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JP2012059858A - 静電吸着装置 - Google Patents

静電吸着装置 Download PDF

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JP2012059858A JP2010200531A JP2010200531A JP2012059858A JP 2012059858 A JP2012059858 A JP 2012059858A JP 2010200531 A JP2010200531 A JP 2010200531A JP 2010200531 A JP2010200531 A JP 2010200531A JP 2012059858 A JP2012059858 A JP 2012059858A
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Abstract

【課題】基板を複数の区画に区分けしたとき、各区画を区画毎に異なる大きさの力で静電吸着できる静電吸着装置を提供する。
【解決手段】
表面が平面状にされた誘電体から成るステージ11と、ステージ11の内部に互いに離間して配置された三個以上の静電吸着電極12と、各静電吸着電極12に直流電圧を印加する静電吸着電源とを有している。ステージ11の表面を、一の区画が他の区画に含まれることがなく、かつ各区画がそれぞれ複数個の静電吸着電極12を含むように、複数の区画A〜Dに区分けしたとき、各区画内に位置する静電吸着電極12には区画毎に同一の値の電圧が印加され、隣り合う二つの区画内に位置する静電吸着電極12には区画毎に互いに異なる値の電圧が印加されるように構成されている。各静電吸着電極12のステージ11の表面に平行な断面積は1cm2以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、静電吸着装置に関する。
現在、真空処理装置の真空槽内で処理対象物である基板を吸着保持する装置として静電吸着装置が用いられている。
図7は従来の静電吸着装置110の内部構成図、図8は同F−F線切断断面図を示している。
静電吸着装置110は、表面が平面状にされた誘電体から成るステージ111と、ステージ111の内部に互いに離間して配置された第一、第二の電極112a、112bと、第一、第二の電極112a、112bに直流電圧を印加する静電吸着電源115とを有している。
第一、第二の電極112a、112bはここでは櫛の歯状に形成され、歯の部分が互いに一定距離だけ離間してかみ合う向きに向けられている。
静電吸着電源115は、正電圧を出力する正電極と、負電圧を出力する負電極とを有している。第一、第二の電極112a、112bは静電吸着電源115の互いに異なる極性の電極に電気的に接続されている。
ステージ111の表面に電気絶縁性を有する基板が配置された状態で、静電吸着電源115から第一、第二の電極112a、112bに互いに異なる極性の直流電圧が印加されると、ステージ111の内部に生じた誘電分極により、基板はステージ111の表面に静電吸着される。
プラズマを用いたドライエッチングプロセスにおいて、従来の静電吸着装置110では、一枚の基板に加工できる加工形状や深さは、基板の静電容量の面内分布が均一な場合には、一種類のみであった。
そのため、一枚の基板にエッチングの深さや膜厚の異なる複数種類のデバイスが形成されるいわゆる乗り合い基板の製作は困難であり、複数種類の加工形状を得たい場合には、複数枚の基板に互いに異なるプロセスを用いて形状を作成する事でしか対応できず、複数回プロセスを繰り返すことになるため効率が悪かった。
また、乗り合い基板等の静電容量の面内分布が均一ではない基板をエッチングする場合には、静電吸着装置110から受ける静電吸着力の大きさに面内で差が生じるため、面内で同一の加工レートでエッチングすることが難しいという問題があった。
特開2003−045951号公報 特開2006−261489号公報
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、基板を複数の区画に区分けしたとき、各区画を区画毎に異なる大きさの力で静電吸着できる静電吸着装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、表面が平面状にされた誘電体から成るステージと、前記ステージの内部に互いに離間して配置された三個以上の静電吸着電極と、各前記静電吸着電極に直流電圧を印加する静電吸着電源と、を有する静電吸着装置であって、前記ステージの前記表面を、一の区画が他の区画に含まれることがなく、かつ各区画がそれぞれ複数個の前記静電吸着電極を含むように、複数の区画に区分けしたとき、各区画内に位置する前記静電吸着電極には区画毎に同一の値の電圧が印加され、隣り合う二つの前記区画内に位置する前記静電吸着電極には区画毎に互いに異なる値の電圧が印加されるように構成された静電吸着装置である。
本発明は、各前記静電吸着電極の前記ステージの前記表面に平行な断面積は1cm2以下である静電吸着装置である。
基板とステージとの間の熱抵抗を区画内では同一の値にし、異なる電圧が印加されている区画間では異なる値にすることができる。
基板に区画内では同一の形状を形成し、または同一の性質の薄膜を形成し、異なる電圧が印加されている区画間では異なる形状を形成し、または異なる性質の薄膜を形成することができる。
区画毎にエッチングの深さや膜厚が互いに異なる複数種類のデバイスを一枚の基板上に形成することができる。
静電容量の面内分布が均一ではない基板に、面内で同一の形状を形成し、または同一の性質の薄膜を形成できる。
本発明の静電吸着装置の内部構成図 本発明の静電吸着装置のE−E線切断断面図 本発明の静電吸着装置を有するプラズマエッチング装置の内部構成図 本発明の静電吸着装置を有するスパッタ成膜装置の内部構成図 本発明の静電吸着装置を有するCVD成膜装置の内部構成図 (a)、(b):静電吸着電極の形状と配置の例を説明するための図 従来の静電吸着装置の内部構成図 従来の静電吸着装置のF−F線切断断面図
<静電吸着装置の構造>
本発明の静電吸着装置の構造を説明する。
図1は静電吸着装置10の内部構成図、図2は同E−E線切断断面図を示している。
静電吸着装置10は、表面が平面状にされた誘電体から成るステージ11と、ステージ11の内部に互いに離間して配置された三個以上の静電吸着電極12と、各静電吸着電極12に直流電圧を印加する静電吸着電源15とを有している。
図2を参照し、ここでは各静電吸着電極12のステージ11の表面に平行な断面形状は正方形であり、ステージ11の表面に平行な一の平面上に行列状に配置されている。
図1を参照し、静電吸着電源15は、接地電位に置かれた接地電極と、接地電位に対して正電位を出力する正電極と、接地電位に対して負電位を出力する負電極とを有している。
静電吸着装置10は制御回路14と制御装置17とを有している。
制御回路14はここでは、複数の変圧器18と、複数の極性切替器19とを有している。
各変圧器18は、入力端子と、出力端子と、接地端子とを有している。各変圧器18の接地端子は静電吸着電源15の接地電極に電気的に接続され、出力端子はそれぞれ異なる静電吸着電極12に電気的に接続され、入力端子はそれぞれ異なる極性切替器19に電気的に接続されている。
各極性切替器19は、制御装置17から制御信号を受けると、制御信号に基づいて、静電吸着電源15の正電極又は負電極のいずれか一方の電極と電気的に接続されるように構成され、すなわち変圧器18の入力端子と静電吸着電源15の正電極又は負電極のいずれか一方の電極とが電気的に接続されるようになっている。
各変圧器18は、制御装置17から制御信号を受けると、制御信号に基づいて、入力端子に印加された直流電圧の大きさを増幅又は減衰させて、出力端子から出力するように構成されている。
制御装置17はここでは計算機であり、ステージ11の表面を、一の区画が環状の区画に取り囲まれて、他の区画の内側に位置すること、即ち、一の区画が他の一区画に含まれることがなく、かつ各区画がそれぞれ複数個の静電吸着電極12を含むように、複数の区画A、B、C、Dに区分けしたとき、各区画内A〜Dに位置する静電吸着電極12には区画毎に同一の値の電圧が印加され、隣り合う二つの区画内に位置する静電吸着電極12には区画毎に互いに異なる値の電圧が印加されるように、各変圧器18の電圧変化量と、各極性切替器19が接続すべき静電吸着電源15の電極とを決定するように構成されている。
制御装置17はここでは、ステージ11の表面上に配置された基板と、各静電吸着電極12との相対位置関係があらかじめ分かるようにされており、基板に真空処理で形成されるべきパターンが予め定められている場合や、既にパターンが形成されている場合には、基板のパターンに従ってステージ11の表面を区分けするようにされている。
各静電吸着電極12のステージ11の表面に平行な断面積は1cm2以下にされている。従って、各区画A〜Dの境界線の位置は1cm以下の単位で決定できるようになっている。
本発明の各静電吸着電極12の断面の形状は、図2に示すような正方形に限定されず、円形状や多角形状のものも本発明に含まれる。
本発明の各静電吸着電極12の配置は、各静電吸着電極12が互いに離間して配置されていれば、図2のように行列状に配置されている場合に限定されず、図6(a)に示すように千鳥配列にされている場合も本発明に含まれる。
また、図6(b)に示すように、各静電吸着電極12の断面の形状は帯状であり、ステージ11の表面に平行な一の平面上に、長手方向が互いに平行に向けられて長手方向と直角な方向に一列に並んで配置されているものも本発明に含まれる。
しかしながら、図6(b)の構造よりも図2や図6(a)の構造の方が、各静電吸着電極12の断面積が小さく、ステージ11の区画を基板のパターンに合わせて細かく区分けすることができるため好ましい。
<静電吸着装置を有する真空処理装置の第一例>
本発明の静電吸着装置10を有する真空処理装置の第一例としてプラズマエッチング装置を説明する。
図3はプラズマエッチング装置20の内部構成図を示している。
プラズマエッチング装置20は、真空槽21と、真空排気装置22と、本発明の静電吸着装置10と、基板冷却装置26と、エッチングガス導入部23と、プラズマ生成手段とを有している。
静電吸着装置10のステージ11は真空槽21内に配置され、制御回路14と、静電吸着電源15と、制御装置17は真空槽21の外側に配置されている。
プラズマ生成手段はここでは対向電極27と、プラズマ生成電源29とを有している。
対向電極27はステージ11の表面と離間して対面する位置に配置されている。プラズマ生成電源29は対向電極27に電気的に接続され、ここでは対向電極27に高周波電圧を印加できるように構成されている。
ステージ11には表面と裏面とを貫通する貫通孔が設けられ、基板冷却装置26はステージ11の裏面側から貫通孔に接続されている。基板冷却装置26は貫通孔内に温度管理された冷却ガスを放出できるように構成されている。
ステージ11の表面に基板25が配置された状態で、基板冷却装置26から冷却ガスを放出させると、冷却ガスはステージ11の表面と基板25の裏面との間を流れ、基板25が冷却されるようになっている。
基板25とステージ11との間の熱抵抗が均一な場合には、基板25の裏面全体が均一に冷却されるようになっている。
真空排気装置22は真空槽21内に接続され、真空槽21内を真空排気できるように構成されている。エッチングガス導入部23は真空槽21内に接続され、真空槽21内にエッチングガスを導入できるように構成されている。
真空槽21は接地電位におかれている。
プラズマエッチング装置20の使用方法を、GaAs基板のエッチングを例に説明する。
まず、比較例として、真空排気装置22により、真空槽21内を真空排気する。以後真空排気を継続して、真空槽21内の真空雰囲気を維持する。
真空槽21内の真空雰囲気を維持したまま、真空槽21内に電気絶縁性を有する基板25を搬入し、ステージ11の表面に載置する。ここでは基板25に直径4インチのGaAs基板を用いる。基板25の静電容量の面内分布は面内で均一にされている。
図2を参照し、ステージ11の表面をここでは4つの区画A、B、C、Dに区分けし、静電吸着電源15から各区画A、B、C、D内に位置する各静電吸着電極12にいずれも10Vの直流電圧を印加させる。
基板冷却装置26から冷却ガスを放出させて、ステージ11上の基板25を冷却させ、以後冷却を継続する。
エッチングガス導入部23から真空槽21内にエッチングガスを導入する。ここではエッチングガスとしてCl2ガスを用いる。
プラズマ生成電源29から対向電極27に高周波電圧を印加すると、導入されたエッチングガスがプラズマ化される。
プラズマ中の電子は基板25に到達して、基板25は負に帯電され、ステージ11の表面に静電吸着される。静電吸着電極12にはいずれも同じ大きさの正電圧が印加されており、基板25の各区画A〜D内に位置する各部分は同一の大きさの静電吸着力でステージ11に吸着される。従って、基板25とステージ11との間の熱抵抗は各区画A〜D間で同一にされ、基板25の全体は均一に冷却される。
プラズマ中のラジカルは基板25の表面に到達して、基板25の表面がエッチングされる。
所定の時間エッチングを継続した後、プラズマ生成電源29からの電圧供給を停止すると、プラズマが消失して、基板25の静電吸着が解除される。
エッチングガス導入部23からのエッチングガスの導入を停止し、基板冷却装置26からの冷却ガスの放出を停止する。
真空槽21内の真空雰囲気を維持しながら基板25を真空槽21の外側に搬出する。
基板25の単位時間当たりに削られた深さである加工レートを各区画A〜Dに対応する各部分でそれぞれ求めると、各区画A〜Dに対応する各部分の加工レートはいずれも20Å/minであった。
次いで、実施例として、真空槽21内の真空雰囲気を維持しながら別の基板25を搬入し、ステージ11の表面上に載置する。基板25には直径4インチのGaAs基板を用いる。基板25の静電容量の面内分布は面内で均一にされている。
静電吸着電源15から各区画A、B、C、D内に位置する静電吸着電極12に、ここではそれぞれ0、20、−20、10Vの直流電圧を印加させると、基板25はステージ11の表面に静電吸着される。
基板冷却装置26から冷却ガスを放出させて、ステージ11上の基板25を冷却させ、以後冷却を継続する。
区画毎に異なる値の電圧が印加されているので、区画毎の静電吸着力の大きさは異なり、区画毎に基板25とステージ11との間の熱抵抗が異なっている。
比較例と同様にして、エッチングガス導入部23から真空槽21内にエッチングガスを導入する。エッチングガスにはCl2ガスを用いる。
プラズマ生成電源29から対向電極27に高周波電圧を印加すると、導入されたエッチングガスがプラズマ化される。プラズマ中のラジカルは基板25の表面に到達して、基板25の表面がエッチングされる。
所定の時間エッチングを継続した後、プラズマ生成電源29からの電圧供給を停止し、エッチングガス導入部23からのエッチングガスの導入を停止する。基板冷却装置26からの冷却ガスの放出を停止する。
各区画A〜D内に位置する静電吸着電極12に以前とは逆極性の直流電圧を印加して、基板25の静電吸着を解除させた後、真空槽21内の真空雰囲気を維持しながら基板25を真空槽21の外側に搬出する。
基板25の単位時間当たりに削られた深さである加工レートを各区画A〜Dに対応する各部分でそれぞれ求めると、各区画A、B、C、Dに対応する各部分の加工レートはそれぞれ20、20、30、5Å/minであった。
比較例と実施例の計測結果を表1にまとめて示す。
Figure 2012059858
つまり、各静電吸着電極12に区画毎に異なる値の電圧を印加して基板25を静電吸着させることで、区画毎に異なる加工レートでエッチングできることがわかる。
<静電吸着装置を有する真空処理装置の第二例>
本発明の静電吸着装置10を有する真空処理装置の第二例としてスパッタ成膜装置を説明する。
図4はスパッタ成膜装置30の内部構成図を示している。
スパッタ成膜装置30は、真空槽31と、真空排気装置32と、本発明の静電吸着装置10と、基板冷却装置36と、スパッタガス導入部33と、バッキングプレート37と、スパッタ電源39とを有している。
静電吸着装置10のステージ11は真空槽31内に配置され、制御回路14と、静電吸着電源15と、制御装置17は真空槽31の外側に配置されている。
バッキングプレート37はステージ11の表面と離間して対面する位置に配置され、バッキングプレート37のステージ11の表面と対面する面にはターゲット34が密着して固定されている。
スパッタ電源39はバッキングプレート37に電気的に接続され、ここではバッキングプレート37に高周波電圧を印加できるように構成されている。
ステージ11には表面と裏面とを貫通する貫通孔が設けられ、基板冷却装置36はステージ11の裏面側から貫通孔に接続されている。基板冷却装置36は貫通孔内に温度管理された冷却ガスを放出できるように構成されている。
ステージ11の表面に基板35が配置された状態で、基板冷却装置36から冷却ガスを放出させると、冷却ガスはステージ11の表面と基板35の裏面との間を流れて、基板35が冷却されるようになっている。
基板35とステージ11との間の熱抵抗が均一な場合には、基板35の裏面全体が均一に冷却されるようになっている。
真空排気装置32は真空槽31内に接続され、真空槽31内を真空排気できるように構成されている。スパッタガス導入部33は真空槽31内に接続され、真空槽31内にスパッタガスを導入できるように構成されている。
真空槽31は接地電位におかれている。
スパッタ成膜装置30の使用方法を、TiOx薄膜のスパッタ成膜を例に説明する(xは0より大きく2以下の実数である)。
まず、比較例として、真空排気装置32により、真空槽31内を真空排気する。以後真空排気を継続して、真空槽31内の真空雰囲気を維持する。
バッキングプレート37の表面にはあらかじめTiOxのターゲット34が固定されている。
真空槽31内の真空雰囲気を維持したまま、真空槽31内に電気絶縁性を有する基板35を搬入し、ステージ11の表面に載置する。基板35の静電容量の面内分布は面内で均一にされている。
図2を参照し、ステージ11の表面をここでは4つの区画A、B、C、Dに区分けし、静電吸着電源15から各区画A、B、C、D内に位置する各静電吸着電極12にいずれも10Vの直流電圧を印加させる。
図4を参照し、基板冷却装置36から冷却ガスを放出させて、ステージ11上の基板35を冷却させ、以後冷却を継続する。
スパッタガス導入部33から真空槽31内にスパッタガスを導入する。ここではスパッタガスとしてArガスを用いる。
スパッタ電源39からバッキングプレート37に高周波電圧を印加すると、導入されたスパッタガスがプラズマ化される。
プラズマ中の電子は基板35に到達して、基板35は負に帯電され、ステージ11の表面に静電吸着される。静電吸着電極12にはいずれも同じ大きさの正電圧が印加されており、基板35の各区画A〜D内に位置する各部分は同一の大きさの静電吸着力でステージ11に吸着される。従って、基板35とステージ11との間の熱抵抗は各区画A〜D間で同一にされ、基板35の全体は均一に冷却される。
プラズマ中のイオンはターゲット34の表面に入射して、ターゲット34をスパッタする。ターゲット34から放出されたTiOxの粒子は、基板35の表面に到達して、基板35の表面にTiOxの薄膜が成膜される。
所定の時間スパッタを継続した後、スパッタ電源39からの電圧供給を停止すると、プラズマが消失して、基板35の静電吸着が解除される。
スパッタガス導入部33からのスパッタガスの導入を停止し、基板冷却装置36からの冷却ガスの放出を停止する。
真空槽31内の真空雰囲気を維持しながら基板35を真空槽31の外側に搬出する。
基板35に形成されたTiOxの薄膜の体積抵抗率を各区画A〜Dに対応する各部分でそれぞれ求めると、各区画A〜Dに対応する各部分の体積抵抗率はいずれも1014Ω/cm3であった。
次いで、実施例として、真空槽31内の真空雰囲気を維持しながら別の基板35を搬入し、ステージ11の表面上に載置する。基板35の静電容量の面内分布は面内で均一にされている。
静電吸着電源15から各区画A、B、C、D内の静電吸着電極12に、ここではそれぞれ0、20、−20、10Vの直流電圧を印加させると、基板35はステージ11の表面に静電吸着される。
基板冷却装置36から冷却ガスを放出させて、ステージ11上の基板35を冷却させ、以後冷却を継続する。
区画毎に異なる値の電圧が印加されているので、区画毎の静電吸着力の大きさは異なり、区画毎に基板35とステージ11との間の熱抵抗が異なっている。
比較例と同様にして、スパッタガス導入部33から真空槽31内にスパッタガスを導入する。
スパッタ電源39からバッキングプレート37に高周波電圧を印加すると、導入されたスパッタガスがプラズマ化される。プラズマ中のイオンはターゲット34の表面に入射して、ターゲット34の表面をスパッタする。ターゲット34から放出されたTiOxの粒子は、基板35の表面に到達して、基板35の表面にTiOxの薄膜が成膜される。
所定の時間スパッタを継続した後、スパッタ電源39からの電圧供給を停止し、スパッタガス導入部33からのスパッタガスの導入を停止する。基板冷却装置36からの冷却ガスの放出を停止する。
各区画A〜D内に位置する静電吸着電極12に以前とは逆極性の直流電圧を印加して、基板35の静電吸着を解除させた後、真空槽31内の真空雰囲気を維持しながら基板35を真空槽31の外側に搬出する。
基板35に形成されたTiOxの薄膜の体積抵抗率を各区画A〜Dに対応する各部分でそれぞれ求めると、各区画A、B、C、Dに対応する各部分の体積抵抗率はそれぞれ1013、1012、1012、1014Ω/cm3であった。
比較例と実施例の計測結果を表2にまとめて示す。
Figure 2012059858
つまり、各静電吸着電極12に区画毎に異なる値の電圧を印加して基板35を吸着させることで、区画毎に異なる体積抵抗率のTiOx薄膜を成膜できることがわかる。
<静電吸着装置の第三の実施例>
本発明の静電吸着装置10を有する真空処理装置の第三例としてプラズマCVD成膜装置を説明する。
図5はCVD成膜装置40の内部構成図を示している。
CVD成膜装置40は、真空槽41と、真空排気装置42と、本発明の静電吸着装置10と、基板加熱装置と、シャワープレート47と、原料ガス源44と、反応ガス源43と、プラズマ生成電源49とを有している。
静電吸着装置10のステージ11は真空槽41内に配置され、制御回路14と、静電吸着電源15と、制御装置17は真空槽41の外側に配置されている。
シャワープレート47は中空の筐体であり、一面に複数の放出孔が設けられている。
シャワープレート47はステージ11の表面と離間して対面する位置に配置され、放出孔が設けられた面はステージ11の表面と対面するように向けられている。
原料ガス源44と反応ガス源43は、それぞれ原料ガスと、原料ガスと混ざると反応する反応ガスとを放出するように構成されている。
原料ガス源44と反応ガス源43はそれぞれシャワープレート47に接続され、原料ガス源44から放出された原料ガスと反応ガス源43から放出された反応ガスは、シャワープレート47の放出孔に到達するまでは互いに混ざることはなく、放出孔から真空槽41内に放出されてから混ざるようにされている。
シャワープレート47にはプラズマ生成電源49が電気的に接続され、シャワープレート47に高周波電圧を印加できるように構成されている。
基板加熱装置はここでは電熱抵抗が埋め込まれたホットプレート48と、加熱電源50とを有している。ホットプレート48はステージ11の裏面に配置され、加熱電源50はホットプレート48内部の電熱抵抗に電気的に接続されている。
加熱電源50から電熱抵抗に直流電流を流すと、電熱抵抗は発熱して、ステージ11と、ステージ11上に配置された基板45とを加熱するようになっている。
基板45とステージ11との間の熱抵抗が均一な場合には、基板45の裏面全体が均一に加熱されるようになっている。
真空排気装置42は真空槽41内に接続され、真空槽41内を真空排気できるように構成されている。
真空槽41は接地電位におかれている。
CVD成膜装置40の使用方法をSiN薄膜のCVD成膜を例に説明する。
まず、比較例として、真空排気装置42により、真空槽41内を真空排気する。以後真空排気を継続して、真空槽41内の真空雰囲気を維持する。
真空槽41内の真空雰囲気を維持したまま、真空槽41内に電気絶縁性を有する基板45を搬入し、ステージ11の表面に載置する。基板45の静電容量の面内分布は面内で均一にされている。
図2を参照し、ステージ11の表面をここでは4つの区画A、B、C、Dに区分けし、静電吸着電源15から各区画A、B、C、D内に位置する各静電吸着電極12にいずれも10Vの直流電圧を印加させる。
図5を参照し、加熱電源50からホットプレート48内部の電熱抵抗に直流電流を流して、ステージ11上の基板45を加熱させ、以後加熱を継続する。
ここでは原料ガスにSiH4ガスを使用し、反応ガスにNH3ガスを使用する。
原料ガス源44と反応ガス源43から原料ガスと反応ガスをそれぞれ放出させると、原料ガスと反応ガスはシャワープレート47の放出孔から真空槽41内に放出されて混じり合う。
プラズマ生成電源49からシャワープレート47に高周波電圧を印加すると、放出された原料ガスと反応ガスがプラズマ化される。
プラズマ中の電子は基板45に到達して、基板45は負に帯電され、ステージ11の表面に静電吸着される。静電吸着電極12にはいずれも同じ大きさの正電圧が印加されており、基板45の各区画A〜D内に位置する各部分は同一の大きさの静電吸着力でステージ11に吸着される。従って、基板45とステージ11との間の熱抵抗は各区画A〜D間で同一にされ、基板45の全体は均一に加熱される。
プラズマ中のラジカルは加熱された基板45上で化学反応を起こし、基板45の表面にSiNの薄膜が形成される。
所定の時間CVD成膜を継続した後、プラズマ生成電源49からの電圧供給を停止すると、プラズマが消失して、基板45の静電吸着が解除される。
原料ガス源44と反応ガス源43からの原料ガスと反応ガスの放出を停止し、加熱電源50からの電流供給を停止する。
真空槽41内の真空雰囲気を維持しながら基板45を真空槽41の外側に搬出する。
基板45に形成されたSiNの薄膜の屈折率を各区画A〜Dに対応する各部分でそれぞれ求めると、各区画A〜Dに対応する各部分の屈折率はいずれも1.9であった。
次いで、実施例として、真空槽41内の真空雰囲気を維持しながら別の基板45を搬入し、ステージ11の表面上に載置する。基板45の静電容量の面内分布は面内で均一にされている。
静電吸着電源15から各区画A、B、C、D内に位置する静電吸着電極12に、ここではそれぞれ0、20、−20、10Vの直流電圧を印加させると、基板45はステージ11の表面に静電吸着される。
加熱電源50からホットプレート48内部の電熱抵抗に直流電流を流して、ステージ11上の基板45を加熱させ、以後加熱を継続する。
区画毎に異なる値の電圧が印加されているので、区画毎の静電吸着力の大きさは異なり、区画毎に基板45とステージ11との間の熱抵抗が異なっている。
比較例と同様にして、原料ガス源44と反応ガス源43から原料ガスと反応ガスをそれぞれ放出させると、原料ガスと反応ガスはシャワープレート47の放出孔から真空槽41内に放出されて混じり合う。
プラズマ生成電源49からシャワープレート47に高周波電圧を印加すると、放出された原料ガスと反応ガスがプラズマ化される。プラズマ中のラジカルは加熱された基板45上で化学反応を起こし、基板45の表面にSiNの薄膜が形成される。
所定の時間CVD成膜を継続した後、プラズマ生成電源49からの電圧供給を停止し、原料ガス源44と反応ガス源43からの原料ガスと反応ガスの放出を停止する。加熱電源50からの電流供給を停止する。
各区画A〜D内に位置する静電吸着電極12に以前とは逆極性の直流電圧を印加して、基板45の静電吸着を解除させた後、真空槽41内の真空雰囲気を維持しながら基板45を真空槽41の外側に搬出する。
基板45に形成されたSiNの薄膜の屈折率を各区画A〜Dに対応する各部分でそれぞれ求めると、各区画A、B、C、Dに対応する各部分の屈折率はそれぞれ1.8、1.9、2.1、1.9であった。
比較例と実施例の計測結果を表3にまとめて示す。
Figure 2012059858
つまり、各静電吸着電極12に区画毎に異なる値の電圧を印加して基板45を吸着させることで、区画毎に異なる屈折率のSiN薄膜を成膜できることがわかる。
上記説明の実施例では、静電容量の面内分布が均一な基板に対して、各区画内に位置する静電吸着電極に区画毎に異なる値の電圧を印加して、基板の各区画内に位置する互いに異なる部分を互いに異なる大きさの力で静電吸着させ、互いに異なる形状を形成させ、または互いに異なる性質の薄膜を形成させたが、本発明は、静電容量の面内分布が均一ではない基板に対して、面内分布が分かっている場合には、面内分布に従って区画を区分けし、各区画内に位置する静電吸着電極に区画毎に異なる値の電圧を印加して、基板の面内を同一の大きさの力で静電吸着させ、面内で同一の形状を形成させ、または面内で同一の性質の薄膜を形成させることもできる。
本発明の静電吸着装置10を有する真空処理装置20、30、40のプラズマ生成手段は、真空槽内に導入されたガスをプラズマ化できるならば上記構成に限定されず、平行平板型、マグネトロン型、ECR型、ヘリコン型、ICP型等の他の公知技術で構成することもできる。
本発明の静電吸着装置10は、上述のように、プラズマエッチング装置20と、スパッタ成膜装置30と、CVD成膜装置40とで使用するものに限定されず、プラズマアッシング装置等の基板の処理にプラズマを使用する他の真空処理装置で使用することもできる。
また本発明の静電吸着装置10は、少なくとも一の区画内に位置する静電吸着電極に正電圧が印加され、他の区画内に位置する静電吸着電極に負電圧が印加されて双極型の静電吸着装置として使用される場合には、真空蒸着装置等の基板の処理にプラズマを使用しない真空処理装置で使用することもできる。
本発明の静電吸着装置10で吸着対象とする基板や基板に形成する薄膜は、電気絶縁性を有するものであれば上述の材質に限定されず、Al23、SiO2、PZT、LiNbO3、SiC等の材質も用いることができる。
10……静電吸着装置
11……ステージ
12……静電吸着電極
15……静電吸着電源

Claims (2)

  1. 表面が平面状にされた誘電体から成るステージと、
    前記ステージの内部に互いに離間して配置された三個以上の静電吸着電極と、
    各前記静電吸着電極に直流電圧を印加する静電吸着電源と、
    を有する静電吸着装置であって、
    前記ステージの前記表面を、一の区画が他の区画に含まれることがなく、かつ各区画がそれぞれ複数個の前記静電吸着電極を含むように、複数の区画に区分けしたとき、
    各区画内に位置する前記静電吸着電極には区画毎に同一の値の電圧が印加され、
    隣り合う二つの前記区画内に位置する前記静電吸着電極には区画毎に互いに異なる値の電圧が印加されるように構成された静電吸着装置。
  2. 各前記静電吸着電極の前記ステージの前記表面に平行な断面積は1cm2以下である請求項1記載の静電吸着装置。
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