JP2011200196A - 受粉ロボット - Google Patents
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Abstract
【課題】高価で寿命の短い蜂や、人件費を要する作業者によらない、受粉用の自動装置を提供する。
【解決手段】走行装置121と、正常花と未形花を識別する識別装置125と、花に振動を与えて受粉処理を行う振動装置124と、既に受粉処理を行った位置を記憶する受粉済位置記憶装置と、識別装置125で正常花と識別した花にのみ振動を与えるべく振動装置124を制御すると共に受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うべく制御する制御装置と、果実を収穫する収穫装置136とを設けた受粉ロボット。
【選択図】図5
【解決手段】走行装置121と、正常花と未形花を識別する識別装置125と、花に振動を与えて受粉処理を行う振動装置124と、既に受粉処理を行った位置を記憶する受粉済位置記憶装置と、識別装置125で正常花と識別した花にのみ振動を与えるべく振動装置124を制御すると共に受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うべく制御する制御装置と、果実を収穫する収穫装置136とを設けた受粉ロボット。
【選択図】図5
Description
この発明は、花に振動を与えて受粉処理を行う受粉ロボットの技術分野に属する。
トマトの低段密植栽培方法において、花の受粉等により果実を実らせることが知られている(特許文献1参照)。
受粉処理を行う方法としては、受粉用の蜂を使用する方法や、人手作業による方法等がある。
受粉処理を行う方法としては、受粉用の蜂を使用する方法や、人手作業による方法等がある。
受粉を促すために受粉用の蜂を使用する方法では、受粉用の蜂が高価であり、また受粉用の蜂は2〜3か月と短い寿命であるため、栽培のコストアップを招くことになる。受粉を促す人手作業による方法では、作業者を要し、作業者の労働ひいては人件費を要し、栽培のコストアップを招くことになる。
本発明は、受粉処理におけるコストダウンを図り、ひいては栽培のコストダウンを図ることを課題とする。
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、花に振動を与えて受粉処理を行う振動装置(124)を設けた受粉ロボットとした。
すなわち、請求項1に係る発明は、花に振動を与えて受粉処理を行う振動装置(124)を設けた受粉ロボットとした。
また、請求項2に係る発明は、走行装置(121)と、正常花と未形花を識別する識別装置(125)を設けた請求項1に記載の受粉ロボットとした。
また、請求項3に係る発明は、識別装置(125)で正常花と識別した花にのみ振動を与えるべく振動装置(124)を制御する制御装置を設けた請求項2に記載の受粉ロボットとした。
また、請求項3に係る発明は、識別装置(125)で正常花と識別した花にのみ振動を与えるべく振動装置(124)を制御する制御装置を設けた請求項2に記載の受粉ロボットとした。
また、請求項4に係る発明は、既に受粉処理を行った位置を記憶する受粉済位置記憶装置を設けた請求項1から請求項3の何れか1項に記載の受粉ロボットとした。
また、請求項5に係る発明は、受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うべく制御する制御装置を設けた請求項4に記載の受粉ロボットとした。
また、請求項5に係る発明は、受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うべく制御する制御装置を設けた請求項4に記載の受粉ロボットとした。
また、請求項6に係る発明は、果実を収穫する収穫装置(136)を設けた請求項1から請求項5の何れか1項に記載の受粉ロボットとした。
請求項1に係る発明によると、受粉ロボットにより、振動装置124で花に振動を与えて受粉処理を行うことができるので、受粉用の蜂や作業者の労働を削減することができ、受粉処理におけるコストダウンを図り、ひいては栽培のコストダウンを図ることができる。
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、走行装置121により受粉ロボットを移動させて栽培施設等の栽培スペースの各所で受粉処理を行え、識別装置125により正常花と識別した花に対してのみ受粉処理を行い、未形花に対する受粉処理を省略できるので、受粉処理を効率的に行える。
請求項3に係る発明によると、請求項2に係る発明の効果に加えて、制御装置により識別装置125で正常花と識別した花にのみ振動装置124が自動的に振動を与えるので、受粉処理における作業者の手間を更に省略できるため、受粉処理をより効率的に行える。
請求項4に係る発明によると、請求項1から請求項3の何れか1項に係る発明の効果に加えて、受粉済位置記憶装置により既に受粉処理を行った位置を記憶しているので、栽培施設内で再度受粉処理を行うときに、既に受粉処理を行った同じ花に再度受粉処理を行うようなことを省略でき、また作業者が既に受粉処理を行ったか否かを判別する作業を省略でき、更には作業者による既に受粉処理を行ったか否かの誤判定を防止でき、受粉処理を効率的に行えると共に、未受粉処理の花に対して既に受粉処理を行ったと誤判定するのを防止できるため栽培収穫物の収穫量アップを図ることができる。
請求項5に係る発明によると、請求項4に係る発明の効果に加えて、制御装置により自動的に受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うので、受粉処理における作業者の手間を更に省略できるため、受粉処理をより効率的に行える。
請求項6に係る発明によると、請求項1から請求項5の何れか1項に係る発明の効果に加えて、受粉処理をしながら、収穫装置136により果実を収穫することができ、受粉処理と収穫作業とを同時に行え、作業能率の向上が図れる。
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
受粉ロボット133は、前後左右に計4輪の走行車輪120を備える走行台車121と、該走行台車121から立設される上下フレーム122と、該上下フレーム122の上部に固着して支持される制御ボックス123と、該制御ボックス123に対して上下揺動可能に設けた振動装置124と、制御ボックス123の上側に設けた識別装置となる撮影装置125とを備えている。走行台車121は、温室等の栽培施設内の栽培条間の通路126に設けたパイプレール127上を走行する構成となっており、内蔵する走行モータにより走行車輪120を駆動して走行する構成となっている。尚、前記パイプレール127は、一般的に栽培施設内を暖房するために温水を流す温水パイプを兼ねている。
受粉ロボット133は、前後左右に計4輪の走行車輪120を備える走行台車121と、該走行台車121から立設される上下フレーム122と、該上下フレーム122の上部に固着して支持される制御ボックス123と、該制御ボックス123に対して上下揺動可能に設けた振動装置124と、制御ボックス123の上側に設けた識別装置となる撮影装置125とを備えている。走行台車121は、温室等の栽培施設内の栽培条間の通路126に設けたパイプレール127上を走行する構成となっており、内蔵する走行モータにより走行車輪120を駆動して走行する構成となっている。尚、前記パイプレール127は、一般的に栽培施設内を暖房するために温水を流す温水パイプを兼ねている。
振動装置124は、横方向の軸128回りに上下に揺動するアーム部129と、該アーム部129の先端に設けたバイブレータ(振動子)130とを備えている。アーム部129は、その内部に備える揺動モータの駆動により上下に揺動する。また、アーム部129の内部に備える伸縮シリンダの駆動により、アーム部129のアーム長を変更してバイブレータ130の位置を変更する構成となっている。バイブレータ(振動子)130は、振動発生装置131の駆動により振動する構成となっている。撮影装置125は、所定範囲の高さで栽培植物を撮影するカメラ132を備えており、およそ栽培植物の下半部分を撮影する構成となっている。
そして、走行スイッチを入操作することにより、自動的に走行台車121が所定の走行速度で走行し、撮影装置125が花を検知すると、走行停止する。尚、撮影装置125は、色彩により赤系の色彩を撮影したときに花があると検知する構成となっている。撮影装置125が花を検知して走行停止した後、その撮影画像を画像処理し、予め設定入力した正常花及び未形花の画像イメージと比較し、正常花か否かを識別する。未形花と識別した場合は、走行台車121の走行を再開する。正常花と識別した場合は、撮影装置125から制御ボックス123内の制御装置へ入力信号を発し、制御装置からの出力信号により、その正常花の位置もしくは正常花の近傍位置にバイブレータ130が位置するよう、揺動モータ及び伸縮シリンダを駆動する。そして、制御装置からの出力により、振動発生装置131を所定時間(例えば5秒間)駆動してバイブレータ130を振動させる。このとき、バイブレータ130は花もしくは花の近傍の葉に接触しているので、仮にバイブレータ130が花に接触していなくて葉に接触した状態でも、振動が花に伝達され該花を振動させることができる。この振動により、花粉が飛散しやすくなるため、受粉を促すことができる。この受粉処理(振動付与)が終わると、制御装置からの出力信号により、バイブレータ130を元の待機位置に復帰させるべく揺動モータ及び伸縮シリンダを駆動し、走行台車121の走行を再開する。以下同様に、撮影装置125が花を検知すると走行停止し、上述のような動作を行う。
また、制御装置内の受粉済位置記憶装置により、栽培施設内におけるバイブレータ130が振動した位置を既に受粉処理を行った位置として記憶する。この位置は、走行台車121の走行位置と揺動モータによるアーム部129の揺動位置と伸縮シリンダの伸縮位置とに基づいて、三次元的な位置として記憶される。尚、走行台車121の走行位置の判定方法としては、GPS(全地球測位システム)によるものの他、栽培施設内に設けた2箇所からの距離測定によるものや、走行台車121の走行距離によるもの等が考えられる。
そして、後日に再度受粉処理を行うとき、制御装置により、撮影装置125により正常花と識別した位置が受粉済位置記憶装置により記憶した位置であると判別すると、アーム部129の揺動及び伸縮並びに振動発生装置131によるバイブレータ130の振動を行わず、走行台車121の走行を再開する。従って、制御装置は、受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うべく制御する。
また、受粉ロボット133の制御ボックス123内には、受粉済位置記憶装置により記憶した位置のデータを送信する送信手段を備えている。この送信手段により、別途設けた収穫ロボット134へデータを送信し、収穫ロボット134は受信した位置データに基づいてその近傍で収穫可能な果実を探索し、果実を収穫する構成となっている。
収穫ロボット134は、受粉ロボット133と同様に、前後左右に計4輪の走行車輪120を備える走行台車121と、該走行台車121から立設される上下フレーム122と、該上下フレーム122の上部に固着して支持される制御ボックス123と、制御ボックス123の上側に設けた識別装置となる撮影装置125とを備え、受粉ロボット133の振動装置124の振動発生装置131及びバイブレータ130に代えて収穫ハンド135及び切断刃を設けた収穫装置136を備えている。収穫装置136は、前記振動装置124と同様に収穫用のアーム部137、揺動モータ及び伸縮シリンダを備え、収穫ハンド135が収穫する果実の上側の茎部付け根を挟持し、その挟持した茎部の上側を切断刃で切断し、揺動モータ及び伸縮シリンダ等の作動で果実を別途設ける収穫コンテナ上へ搬送し、収穫ハンド135の挟持を解除して収穫コンテナへ果実を収穫する構成となっている。
そして、走行スイッチを入操作することにより、自動的に走行台車121が所定の走行速度で走行し、受信した位置データに基づいて、その近傍で走行停止し、撮影装置125により収穫可能な果実を探索する。尚、撮影装置125は、果実の色彩と大きさにより収穫可能な果実を判別する構成であり、撮影画像を画像処理し、予め設定入力した色彩と大きさの画像イメージと比較して判別する。例えば、収穫する果実がトマトの場合、赤系の色彩が濃く且つ大きさが所定以上のものを収穫適期の果実と判別する。収穫可能な果実が発見されない場合は、走行台車121の走行を再開し、受信した位置データに基づく次の近傍位置まで走行する。収穫可能な果実を発見した場合は、撮影装置125から制御ボックス123内の制御装置へ入力信号を発し、制御装置からの出力信号により、その果実の上部位置に収穫ハンド135及び切断刃が位置するよう、揺動モータ及び伸縮シリンダを駆動する。そして、制御装置からの出力により、前述したように収穫ハンド135及び切断刃等を駆動して果実を収穫する。別の収穫可能な果実がある場合は、上述と同様に続いて果実の収穫を行う。収穫可能な全ての果実の収穫が終わると、制御装置からの出力信号により、収穫ハンド135及び切断刃を元の待機位置に復帰させるべく揺動モータ及び伸縮シリンダを駆動し、走行台車121の走行を再開する。以下同様に、受信した位置データに基づくその近傍位置で走行停止し、上述のような動作を行う。
尚、収穫ロボット134と受粉ロボット133とは、栽培施設内において両者が同時に作業を行ってもよいし、個々に作業を行ってもよい。
収穫ロボット134は、受信した位置データに基づき、受粉処理を行った付近を主にして収穫可能な果実を探索する構成であるので、収穫可能な果実の探索が容易となり、収穫作業能率を向上させることができる。
収穫ロボット134は、受信した位置データに基づき、受粉処理を行った付近を主にして収穫可能な果実を探索する構成であるので、収穫可能な果実の探索が容易となり、収穫作業能率を向上させることができる。
また、受粉ロボット133に収穫装置136を設けて、受粉ロボットと収穫ロボットとを兼用することができる。具体的には、制御ボックス123に対して振動装置124とは反対側に収穫装置136を設け、収穫装置136側で果実を撮影するための収穫用の撮影装置125を追加して設けている。この受粉収穫兼用ロボット138により、通路126の一方側の栽培条で受粉処理を行い、通路126の他方側の栽培条で収穫作業を行え、受粉処理と収穫作業を同時に行えるので、作業能率が向上する。尚、受粉収穫兼用ロボット138における走行台車121の走行停止は、受粉処理用の撮影装置125による正常花の識別又は受粉済位置記憶装置により記憶した位置に基づいてなされる。
以上の通り、受粉ロボット133及び収穫ロボット134の種々の形態について説明したが、受粉済位置記憶装置により記憶した位置に基づいて収穫可能な果実を探索するべく、走行台車121を走行停止させるにあたっては、受粉処理を所定日数以前に行った位置に基づいて走行停止させることが望ましい。なぜならば、受粉処理の効果により果実が収穫可能な状態に成熟するまでは、少なくとも受粉処理から数日要するため、受粉処理の効果の薄い直前の受粉処理の情報に基づく収穫のための走行停止を回避し、作業能率を向上させるべきであるからである。
以上のように、受粉ロボット133には花に振動を与えて受粉処理を行う振動装置124を設け、振動装置124で花に振動を与えて受粉処理を行うことができるので、受粉用の蜂や作業者の労働を削減することができ、受粉処理におけるコストダウンを図り、ひいては栽培のコストダウンを図ることができる。
また、受粉ロボット133には走行装置となる走行台車121と正常花と未形花を識別する識別装置となる撮影装置125を設け、走行装置121により受粉ロボット133を移動させて栽培施設等の栽培スペースの各所で受粉処理を行え、識別装置125により正常花と識別した花に対してのみ受粉処理を行い、未形花に対する受粉処理を省略できるので、受粉処理を効率的に行える。
また、受粉ロボット133には識別装置125で正常花と識別した花にのみ振動を与えるべく振動装置124を制御する制御装置を設け、制御装置により識別装置125で正常花と識別した花にのみ振動装置124が自動的に振動を与えるので、受粉処理における作業者の手間を更に省略できるため、受粉処理をより効率的に行える。
また、受粉ロボット133には既に受粉処理を行った位置を記憶する受粉済位置記憶装置を設け、受粉済位置記憶装置により既に受粉処理を行った位置を記憶しているので、栽培施設内で再度受粉処理を行うときに、既に受粉処理を行った同じ花に再度受粉処理を行うようなことを省略でき、また作業者が既に受粉処理を行ったか否かを判別する作業を省略でき、更には作業者による既に受粉処理を行ったか否かの誤判定を防止でき、受粉処理を効率的に行えると共に、未受粉処理の花に対して既に受粉処理を行ったと誤判定するのを防止できるため栽培収穫物の収穫量アップを図ることができる。
また、受粉ロボット133には受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うべく制御する制御装置を設け、制御装置により自動的に受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うので、受粉処理における作業者の手間を更に省略できるため、受粉処理をより効率的に行える。
また、受粉ロボットの一種である受粉収穫兼用ロボット138には果実を収穫する収穫装置136を設け、受粉処理をしながら、収穫装置136により果実を収穫することができ、受粉処理と収穫作業とを同時に行え、作業能率の向上が図れる。
尚、前述のような受粉ロボット133及び収穫ロボット134の他に、通路126のパイプレール127上を走行可能なものとしては、葉欠き作業や芽欠き作業等の栽培管理作業や収穫作業を行うべく作業者が搭乗する作業台車、栽培植物に薬液を散布する防除ロボット139等がある。作業台車は、作業者が搭乗する昇降台を備え、栽培植物の作業高さに応じて昇降台を昇降させることができ、作業者が容易に作業を行える構成となっている。防除ロボット139は、左右両側の側方の栽培条へ向けて薬液を噴霧する噴霧ノズル140を備えている。
防除ロボット139が噴霧する薬液は、防除ロボット139とは別に設けた薬液貯留タンク141に貯留され、該薬液貯留タンク141から供給ホース142を介して防除ロボット139へ薬液が供給される。尚、前記供給ホース142は、ホース巻取装置143により防除ロボット139の走行に応じて自動的に繰り出されたり巻き取られたりする。防除ロボット139には、薬液の噴霧量を設定する噴霧量設定装置(噴霧量調節ダイヤル)144を設けており、この噴霧量設定装置144の設定に基づいて薬液の吐出ポンプの回転数すなわち吐出量を変更して設定する。一般的に、一つの通路126において防除ロボット139を往復走行させる間、薬液を噴霧して薬液散布作業を行う。薬液貯留タンク141には、電極棒により構成された液位センサ145を備えている。
薬液貯留タンク141と防除ロボット139とには共に送受信装置146を設けており、薬液貯留タンク141と防除ロボット139との間で双方のデータを送受信可能にしている。防除ロボット139側の噴霧量設定装置144の噴霧量の設定データが薬液貯留タンク141側に送信され、その受信に基づいて、防除ロボット139が薬液を噴霧しながら通路126を1往復走行するのに要する薬液量よりも、液位センサ145の検出に基づく薬液貯留タンク141の薬液貯留量が少なくなると、薬液貯留タンク141側からの送信により、防除ロボット139の警報が作動する構成となっている。これにより、防除ロボット139と共に歩きながら作業をする作業者が、警報を確認してその通路126での作業が終わってから薬液貯留タンク141へ薬液を補給すればよいので、薬液の補給のために通路126上での作業途中にわざわざ薬液貯留タンク141の所へ戻って薬液の補給作業を行う必要がなく、薬液の補給作業を容易に行える。
栽培施設内で植物を栽培するための苗として、接木苗を用いることができる。次に、その接木苗を製造する接木苗製造装置1について説明する。
接木苗製造装置1は、台木と穂木を接ぎ木する接木ロボット本体laを中心にその左側(図8の上側)に不図示の台木取込部(取込部)、同右側(図8の下側)に穂木取込部(取込部)2が配置され、接木ロボット本体laには、その前面の左右に台木取込部または穂木取込部2から台木、穂木としての苗をそれぞれ受ける台木前処理部(前処理部)3、穂木前処理部(前処理部)4、中央には、台木前処理部3または穂木前処理部4から受けた台木と穂木を接着する接着処理部7、この接着された接木苗を下方から送出する接木苗送出部8を配置して左右を略対称に構成し、穂木取込部2の手前側には操作パネルlpを設けたものである。
接木苗製造装置1は、台木と穂木を接ぎ木する接木ロボット本体laを中心にその左側(図8の上側)に不図示の台木取込部(取込部)、同右側(図8の下側)に穂木取込部(取込部)2が配置され、接木ロボット本体laには、その前面の左右に台木取込部または穂木取込部2から台木、穂木としての苗をそれぞれ受ける台木前処理部(前処理部)3、穂木前処理部(前処理部)4、中央には、台木前処理部3または穂木前処理部4から受けた台木と穂木を接着する接着処理部7、この接着された接木苗を下方から送出する接木苗送出部8を配置して左右を略対称に構成し、穂木取込部2の手前側には操作パネルlpを設けたものである。
台木前処理部3は、空気圧で作動する台木側のロータリーアクチュエータ60の駆動により回転作動する台木搬送アーム61を備え、該台木搬送アーム61により台木取込部からの台木苗を把持し、台木搬送アーム61が90度回転して台木苗を切断位置62に搬送し、その後台木搬送アーム61が更に90度回転して台木苗を接合位置63に搬送する。切断位置で台木切断装置64により台木苗を切断し、双子葉の片葉を切り落とす。尚、切断装置64で切断して切り落とすはずの切除部分が搬送する苗に付着して搬送されることがあるが、切断位置62から接合位置63への搬送経路上には、前記切除部分を取り除くための樹脂製のブラシ65を設けると共に、台木搬送アーム61にはエアを吹き付けるエアノズル66を設け、切除部分を確実に落として、接木苗の接合を適正に行えるようにしている。
穂木前処理部4は、空気圧で作動する穂木側のロータリーアクチュエータ67の駆動により回転作動する穂木搬送アーム68を備え、該穂木搬送アーム68により穂木取込部2からの穂木苗を把持し、穂木搬送アーム68が90度回転して穂木苗を切断位置69に搬送し、その後穂木搬送アーム68が更に90度回転して穂木苗を接合位置63に搬送する。切断位置69で穂木切断装置70により穂木苗を切断し、胚軸の下側部を切り落とす。尚、切断装置69で切断して切り落とすはずの切除部分が搬送する苗に付着して搬送されることがあるが、切断位置69から接合位置63への搬送経路上には、前記切除部分を取り除くための樹脂製のブラシ71とエアを吹き付けるエアノズル72を設け、切除部分を確実に落として、接木苗の接合を適正に行えるようにしている。
接着処理部7は、接木苗の接合用のクリップ101を一つずつ繰り出すクリップフィーダ73と、台木苗及び穂木苗が接合位置63に到達した状態で該クリップフィーダ73で繰り出されるクリップ101を一つずつ供給して台木苗及び穂木苗を固定するクリップ供給装置74を備えている。尚、台木搬送アーム61及び穂木搬送アーム68が接合位置63に到達したとき、台木苗と穂木苗の各々の切断面が合致して苗を接合した状態となる。
クリップ101は、左右一対の把持部102と左右一対の開閉部103とを備え、この把持部102と開閉部103とが左右各々で一体となった左右のクリップ片を構成し、左右のクリップ片が把持部102と開閉部103との間で互いに接触して回動支点を構成し、左右の開閉部103を閉じると左右の把持部102が開く構成となっている。左右の把持部102は、スプリング104により閉じる側に付勢されており、外力がない状態では閉じる構成となっている。
クリップ供給装置74にはクリップ101の移送経路となるガイドレール105を備えており、クリップフィーダ73によるクリップ101の繰り出し作用によりガイドレール105内で把持部102が移送上手側となる姿勢で連続的にクリップ101が移送される。ガイドレール105の終端部は左右幅が狭くなっており、ガイドレール105の終端部へクリップ101が移送されると該クリップ101が左右の開閉部を閉じて左右の把持部102を開く。そして、ガイドレール105の終端からクリップ101を受け継ぐクリップ開閉装置106の左右の開閉操作部材107が開くことで左右の開閉部103を開いて左右の把持部102を閉じる構成となっている。また、ガイドレール105の終端部に設けたクリップ押出装置108により、接合位置63へ順次クリップ101を供給する構成である。
クリップ101の左右の開閉部103が接触する左右の開閉操作部材107の端面は、クリップ101が開いた状態の左右の開閉部103の角度に合わせて接合位置63側が狭くなる開き用傾斜面147を備えている。この開き用傾斜面147の端から接合位置側には、逆に接合位置63側が広くなる押出用傾斜面148を備えている。従って、左右の開閉操作部材107によりクリップ101を開いた状態では、開き用傾斜面147が左右の開閉部103を確実に保持し、クリップ101が位置ずれを防止する。そして、クリップ101の左右の把持部102を閉じた後、クリップ101を押し出すときには、左右の開閉部103が押出用傾斜面148に案内されながら円滑に押し出される構成となっている。
クリップ101の左右の把持部102の回動支点側の端面149は、クリップ101が開いた状態で一直線上(同一平面上)に位置する。これにより、クリップ押出装置108の平面状の押出面108aが左右の把持部102の前記端面149に確実に作用し、クリップ101を確実に押し出せる。よって、接合位置63へのクリップ101の供給を精度良く行える。尚、クリップ101を閉じた後、クリップ押出装置108によりクリップ101を押し出して放出するとき、前記端面149は左右で屈曲するが、既に苗をクリップ101で把持した状態であるので、クリップ101の押出位置が多少ずれても問題がないのである。尚、クリップ押出装置108の押出面は、板ばねで構成され、クリップ押出装置108の戻り動作により次のクリップ101を迎える。
ガイドレール105の延長上の位置には、規制部材109を配置している。この規制部材109は、透明で樹脂製の上下方向に沿うプレートで形成され、接合位置63においてクリップ開閉装置106で開閉するクリップ101の前端(把持部102の先端)が接触する位置に配置されている。従って、接合位置63に移送されるクリップ101は、左右の把持部102を開いた状態で前端が規制部材109に接触し、それ以上移送されないように規制される。規制部材109は、ロータリーアクチュエータからなる規制部材移動装置110により前後に回動する移動用アーム111の先端部に固着され、接合位置63のクリップ101に対向して接触する規制位置から、その下側で前側に移動して前記規制位置から退避する退避位置へ回動する構成となっている。
従って、まず、退避位置にある規制部材109が、規制部材移動装置110により規制位置へ前側から移動する。台木搬送アーム61及び穂木搬送アーム68の伸張により台木苗及び穂木苗が左右から接合位置63へ供給され、苗を接合状態とする。このとき、規制部材109により苗を接合位置63の適正な位置へ案内される。尚、規制部材109の左右端部は、円弧状もしくはテーパ状に構成され、苗を引っ掛けずに円滑に案内し得る構成となっている。そして、クリップ押出装置108により接合位置63へクリップ101が左右の把持部102を開いた状態で供給されるが、該クリップ101は規制部材109に接触して適正な位置に位置決めされる。このクリップ101の開いた左右の把持部102の間の空間が把持領域となるが、この把持領域内に、台木搬送アーム61及び穂木搬送アーム68により搬送された台木苗及び穂木苗の胚軸の接合部が位置する。つまり、台木苗及び穂木苗の胚軸の接合部は、左右の把持部102と規制部材109とで囲まれた空間内に位置する。その後、クリップ開閉装置106の左右の開閉操作部材107が開くことで左右の開閉部103を開いて左右の把持部102を閉じ、台木苗及び穂木苗をクリップ101で挟持して固定するが、このときも規制部材109が規制位置にありクリップ101の飛び出しが規制されているので、左右の把持部を閉じる動作でクリップ101の姿勢や位置が不適正となるのを防止している。しかも、把持部102における所望の位置で苗を挟持することができる。左右の把持部102を閉じた後、規制部材109は規制部材移動装置110により退避位置に移動する。その後、クリップ押出装置108によりクリップ101が押し出されて当該クリップ101ごと接木苗が接木苗送出部8へ放出され、該接木苗送出部8により接木苗をコンテナへ搬送する。規制部材109は、透明であるので、邪魔にならずに作業者が苗の接合状況を容易に視認することができ、各部の調整等が不適正で発生する不良な接木苗の多量発生を防止する。ひいては、台木前処理部3、穂木前処理部4及び接着処理部7の各部の調整作業が容易に行え、調整作業時間の短縮化が図れる。
台木搬送アーム61による台木苗の切断位置62への搬送及び穂木搬送アーム68による穂木苗の切断位置69への搬送作動は、台木搬送アーム61及び穂木搬送アーム68がそれぞれの苗を共に把持するのに伴って同期して作動を開始するが、穂木側の速度調整装置(流量制御弁)を作動させて穂木側のロータリーアクチュエータ67へのエア流量を少なくして穂木搬送アーム68の作動速度を台木搬送アーム61の作動速度よりも若干遅くして、穂木搬送アーム68が切断位置69に到達するタイミングを台木搬送アーム61が切断位置62に到達するタイミングよりも遅らせる。そして、穂木搬送アーム68が切断位置69に到達したことを穂木側のローリングアクチュエータ67に設けた穂木側の回転位置検出センサ(リードスイッチ)により検出すると、台木切断装置64及び穂木切断装置70が切断動作を開始する。これにより、台木搬送アーム61及び穂木搬送アーム68が各々切断位置62,69に確実に到達した状態で各々の切断装置64,70を作動させることができ、適正に苗を切断することができると共に、台木側の切断位置検出用の回転位置検出センサ(リードスイッチ)を省略できてコストダウンが図れる。また、台木苗よりも軽い穂木苗をゆっくりと搬送させることにより、穂木苗のバランスが崩れて該苗の姿勢が悪化し、穂木苗における切断位置が不適正になって接木苗の接合状態が悪くなる不具合を防止できる。従来は、台木搬送アームと穂木搬送アームを同じ作動速度で作動させるようにしていたので、台木側と穂木側のエアホースの長さや屈曲度合や傷み具合の相違等により、台木搬送アームと穂木搬送アームの内の一方の作動速度が遅くなると、作動速度が速い側で切断位置に到達することを検出するようにしたとき、作動速度が遅い側が切断位置に到達する前に切断装置が作動して、苗の切断が不適正となるおそれがある。
同様に、台木搬送アーム61による台木苗の接合位置62への搬送及び穂木搬送アーム68による穂木苗の接合位置69への搬送作動は、台木切断装置64及び穂木切断装置70の切断動作の完了に伴って同期して作動を開始するが、台木側の速度調整装置(流量制御弁)を作動させて台木側のロータリーアクチュエータ60へのエア流量を少なくして台木搬送アーム61の作動速度を穂木搬送アーム68の作動速度よりも若干遅くして、台木搬送アーム61が接合位置62に到達するタイミングを穂木搬送アーム68が切断位置69に到達するタイミングよりも遅らせる。そして、台木搬送アーム61が切断位置62に到達したことを台木側のローリングアクチュエータ60に設けた台木側の回転位置検出センサ(リードスイッチ)により検出すると、クリップ供給装置74がクリップ供給動作を開始する。これにより、台木苗及び穂木苗が各々接合位置63に確実に到達した状態でクリップを供給することができ、台木苗と穂木苗を適正に固定することができて接木苗の接合率の向上が図れると共に、穂木側の接合位置検出用の回転位置検出センサ(リードスイッチ)を省略できてコストダウンが図れる。また、片葉切断した状態の台木苗をゆっくりと搬送させることにより、台木苗のバランスが崩れて該苗の姿勢が悪化し、接木苗の接合状態が悪くなる不具合を防止できる。
台木切断装置64は、切断刃75と、切断する側の子葉の葉柄を支える葉柄支え具76と、残す側の子葉を上側から押さえる子葉押さえ具77を備える。切断刃75と葉柄支え具76は、空気圧で作動する前後移動用シリンダ78により移動して、切断位置62にある台木苗に近づき、葉柄支え具76が葉柄に接触して保持する(図13(2)参照)。尚、前後移動シリンダ78は台木苗側が高位となるよう傾斜しており、切断刃75と葉柄支え具76が下側寄りの位置から台木苗に近づいて苗の子葉に干渉しないように構成している。その後、空気圧で作動する子葉押さえ用ロータリーアクチュエータ79により子葉押さえ具77が下側に回動し、子葉押さえ具77の先端部に設けた子葉押さえローラ80により子葉を上側から押さえる(図13(3)参照)。その状態で、空気圧で作動する切断用シリンダ81により斜め上方向に直線移動軌跡で切断刃75を移動させ、苗の胚軸及び片葉を切断して切り落とす(図13(4)参照)。苗を切断すると、前後移動シリンダ78により切断刃75及び葉柄支え具76を台木苗から退避させ(図13(5)参照)、その後、子葉押さえ具77を上側へ回動して元の位置に戻すと共に、切断用シリンダ81により切断刃75を斜め下方向に移動させて元の位置に戻す(図13(1)参照)。
よって、直線移動軌跡で苗を切断するので、切断面が平面状となり、接木苗の接合率の向上が図れると共に、残す側の子葉の付け根をできるだけ切除しないようにでき、接木苗の成育を良好に維持できる。従来は、切断刃を回転移動軌跡で移動させて苗を切断するので、切断面が曲面状となって接木苗の接合率向上を阻害し、残す側の子葉の付け根を抉り取るように切断して接木苗の成育を阻害するおそれがある。また、葉柄支え具76と子葉押さえ具77により適正な位置で苗を切断することができ、更に、切断用シリンダ81の取付角度を調節することにより、回転移動軌跡で苗を切断する構成と比較して切断角度を容易に調節できる。
穂木切断装置70は、切断刃82と、切り落とす側(下側部)の胚軸を支える胚軸支え具83を備える。切断刃82と胚軸支え具83は、空気圧で作動する前後移動用シリンダ84により移動して、切断位置69にある穂木苗に近づき、胚軸支え具83が胚軸に接触して保持する(図14(2)参照)。尚、前後移動シリンダ84は穂木苗側が高位となるよう傾斜しており、切断刃82と胚軸支え具83が下側寄りの位置から穂木苗に近づいて苗の子葉に干渉しないように構成している。尚、穂木苗に近づいた状態で、切断刃82は、子葉の裏側(下側)に位置する。そして、空気圧で作動する切断用シリンダ85により斜め下方向に直線移動軌跡で切断刃82を移動させ、苗の胚軸の下側部を切断して切り落とす(図14(3)参照)。苗を切断すると、前後移動シリンダ84により切断刃82及び胚軸支え具83を穂木苗から退避させ(図14(4)参照)、切断用シリンダ85により切断刃82を斜め上方向に移動させて元の位置に戻す(図14(1)参照)。
よって、直線移動軌跡で苗を切断するので、切断面が平面状となり、接木苗の接合率の向上が図れると共に、穂木苗に近づいた状態で、切断刃82は子葉の裏側(下側)に位置するので子葉を切除しないようにでき、接木苗の成育を良好に維持できる。従来は、切断刃を回転移動軌跡で移動させて苗を切断するので、切断面が曲面状となって接木苗の接合率向上を阻害し、子葉が大きくて垂れ下がるような苗では切断刃が子葉に接触して子葉を切除したり子葉に傷を付けるおそれがあり、接木苗の成育を阻害するおそれがある。また、胚軸支え具83により適正な位置で苗を切断することができ、更に、切断用シリンダ85の取付角度を調節することにより、回転移動軌跡で苗を切断する構成と比較して切断角度を容易に調節できる。しかも、穂木搬送ハンド68と胚軸支え具83の中間位置で切断刃82が苗を切断するので、苗の切断位置が安定する。
尚、台木切断装置64の切断刃75と穂木切断装置70の切断刃82は、平面視で互いに接合位置63側ほど苗から離れるように斜めに配置され、切断する苗に対し前進角を有して移動して苗を切断する。これにより、苗の切断抵抗を抑えて苗の切断を円滑に行えると共に、接木苗を固定するクリップの把持部における先端側(接合位置における前側(切断位置側))から各々の苗を切断することになるので、切断時に苗の切断位置が位置ずれし易い切断終端がクリップの把持部における奥側(接合位置63における後側(切断位置62,69と反対側))となるが、クリップの把持部における奥側で苗の保持精度が高まるため、接木苗の接合率向上が図れる。
尚、前記台木取込部及び穂木取込部は互いに左右対称で同様の構成であるので、以下は、穂木取込部2について説明する。
穂木取込側については、穂木取込部2は、接木ロボット本体laの側方で苗ポットに育成した多数の穂木苗(苗)Wを格子配列したセルトレイを順次搬入移送する搬入機構11と、この搬入機構11上の穂木苗Wに対して進退機構12bにより進退動作可能に穂木苗Wを穂木として個々の把持しつつ胚軸をカットして把持動作する把持ハンド12と、この把持ハンド12を左右方向に横移動可能に支持する移送機構13と、その移送行程上に配した方向修正部材14等から構成する。また、穂木取込部2と穂木前処理部4との間の穂木受渡し位置(受渡し位置)Rには、穂木取込部2から移送された穂木苗Wを一時的に保持する受渡保持機構15を設ける。
穂木取込側については、穂木取込部2は、接木ロボット本体laの側方で苗ポットに育成した多数の穂木苗(苗)Wを格子配列したセルトレイを順次搬入移送する搬入機構11と、この搬入機構11上の穂木苗Wに対して進退機構12bにより進退動作可能に穂木苗Wを穂木として個々の把持しつつ胚軸をカットして把持動作する把持ハンド12と、この把持ハンド12を左右方向に横移動可能に支持する移送機構13と、その移送行程上に配した方向修正部材14等から構成する。また、穂木取込部2と穂木前処理部4との間の穂木受渡し位置(受渡し位置)Rには、穂木取込部2から移送された穂木苗Wを一時的に保持する受渡保持機構15を設ける。
詳細には、上記搬入機構11は、接木ロボット本体laの側方に沿って移送動作するべルトコンベヤ等により構成し、横一列の苗が取り出される度にセルトレイの配列ピッチで順次移送動作することにより、穂木苗Wを所定位置に搬入する。移送機構13は、接木苗製造装置1の片側位置で搬入機構11を横断して受渡保持機構15までの範囲で把持ハンド12を左右に位置制御可能に構成し、セルトレイの横一列の苗において受渡保持機構15側から苗を取り出すべく、把持ハンド12が受渡保持機構15へ苗を供給した後に次に取り出す苗(苗があるセル)の左右位置に順次左右移動する構成となっている。この移送機構13による移送行程に干渉するように、棒状部材または回動抵抗を抑えた縦軸ローラによる方向修正部材14を下垂状に配置する。この方向修正部材14は、移送機構13の左右移送経路の終端の直前位置で、受渡保持機構15に対向する位置より若干搬入機構11側に配置されている。また、受渡保持機構15には、把持ハンド12から受けた穂木苗Wを保持した際にその子葉展開方向を規制する整列部材16を設ける。これら受渡保持機構15と整列部材16とにより整列保持手段を形成する。
次に、穂木取込部2の把持ハンド12について詳細に説明する。
把持ハンド12は、拡大側面図を図18に示すように、穂木苗Wの胚軸Aの上段部と中段部を把持する上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびその下方に開閉動作により穂木苗Wの胚軸Aの下段部を切断するカッタ機構23を三段重ねに進退機構12bにより一体に進退動作可能に配置し、その側方に独立して上下動作可能に持上げ具24を備えて構成する。また、把持した胚軸Aの近傍で子葉Lと干渉しうる位置に回り止め用の棒状のストッパ25をカッタ機構23から立設する。上段のハンド機構21、中段のハンド機構22およびカッタ機構23からなる上下三段の各ハンドの上下間隔を調節可能に設けており、苗の胚軸の長さに応じて各ハンドの上下間隔を変更して、徒長苗や苗の品種に対応して苗を適正に把持できる構成としている。
把持ハンド12は、拡大側面図を図18に示すように、穂木苗Wの胚軸Aの上段部と中段部を把持する上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびその下方に開閉動作により穂木苗Wの胚軸Aの下段部を切断するカッタ機構23を三段重ねに進退機構12bにより一体に進退動作可能に配置し、その側方に独立して上下動作可能に持上げ具24を備えて構成する。また、把持した胚軸Aの近傍で子葉Lと干渉しうる位置に回り止め用の棒状のストッパ25をカッタ機構23から立設する。上段のハンド機構21、中段のハンド機構22およびカッタ機構23からなる上下三段の各ハンドの上下間隔を調節可能に設けており、苗の胚軸の長さに応じて各ハンドの上下間隔を変更して、徒長苗や苗の品種に対応して苗を適正に把持できる構成としている。
上段のハンド機構21は、把持状態の平面図を示す図19(a)のように、左右の開閉アーム21a,21aの先端の把持位置に穂木苗の肥軸Aの径寸法より大きく左右方向の切欠Bを形成して穂木苗の胚軸Aを遊嵌保持可能に構成し、その隙間限度設定用の調節ボルト21bを設ける。中段のハンド機構22は、その把持状態の平面図を示す図19(b)のように、左右の開閉アーム22a,22aのその先端の把持位置に穂木苗の肥軸Aの径寸法より大きく前後方向の切欠Cを形成して穂木苗の胚軸Aを遊嵌保持可能に構成する。これら両ハンド機構21,22により、穂木苗の把持位置精度を確保しつつ、穂木苗がその胚軸線で回動可能に把持する。
カッタ機構23は、その作動状態平面図(a)とそのB−B線断面図(b)を図20に示すように、左右の開閉アーム23a,23aの先端部に穂木苗の胚軸Aを切断する刃23bを形成し、かつ、切断後の胚軸Aの移動を拘束するように外周縁を高く形成する。刃23bは、左右の開閉アーム23a,23aのうち、接木ロボット本体laとは左右方向で反対側の開閉アーム23aに取り付けられている。接木ロボット本体la側の開閉アーム23aには、胚軸Aが開閉アーム23a,23aの基端側に入り込むのを規制する規制ガイド114を設けている。この規制ガイド114で胚軸Aを規制することにより、胚軸Aの位置ずれを防止して刃23bで円滑に切断できるようにしている。尚、規制ガイド114は、左右の開閉アーム23a,23a及び刃23bの上方に配置され、刃23b側へ胚軸Aが案内されるように刃23b側ほど開閉アーム23a,23aの基端側に位置する構成となっている。
上記の両ハンド機構21,22とカッタ機構23は、穂木苗を穂木としてその根側を切断しつつその胚軸を回動可能に緩く把持する遊嵌把持機構を形成する。
前記持上げ具24は、第一の持上げ具41と第二の持上げ具42とを備えて構成される。前記第一の持上げ具41は、穂木苗Wの根元位置まで前下がりに傾斜するとともに、受渡保持機構15側すなわち苗を取り出すために把持ハンド12が左右移動してくる側となる同穂木苗Wの側方から背後に達するように先端部41tを屈曲したロッドにより形成される。先端部41tとその基部に屈曲して延びる側部41sを略直角に設定することにより、図23の起立動作の正面図に示すように、持上げ具41の上行動作により倒れた胚軸Aを起立することができる。持上げ具41の支持部41bは、穂木苗に対する位置関係に合わせて前後位置と高さ位置を調節可能に構成する。
前記持上げ具24は、第一の持上げ具41と第二の持上げ具42とを備えて構成される。前記第一の持上げ具41は、穂木苗Wの根元位置まで前下がりに傾斜するとともに、受渡保持機構15側すなわち苗を取り出すために把持ハンド12が左右移動してくる側となる同穂木苗Wの側方から背後に達するように先端部41tを屈曲したロッドにより形成される。先端部41tとその基部に屈曲して延びる側部41sを略直角に設定することにより、図23の起立動作の正面図に示すように、持上げ具41の上行動作により倒れた胚軸Aを起立することができる。持上げ具41の支持部41bは、穂木苗に対する位置関係に合わせて前後位置と高さ位置を調節可能に構成する。
また、苗Wに対して前記第一の持上げ具41と左右反対側に第二の持上げ具42を設けている。この第二の持上げ具42は、受渡保持機構15とは反対側で苗を取り出すために把持ハンド12が左右移動する側となる苗の側方に位置するべく屈曲したロッドにより形成され、前後移動シリンダ43により進退動作可能に設けられている。苗の側方に位置する第二の持上げ具42の先端部42aは、前記第一の持上げ具41の先端部41tと同様に水平で、第一の持上げ具41の先端部41tより若干高位で且つ前後移動シリンダ43により突出させた状態で平面視で交差するように設けられている。従って、第一の持上げ具41の上行動作で第二の持上げ具42が共に上動し、苗の左右両側方及び後方の三方から苗を持ち上げて直立させることができ、把持ハンド12による穂木苗の把持を適正に行える。特に、セルのピッチが狭いセルトレイにおいて、第二の持上げ具42により把持ハンド12が左右移動した側の隣接苗側に苗が傾いたまま把持ハンド12で把持して移送するようなことを防止でき、苗が隣接苗と絡んだまま把持ハンド12で移送されて苗の把持姿勢が不適正になるようなことを防止できる。また、一方の持上げ具41の上下動機構で他方の持上げ具42も上下動させる構成としたので、この上下動機構の簡素化が図れる。また、第二の持上げ具42を平面視で中途部が把持ハンド12側(隣接苗から離れる側)に突出するように屈曲させた構成としているので、該第二の持上げ具42に干渉しないように把持ハンド12の開閉量を所定に維持できると共に、第二の持上げ具42が隣接苗と干渉しにくくなり、苗取り出しの円滑化が図れる。尚、第二の持上げ具42は、図25に示すように平面視で斜めの部分を設けて構成してもよい。
上記の持上げ具24では三方から苗を持ち上げる構成であるので、残りの一方側(把持ハンド12側)に倒れる苗を直立させることはできない。そこで、搬入機構11のセルトレイ上には、該セルトレイの左右幅にわたる倒れ規制具44を設けている。この倒れ規制具44は、セル内の培土を荒らしたり搬入機構11によるセルトレイの搬送抵抗になったりしないように回転自在のローラで構成され、把持ハンド12で取り出す苗の把持ハンド12側で適確に作用するようにセルの上方に位置する。
また、把持ハンド12の両ハンド機構21,22に各々において、左右一対の開閉アーム21a,22aのうち受渡保持機構15側(右側)に位置する一方の開閉アーム21a,22aには、受渡保持機構15と左右反対側(左側、他方の開閉アーム21a,22a側)に延びる苗分離具45を固着して設けている。この苗分離具45は、棒材で構成され、左右方向(左側)に延びる基部45aと該基部45aから前側に屈曲して延びる先端部45bとを備え、開閉アーム21a,22aより若干上位に配置されている。苗分離具45の先端部45bは、一対の開閉アーム21a,22aが開いた状態では、前記他方の開閉アーム21a,22aの上方に位置し、略前後真直方向で若干把持方向内側に向かって延び左右の開閉アーム21a,22aの角度に対して把持方向内側に向く角度となる。一方、一対の開閉アーム21a,22aが閉じた状態では、他方の開閉アーム21a,22aより把持方向外側(左側)に位置し、先端へいくほど把持方向外側となる外向きの角度となる。従って、セルトレイの苗を把持するべく進退機構12bにより把持ハンド12が前進するときは、一対の開閉アーム21a,22aが開き、苗分離具45の先端部45bは把持しようとする苗に干渉しないように当該苗と隣接苗との間に挿入される。そして、一対の開閉アーム21a,22aを閉じると、苗分離具45の先端部45bは隣接苗側(左側)に回動して移動し、把持する苗と隣接苗とを離して苗の絡みを解くようになっている。
上記構成の把持ハンド12による穂木苗の取込動作は、図27の動作手順図に従って行う。
まず、図28(a)の準備状態の動作平面図に示すように、後退位置で上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびカッタ機構23を閉状態に準備(S1)した上で、接木苗製造装置1の外側方向への移送機構13の横移動により、搬入機構11上の穂木苗Wの側方から第一の持上げ具41の先端部41tを穂木苗Wの背面位置に挿し入れ、その後前後移動シリンダ43を伸長し第二の持上げ具42を前側に突出させて平面視で先端部が苗の側方に位置させると共に第一の持上げ具41の先端部41tと交差させ、第一の持上げ具41及び第二の持上げ具42の上行動作(S2)により穂木苗Wの倒れを修正する。従って、把持ハンド12は、上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびカッタ機構23が閉状態で横移動するので、横移動の際にセルトレイの苗に干渉しにくく、また横移動で取り出す苗とは別の苗を懐に収めてしまうようなことを防止でき、苗の取出不良を防止できる。上段のハンド機構21と中段のハンド機構22は、前記横移動の上手側を曲面状に形成しており、横移動で苗と干渉しにくいように且つ苗を傷めないようにしている。尚、持上げ具24は、上行動作(S2)前において、カッタ機構23の略同じ高さに位置する。これにより、カッタ機構23をセルの上面に近づけることができて該カッタ機構23が苗の根元を切断でき、冬期に育苗されるような胚軸が短い苗でもハンド機構21,22で苗を適正に取り出すことができる。
まず、図28(a)の準備状態の動作平面図に示すように、後退位置で上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびカッタ機構23を閉状態に準備(S1)した上で、接木苗製造装置1の外側方向への移送機構13の横移動により、搬入機構11上の穂木苗Wの側方から第一の持上げ具41の先端部41tを穂木苗Wの背面位置に挿し入れ、その後前後移動シリンダ43を伸長し第二の持上げ具42を前側に突出させて平面視で先端部が苗の側方に位置させると共に第一の持上げ具41の先端部41tと交差させ、第一の持上げ具41及び第二の持上げ具42の上行動作(S2)により穂木苗Wの倒れを修正する。従って、把持ハンド12は、上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびカッタ機構23が閉状態で横移動するので、横移動の際にセルトレイの苗に干渉しにくく、また横移動で取り出す苗とは別の苗を懐に収めてしまうようなことを防止でき、苗の取出不良を防止できる。上段のハンド機構21と中段のハンド機構22は、前記横移動の上手側を曲面状に形成しており、横移動で苗と干渉しにくいように且つ苗を傷めないようにしている。尚、持上げ具24は、上行動作(S2)前において、カッタ機構23の略同じ高さに位置する。これにより、カッタ機構23をセルの上面に近づけることができて該カッタ機構23が苗の根元を切断でき、冬期に育苗されるような胚軸が短い苗でもハンド機構21,22で苗を適正に取り出すことができる。
次いで、図28(b)の把持状態の動作平面図に示すように、ハンド機構21,22およびカッタ機構23を開いて前進(S3)した上で両ハンド機構21,22を閉じる(S4)ことによりハンド機構21,22の先端の切欠B、Cに穂木苗Wの胚軸Aが遊嵌保持され、その後にカッタ機構23を閉じる(S5)ことにより、胚軸Aの下段部が切断されて穂木苗Wは回動可能に同カッタ機構23により下端が支持される。ここで、ハンド機構21,22およびカッタ機構23を後退(S6)した上で接木苗製造装置1の中心方向に横移動(S7)することにより、搬入機構11から穂木苗を個別に取込むことができる。尚、S6におけるハンド機構21,22およびカッタ機構23の後退距離すなわち進退機構12bによる進退作動ストロークは、S6の行程によりセルトレイから取り出すべく把持する苗が隣接苗と完全に干渉しない長さに設定されている。
尚、上段のハンド機構21と中段のハンド機構22の間、中段のハンド機構22とカッタ機構23の間には、各々苗ガイド112を設けている。この苗ガイド112は、苗ガイド用シリンダ113により、ハンド機構21,22およびカッタ機構23の前進に先立って前進し、これから取り出そうとする穂木苗Wが直立姿勢となるよう修正し、苗の取出し不良を防止するものである。苗ガイド112は、ハンド機構21,22およびカッタ機構23の後退と同時に後退する。
また、移送機構13による移送行程においては、図30の方向修正動作の平面図に示すように、穂木苗を把持した把持ハンド12が把持位置Bから受渡し位置Cまで横移動する際に、その移送行程に干渉するように配置した方向修正部材14の近傍を通過することにより、穂木苗Wの子葉展開方向が移送方向に対して大きく傾斜していると子葉が方向修正部材14と干渉することにより子葉展開方向が略移送方向に揃うように穂木苗が回動される。このとき、穂木苗が過大に回動されても、受渡保持機構15と対向する位置に設けた山形で平板状に構成される整列部材となる副整列部材46に苗の子葉が当たってその回動範囲が規制される。この副整列部材46は、上下位置を調節可能に設けられ、移送機構13で移送されてくる苗の胚軸Aや子葉が直接当たることで苗の姿勢又は子葉展開方向がかえって不適正にならないようにでき、苗の大きさや種類に応じて位置調節できる。
前記移送機構13は、コンプレッサからの空気圧により摺動するエアシリンダにより把持ハンド12を横移動させる構成であり、前記シリンダに備えるストロークセンサにより把持ハンド12が搬入機構11及び該搬入機構11上のセルトレイの上方から離れて方向修正部材14の直前位置まで到達したことを検出すると、シリンダへ供給するエアの流量が少なく制御されて移送速度が減速され、移送終端部での移送速度が低速となる構成となっている。この移送速度が減速される位置は、取り出す苗(苗があるセル)の左右位置となる移送始端位置に拘らず同じ位置に設定されている。尚、把持ハンド12が次の苗を把持するべく受渡保持機構15の受渡し位置から搬入機構11上のセルトレイ側へ移動する戻り行程では、通常の速い移送速度で把持ハンド12が横移動する。持上げ具24は、移送機構13の移送速度が移送終端部で減速されるまでの間、持上げ状態に上昇したままであり、苗の移送で他の苗と干渉する等して該苗の姿勢が悪化するようなことを防止している。尚、移送機構13の移送速度が減速するのと同時にカッタ機構23より下位に下降し、苗受渡し行程において邪魔にならないようにしている。
尚、把持ハンド12が苗を取り出して上昇した状態で異常停止やオペレータによる中断操作等の停止状態となった後、リセット操作をすると、把持ハンド12が移送機構13により元の原点位置である受渡し位置Rに戻ろうとするが、把持ハンド12が上昇している状態であるので受渡し保持機構15に干渉することになってしまう。そこで、把持ハンド12が下降位置にあることを検出するセンサを設けており、リセット操作をしたときに、該センサにより把持ハンド12が下降位置にあることを検出したときのみ、移送機構13により把持ハンド12を受渡し位置Rに横移動させる構成となっている。
次に、受渡し位置Rに構成される受渡保持機構15と整列部材とによる整列保持手段について説明する。
受渡保持機構15は把持ハンド12の進出位置で穂木苗を受けるべく、進出動作する把持ハンド12に対向して配置される。その構成は、要部平面図を図31に、要部側面図(a)とそのB一B線断面図(b)を図32に示すように、受けた穂木苗の胚軸Aの上段部を把持する上段ハンド機構31と、その下方で胚軸Aの中段部を把持する中段ハンド機構32と、両ハンド機構31、32の中間高さ位置で胚軸Aの過大な進入を規制するストッパ33と、これらを一体に高さ位置を調節する昇降機構34とを受渡し位置Rに備える。
受渡保持機構15は把持ハンド12の進出位置で穂木苗を受けるべく、進出動作する把持ハンド12に対向して配置される。その構成は、要部平面図を図31に、要部側面図(a)とそのB一B線断面図(b)を図32に示すように、受けた穂木苗の胚軸Aの上段部を把持する上段ハンド機構31と、その下方で胚軸Aの中段部を把持する中段ハンド機構32と、両ハンド機構31、32の中間高さ位置で胚軸Aの過大な進入を規制するストッパ33と、これらを一体に高さ位置を調節する昇降機構34とを受渡し位置Rに備える。
前記中段ハンド機構32は、下動シリンダ(下動機構)により苗を把持した状態で下降動作する構成となっている。これにより、把持した苗の胚軸Aを苗の上部にある子葉展開基部が上段ハンド機構31の上面に当接するまで下側へ引き下げ、苗の上下位置が所定位置となるように位置決めする。尚、上段ハンド機構31の把持力は中段ハンド機構32の把持力より小さく設定されており、中段ハンド機構32で苗の胚軸Aを引き下げるとき、胚軸Aが上段ハンド機構31内を滑って引き下げられる。また、中段ハンド機構32の下動途中で苗の子葉展開基部が上段ハンド機構31に当接して所定位置で支持された後の中段ハンド機構32の下動端までの下動では、苗が所定位置に保持されたままで苗の胚軸Aが中段ハンド機構32内を滑るようになっている。中段ハンド機構32の把持面は、一対のハンド32aの各々に前後2個の弾性体(スポンジ)47を固着して構成され、前記弾性体(スポンジ)47により苗の胚軸A位置を中心とする4方向から苗の胚軸Aを押圧して把持する構成となっている。この弾性体(スポンジ)47により、中段ハンド機構32の把持力を大きく設定できると共に、太い胚軸Aでは把持面の面積が大きくなり細い胚軸Aでは把持面の面積が小さくなるため、苗の大きさ(胚軸Aの太さ)に応じて中段ハンド機構32の把持力が設定され、該中段ハンド機構32による苗の引き下げを適正に行える。
受渡保持機構15の上方で穂木苗の子葉を受ける位置に整列部材となる主整列部材16を配置する。主整列部材16は、双葉状の子葉展開方向を規制する平板状の部材であり、その中心位置に上下に延びる突条によるガイド部35を形成する。このガイド部35は受けた穂木苗の子葉を左右に振り分けるために、断面形状が山形でその表面を平滑に低摩擦に形成する。
上記構成の整列保持手段における受渡し動作は、把持ハンド12の進出動作によって受渡保持機構15に穂木苗Wを渡す際に、穂木苗Wの子葉L,Lが主整列部材16に押し付けられるとともに、ガイド部35により子葉L,Lが左右に振り分けられて子葉展開軸線が主整列部材16に沿うように整列される。
上記受渡し動作を図34の動作手順図に従って詳細に説明すると、搬入機構11から穂木苗を取込み、その胚軸を把持した把持ハンド12を受渡保持機構15の正面に位置を合わせた後、まず、図35(a)(b)の第一の整列動作の前後の平面図に示すように、カッタ機構23を含めて把持ハンド12を閉じた状態、すなわち、胚軸Aの下端をカッタ機構23上に受けつつ中段のハンド機構22の把持を緩めた状態で進退機構12bの進退動作により受渡保持機構15の位置まで往復する(S11)ことにより主整列部材16を介して子葉展開方向が整列される。
次いで、図36(a)(b)の第二の整列動作の前後の平面図に示すように、カッタ機構23を開く(S12)ことにより把持ハンド12のハンド機構21に子葉L,Lを受けて穂木苗Wの高さ位置を合わせる。この状態で進退機構12bの進退動作により受渡保持機構15の位置まで往復する(S13)ことにより、主整列部材16に子葉が当たって子葉展開方向が整列される。
上記のように進退機構12bの進退動作で把持ハンド12が往復すると、図37(a)の整列動作の前後の平面図に示すように、把持ハンド12の進出位置の主整列部材16と合わせて把持ハンド12側となる後退位置にも同様の副整列部材46を対向配置しているので、把持ハンド12の1往復につき苗の子葉が整列部材に2回接当することになり、進退動作により能率の良い整列動作が可能となる。尚、前記進退機構12bには、進退用シリンダと、把持ハンド12で把持された苗が主整列部材16に当たる位置に前記進退用シリンダが伸長したことを検出する伸長位置センサと、把持ハンド12で把持された苗が副整列部材46に当たる位置すなわち移送機構13で苗を移送するとき等の通常位置に前記進退用シリンダが収縮したことを検出する収縮位置センサとを備えている。従って、前記伸長位置センサと収縮位置センサとが交互に検出するべく進退用シリンダの伸縮作動を繰り返すことにより、把持ハンド12が往復作動する。
尚、図面では、副整列部材46を所望の子葉の整列方向と同一方向としたものについて示したが、前記整列方向に対して方向修正部材14で修正する前の子葉方向側に若干斜めに構成してもよい。これにより、主整列部材16に子葉を当てて整列させる前に、副整列部材46により段階的に所望の子葉方向に近づけることができ、無理に子葉の向きを修正しようとすることにより苗が損傷するようなことを防止でき、子葉の向きの修正を円滑に且つ安定しておこなうことができる。また、副整列部材46のガイド部35を無くしてもよい。これにより、苗が横移動して前記ガイド部35に当たることにより損傷するようなことを防止できると共に、苗の横移動で平板状の副整列部材46にならって子葉の向きを円滑に修正することができる。
整列動作の後、把持ハンド12を受渡保持機構15まで進出(S14)した上でカッタ機構23を閉じる(S15)ことにより、胚軸Aが所定位置で切断されて長さが揃えられる。この時、胚軸Aの曲がりがあっても、両ハンド機構31、32の中間高さ位置のストッパ33が胚軸Aの過大な進入を規制することから、胚軸Aを確実に切断することができる。
胚軸Aの切断の後にカッタ機構23を開くとともに穂木苗Wを受けた受渡保持機構15の両ハンド機構31、32を閉じ(S16)、次いで、把持ハンド12の上下のハンド機構21,22を開くとともに受側の受渡保持機構15の中段ハンド機構32の下動により苗を引き下げて所定の保持高さに合わせ(S17)、その後、把持ハンド12を後退(S18)する。
このようにして受渡しの終了後に、把持ハンド12を搬入機構11側に戻すことにより、次の穂木苗についての取込みが可能となる。この一連の動作の繰返しにより、搬入機構11から穂木苗を順次取込んで接木ロボット本体1aにより接木処理することができる。尚、苗受渡し行程において、持上げ具24は、苗の受け渡しの邪魔にならないようにカッタ機構23より下位に下降している。
ところで、苗取込部2の作動を制御する操作パネル1pには、苗取込部2の電源の入切を行う電源スイッチ48と、作動モードを設定するモードスイッチ49と、搬入機構11で搬入するセルトレイの種類を設定するトレイ選択スイッチ50と、作動を開始させるスタートスイッチ51と、作動を停止させるストップスイッチ52と、各作動部を初期状態に復帰させるリセットスイッチ53と、セルトレイ上の苗位置及びセルトレイの苗列の数を任意に設定できる設定変更部54とを設けている。前記モードスイッチ49は、前記スタートスイッチ51の操作での作動域を選択する作動域選択手段であり、ストップスイッチ52を操作するまで連続的に順次苗を前処理部3へ供給するべく作動する自動位置と、1株の苗を前処理部3へ供給するまで作動する手動位置と、前記S1〜S7並びにS11〜S18の各作動行程ごとに作動するステップ位置とに切替操作できる。前記トレイ選択スイッチ50は、把持ハンド12が苗を取り出す左右方向の位置及び搬入機構11の搬送ピッチを切り替えて設定する設定切替手段であり、72穴セルトレイ用の72穴位置と、128穴セルトレイ用の128穴位置と、前記設定変更部54により任意に設定する手動設定位置(MS)とに切替操作できる。尚、前記72穴セルトレイとはセルが縦12列、横6列設けられたセルトレイであり、前記128穴セルトレイとはセルが縦16列、横8列設けられたセルトレイである。従って、これらのセルトレイの種類によってセルの配列ピッチが異なるため、各セルトレイに応じて前記トレイ選択スイッチ50により切り替える構成となっている。把持ハンド12はセルトレイの横一列の苗を受渡保持機構15側から順次取り出すが、この苗取出回数を操作パネル1p内の制御装置でカウントし、トレイ選択スイッチ50の設定に基づく横一列の回数になると、搬入機構11によりセルトレイを搬送する。これにより、横一列の苗を全て取り出したことを判断するために、把持ハンド12が取り出す苗の左右位置を確認するべく、制御装置(PLC)から移送機構13のエアシリンダへ左右位置の確認命令出力を行って該エアシリンダからの入力で判断するのに比較して、制御のスピードが向上し、作業能率の向上が図れる。
また、接木ロボット本体laには、該接木ロボット本体la、台木取込部及び穂木取込部2からなる接木苗製造装置1の全体を一括で制御する制御装置を備える制御パネル55を設けている。この制御パネル55に、接木ロボット本体la、台木取込部及び穂木取込部2の作動の入切を行える切替スイッチ等の作動切替手段を設けている。この作動切替手段により、接木ロボット本体la、台木取込部及び穂木取込部2のうち、全部を作動させたり一部を作動させたりすることができ、様々な作業形態で接木苗製造作業が行える。例えば、胚軸長が短い場合に苗接合のための切断位置の精度を要する台木を人手で台木前処理部3へ精度良く供給したいとき、接木ロボット本体la及び穂木取込部2を作動させて台木取込部の作動を停止させることができる。あるいは、苗をセルトレイで育苗しなかった場合にその苗の取込部2を停止させて人手で苗供給したり、苗の接合を人手で行いたいときに取込部2を作動させて接木ロボット本体laの作動を停止させたりできる。尚、台木、穂木共に人手で供給したいときは、接木ロボット本体laのみを作動させればよい。
以上により、この接木苗製造装置1において、各苗を1株づつ供給する苗供給装置となる取込部2は、受けた苗の根側を切断しつつ苗の胚軸を回動可能に緩く保持可能な把持ハンド12による遊嵌保持機構と、この遊嵌保持機構を支持して横方向に移送動作する移送機構13と、この移送機構13における移送終端部で苗の子葉と干渉することによってその子葉展開方向を移送方向に合わせるための方向修正部材14及び副整列部材46とを設け、前記移送機構13は、移送終端部での移送速度が低速となるよう前記方向修正部材14に苗の子葉が干渉する直前で移送速度が減速される構成としている。
従って、前記遊嵌把持機構は、双葉状の展開子葉を有する苗を受けると、これを穂木または台木としてその根側を切断しつつ胚軸を回動可能に緩く把持し、この苗は遊嵌把持機構を支持する移送機構13により移送されるが、この移送速度は方向修正部材14に苗の子葉が干渉する直前で減速されて移送行程の終端部で低速となり、該移送行程の終端部で方向修正部材14及び副整列部材46が苗の子葉と干渉することによってその子葉展開方向が移送方向に揃えられ、この方向規制された苗が前処理部3,4と接着処理部7とにより台木または穂木と接着されて接木苗が製造される。
よって、移送機構13の移送行程上で方向修正部材14及び副整列部材46が苗の子葉と干渉することによってその子葉展開方向が移送方向に揃えられるが、移送機構13により遅い速度で方向修正部材14に苗の子葉が干渉することになり、方向修正部材14に苗の子葉が勢いよく当たって苗の胚軸が回転し過ぎるようなことが抑えられ、前処理部3,4へ苗を適正な向きで精度良く安定して供給できる。従って、上記接木苗製造装置により、苗はその配置方向を規制されつつ受渡し位置まで移送されることから、以降の前処理部3,4と接着処理部7とによる接ぎ木処理精度が確保されて煩わしい人手作業を要することなく能率良く接木処理するごとができる。また、移送機構13の移送速度が移送終端部の直前で減速される構成とし、次の苗を取りにいく移送機構13の戻り行程と移送機構13による苗の移送経路の大部分(減速されるまでの大部分)とでは把持ハンド12が高速で移送されるため、接木苗製造における作業能率が向上する。
また、方向修正部材14及び副整列部材46を移送機構13による移送終端部に設けているので、方向修正部材14及び副整列部材46で苗の子葉展開方向を修正した後、移送機構13による苗の横方向への移送で苗の子葉展開方向がずれるようなことがなく、苗の子葉展開方向を精度良く揃えることができる。
尚、図39から図41に示すように、前記副整列部材46を、移送機構13の移送方向(左右方向)へ向く平面状の板材で構成してもよい。このとき、移送機構13の移送終端部に移送された苗の胚軸からの距離lが苗の子葉の長さaより短くて子葉の幅bの2分の1と同等かそれより長くなるように副整列部材46の位置を設定すると、前後方向に向く子葉のみが副整列部材46に当たって子葉の向きを所望の左右方向へ向く状態に修正できる。尚、図41に示すように、この副整列部材46の平面状の板材を移送機構13の移送上手側(左側)ほど苗から離れる側(後側)となるように若干斜めに配置すると、移送機構13で移送される苗が副整列部材46の端部にひっかかるようなことを防止でき、苗を円滑に移送することができる。
尚、上述では苗の子葉展開方向を精度良く揃えるためにローラで構成される方向修正部材14と板材で構成される副整列部材46とを共に設けた構成としたが、何れか一方のみを設けて苗の子葉展開方向を変更する構成としてもよい。尚、副整列部材46のみを設けた場合は、該副整列部材46が苗の子葉と干渉してその子葉展開方向を移送方向に合わせる方向修正部材となる。
また、上述では主整列部材16と副整列部材46とを対向して複数設けた構成としたが、例えば主整列部材16のみを設ける等、一方の整列部材を設けた構成としてもよい。このとき、把持ハンド12の1往復につき苗の子葉が整列部材16に半分の1回しか接当しないので、把持ハンド12を2倍の4往復作動させて苗の子葉が整列部材16に4回接当させる構成とすればよい。このように把持ハンド12を進退機構12bにより複数回往復作動させる際、伸長位置センサが検出するまで進退用シリンダを伸長させて苗を整列部材16へ接当させるが、戻り行程では、収縮位置センサが検出する手前で進退用シリンダの収縮作動を停止させるべく、タイマにより所定時間だけ進退用シリンダを作動させて停止し、再度進退用シリンダを伸長させて2回目以降の苗の整列部材16への接当を行わせる構成とすることができる。これにより、進退用シリンダの収縮作動及び再度苗を整列部材16に当てるべく進退用シリンダを伸長させる伸長作動において、これらの作動距離並びに作動時間を短縮することができ、所定回数の苗の整列動作に対してこの整列行程の時間短縮が図れ、苗供給作業ひいては接木苗製造作業の作業能率向上が図れる。
図42に示すように、把持ハンド12のハンド機構21,22における左右一方の開閉アーム21a,22aのみの把持面を、該開閉アーム21a,22aが閉じた状態で平面視で斜めになるように設定してもよい。これにより、断面が楕円形状である胚軸Aを把持するとき、該楕円形状の長軸が前後方向に向くように胚軸Aの向きが修正され、該楕円形状の短軸方向に広がる子葉を左右方向に向けることができる。従って、この把持ハンド12が、苗の子葉展開方向を移送方向に合わせるための方向修正部材の一種となる。また、左右一対の開閉アーム21a,22aを閉じた後、該左右一対の開閉アーム21a,22aを互いに前後逆方向に摺動させて苗の胚軸Aの回転を促し、断面の楕円形状の長軸が前後方向に向くように胚軸Aの向きを修正することも考えられる。この場合は、胚軸Aがスムーズに回転できるように、左右一対の開閉アーム21a,22aの把持面を前後方向に向く平面とすることが望ましい。
尚、苗を育苗するべくセルトレイのセルに播種する際、所望の方向に苗の子葉が展開するように予め播種される種子の向きを設定すれば、取込部2で苗の子葉展開方向を揃える作業が円滑に行える。具体的には、楕円形の種子の長径方向がセルトレイの長手方向(前後方向)に向くように種子の向きを揃えて播種すれば、育苗される苗の子葉展開方向はセルトレイの長手方向(前後方向)になり、何れの苗も方向修正部材14又は副整列部材46で苗の胚軸を約90度回転させて子葉展開方向を揃えることになり、苗の子葉が方向修正部材14又は副整列部材46に確実に当たって修正されるため、苗の子葉展開方向が精度良く適正に修正できる。あるいは、楕円形の種子の長径方向がセルトレイの短手方向(左右方向)に向くように種子の向きを揃えて播種し、育苗される苗の子葉展開方向をセルトレイの短手方向(左右方向)へ向け、方向修正部材14又は副整列部材46による苗の胚軸の回転角度を小さくし、子葉展開方向の修正の円滑化を図ることもできる。いずれにしても、育苗される苗の子葉展開方向を所望の向きに設定できるので、取込部2で苗の子葉展開方向を揃える作業が円滑に行えるのである。尚、所望の方向に播種する手段としては、播種機の種子整列板を振動させて長径方向が所定の方向に向くように種子を揃え、その種子を種子吸着ノズルにより吸着する等して種子の向きが勝手に変わらないようにセルトレイへ播種することが考えられる。
尚、穂木側の受渡保持機構15の上段ハンド機構31の直ぐ上側には、苗の胚軸を案内するV字状の案内溝150を備える案内板151を備えている。前記案内溝150の終端部に苗の胚軸が供給されたことを検出する光電センサである苗検出センサ152を設け、該苗検出センサ152が苗を検出することにより受渡保持機構15の上段ハンド機構31及び中段ハンド機構32が閉じて苗を把持する。しかしながら、苗の胚軸が曲がっていたりすると、案内溝150の終端部に苗の胚軸が供給されなくて苗検出センサ152で苗の胚軸を検出できないおそれがある。そこで、把持ハンド12の上段のハンド機構21に苗を押し込むための押込板153を設け、進退機構12bの進出動作で押込板153により苗の胚軸を前記案内溝150側に押し込む構成となっている。また、押込板153の端面となる押込面154は、案内溝150と略略合うV字形状となっており、苗の胚軸を案内溝150の終端部に確実に供給できるようにしている。尚、押込板151は、少なくとも押込面154部分が透明となっており、苗検出センサ152により誤検出しないように構成している。
苗検出センサ152の苗の検出により受渡保持機構15が苗を把持するが、その後の接木ロボット本体laによる接木行程開始時に再度苗検出センサ152により苗を検出したら接木行程を開始する構成となっている。接木行程開始時に苗検出センサ152が苗を検出しない場合は、受渡保持機構15の上段ハンド機構31及び中段ハンド機構32を開くと共に、ランプ表示等により苗が無いことを告知し、接木行程への移行を中断する。これにより、把持ハンド12で受渡保持機構15へ一度供給された苗が、把持ハンド12につきまわることにより受渡保持機構15に適正に供給されていない状態で、接木行程を開始することによる他方側となる台木苗又は穂木苗を無駄にするようなことを防止できる。また、人手により直接受渡保持機構15へ苗を供給する場合は、作業者のためらいで適正な状態で苗を供給していないまま接木行程を開始することによる他方側となる台木苗又は穂木苗を無駄にするようなことを防止できる。接木行程開始時に苗検出センサ152により再度苗を検出するタイミングは、受渡保持機構15が苗を把持するときの苗検出センサ152の苗の検出から所定時間後とすればよいが、この所定時間は、各装置の動作速度や苗の状態や作業者の作業タイミング等に応じて適宜変更調節できる構成とすればよい。
接木ロボット本体laの台木前処理部3、穂木前処理部4及び接着処理部7を覆う安全カバー154を設けている。この安全カバー154を上側へ回動させて開くことにより、台木前処理部3、穂木前処理部4及び接着処理部7のメンテナンスを行える。このメンテナンス作業時に作業者が操作パネルlpを誤って操作し、接木苗製造装置1が作動すると危険である。そこで、少なくとも一部が開いた安全カバー154と重合する位置に操作パネル1pを配置し、安全カバー154を開いた状態では操作パネル1pの操作スイッチ155が操作できないようにすれば、安全性の向上が図れる。図例では、通常モードでは、開いた安全カバー154が、操作パネル1pの前面の操作スイッチ155が配置された右側部に位置する構成としている。尚、接木苗製造装置1の各部を作動させながらメンテナンス作業を行いたい場合は、操作パネル1pをメンテナンス用スイッチに長押しによりメンテナンスモードに切り替えると、操作スイッチ155が操作パネル1pの左側部すなわち安全カバー154と重合しない位置に切り替わり、安全カバー154を開いた状態でも操作スイッチ155を操作できる構成としている。このメンテナンス時の操作スイッチ155による作動は、各部の1ステップごとの動作のみであり、通常モード時に比べて制限される。この場合の操作パネル1pは、液晶表示のパネルである。
接木された苗は、高湿度の養生庫内で養生される。養生庫内には照明装置を備え、該照明装置の照明により苗の光合成を促す。照明装置の照度は、インバータを使用する調光ダイヤル等の照度調節装置により変更調節できる。従って、照明により穂木の葉面が乾燥しない程度に照度を設定でき、苗の萎れを防止して苗質の向上を図りながら光合成を促すことができ、入庫時から照明を当てることができ、入庫期間の短縮が図れる。従来は、入庫1日目は、苗を乾燥させないために照明をOFFにし、その分光合成が遅れて入庫期間が延長されていた。尚、照度調節装置による照度が自動的に設定されるようにしてもよい。すなわち、養生庫内で4日間で養生する場合、例えば1日目は照度25%、2日目は照度50%、3日目は照度75%、4日目は照度100%というように、徐々に照度を上げていき、養生後の育苗の順化効果を向上させることができる。
121:走行装置、123:制御ボックス、124:振動装置、125:撮影装置、133:受粉ロボット、136:収穫装置
Claims (6)
- 花に振動を与えて受粉処理を行う振動装置(124)を設けた受粉ロボット。
- 走行装置(121)と、正常花と未形花を識別する識別装置(125)を設けた請求項1に記載の受粉ロボット。
- 識別装置(125)で正常花と識別した花にのみ振動を与えるべく振動装置(124)を制御する制御装置を設けた請求項2に記載の受粉ロボット。
- 既に受粉処理を行った位置を記憶する受粉済位置記憶装置を設けた請求項1から請求項3の何れか1項に記載の受粉ロボット。
- 受粉済位置記憶装置で既に受粉処理を行った位置を除いて受粉処理を行うべく制御する制御装置を設けた請求項4に記載の受粉ロボット。
- 果実を収穫する収穫装置(136)を設けた請求項1から請求項5の何れか1項に記載の受粉ロボット。
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