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JP2011205223A - 可視光通信用送信機及び可視光通信システム - Google Patents

可視光通信用送信機及び可視光通信システム Download PDF

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JP2011205223A JP2010068370A JP2010068370A JP2011205223A JP 2011205223 A JP2011205223 A JP 2011205223A JP 2010068370 A JP2010068370 A JP 2010068370A JP 2010068370 A JP2010068370 A JP 2010068370A JP 2011205223 A JP2011205223 A JP 2011205223A
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Abstract

【課題】汎用でコスト的に有利な青色光励起型白色LEDを用い、素子破壊を防止しつつ、青色カラーフィルタを使用することなく、十分な伝送速度の可視光データ通信を行なう。
【解決手段】送信データに基づいて生成された駆動電流信号に基づいて青色光励起型白色LEDを駆動し、可視光信号を受信機に対して出力する際に、前記送信データの立ち上がり時に、パルス幅が前記送信データのユニットインターバルと等しい立ち上がりパルスを付加するとともに、前記送信データの立ち下がり時に、パルス幅が前記送信データのユニットインターバルと等しい立ち下がりパルスを付加して、多階調の駆動電流信号を生成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、可視光を用いて信号を伝送する可視光通信用送信機及び可視光通信システムに関し、例えば、蛍光体の発光を含む白色発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下「白色LED」という。)を使用する通信に好適な可視光通信用送信機及び可視光通信システムに関する。
近年、白色LEDの開発が盛んに行われ、照明、車載用ランプ、液晶バックライト等その応用は多岐に亘る。この白色LEDは、例えば蛍光灯などに代表される他の白色光源と比較して、オン/オフの切り替え応答速度が非常に速いといった特徴を持っている。そこで、データ伝送媒体としてLEDによる白色光を用い、白色LEDの照明光にデータ伝送機能を持たせる可視光通信システムが提案されている(下記特許文献1参照)。すなわち、白色LEDの発光強度を送信データに応じて変調し、受信側ではその光の強弱をフォトダイオード(Photo Diode:以下「PD」という。)などの光電変換器により電気信号に変換することで、データ伝送を実現する。
ところで、白色LEDは、例えば下記非特許文献1にあるように、発光方式により主に3種類に分類することができる。
(1) 青色光励起型白色LED:青色LEDと、主に黄色を発光する蛍光体を組み合わせたものである。青色LEDの周囲にYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系に代表されるような蛍光体を配置し、一つのパッケージに納めた構造となっている。この方式では、中心に配置された青色LEDから出力された青色光によって周囲の蛍光体が励起され、この蛍光体から主に青色と補色関係のある光(主に黄色)が出力される。この蛍光体による黄色蛍光と、前記青色LEDによる青色光とを混色することで、擬似的に白色光を得ている。
このような青色光励起型白色LEDの長所としては、a)他の方式と比較してエネルギー利用効率が高く、高い光度が得易いこと,b)構成が簡便なため安価に作製が可能であること,が挙げられる。一方、短所としては、演色性が悪いことが挙げられる。この演色性とは、照明による物体の色の見え方の特性を指し、色が自然光で見た場合に近いほど演色性がよいという。
(2) 紫外光励起型白色LED:紫外LEDと、R,G,B(赤,緑,青)の3原色を発光する蛍光体を組み合わせたものである。紫外光LEDの周囲にR,G,Bの3原色を発光する蛍光体をそれぞれ配置し、一つのパッケージに納めた構造となっている。この方式では、中心に配置された紫外光LEDから出力された紫外光によって周囲の蛍光体が励起され、これらの蛍光体からR,G,Bの3原色の光がそれぞれ出力される。これらのR,G,Bの光を混色することで白色光を得ている。
このような紫外光励起型白色LEDの長所としては、上述した演色性が良好であることが挙げられる。一方、短所としては、a)前記青色光励起型白色LEDと比較してエネルギーの利用効率が低く、高い照度が得られにくいこと,b)紫外発光であるため、LEDの駆動電圧が高いこと,が挙げられる。
(3) 3色発光型白色LED:R,G,BのLEDを組み合わせたものである。赤色LED,緑色LED,青色LEDの3種類のLEDを一つのパッケージに収めた構造となっている。この方式は、3原色であるそれぞれのLEDを同時に発光させることで、白色光が得られる。
このような3色発光型白色LEDの長所としては、前記紫外光励起型白色LEDと同様に演色性が良いことが挙げられる。一方、短所としては、3種類のLEDを一つのパッケージに実装することになるので、他の方式と比較して高価となってしまうこと、が挙げられる。
従来の白色LEDを用いた光通信装置としては、図13(A)に示すものがあり、送信データが送信機900の駆動部902に供給されると、対応する駆動電流が白色LED904に出力され、白色LED904が送信データに対応して発光する。例えば、OOK(On-Off Keying)などの変調方式で変調されて、白色LED904が点滅する。白色LED904から出力された光信号は、受信機910のPD912に入射し、電気信号に変換されてトランスインピーダンスアンプ(電流電圧変換アンプ)914で電圧信号に変換される。この電圧信号は、イコライザ916による所望の等化処理の後、リミッティングアンプ918で2値化され、受信データとして出力される。
ところで、前記白色LED904として、青色光励起型白色LEDを用いた場合、蛍光体から出力される光の応答速度が低速であるため、高々数Mbps程度の伝送速度しか得られない(下記非特許文献2参照)。そこで、光電変換器の前に青色のみ透過するLED光透過カラーフィルタを設け、蛍光体から出力された応答速度の遅い光成分をこのカラーフィルタで除去することにより、高速化を図る方法が提案されている(下記特許文献1参照)。図13(B)には、この場合の装置構成が示されており、受信機920のPD912の光入射側に青色カラーフィルタ922を配置した構成となっている。この青色カラーフィルタ922によって、光信号中の応答速度の遅い蛍光体から発光される光が除去される。これにより、PD912には青色LEDの光のみが入射することになり、結果として前記構成より速いデータ伝送を行うことができる。しかし、この方法を用いても、高々数10Mbps程度の伝送速度しか得られない。
また、白色LED904として、上述した紫外光励起型白色LEDを用いた場合は、前記青色光励起型白色LEDを用いた場合と同様の理由により、伝送速度は数Mbps程度となってしまう。加えて、LEDの駆動電圧が高くなることから、駆動回路の構成も難しくなる。なお、蛍光体材料の改良により蛍光体から発光される光の応答速度の向上を図るといった方法もあるが、所望の光度が得られないことや、蛍光体材料自体のコストが高くなるといった問題点がある。
更に、白色LED904として、上述した3色発光型白色LEDを用いた場合は、前記方式と比較して蛍光体発光成分もなく、各LEDが異なる信号を搬送するといった波長多重化を行ってデータ伝送することも可能となり、高速化が可能である(下記特許文献2参照)。しかし、複数のLEDを用いるため、コストが高くなってしまう。
以上のような点からすると、汎用でコスト的に有利な青色光励起型白色LEDを用いて、かつ、高速伝送を行なうことができれば、非常に好都合となる。このような観点から改良を加えたものとして、下記特許文献3に開示された「光通信用送信機等」がある。図13(C)にその概略が示されており、送信機930にピーキング回路932を設けた構成となっている。これにより、高速変調を行うのに最適な駆動電流波形の生成と調整を行うことで、太陽光や蛍光灯の光が存在する空間においても、高速伝送に適した光信号が送信機から出力されるようになる。なお、以下の先行技術文献中、特許文献4〜6については後述する。
特許第3465017号公報 特開2002−290335公報 特開2007−43592公報 米国特許第4,486,739号明細書 特許第3985173号公報 特開平7−183849号公報
シーエムシー出版,「白色LED照明システム技術の応用と将来展望」 信学技報 ICD2005-44,Vol.105,No.184,25-30p,「可視光通信用LEDドライバーの試作と可視光LEDの応答性能の評価」
しかしながら、上述した特許文献3記載の従来技術では、アナログピーキング回路を使用しているため、LEDの定格電流を超えた過電流が流れて、LED素子が破壊される恐れがある。また、抵抗やコンデンサ等の受動部品を使用しているため、最適な駆動条件を得るための調整が難しい。
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、汎用でコスト的に有利な青色光励起型白色LEDを用い、素子破壊を防止しつつ、十分な伝送速度の可視光データ通信を行なうことである。他の目的は、受信側で青色カラーフィルタを用いることなく、十分な伝送速度の可視光データ通信を行なうことである。
前記目的を達成するため、本発明の可視光通信用送信機は、送信データに基づいて生成された駆動電流信号に基づいて青色光励起型白色LEDを駆動し、可視光信号を受信機に対して出力する可視光通信用送信機であって、前記送信データの立ち上がり時に立ち上がりパルスを付加するとともに、前記送信データの立ち下がり時に立ち下がりパルスを付加して、多階調の駆動電流信号を生成する多階調駆動手段、を備え、前記立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスのパルス幅を、前記送信データのユニットインターバルと等しくしたことを特徴とする。
主要な形態の一つは、受信側にカラーフィルタを設けない場合において、前記送信データに対応する駆動電流の値を、前記立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスの電流の値に対して、4/5以下としたことを特徴とする。更には、前記駆動条件下において、前記立ち上がりパルス電流値に対する立ち下がりパルスの電流値の比率を、1.0±0.2としたことを特徴とする。他の形態の一つは、受信機にカラーフィルタを設けた場合において、前記送信データに対応する駆動電流の値を、前記立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスの電流の値に対して、5以下としたことを特徴とする。
本発明の可視光通信システムは、前記いずれかの可視光通信用送信機から出力された多階調の光信号を受光して電気信号に変換し、受信データを出力する可視光通信用受信機を備えたことを特徴とする。主要な形態の一つは、送信機に変調符号器、受信機に変調復号器を設け、使用する変調符号として、8B10Bを用いることを特徴とする。他の形態の一つは、送信機に変調符号器、受信機に変調復号器を設け、使用する変調符号として、DCフリーであり、かつ、符号化率2/3、最小ランを1としたRLL符号を用い、NRZI変調されたデータを送受信することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になるであろう。
本発明によれば、送信データの立ち上がり時及び立ち下がり時にそれぞれパルスを付加した多階調の駆動電流信号によって白色LEDを駆動することとしたので、汎用でコスト的に有利な青色光励起型白色LEDを用い、青色カラーフィルタを用いることなく、素子破壊を防止し、かつ、調整が容易なシステム構成にて十分な伝送速度の可視光データ通信を行なうことができる。また、前記立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスのパルス幅を、前記送信データのユニットインターバルと等しくしたので、多階調駆動信号の生成に必要となるクロックにデータクロックをそのまま使用でき、別途逓倍クロック生成等に必要な回路を追加することなく、高速伝送化を図ることができる
本発明の第一の実施例の装置構成を示す回路ブロック図である。 前記実施例における青色光励起型白色LEDの発光スペクトルの一例を示すグラフである。 前記実施例の主要部の信号波形を示すタイムチャートである。 前記実施例における主要部の回路構成の一例を示す回路図である。 前記実施例におけるアイパターンの一例を示すグラフである。(A)はエラーフリー時,(B)はエラー発生時を示す。 本発明の第二の実施例の装置構成を示す回路ブロック図である。 前記実施例におけるカラーフィルタの透過特性の一例を示すグラフである。 前記実施例におけるアイパターンの一例を示すグラフである。(A)はエラーフリー時,(B)はエラー発生時を示す。 本発明の第三の実施例の装置構成を示す回路ブロック図である。 前記実施例におけるアイパターンの一例を示すグラフである。(A)は変調符号8B10Bの場合,(B)は変調符号17PPの場合である。 本発明の第四の実施例の装置構成を示す回路ブロック図である。 前記実施例におけるアイパターンの一例を示すグラフである。(A)は変調符号8B10Bの場合,(B)は変調符号17PPの場合である。 従来の可視光通信システムを示す回路ブロック図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
最初に、図1〜図5を参照しながら、本発明の第一の実施例について説明する。図1(A)には、第一の実施例の回路構成が示されている。同図において、送信側から説明すると、伝送対象の送信データは、送信機100の駆動波形生成部110に入力されている。駆動波形生成部110の出力側は、多階調駆動部120を介して、青色光励起型白色LED140に接続されている。なお、青色光励起型白色LED140としては、例えば、図2に示すような青色LEDのピーク波長範囲が440〜470nmのものを使用する。
一方、受信側は、上述した背景技術と同様であり、送信機100から出力された光信号は、汎用のSiによるPINフォトダイオードなどによって構成された受信機200のPD210に入射するようになっている。PD210の電気信号出力側は、電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプ212、等化処理を行なうイコライザ214を介して、2値化処理を行うリミッティングアンプ216の入力側に接続され、このリミッティングアンプ216の出力側から受信データが出力されるようになっている。本実施例における伝送方式(変調方式)はベースバンド方式のOOK(On-Off-Keying)を前提とし、伝送速度は50〜125Mbpsである。
以上の各部のうち、送信機100の駆動波形生成部110と多階調駆動部120は、図3(A)に一例を示す送信データ信号から、同図(B)に示すような駆動電流波形を得るための回路である。すなわち、同図(C)〜(F)に示す信号が合成されて同図(B)に示す波形の駆動電流が得られる。同図(G)はクロックパルスである。
詳述すると、駆動波形生成部110は、例えば、送信データパルスに同期したクロックを生成するPLL,立ち上がりおよび立下りのエッジパルス検出器,Dフリップフロップによるデジタル回路(図示せず)によって構成されており、図3(A)の送信データに基づいて、同図(C)〜(F)に示す多値(ここでは4値)の階調波形を生成する機能を備えている。
なお、この駆動波形生成部110については、図1(B)に示す駆動波形生成部130のように、駆動波形生成部内のクロック生成を行うPLLをなくして、データクロックを外部から供給する構成をとってもよい。多階調駆動部120は、OR回路によって構成されており、駆動波形生成部110(ないし駆動波形生成部130)から出力された図3(C)〜(F)の信号を合成して同図(B)に示す波形の駆動電流を出力する機能を備えている。
図4には、前記駆動波形生成部110及び多階調駆動部120の主要部の一例が示されている。同図に示すように、OPアンプ,トランジスタ,スイッチ,抵抗による階調波形生成回路112A〜112Dが設けられており、図3(C)〜(F)に示す階調信号SA〜SDがそれぞれ出力されるようになっている。階調信号のパルス高さHA〜HDは、OPアンプのプラス入力Vin1〜Vin4の電圧VHA〜VHDによって設定されており、立ち上がり及び立ち下がりのタイミングは、スイッチの制御端子EN1〜EN4に印加される制御信号KWA〜KWDによって設定されている。例えば、階調波形生成回路112Aに着目すると、制御信号KWAは、図3(A)の送信データの立ち上がりタイミングで立ち上がり、パルス幅WAに相当する一定時間経過後に立ち下がる。このため、その期間スイッチがONとなり、電圧VHAが階調信号SAとして出力される。他の階調波形生成回路112B〜112Dについても同様であり、それぞれ多階調信号SB〜SDが出力される。
なお、制御信号KWA〜KWDは、送信データの論理値から決定される4ビットのデジタル信号と考えることができる。例えば、送信データが論理値のLからHとなるタイミング(立ち上がりタイミング)で「KWA,KWB,KWC,KWD」=「1,1,1,1」,立ち上がりタイミングから階調信号SAのパルス幅WAに相当する時間の経過後に「0,1,1,1」,送信データが論理値のHからLとなるタイミング(立ち下がりタイミング)で「0,0,0,1」,立ち下がりタイミングから階調信号SCのパルス幅WCに相当する時間の経過後に「0,0,1,1」となる。
階調波形生成回路112A〜112Dから出力された階調信号SA〜SDは、ワイヤードOR回路によって加算され、カレントミラー回路114を介して青色光励起型白色LED140に供給されるようになっている。
次に、図3(C)〜(F)に示す階調信号パルスSA〜SDについて説明する。まず、送信データの立ち上がり時に生成される立ち上がりパルスSAのパルス幅WAは、送信データの立ち上がりタイミングから送信データのユニットインターバルと同じパルス幅となっている。同様に、送信データの立ち下がり時に生成される階調信号SCのパルス幅WCは、送信データの立ち下がりタイミングからユニットインターバルと同じパルス幅となっている。
データパルスSBのパルス幅WBは、送信データと同じパルス幅となっている。プリバイアス電流SDの電流値HDは、送信データによらず一定となっている。一方、パルス高さ(電流の大きさ)については、各パルスの総和HA+HB+HC+HDが、駆動対象のLEDの定格電流値の条件もしくは駆動回路の駆動電流値上限によって制限を受ける。本実施例では、50Mbps以上の伝送速度を実現する場合、データパルスSBの高さHBは、立ち上がりパルスSAの高さHA及び立ち下がりパルスSCの高さHCに対して、HB/HA≦4/5,HB/HC≦4/5に設定されている。このように設定することで、符号間干渉を抑制でき、ビットエラーレートを低くすることができる。
次に、多階調駆動部120は、nsecオーダーで電流駆動可能な回路であり、青色励起型白色LED140の駆動に必要な順方向バイアス電圧(3.6V程度)より大きなバイアス電圧が出力可能となっている。
前記青色光励起型白色LED140としては、例えば、定格電流500mA(パルス駆動時)の汎用の白色LEDを使用する。これを下記表1に示す駆動電流の設定条件で駆動する。
例えば「設定4」の条件では、以下の通りとなる。
(1)立ち上がりパルスSAの電流値:82.2mA
(2)データパルスSBの電流値:13.9mA
(3)立ち下がりパルスSCの電流値:88.3mA
(4)プリバイアス電流値:5.2mA
次に、以上のように構成された本実施例の動作を説明する。送信機100の駆動波形生成部110には、例えば、図3(A)に示すような送信データが入力される。すると、駆動波形生成部110及び多階調駆動部120では、図3(B)に示す多階調駆動信号が生成され、これが青色励起型白色LED140に供給されて発光する。青色励起型白色LED140から出力された光信号は、レンズ等(図示せず)によって集光されて受信機200のPD210に入射する。受光した光信号は、PD210で電流信号に変換され、トランスインピーダンスアンプ212で電流信号から電圧信号に変換される。そして、電圧に変換された信号は、イコライザ214で所望の等化処理がなされた後、リミッティングアンプ216によって二値化され、出力データが得られる。なお、本実施例においては、受信機の変調光に対する受信帯域は、送信信号に対して十分な帯域を有しており、受信に必要な帯域内での周波数特性が平坦である受信機を使用した。
本実施例について試作した可視光通信システムによりデータの送受信実験を行った。伝送速度は50Mbps,75Mbps,100Mbps,125Mbpsの4通りとし、前記表1に示す各駆動設定条件にてビットエラーレートを測定した結果を、以下の表2に示す。なお、送信データはPRBS2−1を使用し、送信データ数は1010ビットとした。
伝送速度を50Mbpsとしたときの結果についてみてみると、「設定1」から「設定10」までの条件においてエラーフリーとなっており、問題なくデータが伝送できていると認められる。「設定10」の条件においては、立ち上がりパルス電流値HAに対するデータパルス電流値HBの比率(HB/HA)と立ち下がりパルス電流値HCに対するデータパルス電流値HBの比率(HB/HC)はそれぞれ0.99と0.88になっている。また、「設定1」から「設定9」の条件においては、各比率とも4/5以下の値となっている。このことから、少なくとも立ち上がりパルス電流値HAに対するデータパルス電流値HBの比率(HB/HA)および立ち下がりパルス電流値HCに対するデータパルス電流値HBの比率(HB/HC)が4/5以下であれば、50Mbpsの伝送が良好に行えることになる。
また、前記表2の結果によれば、75Mbps以上のデータ伝送時においても、駆動条件の最適値自体は異なるものの、立ち上がりパルス電流値HAに対するデータパルス電流値HBの比率(HB/HA)並びに立ち下がりパルス電流値HCに対するデータパルス電流値HBの比率(HB/HC)が4/5以下である必要があること自体は疑いの余地が無い。
更に言えば、立ち上がりパルス電流値HAに対する立ち下がりパルス電流値HCの比率(HC/HA)は、1.0±0.2に設定することが望ましい。
次に「設定7」および「設定11」の駆動条件の際に、50Mbps伝送時のアイパターンを観測した結果を図5に示す。エラーフリーである「設定7」の駆動条件の際には、良好なアイパターンが得られているが(同図(A)参照)、ビットエラーレートが8.0×10−3と悪化している「設定11」の駆動条件下においては、符号間干渉が発生しており(同図(B)参照)、これがビットエラーレートの悪化要因であることがわかる。
次に、図6〜図8を参照しながら、本発明の第二の実施例について説明する。この第二の実施例は、上述した第一の実施例と比較して、カラーフィルタを追加した点とLEDの駆動電流条件の点で異なる。
図6には、第二の実施例の回路構成が示されている。送信側の構成は、白色LEDを含め、第一の実施例と同様であるであるが、LEDの駆動条件が異なっている。一方、受信側は、第一の実施例におけるPD210の前に、図7に示す透過率特性を持つカラーフィルタ208を設けた構成となっている。送信機100から出力された光信号は、カラーフィルタ208によって蛍光体から発光した光の大半が濾過された後、PD210に入射するようになっている。トランスインピーダンスアンプ212以降の処理は、第一の実施例と同様である。
本実施例における伝送方式(変調方式)は、第一の実施例と同様の「OOK」であり、伝送速度は50〜125Mbpsである。また、駆動波形生成部110及び多階調駆動部120によって生成される階調信号については、階調数,パルス幅とも第一の実施例と同様であるが、本実施例においては、50Mbps以上の伝送速度を実現する場合、データパルスSBの高さHBは、立ち上がりパルスSAの高さHA及び立ち下がりパルスSCの高さHCに対して、HB/HA≦5,HB/HC≦5に設定されている。このように設定することで、符号間干渉を抑制でき、ビットエラーレートを低くすることができる。
前記青色光励起型白色LED140としては、例えば、定格電流500mA(パルス駆動時)の汎用の白色LEDを使用する。これを以下の表3に示す駆動電流の設定条件で駆動する。
例えば、表3の「設定6」の条件では、以下の通りとなる。
(1)立ち上がりパルスSAの電流値:45.6mA
(2)データパルスSBの電流値:42.7mA
(3)立ち下がりパルスSCの電流値:67.0mA
(4)プリバイアス電流値:5.2mA
次に、以上のように構成された本実施例の動作を説明する。送信機100の駆動波形生成部110には、例えば、図3(A)に示すような送信データが入力される。すると、駆動波形生成部110及び多階調駆動部120では、図3(B)に示す多階調駆動信号が生成され、これが青色励起型白色LED140に供給されて発光する。青色励起型白色LED140から出力された光信号は、受信機200のカラーフィルタ208に入射する。これより、青色励起型白色LED140から出力された光のうち、蛍光体から発光した光の大半が濾過された後、レンズ等(図示せず)によって集光されて、PD210に入射する。受光した光信号は、PD210で電流信号に変換され、トランスインピーダンスアンプ212で電流信号から電圧信号に変換される。そして、電圧に変換された信号は、イコライザ214で所望の等化処理がなされた後、リミッティングアンプ216によって二値化され、出力データが得られる。本実施例においては、受信機の変調光に対する受信帯域は、送信信号に対して十分な帯域を有しており、受信に必要な帯域内での周波数特性が平坦である受信機を使用した。
本実施例について試作した可視光通信システムにより、データの送受信実験を行った。伝送速度は50Mbps,75Mbps,100Mbps,125Mbpsの4通りとし、前記表3に示した各駆動設定条件にてビットエラーレートを測定した結果を、次の表4に示す。なお、送信データはPRBS2−1を使用し、送信データ数は1010ビットとした。
伝送速度を50Mbpsとしたときの結果についてみてみると、「設定2」から「設定11」までの条件においてエラーフリーとなっており、問題なくデータが伝送できていると認められる。「設定11」の条件においては、立ち上がりパルス電流値HAに対するデータパルス電流値HBの比率HB/HAと、立ち下がりパルス電流値HCに対するデータパルス電流値HBの比率HB/HCは、それぞれ5.27と4.21になっている。また、「設定2」から「設定10」の条件においては、前記各比率とも5以下の値となっている。このことから、少なくとも立ち上がりパルス電流値HAに対するデータパルス電流値HBの比率HB/HA及び立ち下がりパルス電流値HCに対するデータパルス電流値HBの比率HB/HCが5以下であれば、50Mbpsの伝送が良好に行えることになる。
また、表4の結果によれば、75Mbps以上のデータ伝送時においても、駆動条件の最適値自体は異なるものの、立ち上がりパルス電流値HAに対するデータパルス電流値HBの比率HB/HA並びに立ち下がりパルス電流値HCに対するデータパルス電流値HBの比率HB/HCが5以下である必要があること自体は疑いの余地がない。
最後に「設定8」および「設定12」の駆動条件の際に、50Mbps伝送時のアイパターンを観測した結果を、図8に示す。エラーフリーである「設定8」の駆動条件の際には、同図(A)に示すように良好なアイパターンが得られているが、ビットエラーレートが6.3×10−7と悪化している「設定12」の駆動条件下においては、同図(B)に示すように符号間干渉が発生しており、これがビットエラーレートの悪化要因であることがわかる。
次に、図9〜図10を参照しながら、本発明の第三の実施例について説明する。この第三及び次の第四の実施例は、変調符号器と復号器を前記第一及び第二の実施例にそれぞれ付加したものである。
図9には、第三の実施例の回路構成が示されている。図1(A)に示した第一の実施例の回路構成に、変調符号器108及び復号器218を追加した構成となっている。ここでは、変調符号器108に使用する変調符号として、8B10B(例えば、特許文献4参照)と17PP(例えば、特許文献5参照)を使用した場合について述べる。これらの符号を使用する理由は、1)DCフリーの符号であるため、受信側におけるクロック再生が容易で、かつ、キャリアに可視光を用いた際に問題となりうる不要なチラツキを抑制することができ、更に受信回路上で直流成分を除去できるため、変調されていない外乱光(太陽光)などの影響を抑制することができること,2)例えば、マンチェスター符号(例えば、特許文献6参照)と比較した場合に、下記表5に示す通り、伝送速度に対して必要とする最小パルスの幅が広くなるため、必要とする変調帯域上限を低くすることができること,である。なお、表5中の変調帯域の上限値は、1÷最小パルス幅×0.7として計算している。これは、一般的な経験則による。
一般に、17PPは、(1,7)RLL符号(Run Length Limited符号)に分類される。RLL符号とは、ビット1で伝送矩形波を反転させるNRZI(NonReturn to Zero Inverted)変調を前提としたとき、NRZI変調前の符号系列における"1"と"1"の間に入る"0"の個数の最小値(最小ラン)と最大値(最大ラン)の両方もしくは一方のみ制限したものであり、その際の最小ランをd,最大ランをkとしたときに、「(d,k)RLL」といった表記の仕方をする。例えば、上述のような(1,7)RLLという表記をすると、連続する"0"または"1"は最小で2個,最大で8個となる。なお、17PPの符号化率(符号化前のデータビット長をm,符号化後のデータビット長をnとしたときに、m/nで表される。)は、2/3である。
データの伝送速度を100Mbpsとし、変調符号として8B10Bおよび17PPを使用した際の受信機におけるイコライザ214の出力のアイパターンを示すと、図10のようになる。なお、駆動条件は、同図(A)の8B10Bの場合は表1の「設定4」,同図(B)の17PPの場合は表1の「設定3」としている。いずれの変調符号を使用した場合においても、良好なアイパターンが得られており、エラーフリーである。なお、エラーフリーの際に、第一の実施例で示すような駆動条件を満たしていることは言うまでもない。
次に、図11及び図12を参照しながら、本発明の第四の実施例について説明する。図11には、第四の実施例の回路構成が示されている。第二の実施例の回路構成に変調符号器108および復号器218を追加した構成となっている。
データの伝送速度を100Mbpsとし、変調符号として8B10B及び17PPを使用した際の受信機におけるイコライザ214の出力のアイパターンを、図12に示す。なお駆動条件は、同図(A)の8B10Bの場合は表3の「設定6」,同図(B)の17PPの場合は表3の「設定5」としている。いずれの変調符号を使用した場合においても、良好なアイパターンが得られており、エラーフリーである。なお、エラーフリーの際に、第二の実施例で示すような駆動条件を満たしていることは言うまでもない。
なお、第三及び第四の実施例では、使用する変調符号の一例として17PPを使用しているが、DCフリーで、かつ、(1,x)RLL符号であれば、前記実施例と同等な効果が期待できる。このため、本発明の効果は、変調符号として17PPを使用した場合に限定されるものではない。
以上のように、上記各実施例によれば、次のような効果がある。
(1) 白色LEDを多階調駆動することとしたので、デジタル的にパルス高さなどを良好かつ簡便に調整することができ、アナログ構成によるピーキング回路のような白色LEDの定格電流を超えた過電流が流れて素子が破壊される恐れがない。
(2) 多階調駆動を行う場合、駆動パルス幅の最小分解能が小さいほど最適な波形が得られやすいが、その分、データクロックの(ユニットインターバル÷駆動最小パルス幅)倍のクロックが必要となる。これに対し、本実施例によれば、立ち上がりパルスSA及び立ち下がりパルスSCのパルス幅WA,WCをユニットインターバルと同じとしているため、多階調駆動電流波形の生成に使用するクロックが送信データクロックと同じ周波数でよく、そのため実装が容易で、コスト面で優位である。
(3) 第一の実施例と第三の実施例によれば、受信側で青色カラーフィルタを使用しないため、部品点数が減り、コスト面で優位である。
(4) 第三の実施例と第四の実施例によれば、DCフリーの変調符号を使用することにより、
a)キャリアに可視光を用いた際に問題となりうる不要なチラツキを抑制することができる。
b)受信回路上で直流成分を除去できるため、変調されていない外乱光(太陽光)などの影響を抑制することができる。
(5) 光メディアシステムに使用されているような汎用の多階調駆動型LDドライバICを使用することができるため、システムを安価に構成することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1) 青色光励起型白色LED140としては、青色LEDの光により励起された蛍光体が、補色関係にある黄色の光を発光するタイプが一般的であるが、最近では、演色性を改善するために、蛍光体からの発光成分に赤色成分その他を含んでいるLEDがある。このようなLEDも、本発明の「青色光励起型白色LED」に含まれる。
(2) 前記実施例で示した駆動波形生成部110及び多階調駆動部120の回路構成は一例であり、同様の作用を奏する公知の各種の回路構成が可能である。
本発明によれば、青色光励起型白色LEDを使用して十分な伝送速度の可視光データ通信を行なうことができ、高速の可視光通信に好適である。
100:送信機
108:変調符号器
110:駆動波形生成部
112A〜112D:階調波形生成回路
114:カレントミラー回路
120:多階調駆動部
130:駆動波形生成部
140:青色光励起型白色LED
200:受信機
208:カラーフィルタ
210:PD
212:トランスインピーダンスアンプ
214:イコライザ
216:リミッティングアンプ
218:復号器
900:送信機
902:駆動部
904:白色LED
910:受信機
912:PD
914:トランスインピーダンスアンプ
916:イコライザ
918:リミッティングアンプ
920:受信機
922:青色カラーフィルタ
930:送信機
932:ピーキング回路

Claims (8)

  1. 送信データに基づいて生成された駆動電流信号に基づいて青色光励起型白色LEDを駆動し、可視光信号を受信機に対して出力する可視光通信用送信機であって、
    前記送信データの立ち上がり時に立ち上がりパルスを付加するとともに、前記送信データの立ち下がり時に立ち下がりパルスを付加して、多階調の駆動電流信号を生成する多階調駆動手段を備えており、
    前記立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスのパルス幅を、前記送信データのユニットインターバルと等しくしたことを特徴とする可視光通信用送信機。
  2. 前記送信データに対応する駆動電流の値を、前記立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスの電流の値に対して、4/5以下としたことを特徴とする請求項1記載の可視光通信用送信機。
  3. 前記立ち上がりパルス電流値に対する立ち下がりパルスの電流値の比率を、1.0±0.2としたことを特徴とする請求項2記載の可視光通信用送信機。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の可視光通信用送信機と、
    該可視光通信用送信機から出力された多階調の可視光信号を受光して電気信号に変換し、受信データを出力する可視光通信用受信機と、
    を備えたことを特徴とする可視光通信システム。
  5. 前記可視光通信用受信機において、カラーフィルタを介して可視光信号を受信するとともに、前記送信データに対応する駆動電流の値を、前記立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスの電流の値に対して、5以下としたことを特徴とする請求項4記載の可視光通信システム。
  6. 変調符号器を前記可視光通信用送信機に設けるとともに、前記変調符号器で変調された変調符号を復号する変調復号器を前記可視光通信用受信機に設けたことを特徴とする請求項4又は5記載の可視光通信システム。
  7. 使用する変調符号として8B10Bを用いたことを特徴とする請求項6記載の可視光通信システム。
  8. 使用する変調符号として、DCフリーであり、かつ、符号化率2/3、最小ランを1としたRLL符号を用い、NRZI変調されたデータを送受信することを特徴とする請求項6記載の可視光通信システム。
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