JP2012092068A - 骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤、骨吸収抑制剤、骨形成促進剤及びそれらのスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】L型アミノ酸トランスポーター阻害剤を含有する、骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤。被検物質が、L型アミノ酸トランスポーターを阻害し得るか否かを評価する工程を含む、骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤の候補物質のスクリーニング方法。
【選択図】なし
Description
[1]L型アミノ酸トランスポーター阻害剤を含有する、骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤。
[2]L型アミノ酸トランスポーター阻害剤が、
(1)2-アミノビシクロ-(2,2,1)-ヘプタン-2-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩;
(2)LAT1に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;
(3)LAT2に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;又は
(4)CD98を特異的に認識し、且つ該CD98とヘテロダイマーを形成するL型アミノ酸トランスポーターのアミノ酸輸送機能を阻害する抗体
である、[1]の骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤。
[3]L型アミノ酸トランスポーター阻害剤として、
(2)LAT1に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;及び
(3)LAT2に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター
を含む、[1]の骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤。
[4]L型アミノ酸トランスポーター阻害剤を含有する、骨吸収抑制剤。
[5]L型アミノ酸トランスポーター阻害剤を含有する、骨形成促進剤。
[6]被検物質が、L型アミノ酸トランスポーターを阻害し得るか否かを評価する工程を含む、骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤、骨吸収抑制剤、或いは骨形成促進剤の候補物質のスクリーニング方法。
また、本発明によれば、L型アミノ酸トランスポーターの阻害という新たなメカニズムに基づく骨粗鬆症の予防及び/又は治療に有用な医薬のスクリーニングが可能となる。
[ヒトLAT1]
ヌクレオチド配列(cDNA配列):アクセッション番号NM_003486(バージョンNM_003486.5)(配列番号1)
アミノ酸配列:アクセッション番号NP_003477(バージョンNP_003477.4)(配列番号2)
[マウスLAT1]
ヌクレオチド配列(cDNA配列):アクセッション番号NM_011404(バージョンNM_011404.3)(配列番号3)
アミノ酸配列:アクセッション番号NP_035534(バージョンNP_035534.2)(配列番号4)
[ヒトLAT2]
ヌクレオチド配列(cDNA配列):アクセッション番号NM_012244(バージョンNM_012244.2)(配列番号5)又はアクセッション番号NM_182728(バージョンNM_182728.1)(配列番号7)
アミノ酸配列:アクセッション番号NP_036376(バージョンNP_036376.2)(配列番号6)又はアクセッション番号NP_877382(バージョンNP_877382.1)(配列番号8)
[マウスLAT2]
ヌクレオチド配列(cDNA配列):アクセッション番号NM_016972(バージョンNM_016972.2)(配列番号9)
アミノ酸配列:アクセッション番号NP_058668(バージョンNP_058668.1)(配列番号10)
LAT2は、4F2hcとヘテロダイマーを形成し、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ヒスチジン等の大型の中性アミノ酸に加え、グリシン、アラニン、セリン、システイン、スレオニン等の小型の中性アミノ酸をNa+非依存的に細胞内に輸送する。
(A)L型アミノ酸トランスポーター(好ましくは、LAT1又はLAT2)をコードするmRNA(成熟mRNA又は初期転写産物)のヌクレオチド配列又は18塩基以上のその部分配列に相補的なヌクレオチド配列を含む1本鎖又は2本鎖のRNA、及び
(B)L型アミノ酸トランスポーター(好ましくは、LAT1又はLAT2)をコードするmRNA(成熟mRNA又は初期転写産物)と投与対象の哺乳動物(例えばヒト等の霊長類やマウス等のげっ歯類)の細胞内でハイブリダイズし得る18塩基以上のヌクレオチド配列を含み、且つハイブリダイズすることにより当該L型アミノ酸トランスポーターのRNA干渉を誘導する1本鎖又は2本鎖のRNA
を挙げることができる。
(A)L型アミノ酸トランスポーター(好ましくは、LAT1又はLAT2)をコードするmRNA(成熟mRNA又は初期転写産物)のヌクレオチド配列又は12塩基以上のその部分配列に相補的なヌクレオチド配列を含む核酸、及び
(B)L型アミノ酸トランスポーター(好ましくは、LAT1又はLAT2)をコードするmRNA(成熟mRNA又は初期転写産物)と治療対象動物(好ましくはヒト)の細胞内でハイブリダイズし得る12塩基以上のヌクレオチド配列を含み、且つハイブリダイズした状態で当該L型アミノ酸トランスポーターポリペプチドへの翻訳を阻害し得る核酸
等を挙げることが出来る。
[ヒトCD98]
ヌクレオチド配列(cDNA配列):アクセッション番号AB018010(バージョンAB018010.1)(配列番号11)
アミノ酸配列:アクセッション番号BAA84649(バージョンBAA84649.1)(配列番号12)
(1)2-アミノビシクロ-(2,2,1)-ヘプタン-2-カルボン酸(BCH)又はその薬理学的に許容される塩;
(2)LAT1に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;
(3)LAT2に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;及び
(4)CD98を特異的に認識し、且つ該CD98とヘテロダイマーを形成するL型アミノ酸トランスポーターのアミノ酸輸送機能を阻害する抗体。
(2)LAT1に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;及び
(3)LAT2に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター。
(1)被検物質をL型アミノ酸トランスポーター(好ましくは、LAT1又はLAT2)の活性を測定可能な細胞へ接触させること;
(2)該細胞における当該L型アミノ酸トランスポーターの活性を測定すること;
(3)被検物質を接触させた細胞における当該L型アミノ酸トランスポーターの活性を、被検物質を接触させない対照細胞における当該L型アミノ酸トランスポーターの活性と比較すること;及び
(4)比較の結果得られた当該L型アミノ酸トランスポーターの活性の変化を、骨粗鬆症を予防及び/又は治療する活性、骨吸収抑制活性、骨形成促進活性、破骨細胞分化を抑制する活性、又は骨芽細胞分化を促進する活性と相関付けること。
(1’)骨粗鬆症モデル非ヒト哺乳動物に候補物質を投与すること;
(2’)該非ヒト哺乳動物における骨粗鬆症の症状を評価すること;
(3’)候補物質を投与した非ヒト哺乳動物における骨粗鬆症の症状を、候補物質を投与していない対照非ヒト哺乳動物における骨粗鬆症の症状と比較すること。
(1’’)被検物質の存在下で、破骨細胞の前駆細胞を破骨細胞分化条件下で培養すること;
(2’’)培養後の培養物における破骨細胞への分化の程度を評価すること;
(3’’)候補物質の存在下での培養後の破骨細胞への分化の程度を、候補物質の非存在下での対照培養後の破骨細胞への分化の程度と比較すること。
(1’’’)被検物質の存在下で、骨芽細胞の前駆細胞を骨芽細胞分化条件下で培養すること;
(2’’’)培養後の培養物における骨芽細胞への分化の程度を評価すること;
(3’’’)候補物質の存在下での培養後の骨芽細胞への分化の程度を、候補物質の非存在下での対照培養後の骨芽細胞への分化の程度と比較すること。
RAW264.7細胞にRANKLおよびBCHを添加して培養を4日間行ったのち、TRAP染色を行った。図1に示される通り、BCH非添加条件下においては、TRAP陽性の多核破骨細胞が多く観察されたのに対して、BCHを1mMおよび10 mM添加した条件下においてはBCHの濃度依存的に、TRAP陽性の多核破骨細胞の数が顕著に減少した。この結果から、L型アミノ酸トランスポーターの阻害剤は、破骨細胞の分化を抑制することが示唆された。
MC3T3-E1細胞に分化誘導剤(アスコルビン酸とβ−グリセロリン酸)とBCHを添加して培養を21日間行ったのち、アルカリフォスファターゼ活性測定およびカルシウム蓄積量の測定を行った。アルカリフォスファターゼ活性はBCH添加条件下および非添加条件下で、顕著な差は認められなかった(図2)。しかしながら、カルシウム蓄積量はBCH添加条件下では、非添加条件下と比較して、有意に上昇した(図3)。この結果から、L型アミノ酸トランスポーターの阻害剤は、骨芽細胞への分化を促進することが示唆された。
野生型マウスに卵巣摘出術を施し、BCH(400 mg/kg)を毎日腹腔内投与し、術後28日目に体重、子宮重量および骨密度の測定を行った。その結果、マウスの体重には変化は認められなかったが(a)、子宮重量はOVX群およびOVXにBCHを投与した群で有意に低下した(b)。また、骨密度については、OVX群ではSham群と比較して、顕著な骨密度低下が認められたが、OVXにBCHを投与した群では、その骨密度低下が有意に抑制された(c)。この結果から、L型アミノ酸トランスポーターの阻害剤は、骨粗鬆症の予防及び/又は治療に有用であることが示唆された。
RAW264.7細胞にマウスLAT1(Slc7a5)を標的とするsiRNAおよびマウスLAT2(Slc7a8)を標的とするsiRNAを単独導入あるいは共導入したのちに、RANKLを培地に添加して、該細胞を4日間培養し、得られた細胞をTRAP染色に付した。単独導入のsiRNAの濃度は5 pmol、共導入時の各siRNAの濃度は5 pmol(合計10 pmol)である。各siRNAの配列は以下の通りである。
LAT1を標的とするsiRNA : UUGAAUCGGAGCCACAUCAUACCGA(配列番号13)
LAT2を標的とするsiRNA : AACAGAAAUGGGCAUGAUCCAGGCC(配列番号14)
Claims (6)
- L型アミノ酸トランスポーター阻害剤を含有する、骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤。
- L型アミノ酸トランスポーター阻害剤が、
(1)2-アミノビシクロ-(2,2,1)-ヘプタン-2-カルボン酸又はその薬理学的に許容される塩;
(2)LAT1に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;
(3)LAT2に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;又は
(4)CD98を特異的に認識し、且つ該CD98とヘテロダイマーを形成するL型アミノ酸トランスポーターのアミノ酸輸送機能を阻害する抗体
である、請求項1記載の骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤。 - L型アミノ酸トランスポーター阻害剤として、
(2)LAT1に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター;及び
(3)LAT2に対するRNA干渉誘導性RNA若しくはアンチセンス核酸又はこれらの核酸を発現し得る発現ベクター
を含む、請求項1記載の骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤。 - L型アミノ酸トランスポーター阻害剤を含有する、骨吸収抑制剤。
- L型アミノ酸トランスポーター阻害剤を含有する、骨形成促進剤。
- 被検物質が、L型アミノ酸トランスポーターを阻害し得るか否かを評価する工程を含む、骨粗鬆症の予防及び/又は治療剤、骨吸収抑制剤、或いは骨形成促進剤の候補物質のスクリーニング方法。
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