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JP2011119311A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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JP2011119311A
JP2011119311A JP2009273058A JP2009273058A JP2011119311A JP 2011119311 A JP2011119311 A JP 2011119311A JP 2009273058 A JP2009273058 A JP 2009273058A JP 2009273058 A JP2009273058 A JP 2009273058A JP 2011119311 A JP2011119311 A JP 2011119311A
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Takashi Tadokoro
貴志 田所
Wataru Kobayashi
亘 小林
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

【課題】従来に製造歩留まりを悪化されることなく、高速変調を行うことが可能な半導体レーザ装置を提供することにある。
【解決手段】半導体基板1上に設けられた活性層2と活性層2上に設けられたクラッド層5とクラッド層5上に設けられたキャップ層6とを有する半導体レーザ素子本体10を備えた半導体レーザ装置であって、半導体レーザ素子本体10は、キャップ層6上に設けられた成長層側電極7と、半導体基板1の下面に設けられた基板側電極8とを具備し、成長層側電極7は、活性層2に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて活性層2よりも短く形成され、成長層側電極7および基板側電極8が、活性層2の一部にのみ電流注入を行うものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ装置に関し、特に歩留まりを劣化させることなく製造できる高速変調可能な半導体レーザ装置に関する。
半導体レーザ装置を使った直接変調方式は構成が簡単で、小型化、低コスト化が可能という利点を持ち、光ファイバを用いた高速伝送システムで広く用いられている。
現在、直接変調レーザ装置を用いた光通信の伝送速度は10Gbpsに達しており、今後100GbE等で利用できる25Gbps以上で直接変調可能な半導体レーザ装置の開発も期待されている。
半導体レーザ装置を高速動作させるには半導体レーザ装置の共振器長を短くすることが有効である(例えば、非特許文献1参照)。そして、20Gbps以上で動作する半導体レーザ装置を得るためには、レーザの共振器長を100μm程度まで短共振器化することが望ましい。
従来、100μmの共振器を実現するためには、へき開により半導体ウエハを100μmの長さに割る必要があった。
K.Y.Lau and A.Yariv, "Ultra-High Speed Semiconductor Lasers", IEEE Journal of Quantum Electronics, 1985年2月, QE-21, No.2, pp.121-138 M.Nakamura, K.Aiki,J.Umeda and A.Yaric, "cw operation of distributed-feedback GaAs-GaAlAs diode lasers at temperatures up to 300 K", Applied Physics Letters, 1975年10月1日, Vol.27, No.7, pp.403-405
しかしながら、通常のへき開方法で100μmの共振器長を実現しようとした場合、素子歩留まりが30%程度まで低下してしまい実用化には適さなかった。また、へき開後の取り扱いも困難となり、最終的な製造歩留まりが悪化するといった問題があった。
したがって、本発明は上述したような課題を解決するために為されたものであって、製造歩留まりを悪化させることなしに、25Gbps以上の高速直接変調可能な半導体レーザ装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決する第1の発明に係る半導体レーザ装置は、
半導体基板上に設けられた活性層と前記活性層上に設けられたクラッド層と前記クラッド層上に設けられたキャップ層とを有する半導体レーザ素子本体を備えた半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体は、前記キャップ層上に設けられた成長層側電極と、前記半導体基板の下面に設けられた基板側電極とを具備し、
前記成長層側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて前記活性層よりも短く形成され、前記成長層側電極および前記基板側電極が、前記活性層の一部にのみ電流注入を行うものである
ことを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、半導体レーザ素子本体の一部のみが励起され実効的な共振器長を短共振器化することができ、高速な変調動作を実現することができる。具体的には、素子長(レーザ光の伝搬方向における半導体レーザ素子本体の長さ)を175μmにすることでへき開による素子歩留まりは80%以上にすることが出来る。また、一般に高速変調を実現するための目安であるレーザの緩和振動周波数は共振器長の平方根に逆比例する。ここで、図4に、分布帰還型半導体レーザ装置の共振器長が200μmである場合の緩和振動周波数の測定値とバイアス電流からしきい値電流を引き平方根を取ったものとの関係を表したグラフを示す。この図と、緩和振動周波数が共振器長の平方根に逆比例するということから、共振器長を150μmにすることで25Gbps以上の緩和振動周波数が得られると計算できる。また、共振器長を100μm以下にすることで40Gbpsの高速動作も期待できる。
すなわち、上述した課題を解決する第2の発明に係る半導体レーザ装置は、
第1の発明に係る半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体の素子長が175μm以上であり、前記成長層側電極の長さが150μm以下である
ことを特徴とする。
半導体レーザ装置の一部のみ励起する構造は、例えば非特許文献2などにもあるが、非常に長いレーザ素子を用いて光出射面と反対方向からの光の反射の影響を除去することが目的であり、高速動作を実現させることが目的ではなかった。
上述した課題を解決する第3の発明に係る半導体レーザ装置は、
第1または第2の発明に係る半導体レーザ装置であって、
前記基板側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて前記活性層よりも短く形成される
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第4の発明に係る半導体レーザ装置は、
第1乃至第3の発明の何れか1つに係る半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体は、前記活性層と前記クラッド層の間の一部に、当該クラッド層との境界が周期構造となるようにして回折格子が形成されたガイド層をさらに具備し、
前記ガイド層が、前記成長層側電極と対向する箇所に設けられる
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第5の発明に係る半導体レーザ装置は、
第1乃至第3の発明の何れか1つに係る半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体は、分布帰還型半導体レーザ装置またはファブリ・ペロー半導体レーザ装置である
ことを特徴とする。
また、上述した課題を解決する第6の発明に係る半導体レーザ装置は、
半導体基板上に設けられた活性層と前記活性層上に設けられたクラッド層と前記クラッド層上に設けられたキャップ層とを有する半導体レーザ素子本体を備えた半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体は、前記キャップ層上に設けられた成長層側電極と、前記半導体基板の下面に設けられた基板側電極とを具備し、
前記成長層側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて2個以上に分割され、
分割された成長層側電極のうちの少なくとも1個の分割成長層側電極および前記基板側電極は前記活性層に電流注入を行うものであり、
分割された他の成長層側電極は前記半導体基板と前記クラッド層に短絡する、あるいは逆バイアスを印加する、もしくは順バイアスを印加するものである
ことを特徴とする。
周波数変調効率を増大する目的あるいは発振波長を可変にする目的で電極を分割する方法が提案されているが、半導体レーザ装置の短共振器化を実現し、共振周波数自体を増大するものではなかった。
上述した課題を解決する第7の発明に係る半導体レーザ装置は、
第6の発明に係る半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体の素子長が175μm以上であり、前記分割成長層側電極の長さが150μm以下である
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第8の発明に係る半導体レーザ装置は、
第6または第7の発明に係る半導体レーザ装置であって、
前記基板側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて前記活性層よりも短く形成される
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第9の発明に係る半導体レーザ装置は、
第6乃至第8の発明の何れか1つに係る半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体は、前記活性層と前記クラッド層の間の一部に、当該クラッド層との境界が周期構造となるようにして回折格子が形成されたガイド層をさらに具備し、
前記ガイド層が、前記分割成長層側電極と対向する箇所に設けられる
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第10の発明に係る半導体レーザ装置は、
第6乃至第8の発明の何れか1つに係る半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子本体は、分布帰還型半導体レーザ装置またはファブリ・ペロー半導体レーザ装置である
ことを特徴とする。
本発明に係る半導体レーザ装置によれば、25Gbps程度の伝送を可能とする直接変調レーザを、従来と同程度の素子サイズで実現することができるため、製造歩留まりを悪化させることなしに高速対応可能なレーザ素子を実現することができる。その結果直接変調方式の利点を生かした、小型で低コストな高速伝送システムを提供することができる。
本発明の第一番目の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面図である。 本発明の第二番目の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面図である。 本発明の第三番目の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面図である。 分布帰還型半導体レーザ装置の共振器長が200μmである場合の緩和振動周波数の測定値とバイアス電流からしきい値電流を引き平方根を取ったものとの関係を表したグラフである。
本発明に係る半導体レーザ装置について、各実施形態で具体的に説明する。
[第一番目の実施形態]
本実施形態に係る半導体レーザ装置について、図1を参照して説明する。
本実施形態では、分布帰還型半導体レーザ装置に適用した場合について説明する。
本実施形態に係る分布帰還型半導体レーザ装置は、従来の分布帰還型半導体レーザ装置と同様の材料系で、従来の分布帰還型半導体レーザ装置と同様の製造方法で製造される。分布帰還型半導体レーザ装置は、例えば図1に示すように、n型InP基板1と、InGaAsP活性層2と、InGaAsPガイド層3と、p型InPクラッド層5と、p型InGaAsPキャップ層6とを備えた半導体レーザ素子本体10を備える。
InGaAsP活性層2はn型InP基板1上に設けられる。InGaAsPガイド層3はInGaAsP活性層2上に設けられる。InGaAsPガイド層3上には、ガイド層3の長さ方向(図中左右方向)、すなわち電流注入を行うことにより活性層2で発振するレーザ光の伝搬方向に沿って溝の深さを周期Λで変化させた回折格子4が形成される。p型InPクラッド層5はInGaAsP活性層2上およびInGaAsPガイド層3上に設けられる。p型InGaAsPキャップ層6はp型InPクラッド層5上に設けられる。n型InP基板1の下面には、当該n型InP基板1の全面に亘って基板側電極8が設けられる。p型InGaAsPキャップ層6上には、成長層側電極7が設けられる。InGaAsP活性層2の側面にはルテニウムをドープしたInP層を成長した埋め込み構造が形成される。半導体レーザ素子本体10の一方の端面10aに高反射膜9が設けられる。高反射膜9によりn型InP基板1とInGaAsP活性層2とInGaAsPガイド層3とp型InPクラッド層5とp型InGaAsPキャップ層6と電極7,8の端面が覆われる。
InGaAsPガイド層3は半導体レーザ素子本体10の一方の端面10aから他方の端面10bに向かって長さL12だけ延在して形成される。p型InGaAsPキャップ層6は、InGaAsPガイド層3と対向する箇所に設けられており、長さL12で形成される。成長層側電極7がInGaAsPガイド層3およびp型InGaAsPキャップ層6と対向する箇所に設けられ、長さL12で形成される。成長層側電極7および基板側電極8により活性層2の一部にのみ電流注入が行われることになり活性層2の一部のみが励起されるため、実効的な共振器長は、成長層側電極7と同一の長さL12となる。
続いて、上述した層構造の半導体レーザ装置の製造方法について以下に説明する。
最初に、n型InP基板1上にInGaAsP活性層2を成長させ、InGaAsP活性層2の上面の一部にInGaAsPガイド層3を成長させ、InGaAsPガイド層3の上面の一部に回折格子4を形成する。続いて、p型InPクラッド層5、p型InGaAsPキャップ層6を順番に成長させた後、埋め込み成長が行われることにより、ウエハが完成する。
上記層構造からなるウエハ成長後に、成長層側(p型InGaAsPキャップ層6の上面)に形成する成長層側電極7に対応する部分(p型InGaAsPキャップ層6における成長層側電極7と対向する部分)のみを残し、それ以外の部分(p型InGaAsPキャップ層6における成長層側電極7と対向しない部分)を除去する。その後、成長層側(p型InGaAsPキャップ層6の上面)に成長層側電極7を形成すると共に基板側(n型InP基板1の下面)に基板側電極8を形成し、両端面をレーザ光の伝搬方向と垂直にへき開する。これによって素子(半導体レーザ素子本体10)が切り出される。切り出された素子の端面10aに誘電体多層膜、すなわち高反射膜9を形成することにより分布帰還型半導体レーザ装置が完成する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置では、素子長(レーザ光の伝搬方向における半導体レーザ素子本体10の長さ)L11が175μm以上の200μmである。レーザ光の伝搬方向における成長層側電極7の長さL12は100μmであり、実効的な共振器長は150μm以下の100μmとなる。活性層2の側面にルテニウムをドープしたInP層を成長させて製造した埋め込み構造の分布帰還型半導体レーザ装置の小信号応答特性を測定したところ3dB帯域として24GHzを得ることができ、25Gbpsの伝送に利用可能であることが分かった。
よって、本実施形態に係る半導体レーザ装置によれば、上述した構成としたことで、25Gbps程度の伝送を可能とする直接変調レーザを、従来と同程度の素子サイズである200μmで実現することができるため、製造歩留まりを悪化させることなしに高速対応可能なレーザ素子を実現することができる。その結果直接変調方式の利点を生かした、小型で低コストな高速伝送システムを提供することができる。
InGaAsPガイド層3が成長層側電極7と対向する箇所に設けられることにより、InGaAsP活性層2へ最短距離で電流注入を行うことができ活性層2に対し電流注入を効率良く行うことができる。
[第二番目の実施形態]
本実施形態に係る半導体レーザ装置について、図2を参照して説明する。
本実施形態では、上述した第一番目の実施形態に係る半導体レーザ装置と同一部材には同一符号を付記しその説明を省略する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置は分布帰還型半導体レーザ装置であって、図2に示すように、p型InPクラッド層25と、p型InGaAsPキャップ層26A,26Bと、電極27A,27Bと、電極28とを備えた半導体レーザ素子本体20を備える。
p型InPクラッド層25は、InGaAsPガイド層3およびInGaAsP活性層2上に設けられる。p型InGaAsPキャップ層26A,26Bはp型InPクラッド層25上に設けられた層であって、活性層2に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて、溝21により2つに分割して作製された層である。電極27A,27Bはp型InGaAsPキャップ層26A,26B上にそれぞれ設けられた層であって、活性層2に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて溝21により2つに分割して作製されたものである。すなわち、p型InGaAsPキャップ層26A上に分割成長層側電極27Aが設けられ、p型InGaAsPキャップ層26B上に他の成長層側電極27Bが設けられる。
InGaAsPガイド層3は半導体レーザ素子本体20の一方の端面20aから他方の端面20bに向かって長さL22だけ延在して形成される。p型InGaAsPキャップ層26Aは、InGaAsPガイド層3と対向する箇所に設けられており、長さL22で形成される。分割成長層側電極27AがInGaAsPガイド層3およびp型InGaAsPキャップ層26Aと対向する箇所に設けられ、長さL22で形成される。基板側電極28は、n型InP基板1の下面におけるInGaAsPガイド層3と対向する箇所に設けられ、長さL22で形成される。分割成長層側電極27Aおよび基板側電極28により活性層2の一部にのみ電流注入が行われることになり活性層2の一部のみが励起されるため、実効的な共振器長は、分割成長層側電極27Aと同一の長さL22となる。なお、p型InGaAsPキャップ層26Bおよび他の成長層側電極27Bは長さL23で形成される。他の成長層側電極27Bは、n型InP基板1とp型InPクラッド層25に短絡する、あるいは逆バイアスを印加する、もしくは順バイアスを印加するものである。これにより、非励起領域が可飽和吸収体として作用することを抑制することになり、電流−光出力特性の不安定さを解消することができる。溝21は深さD1で形成されると共に、活性層2に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて長さL24で形成される。
続いて、上述した層構造の本実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法について以下に説明する。
最初に、上述した第一番目の実施形態の半導体レーザ装置と同様に、n型InP基板1上にInGaAsP活性層2を成長させ、InGaAsP活性層2の上面の一部にInGaAsPガイド層3を成長させ、InGaAsPガイド層3の上面の一部に回折格子4を形成する。続いて、p型InPクラッド層25、p型InGaAsPキャップ層を順番に成長させ、p型InGaAsPキャップ層の全面に亘って成長層側電極を形成する。続いて、ドライエッチングにより成長層側電極、p型InGaAsPキャップ層、p型InPクラッド層の一部を除去して電極分離用の溝21を形成する。これにより、レーザ光の伝搬方向にて、長さL22の分割成長層側電極27Aおよびp型InGaAsPキャップ層26Aと、長さL23の他の成長層側電極27Bおよびp型InGaAsPキャップ層26Bとが形成される。
続いて、他の成長層側電極27Bは、n型InP基板1とp型InPクラッド層25に短絡される、あるいは逆バイアスを印加される、もしくは順バイアスを印加される。
n型InP1の下面には、活性層2に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて、長さL22の基板側電極28が設けられる。
続いて、両端面をレーザ光の伝搬方向と垂直にへき開する。これによって素子(半導体レーザ素子本体20)が切り出される。切り出された素子の端面20aに誘電体多層膜、すなわち高反射膜9を形成することにより分布帰還型半導体レーザ装置が完成する。
よって、本実施形態に係る半導体レーザ装置によれば、上述した構成としたことにより、上述した第一番目の実施形態の半導体レーザ装置と同様な作用効果を奏する上に、上述したように他の成長層側電極27Bを接続し、上述した溝21の溝幅L24を10μmとすると共に、電極27A,27Bの共振器方向(活性層2に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向)の長さL22,L23をそれぞれ100μm,40μmとしたことにより、電流−光出力特性の不安定さを解消するという効果が得られる。また、電極27Bを通して流れる電流をモニターしフィードバックすることで半導体レーザ装置から出射される光出力を一定にできるという効果も得られる。
基板側電極28が、活性層2に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて当該活性層2よりも短く形成されることにより、活性層2に電流注入を効率良く行うことができる。
[第三番目の実施形態]
本実施形態に係る半導体レーザ装置について、図3を参照して説明する。
本実施形態では、ファブリ・ペロー半導体レーザ装置に適用した場合について説明する。
本実施形態に係るファブリ・ペロー半導体レーザ装置は、従来のファブリ・ペロー半導体レーザ装置と同様の材料で、従来のファブリ・ペロー半導体レーザ装置と同様の製造方法で製造される。ファブリ・ペロー半導体レーザ装置は、例えば図3に示すように、n型InP基板31と、InGaAsP活性層32と、p型InPクラッド層35と、p型InGaAsPキャップ層36とを備えた半導体レーザ素子本体30を備える。
InGaAsP活性層32はn型InP基板31上に設けられる。p型InPクラッド層35はInGaAsP活性層32上に設けられる。p型InGaAsPキャップ層36はp型InPクラッド層35上に設けられる。n型InP31の下面には、当該n型InP31の全面に亘って基板側電極38が設けられる。p型InGaAsPキャップ層36上には、成長層側電極37が設けられる。InGaAsP活性層32の側面にはルテニウムをドープしたInP層を成長した埋め込み構造が形成される。半導体レーザ素子本体30の一方の端面30aに高反射膜39が設けられる。高反射膜39によりn型InP基板31とInGaAsP活性層32とp型InPクラッド層35とp型InGaAsPキャップ層36と電極37,38の端面が覆われる。
p型InGaAsPキャップ層36および成長層側電極37は半導体レーザ素子本体30の一方の端面30aから他方の端面30bに向かって長さL32だけ延在して形成される。成長層側電極37および基板側電極38により活性層32の一部にのみ電流注入が行われることになり活性層32の一部のみが励起されるため、実効的な共振器長は、成長層側電極37と同一の長さL32となる。
続いて、上述した層構造の半導体レーザ装置の製造方法について以下に説明する。
最初に、n型InP基板31上に、InGaAsP活性層32、p型InPクラッド層35、p型InGaAsPキャップ層36を順番に成長させる。続いて、上記層構造からなるウエハ成長後に、成長層側(p型InGaAsPキャップ層36の上面)に形成する成長層側電極37に対応する部分(p型InGaAsPキャップ層36における成長層側電極37と対向する部分)のみを残し、それ以外の部分(p型InGaAsPキャップ層36における成長層側電極37と対向しない部分)を除去する。その後、成長層側(p型InGaAsPキャップ層36の上面)に成長層側電極37を形成すると共に基板側(n型InP基板31の下面)に基板側電極38を形成し、両端面をレーザ光の伝搬方向と垂直にへき開する。これによって素子(半導体レーザ装置本体30)が切り出される。切り出された素子の端面30aに誘電体多層膜、すなわち高反射膜39を形成することによりファブリ・ペロー半導体レーザ装置が完成する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置は、ファブリ・ペロー半導体レーザ装置であって、素子長(レーザ光の伝搬方向における半導体レーザ素子本体30の長さ)L31が175μm以上の200μmである。レーザ光の伝搬方向における成長層側電極37の長さL32が100μmであり、実効的な共振器長(レーザ共振器長)は150μm以下の100μmとなる。よって、活性層32の側面にルテニウムをドープしたInP層を成長させて製造した埋め込み構造の分布帰還型半導体レーザ装置とすることで、上述した第一番目の実施形態の半導体レーザ装置と同様に、小信号応答特性を測定すると3dB帯域として24GHzを得ることができ、25Gbpsの伝送に利用可能であると考えられる。
したがって、本実施形態に係る半導体レーザ装置によれば、上述した構成にしたことで、25Gbps程度の伝送を可能とする直接変調レーザを、従来と同程度の素子サイズである200μmで実現することができるため、製造歩留まりを悪化させることなしに高速対応可能なレーザ素子を実現することができる。その結果直接変調方式の利点を生かした、小型で低コストな高速伝送システムを提供することができる。
[他の実施形態]
上述した第一番目〜第三番目の実施形態では、基板としてn型InPを具備する半導体レーザ装置を用いて説明したが、基板としてp型InPを具備する半導体レーザ装置とすることも可能である。その際は、キャップ層としてn型InGaAsPを用い、クラッド層としてn型InPを用いれば良い。
また、上記では、ルテニウムをドープした埋め込み層を具備する半導体レーザ装置を用いて説明したが、埋め込み層として鉄をドープしたInP層を具備する半導体レーザ装置とすることも可能である。
上記では、InGaAsPからなる活性層を具備する半導体レーザ装置を用いて説明したが、InGaAlAsからなる活性層を具備する半導体レーザ装置とすることも可能である。
上記では、半導体による埋め込み構造の半導体レーザ装置を用いて説明したが、ポリイミドなどの半導体以外の材料による埋め込み構造の半導体レーザ装置とすることも可能であるし、埋め込み構造を使わずにリッジ構造の半導体レーザ装置とすることも可能である。
上記では、半導体レーザ素子本体の片面(一方の端面)にのみ誘電体多層膜を形成した半導体レーザ装置を用いて説明したが、もう一方の端面に誘電体多層膜からなる反射防止膜を形成した半導体レーザ装置とすることも可能であるし、誘電体多層膜を高反射膜としても低反射膜としても良い。
上記第一番目および第二番目の実施形態では、半導体レーザ素子本体の内部の回折格子が成長層側電極に対応する領域にわたり均一な周期構造を具備する半導体レーザ装置を用いて説明したが、その対応する領域の一部にのみ回折格子が形成された構造の半導体レーザ装置とすることも、また、回折格子に位相シフト領域が含まれる構造の半導体レーザ装置とすることも可能である。
上記第一番目および第二番目の実施形態では、半導体レーザ素子本体の内部の活性層が素子全体にわたり均一な構造の半導体レーザ装置を用いて説明したが、半導体レーザ素子本体の内部の一部にのみ活性層が形成される構造の半導体レーザ装置とすることも、また、半導体変調器集積型構造と同様に異なる組成の層構造が接続された半導体レーザ装置とすることも可能である。
上記第一番目および第三番目の実施形態では、半導体レーザ素子本体の素子長と同じ長さの基板側電極を具備する半導体レーザ装置を用いて説明したが、半導体レーザ素子本体の活性層に電流注入することにより発振するレーザ光の伝搬方向にて当該活性層よりも短く形成された基板側電極を具備する半導体レーザ装置とすることも可能である。
上記第二番目の実施形態では、ドライエッチングにより電極分離を行った半導体レーザ装置を用いて説明したが、ウエットエッチングによりInGaAsPキャップ層のみ、あるいはInGaAsPキャップ層およびp型InPクラッド層の一部を除去した半導体レーザ装置とすることも可能である。
上記第二番目の実施形態では、分布帰還型半導体レーザ装置に適用した半導体レーザ装置を用いて説明したが、ファブリ・ペロー半導体レーザ装置に適用することも可能である。
上記第二番目の実施形態では、素子長を150μmとし、共振器長を100μmとした半導体レーザ装置を用いて説明したが、素子長を175μm以上とし、共振器長を100μm以外の150μm以下とした半導体レーザ装置とすることも可能である。このような半導体レーザ装置であっても、上記第二番目の実施形態に係る半導体レーザ装置と同様な作用効果を奏する。
本発明に係る半導体レーザ装置によれば、従来に製造歩留まりを悪化されることなく、高速変調を行うことができるため、通信産業などで有益に利用することができる。
1 半導体基板
2 活性層
3 ガイド層
4 回折格子
5 クラッド層
6 キャップ層
7 電極
8 電極
9 高反射膜
10 半導体レーザ素子本体
20 半導体レーザ素子本体
21 溝
25 クラッド層
26A,26B キャップ層
27A,27B 電極
28 電極
30 半導体レーザ素子本体
31 半導体基板
32 活性層
35 クラッド層
36 キャップ層
37 電極
38 電極
39 高反射膜

Claims (10)

  1. 半導体基板上に設けられた活性層と前記活性層上に設けられたクラッド層と前記クラッド層上に設けられたキャップ層とを有する半導体レーザ素子本体を備えた半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体は、前記キャップ層上に設けられた成長層側電極と、前記半導体基板の下面に設けられた基板側電極とを具備し、
    前記成長層側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて前記活性層よりも短く形成され、前記成長層側電極および前記基板側電極が、前記活性層の一部にのみ電流注入を行うものである
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 請求項1に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体の素子長が175μm以上であり、前記成長層側電極の長さが150μm以下である
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記基板側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて前記活性層よりも短く形成される
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体は、前記活性層と前記クラッド層の間の一部に、当該クラッド層との境界が周期構造となるようにして回折格子が形成されたガイド層をさらに具備し、
    前記ガイド層が、前記成長層側電極と対向する箇所に設けられる
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  5. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体は、分布帰還型半導体レーザ装置またはファブリ・ペロー半導体レーザ装置である
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  6. 半導体基板上に設けられた活性層と前記活性層上に設けられたクラッド層と前記クラッド層上に設けられたキャップ層とを有する半導体レーザ素子本体を備えた半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体は、前記キャップ層上に設けられた成長層側電極と、前記半導体基板の下面に設けられた基板側電極とを具備し、
    前記成長層側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて2個以上に分割され、
    分割された成長層側電極のうちの少なくとも1個の分割成長層側電極および前記基板側電極は前記活性層に電流注入を行うものであり、
    分割された他の成長層側電極は前記半導体基板と前記クラッド層に短絡する、あるいは逆バイアスを印加する、もしくは順バイアスを印加するものである
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  7. 請求項6に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体の素子長が175μm以上であり、前記分割成長層側電極の長さが150μm以下である
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記基板側電極は、前記活性層に電流注入を行うことにより発振するレーザ光の伝搬方向にて前記活性層よりも短く形成される
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  9. 請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体は、前記活性層と前記クラッド層の間の一部に、当該クラッド層との境界が周期構造となるようにして回折格子が形成されたガイド層をさらに具備し、
    前記ガイド層が、前記分割成長層側電極と対向する箇所に設けられる
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  10. 請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載の半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子本体は、分布帰還型半導体レーザ装置またはファブリ・ペロー半導体レーザ装置である
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
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