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JP2011130058A - セルラシステムの送信電力制御方法、移動局、及び送信電力制御プログラム - Google Patents

セルラシステムの送信電力制御方法、移動局、及び送信電力制御プログラム Download PDF

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JP2011130058A JP2009284894A JP2009284894A JP2011130058A JP 2011130058 A JP2011130058 A JP 2011130058A JP 2009284894 A JP2009284894 A JP 2009284894A JP 2009284894 A JP2009284894 A JP 2009284894A JP 2011130058 A JP2011130058 A JP 2011130058A
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Abstract

【課題】 基地局の処理量や使用する周波数リソースを抑えること。
【解決手段】 基地局と該基地局が管理するセル内の移動局との間で無線通信を行なうセルラシステムの送信電力制御方法である。基地局から、セル内の移動局に対して、送信電力制御コマンドを送信する。移動局において、受信した送信電力制御コマンドに応じて行なった送信電力制御の履歴を、セルに関連付けて保存する。移動局が、基地局の管理から外れた後、再度、基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なう。
【選択図】 図1

Description

本発明は、セルラシステムを利用した無線通信技術に関する。
セルラシステムを利用した無線通信技術の分野では、移動局と基地局との間で送信電力制御を行なう場合がある。例えば、この種の無線通信技術として、標準化団体3GPPにより採用されたロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)が知られている。LTEは、W−CDMAに比べ、端末−基地局間のスループットを向上させつつも、より多くのユーザを一つの基地局に収容可能な通信方式である。その実現にあたり、LTEでは、非特許文献1や非特許文献2に規定されるサウンディング用基準信号(SRS:Sounding Reference Signal)を用いた送信電力制御(TPC:Transmission Power Control)など、高度な機能が基地局に求められている。そしてそれに伴い、より高度な処理能力も基地局に求められるようになっている。
しかし、基地局の処理能力には限界がある。そのため、スペックを満たしつつも、処理量を軽減するアルゴリズムの重要性が増している。中でも、TPCのように送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)単位で行われる機能は、特に処理量が大きくなるため、処理量の削減が肝要である。
LTEにおけるTPCは、非特許文献1や非特許文献2に規定されるSRSを用いる方法や、特許文献1及び2に示される方法で実施される。TPCは、基地局が、設定された周期に基づいて各端末から送信されたSRSや復調基準信号(DMRS:Demodulation Reference Signal)を受信し、信号対干渉比(SIR:Signal-to-Interference Ratio)を算出することにより行われている。
3GPP TS 36.211 (V8.7.0), 'Physical Channels and Modulation',May 2009 3GPP TS 36.213 (V8.7.0), 'Physical layer procedures', May 2009
特開2008-177965号公報 特開2009-4924号公報
しかしながら、上述した従来技術では、移動局と基地局との間で送信電力制御を行なう際の基地局に係る処理負荷が大きかった。例えば、LTEにおいても、端末毎かつサブフレーム単位でTPC処理が行われるため、基地局が多数の端末を配下に置いている場合には、基地局にかかる処理負荷が非常に大きくなる。また、本来、TPCのために貴重な周波数リソースを占有されることは好ましくないが、基地局が多数の端末を配下に置いている場合には、多くの周波数リソースがSRSによって占有されることになる。これはSRSは端末毎に指定された周波数リソースを占有するためである。
以上を踏まえ、基地局の処理量を極力抑えて送信電力制御を行なうことが望まれている。
本発明の目的は、上述の課題を解決する無線通信技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様としての方法は、基地局と該基地局が管理するセル内の移動局との間で無線通信を行なうセルラシステムの送信電力制御方法であって、
前記基地局から、前記セル内の前記移動局に対して、送信電力制御コマンドを送信するステップと、
前記移動局において、受信した前記送信電力制御コマンドに応じて行なった送信電力制御の履歴を、前記セルに関連付けて保存するステップと、
前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻ったか否かを判定するステップと、
前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なうステップと、を含むことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様としての装置は、
基地局が管理するセル内で前記基地局との間で無線通信を行なう移動局であって、
前記基地局から、送信電力制御コマンドを受信する手段と、
受信した前記送信電力制御コマンドに応じて行なった送信電力制御の履歴を、前記セルに関連付けて保存する手段と、
前記移動局が前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なう手段と、
を有することを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様としてのプログラムは、
基地局が管理するセル内で前記基地局との間で無線通信を行なう移動局で実行される送信電力制御プログラムであって、
前記移動局が備えたプロセッサに、
前記基地局から、送信電力制御コマンドを受信する機能と、
受信した前記送信電力制御コマンドに応じて行なった送信電力制御の履歴を、前記セルに関連付けて保存する機能と、
前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻ったか否かを判定する機能と、
前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なう機能と、
を実行させることを特徴とする。
本発明によれば、基地局の処理量を極力抑えて送信電力制御を行なうことができる。
本発明の第1実施形態としての通信システムの概要を示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムで行なわれる処理の概要を示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムに含まれる移動局の概略構成を示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムに含まれる基地局の概略構成を示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムにおいて用いられるTPCコマンドについて説明する図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムにおいて用いられる送信電力制御履歴を示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムに含まれる移動局のハードウェア構成及び処理のフローチャートを示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムに含まれる基地局のハードウェア構成及び処理のフローチャートを示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムによる効果を示す図である。 本発明の第1実施形態としての通信システムによる効果を示す図である。 本発明の第2実施形態としての通信システムで対応すべき状況を説明するための図である。 本発明の第2実施形態としての通信システムで対応すべき状況を説明するための図である。 本発明の第2実施形態としての通信システムで行なわれる処理のフローチャートを示す図である。 図13のフローチャートに示す処理によって対応できる状況を説明するための図である。 図13のフローチャートに示す処理によって対応できる状況を説明するための図である。 本発明の第2実施形態としての通信システムで行なわれる処理のフローチャートを示す図である。 図16のフローチャートに示す処理によって対応できる状況を説明するための図である。 本発明の第2実施形態としての通信システムで行なわれる処理のフローチャートを示す図である。 図18のフローチャートに示す処理によって対応できる状況を説明するための図である。 本発明の第2実施形態としての通信システムによる効果を示す図である。 本発明の第2実施形態としての通信システムによる効果を示す図である。 本発明の第3実施形態としての通信システムで行なわれる処理のフローチャートを示す図である。 本発明の第3実施形態としての通信システムによる効果を示す図である。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<第1実施形態>
(システムの構成及び動作の概要)
図1は、本発明の第1実施形態としての通信システムの概要を示す図である。特に、本実施形態の通信システムは、基地局と基地局が管理するセル内の移動局との間で無線通信を行なうセルラシステムであって、基地局が送信した送信電力の制御命令にしたがって移動局が送信電力の制御を行なうセルラシステムである。図1において、移動局101は、基地局102が管理するセル103内から、一旦他のセル104、105に移動した後、再度、基地局102の管理下のセル103に戻ってきたものとする。このような場合、本実施形態では、移動局101が過去にセル103の配下に属していた時の通信制御履歴を用いて、移動局101と基地局102との間の通信を再確立する。これにより、移動局101と基地局102との間のトラフィックを減らし、基地局102の処理量及び周波数リソースを抑えることができる。
(基地局と移動局との通信)
移動局101と基地局102との間の通信について、図2を用いて説明する。基地局102は、移動局101からの割り当て要求(スケジューリング要求201)等に応じて、アップリンク送信許可(USG:Uplink Scheduling Grant)202を通知する。これにより、基地局102は、複数の移動局間のアップリンクデータ送信をスケジューリングする。このとき、基地局102が移動局101に送信するUSG202の中に、送信電力制御情報としての送信電力制御コマンド(TPCコマンド:Transmission Power Control Commands)が含まれている。移動局101は、USG202によって割り当てられた無線リソースを用いて、アップリンク共有データチャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)でデータを基地局102に送信する。このとき移動局101は、USG202中のTPCコマンドに基づいて、無線環境に応じた送信電力を算出し、算出した送信電力によってデータを送信する。
移動局101はまた、アップリンク共有制御チャネルで、基地局102でのスケジューリング用のチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)や、受信確認応答(ACK/NACK)を送信する。そしてアップリンクの周波数領域のスケジューリング及び送信電力制御を行うための受信品質の測定を行うために、サウンディング・レファレンス信号(SRS:Sounding Reference Signal)を送信する。
(移動局の概略構成)
本実施形態に係る移動局101の内部構成について図3に示す。移動局101は、基地局102からTPCコマンドを受信するTPCコマンド受信部301と、受信したTPCコマンドから送信電力を算出する送信電力算出部302と、算出した送信電力で、データを送信するデータ送信部303とを有する。
TPCコマンドは、例えば(0,1,2,3)といった値であり、図5に示すような変換テーブル501を用いて、(−1dB,0dB,1dB,3dB)といった電力比αに変換される。これらの電力比αと、直前の送信電力(無ければ送信電力の初期値)とを用いて、データ送信のための送信電力を決定する。ただし、ここで挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
また、移動局101は、TPCの履歴を保存するTPC履歴保存部304と、TPC履歴保存部304から読出したTPC履歴を基地局102に送信するTPC履歴送信部305を備えている。
TPC履歴保存部304の内部構成例について図6に示す。TPC履歴保存部304は、TPCの履歴として、送信電力制御コマンドに対応する送信電力制御の履歴を保存する。例えば、初期送信電力及び過去に受信したn回分のTPCコマンドを、そのTPCコマンドを送信した基地局を特定する情報(セル固有のID)に関連付けて保存している。TPC履歴保存部304は、初期送信電力及びTPCコマンドを、セル固有の識別子と共に、TPC履歴として一定期間Tだけ保存し、その後破棄する。このため、図6を参照することにより、移動局101を含むセルが初めてリンクを確立するセルか、或いは、そのセルが、過去にリンクを確立してそのリンクを解除してから一定期間経過後のセルか否かを判定することができる。ただし、TPC履歴保存部304が保存するTPC履歴は、TPCコマンドの形式に限定されるものではなく、他の値でもよい。また、n、Tはパラメータによって変更可能である。本実施形態では、初期送信電力は、セルごとに固定であり、同じセルの支配下に戻る度に、同じ初期送信電力値から、TPC制御を開始する。
また、送信電力算出部302は、TPC履歴保存部304から読出したTPC履歴に基づいて、送信電力を算出する。或いは、TPC履歴保存部304に、算出した送信電力値そのものが保存されている場合には、送信電力算出部302を介さずにその送信電力をデータ送信部303に伝送しても良い。
(基地局の概略構成)
本実施形態に係る基地局102の内部構成について、図4に示す。TPC履歴受信部401は、移動局101から送信されたTPC履歴を受信し、スケジューラ402にTPC履歴を通知する。スケジューラ402は、TPC履歴受信部401から通知されたTPC履歴を、実際に移動局101に送信した履歴として扱い、スケジューリングを行う。
このようにして、移動局101が過去に行ったTPC履歴を参照してTPCを行うため、SRSの送受信やSIRの算出処理等を省略可能となり、基地局の処理量や使用する周波数リソースを極力抑えることができる。また、実際にSRSを用いたTPCと同等のTPCを行うことができる。
(移動局101におけるTPC制御)
移動局101におけるTPC制御について図7を参照して説明する。移動局101は、ハードウェア構成として、メモリ1502と通信部1503とそれらを制御するプロセッサ1501とを含む。そして、プロセッサ1501は、フローチャートに示されるような処理を行なう。
具体的にはまず、移動局101を含むセルが初めてリンクを確立するセルか、或いは、そのセルが、過去にリンクを確立してそのリンクを解除したタイミングから一定期間経過後のセルか否かを判定する(S701)。これは、図6に示したようなTPC履歴を参照することで容易に判定できる。初リンク確立セル若しくはリンク解除後一定期間経過後のリンク確立セルであると判断した場合には、移動局101は、図2に示したような、基地局102との間でSRS等を用いたTPCを実施する(S703)。そしてこの時、移動局101はTPCの実施履歴をセルの固有情報としてTPC履歴保存部304に保存する(S704)。
一方、過去一定期間内にリンクを解除した(管理から外れた)セルであると判断した場合には、その再リンク確立時に、移動局101では、TPC履歴保存部304からTPC履歴を読み出す(S705)。そして、移動局101のTPC履歴送信部305は、基地局102にTPC履歴を送信する(S706)。さらに、送信電力算出部302は、TPC履歴保存部304から読出されたTPC履歴に従い、送信電力を決定する(S707)。この時、まずは、図6のテーブル601から読出した送信電力の初期値に、同じくテーブル601から読出したTPC履歴から図5の変換テーブル501を参照して求めた電力比αを乗算して送信電力を算出する。それ以降は、TPC履歴から求めた電力比αを直前の送信電力に乗算して送信電力を変化させる。
次に、移動局101がアップリンク共有チャネル(UL−SCH:Uplink Shared Channel)を送信し(S708)、UL−SCHに対するHARQ ACK応答が連続して返ってきたか判定する(S709)。HARQ ACK応答が連続して返ってくるようになれば、TPC履歴の参照は止め、送信電力を固定してデータ送信を続ける(S710)。言い換えれば、保存していた送信電力制御の履歴を用いて、送信電力を変化させつつデータ送信を行ない、それにより、正常なデータ通信が確立できた場合に、送信電力を固定してデータ送信を行なう。
一方、UL−SCHに対するHARQ NACK応答がn回続き、TPC履歴に含まれるn回分のTPC履歴を全て読出した場合は、ステップS703に進み、通常のTPCに切り替える。そして、TPC履歴をTPC履歴保存部304に保存する(S704)。
(基地局102におけるTPC制御)
基地局102におけるTPC制御について図8を参照して説明する。基地局102はハードウェア構成として、メモリ1602と通信部1603とそれらを制御するプロセッサ1601とを含む。そして、プロセッサ1601は、フローチャートに示されるような処理を行なう。
まず、基地局102のTPC履歴受信部401は、移動局101から送信されたTPC履歴を受信する(S801)。そして、受信したTPC履歴をスケジューラ402に通知する(S802)。次に、スケジューラ402は受信したTPC履歴を移動局101に通知したTPCコマンドとみなして登録する。
(本実施形態の効果)
以上の実施形態により、移動局101の送信電力は、図9、図10に示されるように、移動局101が過去にセル103に属していた時の電力制御履歴を用いて、移動局101と基地局102との間の通信を再確立する。これにより、移動局101と基地局102との間のトラフィックを減らし、基地局102の処理量及び周波数リソースを抑えることができる。このようにTPC履歴を使うことにより、前回と今回のターゲット値が近い場合、つまり、移動端末が同じ場所にいるなど無線環境がほとんど変わらない場合に、特に効果的かつ効率的に送信電力制御を行なうことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、同じセルについては毎回同じ初期送信電力値を用いていた(図9、図10)のに対し、本実施形態では、状況に応じて初期送信電力値を変更するものである。その他の構成及び動作については、第1実施形態と同様であるので、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
第1実施形態の場合、ターゲット送信電力値(=目標とする送信電力値)が、前回TPC時に遷移したことのある制御電力値の範囲に含まれていれば、TPC履歴を使うことで、処理量を削減しつつ送信電力を求めることができる。しかし、ターゲット送信電力値が前回TPC時の最大送信電力よりも大きい場合は、電力不足になってしまう。一方、初期電力値がすでにターゲット送信電力値を上回っている場合は、過剰な送信電力になってしまう。
また、同じ位置及び環境で元のセルに戻った場合、ターゲット送信電力値は毎回同じ可能性が高い。そのため、前回のターゲット送信電力値(TPC履歴の最終送信電力値)を初期送信電力値として設定するという方法が提案でき、これによれば、無駄な送信電力制御を省略できるという効果がある。ところが、例えば図11では、初期電力値がターゲット送信電力値を下回っているにも関わらず、前回のTPC履歴が電力を下げる方向のものなので、さらに送信電力値を下げてしまう結果となる。一方、図12では、初期電力値がすでにターゲット送信電力値を上回っているため、ACKは連続して返ってくるが、過剰な送信電力を使ってしまっているため、適正なTPCとは言えない。
そこで、前回初期電力値と、前回ターゲット送信電力値と、今回ターゲット送信電力値の関係性について、図11や図12を含めた全てのパターンに対応するため、本実施形態では、以下の図13乃至図21で示す処理を行なう。具体的には、図7のステップS705〜S711の処理を図13、図16、図18で示したフローチャートで置き換える。ここで、送信電力制御の履歴に残された前回の送信電力制御の最終送信電力値と、前回の送信電力制御の初期送信電力値との何れか一方を、選択的に初期送信電力値として用いる。
まず図13のステップS1301では、前回ターゲット送信電力値を初期送信電力値とする。次に、ステップS1303において、その時点でACKが連続して返ってくるか否かを判定する。ACKが連続して返ってくる場合には、前回ターゲット送信電力値よりも今回ターゲット送信電力値が小さいということなので、送信電力値を下げる制御を行なわなければならない。
次にステップS1305において、前回ターゲット送信電力値と前回初期送信電力値との大きさを比較する。前回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値よりも小さい場合、前回の送信電力制御では、概して、送信電力値を下げていく制御を行なったことになる。そこで、その場合にはステップS1315に進み、今回の送信電力値を前回のターゲット送信電力値に固定する。つまり、図14に示すように、前回の送信電力制御では、送信電力値を下げていった結果、ターゲット送信電力値にたどり着いており、今回そのターゲット送信電力値を用いたときに、正常な通信を行なえている。したがって、この場合には、今回のターゲット送信電力値が、前回のターゲット送信電力値と同じか、少し下回る程度と考えられる。そこで、その場合には、前回のターゲット送信電力値を、そのまま今回のターゲット送信電力値とする。
一方、ステップS1305において、前回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値よりも大きいと判断した場合、前回の送信電力制御では、図15に示すように、概して、送信電力値を上げていく制御を行なったことになる。かつ、前回ターゲット送信電力値を初期送信電力値としたときにACKが連続して返ってきているので、今回のターゲット送信電力値は、前回のターゲット送信電力値よりも小さいことになる。
そこで、その場合には送信電力値が大きすぎる可能性があるため、ステップS1307に進み、前回のTPC履歴を時系列の逆順に使用し送信電力値を下げていく。例えば、保存されたTPC履歴が(−1,0,1,3)なら(−3,−1,0,1)というように使用する。そして、TPC履歴が終了するか(S1309)、ACKが連続で返らなくなるまで下げ(S1311)、TPC履歴が終了するまでにACKが連続で返らなくなれば、ACKが連続で返る最小の送信電力値に固定する(S1313)。初期送信電力まで下げても、ACKが連続で返れば、ターゲット送信電力値はさらに小さいということなので、TPC履歴では対応できないことになり、ステップS1317に進んで、通常のTPCを改めて行なう。そして、その際TPC履歴を保存する(S1319)。
一般的にTPC履歴の最後の方には送信電力が安定してきた時の履歴が残っていることが多いため、0dBや1,−1dBなど絶対値の小さなTPCコマンドが残っていると考えられる。そのため、TPC履歴を逆順に使用する際には、TPC開始直後は電力変動が小さくなる。前回ターゲット値と今回ターゲット値が比較的近い値の場合、誤差を修正することになり、効果的なTPCが期待できる。
次に、ステップS1303でACKが連続しなかった場合について説明する。この場合、前回のターゲット送信電力値が今回のターゲット送信電力値よりも小さいため、前回のターゲット送信電力値を初期送信電力値とした場合に、正常な通信を行なえなかったことを意味する。この場合の処理について、図16のフローチャートに示す。
まず、図16において、ステップS1601で、前回ターゲット送信電力値と前回初期電力値とを比較する。前回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値よりも大きい場合、図17に示すように、前回初期送信電力値≦前回ターゲット送信電力値≦今回ターゲット送信電力値という可能性がある。この場合、前回ターゲット送信電力値を今回初期送信電力値とした上で、TPC履歴を使用して送信電力を制御する(S1603)。そして、TPC履歴が終了するまでに、ACKが連続する送信電力値を見つければ(S1607)、ステップS1609に進み、見つけた送信電力値を今回ターゲット送信電力値として固定的に使用する。一方、TPC履歴を使用して送信電力を変化させてもACKが連続する送信電力値を見つけられなかった場合、ステップS1611に進み、通常のTPCを改めて行なう。そして、その際TPC履歴を保存する(S1319)。
ステップS1601において、前回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値以下の場合、図19に示すように、前回初期送信電力値>今回ターゲット送信電力値>前回ターゲット送信電力値という可能性がある。この場合、図18のフローチャートに従った処理を行なう。すなわち、まずステップS1801において、前回初期送信電力値を今回初期送信電力値とする。ここで、ACKが連続で返るか否か判定し(S1803)、ACKが連続で返れば、送信電力値が大きすぎる可能性があるため、ステップS1805に進み、前回のTPC履歴をそのまま使用し送信電力値を下げていく。そして、TPC履歴が終了するか(S1807)、ACKが連続で返らなくなるまで下げ(S1809)、TPC履歴が終了するまでにACKが連続で返らなくなれば、ACKが連続で返る最小の送信電力値に固定する(S1811)。TPC履歴が終了するまで下げても、ACKが連続で返れば、ターゲット送信電力値はさらに小さいということなので、TPC履歴では対応できないことになり、ステップS1813に進んで、通常のTPCを改めて行なう。そして、その際TPC履歴を保存する(S1815)。
(本実施形態の効果)
以上の処理により、図20、図21に示すように前回の初期送信電力値とターゲット送信電力値がどのような関係であっても、さらに、今回のターゲット送信電力値がどのような場合であっても、効率的にTPC履歴を用いることができる。なお、図20、図21におけるSから始まる符号は、それぞれのターゲット送信電力値を決定する、図13、図16、図18のフローチャートに記載されたステップに対応する。つまり、図20に示すように、今回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値よりも小さい場合、ステップS1317でターゲット送信電力値を決定できる。また、今回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値よりも大きく、前回ターゲット送信電力値よりも小さい場合には、ステップS1307でターゲット送信電力値を決定できる。今回ターゲット送信電力値は前回ターゲット送信電力値よりも大きいが、その差分が、前回初期送信電力値と前回ターゲット送信電力値との差分以下の場合には、ステップS1603で今回ターゲット送信電力値を決定できる。今回ターゲット送信電力値が前回ターゲット送信電力値よりも大きく、その差分が、前回初期送信電力値と前回ターゲット送信電力値との差分以上の場合には、ステップS1611でターゲット送信電力値を決定できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態では、状況に応じて初期送信電力値を変更したが、第3実施形態では、常に、前回のターゲット送信電力値を初期送信電力値とするものである。その他の構成及び動作については、第1実施形態と同様であるので、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態の場合、図13の処理に替えて、図22の処理を行なう。まず、ステップS2201において、前回のターゲット値を一律に初期送信電力値とする。そして、次に、S2202において、前回ターゲット値と前回初期送信電力値とを比較する。前回ターゲット値が前回初期送信電力値よりも大きい場合、ステップS2225に進み、ACKが連続して返ってきていれば、図13のステップS1307に進んで、S1307〜S1313、S1317、S1319の処理を行なう。S2225でACKが連続して返らなければ、図16のS1603に進み、S1603〜S1613の処理を行なう。
一方、図23に示すように、前回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値以下の場合、ステップS2202からS2203に進む。この場合、ステップS2203において、ACKが連続で返るか否か判定し、ACKが連続で返る場合には、前回ターゲット送信電力値よりも今回ターゲット送信電力値が低いため、ステップS2205において、TPC履歴を使用する。そして、TPC履歴が終了するまでに(S2207)、ACKの連続返信が無くなれば、ステップS2211に進み、ACKが連続で返った最小の送信電力値に固定する。
次に、ステップS2201において、ACKが連続で返らないと判定した場合、ステップS2217に進み、TPC履歴を逆順で使用する。つまり、この場合は、今回ターゲット送信電力値が、前回ターゲット送信電力値よりも大きいため、送信電力値を上げていく制御を行なう。その後、TPC履歴が終了するまでに(S2219)、ACKの連続返信があれば、ステップS2221からS2223に進み、送信電力値に固定する。一方、ステップS2207、S2219において、ターゲット送信電力値が見つかる前に全てのTPC履歴を使ってしまった場合には、ステップS2213に進み、SRS等を用いて通常どおりTPCを実施する。この時TPC履歴を新たに保存する(S2215)。
以上をまとめると、本実施形態では、以下のように処理を行なう。
・前回の電力遷移範囲から外れる場合 → TPC履歴をそのまま使う
・前回の電力遷移範囲内で遷移する場合 → TPC履歴を逆順に使う
いずれの場合も例外的なTPC履歴の使い方となるが、電力を遷移させたい方向とTPC履歴の使い方の整合が取れており、期待する送信電力に到達することができる。
(本実施形態の効果)
以上の処理により、図23に示すように、前回の初期送信電力値が前回のターゲット送信電力値を上回る場合であって、今回のターゲット送信電力値が、前回ターゲット送信電力値よりも小さい場合に、より効率的にTPC履歴を用いることができる。つまり、今回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値よりも大きい場合、ステップS2213でターゲット送信電力値を決定できる。また、今回ターゲット送信電力値が前回初期送信電力値よりも小さく、前回ターゲット送信電力値よりも大きい場合には、ステップS2223でターゲット送信電力値を決定できる。今回ターゲット送信電力値は前回ターゲット送信電力値よりも小さいが、その差分が、前回初期送信電力値と前回ターゲット送信電力値との差分以下の場合には、ステップS2211でターゲット送信電力値を決定できる。今回ターゲット送信電力値が前回ターゲット送信電力値よりも小さく、その差分が、前回初期送信電力値と前回ターゲット送信電力値との差分以上の場合には、ステップS2213でターゲット送信電力値を決定できる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について詳述したが、上記実施形態の他にも、フェムトセルにおいても同様の動作をすることが可能である。フェムトセルは上記のマクロセルやマイクロセルに比して、セル半径が小さいため、場所による無線特性の変化が少ない。そのため、リンクを確立するたびに行なうTPCに変化が少ないことが考えられ、マクロセルよりもTPC履歴を用いた方法が有効に機能し得ると考えられる。
上記実施形態では、移動局101が他のセルに移動して再度セル103に戻ってきた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一旦移動局の電源を切断して、再度電源を入れ直した場合にも適用できる。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、単体の装置に適用しても良い。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する送信電力制御プログラムが、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給されて実行される場合にも適用可能である。送信電力制御プログラムとしては、図7、図8のフローチャートで表わされるもの図13、図16、図18のフローチャートで表わされるもの、又は、図22のフローチャートで表わされるものがある。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、或いはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の範疇に含まれる。
なお、上記実施形態での説明を踏まえ、以下の付記1に記載された基地局も本発明の範疇に含まれうる。
(付記1)
セル内で移動局との間で無線通信を行なう基地局であって、前記移動局に対して、送信電力制御コマンドを送信する手段と、前記移動局における送信電力制御の履歴を、前記移動局から受信する手段と、前記移動局から受信した前記送信電力制御の履歴に応じて、前記移動局に対して前記送信電力制御コマンドを送信したものとして、スケジューリングする手段と、を有することを特徴とする基地局。

Claims (10)

  1. 基地局と該基地局が管理するセル内の移動局との間で無線通信を行なうセルラシステムの送信電力制御方法であって、
    前記基地局から、前記セル内の前記移動局に対して、送信電力制御コマンドを送信するステップと、
    前記移動局において、受信した前記送信電力制御コマンドに応じて行なった送信電力制御の履歴を、前記セルに関連付けて保存するステップと、
    前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻ったか否かを判定するステップと、
    前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なうステップと、
    を含むことを特徴とするセルラシステムの送信電力制御方法。
  2. 前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、前記基地局の管理から外れたのは、過去一定期間内か否かを判定するステップをさらに有し、
    前記基地局の管理から外れたタイミングが前記一定期間内にである場合に、保存していた前記送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載のセルラシステムの送信電力制御方法。
  3. 前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を前記基地局に送信するステップをさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセルラシステムの送信電力制御方法。
  4. 前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、前記基地局からの送信電力制御コマンドの受信を待たずに、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を前記基地局に送信するステップをさらに有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のセルラシステムの送信電力制御方法。
  5. 前記移動局は、n回分の前記送信電力制御コマンドに対応する送信電力制御の履歴を保存し、
    過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していたn回分の前記送信電力制御の履歴を用いて送信電力制御を行なっても正常なデータ通信が確立できなかった場合には、前記基地局から新たに送信された送信電力制御コマンドを用いて送信電力制御を行なうことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のセルラシステムの送信電力制御方法。
  6. 前記移動局は、前記送信電力制御の履歴に残された前回の送信電力制御の最終送信電力値と、前回の送信電力制御の初期送信電力値との何れか一方を、選択的に初期送信電力値として用いることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のセルラシステムの送信電力制御方法。
  7. 前記移動局は、前記送信電力制御の履歴に残された、前回の送信電力制御の最終送信電力値を、常に初期送信電力値として用いつつ前記送信電力制御の履歴を用いて送信電力制御を行なうことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のセルラシステムの送信電力制御方法。
  8. 前記送信電力制御の履歴を、時系列の逆順に用いて、送信電力制御を行なうことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のセルラシステムの送信電力制御方法。
  9. 基地局が管理するセル内で前記基地局との間で無線通信を行なう移動局であって、
    前記基地局から、送信電力制御コマンドを受信する手段と、
    受信した前記送信電力制御コマンドに応じて行なった送信電力制御の履歴を、前記セルに関連付けて保存する手段と、
    前記移動局が前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なう手段と、
    を有することを特徴とする移動局。
  10. 基地局が管理するセル内で前記基地局との間で無線通信を行なう移動局で実行される送信電力制御プログラムであって、
    前記移動局が備えたプロセッサに、
    前記基地局から、送信電力制御コマンドを受信する機能と、
    受信した前記送信電力制御コマンドに応じて行なった送信電力制御の履歴を、前記セルに関連付けて保存する機能と、
    前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻ったか否かを判定する機能と、
    前記移動局が、前記基地局の管理から外れた後、再度、前記基地局の管理下に戻った場合に、過去に前記基地局の管理下にあった際に保存していた前記送信電力制御の履歴を用いて、送信電力制御を行なう機能と、
    を実行させることを特徴とする送信電力制御プログラム。
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