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JP2011506371A - 抗Fasリガンド抗体を含有する天疱瘡の治療薬 - Google Patents

抗Fasリガンド抗体を含有する天疱瘡の治療薬 Download PDF

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JP2011506371A JP2010537326A JP2010537326A JP2011506371A JP 2011506371 A JP2011506371 A JP 2011506371A JP 2010537326 A JP2010537326 A JP 2010537326A JP 2010537326 A JP2010537326 A JP 2010537326A JP 2011506371 A JP2011506371 A JP 2011506371A
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Abstract

ケラチノサイト棘融解を伴う皮膚疾患の予防および/または処置のために、特に天疱瘡の予防および/または処置のために、ヒトFasリガンド(CD95LもしくはApo1Lとも名付けられる、以下FasLと略する)に対して作られたFasLアンタゴニスト(例えばヒト化抗体)の使用に関する開示。

Description

本発明は、ヒトFasリガンド(CD95LまたはApo1Lとも名付けられる、以下FasLと省略する)のアンタゴニストの使用、より具体的には、ケラチノサイト棘融解を伴う皮膚疾患の予防および/または治療のための、特に天疱瘡の予防および/または治療のためのFasLに対するヒト化抗体の使用に関する。
天疱瘡は、接着斑タンパク質(デスモグレイン、dsg)に対して作られる自己抗体のために、ケラチノサイト接着の損失を特徴とする自己免疫性水疱性皮膚病である。天疱瘡は、年間、100,000人あたり約1〜5人の発生率で世界的な分布を有し、かつ女性に多い。
天疱瘡は、棘融解として既知のプロセスでまとめられる基底層直上ケラチノサイトの接着の損失を特徴とする。抗デスモグレイン抗体に加えて、新しい一群の抗コリン作動性受容体抗体が棘融解を誘発し得る(Kalish, 2000)という主な理由から、天疱瘡の病変形成は抜本的な見直しを受けている。さらに、抗原抗体結合で水疱形成することを立体障害だけでは説明できないことが実証されてきた(Kitajima, 2002)。さらに、天疱瘡自己抗体(PVIgG)が天疱瘡に結合することによって接着斑形成は抑制されないが、PVIgGを用いる処置から24〜36時間後に接着斑の結合を解離することが示された。この間に、PVIgGによって引き起こされる一連のシグナル伝達ステップが起こる。
これらの観察から、天疱瘡でのアポトーシスの役割が示唆される。実際に、天疱瘡は細胞接着の欠如に起因する疾患であり(Payne AS et al, 1978)、アポトーシスは細胞解離に付随して起こり得る(Marconi et al, 2004)。これらの概念は、天疱瘡病変皮膚でアポトーシスを検出することによって十分に確認される。特に、棘融解細胞はアポトーシスの主要なマーカーを表す(Wang X et al, 2004)。さらに興味深いことに、TUNEL標識核も水疱蓋に付着した状態で見出され、解離前に病変周囲の皮膚にアポトーシス細胞が存在することを示唆している。さらに、Igおよび活性化カスパーゼ−8を示すアポトーシス細胞は、病変の縁、すなわち細胞間接触の破壊が見られない領域で検出される(Wang X et al, 2004)。これらのデータは、天疱瘡において、棘融解前にアポトーシスがケラチノサイトで起こることを明確に示している。
アポトーシスは、細胞恒常性の調節において基本的な役割を果たし、かつ多くの病態生理学的プロセスに関与している。アポトーシスは、細胞間解離(Rezgui et al, 2000; Bergin et al, 2000)および細胞マトリックス相互作用の損失(Giancotti and Ruoslahti, 1999)の双方に続くことがある。
Fas(またはFasR)は、TNF受容体スーパーファミリーの一員であり、多くの細胞系においてFasリガンド(FasL)と結合するとアポトーシスを引き起こす(Sharma et al, 2000)。アポトーシスに誘発されるFas−FasLの細胞内シグナル伝達は、FADD(Fas結合デスドメイン)およびFLICE(FADD様ICE、カスパーゼ−8)等の多くのアダプタ分子を動員することによって作用する。これは順々にFLIP(FLICE抑制タンパク質)によって抑制される(Juo et al, 1998)。Fas−FasL相互作用は、AIDS(Bahr et al, 1997)と全身性エリテマトーデス(Kovacs et al, 1997)等のいくつかの免疫性炎症および感染症の病理機序に関与する。Fas−FasL経路の関連を特徴とする皮膚疾患としては、急性移植片対宿主病、中毒性表皮壊死症およびメラノーマが挙げられる(Wehrli et al, 2000)。さらに、PVIgGおよび抗FasRの双方で処置された培養ケラチノサイトで棘融解様病変が観察され、一方PVIgGが病変形成の数時間前に細胞膜上でのFasR、FasL、およびカスパーゼ−8のクラスター形成を誘発することが報告された(Wang X et al, 2004)。さらに、カスパーゼ−1様インヒビターは、天疱瘡マウスモデルにおいて水疱形成を有意にブロックしたと報告された(Li et al, 2006)。まとめると、FasLおよび外因性アポトーシス経路が棘融解の根底にある機序で重大な役割を果すことをこれらのデータは示している。
天疱瘡自己抗体の性質がどうであろうと、棘融解の数時間前にPVIgGに曝露すると、FasLを含むいくつかのプロアポトーシス遺伝子の発現を上方制御する。さらに、静注用IgG(IVIgG)は、ケラチノサイトでPVIgGに誘発されるFasLおよびアポトーシスの上方制御を阻止する。IVIgGは、棘融解とアポトーシスをin vivoでも阻止する(Arredondo J et al, 2005)。
処置をしないと、尋常性天疱瘡の死亡率は、100%に近似する。天疱瘡を制御するには、早期の全身治療が必要であるが、主な合併症は全身治療からの副作用である。処置には、副腎皮質ステロイド、金を含有する薬剤、抗炎症薬ダプソンまたは免疫系を抑制する薬剤(例えばアザチオプリン、メトトレキサート、シクロスポリン、シクロホスファミドまたはミコフェノール酸モフェチル)の投与が挙げられる。天疱瘡の最も一般的な処置は、現在ではステロイドであり、これは生涯投与を必要とし、かつ重篤な副作用を起こす可能性がある。大部分の天疱瘡患者は、これらの副作用で死亡する。抗生物質のなかには、有効なものもあり、特にミノサイクリンおよびドキシサイクリンがある。静注用免疫グロブリン(IVIg)は時折用いられる。血漿交換法は、抗体を含有する血漿を血液から除去して、静脈内輸液または献血された血漿と交換する方法である。全身薬剤に加えて血漿交換法を用いて、血流中の抗体量を減少させることも可能である。いくつかの新しい分子も開発中である。すなわち、ミコフェノール酸モフェチル、PI−0824、PRTX−100、抗CD20は、T細胞およびB細胞に働く免疫抑制薬である。
現在の死亡率は、依然として5〜25%にわたる。感染は、最も頻度の高い死因であり、長期間の免疫抑制療法(主に副腎皮質ステロイド)は、依然として高死亡率をもたらしている特筆すべき要因の一つである。免疫グロブリンは、多少の短期改善をもたらし得るが、持続する寛解を誘発するとは思われず、長期間使用はその費用から非実用的になる。
血漿交換法を用いる際にはいくつかの警告も存在する。プレドニゾンまたは他の免疫抑制剤で抑制され、かつ血漿交換法を受けている患者は、敗血症からより高い突然死のリスクにさらされている。さらに、この療法は極めて費用がかかり、この療法を投与するために2週間の入院期間が必要である。したがって、敗血症からの突然死のリスクと高額費用のために、患者がこの疾患自体から死のリスクを明らかにさらされている難治例においてのみ血漿交換法が指示される。
本発明の目的は、天疱瘡の治療薬を提供することである。FasLをブロックする新薬を開発することで、細胞解離および皮膚病変の形成を完全に阻止することができる。
概して、本発明は、FasLアンタゴニストを投与することによって、ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患を処置することに言及する。FasLアンタゴニストは、抗FasL抗体、特にヒト化抗体もしくはヒト抗FasL抗体、Fas発現の核酸エフェクター分子(例えばアンチセンス分子、またはsiRNA分子等のRNA干渉ができる分子)、可溶性Fas受容体分子、アンタゴニストなFasL変異タンパク質、およびFas−FasL相互作用を抑制する低分子量化学物質から選択されてもよい。FasLアンタゴニストは、ケラチノサイトアポトーシスおよびそれに続く細胞間解離(棘融解)を阻止する。したがって、FasLアンタゴニストは、天疱瘡の予防および/または処置(例えば粘膜皮膚型天疱瘡の予防および/または処置)に特に適している。
本発明は、FasLの生物学的作用を抑制する少なくとも1つの化合物を含有する薬物に関する。本明細書で用いる表現「FasLの生物学的作用を抑制する化合物」は、FasLの生物学的作用を十分にまたは少なくとも実質的に抑制または中和することができるすべての化合物に関する。例えば、抑制作用または中和作用は、FasLとそれ自体の自然の受容体との結合を抑制すること、したがってこのようにして引き起こされるシグナル伝達を抑制することに基づくこともある。これは、例えばFasLそれ自体に結合する抗体またはFasもしくはアンタゴニストなFasL変異タンパク質を模倣する可溶性受容体に結合する抗体を使用することによって、このようにしてFasLと細胞受容体との結合をブロックすることによって達成することができる。siRNAによってFasまたはFasLの発現に干渉することで、Fas/FasL系をブロックする。
FasLアンタゴニスト療法は、単剤療法、または天疱瘡もしくは他の皮膚疾患(詳しくは上述するように)の処置に適している他の薬物との併用のいずれかで行われる。例えば、FasLアンタゴニストとステロイドの併用療法は、ステロイド投与量の大幅な減少を可能にすることもある。
本発明の好ましい実施形態では、有効成分としてヒトFasリガンドに対する抗体、またはその活性フラグメントを含む、天疱瘡の治療薬を提供する。この抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体もしくはヒト抗FasL抗体または抗原結合フラグメントもしくは誘導体(例えば組換え単鎖抗体)が好ましい。必要に応じて、この抗体は、エフェクター分子(例えば細胞増殖抑制化合物、細胞傷害性化合物および/または放射性化合物)に抱合させてもよい。
ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(本発明によれば特に天疱瘡)の処置に適している好ましいヒト化抗体は、国際公開第1997/002290A1号(「抗Fasリガンド抗体および該抗体を用いる測定方法」)に記述されている、または国際公開第1998/010070A1号(「Fasリガンドに特異的に反応するヒト型化免疫グロブリンもしくはその活性フラグメント並びにFasリガンドヒト型化抗体に由来するアポトーシス誘導領域」)に記述されており、この内容を参考として本明細書で援用する。さらに、ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(本発明によれば特に天疱瘡)の処置に適している好ましいヒト化抗体は、米国特許第7,262,277号(「アンタゴニストな抗hFasリガンドヒト抗体およびそのフラグメント」)に記述されており、この内容も参考として本明細書で援用する。
ヒト抗体またはヒト化抗体は、ヒトの治療で用いるマウス抗体および場合によってはキメラ抗体に対して、少なくとも3つの潜在的利点を有する。すなわち、1)そのエフェクター部分がヒトエフェクターであるため、それは、ヒト系の他の部分とより良く相互作用し得る;2)ヒト免疫系は、ヒト化抗体のフレームワークまたはC領域を異物として認識しないはずであり、したがってそのような注入される抗体に対する抗体応答は、完全に異物のマウス抗体または部分的に異物のキメラ抗体に対するよりも少ないはずである;3)注入されるヒト化抗体は、自然発生的ヒト抗体のそれにむしろ近い半減期を有すると推定され、投与されるべき投与量をより少なくかつ低い頻度にすることが可能になる。
さらに好ましいFasLアンタゴニストは、Fas受容体の細胞外可溶部分を含む可溶性FasR分子、または競合的なアンタゴニストな活性もしくは非競合的なアンタゴニストな活性を有する修飾型アンタゴニストFasL分子である。FasLが可溶性受容体の類似体に結合する、またはアンタゴニストなFasL分子が天然受容体に結合し、それによってこの天然の受容体への生物活性のあるFasLの結合を減少もしくは除去するという点において、これらの分子はFasL/FasR相互作用を抑制する。siRNAを用いる処置の間、Fasタンパク質および/もしくはFasLタンパク質またはRNAレベルの分析を用いて、被験者を処置する際の処置の型および治療過程を決定することができる。Fasタンパク質および/もしくはFasLタンパク質またはRNAレベルのモニタリングを用いて、処置成績を予測し、かつ形質、状態、または疾患と関連する特定のFasタンパク質および/もしくはFasLタンパク質のレベルおよび/または活性を調節する化合物および組成物の有効性を決定することができる。
特に好ましい態様では、本発明は以下の使用に言及する。
(i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前述のモノクローナル抗体が少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含み、前述の重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
(a1)CDR H1:Asn Tyr Trp Ile Gly(配列番号1)、
(b1)CDR H2:Tyr Leu Tyr Pro Gly Gly Leu Tyr Thr Asn Tyr Asn Glu Lys Phe Lys Gly(配列番号2)、
(c1)CDR H3:Tyr Arg Asp Tyr Asp Tyr Ala Met Asp Tyr(配列番号3)もしくは
(d1)配列番号1、2および/もしくは3のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列であり、
および/または前述の軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
(a2)CDR L1:Lys Ser Thr Lys Ser Leu Leu Asn Ser Asp Gly Phe Thr Thy Leu Gly(配列番号4)、
(b2)CDR L2:Leu Val Ser Asn Arg Phe Ser(配列番号5)、
(c2)CDR L3:Phe Gln Ser Asn Tyr Leu Pro Leu Thr(配列番号6)もしくは
(d2)配列番号4、5および/もしくは6のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列である、ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント
または
(ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントについての、
ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(特に天疱瘡)の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用。
特に好ましい第2の態様では、本発明は以下の使用に関する。
(i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントであって、前述のモノクローナル抗体が、アクセッション番号FERM BP−5045としてのハイブリドーマ細胞またはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントによって産生される、ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントまたは
(ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識するモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントについての、
ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(特に天疱瘡)の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用。
特に好ましい第3の態様では、本発明は以下の使用に言及する。
(i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前述のモノクローナル抗体が少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含み、前述の重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
(a1)CDR H1:Glu Tyr Pro Met His(配列番号7)、
(b1)CDR H2:Met IIe Tyr Thr Asp Thr Gly Glu Pro Ser Tyr Ala Glu Glu Phe Lys Gly(配列番号8)、
(c1)CDR H3:Phe Tyr Trp Asp Tyr Phe Asp Tyr(配列番号9)もしくは
(d1)配列番号7、8および/もしくは9のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列であり、
および/または前述の軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
(a2)CDR L1:Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Asn Tyr Leu Asn(配列番号10)、
(b2)CDR L2:Tyr Thr Ser Arg Leu His Ser(配列番号11)、
(c2)CDR L3:Gln Gln Gly Ser Thr Leu Pro Trp Thr(配列番号12)もしくは
(d2)配列番号10、11および/もしくは12のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列である、ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント
または
(ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントについての、
ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(特に天疱瘡)の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用。
好ましい第4の態様では、本発明は以下の使用に言及する。
(i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントであって、前述のモノクローナル抗体が、アクセッション番号FERM BP−5533、FERM BP−5534および/もしくはFERM BP−5535としてのハイブリドーマ細胞またはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントによって産生される、ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメント、または
(ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識するモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントについての、
ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(特に天疱瘡)の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用。
特に好ましい実施形態では、本発明は、米国特許第7,262,277号に記述されるように、1つの軽鎖可変領域および/または1つの重鎖可変領域を含む抗FasLヒト抗体、またはその抗原結合部分の使用に関する。この米国特許の内容は、参考として本明細書で援用する。特に、本発明による、ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患の処置に適している好ましい抗FasLヒト抗体は、米国特許第7,262,277号(参考として本明細書で援用する)の配列番号2に示される配列を有するポリペプチドを含む1つの軽鎖可変領域を含み、さらに米国特許第7,262,277号(参考として本明細書で援用する)の配列番号10または18に示される配列を有するポリペプチドを含む1つの重鎖可変領域を含む。さらに具体的には、本発明は、米国特許第7,262,277号(参考として本明細書で援用する)に記述されるように抗hFasヒト抗体3E1および/または4G11についての、ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(特に天疱瘡)の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用に言及する。
さらに好ましい態様では、本発明は以下の使用に関する。
(i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナルヒト抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前述のモノクローナル抗体が少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含み、前述の重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
(a1)CDR H1:Arg His Gly Ile Thr(配列番号13)もしくは
(a2)CDR H1:Ser His Gly Ile Ser(配列番号14)
(b1)CDR H2:Trp Ile Asn Ala Tyr Asn Gly Asn Thr Asn Tyr Ala Gln Lys Val Gln Gly(配列番号15)もしくは
(b2)CDR H2:Trp Ile Asn Ala Tyr Ser Gly Asn Thr Asn Tyr Ala Gln Lys Leu Gln Gly(配列番号16)
(c1)CDR H3:Glu Thr Met Val Arg Gly Val Pro Leu Asp Tyr(配列番号17)もしくは
(c2)CDR H3:Glu Thr Met Val Arg Gly Val Pro Cys Asp Tyr(配列番号18)もしくは
(d1)配列番号13、14、15、16、17および/もしくは18のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列であって、
および/または前述の軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
(a3)CDR L1:Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Ser Tyr Leu Ala(配列番号19)、
(b3)CDR L2:Gly Ala Ser Ser Arg Ala Thr(配列番号20)、
(c3)CDR L3:Gln Gln Tyr Gly Ser Ser Pro Trp Thr(配列番号21)もしくは
(d3)配列番号19、20および/もしくは21のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列である、ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナルヒト抗体またはその抗原結合フラグメント
または
(ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントについての、
ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(特に天疱瘡)の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用。
さらに好ましい態様では、本発明は以下の使用に言及する。
(i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントであって、前述のモノクローナル抗体が、アクセッション番号ATCC PTA−4017および/またはATCC PTA−4018としてのハイブリドーマ細胞またはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントによって産生される、ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメント、または
(ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識するモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントについての、
ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患(特に天疱瘡)の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用。
本発明の薬物は、医薬上許容される担体と共に医薬組成物として提供してもよい。好ましくは、この医薬組成物は、例えば静脈内に、動脈内に、皮下に、腹腔内に注射もしくは注入によってまたは他の適切な方法によって投与する。この組成物は、局所的または全身的に投与してもよい。この組成物は、全身的に投与することが好ましい。
本発明の使用に適している医薬組成物は、意図する目的を達成するために、有効量の活性薬剤を含む。本発明の薬剤の有効量は、投与経路に依存して、0.1μg〜100mgの範囲で、総量約1gまでにしてもよい。この医薬組成物は、毎日(例えば1回もしくは数回で)もしくは2〜4日ごとに、毎週または隔週で投与してもよい。この薬物は、1回もしくは数回の薬物投与からなる単回処置周期で、または1回もしくは数回の薬物投与からなる複数回処置周期で投与してもよい。各処置周期は、1日〜数週間、数ヵ月、または数年まででさえ継続期間を有することもある。
したがって本発明によれば、この薬物は、ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患に、特に天疱瘡に有効なさらに少なくとも1種類の療法との併用療法で用いてもよい。免疫抑制剤の用量を減少させるためおよび/またはその慢性副作用を軽減するために、この薬物を、単体または他の免疫抑制薬(特にステロイド)との併用のいずれかで使用する。併用で使用する場合、この薬物を月単位で投与することが好ましい。単体で使用する場合、個々の症例に依存する期間内に連続的に投与することが好ましい。
図1は、未処置の天疱瘡患者に由来する凍結切片の病変周囲皮膚の表皮にアポトーシスが存在するかを、TUNEL染色で評価するための共焦点レ−ザ走査顕微鏡写真である。 図2は、天疱瘡病変においてアポトーシスを確認するための、ホルマリン固定パラフィン包埋試料をナフトールホスファート基質で可視化した写真である。 図3は、天疱瘡血清が正常なヒトケラチノサイトでアポトーシスを誘発することができるかどうかを探究したデータを示す。 図4は、天疱瘡患者に由来する血清におけるFasLレベルを二部位酵素免疫測定法(ELISA)で測定した結果を示している。 図5は、その同族受容体であるFasRの発現を調べた結果を示している。 図6は、FasLは、外因性アポトーシス経路を活性化させるカスパーゼ−8の主要誘因の一つであるため、この経路が天疱瘡アポトーシスで役割を果しているかどうかを評価した結果を示す。 図7は、カスパーゼ−8が、未処置細胞と比較すると、天疱瘡血清で処置したケラチノサイトでは著しく活性化されたが、カスパーゼ−8切断が、抗FasL抗体で前処置することで部分的に抑制されたという結果を示している。 図8は、Fas/FasLに誘発されるアポトーシス経路も、接着斑分離の原因であるかどうかを評価した結果を示している。 図9は、培養物由来のタンパク質抽出物を、抗Dsg1抗体および抗Dsg3抗体を用いるウエスタンブロット法で解析した結果を示している。 図10は、天疱瘡の病変形成においてFasLが重要な役割を果していることを前提として、抗FasL抗体(NOK2、NOK2ハイブリドーマ細胞系によって産生された抗体、アクセッション番号FERM BP−5045)をテストした結果を示している。 図11は、他の抗FasL抗体(F918−7−3、アクセッション番号FERM BP−5533を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体;F918−7−4、アクセッション番号FERM BP−5534を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体;F919−9−18、アクセッション番号FERM BP−5535を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体)を用いたFasLの中心的役割をさらに確認した結果を示している。 図12は、外因性アポトーシス経路がdsg切断の原因であるかどうかを調べた結果を示している。 図13は、PVIgGで処置したマウスのみに水疱が発現し、正常なヒトIgGで処置したマウスでは発現しなかったこと示すヘマトキシリン−エオシン染色である。 図14は、FasLのin vivo役割を評価するために、PVIgGまたはPVIgGプラス抗FasL抗体(MFL3クローン、マウスに特異的)でマウスを処置した結果を示している。
さらに、本発明を、以下の実施例によってさらに詳細に説明する。
実施例
未処置の天疱瘡患者に由来する凍結切片の病変周囲皮膚の表皮にアポトーシスが存在するかを、まず、TUNEL染色で評価した。共焦点レ−ザ走査顕微鏡で、蛍光試料を分析した。病変周囲表皮に由来する基底層直上層では、正常な皮膚と比較すると、大部分のケラチノサイトはアポトーシスであった(図1)。
天疱瘡病変においてアポトーシスを確認するために、ホルマリン固定パラフィン包埋試料を用いて、カスパーゼ−3の活性型を検出した。UltraVision LP Detection System AP PolymerおよびFast Red Chromogen(Lab Vision Corporation, CA, USA)による染色プロトコールを、製造業者の説明書に従って行った。Fast Redタブレットを用いて、ナフトールホスファート基質で可視化を得た。天疱瘡の試料で、病変周囲の表皮では陽性になる細胞があり、カスパーゼ−3フラグメントが水疱蓋および水疱底の双方に位置していることを見出した(図2)。棘融解を引き起こすケラチノサイトの解離前にケラチノサイトの細胞死が起こることを、この結果が示すと思われる。
天疱瘡ではアポトーシスケラチノサイトが極めて多数あらわれるので、天疱瘡血清が正常なヒトケラチノサイトでアポトーシスを誘発することができるかどうかを探究することにした。この目的のために、ケラチノサイトをチャンバースライドに播種し、無血清培地(KGM)でプレコンフルエンスに達するまで培養した。次いで、ケラチノサイト基本培地で細胞を培養し、未処置患者または全身性副腎皮質ステロイドで処置した患者のいずれかに由来する25%の血清を加えて、48時間、処置した。健常被験者に由来する血清を対照として使用した。in situ TUNEL染色によってアポトーシスを評価した。無作為に選択したフィールドで、約100の細胞を評価し、次いでTUNEL陽性細胞の割合を計算した。天疱瘡由来の血清はヒトケラチノサイトでアポトーシスを誘発したが、健常被験者またはステロイド処置を受けている患者に由来する血清は、ヒトケラチノサイトでアポトーシスを誘発しなかった(図3A、B)。
Fas/FasL系は、多くのアポトーシスプロセスにおよび皮膚レベルでも関連している(Wehrli et al, 2000)ので、天疱瘡患者に由来する血清におけるFasLレベルを二部位酵素免疫測定法(ELISA)で測定した。組換えヒトFasL標準タンパク質に対して450nmの吸光度を用いて、血清濃度を測定した。FasLレベルは、未処置患者に由来する血清では極めて高く、副腎皮質ステロイドで処置した患者に由来する血清または健常被験者に由来する血清では検出限度を下回った。HBV患者に由来する血清を、陽性対照として使用した(図4A)。ある患者では、FasLレベルは、全身性ステロイド治療と共に徐々に低下した(図4B)。
天疱瘡血清にはFasLが高含有量で含まれているので、その同族受容体であるFasRの発現を調べた。この目的のために、ホルマリン固定パラフィン包埋試料を用いた。UltraVision LP Detection System AP PolymerおよびFast Red Chromogen(Lab Vision Corporation, CA, USA)による染色プロトコールを、製造者の説明書に従って行った。Fast Redタブレットを用いて、ナフトールホスファート基質で可視化を得た。FasRは正常な皮膚では基底ケラチノサイトのみに発現されるが、活性の天疱瘡病変ではFasRは基底細胞および基底層直上細胞の双方で検出される。さらに興味深いことに、粘膜皮膚型天疱瘡(PMC)ではFasRは表皮層にわたり、および水疱が形成される前でも発現されると思われる(図5)。
FasLは、外因性アポトーシス経路を活性化させるカスパーゼ−8の主要誘因の一つである。したがって、この経路が天疱瘡アポトーシスで役割を果しているかどうかを評価したかった。この目的のために、抗FasL中和抗体またはカスパーゼ−8インヒビターで患者の血清を前処置し、次いでケラチノサイト培養物に加えた。ケラチノサイトをKGM中で培養し、次いで天疱瘡血清または未処置患者由来の血清で処置した。抗FasL中和抗体(mlあたり2.5mgを30分間)またはカスパーゼ−8インヒビターZ−IETD−FMK(100μMを30分間)をもちいて血清を前処置した。TUNEL染色によってアポトーシスを評価した。抗FasL中和抗体またはカスパーゼ−8インヒビターを加えると、天疱瘡血清に誘発されるケラチノサイトアポトーシスが部分的に阻止された(図6)。
さらに、図6のように、ケラチノサイトを処置して、抗FasL抗体または不適切な免疫グロブリンのいずれかを与えた。次いでウエスタンブロット解析のために、RIPA緩衝液中で細胞をホモジナイズした。抗ヒトカスパーゼ−8抗体または抗β−アクチン抗体で膜をインキュベートした。オートラジオグラム上のバンドの相対強度を、レーザーデンシトメトリーを走査することで定量化した。カスパーゼ−8は、未処置細胞と比較すると、天疱瘡血清で処置したケラチノサイトでは著しく活性化されたが、カスパーゼ−8切断は、抗FasL抗体で前処置することで部分的に抑制されたことをこの結果は示している(図7)。
まとめると、Fas/FasL系によって引き起こされる外因性アポトーシス経路を介して、天疱瘡血清がケラチノサイトアポトーシスを誘発することを、これらのデータは示唆している。
上皮の接着結合におけるカドヘリン−カテニン接着複合体の成分は、アポトーシスの間カスパーゼによって標的にされることを近年の研究は示している(Weiske et al, 2001)。Fas/FasLに誘発されるアポトーシス経路も、接着斑分離の原因であるかどうかを評価するために、1.8mM CaCl2の存在下のKGM中で培養したコンフルエントなケラチノサイトを、治療または未治療の天疱瘡血清を用いて72時間処置した。培養物由来のタンパク質抽出物を、抗Dsg1抗体および抗Dsg3抗体を用いるウエスタンブロット法で解析した。β−アクチンを内部標準として使用した。天疱瘡血清がDsg1およびDsg3を切断できることがわかった。特に、未処置患者由来の血清は、著しくDsg1およびDsg3を切断するが、ステロイド治療中の患者由来の血清は著しくはなかった(図8)。
最も重要なことに、FasLの量を増加させる(0.1、10、100ng/ml)72時間のケラチノサイトの処置では、用量依存的様式でdsgを切断した。培養物由来のタンパク質抽出物を、抗Dsg1抗体および抗Dsg3抗体を用いるウエスタンブロット法で解析した。これらの用量は、天疱瘡血清で検出したものと一致している(図9)。
天疱瘡の病変形成においてFasLが重要な役割を果していることを前提として、抗FasL抗体(NOK2、NOK2ハイブリドーマ細胞系によって産生された抗体、アクセッション番号FERM BP−5045)をテストした。1.8mM CaCl2を加えたKGM中で培養したコンフルエントなケラチノサイトを以下と共に72時間処置した。すなわち、1.KGM単体;2.抗FasL(NOK2、15μg/ml)抗体;3.FasL(50ng/ml);4.FasL+抗FasL抗体。抗FasL抗体(NOK2)がFasL誘発dsg切断を阻止する証拠を示す。抗FasL抗体(NOK2)がカスパーゼ−8に誘発されるアポトーシスを抑制することも示す(図10A)。抗FasL(NOK2)抗体が、FasLに誘発される細胞間解離、すなわち棘融解を阻止することを、図10Bに示す。
FasLの中心的役割をさらに確認するために、他の抗FasL抗体(F918−7−3、アクセッション番号FERM BP−5533を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体;F918−7−4、アクセッション番号FERM BP−5534を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体;F919−9−18、アクセッション番号FERM BP−5535を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体)を用いた。1.8mM CaCl2を加えたKGM中で培養したコンフルエントなケラチノサイトを以下と共に72時間処置した。すなわち、KGM単体;組換えFasL(50ng/ml);KGM中で1:1に希釈したハイブリドーマ培地;KGM中で異なる希釈でのFasL+ハブリドーマ培地。抗FasL抗体が、用量依存的様式でFasLに誘発されるdsg切断を阻止し(図11Aおよび図11B)、カスパーゼ−8に誘発されるアポトーシス活性を抑制する(図11A)証拠を示す。ハイブリドーマ細胞系FERM BP−5535由来の培地に含まれるFasL抗体が、FasLに誘発される細胞間解離、すなわち棘融解を阻止することを、図11Cに示す。
外因性アポトーシス経路がdsg切断の原因であるかどうかを調べるために、カスパーゼ−8インヒビターZ−IETD−FMK(100μMで30分間)または抗FasL(NOK2、15μg/ml)抗体を用いてコンフルエントな ケラチノサイトを前処置した。次いで、健常血清または未処置の天疱瘡血清を用いて、細胞を72時間インキュベートした。培養物由来のタンパク質抽出物を、抗Dsg3抗体および抗カスパーゼ−8抗体を用いるウエスタンブロット法で解析した。内部標準としてビンキュリンを使用した(図12A)。細胞解離(すなわち棘融解)が抗FasL抗体またはカスパーゼ−8インヒビターによって阻止されることを図12Bに示す。抑制FasLまたはカスパーゼ−8活性化アポトーシス経路がカスパーゼ−8活性化およびdsg切断の双方を阻止し、したがって棘融解をブロックすることをこれらの結果は示している。
結論として、カスパーゼ−8に仲介される外因性アポトーシス経路およびdsg切断の双方を活性化することによる二重活性をFasLが発揮することを我々は示した。我々の研究と一致して、アポトーシスが天疱瘡の現象の原因であり得ることをWangと共同研究者らは示唆していた(Wang et al, 2004)。PV−IgGおよびFas受容体に対する抗体(抗FasR)がin vitroで同様に病変を誘発し、(1)可溶性FasLの分泌;(2)FasR、FasL(可溶性および膜の)、Baxおよびp53のタンパク質の細胞含量の増加;(3)細胞Bcl−2レベルの低下;(4)カスパーゼ−8内の濃縮、およびカスパーゼ−1と3の活性化;(5)膜の細胞死誘導シグナル伝達複合体(DISC)でのFasLおよびFasRのパスパーゼ−8との共凝集を引き起こすことを、Wangらは示した。したがって、Fasに仲介される細胞死シグナル伝達経路は、病変形成に関与していると思われる。
天疱瘡の研究のために、確立した動物モデルが長くかつ広く使われてきた。PVIgGを新生仔マウスに受動移入すると、細胞解離および水疱形成を誘発する。このモデルを用いて、天疱瘡の病変形成におけるアポトーシスおよびFasLの関与が評価した。患者血清から精製したPVIgG(5mg/g/体重)を、新生仔C57BL/6NCrIマウスに、皮下注入した。健常個体の血清から精製したIgG(NIgG)で処置した正常な新生仔マウスを対照として使用した。注入から20時間後、動物を屠殺した。
PVIgGで処置したマウスのみに水疱が発現し、正常なヒトIgGで処置したマウスでは発現しなかったことをヘマトキシリン−エオシン染色は示している(図13A)。TUNELまたはカスパーゼ−3活性化のいずれかによって、PVIgGで処置したマウスのみにアポトーシスを検出した(図13B)。
FasLのin vivo役割を評価するために、PVIgGまたはPVIgGプラス抗FasL抗体(MFL3クローン、マウスに特異的)でマウスを処置した。PVIgGを注入してから3時間後、抗FasL(40μg/マウス)を投与した。H&E染色で示すように、マウスでは水疱形成が阻止されていた。さらに、抗FasLで処置したマウスにおけるクレフトの長さは、著しく減少した(図14)。
結論として、カスパーゼ−8に仲介される外因性アポトーシス経路およびdsg切断の双方を活性化することによる二重活性をFasLが発揮することを示した。最も重要なことに、FasLをブロックすることで、棘融解からin vitroおよびin vivoで保護する。
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Claims (9)

  1. (i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記モノクローナル抗体が少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含み、前記重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
    (a1)CDR H1:Asn Tyr Trp Ile Gly(配列番号1)、
    (b1)CDR H2:Tyr Leu Tyr Pro Gly Gly Leu Tyr Thr Asn Tyr Asn Glu Lys Phe Lys Gly(配列番号2)、
    (c1)CDR H3:Tyr Arg Asp Tyr Asp Tyr Ala Met Asp Tyr(配列番号3)もしくは
    (d1)配列番号1、2および/もしくは3のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列であり、
    および/または前記軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
    (a2)CDR L1:Lys Ser Thr Lys Ser Leu Leu Asn Ser Asp Gly Phe Thr Thy Leu Gly(配列番号4)、
    (b2)CDR L2:Leu Val Ser Asn Arg Phe Ser(配列番号5)、
    (c2)CDR L3:Phe Gln Ser Asn Tyr Leu Pro Leu Thr(配列番号6)もしくは
    (d2)配列番号4、5および/もしくは6のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列である、
    ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを、
    または
    (ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントを、
    ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患の予防および/または治療のための医薬品の製造のために用いる使用。
  2. (i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントであって、前記モノクローナル抗体が、アクセッション番号FERM BP−5045としてのハイブリドーマ細胞によって産生されるヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントまたはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントを、
    または
    (ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識するモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを、
    ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患の予防および/または治療のための医薬品の製造のために用いる使用。
  3. (i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記モノクローナル抗体が少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含み、前記重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
    (a1)CDR H1:Glu Tyr Pro Met His(配列番号7)、
    (b1)CDR H2:Met IIe Tyr Thr Asp Thr Gly Glu Pro Ser Tyr Ala Glu Glu Phe Lys Gly(配列番号8)、
    (c1)CDR H3:Phe Tyr Trp Asp Tyr Phe Asp Tyr(配列番号9)もしくは
    (d1)配列番号7、8および/もしくは9のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列であり、
    および/または前記軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、
    (a2)CDR L1:Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Asn Tyr Leu Asn(配列番号10)、
    (b2)CDR L2:Tyr Thr Ser Arg Leu His Ser(配列番号11)、
    (c2)CDR L3:Gln Gln Gly Ser Thr Leu Pro Trp Thr(配列番号12)もしくは
    (d2)配列番号10、11および/もしくは12のアミノ酸のうちの1つ、2つ、もしくは3つを置換することによって得られる配列である、ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを、
    または
    (ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントを、
    ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患の予防および/または治療のための医薬品の製造のために用いる使用。
  4. (i)ヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントであって、前記モノクローナル抗体が、アクセッション番号FERM BP−5533、FERM BP−5534および/もしくはFERM BP−5535としてのハイブリドーマ細胞によって産生されるヒトFasリガンドタンパク質(FasL)に特異的なモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメントまたはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントを、
    または
    (ii)(i)の抗体と同じヒトFasL上の抗原決定基を認識するモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを、
    ケラチノサイト棘融解と関連する皮膚疾患の予防および/または治療のための医薬品の製造のために用いる使用。
  5. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、部分的にヒト化もしくは完全にヒト化された抗体、部分的にヒト化もしくは完全にヒト化された単鎖抗体またはそのフラグメントから選択される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の使用。
  6. 前記皮膚疾患がアポトーシス経路の活性化および/またはデスモグレインの切断と関連する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の使用。
  7. 前記皮膚疾患が天疱瘡である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の使用。
  8. 前記皮膚疾患に対して有効なさらに少なくとも1種類の療法との併用療法での、請求項1から7までのいずれか一項に記載の使用。
  9. さらに少なくとも1つの免疫抑制薬と、特にさらに少なくとも1つのステロイドと併用する、請求項8に記載の使用。
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