JP2012078137A - 放射線検出器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】保護層の界面剥離を抑制し、特性および信頼性を確保したX線検出器を提供する。
【解決手段】画素電極25および薄膜トランジスタ23を表面に複数配列したアクティブマトリクス基板12、外部から入射した光を電気信号に変換する半導体光検出器13、および、外部と電気的に接続する電気接続部を備えた回路基板14、回路基板14に対向し外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層15を有する放射線検出器11において、回路基板14上の電気接続部を除く領域およびシンチレータ層15を連続的に被覆する保護層46と、少なくとも回路基板14上の電気接続部を除く領域との間に中間層43を有機珪素化合物により形成することで、保護層46の剥離を防止し、特性及び信頼性を確保する。
【選択図】図1
【解決手段】画素電極25および薄膜トランジスタ23を表面に複数配列したアクティブマトリクス基板12、外部から入射した光を電気信号に変換する半導体光検出器13、および、外部と電気的に接続する電気接続部を備えた回路基板14、回路基板14に対向し外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層15を有する放射線検出器11において、回路基板14上の電気接続部を除く領域およびシンチレータ層15を連続的に被覆する保護層46と、少なくとも回路基板14上の電気接続部を除く領域との間に中間層43を有機珪素化合物により形成することで、保護層46の剥離を防止し、特性及び信頼性を確保する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、光電変換基板、半導体光検出器および電気接続部を備えた回路基板を有する放射線検出器およびその製造方法に関する。
新世代のX線診断用画像検出器として、アクティブマトリクスや、CCDやCMOS等の固体撮像素子を用いた平面形の放射線検出器であるX線検出器が注目を集めている。この平面形のX線検出器にX線を照射することにより、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。このX線検出器は、固体検出器であることから、画質性能や安定性の面においても極めて期待が大きく、多くの研究開発が進められている。
アクティブマトリクスを用いたX線検出器の主な用途としては、比較的大きな線量で静止画像を収集する胸部、一般撮影用に開発され、近年商品化されている。より高性能で、透視線量下において毎秒30フレーム以上のリアルタイム動画を実現させる必要のある循環器、消化器分野への応用に対しても商品化が進められている。この動画用途に対しては、S/N比の改善や微小信号のリアルタイム処理等が重要な開発項目となっている。
また、CCDやCMOS等の固体撮像素子を用いたX線検出器の主な用途としては、大きな線量で静止画像を収集する工業用の非破壊検査や口腔内に挿入して静止画像を収集する歯科用等が近年商品化されている。このX線検出器では、動画用途への対応も含めて、S/N比の改善、微小信号のリアルタイム処理、X線検出器の小型化、および、信頼性の改善等が重要な開発項目となっている。
ところで、X線検出器は、直接方式と間接方式の2方式に大別される。
直接方式は、X線をa−Se等の光導電膜により直接電荷信号に変換し、電荷蓄積用キャパシタに導く方式である。この直接方式のX線検出器は、X線により発生した光導電電荷を高電界により直接的に電荷蓄積用キャパシタに導くため、ほぼアクティブマトリクスの画素電極ピッチで規定される解像度特性が得られる。
一方、間接方式は、シンチレータ層によりX線を一旦可視光に変換し、可視光をa−Siフォトダイオード、CCD、CMOS等により信号電荷に変換して電荷蓄積用キャパシタに導く方式である。このため、この間接方式のX線検出器は、シンチレータ層からの可視光がフォトダイオード、CCD、CMOSに到達するまでの光学的な拡散および散乱により解像度特性の劣化が生じる。
一般に、アクティブマトリクス基板を用いた間接方式のX線検出器は、単数もしくは複数の画素を有するアクティブマトリクス基板上に半導体光検出器が形成されるとともに、この半導体光検出器上にシンチレータ層が形成された構成、あるいは、半導体光検出器上に接合層を介してシンチレータパネルが形成され、このシンチレータパネルが、放射線を透過する支持基板上にシンチレータ層を有する構成となる。
そして、これらアクティブマトリクス基板を用いたX線検出器の基本動作原理としては、入射X線によりシンチレータ層で変換された可視光が、アクティブマトリクス基板上に形成された各々の半導体光検出器に到達することにより電気信号に変換され、かつ、この変換された電気信号が、画素電極に移動、および、電荷蓄積用キャパシタに蓄積される。
この電荷蓄積用キャパシタに蓄積された電荷を、アクティブマトリクス基板上に半導体光検出器が形成された回路基板上の配線パタンおよび電気接続部(例えばFPC接続用パッド等)を経由して順次出力信号として読み出し、所定の信号処理回路等にてデジタル画像信号に変換することにより、アクティブマトリクス基板を用いた間接方式のX線検出器が形成される。
また、上記のようなX線検出器においては、シンチレータ層で変換された可視光の利用効率を高めるため、シンチレータ層上やシンチレータパネルの支持基板上に反射層を形成した構成となることが多い。さらに、通常、直接方式および間接方式いずれのX線検出器においても、散乱X線による画像特性(解像度、コントラスト等)の劣化を防止するため、画素電極間を遮蔽する構造のX線グリッドが形成されることが多い。このため、反射層上に絶縁層等を介してX線グリッドを設ける構成、もしくは、反射層が形成されたシンチレータパネルの支持基板上にX線グリッドを設ける構成が、アクティブマトリクス基板を用いた間接方式のX線検出器のより一般的な検出器部分の基本構成となる。
次に、アクティブマトリクス基板は、主にガラスで構成される支持基板、薄膜トランジスタ(TFT)、電荷蓄積用キャパシタ、画素電極および絶縁層を備え、薄膜トランジスタと画素電極と電荷蓄積用キャパシタが、それぞれを1組とした格子状の配列を有し、各組がX線画像の画素に対応する回路構成を有する。
また、酸化珪素(SiO2)等で形成される絶縁層は、各画素電極を取り囲む、もしくはスルーホールを介して各画素電極と接続されるように配置される。
さらに、アクティブマトリクス基板では、格子状に配列された薄膜トランジスタのゲート電極を接続する制御電極を各行方向に配置し、薄膜トランジスタのドレイン電極を接続する読み出し電極を各列方向に配置した回路構成とすることにより、各画素に対応した画素電極に流入する電荷が、各々の薄膜トランジスタのゲート電極が駆動状態となるまで各々の電荷蓄積用キャパシタに保持され、この状態時に制御電極の一つを駆動状態にすると駆動状態となった制御電極に接続された一行の薄膜トランジスタが駆動状態となり、駆動状態となった各々の薄膜トランジスタに接続される電荷蓄積用キャパシタ電荷が読み出し電極に出力される。これにより、X線画像の特定行の画素に対応する信号が出力されることとなるため、制御電極の駆動制御により、全てのX線画像の画素に対応する信号を出力させることが可能となる。
そのため、通常、間接方式のX線検出器においては、その構造上、シンチレータ層の特性が重要となり、入射X線に対する出力信号強度を向上させるため、例えば、シンチレータ層には、CsI等のハロゲン化合物や、GOS等の酸化物系化合物等から構成される高輝度蛍光物質が用いられることが多く、特にCsI等のハロゲン化合物をシンチレータ層に用いた場合には、短冊状の柱状結晶構造を有するシンチレータ層を真空蒸着法を用いて形成することにより、解像度特性の改善等を図ることもある。
一般的な間接方式のX線検出器においては、X線検出器の高性能化、小型化、生産性向上等を図るべく開発が進められているが、シンチレータパネルを用いたX線検出器の基本構成では、支持基板での入射X線の吸収、すなわち入射X線に対する出力信号強度の劣化、支持基板の導入による検出器サイズの拡大、この支持基板の導入による部品点数の増加および接合層の形成による工程数の増加に起因する生産性の劣化、および、接合層での光学的な拡散および散乱、すなわち画像特性の劣化等の影響がある。そのため、アクティブマトリクス基板を用いた間接方式のX線検出器においては、検出器のより一層の高性能化、小型化、生産性向上を図るために、半導体光検出器上にシンチレータ層を形成する構成とすることが好ましい。
しかしながら、シンチレータ層に高輝度蛍光物質であるCsI等のハロゲン化合物を用いた場合、特に半導体光検出器上にシンチレータ層を形成するX線検出器の基本構成では、ヨウ素等のハロゲン元素の反応性が高いため、シンチレータ層と接触する半導体光検出器中の陽性元素等と反応し、腐食が発生したり、大気中の水分と反応してシンチレータ層が潮解したりするおそれがあるため、X線検出器の諸特性および信頼性の劣化と生産性の低下および生産コスト増加が発生する問題が生じる。
そこで、上記のようにシンチレータ層に高輝度蛍光物質であるCsI等のハロゲン化合物を用いた場合に対しては、例えば特許文献1に記載されているように、アクティブマトリクス基板上に半導体光検出器が形成された回路基板上の電気接続部以外の領域およびシンチレータ層を、絶縁性、水蒸気遮断性、シンチレータ層の発光に対する透過性、シンチレータ層を構成する物質に対する耐腐食性等を有する同物質の有機物もしくは無機物で構成される保護層により連続的に被覆した構造とすることにより、X線検出器の高性能化、小型化、信頼性向上、生産性向上および生産コスト低減が可能となる。
このため、この構成の場合、保護層の物性および機能が重要となるが、特に保護層として、耐腐食性、絶縁性、水蒸気遮断性、光学的な透過性が高く、かつ、厚膜化が容易で膜欠陥(ピンホール等)が発生し難い有機膜(例えばポリパラキシリレン)を形状一致性および均一性が高いCVD法等の気相成長法により形成した場合が最も効果的となる。
しかしながら、このようなX線検出器の構成において、保護層として有機膜をCVD法等の気相成長法により形成する場合、一般的に有機膜中には金属表面や酸化物表面と強固な結合を形成する物質が含まれないことが多いため、保護層と金属および酸化物で構成されるアクティブマトリクス基板および半導体光検出器との結合強度が非常に弱くなることから、X線検出器に熱ストレスや外力が印加された場合、保護層に界面剥離が発生するおそれがあり、X線検出器の諸特性および信頼性の劣化に繋がる。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、保護層の界面剥離を抑制し、諸特性および信頼性を確保した放射線検出器およびその製造方法を提供することを目的とする。
実施形態の放射線検出器は、表面に複数配列された画素電極およびスイッチング素子を有する光電変換基板、この光電変換基板に対向し、外部から入射した光を電気信号に変換する半導体光検出器、および、外部と電気的に接続される電気接続部を備えた回路基板を有する。また、放射線検出器は、回路基板に対向し、外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層を有する。さらに、放射線検出器は、回路基板上の電気接続部を除く領域およびシンチレータ層を連続的に被覆する保護層を有する。そして、放射線検出器は、少なくとも回路基板上の電気接続部を除く領域と保護層との間に有機珪素化合物により形成された中間層を有する。
また、実施形態の放射線検出器の製造方法は、少なくとも回路基板上の電気接続部を除く領域に中間層を、有機珪素化合物を用いて物理蒸着法により形成する中間層形成工程を有する。さらに、放射線検出器は、中間層を形成した後に、回路基板上の電気接続部を除く領域およびシンチレータ層上に有機物で構成される保護層を気相成長法により形成する保護層形成工程を有する。
以下、一実施形態の構成を図1ないし図9を参照して説明する。
図1ないし図3において、11は放射線検出器としてのX線検出器で、このX線検出器11は、間接方式のX線平面画像検出器である。このX線検出器11は、可視光Lを電気信号に変換する光電変換基板としてのアクティブマトリクス基板12と、このアクティブマトリクス基板12上に形成された光電変換素子である半導体光検出器13とを有する回路基板14、および、この回路基板14上に形成されたシンチレータ層15を備えている。
アクティブマトリクス基板12は、主としてガラスで構成される平面基板としての絶縁基板である支持基板21の表面に、一次元もしくは二次元的に複数の画素22が配列され、画素22毎に、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)23、電荷蓄積用キャパシタ24および画素電極25が形成されており、これら画素22毎に、可視光Lを電気信号に変換するフォトダイオード等の半導体光検出器13が形成されている。
また、支持基板21上には、この支持基板21の行方向に沿って複数の制御電極27が各画素22間に互いに離間されて形成されているとともに、支持基板21の列方向に沿って複数の読出電極28が各画素22間に互いに離間されて形成されている。制御電極27は、薄膜トランジスタ23のゲート電極23gと電気的に接続されており、読出電極28は、薄膜トランジスタ23のソース電極23sと電気的に接続されている。さらに、支持基板21上には、これら電極27,28と電気的に接続された外部接続用の電極パッドである電気接続部29が周辺部に形成されている。
薄膜トランジスタ23は、ゲート電極23gが支持基板21上に島状に形成されており、このゲート電極23gを含む支持基板21上に絶縁膜31が電気接続部29を除く領域に形成され、この絶縁膜31によりゲート電極23gが覆われている。この絶縁膜31上には、半導体により複数の半絶縁膜32がゲート電極23gに対応する位置(ゲート電極23gの上方)に島状に形成されており、これら半絶縁膜32は、薄膜トランジスタ23のチャネル領域として機能する。そして、半絶縁層23を含む絶縁膜31上には、薄膜トランジスタ23のソース電極23sおよびドレイン電極23dが互いに絶縁された状態でそれぞれ形成されている。これらソース電極23sおよびドレイン電極23dは、それぞれの一端部が半絶縁膜32上に積層されている。
各薄膜トランジスタ23のゲート電極23gは、同じ行に位置する他の薄膜トランジスタ23のゲート電極23gとともに共通の制御電極27に電気的に接続されている。また、各薄膜トランジスタ23のソース電極23sは、同じ列に位置する他の薄膜トランジスタ23のソース電極23sとともに共通の読出電極28に電気的に接続されている。
また、電荷蓄積用キャパシタ24は、支持基板21上に形成された島状の下部電極35と、この下部電極35を覆う絶縁膜31上の下部電極35に対応する位置(下部電極35の上方)に形成された島状の上部電極36とを有している。そして、各上部電極36は、絶縁膜31上に形成されたドレイン電極23dと電気的に接続されている。
そして、各薄膜トランジスタ23の半絶縁膜32、ソース電極23sおよびドレイン電極23dと、各電荷蓄積用キャパシタ24の上部電極36とのそれぞれを含む絶縁膜31上に、絶縁層38が形成されている。この絶縁層38は、支持基板21上の電気接続部29を除く領域に、酸化珪素(SiO2)等により形成され、各画素電極25を取り囲む、もしくは、絶縁層38に形成されたコンタクトホールであるスルーホール41を介して各薄膜トランジスタ23のドレイン電極23dと電気的に接続されている。
また、シンチレータ層15は、外部から入射した放射線としてのX線42を可視光Lに変換するもので、中間層43およびこの中間層43に形成された第1保護層44を介して回路基板14上に形成されている。このシンチレータ層15は、高輝度蛍光物質であるヨウ化セシウム(CsI)等のハロゲン化合物やガドリニウム硫酸化物(GOS)等の酸化物系化合物等の蛍光体が用いられ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、あるいはCVD法等の気相成長法により形成されている。さらに、このシンチレータ層15を覆って、第1保護層44と同一の物質でかつ同様の形成方法により第2保護層45が第1保護層44と一体に形成されている。これら第1保護層44および第2保護層45により、保護層46が構成されている。
ここで、保護層46は、絶縁性、水蒸気遮断性、シンチレータ層15の発光に対する透過性、シンチレータ層15を構成する物質に対する耐腐食性を有する有機物により構成されており、回路基板14上に電気接続部29を除く領域を連続的に被覆しているとともに、シンチレータ層15を密封している。なお、保護層46の形成プロセス(保護層形成工程)としては、形状一致性および均一性を考慮して、例えばCVD法等の気相成長法を用いることが好ましい。
そして、シンチレータ層15上には、このシンチレータ層15で変換された可視光Lの利用効率を高めるための反射層51が形成され、この反射層51上には、散乱X線による画像特性(解像度、コントラスト等)の劣化を防止するため、画素22間を遮蔽する格子状のX線グリッド52が形成されている。
中間層43は、少なくともアミノ基、エポキシ基、スルファド基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、メルカプト基、ケチミノ基のいずれかの有機官能基と、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、イソプロポキシ基のいずれかの加水分解基とを有する有機珪素化合物から形成されている。この中間層43は、回路基板14上の電気接続部29を除く領域に、例えば物理蒸着法により形成後、加水分解反応および縮合反応により形成される。
次に、中間層43を形成する有機珪素化合物の化学的構造および作用イメージ、有機珪素化合物と無機物表面との反応メカニズム、および、中間層43の形成プロセスの概略を図4ないし図9に示す。
図4に示すように、中間層43を形成する有機珪素化合物は、化学的構造として有機物との反応や相互作用が生じる有機官能基(A)と、加水分解反応および縮合反応により無機物と共有結合を生じる加水分解基(OB)とを有する。このため、水分によって有機珪素化合物の加水分解基(OB)が加水分解してシラノール基を生成後、無機物表面に存在する水酸基と水素結合を介して無機物表面へ移行し、さらに脱水縮合反応を経て無機物表面と強固な共有結合を形成し、かつ無機物表面に有機物との反応や相互作用(有機物内の官能基との反応、グラフト反応、共重合、相溶化等)が生じる有機官能基(A)が配向する形となることから、数原子層程度(数Å〜数十Å)でも化学的性質の異なる有機物と無機物間を強固に結合させることが可能となる。
また、図4および図6に示すように、中間層43を形成する有機珪素化合物の化学的構造および無機物表面との反応メカニズムから、中間層43の形成による光学的な影響(画像特性の劣化要因)を回避するためには、有機珪素化合物を回路基板14上の電気接続部29以外の領域に均一に薄く形成する必要がある必要がある。そのため、中間層43の形成プロセス(中間層形成工程)としては、有機珪素化合物を含有する溶液を用いたディッピング法、スプレー法、スピンコート法等でも可能であるが、例えば図7ないし図9に示す方法で形成することが好ましい。
すなわち、まず、図7に示すように、洗浄処理チャンバC1内の支持治具J1上に配置した回路基板14に対して、紫外線ランプULからの紫外線UVおよびオゾンOを作用させることで表面活性化(UV−O3洗浄処理等)する。このとき、電気接続部29の表面も活性化されることにより、電気接続部29の接続(ACF、あるいははんだ等)に対して有利となる。次いで、回路基板14の中間層43の非形成エリアにマスキングMAを施し、図8に示すように、密閉型処理チャンバC2内の支持治具J2上に配置した回路基板14を、密閉型処理チャンバC2内の有機珪素化合物を含有する溶液Sの飽和雰囲気A1中で曝露し(気化蒸着法)、加熱することで中間層43となる皮膜MEを形成する。そして、マスキングMAを除去した後、図9に示すように、乾燥処理チャンバC3内の支持治具J3上に回路基板14を配置し、この乾燥処理チャンバC3内の水分Hを含む雰囲気A2中で、ランプヒータLHからの赤外線IRにより乾燥処理を施すことにより皮膜MEを中間層43とする方法が、中間層43の形状一致性および均一性が高く、かつ、薄膜化(数原子層程度)も容易であるため、最も効果的となる。この後、中間層43上に、気相成長法により、第1保護層44(保護層46)を形成する。
このため、図1および図2に示すように、回路基板14上の電気接続部29以外の領域およびシンチレータ層15が、絶縁性、水蒸気遮断性、シンチレータ層15の発光に対する透過性、シンチレータ層15を構成する物質に対する耐腐食性を有する有機物で構成される保護層46により連続的に被覆された構造を有し、かつ、回路基板14上の電気接続部29以外の領域に形成された第1保護層44(保護層46)が、少なくともアミノ基、エポキシ基、スルファド基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、メルカプト基、ケチミノ基のいずれかの有機官能基を有し、かつメトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、イソプロポキシ基のいずれかの加水分解基を有する有機珪素化合物から形成される中間層43を介する構成とすると、X線平面画像検出器に熱ストレスや外力が印加された場合においても保護層46(第1保護層44)の界面剥離を防止できるため、諸特性および信頼性の向上を図ることが可能となる。
さらに、中間層43は、化学的構造から光学的な影響が生じない膜厚である数原子層程度(数Å〜数十Å)でも化学的性質の異なる有機物と無機物間を強固に結合させることが可能となるため、回路基板14上に中間層43を形成しても画像特性への影響が生じないことから、X線検出器11の高性能化、小型化、信頼性向上、生産性向上および生産コスト低減が可能となる。
すなわち、以上説明した実施形態によれば、回路基板14上の電気接続部29を除く領域に有機珪素化合物により中間層43を形成し、その中間層43上に有機物により保護層46(第1保護層44)を形成することで、中間層43によって有機物である保護層46と無機物である回路基板14側とを強固に結合できるので、保護層46の界面剥離を抑制でき、諸特性および信頼性を確保できる。
なお、X線42を検出するX線検出器11について説明したが、他の放射線を検出する放射線検出器についても同様に適用できる。
次に、実施例について説明する。
従来技術に対応する図10および図11に示す比較例、上記一実施形態に対応する実施例について検討する。比較例については、上記一実施形態と同じ名称の構成には同じ符号を用いるものとする。
図1および図2に示す実施例では、例えば、中間層43を構成する有機珪素化合物をビニルトリメトキシシラン、中間層43の形成プロセスを、図7ないし図9に示す気化蒸着法、保護層46(第1保護層44)の構成物質をポリパラキシリレン、保護層46(第1保護層44)の膜厚を5μm、シンチレータ層15の高輝度蛍光物質をCsI(Tlドープ)とする。
また、図10および図11に示す比較例では、保護層46(第1保護層44)の構成物質をポリパラキシリレン、保護層46(第1保護層44)の膜厚を5μm、シンチレータ層15の高輝度蛍光物質をCsI(Tlドープ)とする。
このとき、実施例は、回路基板14上の電気接続部29を除く領域が、少なくともアミノ基、エポキシ基、スルファド基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、メルカプト基、ケチミノ基のいずれかの有機官能基と、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、イソプロポキシ基のいずれかの加水分解基とを有する有機珪素化合物から形成される中間層43を介して保護層46(第1保護層44)により被覆された構成となるため、保護層46(第1保護層44)と金属および酸化物で構成されるアクティブマトリクス基板12および半導体光検出器13との結合強度が強固となることから、X線検出器11に熱ストレスや外力が印加された場合においても保護層46(第1保護層44)の界面剥離を防止できるため、諸特性および信頼性の向上を図ることが可能となる。
さらに、中間層43は、化学的構造から光学的な影響が生じない膜厚である数原子層程度(数Å〜数十Å)でも化学的性質の異なる有機物と無機物間を強固に結合させることが可能となるため、アクティブマトリクス基板12および半導体光検出器13上に中間層43を形成しても画像特性への影響が生じないことから、X線検出器11の高性能化、小型化、信頼性向上、生産性向上および生産コスト低減が可能となる。
ここで、実施例と比較例との特性比較(画像特性、クロスカット試験)を実施した結果を図12および図13に示す。
まず、同一条件下(管電圧:70kV、管電流:100mA、SID:1000mm、X線照射時間:0.1s)で感度および解像度(MTF)を測定し、比較例の値を1とした場合の比率を求めた結果を図12に示す。
図12の結果より、各実施例のX線検出器11の画像特性は、各比較例のX線検出器11aの画像特性と同等であることが判明した。
また、実施例と比較例とのクロスカット試験を同一条件下(試験条件A:5N/25mmの粘着力のテープを使用、試験条件B:10N/25mmの粘着力のテープを使用)で行った。その試験方法は、JIS K5600に準拠し、試験部位は、回路基板14上の電気接続部29を除く領域に形成された保護層46(第1保護層44)として行った。そして、このクロスカット試験後に回路基板14上の電気接続部29を除く領域に残留する保護層46(第1保護層44)の比率を、皮膜の残存率とした。
図13に示すように、実施例のX線検出器11では、クロスカット試験後でも、保護層46(第1保護層44)が100%残存したのに対して、比較例のX線検出器11aでは、クロスカット試験後に、試験条件A,Bのそれぞれにおいて皮膜の残存率が低下した。この結果より、実施例のX線検出器11は、比較例のX線検出器11aと比較して、保護層46(第1保護層44)の界面剥離を効果的に防止できることが判明した。
これら比較実験により、上記一実施形態に対応する実施例においては、従来技術に対応する従来例に対して特性の改善が観測されるため、X線検出器11の諸特性および信頼性の改善に対する効果が明確であるといえる。
なお、例えば、図1および図2に示す実施例の構成において、保護層46(第1保護層44)の構成物質をポリパラキシリレンとし、中間層43を構成する有機珪素化合物を、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等としても、中間層43を構成する有機珪素化合物をビニルトリメトキシシランとした場合と同様の効果が得られる。
11 放射線検出器としてのX線検出器
12 光電変換基板としてのアクティブマトリクス基板
13 半導体光検出器
14 回路基板
15 シンチレータ層
23 スイッチング素子としての薄膜トランジスタ
25 画素電極
29 電気接続部
42 放射線
43 中間層
46 保護層
12 光電変換基板としてのアクティブマトリクス基板
13 半導体光検出器
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15 シンチレータ層
23 スイッチング素子としての薄膜トランジスタ
25 画素電極
29 電気接続部
42 放射線
43 中間層
46 保護層
Claims (7)
- 表面に複数配列された画素電極およびスイッチング素子を有する光電変換基板、この光電変換基板に接し、外部から入射した光を電気信号に変換する半導体光検出器、および、外部と電気的に接続される電気接続部を備えた回路基板と、
この回路基板に対向し、外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層と、
前記回路基板上の前記電気接続部を除く領域および前記シンチレータ層を連続的に被覆する保護層と、
少なくとも前記回路基板上の前記電気接続部を除く領域と前記保護層との間に有機珪素化合物により形成された中間層と
を具備していることを特徴とする放射線検出器。 - 中間層を形成する有機珪素化合物は、
少なくともアミノ基、エポキシ基、スルファド基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、メルカプト基、ケチミノ基のいずれかの有機官能基と、
メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、イソプロポキシ基のいずれかの加水分解基とを備えている
ことを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。 - 保護層は、絶縁性、水蒸気遮断性、シンチレータ層の発光に対する透過性、このシンチレータ層を構成する物質に対する耐腐食性を有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の放射線検出器。 - 保護層は、ポリパラキシリレンを主成分とする有機物から形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の放射線検出器。 - シンチレータ層は、少なくともハロゲン化合物を含む高輝度蛍光物質で構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の放射線検出器。 - 表面に複数配列された画素電極およびスイッチング素子を有する光電変換基板、および、この光電変換基板に接し、外部から入射した光を電気信号に変換する半導体光検出器を備えた回路基板と、この回路基板に接し、外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層とを備えた放射線検出器の製造方法であって、
少なくとも前記回路基板上の電気接続部を除く領域に中間層を、有機珪素化合物を用いて物理蒸着法により形成する中間層形成工程と、
前記中間層を形成した後に、前記回路基板上の電気接続部を除く領域および前記シンチレータ層上に有機物で構成される保護層を気相成長法により形成する保護層形成工程とを備えている
ことを特徴とする放射線検出器の製造方法。 - 中間層形成工程は、少なくともアミノ基、エポキシ基、スルファド基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、メルカプト基、ケチミノ基のいずれかの有機官能基、および、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、イソプロポキシ基のいずれかの加水分解基を有する有機珪素化合物を少なくとも回路基板上の電気接続部を除く領域に物理蒸着法により形成した後、加水分解反応および縮合反応により前記有機珪素化合物を中間層化する工程を有する
ことを特徴とする請求項6記載の放射線検出器の製造方法。
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JP2010221821A JP2012078137A (ja) | 2010-09-30 | 2010-09-30 | 放射線検出器およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018530906A (ja) * | 2015-07-28 | 2018-10-18 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 放射線検出器の製造 |
WO2019176137A1 (ja) * | 2018-03-12 | 2019-09-19 | キヤノン電子管デバイス株式会社 | 放射線検出パネル、放射線検出器、および放射線検出パネルの製造方法 |
-
2010
- 2010-09-30 JP JP2010221821A patent/JP2012078137A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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CN111868567A (zh) * | 2018-03-12 | 2020-10-30 | 佳能电子管器件株式会社 | 放射线检测面板、放射线检测器和放射线检测面板的制造方法 |
EP3767341A4 (en) * | 2018-03-12 | 2021-12-08 | Canon Electron Tubes & Devices Co., Ltd. | RADIATION DETECTING PLATE, RADIATION DETECTOR AND METHOD FOR MANUFACTURING A RADIATION DETECTING PLATE |
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