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JP2011231296A - タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤ Download PDF

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JP2011231296A JP2010105530A JP2010105530A JP2011231296A JP 2011231296 A JP2011231296 A JP 2011231296A JP 2010105530 A JP2010105530 A JP 2010105530A JP 2010105530 A JP2010105530 A JP 2010105530A JP 2011231296 A JP2011231296 A JP 2011231296A
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Abstract

【課題】低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分、シリカ及びシランカップリング剤を含有し、上記ゴム成分は、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムと、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムとを含み、上記ゴム成分100質量%中、上記改質天然ゴムの含有量が60〜95質量%、上記希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムの含有量が5〜40質量%であり、上記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10〜60質量部であり、上記シランカップリング剤は、特定の2種類の結合単位のものを共重合したものであるタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれをトレッドに用いた重荷重用タイヤに関する。
近年、燃料代の高騰や環境規制の導入により、車の低燃費化への要求が強くなってきており、タイヤ部材の中でも、タイヤにおける占有比率の高いトレッドを製造するためのゴム組成物に対して、優れた低燃費性能が要求されている。
タイヤ(特に重荷重用タイヤ)において、低燃費性能を改善するためには、天然ゴムやブタジエンゴムをゴム成分として使用する方法が一般的である。低燃費性能を更に改善する方法として、シリカをフィラーとして使用する方法や、フィラーを減量する方法などが知られている。しかし、これらの方法を用いると、ゴム強度が低下し、良好な耐摩耗性能を維持することができない場合がある。特に、重荷重用タイヤに使用するゴム組成物には、高いゴム強度が必要とされることから、上記方法を用いることは困難である。また、シリカと併用される従来のシランカップリング剤は、混練中に粘度上昇が発生したり、スコーチタイムが短くなる傾向があるなど、加工性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性をバランス良く改善する方法が望まれている。
特許文献1には、石油外資源の含有比率を高めるために、天然ゴム及びエポキシ化天然ゴムを用いたゴム組成物が開示されている。しかし、低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性をバランスよく改善する点については、未だ改善の余地を残している。
特開2007−169431号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分、シリカ及びシランカップリング剤を含有し、上記ゴム成分は、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムと、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムとを含み、上記ゴム成分100質量%中、上記改質天然ゴムの含有量が60〜95質量%、上記希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムの含有量が5〜40質量%であり、上記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10〜60質量部であり、上記シランカップリング剤は、下記式(1)で示される結合単位Aと下記式(2)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したものであるタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 2011231296
Figure 2011231296
(式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。Rは水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。Rは水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。RとRとで環構造を形成してもよい。)
上記改質天然ゴムは、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下であることが好ましい。
上記改質天然ゴムは、クロロホルム抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在せず、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。
上記改質天然ゴムは、窒素含有量が0.3質量%以下であることが好ましい。
上記改質天然ゴムは、天然ゴムラテックスをケン化処理して得られたものであることが好ましい。
上記希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムは、シス含量が95質量%以上、ビニル含量が1.0質量%以下であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、重荷重用タイヤのトレッドに使用されることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分として、リン含有量が少ない改質天然ゴムと、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムとを所定量使用するとともに、更に、特定のシランカップリング剤と、所定量のシリカとを配合しているタイヤ用ゴム組成物であるので、該ゴム組成物を重荷重用タイヤのトレッドに使用することにより、低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性をバランスよく改善した重荷重用タイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、リン含有量が少ない改質天然ゴム(HPNR)と、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)と、シリカと、特定のシランカップリング剤とを含む。天然ゴム(NR)中に含まれるタンパク質やゲル分、リン脂質を低減、除去したHPNRを用いることで、NRの使用に比べて、更なる低燃費化を図ることができる。また、ムーニー粘度を低減し、良好な加工性も得られる。
しかし、HPNRをNRのケン化処理などによって合成する際、その合成時にNR中の劣化防止成分も除去されるため、ゴムの劣化が速くなり、結果として、耐摩耗性能などの性能に劣ってしまう。また、HPNRとシリカを併用した場合、更に大きな低燃費化を実現できるものの、耐摩耗性能が低下する傾向がある。ブタジエンゴムを使用することで耐摩耗性能の低下をある程度は抑制できるが、シリカ配合系において、その効果は充分ではない。
これに対し、本発明では、ゴム成分として、HPNRとともに、シス含量が高く、かつビニル含量が少ない希土類系BRを使用しているため、良好な耐摩耗性能を確保することができる。また、該ゴム成分とともに、シリカ及び特定のシランカップリング剤も使用しているため、良好なシリカの分散性が得られ、低燃費性能とともに、耐摩耗性能も改善でき、これらを良好に両立できる。更に、良好な加工性も得られるため、低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性をバランスよく改善できる。
上記改質天然ゴム(HPNR)は、リン含有量が200ppm以下である。200ppmを超えると、貯蔵中にゲル量が増加し、加硫ゴムのtanδが上昇する傾向がある。該リン含有量は、150ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。ここで、リン含有量は、たとえばICP発光分析等、従来の方法で測定することができる。リンは、リン脂質(リン化合物)に由来するものである。
改質天然ゴム中のゲル含有率は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。20質量%を超えると、ムーニー粘度が高くなるなど、加工性が低下する傾向がある。ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては単に「ゲル含有率」または「ゲル分」と称することがある。ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×10rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
改質天然ゴムは、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。「実質的にリン脂質が存在しない」とは、天然ゴム試料をクロロホルムで抽出し、抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しない状態を表す。−3ppm〜1ppmに存在するリンのピークとは、リン脂質におけるリンのリン酸エステル構造に由来するピークである。
改質天然ゴムにおいて、窒素含有量は0.3質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましい。窒素含有量が0.3質量%を超えると、貯蔵中にムーニー粘度が上昇する傾向がある。窒素はタンパク質に由来する。窒素含有量は、例えばケルダール法等、従来の方法で測定することができる。
改質天然ゴムの製造方法としては、例えば、天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化し、ケン化後凝集させたゴムを洗浄し、その後乾燥することにより製造する方法が挙げられる。ケン化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して所定温度で一定時間、静置することにより行う。なお、必要に応じて撹拌等を行っても良い。上記製造方法によれば、ケン化により分離したリン化合物が洗浄除去されるので、天然ゴムのリン含有量を抑えることができる。また、ケン化処理により、天然ゴム中の蛋白質が分解されるので、天然ゴムの窒素含有量を抑えることができる。本発明では、天然ゴムラテックスにアルカリを添加してケン化できるが、天然ゴムラテックスに添加することにより、効率的にケン化処理を行えるという効果がある。
天然ゴムラテックスはヘビア樹の樹液として採取され、ゴム分のほか水、蛋白質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、ヘビア樹をタッピングして出てくる生ラテックス、あるいは遠心分離法によって濃縮した精製ラテックスを使用できる。さらに、生ゴムラテックス中に存在するバクテリアによる腐敗の進行を防止し、ラテックスの凝固を避けるために、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックスであってもよい。
ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、ケン化処理の効果や天然ゴムラテックスの安定性への影響の観点から、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。
アルカリの添加量は特に限定されないが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、上限は12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましく、5質量部以下が特に好ましい。アルカリの添加量が0.1質量部未満では、ケン化処理に時間がかかってしまうおそれがある。また逆にアルカリの添加量が12質量部を超えると天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能である。陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤があげられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤があげられる。両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤があげられる。なかでも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1.1質量部以上が更に好ましく、2.0質量部以上が特に好ましく、上限は6.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下がさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部未満では、ケン化処理時に天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。また逆に界面活性剤の添加量が6.0質量部を超えると天然ゴムラテックスが安定化しすぎて凝固が困難になるおそれがある。また、1.1質量部以上である場合には、天然ゴム中のリン含有量、窒素含有量、ゲル含有率をより低減することができる。
ケン化処理の温度は、アルカリによるケン化反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、および天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起こさない範囲で適宜、設定できるが、通常は20〜70℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。また処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、生産性を向上することとを併せ考慮すると3〜48時間が好ましく、3〜24時間がより好ましい。
ケン化反応終了後、凝集させたゴムを破砕し、洗浄処理を行う。凝集方法としては、例えば、ギ酸等の酸を添加し、pHを調整する方法が挙げられる。また、洗浄処理としては、例えばゴム分を水で希釈して洗浄後、遠心分離処理を行い、ゴム分を取り出す方法が挙げられる。遠心分離する際は、まず天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるように水で希釈する。次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分離すればよく、所望のリン含有量になるまで洗浄を繰り返せばよい。洗浄処理終了後、ケン化処理天然ゴムラテックスが得られる。ケン化処理天然ゴムラテックスを乾燥することにより、本発明における改質天然ゴムが得られる。
上記製造方法では、天然ゴムラテックス採取後15日以内にケン化、洗浄及び乾燥の工程を終了することが好ましい。より好ましくは10日以内、更に好ましくは5日以内である。採取後固形化せずに15日を超えて放置しておくとゲル分が増大していくためである。
ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、60質量%以上、好ましくは65質量%以上である。60質量%未満であると、低燃費性能を充分に改善できない場合がある。該改質天然ゴムの含有量は、95質量%以下、より好ましくは92質量%以下である。95質量%を超えると、希土類系BRの含有量が少なくなり、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物では、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)が使用されるが、上記希土類元素系触媒としては、公知のものを使用でき、例えば、ランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサン、ハロゲン含有化合物、必要に応じてルイス塩基を含む触媒が挙げられる。なかでも、ランタン系列希土類元素化合物としてネオジム(Nd)含有化合物を用いたNd系触媒が特に好ましい。
ランタン系列希土類元素化合物としては、原子番号57〜71の希土類金属のハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコラート、チオアルコラート、アミド等が挙げられる。なかでも、前述のとおり、Nd系触媒の使用が高シス含量、低ビニル含量のBRが得られる点で好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、AlR(式中、R、R、Rは、同一若しくは異なって、水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)で表されるものを使用できる。アルミノサンとしては、鎖状アルミノキサン、環状アルミノキサンが挙げられる。ハロゲン含有化合物としては、AlX 3−k(式中、Xはハロゲン、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基、kは1、1.5、2又は3を表す。)で表されるハロゲン化アルミニウム;MeSrCl、MeSrCl、MeSrHCl、MeSrClなどのストロンチウムハライド;四塩化ケイ素、四塩化錫、四塩化チタン等の金属ハロゲン化物が挙げられる。ルイス塩基は、ランタン系列希土類元素化合物を錯体化するのに用いられ、アセチルアセトン、ケトン、アルコール等が好適に用いられる。
上記希土類元素系触媒は、ブタジエンの重合の際に、有機溶媒(n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン等)に溶解した状態で用いても、シリカ、マグネシア、塩化マグネシウム等の適当な担体上に担持させて用いてもよい。重合条件としては、溶液重合又は塊状重合のいずれでもよく、好ましい重合温度は−30〜150℃であり、重合圧力は他の条件に依存して任意に選択してもよい。
上記希土類系BRは、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が好ましくは35以上、より好ましくは40以上、更に好ましくは44以上である。35未満であると、未加硫ゴム組成物の粘度が低く、加硫後に適正な厚みを確保できないおそれがある。該ムーニー粘度は、好ましくは55以下、より好ましくは50以下である。55を超えると、未加硫ゴム組成物が硬くなりすぎて、スムーズなエッジで押し出すことが困難になるおそれがある。
なお、ムーニー粘度は、ISO289、JIS K6300に準じて測定される。
上記希土類系BRは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.5以上である。1.2未満であると、加工性の悪化が顕著になる傾向がある。該Mw/Mnは、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。5を超えると、耐摩耗性能の改善効果が少なくなる傾向がある。
上記希土類系BRのMwは、好ましくは30万以上、より好ましくは50万以上、更に好ましくは55万以上であり、また、好ましくは150万以下、より好ましくは120万以下である。更に、上記希土類系BRのMnは、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上であり、また、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下である。MwやMnが下限未満であると、耐摩耗性能や低燃費性能が悪化する傾向がある。上限を超えると、加工性の悪化が懸念される。
なお、本発明において、Mw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、標準ポリスチレンより換算した値である。
上記希土類系BRのシス含量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは96質量%以上、更に好ましくは97質量%以上である。95質量%未満であると、耐摩耗性能の改善効果が少なくなる傾向がある。上記希土類系BRのシス含量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
上記希土類系BRのビニル含量は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。1.0質量%を超えると、耐摩耗性能の改善効果が少なくなる傾向がある。上記希土類系BRのビニル含量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
なお、本発明において、希土類系BRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)及びシス含量(シス−1,4−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム成分100質量%中の希土類系BRの含有量は、5質量%以上、好ましくは8質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性能を充分に改善できない場合がある。該希土類系BRの含有量は、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは32質量%以下である。40質量%を超えると、HPNRの含有量が少なくなり、低燃費性能が悪化する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のHPNR及び希土類系BRの合計含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%である。70質量%未満であると、低燃費性能、耐摩耗性能及び加工性がバランス良く得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物において、他に使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、シリカを含有する。シリカを含有することにより、補強性が高まるとともに低燃費性能が改善され、本発明の効果が良好に得られる。シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの平均一次粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上である。10nm未満の場合、シリカが分散しにくくなり、低燃費性能や加工性が低下する傾向がある。また、シリカの平均一次粒子径は、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。40nmを超えると、ゴム強度が低下し、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
なお、シリカの平均一次粒子径は、例えば、シリカを電子顕微鏡で観察し、任意の粒子50個について粒子径を測定し、その平均値より求めることができる。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは120m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。120m/g未満であると、充分な補強性が得られない傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。250m/gを超えると、未加硫ゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは12質量部以上である。10質量部未満であると、シリカを配合した効果が充分に得られない傾向がある。該シリカの含有量は、60質量部以下、好ましくは45質量部以下、より好ましくは35質量部以下である。60質量部を超えると、未加硫ゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤として、上記式(1)で示される結合単位Aと上記式(2)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したものを含有する。上記構造のシランカップリング剤を配合することにより、良好な加工性を確保しながら、低燃費性能及び耐摩耗性能を改善できる。
上記構造のシランカップリング剤は、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たすため、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、結合単位Aと結合単位Bのモル比が前記条件を満たす場合、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチタイムの短縮が抑制される。これは、結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C15部分が結合単位Bの−SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくくなるためである。これにより、スコーチタイムが短くなりにくく、また、粘度が上昇しにくい。
のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などが挙げられる。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
上記構造のシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記構造のシランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上、更に好ましくは6質量部以上である。2質量部未満であると、転がり抵抗が高くなり、低燃費性能が悪化する傾向がある。また、該含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは16質量部以下、更に好ましくは12質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。20質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
上記ゴム組成物には、前記成分の他に、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の充填剤、オイル又は可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、酸化亜鉛、硫黄、含硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤等を含有してもよい。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性が高まり、本発明の効果が良好に得られる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は20m/g以上が好ましく、35m/g以上がより好ましく、70m/gが更に好ましく、100m/g以上が特に好ましい。20m/g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましい。200m/gを超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなる傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。5質量部未満では、補強性を充分に改善できないおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは45質量部以下、特に好ましくは40質量部以下である。100質量部を超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなる傾向がある。また、加工性が低下する傾向もある。
本発明のゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは15質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。また、上記合計含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは65質量部以下、特に好ましくは55質量部以下である。上記範囲内とすることにより、良好な耐摩耗性能が得られる。また、上記合計含有量を減量しなくても良好な低燃費性能が得られる。
本発明のゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0質量部(実質的に含有しない)である。本発明のゴム組成物は、HPNRの使用により、NRの使用に比べてムーニー粘度を低減できるため、良好な加工性を維持しながら、オイルを減量し、低燃費性能をより改善できる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの混練機で前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。本発明のゴム組成物は、重荷重用タイヤ(特にトラック・バス用)のトレッド(キャップトレッド)として好適に使用される。
本発明の重荷重用タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどのタイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の重荷重用タイヤを製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
天然ゴムラテックス:タイテックス社から入手したフィールドラテックスを使用
界面活性剤:花王(株)製のEmal−E(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
NR:TSR
HPNR(ケン化天然ゴム):下記製造例1
Co系BR1:宇部興産(株)製のBR150B(Co系触媒を用いて合成したBR、シス含量:97.0質量%、ビニル含量:1.5質量%、ML1+4(100℃):
40、Mw:52.0×10、Mn:15.0×10、Mw/Mn:3.3)
Co系BR2:宇部興産(株)製のBR150L(Co系触媒を用いて合成したBR、シス含量:98.2質量%、ビニル含量:1.0質量%、ML1+4(100℃):
43、Mw:54.2×10、Mn:22.1×10、Mw/Mn:2.4)
Nd系BR:ランクセス(株)製のブナCB24(Nd系触媒を用いて合成したBR、シス含量:97.6質量%、ビニル含量:0.4質量%、ML1+4(100℃):
45、:Mw:59.7×10、Mn:22.2×10、Mw/Mn:2.7)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:111m/g)
シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(平均一次粒子径:15nm、NSA:175m/g)
シランカップリング剤1:デグッサ社製のSi266(スルフィドシラン)
シランカップリング剤2:Momentive社製のA1891(メルカプトシラン)
シランカップリング剤3:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)
シランカップリング剤4:Momentive社製のNXT−Z15(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:85モル%、結合単位B:15モル%)
シランカップリング剤5:Momentive社製のNXT−Z60(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:40モル%、結合単位B:60モル%)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX 6PPD)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
(アルカリによるケン化天然ゴムの作製)
製造例1
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、Emal−E10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化処理天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整し、凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後110℃で2時間乾燥して固形ゴム(ケン化天然ゴム)を得た。
製造例1により得られた固形ゴム及びTSRについて以下に示す方法により、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率を測定した。結果を表1に示す。
(窒素含有量の測定)
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、製造例で得られた改質天然ゴム又はTSRのサンプル約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
(リン含有量の測定)
ICP発光分析装置(ICPS−8100、(株)島津製作所製)を使用してリン含有量を求めた。
また、リンの31P−NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー社製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDClに溶解して測定した。
(ゲル含有率の測定)
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
Figure 2011231296
表1に示すように、ケン化天然ゴム(HPNR)は、TSRに比べて、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率が低減していた。また、製造例1において得られた改質天然ゴムから抽出した抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークを検出しなかった。
<実施例1〜9、比較例1〜13>
表2及び3に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型でプレスし、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を用いて以下の試験を行った。
(発熱性能指数)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で上記加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例2のtanδを100として、下記計算式により、各配合のtanδを指数表示した。数値が小さいほど発熱しにくく、低燃費性能に優れることを示す。
(発熱性能指数)=(各配合のtanδ)/(比較例2のtanδ)×100
(耐摩耗性能指数)
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/min、負荷荷重3.0kg、落砂量15g/min、スリップ率20%の条件で上記加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定した。そして、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例2の容積損失量を100として、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。数値が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(比較例2の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(ムーニー粘度指数)
JIS K6300に基づき、100℃にて、上記未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。そして、比較例2のムーニー粘度を100として、下記計算式により、各配合のムーニー粘度を指数表示した。数値が大きいほど、ムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(ムーニー粘度指数)=(比較例2のムーニー粘度)/(各配合のムーニー粘度)×100
(スコーチタイム指数)
JIS K6300に基づき、160℃にて、上記未加硫ゴム組成物の加硫度が10%に達するまでの時間(T10)を測定した。そして、比較例2のT10を100とし、下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど、スコーチタイムが長く、加工性に優れることを示す。
(スコーチタイム指数)=(各配合のT10)/(比較例2のT10)×100
Figure 2011231296
Figure 2011231296
表2及び3より、HPNR、Nd系BR及びシリカを使用するとともに、シランカップリング剤3〜5のいずれかを使用した実施例では、低燃費性能及び耐摩耗性能を高次元でバランス良く改善できた。また、加工性も良好であり、バランス良くこれらの性能が得られた。一方、上記成分を併用していない比較例は、実施例と比べて性能が劣っていた。

Claims (8)

  1. ゴム成分、シリカ及びシランカップリング剤を含有し、
    前記ゴム成分は、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムと、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムとを含み、
    前記ゴム成分100質量%中、前記改質天然ゴムの含有量が60〜95質量%、前記希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムの含有量が5〜40質量%であり、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10〜60質量部であり、
    前記シランカップリング剤は、下記式(1)で示される結合単位Aと下記式(2)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したものであるタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2011231296
    Figure 2011231296
    (式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。Rは水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。Rは水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。RとRとで環構造を形成してもよい。)
  2. 前記改質天然ゴムは、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記改質天然ゴムは、クロロホルム抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在せず、実質的にリン脂質が存在しない請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記改質天然ゴムは、窒素含有量が0.3質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記改質天然ゴムは、天然ゴムラテックスをケン化処理して得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムは、シス含量が95質量%以上、ビニル含量が1.0質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 重荷重用タイヤのトレッドに使用される請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する重荷重用タイヤ。
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