JP2012082696A - エンジン回転停止制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン回転停止制御の際に低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度とが頻繁に切り替わるハンチング現象の発生を防止する。
【解決手段】エンジン回転停止制御の際に、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせる。具体的には、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間に設定される切替判定値を含むようにヒステリシス領域を設定し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域外の場合には実エンジン回転速度を切替判定値と比較して低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域内の場合には低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの前回と同じ側の目標エンジン回転速度を選択する。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン回転停止制御の際に、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせる。具体的には、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間に設定される切替判定値を含むようにヒステリシス領域を設定し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域外の場合には実エンジン回転速度を切替判定値と比較して低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域内の場合には低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの前回と同じ側の目標エンジン回転速度を選択する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジン回転停止位置(停止クランク角)を制御する機能を備えたエンジン回転停止制御装置に関する発明である。
近年、例えば、特許文献1(特開2008−215230号公報)に記載されているように、エンジン自動停止・始動システム(アイドルストップシステム)を搭載した車両では、再始動性を向上させるために、エンジン停止時(アイドルストップ時)にエンジン回転停止位置(停止クランク角)を始動に適したクランク角範囲に制御することを目的として、エンジン回転が目標停止クランク角で停止するまでの回転挙動を目標軌道として算出し、エンジン回転を停止させる際に実エンジン回転挙動を目標軌道に合わせるように発電機(オルタネータ)の負荷トルクを制御するエンジン回転停止制御を行うようにしたものがある。具体的には、所定タイミング毎に目標軌道のデータに基づいて目標エンジン回転速度(目標軌道上のエンジン回転速度)を設定し、この目標エンジン回転速度と実エンジン回転速度との偏差を小さくするように発電機の要求負荷トルクを算出し、発電機の負荷トルク特性(発電指令値とエンジン回転速度と負荷トルクとの関係)を用いて、現在のエンジン回転速度と要求負荷トルクに応じた発電指令値を算出し、この発電指令値で発電機の発電制御電流(フィールド電流)を制御して発電機の負荷トルクを制御するようにしている。
ところで、図8に示すように、エンジン回転停止制御の実行中に所定タイミング毎(例えばTDC毎)に目標軌道のデータに基づいて目標エンジン回転速度を設定する際には、現在の実エンジン回転速度よりも低回転側の目標エンジン回転速度か又は高回転側の目標エンジン回転速度を選択することができる。
そこで、本出願人は、図9に示すように、所定タイミング毎に目標軌道のデータに基づいて目標エンジン回転速度を設定する際に、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間に切替判定値を設定し、実エンジン回転速度を切替判定値と比較して、実エンジン回転速度が切替判定値よりも低い場合には低回転側の目標エンジン回転速度を選択し、実エンジン回転速度が切替判定値以上の場合には高回転側の目標エンジン回転速度を選択するシステムを研究しているが、その研究過程で次のような新たな課題が判明した。
図9に示すように、エンジン回転停止制御の実行中に、実エンジン回転速度が切替判定値付近で推移すると、目標エンジン回転速度が低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間で頻繁に切り替わるハンチング現象が発生する可能性があり、目標エンジン回転速度のハンチング現象が発生すると、それに伴って発電機の発電指令値が頻繁に増減を繰り返して発電機のトルク制御が不安定になり、エンジン回転停止制御の精度が低下する可能性がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、エンジン回転停止制御の際に、目標エンジン回転速度が低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間で頻繁に切り替わるハンチング現象の発生を防止することができるエンジン回転停止制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、エンジン回転が目標停止クランク角で停止するようにエンジン回転挙動の目標軌道を算出する目標軌道算出手段と、エンジン停止要求に応じてエンジン回転を停止させる際に実エンジン回転挙動を目標軌道に合わせるように発電機の負荷を制御するエンジン回転停止制御を実行する停止制御手段とを備えたエンジン回転停止制御装置において、停止制御手段は、所定タイミング毎に目標軌道のデータに基づいて実エンジン回転速度よりも低回転側の目標エンジン回転速度と実エンジン回転速度よりも高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択する選択手段と、この選択手段で選択した目標エンジン回転速度と実エンジン回転速度との偏差を小さくするように発電機の発電指令値を算出する発電指令値算出手段とを備え、選択手段は、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせるようにしたものである。
このようにすれば、エンジン回転停止制御の実行中に、実エンジン回転速度が切替判定値付近で推移しても、目標エンジン回転速度が低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間で頻繁に切り替わるハンチング現象の発生を未然に防止することができる。これにより、発電機の発電指令値が頻繁に増減を繰り返すことを回避して発電機の負荷トルクの制御を安定化させることができ、エンジン回転停止制御の精度を向上させることができる。
具体的には、請求項2のように、選択手段は、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間に設定される切替判定値を含むようにヒステリシス領域を設定し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域外の場合には実エンジン回転速度を切替判定値と比較して低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域内の場合には低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの前回と同じ側の目標エンジン回転速度を選択するようにしても良い。このようにすれば、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせることができる。
この場合、請求項3のように、選択手段は、実エンジン回転速度の低下速度に応じてヒステリシス領域を変化させるようにしても良い。このようにすれば、実エンジン回転速度の低下速度に応じた適正なヒステリシス領域を設定することができる。例えば、実エンジン回転速度の低下速度が速くなるほど、目標エンジン回転速度のハンチング現象による影響が大きくなるのに対応して、ヒステリシス領域を拡大して目標エンジン回転速度のハンチング現象の発生を確実に防止するようにできる。
また、請求項4のように、選択手段は、エンジン回転停止制御の最初の目標エンジン回転速度を設定する際には実エンジン回転速度を切替判定値と比較して低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択するようにすると良い。このようにすれば、エンジン回転停止制御の最初(1回目)の目標エンジン回転速度(目標エンジン回転速度の初期値)を設定することができる。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の構成を概略的に説明する。
エンジン11の吸気ポート12に接続された吸気管13の途中には、スロットルバルブ14が設けられ、このスロットルバルブ14の開度(スロットル開度)がスロットル開度センサ15によって検出される。また、スロットルバルブ14の下流側には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられ、各気筒の吸気ポート12の近傍には、それぞれ吸気ポート12に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁19が取り付けられている。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の構成を概略的に説明する。
エンジン11の吸気ポート12に接続された吸気管13の途中には、スロットルバルブ14が設けられ、このスロットルバルブ14の開度(スロットル開度)がスロットル開度センサ15によって検出される。また、スロットルバルブ14の下流側には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられ、各気筒の吸気ポート12の近傍には、それぞれ吸気ポート12に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁19が取り付けられている。
一方、エンジン11の排気ポート20に接続された排気管21の途中には、排気ガス浄化用の触媒22が設置されている。エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ23が設けられている。エンジン11のクランク軸24に取り付けられたシグナルロータ25の外周に対向してクランク角センサ26が設置され、このクランク角センサ26からシグナルロータ25の回転に同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)にクランクパルス信号が出力される。また、エンジン11のカム軸27に取り付けられたシグナルロータ28の外周に対向してカム角センサ29が設置され、このカム角センサ29からシグナルロータ28の回転に同期して所定のカム角でカムパルス信号が出力される。
また、オルタネータ33(発電機)には、クランク軸24に連結されたクランクプーリ34の回転がベルト35を介して伝達される。これにより、エンジン11の動力でオルタネータ33が回転駆動されて発電するようになっている。このオルタネータ33の発電制御電流(フィールド電流)をデューティ制御することで、オルタネータ33の負荷を制御することができる。
上述した各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「エンジンECU」と表記する)30に入力される。このエンジンECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、各種センサで検出したエンジン運転状態に応じて、燃料噴射弁19の燃料噴射量や燃料噴射時期、点火プラグ31の点火時期を制御すると共に、エンジン運転中に所定の自動停止条件(例えばアクセル全閉、ブレーキ操作中、アイドル運転中等の条件)が成立してエンジン停止要求が発生したときに、燃焼(燃料噴射及び/又は点火)を停止させてエンジン回転を停止させるアイドルストップを実行し、このアイドルストップによるエンジン回転停止中(アイドルストップ中)に運転者が車両発進のための準備操作(ブレーキ解除、シフトレバーのドライブレンジへの操作等)や発進操作(アクセル踏み込み等)が行われたとき、或は車載機器の制御システムからの始動要求が発生したときに、所定の自動始動条件が成立してスタータ(図示せず)に通電してエンジン11をクランキングして再始動させる。
更に、エンジンECU30は、後述する図11乃至図13の各ルーチンを実行することで、エンジン回転が目標停止クランク角で停止するようにエンジン回転挙動の目標軌道を算出する目標軌道算出手段として機能すると共に、エンジン停止要求に応じてエンジン回転を停止させる際に実エンジン回転挙動を目標軌道に合わせるように制御するエンジン回転停止制御を実行する停止制御手段として機能する。本実施例では、エンジン回転停止制御として、実エンジン回転挙動を目標軌道に合わせるようにオルタネータ33の負荷をフィードバック制御するオルタF/B停止制御を実行する。更に、エンジン11の燃焼停止前(燃焼中)に実エンジン回転挙動を目標軌道に合わせるように点火時期をフィードバック制御する点火F/B停止制御を実行するようにしても良い。
エンジン回転停止制御(オルタF/B停止制御)の際に、エンジン回転速度がオルタネータ33の発電限界回転速度以下に低下すると、オルタネータ33の負荷トルクがほとんど発生しなくなる(図3参照)。このような回転速度領域では、オルタネータ33の負荷トルクの影響をほとんど受けずにエンジン回転速度が低下してエンジン回転が停止するため、所定の基準タイミングを通過する際のエンジン回転速度に応じた停止クランク角でエンジン回転が停止する。ここで、基準タイミングは、エンジン回転速度がオルタネータ33の発電限界回転速度以下の回転速度領域でクランク角が所定位置(例えばTDC)となるタイミングである。
このような特性に着目して、本実施例では、基準タイミングのエンジン回転速度(基準タイミングを通過する際のエンジン回転速度)と停止クランク角との関係を用いて、停止クランク角が目標停止クランク角となる基準タイミングのエンジン回転速度を基準回転速度として求め、目標軌道は、この基準回転速度に至るまでのクランク角と目標エンジン回転速度との関係を所定クランク角間隔で算出してテーブル(図示せず)に割り付けたものである。この目標軌道は、例えば、ロストルクを考慮したエネルギ保存則の関係式を用いて、基準回転速度を初期値としてクランク角を溯る方向に所定クランク角Δθ毎(例えばTDC毎)に算出される(図2参照)。
エネルギ保存則の関係式は次式で表される。
Ne(i+1)2 =Ne(i)2 +2/J×{Tloss( θ(i) ) −Tref(Ne(i))}×Δθ
ここで、Ne(i+1)は、現時点(i) よりも所定クランク角Δθ前の時点(i+1) のエンジン回転速度であり、Ne(i)は現時点(i) のエンジン回転速度である。また、Jはエンジン11の慣性モーメントである。Tloss( θ(i) )は、現時点(i) のクランク角θ(i) におけるポンピングロスとフリクションロスを合計したロストルクであり、予め設定されたマップ等を用いて現時点(i) のクランク角θ(i) に応じたロストルクTloss( θ(i) )が算出される。Tref(Ne(i))は現時点(i) のエンジン回転速度Ne(i)におけるオルタネータ33の基準負荷トルクである。
Ne(i+1)2 =Ne(i)2 +2/J×{Tloss( θ(i) ) −Tref(Ne(i))}×Δθ
ここで、Ne(i+1)は、現時点(i) よりも所定クランク角Δθ前の時点(i+1) のエンジン回転速度であり、Ne(i)は現時点(i) のエンジン回転速度である。また、Jはエンジン11の慣性モーメントである。Tloss( θ(i) )は、現時点(i) のクランク角θ(i) におけるポンピングロスとフリクションロスを合計したロストルクであり、予め設定されたマップ等を用いて現時点(i) のクランク角θ(i) に応じたロストルクTloss( θ(i) )が算出される。Tref(Ne(i))は現時点(i) のエンジン回転速度Ne(i)におけるオルタネータ33の基準負荷トルクである。
上記エネルギ保存則の関係式において、「Tloss( θ(i) )−Tref(Ne(i))」は、ポンピングロスとフリクションロスとオルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne(i))を合計したロストルクに相当する。
本実施例では、オルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne(i))は、図3に示すようにオルタネータ33の制御可能な最大負荷の半分(1/2)に設定されている。このようにすれば、オルタネータ33は、モータジェネレータとは異なり、アシストトルクを出力できないという事情があっても、仮想的にオルタネータ33の負荷トルクを正負両方向に制御することが可能となり(基準負荷Tref 以下の負荷トルクを仮想的に負の負荷トルクとし、基準負荷Tref 以上の負荷トルクを正の負荷トルクとしてオルタネータ33の負荷トルクを制御することが可能となり)、目標軌道へのエンジン回転挙動の追従性を向上することができる。
尚、オルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne(i))は、最大負荷の半分(1/2)に限定されず、例えば、最大負荷の1/3、1/4、2/3、3/4等であっても良く、要は、オルタネータ33の制御可能な最大負荷よりも小さく、0よりも大きい適宜の負荷を基準負荷トルクTref(Ne(i))に設定すれば良い。
0<Tref(Ne(i))<最大負荷
0<Tref(Ne(i))<最大負荷
図5(a)は、基準負荷トルクTref(Ne(i))=0に設定してエンジン回転停止制御(オルタF/B停止制御)を行った比較例を示している。この比較例では、オルタネータ33の負荷トルクを正方向にしか制御できないため、実エンジン回転挙動がオーバーシュートした場合は、実エンジン回転挙動を目標軌道に一致させることができなくなる。
これに対して、本実施例のように、オルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne(i))を最大負荷よりも小さい適宜の負荷に設定すれば、図4に示すように、仮想的にオルタネータ33の負荷トルクを正負両方向に制御することが可能となるため、図5(b)に示すように、実回転挙動がオーバーシュートした場合でも、実回転挙動を目標軌道に一致させることができる。
更に、本実施例では、図6に示すように、目標軌道を算出する際に、オルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne(i))に応じた目標軌道を算出し、エンジン回転停止制御の実行中は、エンジン回転速度Ne(i)に応じた基準負荷トルクTref(Ne(i))を算出すると共に、現時点(i) のクランク角θ(i) における目標エンジン回転速度と実エンジン回転速度との偏差を小さくするようにフィードバック負荷トルクを算出して、このフィードバック負荷トルクに基準負荷トルクTref(Ne(i))を加算して要求負荷トルクTalt を求める(実際には、この要求負荷トルクTalt にプーリ比Ratioを乗算して要求軸トルクTalt.final に変換する)。
この後、図7に示すオルタネータ33の負荷トルク特性を用いて、オルタネータ33の要求負荷トルクTalt (要求軸トルクTalt.final )とエンジン回転速度Ne (又はエンジン回転速度Ne にプーリ比Ratioを乗算して求めたオルタネータ33の回転速度Nalt )に応じた発電指令値(デューティDuty )を算出する。この際、要求負荷トルクTalt とエンジン回転速度Ne (又はオルタネータ33の回転速度Nalt )から発電指令値(デューティDuty )を直接算出するようにしても良いが、要求負荷トルクTalt とエンジン回転速度Ne (又はオルタネータ33の回転速度Nalt )から要求フィールド電流(要求励磁電流)を算出し、この要求フィールド電流から発電指令値(デューティDuty )を算出するようにしても良い。
尚、図7に示す負荷トルク特性は、オルタネータ33の出力電圧が所定値(例えば13.5V)で一定の場合の特性であり、出力電圧毎に同様の特性が設定されている。この発電指令値(デューティDuty )に基づいてオルタネータ33の発電制御電流(フィールド電流)を制御してオルタネータ33の負荷トルクを制御する。
このようなオルタネータ33の負荷トルクの制御を、エンジン回転速度がオルタネータ33の発電限界回転速度Nelow(図3参照)以下に低下するまで所定クランク角間隔で周期的に実行することで、実エンジン回転挙動を目標軌道に合わせるようにオルタネータ33の負荷トルクをフィードバック制御するエンジン回転停止制御(オルタF/B停止制御)を行う。
エンジン回転停止制御の際に、エンジンECU30は、所定クランク角周期で発電指令値を演算し、この発電指令値をCAN(Controller Area Network )通信等により所定時間周期で電源系ECU36(図1参照)に送信する。更に、電源系ECU36は、受信した発電指令値をLIN(Local Interconnect Network)通信等により所定時間周期でオルタネータ33に送信する。
ところで、図8に示すように、エンジン回転停止制御の実行中に所定タイミング毎(例えばTDC毎)に目標軌道のテーブル(目標軌道のデータ)に基づいて目標エンジン回転速度を設定する際には、現在の実エンジン回転速度よりも低回転側の目標エンジン回転速度か又は高回転側の目標エンジン回転速度を選択することができる。
しかし、図9に示す比較例のように、所定タイミング毎に目標軌道のデータに基づいて目標エンジン回転速度を設定する際に、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間に切替判定値を設定し、実エンジン回転速度を切替判定値と比較して、実エンジン回転速度が切替判定値よりも低い場合には低回転側の目標エンジン回転速度を選択し、実エンジン回転速度が切替判定値以上の場合には高回転側の目標エンジン回転速度を選択するシステムでは、次のような問題がある。
図9に示すように、エンジン回転停止制御の実行中に、実エンジン回転速度が切替判定値付近で推移すると、目標エンジン回転速度が低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間で頻繁に切り替わるハンチング現象が発生する可能性があり、目標エンジン回転速度のハンチング現象が発生すると、それに伴ってオルタネータ33の発電指令値が頻繁に増減を繰り返してオルタネータ33のトルク制御が不安定になり、エンジン回転停止制御の精度が低下する可能性がある。
この対策として、本実施例では、エンジン回転停止制御の際に、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせるようにしている。具体的には、図10に示すように、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間に設定される切替判定値を含むようにヒステリシス領域を設定し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域外の場合には実エンジン回転速度を切替判定値と比較して低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択し、実エンジン回転速度がヒステリシス領域内の場合には低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの前回と同じ側(前回の設定タイミングで選択した側と同じ側)の目標エンジン回転速度を選択する。
このようにすれば、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせることができるため、エンジン回転停止制御の実行中に、実エンジン回転速度が切替判定値付近で推移しても、目標エンジン回転速度が低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間で頻繁に切り替わるハンチング現象の発生を未然に防止することができる。
本実施例では、切替判定値は、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) を用いて、次式により算出する。
切替判定値={Netg(low)−Netg(hi) }×JG+Netg(hi)
ここで、JGは適合定数であり、例えば、点火F/B停止制御中はJG=0.15に設定され、オルタF/B停止制御中はJG=0.5に設定される。
切替判定値={Netg(low)−Netg(hi) }×JG+Netg(hi)
ここで、JGは適合定数であり、例えば、点火F/B停止制御中はJG=0.15に設定され、オルタF/B停止制御中はJG=0.5に設定される。
また、ヒステリシス領域の下限値Aと上限値Bは、それぞれ低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) を用いて、次式により算出する。
ヒステリシス領域の下限値A={Netg(hi) +Netg(low)}/2−KA
ヒステリシス領域の上限値B={Netg(hi) +Netg(low)}/2+KB
ここで、KAとKBは適合定数であり、(KA+KB)がヒステリシス領域の幅に相当する。
ヒステリシス領域の下限値A={Netg(hi) +Netg(low)}/2−KA
ヒステリシス領域の上限値B={Netg(hi) +Netg(low)}/2+KB
ここで、KAとKBは適合定数であり、(KA+KB)がヒステリシス領域の幅に相当する。
以上説明した本実施例のエンジン回転停止制御は、エンジンECU30によって図11乃至図13の各ルーチンに従って実行される。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
[目標軌道算出ルーチン]
図11に示す目標軌道算出ルーチンは、エンジンECU30の電源オン中に所定周期(所定クランク角周期)で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、目標軌道算出完了フラグが目標軌道の算出前を意味する「0」にセットされているか否かを判定し、この目標軌道算出完了フラグが目標軌道算出完了を意味する「1」にセットされていれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
図11に示す目標軌道算出ルーチンは、エンジンECU30の電源オン中に所定周期(所定クランク角周期)で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、目標軌道算出完了フラグが目標軌道の算出前を意味する「0」にセットされているか否かを判定し、この目標軌道算出完了フラグが目標軌道算出完了を意味する「1」にセットされていれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、このステップ101で、目標軌道算出完了フラグ=0(目標軌道の算出前)と判定されれば、ステップ102に進み、ロストルクTloss( θ(i) )とオルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne(i))を用いて、次式で表されるエネルギ保存則の関係式を用いて次の時点(i+1) の目標エンジン回転速度Ne(i+1)の二乗を算出する。
Ne(i+1)2 =Ne(i)2 +2/J×{Tloss( θ(i) )−Tref(Ne(i))}×Δθ
ここで、Jはエンジン11の慣性モーメント、Tloss( θ(i) )は、ポンピングロスとフリクションロスを合計したロストルクであり、予め設定されたマップ等を用いて、現時点(i) のクランク角θ(i) に応じたロストルクTloss( θ(i) )を算出する。
ここで、Jはエンジン11の慣性モーメント、Tloss( θ(i) )は、ポンピングロスとフリクションロスを合計したロストルクであり、予め設定されたマップ等を用いて、現時点(i) のクランク角θ(i) に応じたロストルクTloss( θ(i) )を算出する。
上記エネルギ保存則の関係式において、「Tloss( θ(i) )−Tref(Ne(i))」は、ポンピングロスとフリクションロスとオルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne(i))を合計したロストルクに相当する。
初期値は、i=0、θ(0) =基準タイミングのクランク角、Ne(0)=基準回転速度である。この基準回転速度Ne(0)は、停止クランク角が目標停止クランク角となる基準タイミングのエンジン回転速度である。目標軌道は、基準回転速度Ne(0)を初期値としてクランク角を溯る方向に所定クランク角Δθ毎(例えばTDC毎)に算出する。
この後、ステップ103に進み、目標エンジン回転速度Ne(i+1)の二乗がエンジン回転停止制御を実行可能な最大エンジン回転速度Nemaxの二乗を越えたか否かを判定し、まだ最大エンジン回転速度Nemaxの二乗を越えていなければ、ステップ104に進み、目標軌道算出完了フラグを「0」に維持する(セットし直す)。
この後、ステップ106に進み、目標エンジン回転速度Ne(i+1)の二乗の平方根を算出して目標エンジン回転速度Ne(i+1)を求め、これを目標軌道のテーブル(図示せず)に割り付けて、本ルーチンを終了する。尚、エンジンECU30の演算負荷を低減するため、エンジン回転速度の二乗をそのままテーブルに割り付けても良い。目標軌道のテーブルは、エンジンECU30のメモリに記憶される。
以上のような処理を繰り返して、基準回転速度Ne(0)を初期値としてクランク角を溯る方向に所定クランク角毎(例えばTDC毎)に目標エンジン回転速度Ne(i+1)の二乗を算出して目標軌道のテーブルに目標エンジン回転速度Ne(i+1)を割り付ける処理を繰り返す。そして、上記ステップ103で、目標エンジン回転速度Ne(i+1)の二乗がエンジン回転停止制御を実行可能な最大エンジン回転速度Nemaxの二乗を越えたと判定された時点で、ステップ105に進み、目標軌道算出完了フラグを目標軌道算出完了を意味する「1」にセットして、ステップ106に進み、最後の目標エンジン回転速度Ne(i+1)の二乗の平方根を算出して目標エンジン回転速度Ne(i+1)を求め、これを目標軌道のテーブルに割り付けて、本ルーチンを終了する。
[目標エンジン回転速度設定ルーチン]
図12に示す目標エンジン回転速度設定ルーチンは、エンジンECU30の電源オン中に所定周期(所定クランク角周期)で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう選択手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、エンジン停止要求(アイドルストップ要求)が発生したか否かを判定し、エンジン停止要求が発生していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
図12に示す目標エンジン回転速度設定ルーチンは、エンジンECU30の電源オン中に所定周期(所定クランク角周期)で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう選択手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、エンジン停止要求(アイドルストップ要求)が発生したか否かを判定し、エンジン停止要求が発生していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
その後、上記ステップ201で、エンジン停止要求が発生したと判定された時点で、ステップ202に進み、現在のクランク角θとエンジン回転速度Ne を算出する。この後、ステップ203に進み、現在のクランク角θが目標エンジン回転速度の設定タイミング(例えばTDC)であるか否かを判定し、目標エンジン回転速度の設定タイミングでなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
上記ステップ203で、現在のクランク角θが目標エンジン回転速度の設定タイミングであると判定されれば、ステップ204に進み、目標軌道のテーブル(目標軌道のデータ)を参照して、現在の実エンジン回転速度Ne よりも1段階だけ低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と、現在の実エンジン回転速度Ne よりも1段階だけ高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) を読み込む。
この後、ステップ205に進み、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) を用いて、次式により切替判定値を算出する。
切替判定値={Netg(low)−Netg(hi) }×JG+Netg(hi)
ここで、JGは適合定数であり、例えば、点火F/B停止制御中はJG=0.15に設定され、オルタF/B停止制御中はJG=0.5に設定される。
切替判定値={Netg(low)−Netg(hi) }×JG+Netg(hi)
ここで、JGは適合定数であり、例えば、点火F/B停止制御中はJG=0.15に設定され、オルタF/B停止制御中はJG=0.5に設定される。
この後、ステップ206に進み、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) を用いて、次式によりヒステリシス領域の下限値Aと上限値Bを算出する。
ヒステリシス領域の下限値A={Netg(hi) +Netg(low)}/2−KA
ヒステリシス領域の上限値B={Netg(hi) +Netg(low)}/2+KB
ヒステリシス領域の下限値A={Netg(hi) +Netg(low)}/2−KA
ヒステリシス領域の上限値B={Netg(hi) +Netg(low)}/2+KB
ここで、KAとKBは適合定数であり、(KA+KB)がヒステリシス領域の幅に相当する。本実施例では、実エンジン回転速度Ne の低下速度に応じて適合定数KAと適合定数KBをそれぞれマップ又は数式等により設定することで、実エンジン回転速度Ne の低下速度に応じた適正なヒステリシス領域を設定する。適合定数KAと適合定数KBのマップ又は数式等は、実エンジン回転速度Ne の低下速度が速くなるほど、(KA+KB)が大きくなってヒステリシス領域の幅を拡大するように設定されている。
この後、ステップ207に進み、エンジン回転停止制御の最初(1回目)の目標エンジン回転速度を設定済みであるか否かを判定し、まだ最初の目標エンジン回転速度を設定していないと判定されれば、ステップ210に進み、実エンジン回転速度Ne を切替判定値と比較して、実エンジン回転速度Ne が切替判定値よりも低いと判定された場合には、ステップ211に進み、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)を最初の目標エンジン回転速度として選択し、実エンジン回転速度Ne が切替判定値以上であると判定された場合には、ステップ212に進み、高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) を最初の目標エンジン回転速度として選択する。これにより、エンジン回転停止制御の最初の目標エンジン回転速度(目標エンジン回転速度の初期値)を設定する。
一方、上記ステップ207で、最初(1回目)の目標エンジン回転速度を設定済みであると判定された場合には、ステップ208に進み、現在の実エンジン回転速度Ne がヒステリシス領域内(下限値A<実エンジン回転速度Ne <上限値B)であるか否かを判定する。
このステップ208で、現在の実エンジン回転速度Ne がヒステリシス領域内(下限値A<実エンジン回転速度Ne <上限値B)であると判定された場合には、ステップ209に進み、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) のうちの前回と同じ側(前回の設定タイミングで選択した側と同じ側)の目標エンジン回転速度を今回の目標エンジン回転速度として選択する。
一方、上記ステップ208で、現在の実エンジン回転速度Ne がヒステリシス領域内ではない(現在の実エンジン回転速度Ne がヒステリシス領域外である)と判定された場合には、ステップ210に進み、実エンジン回転速度Ne を切替判定値と比較して、実エンジン回転速度Ne が切替判定値よりも低いと判定された場合には、ステップ211に進み、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)を今回の目標エンジン回転速度として選択し、実エンジン回転速度Ne が切替判定値以上であると判定された場合には、ステップ212に進み、高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) を今回の目標エンジン回転速度として選択する。
以上の処理により、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) との切り替えにヒステリシスを持たせる。
以上の処理により、低回転側の目標エンジン回転速度Netg(low)と高回転側の目標エンジン回転速度Netg(hi) との切り替えにヒステリシスを持たせる。
[オルタF/B停止制御ルーチン]
図13に示すオルタF/B停止制御ルーチンは、エンジンECU30の電源オン中に所定周期(所定クランク角周期)で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、エンジン停止要求(アイドルストップ要求)が発生したか否かを判定し、エンジン停止要求が発生していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
図13に示すオルタF/B停止制御ルーチンは、エンジンECU30の電源オン中に所定周期(所定クランク角周期)で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、エンジン停止要求(アイドルストップ要求)が発生したか否かを判定し、エンジン停止要求が発生していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
その後、上記ステップ301で、エンジン停止要求が発生したと判定された時点で、ステップ302に進み、現在のクランク角θとエンジン回転速度Ne を算出する。この後、ステップ303に進み、現在のクランク角θがオルタネータ33の負荷トルクの制御タイミング(例えばTDC)であるか否かを判定し、オルタネータ33の負荷トルクの制御タイミングでなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
上記ステップ303で、現在のクランク角θがオルタネータ33の負荷トルクの制御タイミングであると判定されれば、ステップ304に進み、現在のエンジン回転速度Ne がエンジン回転停止制御を実行可能な最大エンジン回転速度Nemaxよりも低いか否かを判定し、現在のエンジン回転速度Ne が最大エンジン回転速度Nemax以上であれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
その後、上記ステップ304で、現在のエンジン回転速度Ne が最大エンジン回転速度Nemaxよりも低いと判定されれば、ステップ305に進み、エンジン11が燃焼中であるか否かを判定する。このステップ305で、エンジン停止要求が発生した直後でエンジン11がまだ燃焼中であると判定されれば、ステップ306に進み、エンジン回転停止制御を開始する際のオルタネータ33の要求負荷トルクTalt を初期値(例えば基準負荷トルクTref(Ne) )に設定する。
Talt =Tref(Ne)
Talt =Tref(Ne)
その後、上記ステップ305で、エンジン11の燃焼が停止したと判定された場合には、ステップ307に進み、前記図12の目標エンジン回転速度設定ルーチンで設定した目標エンジン回転速度Netg (現在の実エンジン回転速度Ne に対応した目標エンジン回転速度Netg )を読み込む。
この後、ステップ308に進み、現在の実エンジン回転速度Ne と目標エンジン回転速度Netg とのエネルギ差分ΔEを次式により算出する。
ΔE=J/2×(Ne 2 −Netg 2 )
ここで、Jはエンジン11の慣性モーメントである。
ΔE=J/2×(Ne 2 −Netg 2 )
ここで、Jはエンジン11の慣性モーメントである。
この後、ステップ309に進み、エネルギ差分ΔEとオルタネータ33の基準負荷トルクTref(Ne) を用いて、次式により要求負荷トルクTalt を算出する。
Talt =K×ΔE/Δθ+Tref(Ne)
ここで、「K×ΔE/Δθ」はフィードバック負荷トルクであり、Kはフィードバックゲイン、Δθはクランク角変化量である。
Talt =K×ΔE/Δθ+Tref(Ne)
ここで、「K×ΔE/Δθ」はフィードバック負荷トルクであり、Kはフィードバックゲイン、Δθはクランク角変化量である。
この後、ステップ310に進み、要求負荷トルクTalt にプーリ比Ratioを乗算して、オルタネータ33の要求軸トルクTalt.final に変換する。
この後、ステップ311に進み、バッテリ電圧を検出した後、ステップ312に進み、バッテリ電圧毎に作成された複数の負荷トルク特性マップ(図7参照)の中から、現在のバッテリ電圧に対応する負荷トルク特性マップを選択して、現在の要求負荷トルクTalt (要求軸トルクTalt.final )とエンジン回転速度Ne (又はオルタネータ33の回転速度Nalt )に応じた発電指令値(デューティDuty )を算出する。
この後、ステップ311に進み、バッテリ電圧を検出した後、ステップ312に進み、バッテリ電圧毎に作成された複数の負荷トルク特性マップ(図7参照)の中から、現在のバッテリ電圧に対応する負荷トルク特性マップを選択して、現在の要求負荷トルクTalt (要求軸トルクTalt.final )とエンジン回転速度Ne (又はオルタネータ33の回転速度Nalt )に応じた発電指令値(デューティDuty )を算出する。
この発電指令値(デューティDuty )に基づいてオルタネータ33の発電制御電流(フィールド電流)を制御してオルタネータ33の負荷トルクを制御することで、実エンジン回転挙動を目標軌道に合わせるようにオルタネータ33の負荷トルクをフィードバック制御するオルタF/B停止制御を行う。
以上説明した本実施例では、エンジン回転停止制御の際に、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせるようにしたので、エンジン回転停止制御の実行中に、実エンジン回転速度が切替判定値付近で推移しても、目標エンジン回転速度が低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間で頻繁に切り替わるハンチング現象の発生を未然に防止することができる。これにより、オルタネータ33の発電指令値が頻繁に増減を繰り返すことを回避してオルタネータ33の負荷トルクの制御を安定化させることができ、エンジン回転停止制御の精度を向上させることができる。
また、本実施例では、実エンジン回転速度Ne の低下速度が速くなるほどヒステリシス領域の幅を拡大するようにしたので、実エンジン回転速度の低下速度が速くなるほど、目標エンジン回転速度のハンチング現象による影響が大きくなるのに対応して、ヒステリシス領域を拡大して目標エンジン回転速度のハンチング現象の発生を確実に防止することができる。
尚、上記実施例では、実エンジン回転速度Ne の低下速度に応じて適合定数KAと適合定数KBを変化させてヒステリシス領域を変化させるようにしたが、適合定数KAと適合定数KBを予め設定した固定値として、ヒステリシス領域の幅を固定するようにしても良い。
また、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせる方法は、上記実施例で説明した方法に限定されず、適宜変更しても良く、例えば、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との間に2つの切替判定値(低回転側の切替判定値と高回転側の切替判定値)を設定し、前回の設定タイミングで高回転側の目標エンジン回転速度が選択された場合には、現在の実エンジン回転速度を低回転側の切替判定値と比較して低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択し、前回の設定タイミングで低回転側の目標エンジン回転速度が選択された場合には、現在の実エンジン回転速度を高回転側の切替判定値と比較して低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択するようにしても良い。このようにしても、低回転側の目標エンジン回転速度と高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせることができる。
また、本発明は、図1に示すような吸気ポート噴射式エンジンに限定されず、筒内噴射式エンジンや、吸気ポート噴射用の燃料噴射弁と筒内噴射用の燃料噴射弁の両方を備えたデュアル噴射式のエンジンにも適用して実施できる。
更に、本発明の適用範囲は、車両の動力源としてエンジンのみを備えた一般的な車両に限定されず、車両の動力源としてエンジンとモータを備えたハイブリッド車に本発明を適用しても良い。
11…エンジン(内燃機関)、13…吸気管、14…スロットルバルブ、18…吸気管圧力センサ、19…燃料噴射弁、21…排気管、30…エンジンECU(目標軌道算出手段,停止制御手段,選択手段,発電指令値算出手段)、33…オルタネータ(発電機)
Claims (4)
- エンジン回転が目標停止クランク角で停止するようにエンジン回転挙動の目標軌道を算出する目標軌道算出手段と、エンジン停止要求に応じてエンジン回転を停止させる際に実エンジン回転挙動を前記目標軌道に合わせるように発電機の負荷を制御するエンジン回転停止制御を実行する停止制御手段とを備えたエンジン回転停止制御装置において、
前記停止制御手段は、
所定タイミング毎に前記目標軌道のデータに基づいて実エンジン回転速度よりも低回転側の目標エンジン回転速度と実エンジン回転速度よりも高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択した目標エンジン回転速度と実エンジン回転速度との偏差を小さくするように前記発電機の発電指令値を算出する発電指令値算出手段とを備え、
前記選択手段は、前記低回転側の目標エンジン回転速度と前記高回転側の目標エンジン回転速度との切り替えにヒステリシスを持たせることを特徴とするエンジン回転停止制御装置。 - 前記選択手段は、前記低回転側の目標エンジン回転速度と前記高回転側の目標エンジン回転速度との間に設定される切替判定値を含むようにヒステリシス領域を設定し、実エンジン回転速度が前記ヒステリシス領域外の場合には実エンジン回転速度を前記切替判定値と比較して前記低回転側の目標エンジン回転速度と前記高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択し、実エンジン回転速度が前記ヒステリシス領域内の場合には前記低回転側の目標エンジン回転速度と前記高回転側の目標エンジン回転速度のうちの前回と同じ側の目標エンジン回転速度を選択することを特徴とする請求項1に記載のエンジン回転停止制御装置。
- 前記選択手段は、実エンジン回転速度の低下速度に応じて前記ヒステリシス領域を変化させることを特徴とする請求項2に記載のエンジン回転停止制御装置。
- 前記選択手段は、前記エンジン回転停止制御の最初の目標エンジン回転速度を設定する際には実エンジン回転速度を前記切替判定値と比較して前記低回転側の目標エンジン回転速度と前記高回転側の目標エンジン回転速度のうちの一方を選択することを特徴とする請求項2又は3に記載のエンジン回転停止制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010227054A JP2012082696A (ja) | 2010-10-06 | 2010-10-06 | エンジン回転停止制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010227054A JP2012082696A (ja) | 2010-10-06 | 2010-10-06 | エンジン回転停止制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012082696A true JP2012082696A (ja) | 2012-04-26 |
Family
ID=46241841
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010227054A Pending JP2012082696A (ja) | 2010-10-06 | 2010-10-06 | エンジン回転停止制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2012082696A (ja) |
-
2010
- 2010-10-06 JP JP2010227054A patent/JP2012082696A/ja active Pending
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