JP2011522830A - インスリンの鼻腔投与製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、インスリン医薬製剤を同じ鼻孔中に連続的に少なくとも2回の用量を投与することで、治療的に有効な血漿中インスリン濃度を達成する為の方法を提供するものである。当該2回目の用量の投与を同じ鼻孔に対して行った場合、2つの違う鼻孔に連続的に投与した場合に比べて、血漿中インスリン濃度は大幅に高くなる。インスリンの1回目の用量は、いかなる特定の生理学的機序に限定されるものではないが、鼻粘膜への充填用量として機能していると考えられる。この充填用量は、その後に続く用量投与において見られる血漿中インスリン濃度を達成するのに必要である。本発明における前記方法および製剤により達成される血漿中インスリンのCmaxは、血漿中インスリンが2回目の用量の投与から0分〜約45分後の期間に測定される場合、少なくとも約70μU/mlとなってもよい。達成されるAUCは、少なくとも1800μU/(ml×min)となってもよい。
【選択図】 なし
【選択図】 なし
Description
本出願は、2008年6月5日付で出願の米国仮特許出願第61/059,225号明細書に対して米国特許法119条(e)のもとで優先権を主張するものである。
本発明はインスリンの鼻腔内輸送の方法、および製剤に関する。
インスリンは血中から細胞内へのグルコース輸送を誘導するホルモンであり、そのグルコースはエネルギー源を供給する。タイプ1とタイプ2の糖尿病に罹患した人々は、血糖値を調整する為に外来のインスリンの投与を頻繁に必要とする。糖尿病の多くの主要な合併症の発生率と重症度とを調整する為には、血中グルコースの厳重な調節が重要な意味を持つことが多数の研究で示されている。Skyler.Clinical Diabetes 22(4):162−166(2004)。特にインスリン産生が制限あるいは欠損しているタイプ1の糖尿病において、血中グルコースの維持において重要な要因となるのは、食事後の血中グルコースの上昇に対応したインスリンの量を適切なタイミングで供給することである。もし過剰量のインスリンが供給されたり、あるいはインスリン供給のタイミングが要求に適切に対応していない場合、低血糖症を起こす可能性がある。対照的に、もし過小量のインスリンしか供給されない場合、高血糖症を起こす恐れがある。両方共の状態が深刻な臨床的合併症の原因となる可能性がある。インスリン療法における最も一般的な投与計画は、持続時間の短い速効性のインスリンの食事前の皮下注射と、それに併せてより持続時間の長い遅効性のインスリン製剤の投与とを行う方法である。厳密にモニターされている場合、この持続時間の短いインスリンと長いインスリンとの組み合わせによる、その最終的な成果は一般的に十分なものとなる。しかしながら、血中グルコースの調節において個人間にかなりの変動が存在する。一部には、この変動は注射箇所からのインスリン放出が変動しやすいことによる。注射箇所におけるインスリンの取込み量は、皮膚温度、血管分布、および皮下の筋肉が運動しているかどうかによって影響を受けやすい。時間と共に反復注射による注射箇所における組織の瘢痕化および過敏症といった副作用もまた、注射箇所からのインスリン取込み量の変動性につながる可能性がある。
インスリンは吸入によってもまた投与することが出来る。しかしながら、この投与経路には欠点がある。インスリンの成長促進性と免疫原性とに起因する、吸入インスリンの慢性使用による潜在的な肺毒性に関わる懸念が提起されている。さらに、肺機能の低下がタイプ1およびタイプ2の糖尿病患者の両方で報告されている。Mori et al,Internal Medicine,31:189−93(1992)。吸入インスリンの肺機能に対する安全性は、その臨床開発を通して大きな懸案事項であった。
1980年代以来、鼻からのインスリン供給の可能性に大きな関心が寄せられている。この投与方法の利点は、粘膜からのインスリン吸収が直接的なことであり、すなわち供給箇所と血液循環との間に最小限の障壁しかないということである。さらに、注射による投与の場合に抗原性効果を生じさせる作用因子は、鼻腔内投与の場合にはその効果を生じさせないことが明らかになっている。鼻腔用噴霧装置はサイズが小さく、それ故に経肺投与に用いられる噴霧装置よりも便利である。使用の容易性は、特に青年期の患者において、服薬遵守の向上に繋がるであろう。
一般的に、鼻腔内投与したインスリンの生物学的利用能は良くなかった(1〜2%)。製剤に吸収促進剤を加えても、絶対的生物学的利用能は5〜15%の間に留まっていた。Hinchcliffe et al,Drug Delivery Reviews.35:199−234(1999).鼻腔内用製剤の開発促進の取組みの中で、吸収促進剤として多くの作用因子が提案されてきた。このような作用因子としては例えば、胆汁酸塩およびその誘導体、界面活性物質、脂肪酸およびその誘導体、ならびに様々な生物接着分子が挙げられる。Hinchcliffe et al,Drug Delivery Reviews.35:199−234(1999)。しかしながら、鼻腔内投与における生物学的利用能の悪さは今もなお一般的に見られ、さらにこの投与経路におけるインスリン吸収量の比較的高い個人間変動によって複雑化している。鼻用のインスリン製剤の改良に加えて、患者の鼻からのインスリン吸収能を測定することで、インスリンの投与方法の最適化およびインスリン療法の安全性の改善を図ることが、急ぎ必要とされている。
本発明の目的は、インスリン医薬製剤の少なくとも約2回の用量を1つの鼻孔に連続的に投与することで、治療的に有効な血漿中インスリン濃度を達成する方法を提供することである。前記インスリン医薬製剤の各回の用量は、100μl当たり少なくとも約10U(international units:U)〜約100Uのインスリンを有する。この用量はまた、100μl当たり約15U〜約75U、約20U〜約50U、または約25Uのインスリンを有していてもよい。前記血漿中インスリンは2回目の用量の投与から0分〜約45分後、または約25分〜約30分後の範囲の期間において測定される。2回目の医薬用量の後の、当該選択された投与後期間における前記血漿中インスリンの最大測定濃度(Cmax)は、少なくとも約70μU/mlとなる。2回目の医薬用量の後の、前記血漿中インスリン濃度の時間曲線下面積(AUC)は、少なくとも約1800μU/(ml×min)となる。2回目の用量の後における前記血漿中インスリンのCmax(またはAUC)は、前記血漿中インスリンが2回目の用量の投与から0分〜約45分後、または約25分〜約30分後の範囲の期間において測定される場合、1回目の用量の後における前記血漿中インスリンのCmax(またはAUC)に比べて約2倍〜約10倍、約3倍〜約8倍、約4倍〜約5倍、または約5倍大きくなる。2回目の用量の投与が同じ鼻孔に連続して行われた場合の血漿中インスリンのCmax(またはAUC)は、2回目の用量の投与が2つの異なる鼻孔に連続して行われた場合に見られる血漿中インスリンのCmax(またはAUC)に比べて約2倍となる。当該インスリン医薬製剤は、治療的有効量のインスリン、浸透増進剤、および液状担体を有していてもよい。
本発明はさらに、治療的有効量のインスリンを鼻から吸収できる被験者を特定する方法であって、医薬製剤中に約20U〜約200Uの範囲で含まれるインスリンを1回の用量として鼻から投与する工程と、ついで当該用量の投与から約10分〜30分後における前記血漿中インスリン濃度を測定する工程とを有する方法を提供する。前記用量は、複数回のより小さい用量、例えば4×25U/用量となる様に分割してもよい。前記用量のインスリンはまた、約25U〜約150U、約50U〜約125U、または約75U〜約110Uの範囲であってもよい。前記用量のインスリンはまた、約100Uであってもよい。治療的有効量のインスリンを吸収する被験者において、血漿中インスリンのCmaxは約15〜約400μU/ml、約30〜約250μU/ml、約50〜約150μU/ml、約70〜約100μU/ml、または約15〜約20μU/mlの範囲である。治療的有効量のインスリンを吸収する被験者におけるCmaxの好ましい範囲は、約70μU/ml以上である。
本発明はさらに、鼻腔投与用のインスリンの医薬製剤と、治療的に有効な血漿中インスリン濃度を達成するために、このインスリンの医薬製剤の少なくとも約2回の用量が1つの鼻孔に連続的に投与されるべきであることを示す印刷物とを有する製品の物品を提供する。前記印刷物には、前記用量が100μl当たり少なくとも約10U〜約100Uのインスリンを有することを記載している。この用量はまた、100μl当たり約15U〜約75U、約20U〜約50U、または約25Uのインスリンを有していてもよい。前記インスリン医薬製剤はまた、治療的有効量のインスリン、浸透増進剤、および液状担体を有していてもよい。前記印刷物は、血漿中インスリンが投与から0分〜約45分後、または約25分〜約30分後の期間において測定される場合、2回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmaxが、少なくとも約70μU/mlとなることを記載している。前記印刷物はまた、2回目の用量の投与後における血漿中インスリンのAUCが、少なくとも約1800μU/(ml×min)となることを記載している。前記印刷物はまた、2回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmax(またはAUC)が、1回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmax(またはAUC)に比べて約2倍〜約10倍、約3倍〜約8倍、約4倍〜約5倍、または約5倍大きくなることを記載している。
前記印刷物はまた、鼻からの製剤によるインスリンの投与に先立って、被験者を診断して鼻から治療的有効量のインスリンを吸収出来るかどうか決定するための評価を行うべきであることを記載していてもよい。この作業手順は、医薬製剤中に約20U〜約200Uの範囲で含まれるインスリンを1回の用量として鼻から投与する工程と、ついで当該用量の投与から約10分〜30分後における前記血漿中インスリン濃度を測定する工程とを有する。前記用量のインスリンはまた、約25U〜約150U、約50U〜約125U、または約75U〜約100Uの範囲であってもよい。前記用量のインスリンはまた、約100Uであってもよい。治療的有効量のインスリンを吸収する被験者において、血漿中インスリンのCmaxは約15〜約400μU/ml、約30〜約250μU/ml、約50〜約150μU/ml、約70〜約100μU/ml、または約15〜約20μU/mlの範囲である。治療的有効量のインスリンを吸収する被験者におけるCmaxの好ましい範囲は、約70μU/ml以上である。前記印刷物は、インスリン医薬製剤の投与が、鼻腔内噴霧装置をどの程度深く鼻孔に挿入したか、被験者が吸気していたか、または鼻腔内噴霧器の挿入角度に依存しないことを記載している。
本発明はさらに、治療的有効量のインスリンを吸収した被験者を特定する方法であって、医薬製剤中に約20U〜約200Uの範囲で含まれるインスリンを1回の用量として鼻から投与する工程と、カロリー負荷を与える工程と、ついで前記用量の投与から約15分〜約120分後における血漿中グルコース濃度の上昇を測定する工程とを有する方法を提供する。前記用量のインスリンはまた、約25U〜約150U、約50U〜約125U、または約75U〜約110Uの範囲であってもよい。前記用量のインスリンはまた、約100Uであってもよい。前記期間の範囲内において、グルコースの上昇値が約60mg/dl未満の被験者は、鼻から治療的有効量のインスリンを吸収できる被験者であるとみなした。このグルコース上昇値の応答の範囲は、約60mg/dl未満、約40mg/dl未満、または約20mg/dl未満であってもよい。
本発明は、インスリン医薬製剤を同じ鼻孔中に連続的に少なくとも2回の用量を投与することで、治療的に有効な血漿中インスリン濃度を達成する為の方法を提供するものである。当該2回目の用量の投与を同じ鼻孔に対して行った場合、医薬用量の投与を2つの違う鼻孔に連続的に行った場合に比べて、血漿中インスリン濃度は大幅に高くなる。また、本発明における当該方法および製剤には、1つの鼻孔へのインスリン1回用量の単回投与も含まれる。インスリンの1回目の用量は、いかなる特定の生理学的機序に限定されるものではないが、鼻粘膜への充填用量として機能していると考えられる。この充填用量は、その後に続く投薬において見られる血漿中インスリン濃度を達成するのに必要である。本発明における当該方法および製剤により達成される血漿中インスリンのCmaxは、血漿中インスリンが2回目の用量の投与から0分〜約45分後の期間に測定される場合、少なくとも約70μU/mlとなってもよい。達成されるAUCは、少なくとも1800μU/(ml×min)となってもよい。本明細書で使用する場合、用語「U」は「IU」に等しい。
同じ鼻孔に連続的に投与される場合、2回目の用量の後の、基準値で補正した血漿中インスリンのCmaxは、1回目の用量の後に見られる血漿中インスリンのCmaxに比べて、約5倍大きくなる。ここでは、血漿中インスリンは2回目の用量の投与から約0〜約45分後、または約25〜約30分後に測定されている事に留意すること。同じ鼻孔に連続的に投与される場合、3回目の用量の後の血漿中インスリンのCmaxは、1回目の用量の後に見られる血漿中インスリンのCmaxに比べて、約6倍〜約7倍大きくなる。ここでは、血漿中インスリンは3回目の用量の投与から約0〜約45分後、または約25〜約30分後に測定されている。同様に、2回目の用量の後の血漿中インスリンのAUCは、1回目の用量の後に見られる血漿中インスリンのCmaxに比べて、約5倍大きくなる。3回目の用量の後の血漿中インスリンのAUCは、1回目の用量の後に見られる血漿中インスリンのCmaxに比べて、約6倍〜約7倍大きくなる。鼻腔に投与するインスリンの投与量に依存して、2回目の用量の後の血漿中インスリンのCmax(またはAUC)は、1回目の用量の後に見られる血漿中インスリンのCmax(またはAUC)に比べて、約2倍〜約10倍、約3倍〜約8倍、約4倍〜約5倍、または約5倍大きい範囲をとってもよい。3回目の用量の後の血漿中インスリンのCmax(またはAUC)は、1回目の用量の後に見られる血漿中インスリンのCmax(またはAUC)に比べて、約3倍〜約15倍、約4倍〜約12倍、または約6倍〜約7倍大きい範囲をとってもよい。
同じ鼻孔へ連続的に投与した場合の血漿中インスリンのCmaxは、2つの異なる鼻孔に連続的に投与した場合に見られる血漿中インスリンのCmaxに比べて、約2倍大きくなる(血漿中インスリンは、同様の期間において、すなわち、インスリンの2回目の用量の投与から約0〜約45分後、または約25〜約30分後の期間において測定されている。)。同様の違いが、同じ鼻孔への2回目の用量の後のAUCにおいても見られる。すなわち、1つの鼻孔へ連続的に投与した場合、2回目の用量の後の血漿中インスリンのAUCは、2回目の用量を2つの異なる鼻孔へ連続的に投与した場合に見られる血漿中インスリンのAUCに比べて、約2倍大きくなる。
本発明における医薬製剤は、治療有効量のインスリンおよび透過促進剤を含んでいてもよい。米国特許第7,112,561号明細書、米国特許第7,244,703号明細書、および米国特許第7,320,968号明細書。当該透過促進剤は、以下の構造を有するHsieh促進剤であってもよい。
を持つ基であり、ここでXおよびYは上記のように定義され、mおよびnは1〜20の値を持つ整数であり、m+nの合計は25以下であり、pは0あるいは1の値を持つ整数である。qは0あるいは1の値を持つ整数である。rは0あるいは1の値を持つ整数である。またR、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、R1からR6の一つのみがアルキル基であるという条件で、それぞれ独立して水素あるいは、直鎖または枝分かれした1〜6の炭素原子を持つアルキル基である。ただし、p、qおよびrが0の値を持ち、Yが酸素である場合、m+nは少なくとも11であり、またさらなる条件としてXがイミノ基、qが1、Yが酸素、およびpとrとが0の場合、m+nは少なくとも11であり、前記化合物は体膜を経る薬剤の通過速度を促進するであろう。以下、これらの化合物は促進剤と称される。R、R1、R2、R3、R4、R5あるいはR6がアルキルである場合、それはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、アミル、ヘキシル等であってもよい。前記透過促進剤は、米国特許第5,023,252号明細書および米国特許第5,731,303号明細書に開示されている。
前記透過促進剤の例として、環状ラクトン(化合物はここでX及びYの両方ともが酸素、qが1、rが0)、環状ジエステル(化合物はここでX及びYの両方ともが酸素、q及びrの両方ともが1)、及び環状ケトン(化合物はここでq及びrの両方ともが0、Yが酸素)が挙げられる。前記環状ジエステルにおいて、m+nは少なくとも3であるのが望ましい。前記環状ケトンにおいて、m+nは少なくとも11〜15であり、pは0であるのが望ましい。
本発明において使用される促進剤の例として、大環状促進剤が挙げられる。"大環状"という当該用語は、本明細書では環中に少なくとも12個の炭素を持つ環状化合物について言及するために用いられる。前記大環状促進剤の例として、(A)大環状ケトン、例えば3メチルシクロペンタデカノン(ムスコン)、9−シクロヘプタデセン−1−オン(シベトン)、シクロヘキサデカノン、及びシクロペンタデカノン(ノルムスコン(normuscone))、及び(B)大環状エステル、例えばオキサシクロヘキサデカン−2−オン(シクロペンタデカノリド、ω−ペンタデカラクトン)等のペンタデカラクトンが挙げられる。
使用されうる他の透過促進剤の例としては、各種の薬局方大要で一般に安全と認められる(Generally Recognized As Safe;GRAS)単長鎖エステルがある。これらは中間長鎖までの単純脂肪族不飽和あるいは飽和(完全飽和が望ましい)エステルを含んでもよい。前記エステルの非限定的な実例としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル等が挙げられる。前記促進剤は、医薬組成物での使用に適したものである。本技術分野における普通の当業者はまた、これらの材料のうち粘膜に不適合であるかあるいは粘膜を刺激するものは避けるべきであることを認識しているであろう。
前記促進剤は、膜を通して送達されるインスリンの透過を促進するのに有効な濃度で当該組成物中に存在する。使用する促進剤の量を決定するにあたって、様々なことを考慮すべきである。前記考慮すべきことには、例えば得られる流動量(膜の通過率)、製剤中の成分の安定性及び親和性が挙げられる。前記促進剤は通常、前記組成物の約0.01〜約25重量%の量で、より一般的には前記組成物の約0.1〜約15重量%の量で、幾つかの実施形態においては組成物の約0.5〜約15重量%の量で用いられる。米国特許第7,112,561号明細書。
本発明の医薬製剤は、治療的有効量のインスリン、浸透増進剤、および液状担体を有していてもよい。本製剤はpHが4.5以下のような酸性のpHを有していてもよい。前記液体担体は、本発明の当該組成物の適当な輸送手段として働くのに有効な濃度で当該組成物中に存在する。通常、前記担体は前記組成物の約40から約98重量%の量で、幾つかの実施形態においては組成物の約50〜約98重量%の量で用いられる。
インスリンの1回目の用量は、いかなる特定の生理学的機序に限定されるものではないが、鼻粘膜への充填用量として機能していると考えられる。1回目の用量に含まれる前記透過促進剤が、その後に続く(複数の)投薬において、粘膜層あるいは上皮細胞の細胞膜の透過性を一過性に上昇させるのであろう。前記透過促進剤はまた、上皮細胞の細胞間結合を可逆的に開き、追加の用量が同じ鼻孔に投与された時、より多くのインスリンを吸収するのであろう。
本発明の一実施形態においては、インスリンの鼻腔投与は鼻腔用噴霧器を用いて行われ、この鼻腔用噴霧器は液状担体として水を用い、この水には治療的有効量のインスリンが分散または溶解している。別の実施形態において、前記透過促進剤はインスリン包む水相中に乳化する。前記乳化は、一つあるいはそれ以上の適切な界面活性剤を用いてもたらすことができる。任意の適切な界面活性剤あるいは界面活性剤の混合物、例えば陰イオン、陽イオン、非イオン性界面活性剤を本発明の実施に用いることができる。前記非イオン性界面活性剤の例としては、PEG−60トウモロコシグリセリド、PEG−20モノステアリン酸ソルビタン、フェノキシ−ポリ(エチレンオキシ)エタノール、モノオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。通常、前記界面活性剤は組成物の約2重量%未満の量で存在する。別の実施形態において、前記界面活性剤は組成物の約1.5重量%未満、約1.3重量%未満、約1重量%未満、または約0.3重量%未満の量で存在してもよい。
任意の種類のインスリンを、本発明の方法および製剤において使用する事が可能であり、例として、天然インスリン、つまり牛または豚から精製されたインスリン、組換えインスリン、プロインスリン、任意のインスリンの類縁体、誘導体、多形体、代謝産物、プロドラッグ、塩、または/あるいは水和物が挙げられ、またそれらに限定されない。インスリンの類縁体の例としては、ヒトインスリン、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングルリジン、インスリングラルギン、およびインスリンデテミルが挙げられる。インスリンの亜鉛塩もまた使用することが出来る。インスリンの誘導体には、内部または末端のアミノ酸が修飾されたインスリン、例えば、リジン/プロリン置換型のインスリンが含まれる。速効性、中間性および持続性のインスリンもまた、本発明の方法および方式において使用することが可能である。Journal of the American Board of Family Practice.18:199−204(2005)。
一般的に、前記インスリンまたはインスリン誘導体は、前記医薬製剤において当該組成物中に約0.01〜約15重量%の範囲の量で存在している。一実施形態においては、当該組成物中に、約0.01〜約10重量%の量で使用される。あるいは、前記インスリンは医薬製剤中に約0.1〜約5%重量%の量で存在している。使用されるインスリンの当該用量は、約25U〜約150U、約50U〜約125U、約75U〜約110U、または約25U〜約50Uの範囲をとることが出来る。投薬の一例において、約100Uのインスリンが投与される。前記用量は、1回または複数回の用量で送達されてもよい。この用量は、等しいまたは異なる量のインスリンを含んでいてもよい。一実施形態においては、100Uのインスリンが、25U/用量を4回、等しい用量で送達される。
本発明の組成物は通常、鼻腔用噴霧注入器により投与される。鼻腔内注入が望まれる場合には、当該組成物は鼻腔内噴霧投与装置あるいは噴霧器に入れられ、鼻腔の粘膜に送達するために被験者の鼻腔鼻孔に噴霧することにより注入することができる。所望の全身あるいは局所的薬剤濃度が得られるように、十分な量が噴霧される。鼻腔内噴霧では通常、約200μlまで注入され、約50〜約150μlの注入が望ましい。好ましい実施形態においては、用量毎に約100μlになる。一つあるいはそれ以上の鼻孔に投与することができ、注入は要望に応じてあるいは必要に応じて何回でも行うことができる。本発明においては、投与は1つの鼻孔に連続的に行われる。一実施形態において、前記鼻内噴霧注入器は平均サイズ約10ミクロン〜約200ミクロンの組成物の液滴を供給するものが選択される。より一般的には、前記液滴サイズは約30ミクロン〜約100ミクロンである。
本発明のインスリン噴霧組成物は通常、治療を受ける被験者によって決まる投与計画において用いられる。したがって使用頻度及び投与量は被験者毎に異なり得る。通常、投与される量は用量毎に約10U〜約50Uであり、総投与量は約100Uになる。好ましい実施形態において、用量毎または噴霧毎に約15U〜30Uである。この分野において知られている通り、インスリン療法による糖尿病等の疾患の治療法は被験者毎に異なる。既知のインスリン療法とここでの教示に基づいて、医師などの本技術分野における当業者は、特定の被験者あるいは被験者群への投与方式及び投与量を選択することができる。
被験者は、1回用量のインスリンを1つの鼻孔に投与される。どの程度深く鼻孔に鼻腔内噴霧装置を挿入したか、被験者が吸気していたか、あるいは装置の挿入の角度は、投与される量とは独立している。1回用量は、100μl当たり少なくとも約10U〜約100Uのインスリンを有することができる。この用量はまた、100μl当たり約15U〜約75U、約20U〜約50U、または約25Uのインスリンを有していてもよい。一実施形態においては、100μl中の25Uのインスリンが鼻孔に投与される。前記液量が吸収されるのに適当な時間の経過後、2回目の用量が同じ鼻孔に連続的に投与される。一実施形態において、この2回目の用量は1回目の用量の投与から1〜5秒以内に投与されてもよい。この2回目の用量は約25Uを含んでいてもよい。しかし、この1回目または2回目の用量に含まれるインスリンの量は臨床的に決定され、変化する可能性がある。
鼻腔用インスリンの投与後、血漿中インスリン濃度および血漿中グルコース濃度を分析し、選択された投与後期間における血漿中インスリンの最大測定濃度(Cmax)、血漿中インスリン濃度の時間曲線下面積(AUC0−t)およびCmaxに至るまでの時間(Tmax)を決定してもよい。AUCは時間0〜時間tにおいて測定されてもよく、ここでは様々な時間間隔が選択されてもよい。一実施形態においては、鼻腔用インスリンの投与後−5分(鼻腔用インスリンの投与5分前)、−1分、ならびに10、15、20、25、30、および45分の時間において血液が採取される。インスリンおよびCペプチドは免疫測定法で測定されてもよい。血漿中グルコースはいかなる標準的な実験室用の化学的方法を用いて測定されてもよい。
薬物動態学的(pharmacokinetic:PK)パラメーターは、グルコースおよびインスリンの関連する血中濃度のデータから得られる。グルコースおよびインスリンは0〜45分に得られたサンプルにおいて測定される。インスリンについての前記薬物動態学的パラメーターは、Cmax、AUC0−t、Tmax、および個体内変動および用量応答を決定する為の全投与の動態比較を含む。グルコースについての前記薬物動態学的パラメーターは、AUC0−t、および同一量反復投与と漸増投与とにおける動的効果の一貫性の比較を含む。前記AUCは混合対数線形則を用いて計算されてもよい。この方法を用いると、前記AUCは最初の(データ)ポイントとTmaxとの間を台形法によって、ついでTmaxと最後のデータポイントとの間を対数法によって計算される。前記計算は、2つのデータポイントの間で濃度水準が上昇または等しくなる度に、台形法に自動的に切り替わる。Tmax以前に見られる定量限界(limit of quantification:LOQ)未満の値はゼロだと見なされる。Tmax以降に見られる定量限界未満の値は、回帰直線終端の計算において無視される。定量限界未満の値または欠測値が、2つの定量限界以上の値の間で見られる場合は、データポイント間の補間が許容される。消失速度定数(Lz)の推定の為に、曲線(tから無限)下の外挿領域は、tの調整とともに対数(ln)変換した曲線のデータポイントに線形回帰を行うことで計算される。それぞれのPKパラメーターは、順序、治療および期間の固定効果、ならびに順序内の被験者および被験者内誤差の変量効果を含んだ期間分散分析(analysis of variance:ANOVA)モデルを用いて、各治療間で比較された。全体の治療効果は、ANOVAモデルからの平均二乗誤差を用いて、5%の有意水準で検定された。もし全体の治療効果が有意でない場合、治療間の比較は意味を持たないであろう。この2つの治療間の比較は、SAS MIXEDプロシジャにおける"ESTIMATE"ステートメントを用いて行われる。それぞれのPKパラメーターの為に、N、平均値、中央値、標準偏差、最小値、および最大値を含む記述統計が、各治療群について計算される。AUCおよびCmaxの為に、上記の要約統計に加えて、幾何平均および変動係数もまた、各地両軍について計算される。他に規定されない限り、全ての統計検定は両側対立仮説に対して、有意水準0.05を採用して行われる。
インスリンの鼻腔内経路を介した吸収には、かなりの個人間変動が存在する。Heinemann et al.Current Pharmaceutical Design.7:1327−1351(2001).本発明はさらに治療的有効量のインスリンを鼻から吸収できる被験者または被験者群を特定する方法を提供する。この特定のために投与するインスリン用量は、医薬製剤中約20U〜約200Uの範囲を取ってもよい。投与後、血漿中インスリン濃度は、用量の投与から約10〜30分後に測定される。前記試験するインスリン用量は、約25U〜約150U、約50U〜約125U、または約75U〜約110Uの範囲を取ってもよく、あるいは約100Uであってもよい。投与後の血漿中インスリンのCmaxは、約15〜約400μU/ml、約30〜約250μU/ml、約50〜約150μU/ml、約70〜約100μU/ml、または約15〜約20μU/mlの範囲を取ってもよく、あるいは約70μU/ml以上(約200〜250μU/mlの上限内)であってもよい。本発明の個々の実施形態において、100Uの試験用量に対するCmaxは約100μU/mlであり、75Uの試験用量に対しては約67μU/ml、およびに50Uの用量に対しては約30μU/mlである。
あるいは、前記血中グルコース濃度はインスリンの鼻腔投与後に測定されてもよい。血中グルコースは標準的な手法を用いて決定されてもよい。(血中グルコース[オンライン],[2009年6月5日に検索].インターネットより検索<URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Blood_sugar>)。さらに、治療的有効量のインスリンを鼻から吸収できる被験者の特定は、カロリー負荷の有無にかかわらず行われてもよい。例えば、絶食状態の被験者は個々の血漿中グルコースの基準値の測定を受けるであろう。一般的に、この値は約100〜250mg/dlの範囲を取るであろう。鼻腔用噴霧器の適切な訓練の後、前記被験者はついで鼻からインスリンの用量を受け取るであろう。投与される前記インスリン用量は、鼻腔用に適合した医薬製剤中約20U〜約200Uの範囲を取ってもよい。投与後、血漿中インスリン濃度は、用量の投与から約10〜30分後に測定される。前記インスリン用量は、約25U〜約150U、約50U〜約125U、または約75U〜約110Uの範囲を取ってもよく、あるいは約100Uであってもよい。
血漿中グルコースはついで、インスリンの鼻からの投与から約15〜約120分後に測定されるであろう。前記血漿中グルコースがグルコースの基準値を下回る場合、当該被験者は鼻から治療有効量のインスリンを吸収できる、または血漿中グルコースの減少をもたらすほど十分な感受性を有する可能性があると見なされる。あるいは、前記測定は標準的なカロリー負荷、例えば固体または液体の炭水化物含有の食品または飲料を用いて行われてもよい。例えば、75gmのグルコースを含む飲料が用いられてもよい。絶食状態の被験者には、血漿中グルコースの基準値テストを行ってもらうであろう。言及した様に、血漿中グルコースは約100〜250mg/dlの範囲を取ってもよい。前記インスリン用量の範囲は上述されている。鼻腔用インスリンを投与された直後に、当該被験者はカロリー負荷を受けるであろう。血漿中グルコースはカロリー負荷から約10〜約120分後の範囲の期間において、再度測定されるであろう。グルコースの上昇が約60mg/dl未満となる被験者は、治療有効量のインスリンを鼻から吸収することが出来る被験者であると見なされるであろう。グルコース上昇の応答の範囲は、約60mg/dl未満、約40mg/dl未満、または約20mg/dl未満であってもよい。
本発明はさらに、鼻腔投与用のインスリン医薬製剤と、治療的に有効な血漿中インスリン濃度を達成する為に、このインスリン医薬製剤の少なくとも約2回の用量を1つの鼻孔に連続的に投与すべきであることを記した印刷物とを有するキットのような、製品の物品を提供する。前記印刷物には、前記用量が100μl当たり少なくとも約10U〜約100Uのインスリンを有することを記載している。この用量はまた、100μl当たり約15U〜約75U、約20U〜約50U、または約25Uのインスリンを有していてもよい。前記印刷物は、血漿中インスリンがインスリンの2回目の用量の投与から約0〜約45分後、または約25分〜約30分後に測定される場合、2回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmaxが、約15〜約400μU/ml、約30〜約250μU/ml、約50〜約150μU/ml、約70〜約100μU/ml、または約15〜約20μU/mlの範囲を取ってもよく、あるいは約70μU/ml以上であってもよいことを記載している。前記印刷物はまた、2回目の用量の投与後における血漿中インスリンのAUCが、少なくとも約1800μU/(ml×min)となることを記載している。前記印刷物はまた、2回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmax(またはAUC)が、1回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmax(またはAUC)に比べて約2倍〜約10倍、約3倍〜約8倍、約4倍〜約5倍、または約5倍大きくなることを記載している。
前記印刷物はまた、鼻から治療的有効量のインスリンを吸収出来る被験者または被験者群を特定するために、被験者を検査するべきであることを記載していてもよい。鼻から投与する前記インスリン用量は、鼻腔投与が可能な医薬製剤中に約20U〜約200Uの範囲を取ってもよい。前記血漿中インスリンは、用量の投与から約10〜30分後に測定されてもよい。前記インスリン用量は、、約25U〜約150U、約50U〜約125U、または約75U〜約100Uの範囲を取ってもよく、あるいは約100Uであってもよい。鼻腔用インスリンの投与後、血漿中インスリンのCmaxは、約15〜約400μU/ml、約30〜約250μU/ml、約50〜約150μU/ml、約70〜約100μU/ml、または約15〜約20μU/mlの範囲を取ってもよく、あるいは約70μU/ml以上(約200〜250μU/mlの上限内)であってもよい。
あるいは、前記印刷物は、鼻から治療的有効量のインスリンを吸収出来る被験者を決定する為に、鼻腔用インスリンの投与後に血漿中グルコースを測定するべきであることを記載していてもよい。前記印刷物は、前記測定は標準的なカロリー負荷、例えば固体または液体の炭水化物含有の食品または飲料を用いて行われるべきであることを記載していてもよい。例えば、75gmのグルコースを含む飲料が用いられてもよい。絶食状態の被験者には、血漿中グルコースの基準値テストを行ってもらうであろう。鼻腔用インスリンを投与された直後に、当該被験者はカロリー負荷を受けるであろう。血漿中グルコースはカロリー負荷から約10〜約120分後の範囲の期間において、再度測定されるであろう。グルコースの上昇が約60mg/dl未満となる被験者は、治療有効量のインスリンを鼻から吸収することが出来る被験者であると見なされるであろう。グルコース上昇の応答の範囲は、約60mg/dl未満、約40mg/dl未満、または約20mg/dl未満であってもよい。
この分野において知られている通り、インスリン療法による糖尿病等の疾患の治療法は被験者毎に異なる。製品の物品の中に組み込まれる前記印刷物は、インスリン医薬製剤の投与が、鼻腔内噴霧装置をどの程度深く鼻孔に挿入したか、被験者が吸気していたか、または鼻腔内噴霧器の挿入角度に依存しないことを記載していてもよい。
鼻粘膜を越えて送達されることの出来る、いかなる薬学的活性作用物質、またはそのような作用物質の2つ以上の混合物が、本発明の実施において用いられていてもよい。"薬学的活性作用物質"の用語には、ペプチド、タンパク質、ペプチド疑似体、ペプトイド、および化学化合物を含むほか、同様に、前駆体、塩、複合体、類似体、ならびに前記ペプチド、タンパク質、ペプチド疑似体、ペプトイド、および化学化合物の誘導体を含む。前記作用物質は治療的、予防的、または診断的な性質があってもよい。
本発明の実施において用いられてもよい薬学的活性作用物質の例には以下の物を含む:糖尿病の治療に有用な化合物で、例えばインスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、インスリン類似体、およびグルカゴン様ペプチド(GLPs);カルシトニンおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチド;成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;ガン治療薬で、例えば、ソマトスタチン(SRIFs)およびその類似体;ゴナドトロピン放出薬(GnRHs、黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬(LHRHs)としても知られる);ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬で、例えば、アンチド;デルタ睡眠誘発ペプチド(DSIPs);オピオイド;抗肥満薬;抗炎症薬;アンジオゲニン拮抗薬;抗オピエートペプチドで、例えば、モルヒネ調節神経ペプチド;β拮抗薬で、例えばアルブテロール;抗不安薬で、例えば、ジアゼパム、ミダゾラム、バルビツレート、パロキセチン、イミプラミン、および関連する向精神作用の化合物;β遮断薬;食欲増強作用の化合物;麻酔剤およびオピオイド鎮痛剤;性ホルモンで、例えばテストステロン、プロゲステロン、およびエストラジオール;ならびに、代謝制御ペプチドで、例えば、副甲状腺ホルモン(PTH)、甲状腺刺激ホルモン、胸腺液性因子(THF)、および卵胞刺激ホルモン(FSH)。WO03/000158。
ペプチドまたはタンパク質を有する本発明の実施形態において、当該組成物は、例えば吸収部位において起こるペプチドまたはタンパク質の分解を、防ぐことの出来る酵素阻害剤もまた有していてもよい。実質的にあらゆる適切な酵素阻害剤または酵素阻害剤の混合物が本発明の実施において使われてもよい。本発明の実施において使われてもよい酵素阻害剤の例は、ロイペプチン、ベスタチン、アプロチニンである。任意のタンパク質またはペプチドにおける酵素切断部位に応じて、異なる酵素阻害剤が使用されてもよい。前記酵素阻害剤は投与部位における酵素的分解を阻害するのに十分な濃度で使用されることができる。指針の目的で記すと、ほとんどの注入には前記酵素阻害剤の使用が、当該組成物中の約0.0001〜約1.0重量%の量で、およびより好ましくは当該組成物の約0.005〜約0.1重量%の量で、含まれるであろうと考えられる。WO03/000158。前記実施例は、本発明の実施形態を説明するものであり、限定するものと見なされてはならない。
本試験の目的は、インスリンの鼻腔内投与についての最適な方法論を決定すること、および用量応答の薬物動態学的性質と薬物力学的性質とを確認することであった。本試験は参加施設の治験審査委員会に承認されたプロトコルに従って行われた。
製剤および装置
試験された製剤は鼻腔内インスリン噴霧剤であり、標準的な短時間作用性のヒト組換えインスリンを、幾つかの一般的な賦形剤を加えた水の中に溶解させたものを含有していた。この賦形剤にはポリソルベート20、ソルビタンモノラウリン酸、綿実油、およびシクロペンタデカラクトン(CPE−215)を含んでいた。この賦形剤のシクロペンタデカトンはセイヨウトウキの様な植物の中に天然に存在する化合物であり、多くの食品、化粧品、個人用生理用品に含まれる一般的な構成成分である。重要なことに、インスリン製剤は使用の前に2〜10時間室温におかれた。またこのインスリン製剤は2〜3回穏やかにひっくり返された。噴霧器は一番最初に使用される際に、ポンプのプライムを行った。100μlの各噴霧により、およそ25Uのインスリンが送出された。APF(Advanced Preservative Free)の鼻腔用噴霧装置の使用により、投与容積は少なくとも1週間の期間中、許容範囲内に保たれた。
試験された製剤は鼻腔内インスリン噴霧剤であり、標準的な短時間作用性のヒト組換えインスリンを、幾つかの一般的な賦形剤を加えた水の中に溶解させたものを含有していた。この賦形剤にはポリソルベート20、ソルビタンモノラウリン酸、綿実油、およびシクロペンタデカラクトン(CPE−215)を含んでいた。この賦形剤のシクロペンタデカトンはセイヨウトウキの様な植物の中に天然に存在する化合物であり、多くの食品、化粧品、個人用生理用品に含まれる一般的な構成成分である。重要なことに、インスリン製剤は使用の前に2〜10時間室温におかれた。またこのインスリン製剤は2〜3回穏やかにひっくり返された。噴霧器は一番最初に使用される際に、ポンプのプライムを行った。100μlの各噴霧により、およそ25Uのインスリンが送出された。APF(Advanced Preservative Free)の鼻腔用噴霧装置の使用により、投与容積は少なくとも1週間の期間中、許容範囲内に保たれた。
試験の被験者
18歳〜50歳の、健康で喫煙をせず、後記の採択/除外基準を満たした男性被験者8人が本試験に参加した。被験者は以下に記す採択基準の全てを満たさなければならなかった。現病歴と身体検査(鼻腔検査を含む)において臨床的に重大な異常がない;体格指数が33以下である;体重が70kg以上である;Cペプチド値が1.0mg/mlより高い;本試験に入る前に書面による同意書に合意を得ている。
18歳〜50歳の、健康で喫煙をせず、後記の採択/除外基準を満たした男性被験者8人が本試験に参加した。被験者は以下に記す採択基準の全てを満たさなければならなかった。現病歴と身体検査(鼻腔検査を含む)において臨床的に重大な異常がない;体格指数が33以下である;体重が70kg以上である;Cペプチド値が1.0mg/mlより高い;本試験に入る前に書面による同意書に合意を得ている。
被験者がもし以下に記す除外基準のいずれか1つでも満たしていた場合は除外された。心臓、胃腸、内分泌系、神経系、肝臓、または腎臓に重大な疾患がある;インスリンの吸収、送達、代謝、または排泄を阻害することが知られている現病歴がある;何らかの理由で薬物を慢性使用している(ただし安定性のビタミンおよび栄養サプリメントは許容される);空腹時の血漿中グルコースが126mg/dl以上である;肝酵素(ALT、AST、アルカリ性リン酸塩)の値が正常値の上限の1.5倍より高い;少なくとも2年以内において薬物またはアルコールの乱用歴がある;初回検診前30日以内において治験薬の使用がある;鼻腔用噴霧器の日常的な使用がある;選別検診の際の尿検査において薬物陽性である。
試験の手順
被験者は表1に記載された計画表に従って投与を受けた。バイタルサインは被験者が少なくとも5分間座り続けた後に測定した。血圧と心拍数は、各用量の投与前および治療した日中必要な時に測定および記録をした。およそ600kcals(炭水化物50%、脂肪30%、タンパク質20%)を含む標準化した食事が、各インスリンの治療の45分後および最後の採血の後に与えられた。
被験者は表1に記載された計画表に従って投与を受けた。バイタルサインは被験者が少なくとも5分間座り続けた後に測定した。血圧と心拍数は、各用量の投与前および治療した日中必要な時に測定および記録をした。およそ600kcals(炭水化物50%、脂肪30%、タンパク質20%)を含む標準化した食事が、各インスリンの治療の45分後および最後の採血の後に与えられた。
試験期間において、全ての被験者は朝の治療の前夜少なくとも8時間は絶食した。この終夜絶食の際、水については投与の1時間前までは自由に摂取することが許可されていた。被験者は直立して座っている間に、鼻腔内投与を受けるか、あるいは自分で投与を行った。
被験者は以下に記すプロトコルに従って投与を行った。被験者は両方の鼻孔の通りが良いかどうかを、択一的に片側の鼻孔を押さえて息を吸う事で確認した。両方の鼻孔の通りが良い場合、被験者は片方の鼻孔がもう片方の鼻孔に比べて、より通りが良いかどうかを確認した。もしそうであった場合、より通りが良い方の鼻孔に25U(1噴霧)の用量を投与した。もし両方の鼻孔の通りが完全に詰まっていた場合、被験者は少なくとも片方の鼻孔の詰まりが無くなるまで、穏やかに鼻をかんだ。投与する用量が50U、75U、および100U(2回、あるいはそれ以上の噴霧)の場合、両方の鼻孔の通りが良いことを(必要ならば穏やかに鼻をかむことによって)確実にし、噴霧の間には約10〜20秒の時間を空けた。被験者は座位で頭を自分の胸に向けて曲げて投与を行った。これにより各投薬において適切に管が浸漬されることを確実にする。このポンプ噴霧器はプライムを行ってから、作動部を鼻孔に挿入した。
被験者はその時に投与をしていない側の鼻孔を閉じた。各噴霧において、被験者または医療介護従事者は、注入器の底部を親指で支えながら注入器の肩部を人差し指と中指を用いてしっかりと押し下げた。噴霧器が使用されると同時に、被験者は穏やかに息を吸い込み、また鼻孔内にしっかりと吸入した。被験者はついで口から息を吐き出した。息の吸い込みと吐き出しとは、必要に応じて繰り返された。各被験者は用量を受け取る前に、この鼻吸入手技を練習した。被験者は投与後の30分間は鼻をかむことを禁止された。なお、上に記された指示は、キットの一部として被験者に手渡されるであろう印刷物の中に取り入れてもよい。
サンプル採取と測定方法
4mlの静脈血サンプルを、下に記した時間計画に従って、各被験者ボランティアから(静脈内用カニューレを通して)無菌的に吸引した。インスリンのPK(Pharmacokinetics;薬物動態学)を8サンプル:−5,−1,10,15,20,25,30,45分後;グルコースのPKを8サンプル:−5,−1,10,15,20,25,30,45分後;治療の間のベッドサイドでのグルコース測定を4サンプル:*−5,30,40,45分後(*投与を始めるには−5分後のグルコース数値が126mg/dlより低い必要があった)。
4mlの静脈血サンプルを、下に記した時間計画に従って、各被験者ボランティアから(静脈内用カニューレを通して)無菌的に吸引した。インスリンのPK(Pharmacokinetics;薬物動態学)を8サンプル:−5,−1,10,15,20,25,30,45分後;グルコースのPKを8サンプル:−5,−1,10,15,20,25,30,45分後;治療の間のベッドサイドでのグルコース測定を4サンプル:*−5,30,40,45分後(*投与を始めるには−5分後のグルコース数値が126mg/dlより低い必要があった)。
血漿中グルコースの測定のために、血液サンプルをフッ化シュウ酸塩チューブ中に収集した。これらはまとられ、同じ検査回で処理を行った。サンプルをもう1つ、空の(抗血液凝固剤の無い)チューブに収集し、室温で30分間置いて凝固させた。血清を分離し、ドライアイスの中に直立させ−70℃で保存していたラベル付のポリプロピレンチューブの中に、二組に分割して分注した。遠心分離後に残った血球は廃棄した。全てのインスリンサンプルは各検査日毎にまとめられ、同じ検査回で処理を行った。
免疫測定法により、各血液サンプルのインスリン濃度とCペプチド濃度とを測定した。インスリン濃度は0〜45分に採られたサンプルでのみ測定し、Cペプチド濃度は選別目的でのみ測定を行った。検証手順は国際ガイドラインに従って行った。
インスリンの結果
図1Aにおいて、インスリン用量に対する血漿中インスリンのCmaxまたはAUCがプロットされており、それぞれ3つの異なる用量(25、50、および75U)のインスリンを同じ鼻孔に対して1回投与した後の、用量−暴露量関係が示されている。暴露量は循環系に吸収されたインスリンの量である。同じ鼻孔に2回目の25U(合計用量は50Uになる)を投与することで、25Uの1回用量の投与に比べて2倍以上のCmaxとAUCを達成した。実際のところ、同じ鼻孔に1回用量の時の暴露量に比べて概して約5倍の暴露量を達成していた。3回目の25U(合計用量は75Uになる)の投与による増加はおおよそ比例しており、CmaxおよびAUCの増分は、50Uの投与の暴露量に対してそれぞれ48%と41%であった。図1Bは、それぞれ3つの異なる用量(25、50、および75U)を同じ鼻孔に投与した時の、暴露量の増加率をCmaxおよびAUCの測定値から示している。このグラフ中の左側には、予期される暴露量の変化を示してある。つまり例えば、もし2回分の用量、つまり50U(2×25U)が投与されれば、線形に比例すればCmaxかAUCのどちらかが2倍の上昇になる、と予期される。しかしながら、同じ鼻孔に各25Uの2回噴霧を投与した時(合計用量は50Uになる)、CmaxあるいはAUCにおいて、25Uの1回噴霧の投与に比べて約5倍の増加が見られた。
図1Aにおいて、インスリン用量に対する血漿中インスリンのCmaxまたはAUCがプロットされており、それぞれ3つの異なる用量(25、50、および75U)のインスリンを同じ鼻孔に対して1回投与した後の、用量−暴露量関係が示されている。暴露量は循環系に吸収されたインスリンの量である。同じ鼻孔に2回目の25U(合計用量は50Uになる)を投与することで、25Uの1回用量の投与に比べて2倍以上のCmaxとAUCを達成した。実際のところ、同じ鼻孔に1回用量の時の暴露量に比べて概して約5倍の暴露量を達成していた。3回目の25U(合計用量は75Uになる)の投与による増加はおおよそ比例しており、CmaxおよびAUCの増分は、50Uの投与の暴露量に対してそれぞれ48%と41%であった。図1Bは、それぞれ3つの異なる用量(25、50、および75U)を同じ鼻孔に投与した時の、暴露量の増加率をCmaxおよびAUCの測定値から示している。このグラフ中の左側には、予期される暴露量の変化を示してある。つまり例えば、もし2回分の用量、つまり50U(2×25U)が投与されれば、線形に比例すればCmaxかAUCのどちらかが2倍の上昇になる、と予期される。しかしながら、同じ鼻孔に各25Uの2回噴霧を投与した時(合計用量は50Uになる)、CmaxあるいはAUCにおいて、25Uの1回噴霧の投与に比べて約5倍の増加が見られた。
図2Aと図2Bにおいて、3つの異なる用量(50、75、および100U)を2つの鼻孔に対して2回繰り返し投与した場合と、3つの異なる用量(25、50、および75U)を同じ鼻孔に対して1回投与した場合の、その後の用量−暴露量関係が示されている。2回目の25Uの用量を同じ鼻孔に投与することで、1回の用量の時の暴露量の約5倍の暴露量を達成した事が、図2A中のCmaxおよび図2B中のAUCに反映されているが、その一方で、2つの異なる鼻孔に連続的に投与した場合、2回目の25Uの用量によって達成されたのは約2倍の暴露量であった。
図3は鼻腔投与したインスリンの吸収における個人間での変動性の高さを示しており、個人間で血漿中インスリンのCmaxに15倍の開きを示しているのはその変動性の高さを反映している可能性がある。#17〜#24は異なる試験被験者を指している。同一の投与スケジュールによる2回繰り返し試行間での個人内変動は、より低くなるようであった。以前には、この個人間変動は投与における手技に起因するとされてきた。それには例えば、どの程度深く鼻孔に鼻腔内噴霧装置を挿入したか、被験者が吸気していたか、あるいは鼻腔内噴霧器の挿入の角度、といった手技が挙げられる。しかしながら、この試験によりそれらの可能性は否定され、個人間変動はむしろ、この投与方法によって鼻粘膜を通して治療的有効量のインスリンを吸収することが出来る被験者と、それとは対照的に著しく低い量のインスリンしか吸収しない被験者とが存在することに、起因するであろうことが示された。それ故に、インスリン療法の安全性を向上させるために、インスリン投与に先立って、鼻腔投与後のインスリン吸収量を決定する為の測定を被験者が受けることが重要である。
グルコースクランプ法は、グルコース取込みへのインスリンの即時的な効果を測定する十分に確立された手法である。この測定方法は、試験しているインスリンの働きを相殺するように調整された速度でグルコースを注入することによって、事前に決定した血中グルコース値(例えば〜100mg/dl)にクランプ、つまり維持することで、行われるものである。それ故に、グルコース注入速度(GIR)は、時間単位毎に血漿中から「消失する」グルコース量の、直接的な尺度となる。
このグルコースクランプ法の検査は、以下の手順の従って行われた。
a.被験者は前夜の午後11時から絶食した(水は除く)。
b.被験者が5分間座って休めた後に、バイタルサインを測定した。
c.血管拡張のために両腕を温熱パッドの上に置いた。片方の腕に、静脈カテーテルを肘正中静脈に刺入し、2つの活栓から20%デキストロースとインスリンとを注入した。もう1つ静脈カテーテルを刺入し、グルコース測定のために、動脈血化した血液を逆行させて採取した。温熱パッドはグルコース注入箇所から取り除いてもよいが、逆行カテーテルの刺入箇所は65℃に維持した。開始時の血液(−30分)を、グルコース基準値のサンプルとして採取した。クランプ処置に適切な流量を確実に得るために、30分後にインスリンの注入を始めた。
d.投与の1時間前に、標準生理食塩水を30cc/hrの速度で注入した。
e.血中グルコース測定のために、クランプ処置の間5分毎にサンプルを採取した。状態はYSI2300グルコース分析器を用いて分析した。グルコースの注入速度は、必要に応じて調整し、血中グルコースを90〜110mg/dlの一定水準に維持した。
f.血液サンプルはグルコース値とインスリン値との測定の為に、−10、−1、3、6、9、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、120、150、180、および240分時点で採取した。Cペプチドは各投与において、−10、−1、60、120、および240分時点で採取した。
g.20%デキストロースの注入をさらに15分続けた。
h.バイタルサインを測定した。
i.被験者に食事を与え、被験者の血中グルコース値が退院前に100mg/dlより高くなることを確実にした。
a.被験者は前夜の午後11時から絶食した(水は除く)。
b.被験者が5分間座って休めた後に、バイタルサインを測定した。
c.血管拡張のために両腕を温熱パッドの上に置いた。片方の腕に、静脈カテーテルを肘正中静脈に刺入し、2つの活栓から20%デキストロースとインスリンとを注入した。もう1つ静脈カテーテルを刺入し、グルコース測定のために、動脈血化した血液を逆行させて採取した。温熱パッドはグルコース注入箇所から取り除いてもよいが、逆行カテーテルの刺入箇所は65℃に維持した。開始時の血液(−30分)を、グルコース基準値のサンプルとして採取した。クランプ処置に適切な流量を確実に得るために、30分後にインスリンの注入を始めた。
d.投与の1時間前に、標準生理食塩水を30cc/hrの速度で注入した。
e.血中グルコース測定のために、クランプ処置の間5分毎にサンプルを採取した。状態はYSI2300グルコース分析器を用いて分析した。グルコースの注入速度は、必要に応じて調整し、血中グルコースを90〜110mg/dlの一定水準に維持した。
f.血液サンプルはグルコース値とインスリン値との測定の為に、−10、−1、3、6、9、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、120、150、180、および240分時点で採取した。Cペプチドは各投与において、−10、−1、60、120、および240分時点で採取した。
g.20%デキストロースの注入をさらに15分続けた。
h.バイタルサインを測定した。
i.被験者に食事を与え、被験者の血中グルコース値が退院前に100mg/dlより高くなることを確実にした。
図4は測定したCmaxに対してGIRの最大値をプロットしたものである。インスリンのCmaxが約70μU/mlよりも大きい時に、十分なグルコース代謝が起きることを、データは示している。
本発明の範囲は、上述の部分で明確に図示および記述されてきたものだけに限定されない。本発明の開示中には、特許や様々な出版物などの数多くの参考文献が引用されおり、またそれらについて考察されている。そのような参考文献に対する引用および考察は、単に本発明の記述を明確にする目的で加えたものであり、いずれの参考文献も、ここに記載した本発明の先行技術であると認めて記載したものではない。本明細書において引用および考察した参考文献は、その全体を参照することにより組み込まれるものである。本明細書の記載事項においての変更、改良、およびその他の実施が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本技術分野における通常の当業者により生じるであろう。本発明の一定の実施形態について図示及び記述してきたが、本技術分野の当業者にとって、変形および改良が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなしに行われうることは明白であろう。以上の記述において説明された事項および添付の図面は、あくまでも例示する為のものであって、それに限定はされない。
Claims (50)
- 治療的に有効な血漿中インスリン濃度を達成する方法であって、インスリンの医薬製剤の少なくとも約2回の用量を1つの鼻孔中に連続的に投与する工程を有するものである、方法。
- 請求項1記載の方法において、1回用量は100μl当たり少なくとも約10〜約100国際単位(U)のインスリンを有するものである。
- 請求項2記載の方法において、血漿中インスリンのCmaxは、血漿中インスリンが2回目の用量の投与から約0分〜約45分後において測定される場合、少なくとも約70μU/mlとなるものである。
- 請求項3記載の方法において、前記2回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCは、少なくとも約1800μU/(ml×min)となるものである。
- 請求項1または2記載の方法において、2回目の用量の後における血漿中インスリンのCmaxは、血漿中インスリンが2回目の用量の投与から約0分〜約45分後に測定される場合、1回目の用量の後における血漿中インスリンのCmaxに比べて約2倍〜約10倍大きいものである。
- 請求項5記載の方法において、2回目の用量の後における血漿中インスリンのCmaxは、1回目の用量の後における血漿中インスリンのCmaxに比べて約3倍〜約8倍大きいものである。
- 請求項6記載の方法において、2回目の用量の後における血漿中インスリンのCmaxは、1回目の用量の後における血漿中インスリンのCmaxに比べて約5倍大きいものである。
- 請求項5記載の方法において、2回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCは、1回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCに比べて約2倍〜約10倍大きいものである。
- 請求項8記載の方法において、2回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCは、1回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCに比べて約3倍〜約8倍大きいものである。
- 請求項9記載の方法において、2回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCは、1回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCに比べて約5倍大きいものである。
- 請求項1記載の方法において、2回目の用量が同じ鼻孔に連続して投与された後の血漿中インスリンのCmaxは、2回目の用量が2つの異なる鼻孔に連続して投与された場合に観察される血漿中インスリンのCmaxに比べて少なくとも約2倍大きいものであり、血漿中インスリンは、インスリンの2回目の用量の投与から約0分〜約45分後に測定されるものである。
- 請求項11記載の方法において、前記2回目の用量が同じ鼻孔に連続して投与された後の血漿中インスリンのAUCは、2回目の用量が2つの異なる鼻孔に連続して投与された場合に観察される血漿中インスリンのAUCに比べて約2倍大きいものである。
- 請求項1記載の方法において、インスリンの前記医薬製剤は、治療的有効量のインスリン、透過促進剤、および液状担体を有するものであり、前記透過促進剤は以下の構造を有するHsieh促進剤であり、
- 治療的有効量のインスリンを吸収できる被験者を特定する方法であって、医薬製剤中に約20U〜約200Uの範囲でインスリンの1回の用量を鼻から投与する工程と、ついで当該用量の投与から約10分〜約30分後における血漿中インスリン濃度を測定する工程とを有するものである、方法。
- 請求項14記載の方法において、インスリンの前記用量は約25U〜約150Uの範囲である。
- 請求項15記載の方法において、インスリンの前記用量は約50U〜約125Uの範囲である。
- 請求項16記載の方法において、インスリンの前記用量は約75〜約110Uの範囲である。
- 請求項17記載の方法において、インスリンの前記用量は約100Uである。
- 請求項14記載の方法において、血漿中インスリンのCmaxは約15〜約400μU/mlの範囲である。
- 請求項19記載の方法において、血漿中インスリンのCmaxは約30〜約250μU/mlの範囲である。
- 請求項20記載の方法において、血漿中インスリンのCmaxは約50〜約150μU/mlの範囲である。
- 請求項19記載の方法において、血漿中インスリンのCmaxは約70μU/mlである。
- 製品の物品であって、鼻腔投与用のインスリンの医薬製剤と、治療的に有効な血漿中インスリン濃度を達成するために、インスリンの前記医薬製剤の少なくとも約2回の用量が1つの鼻孔に連続的に投与されるべきであることを示す印刷物とを有する、製品の物品。
- 請求項23記載の製品の物品において、インスリンの前記医薬製剤は、治療的有効量のインスリン、透過促進剤、および液状担体を有するものであり、前記透過促進剤は以下の構造を有するHsieh促進剤であり、
- 請求項23記載の製品の物品において、前記印刷物は、用量が100μl当たり少なくとも約10U〜約100Uのインスリンを有することを記載するものである。
- 請求項25記載の製品の物品において、前記用量は100μl当たり少なくとも約15U〜約75Uのインスリンを有するものである。
- 請求項25または26記載の製品の物品において、前記用量は100μl当たり少なくとも約25Uのインスリンを有するものである。
- 請求項23記載の製品の物品において、前記印刷物は、血漿中インスリンが約0分〜約45分において測定される場合、2回目の用量の投与後におけるインスリンのCmaxが少なくとも約70μU/mlとなることを記載するものである。
- 請求項28記載の製品の物品において、前記印刷物は、前記2回目の用量の後における血漿中インスリンのAUCが、少なくとも約1800μU/(ml×min)となることを記載するものである。
- 請求項23記載の製品の物品において、前記印刷物は、2回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmaxが、1回目の用量の投与後における血漿中インスリンのCmaxに比べて約2倍〜約10倍大きいものであることを記載するものである。
- 請求項30記載の製品の物品において、前記印刷物は、前記2回目の用量の後におけるインスリンのAUCが、前記1回目の用量の後におけるインスリンのAUCに比べて約2倍〜約10倍大きいものであることを記載するものである。
- 製品の物品であって、鼻腔投与用のインスリンの医薬製剤と、印刷物とを有し、前記印刷物は、前記医薬製剤の投与前に、被験者が治療的有効量のインスリンを吸収できるかどうかを決定するために当該被験者は評価されるべきであることを示すものであり、医薬製剤中に約20U〜約200Uの範囲でインスリンの1回の用量を鼻から投与する工程と、ついで当該用量の投与から約10分〜30分後における血漿中インスリン濃度を測定する工程とを有するものである、製品の物品。
- 請求項32記載の製品の物品において、インスリンの前記用量は約25U〜約150Uの範囲である。
- 請求項33記載の製品の物品において、インスリンの前記用量は約50U〜約125Uの範囲である。
- 請求項34記載の製品の物品において、インスリンの前記用量は約75U〜約110Uの範囲である。
- 請求項35記載の製品の物品において、インスリンの前記用量は約100Uである。
- 請求項32記載の製品の物品において、インスリンのCmaxは約15U〜約400Uの範囲である。
- 請求項37記載の製品の物品において、インスリンの前記Cmaxは約30U〜約250Uの範囲である。
- 請求項38記載の製品の物品において、インスリンの前記Cmaxは約50U〜約150Uの範囲である。
- 請求項32記載の製品の物品において、前記Cmaxは約70μU/mlより大きいものである。
- 請求項32または40記載の製品の物品において、インスリンの前記医薬製剤は、治療的有効量のインスリン、透過促進剤、および液状担体を有するものであり、前記透過促進剤は以下の構造を有するHsieh促進剤であり、
- 請求項32記載の製品の物品において、前記印刷物は、さらに、前記医薬製剤の投薬が、鼻腔内噴霧装置がどの程度深く鼻孔に挿入されたか、前記被験者が吸気していたか、または前記鼻腔内噴霧の挿入角度に依存しないことを記載するものである。
- 治療的有効量のインスリンを吸収できる被験者を特定する方法であって、医薬製剤中に約20U〜約200Uの範囲でインスリンの1回の用量を鼻から投与する工程と、カロリー負荷を与える工程と、ついで前記用量の投与から約15分〜約120分後における血漿中グルコース濃度の上昇を測定する工程とを有するものである、方法。
- 請求項43記載の方法において、インスリンの前記用量は、約25U〜約150Uの範囲である。
- 請求項44記載の方法において、インスリンの前記用量は、約50U〜約125Uの範囲である。
- 請求項45記載の方法において、インスリンの前記用量は、約75U〜約110Uの範囲である。
- 請求項46記載の方法において、インスリンの前記用量は、約100Uである。
- 請求項43記載の方法において、血漿中グルコースの上昇は約60mg/dlである。
- 請求項48記載の方法において、前記上昇は約40mg/dl未満である。
- 請求項49記載の方法において、前記上昇値は約20mg/dl未満である。
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