR2で示す方向にプッシュする押圧操作を受け付けることが可能である。この押圧操作がなされると、押圧操作がなされたことを示す信号が制御部1に入力される。このような信号を出力する機能は、例えば押圧操作によって移動したメインコントローラ50の一部で押圧される押圧スイッチを採用することにより実現できる。
さらに、メインコントローラ50は、図中の矢印AR3で示す4方向にスライドする方向操作を受け付けることが可能である。この方向操作がなされると、方向操作がなされたこと、及び、その方向操作によって示された方向(スライドされた方向)を示す信号が制御部1に入力される。このような信号を出力する機能は、例えば方向操作によって移動したメインコントローラ50の一部で押圧される複数の押圧スイッチを採用することで実現できる。押圧スイッチは、方向操作によって示すことが可能な4方向にそれぞれ配置される。
<1−2.コマンドの選択>
表示システム100のユーザは、メインコントローラ50を操作することで、所望のコマンドを選択し、選択したコマンドを表示システム100に実行させることが可能である。ユーザがコマンドを選択する場合には、まず、メインコントローラ50で押圧操作を行う。これにより、メインコントローラ50から、押圧操作がなされたことを示す信号が制御部1に入力される。この信号に応答して制御部1は、図4に示すように、ディスプレイ3の状態を、地図画像などを表示する通常状態(状態ST10)から、コマンドをユーザに選択させるための選択画面を表示するコマンド受付状態(状態ST11)に移行させる。このコマンド受付状態で、ユーザはメインコントローラ50を操作して所望のコマンドを選択することができる。
前述のように、表示システム100で実行可能なコマンドは、コマンドツリーと呼ばれる階層構造に分類されている。図5は、コマンドツリーCTの概要を示す図である。
図に示すように、コマンドツリーCTの最上位は、「メニュー」階層H0となっている。この「メニュー」階層H0は、コマンドツリーCTのルート階層であるともいえ、コマンド受付状態への移行後に最初に表示対象とされる。
「メニュー」階層H0は、3つの下位階層(「ナビ」階層H1、「オーディオ」階層H2、「設定」階層H3)を有している。そして、それら3つの下位階層H1〜H3のそれぞれは、さらに下位階層を有している。コマンドツリーCTにおいては、このように上位階層が下位階層を有する構造が入れ子状に順次に繰り返される。
コマンドツリーCTの各階層には、ユーザが選択可能な複数の項目(選択肢)が属している。各階層に属する項目は、当該階層を表示対象とした場合にディスプレイ3に表示される。このような各階層の項目には、下位階層に対応する項目、及び、コマンドに対応する項目が含まれている。例えば、図5に示す「ナビ」階層H1には、「目的地設定」「施設表示」「音量設定」「案内中止」及び「地点登録」の5つの項目が属している。これらのうち「目的地設定」「施設表示」及び「音量設定」は下位階層に対応する項目であり、「案内中止」及び「地点登録」はコマンドに対応する項目である。表示システム100で実行可能なコマンドは、このようにしてコマンドツリーCTのいずれかの階層の項目に含まれることになる。
下位階層に対応する項目には、その下位階層に切り替える指示が割り当てられている。したがって、下位階層に対応する項目がユーザに選択された場合はその指示が実行され、当該項目に対応する下位階層が新たに表示対象とされて、その下位階層に含まれる項目がディスプレイ3に表示される。一方、コマンドに対応する項目がユーザに選択された場合は、当該項目に対応するコマンドが実行されることになる。
ユーザは、表示対象とする階層を切り替えつつ階層ごとに項目を選択することで、このようなコマンドツリーCTのいずれかの階層の項目に含まれるコマンドのうちから所望の一つのコマンドを選択し、当該コマンドを表示システム100に実行させることができる。
例えば、ユーザが、ルート案内の目的地に自宅を設定するためのコマンドを選択する場合を想定する。この場合はまず、ユーザは、ディスプレイ3をコマンド受付状態とした後に、「メニュー」階層H0に属する複数の項目のうちから「ナビ」の項目を選択する。これにより、「ナビ」階層H1が表示対象に切り替えられ、「ナビ」階層H1に属する複数の項目がディスプレイ3に表示される。次にユーザは、「ナビ」階層H1に属する複数の項目のうちから「目的地設定」の項目を選択する。これにより、「目的地設定」階層H11が表示対象に切り替えられ、「目的地設定」階層H11に属する複数の項目がディスプレイ3に表示される。そしてユーザは、「目的地設定」階層H2に属する複数の項目のうちから「自宅」の項目CMを選択することになる。
各階層における項目の選択は、メインコントローラ50を操作することで行うことが可能である。
図4に示すように、コマンド受付状態(状態ST11)で表示される選択画面は、左右方向に左側領域A1、中央領域A2及び右側領域A3の3つの領域に分割されている。また、これら3つの領域A1,A2,A3の上部には、「メニュー」階層H0を基準として表示対象となっている階層の位置(絶対パス)を示す位置表示領域A0が設けられている。
左側領域A1と中央領域A2とは仕切線W1によって区切られ、中央領域A2と右側領域A3とは仕切線W2によって区切られている。2つの仕切線W1,W2は、双方ともに右に凸となる弧状の線(弧線)となっている。このため、これら2つの仕切線W1,W2に挟まれた中央領域A2は、円盤の右側における一部の領域のように擬似的に表現される。
左側領域A1には、表示対象となっている階層の名称が表示される。図4の下部の状態ST11は、コマンド受付状態への移行直後の状態であり、「メニュー」階層H0が表示対象となっている。このため、「メニュー」階層H0を示す「メニュー」が左側領域A1に表示されている。
また、中央領域A2には、表示対象となっている階層に属する複数の項目を選択肢として含むリストLが表示される。そして、表示された複数の項目のうちフォーカスのある一の項目にカーソルCが表示される。図4の下部の状態ST11では、「メニュー」階層H0に属する「ナビ」「オーディオ」「設定」の3つの項目を含むリストLが表示されている。そして、「ナビ」の項目にカーソルCが表示されている。
このようなコマンド受付状態において、ユーザはメインコントローラ50で回転操作を行うことで、カーソルCを他の項目に移動させることができる。メインコントローラ50で回転操作を行った場合には、この回転操作に応答して、指示実行部11bが、複数の項目を含むリストLを上下方向にスクロールさせる表示制御を実行する。このようなリストLのスクロールがなされた場合でも、カーソルCは中央領域A2の上下中央に維持される。このため、複数の項目に対してカーソルCが相対的に移動することになる。
具体的には、メインコントローラ50で左方向の回転操作(以下、「左回転操作」という。)を行った場合は、リストLが上方向へスクロール(スクロールアップ)する。このため、カーソルCは一つ下の項目に移動する。例えば、図6の上部の状態ST11で左回転操作を行えば、リストLの各項目が上側に移動して、図6の下部の状態ST12となる。図6の上部の状態ST11では「ナビ」の項目にカーソルCがあるが、図6の下部の状態ST12では「ナビ」の項目の一つ下の「オーディオ」の項目にカーソルCがある。
また、逆に、メインコントローラ50で右方向への回転操作(以下、「右回転操作」という。)を行った場合は、リストLが下方向へスクロール(スクロールダウン)する。このため、カーソルCは一つ上の項目に移動する。例えば、図6の下部の状態ST12で右回転操作を行えば、リストLの各項目が下側に移動して、図6の上部の状態ST11となる。
中央領域A2に表示されるリストLの各項目は、その左端部が弧線である仕切線W1の形状に沿うように配置される。また、前述のように中央領域A2は、円盤の右側における一部の領域のように擬似的に表現される。このため、ユーザは、中央領域A2に表示されたリストLが円盤の右側に配置されているという感覚を覚えることになる。したがって、略円柱形状のメインコントローラ50で左回転操作すればリストLを上方向へスクロールでき、メインコントローラ50で右回転操作すればリストLを下方向へスクロールできるということをユーザは直感的に把握できることになる。
また、コマンド受付状態において、ユーザはメインコントローラ50で押圧操作を行うことで、カーソルCのある項目の選択を確定することができる。この押圧操作がなされると、選択された項目(確定操作があった時点においてカーソルCがあった項目)に割り当てられた指示が指示受付部11aに受け付けられ、指示実行部11bにより当該指示が実行される。
前述のように、選択された項目がコマンドに対応する場合は、当該コマンドが実行される。一方、選択された項目が下位階層に対応する項目の場合は、項目に対応する下位階層に表示対象とする階層が切り替えられ、その下位階層に属する複数の項目を含むリストLがディスプレイ3に新たに表示される。例えば、図7の上部の状態ST11で押圧操作を行った場合は、「ナビ」の項目の選択が確定される。「ナビ」の項目は下位階層である「ナビ」階層H1(図5参照。)に対応する項目であるため、「ナビ」階層H1が表示対象に切り替えられる。これにより、図7の下部の状態ST13のように、「ナビ」階層H1に属する複数の項目を含むリストLがディスプレイ3に表示される。
また、コマンド受付状態において、ユーザはメインコントローラ50で左方向を示す方向操作を行うことで、表示対象とする階層を一つ上位の階層へ切り替えることができる。例えば、図7の下部の状態ST13で左方向を示す方向操作を行った場合は、表示対象とする階層が、「ナビ」階層H1からその一つ上位の「メニュー」階層H0に切り替えられる(図5参照。)。これにより、図7の上部の状態ST11のように、「メニュー」階層H0に属する複数の項目を含むリストLがディスプレイ3に表示される。
ユーザは、これらの操作を組み合わせることで、表示対象とする階層を切り替えながら階層ごとに項目(選択肢)を選択し、表示システム100が実行すべき一つのコマンドを選択することができる。また、ユーザは、押圧操作、及び、左方向を示す方向操作を組み合わせることによって、表示対象とする階層を、下位階層のみならず、上位階層へも切り替えることが可能である。このため、ユーザは、ある階層において項目の選択を誤った場合であっても、当該階層に戻って項目の選択をやり直すことが可能となっている。
<1−3.左ハンドル車への搭載>
上記では、表示システム100を右ハンドル車に搭載した場合を想定して説明したが、表示システム100は左ハンドル車に搭載することも可能である。図8は、表示システム100を左ハンドル車に搭載した場合における、ディスプレイ3、スピーカ4及び操作部5の配置の一例を示す図である。
左ハンドル車の場合においても、ディスプレイ3は、インストルメントパネル91の左右中央でフロントガラス90に近接した位置に配置される。そして、操作部5は、ユーザが操作しやすいようにディスプレイ3から独立して、ディスプレイ3から離間した位置に配置される。具体的には、操作部5は、運転席95と助手席96との間に設けられるセンターコンソール93において、シフトレバー94に近接して配置される。したがって、運転席95に着座するドライバは、右手で操作部5を操作することになる。
上述したように、右ハンドル車の場合はドライバは左手で操作部5を操作することになる。これに対して、左ハンドル車の場合はドライバは右手で操作部5を操作することになる。したがって、右ハンドル車の場合と左ハンドル車の場合とで、ドライバが操作部5を操作する手が逆となっている。
上記の図6で示した回転操作を行った場合のリストLをスクロールさせる方向(以下、単に「スクロール方向」という。)は、右ハンドル車において操作部5を左手で操作することを想定して設定されたものである。このため、左ハンドル車において操作部5を右手で操作する場合においてスクロール方向を図6に示すものと同一とすると、ユーザが回転操作を行った場合に自分の感覚と合致しない方向にリストLがスクロールすると感じる可能性が高い。このため、表示システム100では、左ハンドル車に搭載された場合は、右ハンドル車に搭載された場合と比較してスクロール方向を反転させるようになっている。
図9は、表示システム100が左ハンドル車に搭載された場合におけるスクロール方向を示す図である。左ハンドル車の場合においては、メインコントローラ50で左回転操作を行った場合は、リストLが下方向へスクロールする。このため、カーソルCは一つ上の項目に移動する。例えば、図9の下部の状態ST22で左回転操作を行えば、リストLの各項目が下側に移動して、図9の上部の状態ST21となる。
また、逆に、メインコントローラ50で右回転操作を行った場合は、リストLが上方向へスクロールする。このため、カーソルCは一つ下の項目に移動する。例えば、図9の上部の状態ST21で右回転操作を行えば、リストLの各項目が上側に移動して、図9の下部の状態ST22となる。
このように左ハンドル車の場合は、左回転操作に応答してリストLが下方向へスクロールされ、右回転操作に応答してリストLが上方向へスクロールされる。これに対して、右ハンドル車の場合は、左回転操作に応答してリストLが上方向へスクロールされ、右回転操作に応答してリストLが下方向へスクロールされる(図6参照。)。このように、左ハンドル車の場合は、右ハンドル車の場合と比較してスクロール方向が反転される。これにより、表示システム100が左ハンドル車に搭載された場合であっても、ユーザが回転操作を行ったときにユーザの感覚と合致する方向にリストLをスクロールさせることができることになる。
また、図6と図9とを比較して分かるように、左ハンドルの場合においてスクロール方向が反転されたときには、ディスプレイ3において仕切線W1,W2の形状も反転される。具体的には、図6に示す右ハンドルの場合においては仕切線W1,W2は右に凸となる形状であるが、図9に示す左ハンドルの場合においては仕切線W1,W2は左に凸となる形状となっている。このため、左ハンドルの場合においては、中央領域A2は、円盤の左側における一部の領域のように擬似的に表現される。また、図9に示す場合においても、中央領域A2に表示されるリストLの各項目は、その左端部が仕切線W1の形状に沿うように配置される。
このため、図9に示す場合においては、ユーザは、中央領域A2に表示されたリストLが円盤の左側に配置されているという感覚を覚えることになる。したがって、略円柱形状のメインコントローラ50で左回転操作すればリストLを下方向へスクロールでき、メインコントローラ50で右回転操作すればリストLを上方向へスクロールできるということをユーザは直感的に把握できることになる。
<1−4.処理の流れ>
このように表示システム100は、ハンドルの位置に基づいてスクロール方向を変更させるようになっている。ハンドルの位置は、表示システム100の起動時において位置判定部11cにより判定される。図10は、表示システム100の起動時になされる処理の流れを示す図である。
まず、位置判定部11cが、ステアリング制御装置やボディ制御装置などの外部装置8に対して外部入力部25を介して所定の信号を送信し、外部装置8から車両のハンドルの位置を示すハンドル信号を受信する(ステップS11)。
次に、位置判定部11cは、受信したハンドル信号に基づいて、表示システム100が搭載された車両のハンドルの位置を判定する。すなわち、位置判定部11cは、車両が右ハンドル車か左ハンドル車かを判定する(ステップS12)。
車両が右ハンドル車の場合は(ステップS13にてYes)、方向反転部11dは、スクロール方向を反転することが必要か否かを示す内部フラグである反転フラグをオフに設定する(ステップS14)。
一方、車両が左ハンドル車の場合は(ステップS13にてNo)、方向反転部11dは反転フラグをオンに設定する(ステップS15)。この反転フラグは、RAM12などに記憶される。このように反転フラグがオンに設定されると、以降の処理においてリストLに含まれる項目の選択を受け付ける場合のスクロール方向が、デフォルトの方向(図6に示すスクロール方向)に対して反転した方向(図9に示すスクロール方向)とされることになる。
図11は、コマンドツリーCTの各階層において項目の選択を受け付ける表示システム100の処理の流れを示す図である。この処理は、表示対象となる階層が変更されるごとに実行される。
まず、表示対象となる階層に属する複数の項目を含むリストLがディスプレイ3の中央領域A2に表示される(ステップS21)。このとき、反転フラグがオフの場合は、仕切線W1,W2は右に凸となる形状とされる(図6参照。)。一方、反転フラグがオンの場合は、仕切線W1,W2は左に凸となる形状とされる(図9参照。)。
次に、メインコントローラ50に対して押圧操作、左回転操作、及び、右回転操作のいずれかがなされるかが判定される(ステップS22,S23,S24)。
押圧操作がなされた場合は(ステップS22にてYes)、リストLの複数の項目のうちカーソルCのある項目の選択が確定される(ステップS25)。そして、選択された項目に割り当てられた指示を指示受付部11aが受け付け、指示実行部11bがその指示を実行し(ステップS26)、処理が終了する。
また、左回転操作がなされた場合は(ステップS23にてYes)、反転フラグがオンであるか否かが判断される(ステップS27)。反転フラグがオフの場合は、指示実行部11bがリストLを上方向にスクロールさせる(ステップS28)。一方、反転フラグがオンの場合は、指示実行部11bがリストLを下方向にスクロールさせる(ステップS30)。
また、右回転操作がなされた場合も(ステップS24にてYes)、反転フラグがオンであるか否かが判断される(ステップS29)。反転フラグがオフの場合は、指示実行部11bがリストLを下方向にスクロールさせる(ステップS30)。一方、反転フラグがオンの場合は、指示実行部11bがリストLを上方向にスクロールさせることになる(ステップS28)。
以上説明したように表示システム100においては、メインコントローラ50の回転操作に応答して、複数の項目を含むリストLがスクロールされるようになっている。位置判定部11cは、表示システム100が搭載される車両におけるハンドルの位置を判定する。そして、方向反転部11dは、ハンドルの位置に基づいて反転フラグをオンに設定してリストLをスクロールさせる方向を反転させる。すなわち、方向反転部11dは、ハンドルの位置が所定の位置(左ハンドル)であった場合に、スクロールさせる方向を反転させることになる。このため、車両のハンドルの位置を問わず、ユーザの感覚に合致する方向にリストをスクロールさせることができる。
また、ディスプレイ3においては、リストLの複数の項目は弧線である仕切線W1に沿って配置され、スクロール方向が反転された場合は、仕切線W1の形状も反転される。このため、回転操作によってリストLがスクロールする方向をユーザが直感的に把握することができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の表示システム100の構成は、図1に示す第1の実施の形態と同様の構成を採用できる。ただし、第2の実施の形態の表示システム100は、外部入力部25及び位置判定部11cを備えていなくてもよい。第1の実施の形態では、スクロール方向を反転するか否かがハンドルの位置に基づいて決定されていたが、第2の実施の形態ではユーザの設定に基づいて決定されるようになっている。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
図12は、ユーザがスクロール方向に関する設定を行うためのディスプレイ3の画面を示す図である。この画面は、コマンドツリーCTに含まれる所定の階層を表示対象とすることでディスプレイ3に表示される。
図に示すように、中央領域A2には、「通常方向」及び「反転方向」の2つの項目を含むリストLが表示されている。ユーザは、このような画面において、「通常方向」及び「反転方向」の2つの項目のいずれかを選択する。これにより、ユーザはスクロール方向に関する設定の変更を行うことができる。このようなユーザによる設定の変更は、指示受付部11aが受け付けることになる。
ユーザの設定の内容は、反転フラグに反映される。すなわち、「通常方向」の項目がユーザに選択された場合は、方向反転部11dは反転フラグをオフに設定する。一方、「反転方向」の項目がユーザに選択された場合は、方向反転部11dは反転フラグをオンに設定する。
本実施の形態のコマンドツリーCTの各階層において項目の選択を受け付ける表示システム100の処理の流れは図11に示すものと同様である。したがって、ユーザの設定に基づいてスクロール方向が決定されることになる。
すなわち、反転フラグがオフに設定された場合(「通常方向」の項目がユーザに選択された場合)はリストLのスクロール方向が図6に示すスクロール方向とされる。この場合も、図6と同様に、仕切線W1,W2は右に凸となる形状とすることが望ましい。
一方、反転フラグがオンに設定された場合(「反転方向」の項目がユーザに選択された場合)はリストLのスクロール方向が図9に示すスクロール方向とされることになる。この場合も、図9と同様に、仕切線W1,W2は左に凸となる形状とすることが望ましい。
このように、本実施の形態の表示システム100においては、ユーザの設定に基づいてリストLをスクロールさせる方向がデフォルトの方向に対して反転される。このため、ユーザは自分の感覚に合致するようにスクロール方向の設定を変更することができる。したがって、ユーザの感覚に合致する方向にリストLをスクロールさせることができる。
なお、本実施の形態では、表示システム100の次回の起動後においてもユーザの設定の内容を反映できるように、反転フラグをRAM12とともに不揮発性メモリ14に記憶させておくことが望ましい。この反転フラグは、表示システム100の起動時において不揮発性メモリ14からRAM12に読み出すようにすればよい。
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態で説明した形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
第1の実施の形態では、外部装置8からのハンドル信号に基づいて車両のハンドルの位置が判定されていた。これに対して、ディップスイッチの位置や、ユーザの設定の内容に基づいてハンドルの位置が判定されるようになっていてもよい。
また、第1の実施の形態と、第2の実施の形態とを組み合わせてもよい。具体的には、ユーザの設定により、右ハンドル車の場合でも図9に示すスクロール方向とすることができ、また、左ハンドル車の場合でも図6に示すスクロール方向とすることができるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、スクロール方向が反転された場合は仕切線W1,W2の形状も反転させていた。これに対して、スクロール方向が反転された場合でも仕切線W1,W2の形状を反転させないようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、選択肢となる複数の項目を含むリストLをスクロールさせていたが、選択肢ではない情報の項目を含むリストをスクロールさせるものであってもよい。
また、上記実施の形態では、操作部5はセンターコンソール93に配置されると説明したが、車両の左右方向において運転席95と助手席96との間の位置であれば、いずれの位置に操作部5を配置してもよい。すなわち、車両の前後方向に関する操作部5の位置はいずれであってもよい。このため、例えば、操作部5をインストルメントパネル91の左右中央に設けてもよい。
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。