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JP2011122769A - 熱交換器用の伝熱材及び伝熱面の加工方法 - Google Patents

熱交換器用の伝熱材及び伝熱面の加工方法 Download PDF

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JP2011122769A
JP2011122769A JP2009280861A JP2009280861A JP2011122769A JP 2011122769 A JP2011122769 A JP 2011122769A JP 2009280861 A JP2009280861 A JP 2009280861A JP 2009280861 A JP2009280861 A JP 2009280861A JP 2011122769 A JP2011122769 A JP 2011122769A
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Takesuke Tashiro
雄亮 田代
Hisatoshi Fukumoto
久敏 福本
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

【課題】蒸発器に使用される伝熱フィンにおいて、フィン表面に生じる霜層を制御することを目的とする。
【解決手段】伝熱フィンの冷却面表面51は、島状に孤立した複数のピン50が形成されている。冷却面表面51の複数のピン50どうしでは、互いに隣り合うピンどうしのピン間隔dは、rの2倍以下(d≧2r)である。ここにrは次の値である。rは、伝熱フィンが使用される大気環境に相当する空気条件と冷却面表面51の温度に相当する伝熱面表面温度条件とに基づき決定される冷却面表面51に凝縮する凝縮液滴の半径であって、凝縮液滴が空気条件と伝熱面表面温度条件とのもとで成長を続けるかどうかの臨界値を示す臨界半径である。
【選択図】図9

Description

この発明は、熱交換器に使用する伝熱材に関する。
従来の冷凍機器や空調機器の蒸発器では、蒸発器フィン表面温度がマイナス温度となる時、フィン表面に着霜が生じ、通過風量が減少し蒸発器の冷却能力を低下させていた。上記課題を解決するため、蒸発器フィン表面を撥水化し、フィン表面で凝縮した水滴を転がり落とす方法がある。この際、フィン表面の水に対する接触角を90°以上の撥水面にし、高さが0.2μm以上、高さ/径が0.1以上の微細突起を形成させて、フィン表面と水滴との接触面積を軽減し、直径1.0mm程度の微小水滴も転落させる技術がある(例えば、特許文献1)。また、撥水皮膜としてフッ素系又はシリコン系の塗料をフィン表面に塗布し、撥水化を行う技術がある(例えば、特許文献2)。
これらの装置では、フィン表面を撥水化(接触角を大きく)することで水滴を落下させることを目的としているが、フィン表面に生じる水蒸気の凝縮過程を考慮して着霜の抑制を行う技術ではない。
特開平3−45893号公報(第511頁、第2図) 特開平9−113181号公報(第7頁、第2図)
上記のように従来の装置は、フィン表面に生じる水蒸気の凝縮過程を考慮した技術ではなかった。このため、従来では蒸発器フィン表面に生じる霜層により、通過風量が減少し、冷却性能が低下することがあった。
この発明は、水蒸気の凝縮過程を考慮することにより、蒸発器フィン表面に複数のピン構造あるいは凹凸形状あるいは島状あるいは壁状などの突起構造を持たせる。この突起構造によって、フィン表面に生じる霜層を制御することを目的とする。
この発明の熱交換器用の伝熱材は、
熱交換器用の伝熱材において、
伝熱面に形成された複数の突起部からなる突起構造であって、前記突起部どうしの間隔が、前記伝熱面に付着した液滴の表面エネルギーを加味した水蒸気圧pを、ピンの無い平面に付着した液滴の平衡蒸気圧pよりも大きくする液滴直径以下の間隔で設けられた複数の突起部からなる突起構造を備えたことを特徴とする。
この発明により、フィン表面に生じる霜層を抑制することができる。
実施の形態1における冷凍装置100の冷媒回路図。 実施の形態1における蒸発器25の外観を示す図。 実施の形態1における凝縮液滴の生成過程を示す図。 実施の形態1におけるアルミ表面上で生じる凝縮液滴の生成過程を撮影した写真。 実施の形態1における空気温度マイナス下での凝縮液滴の生成過程を撮影した写真。 実施の形態1における式(1)の左辺及び右辺第1項、第2項示す図。 実施の形態1における接触角θを示す図。 実施の形態1における接触角θ=100°の際の式(5)を示す図。 実施の形態1におけるナノオーダーのピン構造が形成されたフィン表面上での凝縮液滴の生成過程を示す図。 図9のC方向矢視を示す図。 実施の形態1におけるピン構造の別の例を示す図。 実施の形態2における接触角θ=150°の際の式(5)を示す図。 実施の形態3における接触角θ=40°の際の式(5)を示す図。
実施の形態1.
図1〜図11を参照して実施の形態1を説明する。実施の形態1は、熱交換器用の伝熱フィン31(伝熱材の一例)に関する。実施の形態1では、蒸発器におけるフィン温度と蒸発器への流入空気温湿度とで決まる凝縮液滴の臨界半径r(後述する)を基準とし、伝熱フィン31にナノオーダーのピン構造を設けるという実施の形態である。この際、形成されるピン間隔を臨界半径rの2倍以下とする。これにより、ピン有無の伝熱面における液滴平衡蒸気圧が、ピン有りの液滴平衡蒸気圧がピン無しの液滴平衡蒸気圧より「あらかじめ設定された値」(目標値)より大きくなるようにピンを分布させる。このピン分布によって、伝熱面上の凝縮液滴の成長を抑制し、着霜時の熱交換器の性能を向上させる。
図1は、伝熱フィン31を備えた蒸発器25を持つ冷凍装置100の冷媒回路図である。冷凍装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、屋内の冷凍に使用される。
図1において、室外機11は、圧縮機21、凝縮器22、凝縮器用ファン23を備える。室内機12は、膨張機構24、蒸発器25、蒸発器用ファン26を備える。冷凍装置100の冷媒回路には冷媒が充填されている。冷凍装置100は主にユニットクーラーやショーケースなどの低温機器に見られる形態であるが、一例である。蒸発器25側を屋外機とし、凝縮器22側を室内機として、室内の暖房あるいは給湯などに利用する形態でもよい。
(動作)
次に冷凍装置100(以下、装置といもう)の動作を説明する。装置内の冷媒は圧縮機21で圧縮され、高温高圧となって凝縮器22へと流れ込む。冷媒は凝縮器22で放熱し液冷媒となり、その後、膨張機構24により膨張され気液二相の冷媒となる。蒸発器25では冷媒は周囲空気から吸熱を行い、気体となって圧縮機21へと戻る。したがって、この冷凍サイクル装置は、庫内の空気を冷却する冷房運転を行う。
図2は、蒸発器25の外観の一例を示す図である。ここでは冷凍装置や空調機器に広く利用されているフィンチューブ式の熱交換器としての蒸発器25を示した。蒸発器25は主として複数の伝熱フィン31と複数の伝熱管32とで構成されている。この伝熱フィン31は、所定の間隔で複数枚積層されている。伝熱管32が、各伝熱フィン31に設けられた貫通穴を貫通するように、設けられている。伝熱管32を通じて流れ込んだ液冷媒が気化することで吸熱を行い、外部の空気と伝熱フィン31とを介して熱交換する。フィン材は加工しやすく熱伝導率のよいアルミ板がよく用いられる。空気との熱交換過程を効率的に行うため、蒸発器25には伝熱フィン31に向かって平行に蒸発器用ファン26により空気が送り込まれる。
例えば冷蔵条件下では、周囲の空気温度が0℃、冷媒の蒸発温度が約−10℃であり、冷凍条件下では、周囲の空気温度が−20℃、蒸発温度が約−30℃である。共にフィン表面は0℃以下であり、伝熱フィン31では流入空気中の水蒸気が霜となり着霜が生じる。着霜によりフィン間が霜により閉塞され、通過風量は減少し、空気との熱交換量が低下し、機器の冷却性能は悪化する。
以上のことから、フィン表面の着霜を抑制できれば、霜層による通風抵抗を減少させることが可能となる。以下に空気中の水蒸気がフィン表面で凝縮する過程を説明する。
(1)本実施の形態1では、後述の式(5)から導かれる臨界半径「r」を基準としたピン構造をフィンに設けることで、フィン表面に生成する霜層の成長を抑制する。
(2)また、凝縮液滴をフィン表面から落下させることで無着霜を実現する。
(3)また霜層を高密度化することで、高さ方向の成長を抑制し、風路閉塞に至る時間を遅延して、着霜条件下でも装置の性能低下を抑える。
(フィン表面41に生じる霜の生長過程)
図3は霜の成長過程を示す図である。図3を用いて霜の成長過程を説明する。0℃以上の温度の空気と冷却されたフィン表面41とが接している場合、フィン表面41の温度が空気の温湿度で決まる露点温度以下に冷却されていると、空気中の水蒸気42は表面41で冷却されてフィン表面41上に核43となって凝縮し(図3(a))、凝縮水滴44が形成される(図3(b))。無処理の表面上(図9で後述するピン構造が形成されていない表面上)では、この凝縮が表面の至る所で発生する。その後、凝縮水滴44は隣同士の凝縮水滴44と合体することで表面エネルギーを下げながら、合体を続けて成長する。このためフィン表面41上には径の大きさが異なる凝縮水滴45が存在するようになる(図3(c))。
図4は、アルミ表面上で生じる凝縮液滴の生成過程を撮影した写真である。
図4は、
空気温度7℃、
相対湿度85%、
冷却面(アルミ板)温度を―5℃、
としたときの凝縮液滴の成長過程をマイクロスコープにて観察し、1分毎に撮影した写真である。上記に述べたように、凝縮水滴は合体を続け、6分後には大きさの異なる凝縮液滴が生成し、大きい凝縮液滴ではおおよそ0.2mm程度まで成長することを確認した。
フィン表面41の温度が0℃以下の場合には、凝縮水滴は成長を続ける途中で0℃以下となるため凝固し、図3に示すように凝縮水滴45は氷滴46となる(図3(d))。その氷滴46から針状の霜47が発生し、全体として霜層が形成されていく(図3(e))。
空気の温度が0℃以下の時、文献では昇華により霜が形成されると報告があるが、−40℃まで水の過冷却液体が存在するとの報告もある。しかし本質的には霜の生成過程は0℃以上の場合と変わらない。冷却された表面上で生成した凝縮液滴若しくは氷滴が合体し、その氷滴から針状に霜が発生し、全体として霜層が形成されていく。
図5は、空気温度マイナス下での凝縮液滴の生成過程を撮影した写真である。
図5は、
空気温度を―5℃、
冷却面(アルミ板)温度−20℃、
とした時の結晶成長写真を示すが、空気温度がマイナスでも凝縮液滴(破線の範囲E)が確認できた。
図3で述べた水蒸気から霜への成長過程において、以下では水蒸気から凝縮水滴への相変化を考察する。この相変化では安定な環境相に核が発生し、その核が成長することで異なる相ができていく。核が成長するためには、熱力学的に相全体の自由エネルギーGを下げる必要があり、自由エネルギーの変化量dG(以下、変化量dGという)は半径rの核が生成したとき以下の式(1)で与えられる。
ここで各記号の意味は以下の様である。
γ:表面エネルギー密度、
ν:分子1個の体積、
dμ:分子一個あたりの化学ポテンシャルの変化量、
r:核の半径、
である。
核が成長することで自由エネルギーGを下げることは、半径rが増加することで変化量dGが小さくなればよい。つまり自由エネルギーGを半径rで微分したdG/drが負となることで核は安定に成長を続ける。
図6は、式(1)の左辺及び右辺第1項、第2項示す図である。図6は式(1)のr依存性を示している。縦軸は式(1)の値(変化量dG)を表わし、横軸は半径rを表わす。右辺一項は半径rの増加とともに負に減少し、二項は半径rの増加とともに正に増加する。このことから、式(1)では、dGは、ある半径r=rで極大値を持ち、0<r<rではrの増加と共に増加し、一方、r>rではrの増加と共に減少する。つまり図6からは、半径rがr以上の核のみが成長を続けることができることがわかる。このrを臨界半径rと呼ぶとする。
(臨界半径r
すなわち「臨界半径r」とは、伝熱フィンが使用される大気環境に相当する空気条件と伝熱フィンの伝熱面の温度に相当する伝熱面表面温度条件とに基づき決定される伝熱面に凝縮する凝縮液滴の半径であって、凝縮液滴が空気条件と伝熱面表面温度条件とのもとで成長を続けるかどうかの臨界値を示す臨界半径である。
臨界半径rは式(1)をrで微分することで得られ、以下の式(2)で与えられる。
水蒸気から凝縮液滴が生成する過程では、式(2)のdμは各々の相の圧力を用いて以下の式(3)で与えられる。
ここで各記号の意味は以下の様である。
k:ボルツマン定数、
T:絶対温度(温度という場合もある)、
p:水蒸気圧、
:凝縮水滴の平衡蒸気圧、
である。
式(3)を式(2)に代入することで、以下の式(4)が得られる。
(接触角θの反映)
上記の(4)式は、球状の凝縮液滴が成長する過程(図3(b)〜(c))を考慮して得られたが、冷却面の表面など凝縮水滴が接触角θを持つ表面上で成長する際には、式(4)は以下の式(5)で表される。
図7は接触角θを示す図である。式(5)にθ=180°を代入することで(凝縮液滴を球状とみなす)、式(5)は式(4)と同一となる。
図8は、接触角θが100°の場合のp/pと臨界半径rとの関係を示す図である。横軸は臨界半径r(対数目盛)、縦軸は「p/p」である。
図8は、条件として、アルミ板の表面の接触角θを、
θ=100°(実測値)
とし、凝縮水滴を0℃としたときのp/pをrの関数として表わした図である。
但し、
γ=76[erg/cm](水の0℃における物性値)、
ν=3×10−23[cm](水の0℃における物性値)
を用いた。
なお図8に示した「p/p」のr依存性は温度Tを変化させても(例えばT=263.283Kとしても)、値は大きく変化しない。つまりアルミ表面での水蒸気から凝縮水滴への相変化は、図8で考えることができる。
例えば、
空気条件が温度7℃、相対湿度85%、
表面温度が−10℃
のとき、
空気中の水蒸気圧は、
p=854Pa
であり、表面に生成する凝縮液滴の温度はおおよそ表面温度と等しい−10℃と考えられる。このとき凝縮水滴の−10℃における平衡蒸気圧は、
=286Pa
であり、おおよそpはpの3倍となる。
このような条件下での臨界半径rは、図8により
=0.2nm
である。
(フィンの表面構造)
図9はフィンの表面構造を示す図である。また図10は、図9に示すC方向における矢視を示す。線53は黒丸で示すピン50−1が正方形の各頂点に位置することを示すための仮想線である。また白丸で示すピン50−1が正方形の対角線交点位置に位置することを示している。図10に示す間隔d1〜d2はいずれも後述のピン間隔dに相当する。上記で求めた、
=0.2nm
の場合において、図9に示すようなピン構造が表面に設けられている冷却面表面51を考察する。図9に示すように、伝熱フィンの冷却面表面51は、島状に孤立した複数のピン50が形成されている。図9に示すそれぞれのピン50は、根元断面から先端断面にかけて徐々に断面積が減少する先細りの棒状体であり、断面はどの断面でも略円となる円錐台の形状である。
すなわち冷却面表面51の複数のピン50どうしでは、互いに隣り合うピンどうしのピン間隔dは、臨界半径rの2倍以下(d≧2r)である。なおピン間隔dは上記記載の条件下で得られた臨界半径r=0.2nmを基に、
ピン間隔d=2r=0.4nm
とする。
(ピン構造表面における核の生成)
(1)凝縮液滴の生成核は、表面の特異点から発生しやすいため、ピン先端部に初期生成核が発生する。ピンが規則正しく生成できれば、初期凝縮液滴はピン先端上に規則正しく発生する。そして、ピン先端の大きさが一様であれば、核から生成する凝縮液滴の大きさも一様となる。
(2)ピン先端で成長した凝縮液滴は、ピンの先端表面積分だけ成長した後、ピン先端周囲に到達する。この際、ピンとピンとの間は臨界半径rの2倍以下となっているため、凝縮液滴は生成しようとしても蒸発してしまうので、凝縮液滴の生成は起きず、空気層が形成されている状態となる。これは、ピン間隔dが臨界半径2r以下のときに、水滴の一部がこのピン間隔dを乗り越えようとする場合、平衡水蒸気圧pに対して水蒸気圧pは大きくなる。すなわち「p/p>1」となる。この場合、平衡水蒸気圧pよりも水蒸気圧pが大きくなるため、ピン間隔dを乗り越えようようとする水滴は成長することなく蒸発してしまう。
(3)その結果、ピンの先端表面でピン先端表面の周囲まで成長を続けた液滴は臨界半径rの2倍以下の溝(あるいは穴)の空気層によりピン間同士の合体が制限される。このため、ピン先端表面の周囲まで成長を続けた以上には径を大きくすることができず、氷滴となり霜へと成長をする。このことから表面は均一に霜が生成される状態となる。
(4)このように、微細なピン構造(突起)であって、伝熱面に付着した液滴の表面エネルギーを加味した水蒸気圧pをピンの無い平面に付着した液滴の平衡蒸気圧pよりも大きくする液滴直径以下(2r以下)の間隔で伝熱面に分布して設けられたピン構造によって、伝熱面上における霜の生成を制御できる。
(無処理表面)
先に示した図3、図4の無処理表面上では、液滴どうしのランダムな合体により不均一な凝縮液滴が生成し霜が形成されるため、結果的に氷滴の大きさもランダムとなり、霜高さが不均一となり、また極端に大きな凝縮液滴が霜層高さを高くする。
(ピン構造の表面)
しかし図9に示したような本実施の形態1のピン構造を用いることで、液滴はピン先端表面の周囲まで成長を続けた以上には径を大きくすることができないため、凹凸の少ない均一な霜ができる。
さらに次のような場合でもよい。ピン間隔dは臨界半径rを基に一定(d=2r以下)とし、ピン先端の径φを例えば0.2mm以下としておく。この場合、図4に示した空気条件下でも大きさが0.2mm以下の均一な凝縮液滴が生成するので、無処理表面に比べて霜高さを低くすることが可能となる。
図11は、「ピン先端の径φを例えば0.2mm以下」とした場合を示す図である。図11のような状況では、ピン構造は図11に示すように溝に近い状況となる。すなわち、ピン構造とは便宜上の単なる呼び名である。臨界半径で規定されるピン間隔dの溝若しくは碁盤の目構造をフィン表面に設けることで、隣り合う溝を越えて凝縮水滴が合体することができず、凝縮水滴の大きさを一様にでき、凹凸の少ない均一な霜が形成される。
なお、図9、図11にピン構造の例を示したが、ピン構造は、臨界半径rに基づく蒸発の効果が得られる形状であれば、ピン、溝に限らずどのような形状でも構わない。
(ピン先端径φ=2r
ピン先端の径φをピン間隔と同様に「d=2r」以下とすると、ピン先端表面にも液滴は成長できず、また、ピン間隔dの隙間にも液滴は成長できないので、フィン表面には霜が生成しないという効果を得ることができる。
また例えば、
空気条件が温度2℃相対湿度83%、
表面温度が−5℃、
のときは、空気中の水蒸気圧は、
p=590Pa
であり、
凝縮水滴の−5℃における平衡蒸気圧はp=421Paであり、
おおよそ、
p/p≒1.4
である。
このような条件下では臨界半径rは、図8より、
=0.8nm
である。
このように、空気条件や冷却面表面温度条件によって臨界半径rは異なる。
いずれの条件においても図8に示すグラフを用いることで、各条件における臨界半径rは算出可能である。
また、仮にピン先端周囲から隣のピンへと凝縮液滴が移動しようと際には、ピン先端部からあふれた凝縮水滴はピン間の空気層により押し出され、結果的に冷却面表面に停滞することができずフィンから転落する。この効果によりフィンへの着霜を阻止できる。
以上のように、ピン間隔dの基準値は装置(フィン)を使用する空気条件や冷却面温度条件によって変化するが、ピン間隔dが小さすぎるとフィン表面に無数にピン構造を設けなければ上記の効果は期待できない。
なお図9では、ピン間の形状は、ピン間上部からに下部になるにつれ径(ピン間隔)が小さくなる。このため、ピン間隔に関してはピン先端部では臨界半径以上であってもピン間下部に近づくにつれその径は小さくなる。したがって、基準値(2r)よりある程度大きいピン間隔dの場合でも、上記の効果は十分に期待できる。特にピン高さがμmオーダーであれば、ピン間隔が数十から数百nmでも上記の効果は十分に得られると考えられる。
上記記載のピン構造はナノサイズであるため、通常室内や室外で想定されるごみやちり等の径に比べて十分に小さいため、ピン構造が容易に閉塞することはなく、経年的に性能は維持できる。
なおピンの高さは、実際のフィンの強度を考えると、フィン表面の数μm程度に存在することが望ましい。
(ピン構造の製造方法:陽極酸化処理+エッチング処理)
例えば図9に示すようなピン構造をフィン表面に設ける手法として、陽極酸化処理後のエッチング処理が挙げられる。陽極酸化処理とは、処理対象となる金属を陽極とし、不溶性電極を陰極として電解質溶液中で直流電解操作を行うものである。陰極と陽極とが通電することで、陽極の金属の表面が酸化し、金属の一部がイオン化して電解質溶液中に溶解する。特にアルミニウム、ニオブ、タンタルなどが陽極酸化処理により酸化皮膜を持つ。この酸化皮膜は電気伝導率が悪いため、陽極酸化処理が進むにつれ、金属酸化物が素地上に形成され、規則正しく成長した細孔構造ができる。なお細孔の深さは電圧を印加する時間によって決まる。このようにして生成した細孔構造をアルカリまたは酸などで表面をエッチングすることで細孔径が広がり、隣あう細孔同士がつながり、本来細孔以外だった領域が取り残され、表面にはナノサイズのピン構造(突起部)が得られる。先にも述べたが、本実施の形態1ではピン間隔が重要となるため、エッチングが重要となる。エッチングによる細孔径の広がりは、処理液の濃度と処理時間とによる。例えば0.05mol/Lの苛性ソーダであれば1分程度行うことが望ましい。
(ピン構造の別の製造方法:陽極酸化処理+再度の陽極酸化処理)
またピン構造を表面に設ける別の方法として、陽極酸化処理後に再度酸化処理を行う方法がある。陽極酸化処理を再度行うことでエッチングと同様に細孔径が広がり、ピン構造が得られる。
以上のことから、空気条件と冷却面温度条件によって決まる臨界半径の2倍よりも小さな間隔でフィン表面にピン構造を設けることで、ピン先端のみで凝縮水滴を発生し成長させることができるため、フィン上の霜高さを抑制することができる。またピン間の空気層により、ピン先端から外れた凝縮液滴を落下させることができる。この結果、霜層をフィン表面から消失させることができ、着霜による能力低下を遅延できる。また、この効果を用いることで、フィン間の間隔をより狭くでき、従来の熱交換器と同等の性能を持った小型の熱交換器が開発可能となる。
(フィン表面におけるピン構造の加工範囲)
また例えば空調機で用いられる蒸発器としての熱交換器は空気との熱交換量を増やすために、フィン間隔を一般の熱交換器に比べて狭くしている。そのため、風上側と風下側を比較すると、風上側に付く霜の量が多く、また霜の高さも風上側が高く、風下に近づくにつれ霜の高さも低くなる。これは風上側で空気中の水蒸気の大部分が凝縮液滴となるため、風下側に近づくにつれ空気中に含まれる水蒸気量が減るためである。このような熱交換器に対しては、風上側の霜高さを抑制できれば、風量低下を抑制でき風下側も有効に熱交換を行うことができる。そのため、上記のピン構造を主に風上側だけに設けることで、風上側に付く霜の高さを抑制できる。例えば、図2に示すのフィン風上側34の範囲にピン構造を設ける。
また例えば空調機で用いられる蒸発器にはスリット構造を持つ熱交換器もあるが、スリット部では前縁効果により熱交換量が大きいため、着霜量が多い。着霜によりスリット部が埋まり、蒸発器の性能は低下する。このようなスリット構造を持つ蒸発器に対して前記効果を持たせるため、スリット部近傍に上記のピン構造を設けることで霜高さを抑制できれば、スリット部が埋まる時間を遅延でき性能低下を抑制できる。
実施の形態1の伝熱フィン31により、フィン表面に生成する霜層の成長を抑制できる。
また、霜層として存在する前にフィンから滴下または移動させるので、着霜条件下において蒸発器での通過風量の低下を抑制することができる。これにより蒸発器は着霜時においても冷却能力を維持でき、省エネを図ることができる。
実施の形態2.
次に図12を参照して実施の形態2を説明する。実施の形態2は、伝熱フィン31のフィン表面を撥水化する形態である。実施の形態2における「撥水化」とは、実施の形態1の式(5)において接触角θが90°よりも大きい場合をいう。フィン表面を撥水化することで以下に説明するようにピン間隔の基準である臨界半径r(すなわち製造上のピン間隔d)を大きくすることができる。このため、ピン構造を製造し易くなる効果がある。
すなわち実施の形態1の効果をさらに高めるために、ピン構造を持ったフィン表面に対して、撥水化を施してもよい。撥水化の方法として、例えば上記で述べた陽極酸化処理を応用したテフロンアルマイト(テフロンは登録商標)などがある。通常テフロンアルマイト(テフロンは登録商標)は表面の摩擦軽減のために用いられる。
図12は、撥水化した場合のグラフである。図12は接触角θを、
θ=150°
としたときのp/pをrの関数として表わしたグラフである。接触角を大きくすることで、例えば上記記載の空気条件が、
温度7℃、
相対湿度85%、
表面温度が−10℃、
のとき(p/p≒3)では、臨界半径rは0.2nmから1.0nm程度まで大きくなる。
臨界半径が大きくなることでピン構造の効果を得るためのピン間隔d、つまり2rが臨界半径に比例して大きくなるため、製造上の制約を緩和できる。したがって、フィン表面の撥水化は製造面で有効である。
実施の形態3.
次に図13を参照して実施の形態3を説明する。実施の形態3は、伝熱フィン31のフィン表面を親水化する形態である。実施の形態3における「親水化」とは、実施の形態1の式(5)における接触角θが90°よりも小さい場合をいう。実施の形態3では、陽極酸化処理等によりナノオーダーのピン構造を形成することで、伝熱面を塗装膜に頼らず親水化する。新水化によって、霜層の密度を高めて熱交換器(蒸発器25)の通風抵抗を軽減し、熱交換器(蒸発器25)の小型化と性能向上を図る。特に親水化したフィンに対しては、ナノオーダーのピン構造による細孔内への吸着を利用し、生成する霜層を高密度化する。この高密度化により、高さ方向の霜の成長を抑制して着霜時の性能向上を図る。また同時に凝縮液滴の飛散を防止し、エアコン用熱交換器の設計や製造における露飛び対策の制約を除き性能向上を得る。また熱交換器を通過する空気を加湿し、加湿装置の効率を向上させる。以下に詳細を説明する。
また、一般的に実施の形態1で説明した陽極酸化処理では、表面に親水基「−OH」が生成し、表面を親水化することもできる。
図12は接触角θをθ=40°(陽極酸化処理したアルミ表面の接触角の実測値)としたときのp/pをrの関数として表わした図である。なお図13では、接触角以外の空気条件やフィン表面温度条件は、図12(θ=150°)と同じである。
図13のr依存性は、図8や図12とは大きく異なる。
(1)図8、図12ではrの減少と共に「p/p」が1を上回り、過飽和(pがpより大きくなる)に至っても凝縮液滴が生成しないことを表していた。
(2)しかし図13ではrの減少と共に「p/p」が1を下回り、つまり過飽和に至る前(pがpより小さい)に水蒸気から水滴への凝縮が起こることを表している。
このことから、図13より、親水化した表面上でのピン構造では、以下の(A)あるいは(B)という2つの状況が考えられる。
(A)ピン間隔dが臨界半径rの2倍よりも狭いピン間では過飽和に至る前に凝縮過程が生じてピン間は凝縮液滴で満たされる。
(B)ピン間隔dは臨界半径rの2倍より広く、ピン先端が臨界半径rより狭いピン表面では、過飽和に至る前に凝縮液滴が生成、ピン間も水滴が侵入可能となる。
このことから、図13より、親水化したピン間隔dが臨界半径rに近い狭い間隔の表面上では、過飽和に至る前に全表面上で凝縮過程が生じて表面は凝縮液滴で満たされる(上記(A))。
以下に上記親水表面上で想定されるピン構造を利用したフィン表面構造を述べる。
表面ではナノオーダーの間隔で凝縮水滴が溢れるため、水膜が形成される。この状況下での霜の成長は図4で示した成長過程とは大きく異なり、初期に急速に水膜が生成され、その直後、水膜下ではナノサイズのピン構造により伝熱面積が拡大しているため、水膜形成後すぐに凝固が始まる。実際に親水性ピン構造を持った表面を作成し、図4と凝固に至る時間を比較したところ、図4では凝固に至る時間が10分程度であったが、親水性のピン構造を持った表面ではわずか1分であった。
この早い凝固と水膜形成効果により、霜層初期の密度は高くなる。なおここで定義する霜の密度であるが、図4等で示した局所的な液滴の密度ではなく、ある程度マクロな大きさ(例えば10mm×10mmのオーダー)での霜層の密度である。つまり、水膜が形成し早く凝固することで、隙間なく冷却面表面に氷の層ができ、霜層は高密度化する。また霜層の表面も微細な凹凸がなくなり滑らかとなるため、着霜時に通風抵抗が軽減され、着霜条件下での性能向上が見込まれる。
また上記水膜の形成は着霜時だけでなく、蒸発器表面が0℃以上の露点温度となる濡れ面条件下で、その性能を大きく向上させることが可能となる。濡れ面では凝縮水滴による風路抵抗、露飛びが大きな問題で、通常の蒸発器表面はプレコート、ポストコート等により親水処理される。上記ピン構造を利用することでこのような親水処理以上の高い濡れ性が実現でき、濡れ面においても更なる性能向上、露飛び軽減が実現できる。
上記露飛びの軽減は家庭用のエアコンやオフィス等のパッケージエアコンでの室内機に有効である。一般的にこれらの室内機に用いられる熱交換器には露飛び軽減のため、塗装膜による親水処理が行われている。本発明により塗装膜なしで親水化が実現でき、熱交換器の小型化と性能向上を得る。
また上記の親水化したピン構造で得られる過飽和に至る前の凝縮液滴の生成を利用することで、冷凍サイクルを利用した除加湿装置で性能向上が実現できる。つまり通常の除加湿装置では、除湿では露点温度以下に蒸発器を冷却することで、空気中の水蒸気の除湿を行っているが、上記ピン構造を利用すると蒸発器温度を露点温度程度かそれ以上の温度でも凝縮液滴が生成するため、除湿が可能となる。
冷凍サイクルの成績係数COPは以下の式で与えられる。
ここで△hは蒸発器出入り口のエンタルピー差、△hは凝縮器出入り口のエンタルピー差と△hの差を表す。凝縮器でのエンタルピー差が一定であれば、△hが大きいほどCOPは高くなる。また蒸発器出口の加熱度が等しければ蒸発温度が高いほど機器の成績係数(COP)は高くなる。つまり上記親水化したピン構造を利用して蒸発温度を高くできれば除湿機の性能は向上する。
また上記ピン内に吸着した水分はナノサイズのピン構造による伝熱面積拡大で、蒸発器を露点温度以上にわずかに加熱するだけで容易に脱着させることができる。これを利用することで、空気の加湿が容易に行われ、空気湿度の調節が可能となり、快適な温湿度空気が作成可能となる。
上記除加湿装置として、例えば家庭用除湿器やビル等の空調設備がある。特に空調設備では、近年ビル管理法により室内空気の湿度制御が重要となってきており、これらの観点からも本発明の熱交換器は有効である。
なお以上の実施の形態1で示したピン構造は、
(1)凸部がナノオーダーの凹凸構造、
(2)凸部が島模様の形状である島形状や壁状の形状、
(3)凹部である細孔内で隣り合う細孔同士が繋がるスポンジ構造においても、上記と同様の効果が得られる。
(4)また冷凍空調装置の熱交換器だけではなく例えばカーエアコンにも本実施の形態は適用可能である。
以上の実施の形態3では親水化表面上にピン構造を設けたので、霜層を高密度化し、霜高さ方向の成長を抑制し、霜層によるフィン閉塞を遅延させ、着霜条件下において蒸発器への通過風量の低下を抑制することができる。
以上の実施の形態1〜3で説明した伝熱フィン31を備えた熱交換器を利用することで、着霜時の冷却性能を維持することが可能となり、また濡れ面条件、除湿加湿においても機器の性能改善につながる。
以上の実施の形態1〜3では、蒸発器フィン温度と蒸発器流入空気温湿度条件で決まる凝縮液滴の臨界半径rを基準とするナノオーダーのピン構造を蒸発器フィンに設けた。そして、ピン間隔を臨界半径r以下とすることで、蒸発器フィン表面に生成する初期凝縮液滴をピン先端に停滞させることで霜層の成長を抑制すると共に。また初期凝縮液滴がピンから移動しようとする際には蒸発器フィンから落下するので無着霜を実現できる。これにより着霜条件下でも冷却能力を維持し、機器の省エネにつなげることができる。またこの効果をより高めるため、ナノオーダーのピン構造を持ったフィン表面を撥水化し、ピン間隔dを大きくするこができることを説明した。さらに親水化したフィンに対して、ナノオーダーのピン構造により細孔内への吸着を利用し、生成する霜層を高密度化し、高さ方向の成長を抑制して着霜時の性能向上を図ることができることを説明した。。
11 室外機、12 室内機、21 圧縮機、22 凝縮器、23 凝縮器用ファン、24 膨張機構、25 蒸発器、26 蒸発器用ファン、31 伝熱フィン、32 伝熱管、41 フィン表面、42 水蒸気、43 核、44 凝縮水滴、45 合体後の凝縮水滴、46 氷滴、47 針状の霜、50 ピン、51 ピン構造を持った冷却面表面、100 冷凍装置。

Claims (10)

  1. 熱交換器用の伝熱材において、
    伝熱面に形成された複数の突起部からなる突起構造であって、前記突起部どうしの間隔が、前記伝熱面に付着した液滴の表面エネルギーを加味した水蒸気圧pを、ピンの無い平面に付着した液滴の平衡蒸気圧pよりも大きくする液滴直径以下の間隔で設けられた複数の突起部からなる突起構造を備えたことを特徴とする熱交換器用の伝熱材。
  2. 前記複数の突起部は、
    前記伝熱面に島状に孤立して形成され、
    互いに隣り合う前記突起部どうしの間隔は、
    前記伝熱材が使用される大気環境に相当する空気条件と冷却表面温度に相当する伝熱面表面温度条件とに基づき決定される前記伝熱面表面に凝縮する凝縮液滴の半径であって、前記凝縮液滴が前記空気条件と前記伝熱面表面温度条件とのもとで成長を続けるかどうかの臨界値を示す臨界半径の2倍以下であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用の伝熱材。
  3. 前記複数の突起部の各突起部は、
    根元断面から先端断面にかけて徐々に断面積が減少する先細りの棒状体であることを特徴とする請求項2記載の熱交換器用の伝熱材。
  4. 前記複数の突起部の各突起部は、
    根元から先端にかけての断面が、略円であることを特徴とする請求項3記載の熱交換器用の伝熱材。
  5. 前記先端断面は、
    半径が前記臨界半径以下であることを特徴とする請求項4記載の熱交換器用の伝熱材。
  6. 前記臨界半径は、
    前記空気条件と伝熱面表面温度条件とに加え、さらに、前記伝熱面の平坦部に凝縮する凝縮液滴の接触角に基づき決定され、
    前記接触角は、
    90°より大きいことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の熱交換器用の伝熱材。
  7. 前記臨界半径は、
    前記空気条件と伝熱面表面温度条件とに加え、さらに、前記伝熱面の平坦部に凝縮する凝縮液滴の接触角θに基づき決定され、
    前記接触は、
    90°よりも小さいことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の熱交換器用の伝熱材。
  8. 前記伝熱材は、
    伝熱管が貫通する穴が形成された板状体のフィンであって前記伝熱管の方向と直交する方向から送風機によって空気が送りこまれるフィンであり、
    前記複数の突起部は、
    前記伝熱管に空気が向かってくる風上側に形成されたことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の熱交換器用の伝熱材。
  9. アルミ材の伝熱材の伝熱面を表面酸化処理する工程と、
    前記表面酸化処理工程の後に前記伝熱面をエッチング処理することにより、前記伝熱面に島状に孤立した複数の突起部であって、互いに隣り合うどうしの間隔が、前記伝熱材が使用される大気環境に相当する空気条件と冷却表面温度に相当する伝熱面表面温度条件とに基づき決定される前記伝熱面表面に凝縮する凝縮液滴の半径であって、前記凝縮液滴が前記空気条件と前記伝熱面表面温度条件とのもとで成長を続けるかどうかの臨界値を示す臨界半径の2倍以下である複数の突起部を形成する工程と
    を備えたことを特徴とする伝熱面の加工方法。
  10. アルミ材の伝熱材の伝熱面を表面酸化処理する第1の表面酸化処理工程と、
    前記第1の表面酸化処理工程の後に、再び表面酸化処理を行うことにより、前記伝熱面に島状に孤立した複数の突起部であって、互いに隣り合うどうしの間隔が、前記伝熱材が使用される大気環境に相当する空気条件と冷却表面温度に相当する伝熱面表面温度条件とに基づき決定される前記伝熱面表面に凝縮する凝縮液滴の半径であって、前記凝縮液滴が前記空気条件と前記伝熱面表面温度条件とのもとで成長を続けるかどうかの臨界値を示す臨界半径の2倍以下である複数の突起部を形成する第2の表面酸化処理工程と
    を備えたことを特徴とする伝熱面の加工方法。
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