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JP2011136973A - 安定なエダラボン含有水性製剤 - Google Patents

安定なエダラボン含有水性製剤 Download PDF

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JP2011136973A JP2009299576A JP2009299576A JP2011136973A JP 2011136973 A JP2011136973 A JP 2011136973A JP 2009299576 A JP2009299576 A JP 2009299576A JP 2009299576 A JP2009299576 A JP 2009299576A JP 2011136973 A JP2011136973 A JP 2011136973A
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Keiki Imoto
啓記 伊元
Taku Saito
卓 齋藤
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Abstract

【課題】エダラボン含有水性製剤を長期間安定な製剤とし、かつ使い勝手に優れる製剤を提供すること。また、エダラボン含有水性製剤のプレミックス製剤を安定に収納した、プラスチック製のボトル、バッグまたはプレフィルドシリンジ製剤を提供すること。
【解決手段】本発明は抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩を含有せず、高圧蒸気滅菌された注射液が充填されたプラスチック製容器と脱酸素剤とが酸素難透過性包材に封入されてなる、エダラボンを含有する水性製剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、脳梗塞による機能障害の改善のために使用されているフリーラジカルスカベンジャーであるエダラボンを含有する安定な水性製剤に関する。
エダラボンは、脳梗塞による機能障害の改善のためのフリーラジカルスカベンジャーとしてガラスアンプルに充填された水性注射剤として販売されている。エダラボン含有水性製剤を投与する場合には、輸液剤に混注して点滴注射されるが、糖類を含む輸液剤に混注するとエダラボンの濃度低下を起こすため、生理食塩水で希釈して用いられている。エダラボン含有水性製剤は、エダラボンの安定化を図るため製剤中に、亜硫酸およびこの塩及びシステインを抗酸化剤として添加して酸素に対する高い親和性を抑制している(特許文献1)。近年、ガラスアンプルに充填されていた水性製剤は緊急時にも迅速な対応が可能なプレフィルドシリンジ製剤化が、さらに使用後の廃棄物が少なく、処理も容易なプラスチック製のプレフィルドシリンジ製剤化が試みられてきている。また、上述のエダラボン含有水性製剤のように、使用に際して予め輸液剤等に混合し希釈して投与される製剤のなかには、始めから希釈された薬剤濃度でバッグやボトル形態のプラスチック製輸液剤容器に充填されたプレミックス製剤化が試みられてきている(特許文献2)
特公平7−121861号公報 特開2009−84203号公報
本発明の目的は、エダラボン含有水性製剤を安定に収納するプラスチック製のボトル、バッグまたはプレフィルドシリンジ製剤を提供することである。また、抗酸化剤として使用されている亜硫酸およびこの塩は、アレルギー反応を起こす成分として知られている。100人に1人は亜硫酸塩に対する異常な反応を抱えており、喘息を抱える人々の5%は亜硫酸塩に対するひどい反応を起こす危険性もある。抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩を使用せず、安定で長期間にわたって室温保管可能なエダラボン含有水性製剤を提供することを目的とするものである。
上記課題に鑑み、エダラボン自体の分解を抑制するとともに、エダラボンと他の成分との付加反応生成物の生成を抑制すべく、鋭意検討した結果、本発明者らは、亜硫酸およびこの塩の抗酸化剤を処方から抜くことでエダラボン水性製剤の安定性を保つとともに、抗酸化剤で酸素吸収する役割を脱酸素剤にて担うことを試み本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題は、以下の(1)〜(4)によって解決される。
(1)エダラボンを含有し、抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩を含有せず、注射液が充填されたプラスチック製容器と脱酸素剤とが酸素難透過性包材に封入されてなることを特徴とするエダラボン含有水性製剤。
(2)前記プラスチック製容器が、ボトル、バッグまたはプレフィルドシリンジである上記(1)に記載のエダラボン含有水性製剤。
(3)前記水性製剤は高圧蒸気滅菌されたものである上記(1)または(2)に記載のエダラボン含有水性製剤。
(4)前記酸素難透過性包材は遮光性を有するものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエダラボン含有水性製剤。
本発明は、抗酸化剤としての亜硫酸およびこの塩を不含とし、エダラボン等との付加反応生成物の生成を抑制するとともに、酸化反応の抑制が、室温下において長期間維持されることを可能とし、室温保存可能なエダラボン水性製剤を提供するものである。また、容器がプラスチック製であるので、破損のおそれもなく、ガラスフレークが注射液に混入するおそれもなくなり、医療現場に更なる安全と安心を提供するものである。
本発明によって提供されるエダラボン含有水性製剤は、エダラボンを含有する水性製剤を収納する容器の少なくとも一部が、プラスチック製容器に充填密封されている。エダラボン含有水性製剤は、「ラジカット(登録商標)注」の名称で注射剤が販売(三菱ウェルファーマ(株))されている。本発明のエダラボン含有水性製剤は、既に販売されている上記注射剤と主薬であるエダラボンの濃度が同じものと、直接投与するのに適した濃度まで生理食塩水で希釈した状態で製剤化されたプレミックスタイプの水性製剤も含んだ用語である。
本発明における、プレミックスタイプの水性製剤のエダラボン濃度は0.06〜0.6mg/mL、水性製剤の液量は50〜500mLであることが好ましい。本発明のエダラボン水性製剤は、抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩を含有しないエダラボン溶液からなる水性製剤をプラスチック製容器に充填し、密封したものを高圧蒸気滅菌したのち、脱酸素剤とともに酸素難透過性材に封入したもので、エダラボンの分解物や付加反応生成物の生成が抑制された安定な注射液製剤である。
本発明のプラスチック容器は、ボトル、バッグあるいはプレフィルドシリンジのいずれの形状でもよく、水性製剤の液量、適用の部位・方法によって適宜選択できる。本発明におけるプラスチック製容器としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状オレフィンホモポリマー、環状オレフィンコポリマー等の酸素透過性プラスチックを用いることができる。ボトル、バッグあるいはプレフィルトシリンジは、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形などの公知の各種成形手段と必要に応じてヒートシール、高周波融着あるいは超音波融着等の公知の各種シール手段を組み合わせるなど、公知の方法で製造することができる。なおバッグは柔軟であることが望ましい。
本発明のプラスチック容器であるボトルのゴム栓、バッグの排出口のゴム栓あるいはプレフィルドシリンジのガスケットなどプラスチック容器に備えられたゴム状弾性体は、エラストマー、イソプレンゴムあるいはブチルゴムで形成するのが、エダラボンの安定性の面から好ましい。
本発明のプラスチック容器であるボトルのゴム栓、バッグの排出口のゴム栓あるいはプレフィルドシリンジのガスケットなどのゴム状弾性体の少なくともエダラボン含有水性製剤と接触する面は、フッ素系樹脂あるいはパリレン樹脂等で被覆することが好ましい。
本発明において使用される包材は酸素難透過性を有するものであり、該包材を形成する材料は、酸素透過性が無いか、あっても極めて低いものであり、例えば、アルミニウム箔、アルミ蒸着フィルム、酸化アルミ蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、等をガスバリア層として有するラミネートフィルム、または積層シートが挙げられる。積層シートとしては特開2008−297423号公報等に開示されている公知の方法を用いて行うことができる。包装体としたとき包材の外から内部を視認する必要がある場合は、酸化アルミ蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、等の透明性の高いガスバリア層を採用することが好ましいが、必要に応じアルミニウム箔やアルミ蒸着フィルム等を採用して遮光包材とすることもできる。酸素透過性は空間容積の酸素濃度を0.1v/v%・24h以下とする仕様が望ましい。
脱酸素剤としては、水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄などの鉄化合物を有効成分とするもの等を利用できる。その市販品としては、エージレス(三菱ガス化学(株)製)、モジュラン(日本化薬(株)製)およびセキュール(日本曹達(株)製)等が挙げられる。
本発明では、上記した脱酸素剤と共に抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩を含有しないエダラボン水性製剤を充填したプラスチック容器を酸素難透過性包材で密封することで、該水性製剤内の溶存酸素等の酸素を徐々に除去することでエダラボンの酸化分解を抑制し、上述したように抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩を含んでいないのでエダラボン等との付加反応生成物の生成も起こらず、室温下であっても長期にわたる保存安定化を可能としている。
本発明における水性製剤中や容器内の空間部に存在する酸素による酸化を防ぐためには、調剤工程・充填工程・滅菌工程を例えば以下(1)〜(3)のようにすることが望ましい。
(1)水性製剤を窒素等の不活性ガスでバブリングし、調剤時の溶存酸素を0.1〜2.0ppmとする。
(2)エダラボン水性製剤を充填するプラスチック容器への充填を窒素等の不活性ガス雰囲気下で行い、容器ヘッドスペース酸素濃度を1.0〜4.0%とする。
(3)高圧蒸気滅菌中の圧力調整はエアーを用いず窒素等の不活性ガスを用いる。
また、充填後高圧蒸気滅菌をしない場合は、エダラボン調剤液を窒素等の不活性ガスでバブリングし、調剤時の溶存酸素を0.1〜2.0ppmとした後0.22μmの孔径のメンブランフィルターを用いて無菌ろ過して得たエダラボン水性製剤を、アイソレーター等を用いて無菌操作し、無菌保証されているプラスチック製容器への充填を窒素などの不活性ガス雰囲気下で行い、容器ヘッドスペース酸素濃度を1.0〜4.0%となるように調整しゴム栓体で密封する。該水性製剤を充填したプラスチック容器を脱酸素財と共に酸素難透過脱酸包材で密封する。
本発明は、エダラボンを含有する水性製剤を、プラスチック製容器に収納したエダラボン含有水性製剤であるので、既にガラスアンプルに充填されて製造されているエダラボン製剤と同じ濃度の水性製剤はもとより、エダラボン濃度の薄いプレミックスタイプの水性製剤においてもエダラボンの実質的な変質や含有量の低下のない安定性に優れたエダラボン水性製剤が提供できる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
(実施例1)
(エダラボン含有水性製剤の調製)
エダラボン1.5g、L−システイン塩酸塩一水和物0.5g、塩化ナトリウム6.75g、リン酸2.1gを注射用水850mLに溶解し、水酸化ナトリウム適量にてpHを3.7に調整した後、注射用水にて全量を1Lとし、エダラボン1.5mg/mL濃度の水溶液を得た。この溶液を0.22μmの孔径のメンブランフィルターを用いて無菌ろ過し、エダラボン含有水性製剤を調製した。
(エダラボン・プレミックス製剤の調製)
上記で調製したエダラボン含有水性製剤に、0.22μmの孔径のメンブランフィルターを用いてろ過した生理食塩水を加え、エダラボン0.25mg/mLのプレミックス製剤を調製した。
上記の両調製時とも窒素気流下で行い、注射用水及び生理食塩水は窒素をバブリングし、調製した製剤の容器への充填時及び滅菌時にも同程度の注意を払って酸素管理を十分に行った。
エダラボン・プレミックス製剤を20mL容量の以下のシート構成からなる注射剤容器に20mL充填し、排出口のゴム栓にはフッ素系樹脂で被覆されたイソプレン系ゴムを使用し、常法により高圧蒸気滅菌をして、軟質バッグ製剤を製した。ついで、以下のシート構成からなる包装用ボトム材容器に脱酸素剤(商品名:エージレス、三菱ガス化学株式会社製)と共に軟質バッグ製剤を納め、エチレンビニルアルコール共重合体製ガスバリア層を有するラミネートフィルムからなる酸素難透過性包材とをヒートシールすることにより密封包装して、エダラボン水性製剤包装体とした。
注射剤容器、外層:ポリプロピレン系樹脂(100μm)/中間層:環状オレフィンホモポリマー(30μm)/内層:ポリプロピレン系樹脂(100μm)
包装用ボトム材容器、外層:ポリプロピレン系樹脂(400μm)/接着層:接着性樹脂(20μm/中間層:エチレンビニルアルコール共重合体(40μm)/接着層:接着性樹脂(20μm)/内層:ポリプロピレン系樹脂(400μm)
(比較例1)実施例1において、エダラボン含有水性製剤の調製をする際、亜硫酸水素ナトリウム1.0gを同時に加えた以外は、実施例1と同様にして製造し、エダラボン水性製剤包装体とした。
(試験例1)実施例1および比較例1で得られたエダラボン水性製剤包装体をそれぞれ、40℃、75%RH条件下にて保存し、製造直後の試験開始時、試験開始より1週間経過後、2週間経過後、3週間経過後、3箇月経過後、6箇月経過後の各時点でのエダラボンの含量(%)HPLCを用いて以下の条件にて測定し、その結果を表1に示した(表中、値はn=3の平均値,単位は%)。
また、含量測定と同時に各時点での不純物量を測定し、表2に示した(表中、値はn=3の平均値,単位は%)。さらに、pHの結果は、表3に示すとおりであった。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:240nm)。
カラム:内径約4mm、長さ約15cmのステンレス管に5mのオクタデシルシリル化シリカゲルを充填したものを50℃付近の一定温度で使用。
移動相:10mM酢酸水溶液・メタノール混液(3:1)をアンモニア水でpH5.5に調整した溶液。
流量:エダラボンの保持時間が約8分になるように調整した。
Figure 2011136973
Figure 2011136973
Figure 2011136973
表1の結果、実施例1、比較例1の製剤は、ともに保存条件下6箇月間にわたって有意な含量低下は認められなかった。された。しかし、表2の結果、比較例1においては3ヶ月経過後および6箇月経過後の不純物の発生が認められ、エダラボン分解物あるいは付加反応生成物の生成が示唆された。表3の結果からは、6箇月間経過後のpHの変化は、ほとんどなかったことが確認された。測定の結果により、抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩が不含でも、エダラボンの濃度が薄いプレミックスタイプの水性製剤において、安定性が保てることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. エダラボンを含有し、抗酸化剤として亜硫酸およびこの塩を含有せず、注射液が充填されたプラスチック製容器と脱酸素剤とが酸素難透過性包材に封入されてなることを特徴とするエダラボン含有水性製剤。
  2. 前記プラスチック製容器が、ボトル、バッグまたはプレフィルドシリンジである請求項1に記載のエダラボン含有水性製剤。
  3. 前記水性製剤は高圧蒸気滅菌されたものである請求項1〜2のいずれかに記載のエダラボン含有水性製剤。
  4. 前記酸素難透過性包材は遮光性を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のエダラボン含有水性製剤。
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