JP2011206298A - ガス処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、上流側と下流側のプラズマの発生状態をバランスさせる。
【解決手段】電極9(9−1,9−2)をハニカム構造体4−2および4−3の外側において、このハニカム構造体4−2および4−3の処理対象ガスGSの通過方向の上流側の端部から下流方向へ(2/3)・L程度の範囲を避けた領域に配置する。これにより、空間10の上流側部分でのプラズマの発生状態が緩和(低下)され、上流側で発生するプラズマにより失われる水分が抑えられ、その分、下流側でのプラズマの発生状態が強くなり、上流側と下流側のプラズマの発生状態がバランスする。
【選択図】 図1
【解決手段】電極9(9−1,9−2)をハニカム構造体4−2および4−3の外側において、このハニカム構造体4−2および4−3の処理対象ガスGSの通過方向の上流側の端部から下流方向へ(2/3)・L程度の範囲を避けた領域に配置する。これにより、空間10の上流側部分でのプラズマの発生状態が緩和(低下)され、上流側で発生するプラズマにより失われる水分が抑えられ、その分、下流側でのプラズマの発生状態が強くなり、上流側と下流側のプラズマの発生状態がバランスする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、処理対象ガスに含まれる有害ガスを浄化するガス処理装置に関するものである。
従来より、排気ガス中で高電圧放電を行ってプラズマ状態を作ることで、排気ガスに含まれる有害ガスの浄化を行う技術が知られている。近年、この技術は、脱臭を目的として、工場の排気を浄化する浄化装置や室内の空気を浄化する空気清浄機に応用されつつある。
熱的に非平衡な状態、つまり気体の温度やイオン温度に比べ、電子温度が非常に高い状態のプラズマ(非平衡プラズマ(以下、単にプラズマと言う))は、電子衝突でつくられるイオンやラジカルが常温では起こらない化学反応を促進させるので、有害ガスを効率的に除去あるいは分解することが可能な媒体として有害ガス処理において有用であると考えられている。実用化で肝心なことは、処理時のエネルギーの効率の向上と、プラズマで処理した後に完全に安全な生成物質へと変換されることである。
一般に、大気圧でのプラズマは気体放電や電子ビームなどによって生成される。現在において、適用が考えられているものに、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、フロン、CO2 ,揮発性有機溶剤(VOC)などがある。中でもNOxは車の排ガスなどに含まれているので早急な実用化が必要となっている。
NOx除去における放電プラズマ(気体放電によって生成されたプラズマ)内の現象は、電子衝突によって1次的に生成されたイオンやラジカルが最初の反応を起こし、その後の反応を通してN2 ,H2 O,NH4 NO3 などの各粒子に変換されて行くものと考えられている。
また、有害ガスを例えばアセトアルデヒドやホルムアルデヒドとした場合、この有害ガスをプラズマを通すことによって、CO2 とH2 Oに変換される。この場合、副生成物として、オゾン(O3 )が発生する。
図7に放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は処理対象ガス(有害ガスを含む空気)GSが流れるダクト(通風路)であり、ダクト1内には、処理対象ガスGSの通過方向に沿って放電電極2とグランド電極3とが交互に配置され、これら電極2,3間にセルと呼ばれる多数の貫通孔4aを有するハニカム構造体4が配設されている。5は高電圧電源である。なお、ハニカム構造体4はセラミックス等の絶縁体で形成されており、特許文献2にもその使用例がある。
放電電極2は、金属製メッシュ、極細ワイヤ、または針状体等で形成されている。各放電電極2は、導線6によって高電圧電源5の+極に接続されている。グランド電極3は、金属性メッシュ等で形成されている。各グランド電極3は、導線7によって高電圧電源5の−極に接続されている。
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1に流し、放電電極2とグランド電極3との間に高電圧電源5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、各ハニカム構造体4の貫通孔4a内にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
しかしながら、このような構成のガス処理装置では、次のような問題点を有する。
(1)多数のハニカム構造体4を有するが、ばらつきなく均一なプラズマを発生させる技術が確立されておらず、ハニカム構造体4の性能にばらつきが出てしまう。例えば、同じハニカム構造体4同士でもインピータンス値が異なることがあり、また1つのハニカム構造体4内でも例えばその上下でインピーダンス値が異なるというようなこともあり、全体として均一なプラズマが発生せず、ガス処理能力が不安定となる。また、貫通孔4aだけでのプラズマ発生なので、プラズマの発生量が少なく、ガス処理能力が低い。
(1)多数のハニカム構造体4を有するが、ばらつきなく均一なプラズマを発生させる技術が確立されておらず、ハニカム構造体4の性能にばらつきが出てしまう。例えば、同じハニカム構造体4同士でもインピータンス値が異なることがあり、また1つのハニカム構造体4内でも例えばその上下でインピーダンス値が異なるというようなこともあり、全体として均一なプラズマが発生せず、ガス処理能力が不安定となる。また、貫通孔4aだけでのプラズマ発生なので、プラズマの発生量が少なく、ガス処理能力が低い。
(2)ハニカム構造体4は吸湿すると低インピーダンスに、乾燥すると高インピーダンスになる特性を持っており、ハニカム構造体4が低インピーダンスになると、流れる電流が増大し放電電極2とグランド電極3との間に印加される高電圧値が低下し、ハニカム構造体4が高インピーダンスになると、流れる電流が減少し放電電極2とグランド電極3との間に印加される高電圧値が上昇する。このような高電圧値の変化に対し、所望のプラズマの発生量を確保し得る高電圧値を得ることのできる高電圧電源5は、その設計に要する工数も含めて非常に高価となる。
(3)ハニカム構造体4のそれぞれに対して放電電極2とグランド電極3を設けているため、部品点数が多く、構造も複雑となり、高価となる。
(4)処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に沿ってハニカム構造体4がダクト1内に配置されているため、ハニカム構造体4のガス流と直交する方向の寸法が長く、これに対してガス流と平行な方向の寸法が短くなっている。このため、ガス流の流速が速いと、処理対象ガスGSがハニカム構造体4の内部でプラズマに晒される時間が短く、ガス処理能力が落ちる。
(4)処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に沿ってハニカム構造体4がダクト1内に配置されているため、ハニカム構造体4のガス流と直交する方向の寸法が長く、これに対してガス流と平行な方向の寸法が短くなっている。このため、ガス流の流速が速いと、処理対象ガスGSがハニカム構造体4の内部でプラズマに晒される時間が短く、ガス処理能力が落ちる。
そこで、本出願人は、上述した従来のガス処理装置の問題点を解決するものとして、図8に示すような構造のガス処理装置を提案した(特許文献3参照)。このガス処理装置では、ダクト1の入口から出口への処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔G(G1〜G3)を設けて、多数の貫通孔(丸孔)4aを有する複数のハニカム構造体4(4−1〜4−4)を配置している。
なお、8はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の一端に位置するハニカム構造体4−1の外側に配置された第1の電極、9はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の他端に位置するハニカム構造体4−4の外側に配置された第2の電極であり、処理対象ガスGSが通過するように金属製メッシュとされている。
この第1の電極8と第2の電極9との間に高電圧電源(高電圧源)5からの高電圧を印加することにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1〜10−3)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
しかしながら、図8に示された構造のガス処理装置は、上述した従来のガス処理装置の問題点を解決することができる点で優れているが、次のような問題を有している。
このガス処理装置において、処理対象ガスGSは、ダクト1の入口から出口への通過方向に向かって流れて行く過程で、ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間10で発生したプラズマによって処理を受けるが、処理を受ける度に処理対象ガスGS中に含まれる水分が消費されるので、処理対象ガスGSは上流側から下流側にかけて湿度が低下する。また、ハニカム構造体4の内部でのプラズマの発生状態は処理対象ガスGS中の水分が多いほど活発に行われ、水分が少なくなるにつれて抑制される特性がある。これは、水分が多い環境下ではハニカム構造体4のインピーダンスが低くなり、逆に、水分が少ない環境下ではハニカム構造体4のインピーダンスが高くなるためである。
これに対して、空間10を形成する各ハニカム構造体4間の間隔Gは、処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側にかけて等しくされている。このため、下流側でのプラズマの発生状態が上流側より弱くなる。そこで、下流側でのプラズマの発生状態を適切なものにするために印加電圧を高めると、上流側でのプラズマの発生状態が必要以上に強くなりすぎ、オゾンのような好ましくない副生成物が発生したり、消費電力が増大するという問題が生じる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単な構成で、上流側と下流側のプラズマの発生状態をバランスさせることが可能なガス処理装置を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、第1の電極および第2の電極の少なくとも一方を、その電極が配置されるハニカム構造体の外側において、そのハニカム構造体の処理対象ガスの通過方向の上流側の端部から下流方向への所定範囲を避けた領域に配置するようにしたものである。
また、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち隣り合う複数のハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、各ハニカム構造体群の第1の電極および第2の電極の少なくとも一方を、その電極が配置されるハニカム構造体の外側において、そのハニカム構造体の処理対象ガスの通過方向の上流側の端部から下流方向への所定範囲を避けた領域に配置するようにしたものである。
この発明では、第1の電極および第2の電極の少なくとも一方を、その電極が配置されるハニカム構造体の外側において、そのハニカム構造体の処理対象ガスの通過方向の上流側の端部から下流方向への所定範囲を避けた領域に配置することにより、各ハニカム構造体間の空間の上流側部分でのプラズマの発生状態が緩和(低下)される。
本発明によれば、第1の電極および第2の電極の少なくとも一方を、その電極が配置されるハニカム構造体の外側において、そのハニカム構造体の処理対象ガスの通過方向の上流側の端部から下流方向への所定範囲を避けた領域に配置するようにしたので、各ハニカム構造体間の空間の上流側部分でのプラズマの発生状態が緩和(低下)され、上流側で発生するプラズマにより失われる水分が抑えられ、その分、下流側でのプラズマの発生状態が強くなり、簡単な構成で、上流側と下流側のプラズマの発生状態をバランスさせることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。同図において、図8と同一符号は図8を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
図1はこの発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。同図において、図8と同一符号は図8を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
この実施の形態においても、図8に示したガス処理装置と同様に、処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に対し直交する方向に沿って、複数のハニカム構造体4を間隔を設けてダクト1内に配置している。
この例では、ハニカム構造体4−1と4−2との間に間隔G1を設けて、ハニカム構造体4−3と4−4との間に間隔G2を設けて、ハニカム構造体4−1〜4−4をダクト1内に配置している。
また、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群とし、この第1のハニカム構造体群の両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を、第2の電極として電極9を配置している。
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群とし、この第2のハニカム構造体群の両端に位置するハニカム構造体4−3および4−4の外側に、第1の電極として電極9を、第2の電極として電極11を配置している。
本実施の形態において、電極9は棒状(丸棒)の電極9−1と9−2とにより構成されており、電極9−1と9−2とはハニカム構造体4−2および4−3の外側において、このハニカム構造体4−2および4−3の処理対象ガスGSの通過方向の上流側の端部から下流方向への所定範囲を避けた領域に、処理対象ガスGSの通過方向に離間して設けられている。この例では、ハニカム構造体4の長さをLとした場合、処理対象ガスGSの通過方向の上流側の端部から下流方向へ(2/3)・L程度の範囲を避けた領域に、電極9(9−1,9−2)を配置している。また、電極9−1の径は、電極9−2の径よりも小径とされている。
なお、本実施の形態において、電極9は第1のハニカム構造体群の第2の電極と第2のハニカム構造体群の第1の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第1のハニカム構造体群の第2の電極と第2のハニカム構造体群の第1の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。
また、本実施の形態において、高電圧電源(高電圧源)5は、第1のハニカム構造体群の電極8と9との間および第2のハニカム構造体群の電極9と11との間に個別に高電圧を印加する単一の電源とされ、電極8および11が導線12によって高電圧電源5の−極に接続され、電極9が導線13によって高電圧電源5の+極に接続されている。
ハニカム構造体4は、セラミックス等の絶縁体で形成されており、処理対象ガスGSが通過する多数の貫通孔(セル)4aを有している。各ハニカム構造体4の単位面積当たりの貫通孔4aの数は等しくされている。また、各ハニカム構造体4は全て、処理対象ガスGSの通過方向に直交する方向の長さ(厚さ)が処理対象ガスGSの通過方向に沿う全領域で一定とされている。すなわち、本実施の形態では、単位面積当たりの貫通孔4aの数が等しく、かつその厚さが一定で等しい、同一種類のハニカム構造体4−1〜4−4を使用している。また、電極8および11は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。
また、この実施の形態において、ハニカム構造体4−1と4−2との間の間隔G1は、ハニカム構造体4−1を処理対象ガスGSの通過方向に対して平行に、ハニカム構造体4−2を電極9−1,9−2の径に倣って電極9の上面の傾けて配置することにより、処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側に向かって徐々に狭められている。
また、この実施の形態において、ハニカム構造体4−3と4−4との間の間隔G2は、ハニカム構造体4−4を処理対象ガスGSの通過方向に対して平行に、ハニカム構造体4−3を電極9−1,9−2の径に倣って傾けて配置することにより、処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側に向かって徐々に狭められている。
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1内に流し、電極8と9との間および電極9と11との間に高電圧電源5からの高電圧を印加する。これにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1,10−2)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
本実施の形態において、プラズマはハニカム構造体4の貫通孔4aだけではなく、ハニカム構造体4間の空間10にも発生する。このため、貫通孔4a内での有害ガスの分子分解効果に加え、ハニカム構造体4間の空間10での有害ガスの分子分解効果が加わり、さらにこの貫通孔4a内での分子分解効果とハニカム構造体4間の空間10での分子分解効果との相乗効果により、有害ガスの無害な物質への分解が促進され、ガス処理能力が高まる。また、ハニカム構造体4間の空間10には、対向する貫通孔4aの縁面から電界が広がって、均一なプラズマが大量に発生する。
また、この実施の形態では、各ハニカム構造体4が処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置されているので、処理対象ガスGSの通過方向に沿って配置される場合よりも、処理対象ガスGSが各ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間10でプラズマに晒される時間が長くなる。これにより、ガス分解が行われる機会が多くなり、ガス処理能力が向上し、高速流におけるガス処理能力の低下を防ぐことが可能となる。
また、この実施の形態では、第1のハニカム構造体群の電極8と9との間および第2のハニカム構造体群の電極9と11との間に高電圧電源5からの高電圧を個別に印加しているので、空間10−1,10−2での電位を安定的に高電界状態に保ち、プラズマを安定して発生させることが可能となる。
さらに、この実施の形態では、空間10(10−1,10−2)を形成する各ハニカム構造体4間の間隔G(G1,G2)が処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側に向かって徐々に狭められており、かつ、電極9(9−1,9−2)がハニカム構造体4−2および4−3の外側において、このハニカム構造体4−2および4−3の処理対象ガスGSの通過方向の上流側の端部から下流方向へ(2/3)・L程度の範囲を避けた領域に配置されている。これにより、空間10を形成するハニカム構造体4間の全領域において電極インピーダンスがほゞ等しくなり、空間10における放電電流の均一化が図られ、上流側と下流側のプラズマの発生状態がバランスし、ガス処理能力が安定する。
すなわち、図2にハニカム構造体4−1,4−2間の空間10−1を代表して示すように、A〜D点の電極インピーダンスをRA〜RDとした場合、A点の電極インピーダンスRAはRA=R01+R11+R21として表され、B点の電極インピーダンスRBはRB=R02+R12+R22として表され、C点の電極インピーダンスRCはRA=R03+R13+R23として表され、D点の電極インピーダンスRDはRD=R04+R14+R24として表される。なお、R01〜R04はハニカム構造体4−1での電極インピーダンス、R11〜R14は空間10−1での電極インピーダンス、R21〜R24はハニカム構造体4−2での電極インピーダンスである。
処理対象ガスGS中に水分を含んでいる場合、処理対象ガスGSの流れにより、ハニカム構造体4−1に含まれる水分量は上流ほど大きくなる。よって、ハニカム構造体4−1での電極インピーダンスは、R01<R02<R03<R04となる。これに対し、空間10−1での電極インピーダンスは、ハニカム構造体4−1,4−2間の間隔G1が上流側では広くされ、下流側では狭くされていることから、R11>R12>R13>R14となる。そして、ハニカム構造体4−2での電極インピーダンスR21〜R24がハニカム構造体4−1での電極インピーダンスR01〜R04および空間10−1での電極インピーダンスR11〜R14に加わり、RA≒RB≒RC≒RDとなって、空間10−1における放電電流の均一化が図られる。
これにより、空間10−1の上流側部分でのプラズマの発生状態が緩和(低下)され、上流側で発生するプラズマにより失われる水分が抑えられ、その分、下流側でのプラズマの発生状態が強くなり、上流側と下流側のプラズマの発生状態がバランスする。なお、上流に含まれる水分量がかなり多い(結露)場合、R01がかなり小さくなり、火花電流となる可能性がある。ハニカム構造体4−2での電極インピーダンスR21は、これを防ぐ役割も果たす。
また、本実施の形態では、下流側でのプラズマの発生状態が強くなるので、下流側でのプラズマの発生状態を適切なものにするために印加電圧を高める必要がなく、オゾンのような好ましくない副生成が上流側で発生したり、消費電力が増大するという事態も避けられる。また、本実施の形態では、回路や部材を別途付加することなく、簡単な構成で、上流側と下流側のプラズマの発生状態をバランスさせることができる。
なお、この例では、ハニカム構造体4−1〜4−4をその厚さが一定で等しい同一種類のハニカム構造体としたが、図3に示すように、ハニカム構造体4−2および4−3の厚さ方向の形状を変えて、ハニカム構造体4間の間隔G(G1,G2)を処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側に向かって徐々に狭めるようにしてもよい。
図3に示した例では、電極9をその厚さを一定とした断面矩形状の電極(金属製メッシュ)とするとともに、ハニカム構造体4−2および4−3の厚さを処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側に向かって厚くするようにし、これによって形成されるハニカム構造体4−2の傾斜面4−2sをハニカム構造体4−1側に向けて、ハニカム構造体4−3の傾斜面4−3sをハニカム構造体4−4側に向けて、電極9の上面および下面にハニカム構造体4−2および4−3を配置している。
このようにすると、ハニカム構造体4−2および4−3の底面(非傾斜面)と処理対象ガスGSの通過方向とが平行になるので、ハニカム構造体4−2および4−3の位置決めを容易に行うことができるようになる。また、電極9として直方体の単純形状のものを使用することができる。
また、ハニカム構造体4−1および4−4の外側に設ける電極8および9についても、図3に合わせて示しているように、ハニカム構造体4−1および4−4の処理対象ガスGSの通過方向の上流側の端部から下流方向へ(2/3)・L程度の範囲を避けた領域に配置するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、ハニカム構造体4−1と4−2との間の間隔G1およびハニカム構造体4−3と4−4との間の間隔G2を処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側に向かって徐々に狭めるようにしたが、必ずしも上流側から下流側に向かって狭めるようにしなくてもよい。図4(a)〜(c)に間隔G1,G2を等間隔とした例をその電極配置の変形例と合わせて示す。間隔G1およびG2を等間隔としても、電極配置のみで上流側の電極インピーダンスを大きくして、各ハニカム構造体4間の空間10の上流側部分でのプラズマの発生状態を緩和(低下)し、上流側と下流側のプラズマの発生状態をバランスさせることが可能である。
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置された複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群とし、隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群とし、この第1および第2のハニカム構造体群に個別に高電圧を印加するようにしたが、図5に示すように、ダクト1内にハニカム構造体群を1群のみ配置した構成としてもよい。
実施の形態1では、処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置された複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群とし、隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群とし、この第1および第2のハニカム構造体群に個別に高電圧を印加するようにしたが、図5に示すように、ダクト1内にハニカム構造体群を1群のみ配置した構成としてもよい。
図5に示した例では、処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けてハニカム構造体4−1,4−2,4−3を配置し、ハニカム構造体4−2の上面および下面に傾斜面4−2s1および4−2s2を設けることによって、ハニカム構造体4間の間隔G(G1,G2)を処理対象ガスGSの通過方向の上流側から下流側に向かって徐々に狭めるようにしている。また、ハニカム構造体4−1および4−3の外側において、このハニカム構造体4−2および4−3の処理対象ガスGSの通過方向の上流側の端部から下流方向へ(2/3)・L程度の範囲を避けた領域に電極8および11を配置し、この電極8と11との間に高電圧電源5からの高電圧を印加するようにしている。
この実施の形態2においても、ハニカム構造体4−1と4−2との間の間隔G1およびハニカム構造体4−2と4−3との間の間隔G2は、必ずしも上流側から下流側に向かって狭めるようにしなくてもよい。図6(a)〜(c)に間隔G1,G2を等間隔とした例をその電極配置の変形例と合わせて示す。
なお、上述した実施の形態1,2において、ハニカム構造体4はオゾンを分解する触媒機能を備えたものとしてもよく、処理対象ガスGSの通過方向の下流位置にオゾンを分解する触媒を設けるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1では、1つのハニカム構造体群中のハニカム構造体4の数を2つとしたが、さらにその数を増やすようにしてもよい。また、ハニカム構造体群の数も2つに限られるものではなく、さらにその数を増やしてもよい。実施の形態2でも、同様であり、ハニカム構造体の数を2つとしたり、さらにその数を増やすようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1では、第1のハニカム構造体群と第2のハニカム構造体群とに単一の高電圧電源5からの高電圧を個別に印加するようにしたが、異なる高電圧電源からの高電圧を個別に印加するようにしてもよい。例えば、印加する高電圧の値を変えたり、印加する高電圧の種類(交流、直流など)を変えたり、印加する高電圧の周波数を変えたりすることにより、第1のハニカム構造体群と第2のハニカム構造体群とでプラズマの発生量を変えて、分解可能な有害ガスの種類を異ならせたりすることが可能となる。
また、上述した実施の形態1,2において、副生成物としてオゾンを大量に発生させ、オゾン発生器として転用するようにしてもよい。
本発明のガス処理装置は、燃料電池等に用いられる水素を効率的に生成する目的で、炭化水素類等から水素含有ガスを生成する、いわゆる改質にも適用することができる。例えばオクタン(ガソリンの平均分子量に比較的近い物質)C8H18の場合は、本ガス処理装置に供給すると下記(1)式で示される化学反応が促進され、その結果水素ガスを効率よく生成することができる。
C8H18+8H2O+4(O2+4N2)→8CO2+17H2+16N2・・・・(1)
C8H18+8H2O+4(O2+4N2)→8CO2+17H2+16N2・・・・(1)
1…ダクト(通風路)、4(4−1〜4−4)…ハニカム構造体、4a…貫通孔(セル)、4s(4−2s,4−3s、4−2s1,4−2s2)…傾斜面、5…高電圧電源、8,9(9−1,9−2),11…電極、10(10−1,10−2)…空間、12,13…導線、G(G1,G2)…間隔、GS…処理対象ガス。
Claims (2)
- 通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され前記処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、
前記第1の電極および第2の電極の少なくとも一方は、その電極が配置される前記ハニカム構造体の外側において、そのハニカム構造体の前記処理対象ガスの通過方向の上流側の端部から下流方向への所定範囲を避けた領域に配置されている
ことを特徴とするガス処理装置。 - 通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され前記処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち隣り合う複数のハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、
前記各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、
前記各ハニカム構造体群の第1の電極および第2の電極の少なくとも一方は、その電極が配置される前記ハニカム構造体の外側において、そのハニカム構造体の前記処理対象ガスの通過方向の上流側の端部から下流方向への所定範囲を避けた領域に配置されている
ことを特徴とするガス処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010077579A JP2011206298A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | ガス処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010077579A JP2011206298A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | ガス処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011206298A true JP2011206298A (ja) | 2011-10-20 |
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ID=44938080
Family Applications (1)
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JP2010077579A Pending JP2011206298A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | ガス処理装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2011206298A (ja) |
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2010
- 2010-03-30 JP JP2010077579A patent/JP2011206298A/ja active Pending
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