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JP2011119562A - 熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents

熱処理方法および熱処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物注入時に導入された欠陥の回復を促進しつつ、不純物の良好な活性化を行うことができる熱処理方法および熱処理装置を提供する。
【解決手段】フラッシュランプFLが第1の発光ピークEP1を有する出力波形にて発光することにより第1のフラッシュ光照射が実行される。第1のフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面温度が850℃以上1000℃以下となり、これによって不純物注入時に導入された欠陥の回復が促進される。次に、フラッシュランプFLが第1の発光ピークEP2を有する出力波形にて発光することにより第2のフラッシュ光照射が実行される。第2のフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面の到達温度は1100℃以上1350℃以下となり、これによって不純物の良好な活性化が行われる。
【選択図】図13

Description

本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法および熱処理装置に関する。
従来より、イオン注入後の半導体ウェハーの不純物(イオン)活性化工程においては、ハロゲンランプを使用したランプアニール装置が一般的に使用されていた。このようなランプアニール装置においては、半導体ウェハーを、例えば、1000℃ないし1100℃程度の温度に加熱(アニール)することにより、半導体ウェハーの不純物活性化を実行している。そして、このような熱処理装置においては、ハロゲンランプより照射される光のエネルギーを利用することにより、毎秒数百度程度の速度で半導体ウェハーを昇温する構成となっている。
一方、近年、半導体デバイスの高集積化が進展し、ゲート長が短くなるにつれて接合深さも浅くすることが望まれている。しかしながら、毎秒数百度程度の速度で半導体ウェハーを昇温する上記ランプアニール装置を使用して半導体ウェハーの不純物活性化を実行した場合においても、半導体ウェハーに打ち込まれたボロンやリン等の不純物が熱によって深く拡散するという現象が生ずることが判明した。このような現象が発生した場合においては、接合深さが要求よりも深くなり過ぎ、良好なデバイス形成に支障が生じることが懸念される。
このため、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、イオンが注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリセカンド以下)に1100℃程度にまで昇温させる技術が提案されている(例えば、特許文献1,2)。キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリセカンド以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
特開2004−55821号公報 特開2004−88052号公報
しかしながら、フラッシュ光照射によるアニール処理は、極短時間で半導体ウェハーの表面を1100℃以上の高温にまで昇温することができるため、注入された不純物の拡散を抑制すること、および、不純物の活性化には有効であるが、不純物注入時に導入されたシリコンの結晶欠陥の回復には適さなかった。結晶欠陥を十分に回復させないままFET(Field Effect Transistor)などの半導体デバイスを作製すると、リーク電流が大きくなるという問題が発生する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、不純物注入時に導入された欠陥の回復を促進しつつ、不純物の良好な活性化を行うことができる熱処理方法および熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を予備加熱するフラッシュ予備加熱工程と、前記フラッシュ予備加熱工程の後、フラッシュランプから第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面をさらに昇温するフラッシュ主加熱工程と、を備え、第1のフラッシュ光照射が開始されてから第2のフラッシュ光照射が開始されるまでの間隔は10ミリ秒以上600ミリ秒以下であることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記フラッシュ予備加熱工程での基板の表面温度は850℃以上1000℃以下であることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理方法において、前記フラッシュ主加熱工程での第2のフラッシュ光照射時間は1ミリ秒以上5ミリ秒以下であり、基板の表面の到達温度は1100℃以上1350℃以下であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理方法において、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射のそれぞれの開始時にフラッシュランプのトリガー電極にトリガー電圧を印加することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記フラッシュ予備加熱工程の前に、ハロゲンランプからの光照射によって基板を750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下保持する補助加熱工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る熱処理方法において、前記補助加熱工程の前に、ハロゲンランプからの光照射によって基板を300℃以上600℃以下に1秒以上4秒以下保持する温度均一化工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、基板に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を点接触にて支持する支持手段と、前記支持手段に支持された基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、前記フラッシュランプの発光を制御する発光制御手段と、を備え、前記発光制御手段は、第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を予備加熱した後、第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面をさらに昇温するように前記フラッシュランプの発光を制御するとともに、第1のフラッシュ光照射を開始してから第2のフラッシュ光照射を開始するまでの間隔を10ミリ秒以上600ミリ秒以下とすることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る熱処理装置において、前記発光制御手段は、前記フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を850℃以上1000℃以下に昇温することを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明に係る熱処理装置において、前記発光制御手段は、前記フラッシュランプから1ミリ秒以上5ミリ秒以下の第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面を1100℃以上1350℃以下に到達させることを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項7から請求項9のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記発光制御手段は、フラッシュランプのトリガー電極にトリガー電圧を印加するトリガー回路を含み、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射のそれぞれの開始時に前記トリガー電極にトリガー電圧を印加するように前記トリガー回路を制御することを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項7から請求項10のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記支持手段に支持された基板に光を照射するハロゲンランプをさらに備え、前記フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行う前に、前記ハロゲンランプは光照射によって基板を750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下保持する補助加熱を行うことを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項11の発明に係る熱処理装置において、前記ハロゲンランプは、前記補助加熱を行う前に、光照射によって基板を300℃以上600℃以下に1秒以上4秒以下保持することを特徴とする。
また、請求項13の発明は、請求項7から請求項12のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記発光制御手段は、前記フラッシュランプ、コンデンサおよびコイルと直列に接続された絶縁ゲートバイポーラトランジスタを備えることを特徴とする。
請求項1から請求項6の発明によれば、フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を予備加熱するフラッシュ予備加熱工程と、フラッシュ予備加熱工程の後、フラッシュランプから第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面をさらに昇温するフラッシュ主加熱工程と、を備え、第1のフラッシュ光照射が開始されてから第2のフラッシュ光照射が開始されるまでの間隔は10ミリ秒以上600ミリ秒以下であるため、第1のフラッシュ光照射よって不純物注入時に導入された欠陥の回復を促進しつつ、第2のフラッシュ光照射によって不純物の良好な活性化を行うことができる。
特に、請求項2の発明によれば、フラッシュ予備加熱工程での基板の表面温度は850℃以上1000℃以下であるため、欠陥を十分に回復することができる。
特に、請求項3の発明によれば、フラッシュ主加熱工程での第2のフラッシュ光照射時間は1ミリ秒以上5ミリ秒以下であり、基板の表面の到達温度は1100℃以上1350℃以下であるため、不純物の良好な活性化を行うことができる。
特に、請求項4の発明によれば、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射のそれぞれの開始時にフラッシュランプのトリガー電極にトリガー電圧を印加するため、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射を確実に発光することができる。
特に、請求項5の発明によれば、フラッシュ予備加熱工程の前に、ハロゲンランプからの光照射によって基板を750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下保持する補助加熱工程をさらに備えるため、フラッシュ予備加熱の前にある程度欠陥回復を行うことができる。
特に、請求項6の発明によれば、補助加熱工程の前に、ハロゲンランプからの光照射によって基板を300℃以上600℃以下に1秒以上4秒以下保持する温度均一化工程をさらに備えるため、基板の面内温度分布の均一性を向上させることができる。
また、請求項7から請求項13の発明によれば、第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を予備加熱した後、第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面をさらに昇温するようにフラッシュランプの発光を制御するとともに、第1のフラッシュ光照射を開始してから第2のフラッシュ光照射を開始するまでの間隔を10ミリ秒以上600ミリ秒以下とするため、第1のフラッシュ光照射よって不純物注入時に導入された欠陥の回復を促進しつつ、第2のフラッシュ光照射によって不純物の良好な活性化を行うことができる。
特に、請求項8の発明によれば、フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を850℃以上1000℃以下に昇温するため、欠陥を十分に回復することができる。
特に、請求項9の発明によれば、フラッシュランプから1ミリ秒以上5ミリ秒以下の第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面を1100℃以上1350℃以下に到達させるため、不純物の良好な活性化を行うことができる。
特に、請求項10の発明によれば、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射のそれぞれの開始時にトリガー電極にトリガー電圧を印加するため、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射を確実に発光することができる。
特に、請求項11の発明によれば、フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行う前に、ハロゲンランプは光照射によって基板を750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下保持する補助加熱を行うため、予備加熱の前にある程度欠陥回復を行うことができる。
特に、請求項12の発明によれば、ハロゲンランプは、補助加熱を行う前に、光照射によって基板を300℃以上600℃以下に1秒以上4秒以下保持するため、基板の面内温度分布の均一性を向上させることができる。
本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の斜視図である。 保持プレートの平面図である。 保持プレートに半導体ウェハーが載置されたときのバンプ近傍を拡大した図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 半導体ウェハーを保持した保持プレートを示す図である。 フラッシュランプの駆動回路を示す図である。 図1の熱処理装置での処理対象となる半導体ウェハーに形成された素子の構造を示す図である。 半導体ウェハーの表面温度の変化を示す図である。 パルス信号の波形と回路に流れる電流との相関の一例を示す図である。 フラッシュランプの発光出力と半導体ウェハーの表面温度との相関の一例を示す図である。 トリガー電圧の印加タイミングの他の例を示す図である。 パルス信号の波形と回路に流れる電流との相関の他の例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板としてφ300mmの円板形状の半導体ウェハーWに対して閃光(フラッシュ光)を照射することによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、シャッター部2と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、シャッター部2、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射された光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス(N2))を供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は窒素ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、窒素ガス供給源85から緩衝空間82に窒素ガスが送給される。緩衝空間82に流入した窒素ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、窒素ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の斜視図である。保持部7は、サセプタ70および保持プレート74を備えて構成される。サセプタ70は、石英により形成され、円環形状のリング部71に複数の爪部72(本実施形態では4本)を立設して構成される。図3は、保持プレート74の平面図である。保持プレート74は石英にて形成された円形の平板状部材である。保持プレート74の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート74は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。保持プレート74の上面には複数個のバンプ75が立設されている。本実施形態においては、保持プレート74の外周円と同心円の周上に沿って60°毎に計6本のバンプ75が立設されている。6本のバンプ75を配置した円の径(対向するバンプ75間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、本実施形態ではφ280mmである。それぞれのバンプ75は石英にて形成された支持ピンである。なお、バンプ75の個数は6本に限定されるものではなく、半導体ウェハーWを安定して支持可能な3本以上であれば良い。
また、保持プレート74の上面には、6本のバンプ75と同心円状に複数個(本実施形態では5個)のガイドピン76が立設されている。5個のガイドピン76を配置した円の径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。各ガイドピン76は石英にて形成されている。なお、これら複数個のガイドピン76に代えて上側に向けて拡がるように水平面と所定の角度をなすテーパ面が形成された円環状部材を設けるようにしても良い。
リング部71が凹部62の底面に載置されることによって、サセプタ70がチャンバー6に装着される。そして、保持プレート74はチャンバー6に装着されたサセプタ70の爪部72に載置される。チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWはサセプタ70に保持された保持プレート74の上に水平姿勢にて載置される。
図4は、保持プレート74に半導体ウェハーWが載置されたときのバンプ75近傍を拡大した図である。サセプタ70の各爪部72には支持棒73が立設されている。支持棒73の上端部が保持プレート74の下面に穿設された凹部に嵌合することによって、保持プレート74が位置ずれすることなくサセプタ70に保持される。
また、バンプ75およびガイドピン76も保持プレート74の上面に穿設された凹部に嵌着されて立設されている。保持プレート74の上面に立設されたバンプ75およびガイドピン76の上端は当該上面から突出する。半導体ウェハーWは保持プレート74に立設された複数のバンプ75によって点接触にて支持されて保持プレート74上に載置される。バンプ75の上端の高さ位置から保持プレート74の上面までの距離は0.5mm以上3mm以下(本実施形態では1mm)である。従って、半導体ウェハーWは複数のバンプ75によって保持プレート74の上面から0.5mm以上3mm以下の間隔を隔てて支持されることとなる。また、ガイドピン76の上端の高さ位置はバンプ75の上端よりも高く、複数のガイドピン76によって半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれが防止される。なお、バンプ75およびガイドピン76を保持プレート74と一体に石英にて加工するようにしても良い。
また、ガイドピン76に代えて上記テーパ面が形成された円環状部材を設けた場合には、当該円環状部材によって半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれが防止される。そして、保持プレート74の上面のうち少なくとも複数のバンプ75に支持された半導体ウェハーWに対向する領域は平面となる。この場合、半導体ウェハーWは複数のバンプ75によって保持プレート74の当該平面から0.5mm以上3mm以下の間隔を隔てて支持されることとなる。
また、図2および図3に示すように、保持プレート74には、上下に貫通して開口部78および切り欠き部77が形成されている。切り欠き部77は、熱電対を使用した接触式温度計130のプローブ先端部を通すために設けられている。一方、開口部78は、放射温度計120が保持プレート74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12が保持プレート74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端が保持プレート74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、サセプタ70のリング部71の直上である。リング部71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
図9は、フラッシュランプFLの駆動回路を示す図である。同図に示すように、コンデンサ93と、コイル94と、フラッシュランプFLと、スイッチング素子96とが直列に接続されている。フラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部に陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)92と、該ガラス管92の外周面上に付設されたトリガー電極91とを備える。コンデンサ93には、電源ユニット95によって所定の電圧が印加され、その印加電圧に応じた電荷が充電される。また、トリガー電極91にはトリガー回路97から電圧を印加することができる。トリガー回路97がトリガー電極91に電圧を印加するタイミングは制御部3によって制御される。
本実施の形態では、スイッチング素子96として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT;Insulated gate bipolar transistor)を用いている。IGBTは、ゲート部にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)を組み込んだバイポーラトランジスタであり、大電力を取り扱うのに適したスイッチング素子である。スイッチング素子96のゲートには制御部3のパルス発生器31からパルス信号が印加される。
コンデンサ93が充電された状態でスイッチング素子96のゲートにパルスが出力されてガラス管92の両端電極に高電圧が印加されたとしても、キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、通常の状態ではガラス管92内に電気は流れない。しかしながら、トリガー回路97がトリガー電極91に電圧を印加して絶縁を破壊した場合には両端電極間の放電によってガラス管92内に電流が瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。
また、図1のリフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射された光を保持部7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4の内部には複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLが内蔵されている。複数のハロゲンランプHLはチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行う。図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。本実施形態では、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも端部側の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、図1に示すように、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4およびチャンバー6の側方にシャッター機構2を備える。シャッター機構2は、シャッター板21およびスライド駆動機構22を備える。シャッター板21は、ハロゲン光に対して不透明な板であり、例えばチタン(Ti)にて形成されている。スライド駆動機構22は、シャッター板21を水平方向に沿ってスライド移動させ、ハロゲン加熱部4と保持部7との間の遮光位置にシャッター板21を挿脱する。スライド駆動機構22がシャッター板21を前進させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置(図1の二点鎖線位置)にシャッター板21が挿入され、下側チャンバー窓64と複数のハロゲンランプHLとが遮断される。これによって、複数のハロゲンランプHLから熱処理空間65の保持部7へと向かう光は遮光される。逆に、スライド駆動機構22がシャッター板21を後退させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置からシャッター板21が退出して下側チャンバー窓64の下方が開放される。
また、制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。また、図9に示すように、制御部3は、パルス発生器31および波形設定部32を備えるとともに、入力部33に接続されている。入力部33としては、キーボード、マウス、タッチパネル等の種々の公知の入力機器を採用することができる。入力部33からの入力内容に基づいて波形設定部32がパルス信号の波形を設定し、その波形に従ってパルス発生器31がパルス信号を発生する。この制御部3と、トリガー回路97と、スイッチング素子96とによってフラッシュランプFLの発光を制御する発光制御手段が構成される。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。図10は、熱処理装置1での処理対象となる半導体ウェハーWに形成された素子の構造を示す図である。シリコン基板111にはソース・ドレイン領域112とエクステンション領域113とが形成されるとともに、その上面にはゲート電極115が設けられる。エクステンション領域113はソース・ドレイン領域112とチャネルとの電気的接続部である。金属のゲート電極115はゲート絶縁膜114を介してシリコン基板111上に設けられており、その測方にはセラミックスのサイドウォール116が形成される。ソース・ドレイン領域112およびエクステンション領域113にはイオン注入法によって不純物が導入されており、その不純物の活性化が熱処理装置1による光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介してイオン注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通って保持プレート74の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7の保持プレート74に受け渡されて水平姿勢に保持される。図8は、半導体ウェハーWを保持した保持プレート74を示す図である。半導体ウェハーWは6本のバンプ75によって点接触にて支持され、保持プレート74の上面から0.5mm以上3mm以下の間隔(本実施形態では1mm)を隔てて保持される。これにより、半導体ウェハーWの下面と保持プレート74の上面との間には厚さ1mmの気体層が挟み込まれることとなる。保持プレート74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが保持部7の保持プレート74に載置されて保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯する。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64および保持プレート74を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWの温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
図11は、半導体ウェハーWの表面温度の変化を示す図である。半導体ウェハーWが搬入されて保持プレート74に載置された後、時刻t0にて40本のハロゲンランプHLが点灯して半導体ウェハーWの温度が上昇する。半導体ウェハーWの温度は接触式温度計130および放射温度計120によって測定されている。これらによって測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。
但し、半導体ウェハーWから放射される赤外光を受光して温度測定を行う放射温度計120は、半導体ウェハーWの温度があまりに低温(300℃未満)であるときには測定不能である。このため、後述の補助加熱を行う前に、ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWを300℃以上600以下に1秒以上4秒以下保持するようにしている。具体的には、接触式温度計130によって測定される半導体ウェハーWの温度が300℃以上600以下の設定温度(本実施形態では300℃)に到達した時刻t1にて制御部3が一旦ハロゲンランプHLの出力を低下させて半導体ウェハーWの温度を1秒以上4秒以下ほぼ一定に維持する。これにより、放射温度計120による半導体ウェハーWの温度測定を確実なものとすることができる。また、半導体ウェハーWの温度を一定に維持している間に、半導体ウェハーWの全体が上記設定温度に均一に昇温されることとなるため、半導体ウェハーWを一気に補助加熱温度に昇温するのに比較して面内温度分布の均一性を向上させることができる。なお、300℃以上600℃以下の比較的低い温度域では不純物の拡散や活性化といった現象は全く生じない。
半導体ウェハーWを300℃以上600℃以下の設定温度に1秒以上4秒以下維持した時刻t2にて、制御部3がハロゲンランプHLの出力を再度上昇させて半導体ウェハーWをさらに昇温して補助加熱(アシスト加熱)を実行する。この補助加熱工程においては、ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWを750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下保持する。具体的には、放射温度計120および接触式温度計130によって測定される半導体ウェハーWの温度が750℃以上800℃以下の設定温度(本実施形態では750℃)に到達した時刻t3にて制御部3が半導体ウェハーWの温度を1秒以上10秒以下(本実施形態では4秒)ほぼ一定に維持するようにハロゲンランプHLの出力を制御する。この補助加熱を行うことによって、不純物注入時に半導体ウェハーWのシリコン基板111に導入された結晶欠陥の回復が進行する。
ところが、補助加熱を行う750℃以上800℃以下の温度域では、欠陥回復が進行するとともに、注入した不純物の拡散が生じるおそれもある。特に、温度が高くなるに従って拡散が生じるのに要する時間は指数関数的に短くなり、800℃を超えると10秒以下で不純物の拡散が生じるおそれがある。一方、750℃未満の温度域では、不純物の拡散に数十秒以上の長時間を要するものの、結晶欠陥の回復もほとんど進行しない。このため、補助加熱工程は、半導体ウェハーWを750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下維持することによって行う。
補助加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、補助加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一なものとすることができる。
さらに、チャンバー側部61に装着された反射リング69の内周面は鏡面とされているため、この反射リング69の内周面によって半導体ウェハーWの周縁部に向けて反射する光量が多くなり、補助加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一なものとすることができる。
予め設定された補助加熱時間が経過した後、時刻t4にてフラッシュランプFLによる半導体ウェハーWの光照射加熱が開始される。フラッシュランプFLからの光照射を行うに際しては、予め電源ユニット95によってコンデンサ93に電荷を蓄積しておく。そして、コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にて、制御部3のパルス発生器31からスイッチング素子96にパルス信号を出力する。
図12は、パルス信号の波形と回路に流れる電流との相関の一例を示す図である。図12(a)はパルス発生器31から出力されるパルス信号の波形を示し、図12(b)はトリガー電極91に電圧を印加するタイミングを示し、図12(c)はフラッシュランプFLを含む回路に流れる電流の波形を示す。ここでは、図12(a)に示すような波形のパルス信号がパルス発生器31から出力される。パルス信号の波形は、パルス幅の時間(オン時間)とパルス間隔の時間(オフ時間)とを順次設定したレシピを入力部33から入力することによって規定することができる。このようなレシピをオペレータが入力部33から制御部3に入力すると、そのレシピに基づいて制御部3の波形設定部32が図12(a)に示すようなパルス波形を設定する。図12(a)に示すパルス波形においては、まず最初に比較的短い単一のパルスPAが設定されるとともに、後段に比較的長い単一のパルスPBが設定されている。そして、波形設定部32によって設定されたパルス波形に従ってパルス発生器31がパルス信号を出力する。その結果、スイッチング素子96のゲートには図12(a)のような波形のパルス信号が印加され、スイッチング素子96のオンオフ駆動が制御されることとなる。具体的には、スイッチング素子96のゲートに入力されるパルス信号がオンのときにはスイッチング素子96がオン状態となり、パルス信号がオフのときにはスイッチング素子96がオフ状態となる。
また、図12(b)に示すように、パルス発生器31から出力するパルス信号がオンになるタイミングと同期して制御部3がトリガー回路97を制御してトリガー電極91にトリガー電圧を印加する。コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にてスイッチング素子96のゲートに最初のパルスPAが入力され、かつ、それと同期してトリガー電極91に高電圧が印加されると、フラッシュランプFLのガラス管92内の両端電極間で電流が流れ始め、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。そして、パルスPAがオフになると、フラッシュランプFLのガラス管92内に流れる電流値が減少し、一旦フラッシュランプFLが完全に消灯する。次に、スイッチング素子96のゲートに後段のパルスPBが入力され、かつ、それと同期してトリガー電極91に高電圧が印加されると、ガラス管92内の両端電極間で再び電流が流れ始め、フラッシュランプFLが発光する。その結果、フラッシュランプFLには図12(c)に示すような波形の電流が流れ、フラッシュランプFLは2回発光する。
フラッシュランプFLの発光出力は、フラッシュランプFLに流れる電流にほぼ比例する。従って、フラッシュランプFLの発光出力の出力波形(プロファイル)は図13(a)に示すようなパターンとなる。図13(a)に示す如きフラッシュランプFLからの出力波形にて、保持部7の保持プレート74に載置された半導体ウェハーWに光照射が行われる。この2段階のフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面が描く温度プロファイルは図13(b)に示すようなものとなる。
従来のように、スイッチング素子96を使用することなくフラッシュランプFLを発光させた場合には、コンデンサ93に蓄積されていた電荷が1回の発光で消費され、フラッシュランプFLからの出力波形は幅が0.1ミリセカンドないし10ミリセカンド程度のシングルパルスとなる。これに対して、本実施の形態のように、回路中にスイッチング素子96を接続してそのゲートに図12(a)のようなパルス信号を出力することにより、いわばフラッシュランプFLの発光がチョッパ制御されることとなり、コンデンサ93に蓄積された電荷が2分割されて消費され、短い時間の間にフラッシュランプFLが2回発光することとなる。
図13(a)に示すフラッシュランプFLの発光出力波形は2つの発光ピークEP1,EP2を有している。すなわち、最高到達出力がL1となる第1の発光ピークEP1を有する出力波形にて半導体ウェハーWに第1のフラッシュ光照射を行った後、最高到達出力がL2となる第2の発光ピークEP2を有する出力波形にて半導体ウェハーWに第2のフラッシュ光照射を行っている。
より詳細に述べれば、まずパルス発生器31がスイッチング素子96のゲートに前段のパルスPAを出力するとともに、トリガー電極91にトリガー電圧を印加することによって、フラッシュランプFLを含む回路に図12(c)の前段に示す波形の電流が流れる。その結果、図13(a)の前段に示すように、時刻t4にフラッシュランプFLが第1のフラッシュ光照射を開始する。第1のフラッシュ光照射は、フラッシュランプFLが最高到達出力がL1となる第1の発光ピークEP1を有する出力波形にて発光することにより行われる。そして、フラッシュランプFLから第1のフラッシュ光照射を受けた半導体ウェハーWの表面温度は、図13(b)に示す如く、850℃以上にまで昇温される。なお、第1のフラッシュ光照射の光照射時間は0.1ミリ秒〜20ミリ秒程度である。
ここで、本実施形態においては、半導体ウェハーWが保持プレート74の6本のバンプ75によって点接触にて支持され、半導体ウェハーWの下面と保持プレート74の上面との間に厚さ1mm程度の気体層が挟み込まれている。このため、半導体ウェハーWの下面から保持プレート74への熱伝導はほとんど生じず、第1のフラッシュ光照射によって850℃以上にまで昇温された半導体ウェハーWの表面温度の低下も比較的緩やかなものとなる。そして、半導体ウェハーWの表面温度が850℃に到達した時刻t5から第2のフラッシュ光照射が開始される時刻t6までの間にウェハー表面の予備加熱が実行される。
すなわち、半導体ウェハーWの表面の予備加熱は、第1のフラッシュ光照射によってウェハー表面が昇温され、その表面温度の低下が半導体ウェハーWが点接触されているが故に緩やかであることによって実現されるものである。この予備加熱工程においては、半導体ウェハーWの表面温度は850℃以上1000℃以下となっている。このフラッシュランプFLによる予備加熱を行うことによって、上述の補助加熱だけでは不十分であった結晶欠陥の回復がさらに進行する。
次に、パルス発生器31がスイッチング素子96のゲートに後段のパルスPBを出力するとともに、トリガー電極91にトリガー電圧を印加することによって、フラッシュランプFLを含む回路に図12(c)の後段に示す波形の電流が流れる。その結果、図13(a)の後段に示すように、時刻t6にフラッシュランプFLが第2のフラッシュ光照射を開始する。第2のフラッシュ光照射は、フラッシュランプFLが最高到達出力がL2(本実施形態ではL1<L2)となる第2の発光ピークEP2を有する出力波形にて発光することにより行われる。そして、フラッシュランプFLから第2のフラッシュ光照射を受けた半導体ウェハーWの表面温度は、図13(b)に示す如く、1100℃以上にまで昇温される。第2のフラッシュ光照射の光照射時間は1ミリ秒以上5ミリ秒以下である。
この第2のフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面を予備加熱工程よりもさらに昇温するフラッシュ主加熱工程が実行される。フラッシュ主加熱工程においては、半導体ウェハーWの表面の到達温度は1100℃以上1350℃以下となる。このようなフラッシュランプFLによるフラッシュ主加熱工程を行うことによって、半導体ウェハーWに注入された不純物の良好な活性化を行うことができる。
また、第1のフラッシュ光照射が開始されてから第2のフラッシュ光照射が開始されるまでの間隔、つまり時刻t4から時刻t6までの間隔は10ミリ秒以上600ミリ秒以下である。予備加熱工程の時間は、その間隔以下となる。予備加熱工程では、半導体ウェハーWの表面温度が補助加熱時よりも高温の850℃以上1000℃以下となり、この温度域では不純物の拡散がさらに生じやすくなるのであるが、600ミリ秒以下の短時間であれば不純物拡散を抑制することができる。
フラッシュ主加熱工程が終了した後、所定時間経過後(例えば、半導体ウェハーWの表面温度が補助加熱温度近傍に低下するまでの時間経過後)にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWの降温速度が高まる。また、ハロゲンランプHLが消灯するのと同時に、シャッター機構2がシャッター板21をハロゲン加熱部4とチャンバー6との間の遮光位置に挿入する。ハロゲンランプHLが消灯しても、すぐにフィラメントや管壁の温度が低下するものではなく、暫時高温のフィラメントおよび管壁から輻射熱が放射され続け、これが半導体ウェハーWの降温を妨げる。シャッター板21が挿入されることによって、消灯直後のハロゲンランプHLから熱処理空間65に放射される輻射熱が遮断されることとなり、半導体ウェハーWの降温速度を高めることができる。
そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が保持プレート74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWを保持プレート74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
本実施形態においては、フラッシュランプFLから第1のフラッシュ光照射を行って半導体ウェハーWの表面を予備加熱するフラッシュ予備加熱を実行し、その後、フラッシュランプFLから第2のフラッシュ光照射を行って半導体ウェハーWの表面をさらに昇温するフラッシュ主加熱を実行している。そして、第1のフラッシュ光照射が開始されてから第2のフラッシュ光照射が開始されるまでの間隔は10ミリ秒以上600ミリ秒以下である。従って、フラッシュ予備加熱工程の時間は、その間隔以下の短時間である。フラッシュランプFLからフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面は850℃以上1000℃以下の比較的高温に予備加熱されることとなるが、その予備加熱時間は最大でも600ミリ秒以下の短時間であるため、不純物注入時に導入された欠陥の回復を促進しつつもその不純物の拡散を最小限に抑制することができる。そして、続くフラッシュ主加熱工程によって注入された不純物の良好な活性化を行うことができる。
また、第1のフラッシュ光照射と第2のフラッシュ光照射との間はフラッシュランプFLが完全に消灯しているため、その間に半導体ウェハーWの表面温度が1000℃を超えて上昇することは防がれる。その結果、不純物の拡散が過度に進むことが防止される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、パルス発生器31から出力するパルス信号がオンになる時点のみにトリガー電極91にトリガー電圧を印加するようにしていたが、トリガー電圧を印加するタイミングは図14のようなものであっても良い。図12と同様に、図14(a)はパルス発生器31から出力されるパルス信号の波形を示し、図14(b)はトリガー電極91に電圧を印加するタイミングを示す。図14に示す例では、制御部3がトリガー回路97を制御してトリガー電極91に一定間隔でトリガー電圧を印加している。その結果として、パルス発生器31が出力するパルス信号がオンになるタイミングと同期してトリガー電極91にトリガー電圧が印加されることとなる。このようにしても、上記実施形態と同様に、パルス信号がオンになるタイミングにてガラス管92内の両端電極間の絶縁が破壊されて電流が流れ始め、フラッシュランプFLには図12(c)に示すのと同様の波形の電流が流れる。すなわち、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射のそれぞれの開始時にトリガー電極91にトリガー電圧を印加することができれば、トリガー電圧の印加タイミングは任意に設定することができる。
また、上記実施形態においては、スイッチング素子96のゲートに2つの単一のパルスを入力するようにしていたが、複数のパルスを断続的に入力してフラッシュランプFLに第1のフラッシュ光照射および/または第2のフラッシュ光照射を行わせるようにしても良い。図15は、パルス信号の波形と回路に流れる電流との相関の他の例を示す図である。図12と同様に、図15(a)はパルス発生器31から出力されるパルス信号の波形を示し、図15(b)はトリガー電極91に電圧を印加するタイミングを示し、図15(c)はフラッシュランプFLを含む回路に流れる電流の波形を示す。この例では、図15(a)に示すように、スイッチング素子96のゲートに複数のパルスPCが断続的に入力され、その後単一のパルスPDが入力される。
より詳細には、まずパルス発生器31がスイッチング素子96のゲートに複数のパルスPCを断続的に出力するとともに、それらの最初のパルスがオンになるタイミングと同期してトリガー電極91にトリガー電圧を印加する。これにより、フラッシュランプFLを含む回路に図15(c)の前段に示すノコギリ波形の電流が流れ、フラッシュランプFLが第1のフラッシュ光照射を行う。
ここの例では、図15(b)に示すように、複数のパルスPCの全てについてトリガー電極91にトリガー電圧を印加していない。しかし、一旦、フラッシュランプFLの通電が開始され、その電流値が所定値以上残っている状態で次のパルスPCが断続的にスイッチング素子96のゲートに入力されることにより、その後はトリガー電極91に高電圧を印加しなくてもフラッシュランプFLに電流が流れ続ける。すなわち、複数のパルスPCの最初のパルスがスイッチング素子96のゲートに入力されるときのみトリガー電極91に高電圧を印加すれば、その後はトリガー電圧を印加せずともフラッシュランプFLに電流が継続して流れる。スイッチング素子96のゲートに入力されるパルス信号がオンのときにはフラッシュランプFLのガラス管92内に流れる電流値が増加し、オフのときには電流値が減少し、その結果フラッシュランプFLには図15(c)の前段に示すようなノコギリ波形の電流が流れる。なお、複数のパルスPCの全てが入力されるタイミングにてトリガー電圧を印加しても良いことは勿論である。
図15(c)に示すようなノコギリ波形の電流が流れたとしても、発光出力の出力波形こそ図13(a)とは異なるものの、連続してフラッシュランプFLが発光して第1のフラッシュ光照射が実行される。これにより、上記実施形態と同様に、フラッシュランプFLによる予備加熱が行われ、結晶欠陥の回復が十分に進行する。
次に、パルス発生器31がスイッチング素子96のゲートに後段のパルスPDを出力するとともに、トリガー電極91にトリガー電圧を印加することによって、フラッシュランプFLを含む回路に図15(c)の後段に示す波形の電流が流れる。その結果、フラッシュランプFLが第2のフラッシュ光照射を行う。この第2のフラッシュ光照射については上記実施形態と同様であり、フラッシュランプFLによるフラッシュ主加熱工程が行われて不純物の良好な活性化を行うことができる。
図15の例では、スイッチング素子96のゲートに複数のパルスPCを断続的に出力することによって第1のフラッシュ光照射を実行するようにしていたが、これに代えてまたはこれに加えて、複数のパルスを断続的に出力することによって第2のフラッシュ光照射を実行するようにしても良い。すなわち、本明細書の第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射はいずれも、フラッシュランプFLが発光を開始してから消灯するまでの一連の発光によって実行されるものであり、スイッチング素子96のゲートに入力されるパルスは複数であっても単数であっても良い。
また、上記実施形態においては、半導体ウェハーWの表面温度が850℃に到達した時刻t5から第2のフラッシュ光照射が開始される時刻t6までの間が予備加熱工程であったが、第2のフラッシュ光照射が開始される前に半導体ウェハーWの表面温度が一旦850℃未満にまで低下しても良い。この場合、第1のフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面温度が850℃に到達した時点から850℃未満となる時点までが予備加熱工程となる。
また、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射におけるフラッシュランプFLの発光波形は図13(a)の例に限定されるものではなく、第1のフラッシュ光照射における最高到達出力L1が第2のフラッシュ光照射における最高到達出力L2よりも大きくても良い。
また、上記実施形態においては、半導体ウェハーWをバンプ75によって点接触にて支持するようにしていたが、第1のフラッシュ光照射によって加熱された後の半導体ウェハーWからの熱伝導を十分抑制することができれば、他の手段によって半導体ウェハーWを支持するようにしても良い。例えば、熱伝導率が十分に小さい部材であれば半導体ウェハーWを面接触にて支持するようにしても良い。また、いわゆるベルヌーイチャックなどによって半導体ウェハーWを非接触で支持するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、熱処理空間65に供給する処理ガスを窒素ガス(N2)としていたが、これに限定されるものではなく、例えば、ヘリウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の不活性ガス、あるいは、酸素(02)ガスや清浄エアであっても良い。もっとも、熱処理空間65にて加熱される半導体ウェハーWは数百℃から1000℃以上の高温に昇温されるため、処理ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが好ましく、特にコスト面からは安価な窒素ガスが好ましい。
また、パルス信号の波形の設定は、入力部33から逐一パルス幅等のパラメータを入力することに限定されるものではなく、例えば、オペレータが入力部33から波形を直接グラフィカルに入力するようにしても良いし、以前に設定されて磁気ディスク等の記憶部に記憶されていた波形を読み出すようにしても良いし、或いは熱処理装置1の外部からダウンロードするようにしても良い。
また、上記実施形態においては、スイッチング素子96としてIGBTを使用していたが、これに限定されるものではなく、IGBT以外の他のトランジスタであっても良いし、入力されたパルス信号の波形に応じて回路をオンオフできる素子であれば良い。もっとも、フラッシュランプFLの発光には相当に大きな電力が消費されるため、大電力の取り扱いに適したIGBTやGTO(Gate Turn Off)サイリスタをスイッチング素子96として採用するのが好ましい。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、本発明に係る熱処理装置によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板であっても良い。
1 熱処理装置
2 シャッター機構
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
31 パルス発生器
32 波形設定部
33 入力部
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
70 サセプタ
74 保持プレート
75 バンプ
91 トリガー電極
92 ガラス管
93 コンデンサ
94 コイル
96 スイッチング素子
97 トリガー回路
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (13)

  1. 基板に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を予備加熱するフラッシュ予備加熱工程と、
    前記フラッシュ予備加熱工程の後、フラッシュランプから第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面をさらに昇温するフラッシュ主加熱工程と、
    を備え、
    第1のフラッシュ光照射が開始されてから第2のフラッシュ光照射が開始されるまでの間隔は10ミリ秒以上600ミリ秒以下であることを特徴とする熱処理方法。
  2. 請求項1記載の熱処理方法において、
    前記フラッシュ予備加熱工程での基板の表面温度は850℃以上1000℃以下であることを特徴とする熱処理方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の熱処理方法において、
    前記フラッシュ主加熱工程での第2のフラッシュ光照射時間は1ミリ秒以上5ミリ秒以下であり、基板の表面の到達温度は1100℃以上1350℃以下であることを特徴とする熱処理方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理方法において、
    第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射のそれぞれの開始時にフラッシュランプのトリガー電極にトリガー電圧を印加することを特徴とする熱処理方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記フラッシュ予備加熱工程の前に、ハロゲンランプからの光照射によって基板を750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下保持する補助加熱工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  6. 請求項5記載の熱処理方法において、
    前記補助加熱工程の前に、ハロゲンランプからの光照射によって基板を300℃以上600℃以下に1秒以上4秒以下保持する温度均一化工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  7. 基板に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を点接触にて支持する支持手段と、
    前記支持手段に支持された基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、
    前記フラッシュランプの発光を制御する発光制御手段と、
    を備え、
    前記発光制御手段は、第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を予備加熱した後、第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面をさらに昇温するように前記フラッシュランプの発光を制御するとともに、第1のフラッシュ光照射を開始してから第2のフラッシュ光照射を開始するまでの間隔を10ミリ秒以上600ミリ秒以下とすることを特徴とする熱処理装置。
  8. 請求項7記載の熱処理装置において、
    前記発光制御手段は、前記フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行って基板の表面を850℃以上1000℃以下に昇温することを特徴とする熱処理装置。
  9. 請求項7または請求項8記載の熱処理装置において、
    前記発光制御手段は、前記フラッシュランプから1ミリ秒以上5ミリ秒以下の第2のフラッシュ光照射を行って基板の表面を1100℃以上1350℃以下に到達させることを特徴とする熱処理装置。
  10. 請求項7から請求項9のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記発光制御手段は、フラッシュランプのトリガー電極にトリガー電圧を印加するトリガー回路を含み、第1のフラッシュ光照射および第2のフラッシュ光照射のそれぞれの開始時に前記トリガー電極にトリガー電圧を印加するように前記トリガー回路を制御することを特徴とする熱処理装置。
  11. 請求項7から請求項10のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記支持手段に支持された基板に光を照射するハロゲンランプをさらに備え、
    前記フラッシュランプから第1のフラッシュ光照射を行う前に、前記ハロゲンランプは光照射によって基板を750℃以上800℃以下に1秒以上10秒以下保持する補助加熱を行うことを特徴とする熱処理装置。
  12. 請求項11記載の熱処理装置において、
    前記ハロゲンランプは、前記補助加熱を行う前に、光照射によって基板を300℃以上600℃以下に1秒以上4秒以下保持することを特徴とする熱処理装置。
  13. 請求項7から請求項12のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記発光制御手段は、前記フラッシュランプ、コンデンサおよびコイルと直列に接続された絶縁ゲートバイポーラトランジスタを備えることを特徴とする熱処理装置。
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