以下に、本発明ディスクカートリッジの実施の形態を添付図面に従って説明する。
以下の説明にあっては、ディスクカートリッジをディスクチェンジャーのカートリッジ挿脱口から挿入する方向を前方として前後上下左右の方向を示すものとする。
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
[全体構成]
ディスクカートリッジ1はケース体2の内部に所要の各部が配置されて成り、ケース体2は第1のシェル3と第2のシェル4を有している。ケース体2の内部には複数のディスク状記録媒体100、100、・・・が上下方向に等間隔で収納可能とされている。
第1のシェル3と第2のシェル4は、例えば、上下方向において結合又は分離可能とされている(図1乃至図3参照)。尚、ケース体2が縦長の状態とされている場合には、第1のシェル3と第2のシェル4は、左右方向において結合又は分離される。
第1のシェル3は樹脂材料によって形成され、ベース体5と該ベース体5の後端部に取り付けられた補助ベース6とが上下方向において結合されて成る。
ベース体5は、図4及び図5に示すように、上下方向を向くベース面部7と該ベース面部7の左右両端部からそれぞれ下方へ突出されたサイド面部8、8とベース面部7の後端部から下方へ突出されたリア面部9とベース面部7の下面側における後端部に設けられた補強部10とを有している。
ベース面部7の中央部には下方へ突出された丸軸状のセンターピン11が設けられている。ベース面部7の前端部には下方へ突出されたネジ止めボス12、12が左右に離隔して設けられている。
ベース面部7の前端寄りの位置には下方へ突出された支持軸13、13が左右に離隔して設けられ、支持軸13、13はそれぞれ上端部がバネ支持部13a、13aとして設けられ、上端部以外の部分がバネ支持部13a、13aより径の小さいレバー支持部13b、13bとして設けられている。ベース面部7の下面における支持軸13、13の近傍の位置には、それぞれバネ掛け突部14、14が設けられている。
サイド面部8、8の後端寄りの位置には、それぞれ下方に開口された支持凹部8a、8aが形成されている。
補強部10は、前方側に位置し水平方向を向く外壁15と、外壁15とサイド面部8、8の後端部とリア面部9によって囲まれた領域に設けられた複数の仕切壁16、16、・・・とから成り、下方に開口されている。仕切壁16、16、・・・は各端部がベース面部7、サイド面部8、8、リア面部9又は外壁15に連続して設けられている。
外壁15は左右両端部がそれぞれ前方を向く平面部15a、15aとして設けられ平面部15a、15a間の部分が前方に凹の緩やかな円弧状に形成された規制部15bとして設けられている。規制部15bの曲率はディスク状記録媒体100の外周面の曲率と同じにされている。
補強部10には規制部15bの左右両側にそれぞれ前方及び下方に開口された凹部10a、10aが形成されている。
仕切壁16、16、・・・は、例えば、正六角形状又はその一部の形状に形成されている。但し、仕切壁16、16、・・・の形状は正六角形状又はその一部に限られることはなく、内部に空間が生じる形状であれば任意である。
補助ベース6は横長の底面板17と底面板17の左右両端部からそれぞれ上方へ突出された側面板18、18と底面板17の後端部から上方へ突出された後面板19と底面板17の前端部から上方へ突出された前面板20とを有し、上方に開口されている。補助ベース6は補強部10と同様に第1のシェル3を補強し第1のシェル3の強度を高める補強部として機能する。
底面板17の後端部における下面側には浅い凹状部17aが形成されている。
前面板20は左右両端部がそれぞれ前方を向く平面部20a、20aとして設けられ平面部20a、20a間の部分が前方に凹の緩やかな円弧状に形成された規制部20bとして設けられている。前面部20は第1のシェル3のベース体5における補助部10の外壁15と同じ大きさ及び形状に形成されている。
補助ベース6には規制部20bの左右両側にそれぞれ前方及び上方に開口された凹部6a、6aが形成されている。補助ベース6の左右両端部にはそれぞれ上方に開口された支持凹部6b、6bが形成されている。補助ベース6の左右両端部における下端部にはそれぞれ側方及び下方に開口された溝状の把持部6c、6cが形成されている。
補助ベース6の内部には複数の仕切壁6d、6d、・・・が設けられている。仕切壁6d、6d、・・・は底面板17、側面板18、18、後面板19及び前面板20に連続して設けられ、補強部10の仕切壁16、16、・・・と同じ大きさ及び形状に形成されている。
補助ベース6はベース体5にネジ止め等によって取り付けられる。補助ベース6がベース体5に取り付けられた状態においては、仕切壁16、16、・・・と仕切壁6d、6d、・・・が重ね合わされ、内部に複数の空間が形成される。また、ベース体5の支持凹部8a、8aと補助ベース6の支持凹部6b、6bとがそれぞれ上下に対応して位置されてそれぞれスライダー支持部3a、3aが形成される(図2及び図3参照)。さらに、ベース体5の凹部10a、10aと補助ベース6の凹部6a、6aとがそれぞれ上下に対応して位置されてそれぞれ挿入凹部3b、3bが形成される。さらにまた、ベース体5の外壁15と補助ベース6の前面板20が重ね合わされる。
第1のシェル3の支持軸13、13にはそれぞれロックレバー21、21が回動自在に支持される(図3乃至図5参照)。
ロックレバー21は、図6及び図7に示すように、支持軸13が挿入されて支持される円筒状の被支持部22と、被支持部22の略上半部から略前方へ突出されたロック部23と、被支持部22の略下半部から斜め前方へ突出されたロック解除部24と、被支持部22から略後方へ突出されたバランス部25とから成る。
ロック部23は外周面(前方側の面)が被支持部22の中心軸を中心とした円弧面状に形成され、先端部に側方へ突出されたロック用突部23aを有している。ロック用突部23aは先端に行くに従って外形が小さくなる先細りの形状に形成されている。ロック部23にはロック用突部23aの上面に上方へ突出された突状部26が設けられている。突状部26はロック用突部23aの先端から遠去かるに従って上方へ変位するように傾斜された摺接面26aを有している。
ロック部23には上方へ突出されたバネ支持突部23bが設けられている。
ロック解除部24の先端部には挿入用突部27が設けられている。挿入用突部27は横長の略板状に形成され、先端面が前後方向に対して左右方向へ傾斜された傾斜面27aとして形成されている。挿入用突部27の左右の側面27b、27bはそれぞれ被支持部22の中心軸を中心とした円弧面状に形成されている。
バランス部25は被支持部22から後方へ突出された突部28と突部28の先端部から上下に突出された規制用突部29とから成る。規制用突部29の後面はディスク状記録媒体100の外周面に沿う円弧面状に形成された規制面29aとして形成されている。
ロックレバー21、21はそれぞれ被支持部22、22に支持軸13、13のレバー支持部13b、13bが挿入され支持軸13、13の各中心軸を中心として回動可能とされる(図8参照)。ロックレバー21、21が支持軸13、13に支持された状態において、ロックレバー21、21は付勢バネ30、30によってロック部23、23のロック用突部23a、23aがそれぞれサイド面部8、8に近付く方向へ付勢される。
付勢バネ30は、例えば、捩じりコイルバネであり、コイル部30aとコイル部30aからそれぞれ突出された一対の腕部30b、30cとから成る。付勢バネ30は、コイル部30aが支持軸13のバネ支持部13aに支持され、一方の腕部30bが第1のシェル3のベース面部7に設けられたバネ掛け突部14に係合され、他方の腕部30cがロックレバー21のロック部23に設けられたバネ支持突部23bに係合される。
第1のシェル3のスライダー支持部3a、3aにはそれぞれロックスライダー31、31が前後方向へスライド自在に支持される(図3乃至図5参照)。
ロックスライダー31は、図9に示すように、前後に延びる被支持部32と被支持部32の前端部を除く部分から内方へ突出されたロック部33とロック部33の後面から後方へ突出されたバネ支持軸部34とから成る。ロック部33の前端寄りの位置における上面には上方へ突出された突状部35が設けられている。突状部35は後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜された摺接面35aを有している。
ロックスライダー31、31は被支持部32、32がそれぞれ第1のシェル3のスライダー支持部3a、3aにスライド自在に支持され、バネ支持軸部34、34にそれぞれコイルバネ36、36が支持される。コイルバネ36は両端がそれぞれロック部33の後面とスライダー支持部3aを形成する後面とに接する。従って、ロックスライダー31はコイルバネ36によって前方へ付勢される。
第1のシェル3の前端部には開閉パネル37がネジ止めによって取り付けられている(図1乃至図3参照)。開閉パネル37は、図4及び図5に示すように、前後方向を向く横長の矩形の板状に形成されたパネル部38とパネル部38の後面における下端部から後方へ突出された被取付突部39、39とパネル部38の後面に設けられたネジ止め部40、40とパネル部38の後面から後方へ突出された挿入部41、41とを有している。
パネル部38の後面には後方に開口された挿入用凹部38a、38aが左右に離隔して形成されている。挿入用凹部38a、38aは円弧状の凹部として形成されている。パネル部38の左右両端部にはそれぞれ外方に開口された挿入用切欠38b、38bが形成されている。
被取付突部39、39は左右に離隔して設けられ、ネジ止め部40、40はそれぞれ被取付突部39、39の内側において左右に離隔して設けられ、挿入部41、41はそれぞれ被取付突部39、39の上側に設けられている。
挿入部41は上下方向から見て三角形状に形成され、先端面が外側から内側へ行くに従ってパネル部38に近付く斜面41aとして形成されている。
開閉パネル37には左右に離隔して挿入孔37a、37aが形成されている。挿入孔37a、37aはパネル部38と挿入部41、41に亘って形成されている。
開閉パネル37は、被取付突部39、39の先端部がそれぞれベース面部7に設けられた支持軸13、13の下面にネジ止めされ、ネジ止め部40、40がそれぞれベース面部7に設けられたネジ止めボス12、12の下面にネジ止めされ、第1のシェル3に取り付けられる。
開閉パネル37が第1のシェル3に取り付けられた状態においては、被取付突部39、39がそれぞれ支持軸13、13の下方においてネジ止めされており、支持軸13、13に支持されたロックレバー21、21及び付勢バネ30、30の支持軸13、13からの脱落が防止される。被取付突部39、39がそれぞれ支持軸13、13の下方においてネジ止めされて取り付けられた状態においては、ロックレバー21、21におけるロック部23、23の下面に被取付突部39、39の上面が近接して位置される。
開閉パネル37が第1のシェル3に取り付けられた状態において、挿入孔37a、37aの真後ろにそれぞれロックレバー21、21のロック解除部24、24が位置される。
第2のシェル4は樹脂材料によって形成され、上下方向を向く基面部42と基面部42の左右両端部からそれぞれ上方へ突出された側面部43、43が一体に形成されて成る(図3、図5及び図10参照)。
基面部42の左右方向における中央部は他の部分より僅かに厚みが薄くされた薄肉部42aとして設けられている。薄肉部42aは上方に凹の段差面として形成されている。
側面部43は外側壁部44と外側壁部44の内側に位置する内側壁部45とから成り、外側壁部44と内側壁部45の間には前後に離隔する複数の一定の隙間が形成されている。
外側壁部44は高さが内側壁部45の高さの略半分にされ、上面が内側壁部45の上面より低くされている。
内側壁部45は前後に延びる直線部46と直線部46の後端寄りの位置に連続し後方へ行くに従って内側へ変位する円弧状に形成された円弧部47とを有している。
内側壁部45の前端部には前方に開口され左右に貫通された第1のロック用凹部45aが形成されている。内側壁部45の直線部46における後端寄りの位置には後方及び外方に開口された第2のロック用凹部45bが形成されている。
内側壁部45の後端寄りの位置には上方に開口された取付穴45cが形成されている。内側壁部45の上面には取付穴45cの周囲の部分に他の部分より僅かに高さが低くされた段差面45dが形成されている。
内側壁部45の直線部46の外面には前後に離隔し上下に延びるリブ46a、46a、・・・が設けられ、リブ46a、46a、・・・の外面がそれぞれ外側壁部44の内面に連続されている。内側壁部45の後端部は後方へ突出された挿入部45fとして設けられている。
内側壁部45の内面には保持溝45e、45e、・・・が形成され、保持溝45e、45e、・・・は上下方向において等間隔に離隔して位置されている。
一方の内側壁部45にはバネ取付凹部48が形成されている。バネ取付凹部48は上方に開口された挿入取付部48aと上方及び直線部46の内面に開口された突出用凹部48bとから成り、突出用凹部48bは挿入取付部48aの後端部に連通されている。
バネ取付凹部48には押さえバネ49が挿入されて取り付けられている(図2及び図4参照)。押さえバネ49は、図10に示すように、縦長の板状の被取付部49aと被取付部49aの後縁から突出されたバネ部49b、49b、・・・とが金属材料によって一体に形成されて成る。バネ部49b、49b、・・・は保持溝45e、45e、・・・の上下の間隔と同じ間隔で上下方向において等間隔に離隔して設けられ、保持溝45e、45e、・・・と同数が設けられている。
押さえバネ49は被取付部49aが挿入取付部48aに挿入されバネ部49b、49b、・・・が突出用凹部48bに挿入されてバネ取付部48に取り付けられる。押さえバネ49がバネ取付部48に取り付けられた状態においては、バネ部49b、49b、・・・の先端部が直線部46の内側に突出される。
第2のシェル4の側面部43、43間にはブリッジ部材50が取り付けられる(図2及び図10参照)。
ブリッジ部材50は板状の金属材料が所定の形状に折り曲げられて形成され、左右に延びる架け渡し部50aと架け渡し部50aの左右両端部からそれぞれ下方へ折り曲げられて形成された折曲部50b、50bと折曲部50b、50bの下縁からそれぞれ外方へ折り曲げられて形成された被取付面部50c、50cとから成る。
ブリッジ部材50は架け渡し部50aの厚みが第2のシェル4の内側壁部45、45に形成された段差面45d、45dの深さと同じにされている。
ブリッジ部材50は折曲部50b、50bと被取付面部50c、50cがそれぞれ内側壁部45、45の取付穴45c、45cに挿入され被取付面部50c、50cがネジ止め等によって第2のシェル4に取り付けられる。ブリッジ部材50が第2のシェル4に取り付けられた状態においては、図11及び図12に示すように、架け渡し部50aの左右両端部がそれぞれ内側壁部45、45の段差面45d、45dに配置され、架け渡し部50aの上面と内側壁部45、45の段差面45d、45d以外の部分の上面とが同一平面上に位置される。
上記したように、第2のシェル4は基面部42の左右方向における中央部に薄肉部42aを有し、側面部43、43間にブリッジ部材50が取り付けられている。
このように基面部42の左右方向における中央部に薄肉部42aを設けることにより、基面部42の薄肉部42a以外の部分の高い強度が確保され変形が生じ難く薄肉部42aに応力が集中し易いが、ブリッジ部材50によって側面部43、43を連結しているため、第2のシェル4の全体としての高い強度を確保することができる。
また、ブリッジ部材50によって側面部43、43を連結しているため、側面部43、43間の距離が一定に保持され、側面部43、43に形成された保持溝45e、45e、・・・の位置精度が向上する。従って、保持溝45e、45e、・・・に保持されるディスク状記録媒体100、100、・・・の位置精度が向上し、ディスク状記録媒体100、100、・・・の良好な保持状態を確保することができる。
さらに、第2のシェル4が樹脂材料によって形成され、ブリッジ部材50が金属材料によって形成されている。従って、第2のシェル4の成形性の向上を図ることができると共に第2のシェル4の全体としての強度の一層の向上及び側面部43、43の位置精度の一層の向上を図ることができる。
さらにまた、ブリッジ部材50は架け渡し部50aと架け渡し部50aの左右両端部から直交する同じ方向へ突出された一対の折曲部50b、50bとを設けている。従って、ブリッジ部材50の強度の向上が図られ、第2のシェル4の全体としての一層の強度の向上及び側面部43、43の位置精度の一層の向上を図ることができる。
加えて、ブリッジ部材50の架け渡し部50aの上面と側面部43、43の上面とが同一平面上に位置するようにブリッジ部材50が取り付けられているため、側面部43、43がそれぞれ架け渡し部50aの左右両端面に内方から押さえられる(図12参照)。従って、側面部43、43の位置精度の一層の向上を図ることができる。
また、ブリッジ部材50の架け渡し部50aの上面と側面部43、43の上面とが同一平面上に位置するようにブリッジ部材50が取り付けられていることにより、ディスクカートリッジ1の上下方向における薄型化を図ることができる。
上記には、基面部42の左右方向における中央部に段差を形成して薄肉部42aを設けた例を示したが、薄肉部はこのような形状に限られることはない。例えば、図13に示すように、基面部42Aの中央に行くに従って厚みを薄くして薄肉部42bを形成してもよく、また、図14に示すように、基面部42Bの左右両側の部分を中央に行くに従って厚みを薄くし中央部の厚みを一定にして薄肉部42cを形成してもよい。
以上のように構成されたディスクカートリッジ1において、ディスク状記録媒体100、100、・・・がケース体2の内部に保持される(図2参照)。ディスク状記録媒体100は第1のシェル3と第2のシェル4が分離された状態において、外周部が第2のシェル4の側面部43、43に形成された保持溝45e、45eに前方から挿入されケース体2の内部に保持される。従って、第2のシェル4の前端に位置する開口はディスク状記録媒体100、100、・・・の第2のシェル4に対する挿入及び取出が行われるディスク挿脱口4aとして形成される。
第1のシェル3と第2のシェル4が結合され第1のシェル3に開閉パネル37が取り付けられてケース体2が構成された状態においては、第1のシェル3におけるサイド面部8、8の下面と第2のシェル4における外側壁部44、44の上面との間にそれぞれ前後に延びる挿入溝2a、2aが形成される(図1参照)。挿入溝2a、2aは、後端がそれぞれ第1のシェル3のスライダー支持部3a、3aに連続され、前端がそれぞれ開閉パネル37のパネル部38に形成された挿入用切欠38b、38bに連続される。
上記のようにケース体2が構成された状態においては、第2のシェル4の内側壁部45、45に設けられたリブ46a、46a、・・・の外面が第1のシェル3のサイド面部8、8の内面にそれぞれ接した状態とされる。従って、内側壁部45、45とサイド面部8、8とが面接触されておらず、第1のシェル3に側方から負荷が付与されたときに内側壁部45、45に伝達される負荷が軽減され、耐衝撃性の向上を図ることができる。
[ディスクカートリッジの結合動作及び分離動作]
以下に、ディスクカートリッジ1の結合動作及び分離動作について説明する(図15乃至図27参照)。
先ず、第1のシェル3と第2のシェル4が結合されている状態について説明する(図15及び図16参照)。
第1のシェル3と第2のシェル4はベース体5のベース面部7と基面部42が上下で対向した状態で結合されている。
第1のシェル3と第2のシェル4が結合された状態においては、ロックレバー21、21及びロックスライダー31、31によって第1のシェル3と第2のシェル4がロックされている。
ロックレバー21、21は付勢バネ30、30の付勢力によってロック部23、23の先端部が互いに離隔する方向(外方)における回動端に位置され(図15参照)、ロック部23、23が第2のシェル4の側面部43、43にそれぞれ形成された第1のロック用凹部45a、45aに挿入されて係合されている。このとき第1のロック用凹部45a、45aはロック部23、23によって隙間なく閉塞されている。
ロックスライダー31、31はコイルバネ36、36の付勢力によって前方の移動端に位置され(図15及び図16参照)、ロック部33、33が第2のシェル4の側面部43、43に形成された第2のロック用凹部45b、45bに挿入されて係合されている。
上記のように第1のシェル3と第2のシェル4が結合されてロックされディスク状記録媒体100、100、・・・がケース体2の内部に保持された状態においては、ディスク状記録媒体100、100、・・・の外周面の一部に押さえバネ49のバネ部49b、49b、・・・がそれぞれ接して押さえられている(図15参照)。このとき保持溝45e、45e、・・・のうち、側面部43、43の円弧面部47、47にそれぞれ形成された部分にディスク状記録媒体100、100、・・・の外周面における他の部分が押し付けられディスク状記録媒体100、100、・・・がケース体2の内部において正規の位置に位置決めされている。
ディスク状記録媒体100、100、・・・が正規の位置に位置決めされた状態においては、第1のシェル3の補強部10に設けられた外壁15の規制部15b又は補助ベース6に設けられた前面板20の規制部20bがディスク状記録媒体100の外周面のうちの後端側の部分に近接して位置されている。また、ロックレバー21、21のバランス部25、25にそれぞれ形成された規制面29a、29aがディスク状記録媒体100の外周面のうちの前端寄りの部分に近接して位置されている。
従って、ディスクカートリッジ1に振動や衝撃が付与されてディスク状記録媒体100、100、・・・が位置決めされた位置から変位してしまった場合にも、規制部15b、規制部20b又は規制面29a、29aによってディスク状記録媒体100、100、・・・の位置が規制され位置決めされた状態が保持される。
また、第1のシェル3と第2のシェル4が結合された状態において、ロックレバー21、21のロック解除部24、24はそれぞれ付勢バネ30、30の付勢力によって開閉パネル37の挿入部41、41の斜面41a、41aに後方から押し付けられている。このとき挿入用突部27、27がそれぞれ開閉パネル37の挿入孔37a、37aに後方から挿入されている。
このようにディスクカートリッジ1にあっては、ロックレバー21、21の挿入用突部27、27がそれぞれ開閉パネル37の挿入孔37a、37aに挿入されているため、ケース体2の内部に外部から塵埃や水分が侵入し難くケース体2の密閉性が高く、ディスク状記録媒体100、100、・・・に記録されたデーターの良好な保存状態を確保することができる。
また、挿入用突部27、27の左右の側面27b、27bがそれぞれ被支持部22、22の中心軸を中心とした円弧状に形成されているため、ロックレバー21、21の回動時において挿入用突部27、27の挿入孔37a、37aに対する円滑な挿入動作及び引出動作を行うことができる。さらに、側面27b、27bが被支持部22、22の中心軸を中心とした円弧状に形成されているため、挿入用突部27、27が挿入孔37a、37aに挿入された状態において、ロックレバー21、21の回動位置に拘わらずケース体2の良好な密閉性を確保することができる。
尚、挿入用突部27、27は、図17に示すように、先端に行くに従って外形が小さくなる先細りの形状に形成されていてもよい。挿入用突部27、27を先細りの形状に形成することにより、挿入用突部27、27の外周面がそれぞれ挿入孔37a、37aの後側開口縁に密着し易くなり、ケース体2の内部における密閉性の一層の向上を図ることができる。
さらに、ディスクカートリッジ1にあっては、第1のシェル3と第2のシェル4が結合された状態において、ロックレバー21、21におけるロック部23、23のロック用突部23a、23aが第2のシェル4の側面部43、43に形成された第1のロック用凹部45a、45aに挿入され第1のロック用凹部45a、45aがロック用突部23a、23aによって閉塞される。
従って、ケース体2の内部における密閉性の一層の向上を図ることができる。
加えて、ロック部23、23のロック用突部23a、23aが先細りの形状に形成されているため、ロック用突部23a、23aがそれぞれ第1のロック用凹部45a、45aの開口縁に密着し易くなり、ケース体2の内部における密閉性の一層の向上を図ることができる。
尚、ロックレバー21、21をそれぞれ支持軸13、13の軸方向に移動可能とし、開閉パネル37の挿入用凹部38a、38aを形成する上下両面に案内面として傾斜面を形成することが望ましい。このように構成することにより、ロックレバー21、21の挿入用凹部38a、38aに対する挿入性の向上を図ることができる。
第1のシェル3と第2のシェル4が結合された状態においては、ディスク状記録媒体100、100、・・は中心孔100a、100a、・・・に第1のシェル3に設けられたセンターピン11が挿入される。このときディスク状記録媒体100、100、・・・の前端には開閉パネル37のパネル部38における内面が近接して位置されている。
ディスクカートリッジ1にあっては、以下のような寸法関係が設定されている(図18参照)。尚、図18は、以下の説明を容易にするために、ディスク状記録媒体100がセンターピン11に後方へ押し付けられたときの状態を示す概念図である。
センターピン11の直径D1とディスク状記録媒体100の中心孔100aの直径D2との差をAとし、ロックレバー21、21のロック解除部24、24にそれぞれ設けられた規制面29a、29aを延長した円の直径D3とディスク状記録媒体100の直径D4との差をBとし、ディスク状記録媒体100がセンターピン11に後方へ押し付けられたときのディスク状記録媒体100の外周面と開閉パネル37の内面との差をCとする。
このときディスクカートリッジ1にあっては、C>A>Bとなるような寸法関係が設定されている。
従って、ディスク状記録媒体100が正規の位置(図15参照)に位置決めされた状態に対して位置ずれが生じた場合においては、最も距離の差が小さいBによってディスク状記録媒体100の外周面がロック解除部24、24の規制面29a、29aに接して位置が規制される。
また、ディスクカートリッジ1に対して大きな衝撃等が付与され大きな位置ずれやディスクカートリッジ1又はディスク状記録媒体100の変形等が生じた場合にあっても、Cより距離の差が小さいAによってセンターピン11にディスク状記録媒体100の内周面が接してディスク状記録媒体100の位置が規制される。
このようにディスク状記録媒体100の位置ずれが生じた場合には、規制面29a、29aによってディスク状記録媒体100の位置が規制され、又は、センターピン11によってディスク状記録媒体100の位置が規制され、ディスク状記録媒体100の外周面が開閉パネル37におけるパネル部38の内面に接することがない。
従って、第1のシェル3が第2のシェル4に対して上方へ移動され第1のシェル3と第2のシェル4が分離されるときに、パネル部38がディスク状記録媒体100の外周面に摺接することがなく、ディスク状記録媒体100の損傷や破損の発生を防止することができる。
また、ディスクカートリッジ1にあっては、第1のシェル3と第2のシェル4をロックするロックレバー21に被支持部22とロック部23とロック解除部24の他にバランス部25を設け、バランス部25を設けることによりロックレバー21の重心が被支持部22の中心又はその近傍に位置されるようにしている。
従って、ケース体2に大きな衝撃が付与されたとき、例えば、ディスクカートリッジ1が誤って落下したときに、衝撃によってロックレバー21、21が回動され難く、結合状態におけるロックの解除が防止される。このように大きな衝撃が付与されたときにおいても、意図しないロックの解除が防止されるため、内部に収納されているディスク状記録媒体100の損傷やディスク状記録媒体100のケース体2からの飛出が発生せず、ディスク状記録媒体100に記録されているデーターを良好に保存することができる。
また、ロックレバー21の重心が被支持部22の中心又はその近傍に位置されるため、付勢バネ30、30に対する負荷を軽減することができる。尚、付勢バネ30、30に対する負荷は、ケース体2が縦長の状態とされディスク状記録媒体100、100、・・・が水平方向を向く向きで保存される場合においても、同様に軽減される。
さらに、ロックレバー21、21のバランス部25、25にそれぞれディスク状記録媒体100の位置を規制する規制面29a、29aを形成しているため、ディスク状記録媒体100の位置ずれを防止することができると共に部品点数の削減を図ることができる。
さらにまた、バランス部25、25の規制面29a、29aをディスク状記録媒体100の外周面に沿う円弧面状に形成しているため、ディスク状記録媒体100の位置決め精度の向上を図ることができる。
加えて、ディスクカートリッジ1にあっては、ケース体2にディスク状記録媒体100、100、・・・の中心孔100a、100a、・・・に挿入されてディスク状記録媒体100、100、・・・の位置を規制するセンターピン11を設けている。従って、第1のシェル3と第2のシェル4を結合したときに同時にディスク状記録媒体100、100、・・・の位置が規制され、ディスク状記録媒体100の位置規制を簡単かつ確実に行うことができる。
上記のように第1のシェル3と第2のシェル4が結合されロックされた状態においては、ロックレバー21、21のロック部23、23の一部がそれぞれ開閉パネル37のパネル部38に形成された挿入用凹部38a、38aに挿入されている(図15及び図17参照)。従って、ケース体2に大きな衝撃が付与されたとき、例えば、ディスクカートリッジ1が誤って落下したときに、ロック部23、23の移動が挿入用凹部38a、38aに規制されるため、ロックレバー21、21に倒れが生じ難く支持軸13、13の破損が防止され、ディスク状記録媒体100の損傷やディスク状記録媒体100のケース体2からの飛出が発生せず、ディスク状記録媒体100に記録されているデーターを良好に保存することができる。
また、ロックレバー21、21はパネル部38に挿入用凹部38a、38aが形成されている分、前方側に位置されているため、第2のシェル4の側面部43、43にそれぞれ形成された第1のロック用凹部45a、45aの前後方向における幅を小さくすることができる。従って、第2のシェル4のディスク挿脱口4aに対するディスク状記録媒体100の挿入時及び取出時におけるディスク状記録媒体100の脱落を防止することができる。
さらにまた、付勢バネ30、30は、コイル部30a、30aがそれぞれ支持軸13、13のベース面部7側に設けられたバネ支持部13a、13aに支持され、一方の腕部30b、30bがそれぞれベース面部7に設けられたバネ掛け突部14、14に支持され、他方の腕部30c、30cがそれぞれロックレバー21、21のベース面部7側に突出されたバネ支持突部23b、23bに支持されている。
従って、付勢バネ30、30の全ての部分がベース面部7に沿って配置され、ケース体2の内部のスペースの有効活用による小型化を図ることができる。
さらに、ディスクカートリッジ1にあっては、ロックレバー21、21がそれぞれ支持軸13、13に支持された状態において、開閉パネル37の被取付突部39、39がそれぞれ支持軸13、13に取り付けられている。
従って、被取付突部39、39によって支持軸13、13の倒れを防止することができる。
加えて、ディスクカートリッジ1にあっては、それぞれ支持軸13、13に取り付けられた被取付突部39、39がロックレバー21、21に対向し近接して位置されている。
従って、ロックレバー21、21及び付勢バネ30、30の支持軸13、13からの脱落を防止することができると共にロックレバー21、21の支持軸13、13の軸方向における移動を規制してロックレバー21、21の回動動作の適正化を図ることができる。
上記のように第1のシェル3と第2のシェル4が結合された状態において、例えば、ディスクカートリッジ1はディスクチェンジャーの図示しないカートリッジ挿脱口から挿入されディスクチェンジャーに設けられたロック解除機構70に保持される。
ロック解除機構70は、図19に示すように、例えば、上下方向を向く矩形の板状の保持ベース71に所要の各部が設けられて成る。
保持ベース71の前縁には下方へ突出され左右に離隔して位置する解除用押圧片72、72が設けられている。解除用押圧片72は保持ベース71に連続され前後方向を向く連結部72aと連結部72aの下縁から後方へ突出された押圧部72bとから成る。
保持ベース71の左右両側縁における後端寄りの位置にはそれぞれ下方へ突出されたロック解除片73、73が設けられている。ロック解除片73は保持ベース71に連続され左右方向を向く連結部73aと連結部73aの下縁から内方へ突出された解除部73bとから成る。
保持ベース71の左右両側縁における前端寄りの位置にはそれぞれ下方へ突出された補助片74、74が設けられている。補助片74は保持ベース71に連続され左右方向を向く連結部74aと連結部74aの下縁から内方へ突出された挿入部74bとから成る。
ディスクカートリッジ1が、図20に示すように、ディスクチェンジャーのカートリッジ挿脱口から挿入されていくと、ロック解除機構70における解除用押圧片73、73の解除部73b、73bと補助片74、74の挿入部74b、74bとがそれぞれ挿入溝2a、2aに挿入されていく。
さらにディスクカートリッジ1がカートリッジ挿脱口から挿入されていくと、ロック解除機構70における解除用押圧片72、72の押圧部72b、72bがそれぞれ開閉パネル37の挿入孔37a、37aに挿入される(図21及び図22参照)。
解除用押圧片72の押圧部72bが開閉パネル37の挿入孔37aに挿入されると、押圧部72bによってロックレバー21のロック解除部24における挿入用突部27が後方へ押圧される(図23及び図24参照)。このときロックレバー21は押圧部72bによって前後方向に対して左右方向へ傾斜された傾斜面27aが押圧されるため、傾斜面27aが押圧部72bに対して円滑に摺動されながらロックレバー21が回動され、解除用押圧片72にロックレバー21の回動方向における負荷が付与され難い。
ロックレバー21は押圧部72bによって付勢バネ30の付勢力に抗して回動され、ロック部23のロック用突部23aが第2のシェル4の第1のロック用凹部45aから引き出され、ロックレバー21による第1のシェル3と第2のシェル4のロックが解除される。ロックレバー21による第1のシェル3と第2のシェル4のロックが解除されたときには、バランス部25の規制面29aがディスク状記録媒体100の外周面からずれた位置に移動され、規制面29aによるディスク状記録媒体100の規制が解除される。
また、ロック解除片73が挿入溝2aに挿入され解除部73bによってロックスライダー31の被支持部32が押圧されると、ロックスライダー31はコイルバネ36の付勢力に抗して後方へ移動されロック部33が第2のシェル4の第2のロック用凹部45bから引き出される(図25参照)。ロック部33が第2のロック用凹部45bから引き出されると、ロックスライダー31による第1のシェル3と第2のシェル4のロックが解除される。ロックスライダー31による第1のシェル3と第2のシェル4のロックの解除は、ロックレバー21による第1のシェル3と第2のシェル4のロックの解除と同時に行われる。
ロックレバー21、21とロックスライダー31、31による第1のシェル3と第2のシェル4のロックが解除されると、第1のシェル3と第2のシェル4が上下方向に分離可能な状態となり、例えば、第2のシェル4が図示しない移動機構によって下方へ移動され(図26参照)、収納されているディスク状記録媒体100が図示しない取出機構によってケース体2から取り出される。
上記のようにディスクカートリッジ1がディスクチェンジャーの内部に挿入されたときには、図示しないカートリッジ保持機構によってケース体2に形成された把持部6c、6cが把持され所定の位置に保持又は移動される。
このときディスクカートリッジ1にあっては、把持部6c、6cがケース体2を構成する第1のシェル3と第2のシェル4の一方、例えば、第2のシェル4に形成され、把持部6c、6cはケース体2に収納されたディスク状記録媒体100、100、・・・の軸方向における投影面以外の位置に形成されている。
このようにディスクカートリッジ1にあっては、把持部6c、6cが第1のシェル3と第2のシェル4に跨らない位置でかつディスク状記録媒体100、100、・・・の投影面以外の位置に存在する。従って、把持部6c、6cの高い強度が確保されると共にディスクカートリッジ1がカートリッジ保持機構によって把持されたときに収納されているディスク状記録媒体100、100、・・・にカートリッジ保持機構から負荷が付与され難く、ディスク状記録媒体100、100、・・・に記録されているデーターを良好に保存することができる。
また、ケース体2の内部には補強部10と補強部として機能する補助ベース6とが設けられているため、第1のシェル3の強度の向上を図ることができ、ケース体2の損傷や傷付きを防止することができる。
さらに、補強部10及び補助ベース6は把持部6c、6cが形成された部分に設けられているため、把持部6c、6cの強度が高くなり、ディスク状記録媒体100、100、・・・に記録されているデーターを一層良好に保存することができる。
さらにまた、補強部10及び補助ベース6にはそれぞれ複数の空間を有する複数の仕切壁16、16、・・・、6d、6d、・・・が設けられている。
従って、簡単な構造によってケース体2の強度の向上を図ることができると共に複数の空間を有しているため水没し難く水中に浮遊したときの回収時間を長くすることができ、また、風雨や水害等の自然災害が生じたときや運搬中の風雨による影響を軽減することができる。尚、ディスクカートリッジ1の内部における空間の体積を、ディスクカートリッジ1の重量と同じ重量の水の体積より大きくすることにより、ディスクカートリッジ1が水中に落下したときの十分な浮力を確保することができる。
また、補強部10及び補助ベース6の一部をディスク状記録媒体100、100、・・・の位置を規制する規制部15b、20bとして設けているため、部品点数の削減及び製造コストの低減を図った上でディスク状記録媒体100、100、・・・の位置規制を行うことができる。
加えて、把持部6c、6cとして一対の溝部を形成しているため、把持部6c、6cの構造が簡素であり製造コストの低減を図ることができると共に把持部6c、6cが外方へ突出されていないためディスクカートリッジ1の小型化を図ることができる。
上記のように第1のシェル3と第2のシェル4が分離された状態において、例えば、第2のシェル4が第1のシェル3に近付くように上方へ移動されることにより第1のシェル3と第2のシェル4を結合することが可能である。
第1のシェル3と第2のシェル4が結合されるときには、ロックレバー21、21がロックを解除した回動位置に保持され、ロックスライダー31、31がロックを解除した移動位置に保持されている(図24及び図25参照)。
第2のシェル4が上方へ移動されて第1のシェル3に接し両者が後方へ移動されると、解除用押圧片72、72の押圧部72b、72bによるロック解除部24、24の挿入用突部27、27に対する押圧が解除され、ロックレバー21、21がそれぞれ付勢バネ30、30の付勢力によって回動される。従って、ロック部23、23のロック用突部23a、23aがそれぞれ第2のシェル4の第1のロック用凹部45a、45aに挿入されて係合され、ロックレバー21、21による第1のシェル3と第2のシェル4のロックが行われる。
このときロックレバー21にはロック部23に突状部26が設けられているため、図27に示すように、突状部26の摺接面26aが第1のロック用凹部45aの開口縁に摺接しながらロックが行われる。従って、第2のシェル4が上方へ移動される方向へ変位され第1のシェル3が下方へ移動される方向へ変位され第1のシェル3と第2のシェル4が互いに近付く方向へ変位されて結合される。このように、ロックレバー21の突状部26は変位構造として機能する。
上記のように第1のシェル3と第2のシェル4が結合されるときには変位構造として機能する突状部26によって第1のシェル3と第2のシェル4が互いに近付く方向へ変位されるため、第1のシェル3と第2のシェル4の良好な密閉性を確保することができる。
また、第2のシェル4が上方へ移動されて第1のシェル3に接し両者が後方へ移動されるときには、ロック解除片73、73の解除部73b、73bによる被支持部32、32に対する押圧が解除され、ロックスライダー31、31がそれぞれコイルバネ36、36の付勢力によって前方へ移動される。従って、ロック部33、33がそれぞれ第2のシェル4の第2のロック用凹部45b、45bに挿入されて係合され、ロックスライダー31、31による第1のシェル3と第2のシェル4のロックが行われる。
このときロックスライダー31にはロック部33に突状部35が設けられているため、図28に示すように、突状部35の摺接面35aが第2のロック用凹部45bの開口縁に摺接しながらロックが行われる。従って、第2のシェル4が上方へ移動される方向へ変位され第1のシェル3が下方へ移動される方向へ変位され第1のシェル3と第2のシェル4が互いに近付く方向へ変位されて結合される。このように、ロックスライダー31の突状部35は変位構造として機能する。
上記のように第1のシェル3と第2のシェル4が結合されるときには変位構造として機能する突状部35によって第1のシェル3と第2のシェル4が互いに近付く方向へ変位されるため、第1のシェル3と第2のシェル4の良好な密閉性を確保することができる。
第1のシェル3と第2のシェル4が結合された状態においては、第1のシェル3の底面板17の凹状部17aに第2のシェル4の後端部が配置され第1のシェル3と第2のシェル4の密閉性が確保される。
また、第1のシェル3の後端寄りの位置に形成された挿入凹部3b、3bにはそれぞれ第2のシェル4における内側壁部45、45の挿入部45f、45fが挿入されて第1のシェル3と第2のシェル4の位置決めが行われる。
上記したように、ディスクカートリッジ1にあっては、第1のシェル3と第2のシェル4が結合されるときに、第1のシェル3を第2のシェル4に押し付け第2のシェル4を第1のシェル3に押し付ける変位構造を設けている。
従って、第1のシェル3と第2のシェル4の結合状態において良好な密閉性が確保され、ケース体2の内部に外部から塵埃や水分が侵入し難く、ディスク状記録媒体100、100、・・・に記録されているデーターの良好な保存状態を確保することができる。
また、ディスクカートリッジ1の輸送時や自然災害時における内部への異物や水分の侵入をも防止することができる。
ディスクカートリッジ1にあっては、上記した変位構造としてロックレバー21、21の突状部26、26及びロックスライダー31、31の突状部35、35を設けている。
従って、変位構造が簡素な構造であり、製造コストの高騰を来たすことなく第1のシェル3と第2のシェル4の良好な密閉性を確保することができる。また、ロックレバー21、21とロックスライダー31、31に変位構造を設けているため、第1のシェル3と第2のシェル4の結合状態のロック時に確実に良好な密閉性を確保することができる。
尚、上記には、変位構造の例として、ロックレバー21、21の突状部26、26とロックスライダー31、31の突状部35、35を示したが、変位構造はこれらの例に限られることはない。
例えば、図29に示すように、第1のシェル3に設けられたセンターピン11の先端部と第2のシェル4の基面部42の一方にマグネット51を配置し他方に磁性部材52又はマグネットを配置してもよい。このように構成することにより、マグネット51と磁性部材52又はマグネットが吸着され、第1のシェル3と第2のシェル4の良好な密閉性を確保することができる。
また、例えば、図30に示すように、第1のシェル3に設けられたセンターピン11に配置穴11aを形成し第2のシェル4に配置穴11aに挿入される挿入ピン53を設け、配置穴11aと挿入ピン53の一方にマグネット54を配置し他方に磁性部材55又はマグネットを配置してもよい。このように構成することにより、マグネット54と磁性部材55又はマグネットが吸着され、第1のシェル3と第2のシェル4の良好な密閉性を確保することができる。
上記のようにマグネット51、54と磁性部材52、55又はマグネットを用いることによっても変位構造が簡素な構造になり、製造コストの高騰を来たすことなく第1のシェル3と第2のシェル4の良好な密閉性を確保することができる。また、センターピン11が変位構造として機能するため、第1のシェル3と第2のシェル4の結合状態において確実に良好な密閉性を確保することができる。
尚、変位構造として、例えば、第1のシェル3のベース面部7の下面と第2のシェル4の基面部42の上面との間に支持された引張コイルバネを用い、第1のシェル3と第2のシェル4の結合状態において良好な密閉性を確保することも可能である。
また、第1のシェル3と第2のシェル4の密閉性を確保するための変位構造を設ける場合に、第1のシェル3と第2のシェル4の一方が他方に対して変位する構成とすることも可能である。この場合には、第1のシェル3と第2のシェル4のうち軽量になる側を変位する構成にすることが、変位時の駆動力を低下させるため望ましい。ディスクカートリッジ1にあっては、ディスク状記録媒体100、100、・・・が第2のシェル4の保持溝45e、45e、・・・に保持されるため第1のシェル3が第2のシェル4より軽量になる可能性が高く、第1のシェル3を第2のシェル4に対して変位する構成にすることが望ましい。
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。