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JP2012052018A - 蛍光体含有組成物およびそれを焼成してなる波長変換部材 - Google Patents

蛍光体含有組成物およびそれを焼成してなる波長変換部材 Download PDF

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JP2012052018A
JP2012052018A JP2010195608A JP2010195608A JP2012052018A JP 2012052018 A JP2012052018 A JP 2012052018A JP 2010195608 A JP2010195608 A JP 2010195608A JP 2010195608 A JP2010195608 A JP 2010195608A JP 2012052018 A JP2012052018 A JP 2012052018A
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Ryota Suzuki
良太 鈴木
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Abstract

【課題】ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と有機樹脂とを含有する、波長変換部材を作製するための蛍光体含有組成物であって、焼成後に有機樹脂が残存しにくく、発光強度に優れた波長変換部材を作製することが可能な蛍光体含有組成物を提供する。
【解決手段】ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と、ポリアルキレンカーボネート系樹脂とを含有することを特徴とする蛍光体含有組成物、および、それを焼成してなることを特徴とする波長変換部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、白色LED等に用いられる波長変換部材を作製するために好適な蛍光体含有組成物および当該蛍光体含有組成物を焼成してなる波長変換部材に関するものである。
白色LEDは、低消費電力、水銀フリー、長寿命等の利点を有しており、白熱電球や蛍光灯に代わる次世代光源として、一般照明、液晶バックライト、ヘッドランプ等へ応用されている。白色LEDは、例えばLEDチップの発光面が無機蛍光体粉末を含む有機系バインダー樹脂によってモールドされた構成を有している。このモールド部分をLEDチップから発せられた励起光が通過する際に、その励起光の全部が無機蛍光体粉末に吸収されて波長変換する、あるいは、励起光の一部が無機蛍光体粉末に吸収され、波長変換された光と透過した励起光とが合成されて所望の光が発せられる。
しかしながら、上記LED素子を構成するモールド樹脂は、青色〜紫外線領域の高出力の短波長の光によって劣化し、変色を引き起こすという問題がある。この問題を解決するために、500℃以上の軟化点を有する非鉛系ガラス粉末と無機蛍光体粉末を含む無機粉末をガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成することで、ガラスマトリクス中に無機蛍光体粉末を分散させた波長変換部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている波長変換部材は、無機蛍光体粉末が無機材料であるガラス中に分散されているため、化学的に安定であり、しかも、高出力の励起光に長時間晒されても変色が少ないという特徴を有する。
特許文献1に記載されている波長変換部材は、ガラス粉末と無機蛍光体粉末を含有する無機粉末を所望形状の金型を用いて予備成型した後、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成することにより作製される。
特開2003−258308号公報
近年、用途の多様化にともない、従来の円盤状や直方体状以外の複雑な形状(例えば、球状、半球状、メニスカスレンズ状、箱状、円錐状、薄板状等)の波長変換部材が要求されている。このような複雑な形状を有する波長変換部材を寸法精度よく作製するためには、例えば、原料粉末を顆粒状に造粒して粉末粒度を揃えることが有効である。この際、原料無機粉末に有機樹脂が添加されるが、当該原料無機粉末を焼成して得られる波長変換部材は発光強度に劣るという問題があった。
したがって、本発明は、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と有機樹脂とを含有する、波長変換部材を作製するための蛍光体含有組成物であって、発光強度に優れた波長変換部材を作製することが可能な蛍光体含有組成物を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と有機樹脂とを含有する蛍光体含有組成物において、低温で熱分解可能な特定の有機樹脂を使用することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。
すなわち、本発明は、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と、ポリアルキレンカーボネート系樹脂とを含有することを特徴とする蛍光体含有組成物に関する。
本発明の蛍光体含有組成物は、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有してなるものであるため、当該蛍光体含有組成物を焼成してなる波長変換部材において、ガラスマトリクス中に無機蛍光体粉末を均一に分散させることが容易である。また、組成物中に有機樹脂を含んでいるため、顆粒状に造粒することが容易である。ここで、本発明において有機樹脂として使用されているポリアルキレンカーボネート系樹脂は、250〜300℃という比較的低温で分解するため、焼成後に炭素成分が残存しにくく、発光強度に優れた波長変換部材を作製することが可能となる。
第二に、本発明の蛍光体含有組成物は、ポリアルキレンカーボネート系樹脂が、ポリエチレンカーボネート系樹脂またはポリプロピレンカーボネート系樹脂であることを特徴とする。
第三に、本発明の蛍光体含有組成物は、無機粉末100質量部に対して、ポリアルキレンカーボネート系樹脂を0.1〜20質量部含有することを特徴とする。
第四に、本発明の蛍光体含有組成物は、ガラス粉末が、SnO−P系ガラスであることを特徴とする。
SnO−P系ガラスは軟化点が比較的低く、低温焼結が可能であるため、焼成時における無機蛍光体粉末の劣化を抑制することができる。結果として、発光強度に優れた波長変換部材を得ることが可能となる。
第五に、本発明の蛍光体含有組成物は、SnO−P系ガラスが、組成としてモル%で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有することを特徴とする。
第六に、本発明の蛍光体含有組成物は、無機蛍光体粉末が、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、希土類硫化物、アルミン酸塩化物およびハロリン酸塩化物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
第七に、本発明の蛍光体含有組成物は、無機粉末における無機蛍光体粉末の含有量が0.01〜30質量%であることを特徴とする。
第八に、本発明の蛍光体含有組成物は、顆粒状であることを特徴とする。
蛍光体含有組成物が顆粒状であることにより、造粒前の微粉状の粉末と比較して、取扱いが容易になる。具体的には、蛍光体含有組成物粒子の形状を略球形にすることができ、かつ粒度を揃えることができるため、蛍光体含有組成物の流動性が向上し、予備成型する際の金型への充填量の再現性が良好となる。その結果、寸法精度に優れ、発光特性のばらつきが少ない波長変換部材を得ることが可能となる。
第九に、本発明は、前記いずれかの蛍光体含有組成物を焼成してなることを特徴とする波長変換部材に関する。
第十に、本発明は、前記波長変換部材を用いたことを特徴とするLEDデバイスに関する。
第十一に、本発明は、前記いずれかの蛍光体含有組成物を製造する方法であって、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と、溶媒に溶解させたポリアルキレンカーボネート系樹脂を混合した後、脱溶媒することを特徴とする蛍光体含有組成物の製造方法に関する。
第十二に、本発明の蛍光体含有組成物の製造方法は、脱溶媒を、造粒機により行うことを特徴とする。
当該構成によれば、所望の粒径を有する略球形の顆粒状の蛍光体含有組成物を容易に作製することが可能となる。
第十三に、本発明は、前記いずれかにの蛍光体含有組成物を所定形状に成形して予備成形体を得る工程、予備成形体を熱処理して脱脂する工程、脱脂後の予備成形体を、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成する工程、を含むことを特徴とする波長変換部材の製造方法に関する。
第十四に、本発明の波長変換部材の製造方法は、脱脂後の予備成形体の焼成を、不活性雰囲気中で行うことを特徴とする。
使用するガラス粉末の種類によっては、大気等の酸化雰囲気下で焼成を行うと、黒変して波長変換部材の発光強度が著しく低下する場合がある(例えば、SnO−P系ガラス)。そのようなガラス粉末を使用した場合であっても、予備成形体の焼成を不活性雰囲気中で行うことにより、黒変を抑制し、発光強度に優れた波長変換部材を作製することが可能となる。
また、予備成形体の焼成を不活性雰囲気中で行うことにより、焼成時における無機蛍光体粉末の劣化を抑制することが可能となる。
第十五に、本発明の波長変換部材の製造方法は、不活性雰囲気が、真空、窒素またはアルゴンであることを特徴とする。
実施例の波長変換部材について測定した発光スペクトルを示すグラフである。
本発明の蛍光体含有組成物は、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と、ポリアルキレンカーボネート系樹脂とを含有することを特徴とする。
ガラス粉末としては、低温で焼結可能な低融点ガラスであることが好ましい。そのようなガラスとしては、SnO−P系ガラス、RO−B−SiO系ガラス(R=Mg、Ca、Sr、Ba)、ZnO−B−SiO系ガラス等が挙げられる。
SnO−P系ガラスとしては、組成としてモル%で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有するものであることが好ましい。ガラス組成を当該範囲に限定した理由を以下に説明する。
SnOはガラスの骨格を形成するとともに、軟化点を低下させる成分である。SnOの含有量は35〜80%、40〜70%、50〜70%、特に55〜65%であることが好ましい。SnOの含有量が35%より少なくなると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、低温焼結が困難となる。結果として、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる。一方、SnOの含有量が80%より多くなると、ガラス中にSnに起因する失透ブツが析出し、ガラスの透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光強度を有する波長変換部材が得られにくくなる。また、ガラス化しにくくなる。
はガラスの骨格を形成する成分である。Pの含有量は5〜40%、10〜30%、特に15〜24%であることが好ましい。Pの含有量が5%より少なくなると、ガラス化しにくくなる。一方、Pの含有量が40%より多くなると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、低温焼結が困難となる。結果として、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる。また、耐候性が著しく低下する傾向にある。
なお、ガラスの軟化点を低下させ、かつ安定化させるには、SnO/Pの値が、モル比で、0.9〜16、1.5〜16、1.5〜10、特に2〜5であることが好ましい。SnO/Pの値が0.9より小さくなると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、低温焼結が困難となる。結果として、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる。また、ガラスの耐候性が著しく低下する傾向にある。一方、SnO/Pの値が16より大きくなると、ガラス中にSnに起因する失透ブツが析出し、ガラスの透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光効率を有する波長変換部材が得られにくくなる。
はガラスと無機蛍光体粉末の反応を抑制するとともに、耐候性を向上させる成分である。また、ガラスを安定化させる成分でもある。Bの含有量は0〜30%、1〜30%、2〜20%、特に4〜18%であることが好ましい。Bの含有量が30%より多くなると、無機蛍光体粉末と反応したり、耐候性が低下しやすくなる。また、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、低温焼結が困難となる。結果として、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる。
また、上記成分以外にも下記の成分を添加することが可能である。
Alはガラスを安定化させる成分である。Alの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。Alの含有量が10%より多くなると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、低温焼結が困難となる。結果として、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる。
SiOは、Alと同様にガラスを安定化させる成分である。SiOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。SiOの含有量が10%より多くなると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、低温焼結が困難となる。結果として、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる。また、ガラスが分相しやすくなる。
LiOはガラスの軟化点を著しく低下させるとともに、無機蛍光体粉末の発光強度を向上させる効果が大きい成分である。LiOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。LiOの含有量が10%より多くなると、ガラスが著しく不安定になってガラス化しにくくなる。
NaOはガラスの軟化点を低下させるとともに、無機蛍光体粉末の発光強度を向上させる効果を有する成分である。NaOの含有量は0〜10%、0〜7%、1〜5%であることが好ましい。NaOの含有量が10%より多くなると、ガラスが不安定になってガラス化しにくくなる。
Oはガラスの軟化点を低下させるとともに、無機蛍光体粉末の発光強度を向上させる効果を有する成分である。KOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。KOの含有量が10%より多くなると、ガラスが不安定になってガラス化しにくくなる。
なお、LiO、NaOおよびKOを合量で0〜10%、0〜7%、特に1〜5%とすることが好ましい。これら成分の合量が10%より多くなると、ガラスが不安定になってガラス化しにくくなる。
MgOはガラスを安定化させてガラス化しやすくするとともに、無機蛍光体粉末の発光強度を向上させる効果が大きい成分である。MgOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。MgOの含有量が10%より多くなると、ガラスが失透しやすく、透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光強度を有する波長変換部材が得られにくくなる。
CaOはガラスを安定化させてガラス化しやすくする成分である。CaOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。CaOの含有量が10%より多くなると、ガラスが失透しやすく、ガラスの透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光強度を有する波長変換部材が得られにくくなる。
SrOはガラスを安定化させてガラス化しやすくする成分である。SrOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。SrOの含有量が10%より多くなると、ガラスが失透しやすく、透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光強度を有する波長変換部材が得られにくくなる。
BaOはガラスを安定化させてガラス化しやすくする成分である。BaOの含有量は0〜5%、0〜3%、0.1〜1%であることが好ましい。BaOの含有量が5%より多くなると、ガラスが著しく失透しやすく、透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光強度を有する波長変換部材が得られにくくなる。
なお、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合量で0〜10%、0〜7%、特に1〜5%とすることが好ましい。これら成分の合量が10%より多くなると、ガラスが失透しやすく、透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光強度を有する波長変換部材が得られにくくなる。
また、上記成分以外にも、本発明の主旨を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。例えば、耐候性を向上させるために、ZnO、Ta、TiO、Nb、Gd、Laを合量で10%まで添加してもよい。
ただし、Fe、Cr、CoO、CuO、NiO等の着色成分を添加すると、ガラスが着色して内部透過率が低下するため、これら成分は合量で0.02%以下に制限することが好ましい。
ガラス粉末の平均粒径D50は0.1〜10μm、1〜10μm、特に1〜4μmであることが好ましい。ガラス粉末の平均粒径D50が0.1μm未満であると、静電気を帯びやすくなり、取り扱いが困難になる傾向がある。一方、平均粒径D50が10μmを超えると、焼成して得られる波長変換部材において、ガラス粒子に起因するヌケが発生しやすくなり、色度ばらつきが大きくなる傾向がある。
ガラス粉末は、ボールミル、らいかい機、ジェットミル、ビーズミル等の公知の粉砕装置を使用して、所望の平均粒径に調整すればよい。
ガラス粉末の軟化点は500℃以下、450℃以下、特に400℃以下であることが好ましい。軟化点が500℃を超えると、低温焼結が困難となる。結果として、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる。
本発明において使用される無機蛍光体粉末としては、紫外または可視の励起光を入射すると、当該励起光の波長よりも長波長の蛍光を発するものが挙げられる。例えば、可視光線からなる励起光を入射すると当該励起光の色相に対して補色の蛍光を発する無機蛍光体粉末を用いると、透過した励起光と蛍光との合成により白色光が得られるため、容易に白色LEDデバイスを製造することができる。例えば、可視光線からなる励起光が中心波長430〜490nmを有する光線であり、蛍光が中心波長530〜590nmを有する光線であると、容易に白色光が得ることができる。
本発明において使用可能な無機蛍光体粉末の具体例としては、一般に市場で入手できるものであれば特に限定されない。例えば、YAG等のガーネット系やその他の酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、希土類硫化物、アルミン酸塩化物、ハロリン酸塩化物などからなるものが挙げられる。
上記無機蛍光体粉末の中でも、波長300〜500nmに励起帯を有し波長380〜780nmに発光ピークを有するもの、特に青色(波長440〜480nm)、緑色(波長500〜540nm)、黄色(波長540〜595nm)、赤色(波長600〜700nm)に発光するものを用いることが好ましい。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の発光を発する無機蛍光体粉末としては、Sr(POCl:Eu2+、(Sr,Ba)MgAl1017:Eu2+、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+などが挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、CdS:In、CaS:Ce3+、Y(Al,Gd)12:Ce2+、CaScSi12:Ce3+、SrSiOn:Eu2+、ZnS:Al3+,Cu、CaS:Sn2+、CaS:Sn2+,F、CaSO:Ce3+,Mn2+、LiAlO:Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、ZnS:Cu,Cl、CaWO:U、CaSiOCl:Eu2+、Sr0.2Ba0.7Cl1.1Al3.45:Ce3+,Mn2+、BaMgSi:Eu2+、BaSiO:Eu2+、BaLiSi:Eu2+、ZnO:S、ZnO:Zn、CaBa(POCl:Eu2+、BaAl:Eu2+などが挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、CdS:In、CaS:Ce3+、Y(Al,Gd)12:Ce2+、CaScSi12:Ce3+、SrSiOn:Eu2+などが挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、ZnS:Eu2+、Ba(POCl:U、SrWO:U、CaGa:Eu2+、SrSO:Eu2+,Mn2+、ZnS:P、ZnS:P3−,Cl、ZnS:Mn2+などが挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、Y(Al,Gd)12:Ce2+、Ba(POCl:U、CaGa:Eu2+、SrSiO:Eu2+が挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、CaS:Yb2+,Cl、GdGa12:Cr3+、CaGa:Mn2+、Na(Mg,Mn)LiSi10:Mn、ZnS:Sn2+、YAl12:Cr3+、SrB13:Sm2+、MgSrSi:Eu2+,Mn2+、α−SrO・3B:Sm2+、ZnS−CdS、ZnSe:Cu,Cl、ZnGa:Mn2+、ZnO:Bi3+、BaS:Au,K、ZnS:Pb2+、ZnS:Sn2+,Li、ZnS:Pb,Cu、CaTiO:Pr3+、CaTiO:Eu3+、Y:Eu3+、(Y、Gd):Eu3+、CaS:Pb2+,Mn2+、YPO:Eu3+、CaMgSi:Eu2+,Mn2+、Y(P、V)O:Eu3+、YS:Eu3+、SrAl:Eu3+、CaYAlO:Eu3+、LaOS:Eu3+、LiW:Eu3+,Sm3+、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu2+,Mn2+、BaMgSi:Eu2+,Mn2+などが挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、ZnS:Mn2+,Te2+、MgTiO:Mn4+、KSiF:Mn4+、SrS:Eu2+、CaS:Eu2+、Na1.230.42Eu0.12TiSi11、Na1.230.42Eu0.12TiSi13:Eu3+、CdS:In,Te、CaAlSiN:Eu2+、CaSiN:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、Euなどが挙げられる。
なお、励起光や発光の波長域に合わせて、複数の無機蛍光体粉末を混合して用いてもよい。例えば、紫外域の励起光を照射して白色光を得る場合は、青色、緑色、黄色、赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末を混合して使用すればよい。
無機粉末中における無機蛍光体粉末の含有量が多くなりすぎると、焼結しにくくなり、気孔率が大きくなって、光散乱損失が大きくなるなどの問題が生じる。一方、無機蛍光体粉末の含有量が少なすぎると、十分な発光が得られにくくなる。よって、無機粉末における無機蛍光体粉末の含有量は、0.01〜30質量%、0.05〜20質量%、特に0.08〜15質量%であることが好ましい。
本発明の蛍光体含有組成物においては、有機樹脂として、ポリアルキレンカーボネート系樹脂が使用される。ポリアルキレンカーボネート系樹脂とは、アルキレン基およびカーボネート基からなるアルキレンカーボネート構造を有する重合体である。ポリアルキレンカーボネート系樹脂としては、ポリエチレンカーボネート系樹脂、ポリプロピレンカーボネート系樹脂、ポリブテンカーボネート系樹脂、ポリペンテンカーボネート系樹脂、ポリヘキセンカーボネート系樹脂等が挙げられる。なかでも、熱処理により比較的容易に分解しやすい点で、ポリエチレンカーボネート系樹脂およびポリプロピレンカーボネート系樹脂を使用することが好ましい。
ポリアルキレンカーボネート系樹脂の重量平均分子量は特に限定されず、例えば、1万〜100万、さらには20万〜50万の範囲のものを使用することができる。
本発明の蛍光体含有組成物において、ポリアルキレンカーボネート系樹脂の含有量は、無機粉末100質量部に対し、0.1〜20質量部、0.5〜15質量部、1〜10質量部、特に1〜5質量部であることが好ましい。ポリアルキレンカーボネート系樹脂の含有量が0.1質量部未満であると、顆粒の作製が困難になる傾向がある。一方、ポリアルキレンカーボネート系樹脂の含有量が20質量部を超えると、焼成後に炭素成分が残存しやすくなり、波長変換部材の発光強度低下の原因となる傾向がある。
本発明の蛍光体含有組成物は顆粒状であることが好ましい。顆粒の平均粒径D50は、10〜300μm、特に40〜100μmであることが好ましい。顆粒の平均粒径D50が10μm未満であると、流動性に劣り、金型への充填量にばらつきが生じやすくなる。一方、顆粒の平均粒径D50が300μmを超えると、金型への充填する際に、粒子間の空隙が大きくなり、やはり充填量にばらつきが生じやすくなる。したがって、いずれの場合も、焼成後に得られる波長変換部材の寸法精度に劣り、また発光強度にばらつきが生じやすくなる。
本発明の蛍光体含有組成物は、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と、溶媒に溶解させたポリアルキレンカーボネート系樹脂とを混合した後、脱溶媒することにより作製することができる。
溶媒としては、アセトン、炭酸ジメチル等の公知の有機溶媒が挙げられる。
無機粉末と溶媒に溶解させたポリアルキレンカーボネート系樹脂の混合方法は特に限定されず、容器内で両者を混練してもよく、無機粉末に対して溶媒に溶解させたポリアルキレンカーボネート系樹脂を噴霧してもよい。
脱溶媒の方法は特に限定されないが、造粒機により行うことが好ましい。これにより、所望の粒径を有する略球形の顆粒状の蛍光体含有組成物を容易に作製することが可能となる。造粒機としては特に限定されず、一般的な撹拌式造粒機のほか、スプレードライヤーであってもよい。なお、目的とする蛍光体含有組成物の平均粒径によって、使用する造粒機を選択することが好ましい。例えば、平均粒径D50が150μm以下の蛍光体含有組成物を作製する場合はスプレードライヤーを使用することが好ましく、平均粒径が150μmより大きい蛍光体含有組成物を作製する場合は撹拌式造粒機を使用することが好ましい。
本発明の波長変換部材は、前記蛍光体含有組成物を所定形状に成形して予備成形体を得る工程、予備成形体を熱処理して脱脂する工程、脱脂後の予備成形体を、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成する工程、を経ることにより作製することができる。
予備成形体は、例えば、蛍光体含有組成物を金型に充填してプレス成形することにより作製することができる。
予備成形体の熱処理は、ポリアルキレンカーボネート系樹脂が十分に分解(脱脂)する温度であれば特に限定されず、例えば200〜400℃、特に250〜350℃で行うことが好ましい。
脱脂後の予備成形体の焼成温度は、ガラス粉末の軟化点以上で行われる。上限は特に限定されるものではないが、焼成温度が高すぎると、無機蛍光体粉末がガラス粉末と反応して劣化しやすくなるため、軟化点+100℃以下、特に軟化点+50℃以下であることが好ましい。
脱脂後の予備成形体の焼成雰囲気は、不活性雰囲気であることが好ましい。特に、SnO−P系ガラスは、大気中で焼結するとSn成分が酸化され、十分に焼結しないという問題がある。また、不活性雰囲気焼成であれば、焼成時における無機蛍光体粉末の劣化を抑制することが可能となる。
不活性雰囲気としては、真空、窒素、アルゴン等が挙げられる。真空雰囲気の真空度は特に限定されないが、例えば10−5〜10Paの範囲に調整することが好ましい。
本発明の波長変換部材は、青色、紫外、近紫外のLEDチップ等と組み合わせることにより、白色LEDあるいは白色以外の有色LEDとして使用することが可能である。波長変換部材の形状は、必要に応じて、球状、半球状、メニスカスレンズ状、箱状、円錐状、薄板状とすることが可能である。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)蛍光体含有組成物の作製
まず、モル%で、SnO 59% P 26% B 13% Al 2%の組成となるように、ガラス原料を秤量した。ガラス原料をアルミナ坩堝に投入し、電気炉内で950℃、窒素雰囲気にて2時間溶融した。その後、ガラス融液を一対の冷却ロール間に流し込みフィルム状に成形し、次いでそのフィルムガラスをジェットミルを用いて粉砕し、ガラス粉末(平均粒径D50=3μm、軟化点400℃)を得た。
無機蛍光体粉末として、黄色発光を発するシリケート系蛍光体(Intematix社製、RSiO:Eu2+、R=アルカリ土類金属)を準備し、ガラス粉末:無機蛍光体粉末=95:5(質量比)となるように混合した。
ガラス粉末と無機蛍光体粉末の混合物100質量部に対し、10質量部に相当するポリプロピレンカーボネート樹脂を所定量のアセトンに溶解させた。その後、ガラス粉末、無機蛍光体粉末、ポリプロピレンカーボネート系樹脂溶液をスターラーで混合し、均一なスラリーを得た。
得られたスラリーを、スプレードライヤーを用いて噴霧、乾燥させ、顆粒状の蛍光体含有組成物を得た。
(2)波長変換部材の作製
顆粒状の蛍光体含有組成物を、プレス機を用いて板状(10×10×0.5mm)にプレス成形して予備成形体を作製した。予備成形体を雰囲気置換炉に投入し、真空中(10Pa)、300℃で1時間脱脂した後、400℃まで昇温し、30分保持して焼成を行い、波長変換部材を作製した。
(3)全光束値の測定
波長460nmの青色LED上に波長変換部材を設置し、校正された積分球内で電流600mAで青色LEDを点灯させた。得られた光を光ファイバーを通して小型分光器(オーシャンオプティクス製 USB−4000)に取り込み、制御PC上に発光スペクトル(エネルギー分布曲線)を得た(図1)。制御ソフト(オーシャンフォトニクス製 OP Wave)を用いて、発光スペクトルから全光束値(lm)を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
樹脂溶液として、ガラス粉末と無機蛍光体粉末の混合物100質量部に対し、10質量部に相当するポリエチレンカーボネート樹脂を所定量の炭酸ジメチルに溶解させたものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で顆粒状の蛍光体含有組成物を得た。
さらに、得られた蛍光体含有組成物を用いて、実施例1と同様の方法で予備成型および焼成を行い、波長変換部材を作製した。得られた波長変換部材について、実施例1と同様の方法により全光束値を測定した。得られたスペクトルは、図1とほぼ同様であった。
(比較例)
ポリプロピレンカーボネートの代わりにアクリル樹脂(商品名:エルバサイト2044)を使用した以外は、実施例と同様の方法で蛍光体含有組成物および波長変換部材を作製した。
得られた波長変換部材について、実施例1と同様の方法により全光束値を測定した。結果を表1に示す。
実施例1および2では、外観が透明な波長変換部材が得られ、白色光が得られた。一方、比較例の波長変換部材は、外観が不透明であり、全く発光しなかった。

Claims (15)

  1. ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と、ポリアルキレンカーボネート系樹脂とを含有することを特徴とする蛍光体含有組成物。
  2. ポリアルキレンカーボネート系樹脂が、ポリエチレンカーボネート系樹脂またはポリプロピレンカーボネート系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体含有組成物。
  3. 無機粉末100質量部に対して、ポリアルキレンカーボネート系樹脂を0.1〜20質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光体含有組成物。
  4. ガラス粉末が、SnO−P系ガラスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体含有組成物。
  5. SnO−P系ガラスが、組成としてモル%で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有することを特徴とする請求項4に記載の蛍光体含有組成物。
  6. 無機蛍光体粉末が、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、希土類硫化物、アルミン酸塩化物およびハロリン酸塩化物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体含有組成物。
  7. 無機粉末における無機蛍光体粉末の含有量が0.01〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光体含有組成物。
  8. 顆粒状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光体含有組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の蛍光体含有組成物を焼成してなることを特徴とする波長変換部材。
  10. 請求項9に記載の波長変換部材を用いたことを特徴とするLEDデバイス。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の蛍光体含有組成物を製造する方法であって、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末と、溶媒に溶解させたポリアルキレンカーボネート系樹脂とを混合した後、脱溶媒することを特徴とする蛍光体含有組成物の製造方法。
  12. 脱溶媒を、造粒機により行うことを特徴とする請求項11に記載の蛍光体含有組成物の製造方法。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載の蛍光体含有組成物を所定形状に成形して予備成形体を得る工程、予備成形体を熱処理して脱脂する工程、脱脂後の予備成形体を、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成する工程、を含むことを特徴とする波長変換部材の製造方法。
  14. 脱脂後の予備成形体の焼成を、不活性雰囲気中で行うことを特徴とする請求項13に記載の波長変換部材の製造方法。
  15. 不活性雰囲気が、真空、窒素またはアルゴンであることを特徴とする請求項14に記載の波長変換部材の製造方法。
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