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JP2011117786A - トルク検出装置及びパワーステアリング装置 - Google Patents

トルク検出装置及びパワーステアリング装置 Download PDF

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JP2011117786A
JP2011117786A JP2009274158A JP2009274158A JP2011117786A JP 2011117786 A JP2011117786 A JP 2011117786A JP 2009274158 A JP2009274158 A JP 2009274158A JP 2009274158 A JP2009274158 A JP 2009274158A JP 2011117786 A JP2011117786 A JP 2011117786A
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雅祐 岩瀬
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Abstract

【課題】ステアリングホイールに加えられる操舵トルクが小さい領域における操舵トルクを精度高く検出することができる技術を提供する。
【解決手段】乗り物のステアリングホイールに加えられた操舵トルクを検出するトルク検出装置であって、操舵トルクに応じたアナログの電気信号を、互いに異なる増幅率で出力する複数のトルクセンサと、複数のトルクセンサから出力されたアナログの電気信号をデジタルの値に変換するA/D変換部と、乗り物の速度に応じて複数のトルクセンサ内のいずれのトルクセンサから出力された電気信号を用いるかを選択し(ステップ602)、選択したトルクセンサから出力されA/D変換部にて変換されたデジタルの値(D1あるいはD2)を用いてトルクを算出する(ステップ604あるいはステップ606)トルク演算部とを備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、トルク検出装置及びパワーステアリング装置に関する。
近年、乗り物の操舵力を軽減するためのパワーステアリング装置に好適なトルク検出装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、以下のように構成されたトルク検出装置が記載されている。すなわち、特許文献1に記載のトルクセンサは、磁歪式トルクセンサ、増幅部、A/D変換部、制御部等を備え、磁歪式トルクセンサは、ステアリング軸に加わるトルク値を電気的なアナログ信号に変換する。増幅部は、磁歪式トルクセンサで変換されたアナログ信号を、異なる3つの増幅率で増幅してアナログ信号を出力する。A/D変換部は、増幅部で増幅されたアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する。制御部は、A/D変換部で変換された複数のデジタル信号を入力し、その内の1つのデジタル信号を過大トルクの判定に用い、その内の1つのデジタル信号を通常のパワーステアリング装置制御用のトルク値信号として出力し、他の1つのデジタル信号をトルク値が零であるときのアナログ信号の調整に用いる。
特開2000−355280号公報
乗り物の速度がある程度以上である走行時の操舵フィーリングを向上させるためには、加えられる操舵トルクが小さい領域における操舵トルクを精度高く検出することが重要となる。
それゆえ、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクを全て検出可能であるとともに、操舵トルクが小さい領域における操舵トルクを精度高く検出可能であることが望まれる。
かかる目的のもと、本発明は、乗り物のステアリングホイールに加えられた操舵トルクを検出するトルク検出装置であって、前記操舵トルクに応じたアナログの電気信号を、互いに異なる増幅率で出力する複数のトルクセンサと、前記複数のトルクセンサから出力されたアナログの電気信号をデジタルの値に変換する変換手段と、前記乗り物の速度に応じて前記複数のトルクセンサ内のいずれのトルクセンサから出力された電気信号を用いるかを選択する選択手段と、前記選択手段が選択したトルクセンサから出力され前記変換手段にて変換されたデジタルの値を用いてトルクを算出する算出手段と、を備えることを特徴とするトルク検出装置である。
ここで、前記複数のトルクセンサには、第1のトルクセンサと、当該第1のトルクセンサの増幅率よりも大きな増幅率を有する第2のトルクセンサとが含まれ、前記選択手段は、前記乗り物の速度が予め定められた速度以下である場合には前記第1のトルクセンサから出力された電気信号を用い、当該予め定められた速度より大きい場合には前記第2のトルクセンサから出力された電気信号を用いることが好適である。
また、前記第1のトルクセンサの増幅率と前記第2のトルクセンサの増幅率との比は、当該第1のトルクセンサにて検出すべき前記操舵トルクの最大値と当該第2のトルクセンサが選択される前記予め定められた速度以下にて加えられると想定される前記操舵トルクの最大値との比に基づいて定められることが好適である。
また、他の観点から捉えると、本発明は、乗り物のステアリングホイールに連結される第1の回転軸と、トーションバーを介して前記第1の回転軸と連結される第2の回転軸と、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との相対回転角度に応じたアナログの電気信号を、互いに異なる増幅率で出力する複数のトルクセンサと、前記複数のトルクセンサから出力されたアナログの電気信号をデジタルの値に変換する変換手段と、前記乗り物の速度に応じて前記複数のトルクセンサ内のいずれのトルクセンサから出力された電気信号を用いるかを選択する選択手段と、前記選択手段が選択したトルクセンサから出力され前記変換手段にて変換されたデジタルの値を用いてトルクを算出する算出手段と、を備えることを特徴とするパワーステアリング装置である。
ここで、前記複数のトルクセンサには、第1のトルクセンサと、当該第1のトルクセンサの増幅率よりも大きな増幅率を有する第2のトルクセンサとが含まれ、前記選択手段は、前記乗り物の速度が予め定められた速度以下である場合には前記第1のトルクセンサから出力された電気信号を用い、当該予め定められた速度より大きい場合には前記第2のトルクセンサから出力された電気信号を用いることが好適である。
また、前記第1のトルクセンサの増幅率と前記第2のトルクセンサの増幅率との比は、当該第1のトルクセンサにて検出すべき前記操舵トルクの最大値と当該第2のトルクセンサが選択される前記予め定められた速度以下にて加えられると想定される前記操舵トルクの最大値との比に基づいて定められることが好適である。
本発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクを全て検出できるとともに、操舵トルクが小さい領域における操舵トルクを精度高く検出することができる。
実施の形態に係るトルク検出装置を適用した電動パワーステアリング装置の断面図である。 図1におけるX部の拡大図である。 実施の形態に係るトルク検出装置の主要部品の概略構成図である。 トルク検出装置を、図1におけるY方向から見た図である。 第1の回転軸と第2の回転軸とが相対変位する前のトルク検出装置の状態を示す図である。 図4で見た場合に、磁石(第1の回転軸)がヨーク(第2の回転軸)に対して反時計回転方向に回転した状態を示す図である。 図4で見た場合に、磁石がヨークに対して時計回転方向に回転した状態を示す図である。 磁石(第1の回転軸)とヨーク(第2の回転軸)との相対角度と第1の磁気センサおよび第2の磁気センサが検出する磁束密度との関係を示す図である。 第1の磁気センサおよび第2の磁気センサが出力する電気信号と、検出する磁束密度およびこの磁束密度に対応する操舵トルクとの関係を示す図である。 トルク演算部が行うトルク演算処理の手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係るトルク検出装置1を適用した電動パワーステアリング装置(以下、単に「EPS装置」と称す。)100の断面図である。図2は、図1におけるX部の拡大図である。図3は、実施の形態に係るトルク検出装置1の主要部品の概略構成図である。図4は、トルク検出装置1を、図1におけるY方向から見た図である。なお、図3,図4においては、後述するブラケット60は省略している。
トルク検出装置1は、ハウジング110に回転可能に支持された第1の回転軸120と、同じくハウジング110に回転可能に支持された第2の回転軸130との相対角度を検出し、第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度に基づいて第1の回転軸120および第2の回転軸130のいずれか一方の回転軸に加えられたトルクを検出する装置である。
ハウジング110は、例えば自動車などの乗り物の本体フレーム(車体)に固定される部材であり、第1ハウジング111と第2ハウジング112とが、例えばボルトなどにより結合されて構成される。
第1の回転軸120は、ステアリングホイール(不図示)が連結される回転軸であり、軸受113を介して第1ハウジング111に回転可能に支持されている。
第2の回転軸130は、トーションバー140を介して第1の回転軸120に同軸的に結合されているとともに軸受114を介して第2ハウジング112に回転可能に支持されている。また、第2の回転軸130に形成されたピニオン131が、車輪に連結されるラック軸(不図示)のラック(不図示)と噛み合っている。そして、第2の回転軸130の回転運動がピニオン131、ラックを介してラック軸の直線運動に変換され、車輪が操舵される。
また、第2の回転軸130には、例えば圧入などによりウォームホイール150が固定されている。このウォームホイール150は、第2ハウジング112に固定された電動モータ160の出力軸に連結されたウォームギヤ161と噛み合っている。
以上のように構成されたEPS装置100においては、トルク検出装置1が、第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度に基づいてステアリングホイールに加えられた操舵トルクTを検出する。そして、トルク検出装置1が検出した操舵トルクTに基づいて電動モータ160の駆動を制御し、電動モータ160の発生トルクをウォームギヤ161、ウォームホイール150を介して第2の回転軸130に伝達する。これにより、電動モータ160の発生トルクが、ステアリングホイールに加える運転者の操舵力をアシストする。
以下に、トルク検出装置1について詳述する。
トルク検出装置1は、第1の回転軸120に取り付けられる磁石10と、磁石10が形成する磁界内に配置されたヨーク30と、ヨーク30に生じる磁束密度を検出する磁気センサ40と、磁気センサ40からの出力値に基づいて操舵トルクTを演算するトルク演算部50とを有している。
磁石10は、円筒状であり、図3に示すように、第1の回転軸120の周方向にN極とS極とが交互に配置されるとともに周方向に着磁されている。この磁石10は、カラー11を介して第1の回転軸120に取り付けられている。つまり、磁石10がカラー11に固定されており、カラー11が第1の回転軸120に固定されている。そして、磁石10は第1の回転軸120とともに回転する。なお、磁石10の第1の回転軸120の軸方向の長さは、ヨーク30の長さよりも長い。
ヨーク30は、磁石10の外側に配置されており、第1のヨーク31と第2のヨーク32とから構成されている。第1のヨーク31および第2のヨーク32は、第2の回転軸130に取り付けられる。
第1のヨーク31は、磁石10の外径よりも大きな径の孔が内側に形成された円板状の第1の円環部31aと、この第1の円環部31aから第1の回転軸120の軸方向に延びるように形成された複数の第1の突起部31bとを有している。第2のヨーク32は、磁石10の外径よりも大きな径の孔が内側に形成された円板状の第2の円環部32aと、この第2の円環部32aから第1の回転軸120の軸方向に延びるように形成された複数の第2の突起部32bとを有している。
第1の突起部31bおよび第2の突起部32bは、磁石10のN極およびS極と同数形成されている。つまり、磁石10のN極およびS極がそれぞれ例えば12個である場合には、第1の突起部31bおよび第2の突起部32bもそれぞれ12個形成されている。そして、この第1の突起部31bおよび第2の突起部32bは、第1の回転軸120の回転半径方向においては、図2,図4に示すように、磁石10の外周面と対向するようにこの外周面よりもやや外側に配置されており、これら第1の突起部31bおよび第2の突起部32bの磁石10と対向する面は、第1の回転軸120の回転軸に直交する方向に見ると長方形である。
また、第1のヨーク31の第1の突起部31bと第2のヨーク32の第2の突起部32bとは、第1の回転軸120の周方向に交互に配置されている。
そして、本実施の形態に係るトルク検出装置1においては、ステアリングホイール(トーションバー140)に操舵トルクTが加わっていない状態、つまりトーションバー140に捩れが生じていない初期状態のときに、図4に示すように、第1の回転軸120の周方向において、時計回転方向に見た場合に磁石10のN極とS極との境界線と第1の突起部31bの周方向の中心が一致するように配置されている。また、時計回転方向に見た場合に磁石10のS極とN極との境界線と第2の突起部32bの周方向の中心が一致するように配置されている。そして、トーションバー140に操舵トルクTが加わってトーションバー140に捩れが生じ、第1の突起部31bが磁石10のN極あるいはS極と対向する場合に、第2の突起部32bは、第1の突起部31bが対向する極性とは異なる極性の磁極に対向する。
このヨーク30は、図2に示すように、第1のヨーク31と第2のヨーク32とが、インサートモールド成形により一体化されている。そして、インサートモールド成形する際にブラケット60をも一体成形している。ブラケット60は、第2の回転軸130の軸方向に伸びる薄肉円筒状の軸方向部位61と、軸方向部位61から第2の回転軸130の回転半径方向に伸びる円板状の半径方向部位62とを有する。そして、ブラケット60の軸方向部位61が第2の回転軸130に圧入、溶接、ねじ止めあるいはかしめされることにより、軸方向部位61が第2の回転軸130に固定されている。これにより、ヨーク30も第2の回転軸130に固定される。
なお、ヨーク30を成形する際には、第1のヨーク31、第2のヨーク32として同じ部品を使用し、配置方向を変えるだけにすることにより部品の種類が増えるのを抑制することが可能となる。
磁気センサ40は、第1の磁気センサ41と第2の磁気センサ42とから構成される。
第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42は、それぞれハウジング110に固定されており、第1の回転軸120の軸方向において、第1のヨーク31の第1の円環部31aと第2のヨーク32の第2の円環部32aとの間に配置されている。そして、第1の磁気センサ41と第2の磁気センサ42とは、第1の回転軸120の周方向に異なる位置に配置されている。
第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42は、第1のヨーク31と第2のヨーク32との間の磁束密度を検出し、検出した磁束密度に比例する値の電気信号(例えば電圧信号)に変換して出力するセンサであり、例えば、ホールICである。そして、第1の磁気センサ41は、検出した磁束密度を電気信号に変換した値に係数γ1を乗じて電気信号E1として出力する。つまり、第1の磁気センサ41は、検出した磁束密度を電気信号に変換した値を増幅率γ1で増幅して電気信号E1として出力する。また、第2の磁気センサ42は、検出した磁束密度を電気信号に変換した値に係数γ2を乗じて電気信号E2として出力する。つまり、第2の磁気センサ42は、検出した磁束密度を電気信号に変換した値を増幅率γ2で増幅して電気信号E2として出力する。
そして、本実施の形態においては、γ2はγ1よりも大きな値に設定されている。つまり、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42は同じ磁束密度を検出し、第2の磁気センサ42は、第1の磁気センサ41の出力値E1のγ2/γ1(1より大きな値)倍の値を出力する。
また、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42が出力する電気信号の大きさの範囲は同じである。それゆえ、第2の磁気センサ42が検出する磁束密度の範囲は、第1の磁気センサ41が検出する磁束密度の範囲のγ1/γ2(1より小さな値)倍である。
そして、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42は、それぞれ予め定められた周期で磁束密度を検出し、検出した磁束密度に比例する値の電気信号を出力する。
以上のように構成されたトルク検出装置1の第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42の出力について説明する。
図5は、第1の回転軸120と第2の回転軸130とが相対変位する前のトルク検出装置1の状態を示す図である。図5(a)は、磁石10とヨーク30との関係を、図1におけるY方向に見た図である。図5(b)は、磁石10およびヨーク30を、(a)におけるZ方向に見た図である。
ステアリングホイールに操舵トルクTが加わっていない状態、つまりトーションバー140に捩れが生じていない初期状態のときは、図4、図5(a)に示すように、第1の回転軸120の周方向において、ヨーク30の突起部である第1の突起部31bおよび第2の突起部32bの周方向の中心と、磁石10のN極とS極との境界線とが一致する。かかる場合、第1の突起部31bおよび第2の突起部32bの各突起部には、磁石10のN極とS極とから同数の磁力線が出入りする。そのため、第1のヨーク31の第1の円環部31aと第2のヨーク32の第2の円環部32aとの間には磁束密度差が生じないので、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42が検出する磁束密度はゼロとなる。
ステアリングホイールに操舵トルクTが入力されてトーションバー140に捩れが生じると、磁石10とヨーク30との周方向の相対位置が変化する。
図6は、図4で見た場合に、磁石10(第1の回転軸120)がヨーク30(第2の回転軸130)に対して反時計回転方向に回転した状態を示す図である。図7は、図4で見た場合に、磁石10がヨーク30に対して時計回転方向に回転した状態を示す図である。それぞれの図において、(a)は磁石10とヨーク30との関係を、図1におけるY方向から見た図である。(b)は磁石10およびヨーク30を、(a)におけるZ方向に見た図である。
また、図8は、磁石10(第1の回転軸120)とヨーク30(第2の回転軸130)との相対角度と第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42が検出する磁束密度との関係を示す図である。
図6および図7に示すように、トーションバー140が捩れると、第1の回転軸120の周方向において、ヨーク30の第1の突起部31bおよび第2の突起部32bの周方向の中心と、磁石10のN極とS極との境界線とが一致しなくなる。つまり、初期状態に比べて、磁石10のいずれかの磁極がヨーク30の第1の突起部31bおよび第2の突起部32bと対向する領域が増加する。
より具体的には、図6の状態においては、第1のヨーク31の第1の突起部31bは、磁石10のN極と対向する領域が増加し、第2のヨーク32の第2の突起部32bは、磁石10のS極と対向する領域が増加する。そのため、磁石10のN極から第1の突起部31bに向かう磁力線が、第1の突起部31bから磁石10のS極に向かう磁力線よりも増加する。また、第2の突起部32bから磁石10のS極に向かう磁力線が、磁石10のN極から第2の突起部32bに向かう磁力線よりも増加する。これにより、第1のヨーク31の第1の円環部31aから第2のヨーク32の第2の円環部32aへ向かう磁束密度が増加する。
そして、第1のヨーク31の第1の円環部31aから第2のヨーク32の第2の円環部32aへ向かう方向をプラスの方向とすると、初期状態から、図4で見た場合に、磁石10(第1の回転軸120)がヨーク30(第2の回転軸130)に対して時計回転方向に回転するにしたがって、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42が検出する磁束密度がプラスの方向へ大きくなる。
また、図7の状態においては、第1のヨーク31の第1の突起部31bは、磁石10のS極と対向する領域が増加し、第2のヨーク32の第2の突起部32bは、磁石10のN極と対向する領域が増加する。そのため、第1の突起部31bから磁石10のS極に向かう磁力線が、磁石10のN極から第1の突起部31bに向かう磁力線よりも増加する。また、磁石10のN極から第2の突起部32bに向かう磁力線が、第2の突起部32bから磁石10のS極に向かう磁力線よりも増加する。これにより、第2のヨーク32の第2の円環部32aから第1のヨーク31の第1の円環部31aへ向かう磁束密度が増加する。それゆえ、初期状態から、図4で見た場合に、磁石10(第1の回転軸120)がヨーク30(第2の回転軸130)に対して反時計回転方向に回転するにしたがって、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42が検出する磁束密度がマイナスの方向へ大きくなる。
図8においては、第1の回転軸120と第2の回転軸130とを、両方向に磁極1個(α度)分相対的に回転させた場合の磁束密度の変化を示している。そして、トーションバー140が両方向に1/3×α度捩れることを許容する仕様にすることで、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42は、トーションバー140の捩れ角に比例する磁束密度を検出することができる。言い換えれば、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42は、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクTに比例する磁束密度を検出することができる。
そして、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42は、第1のヨーク31と第2のヨーク32との間の磁束密度を検出し、検出した磁束密度に比例する値の電気信号に変換し、それぞれ増幅率γ1およびγ2で出力する。図9は、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42が出力する電気信号と、検出する磁束密度およびこの磁束密度に対応する操舵トルクTとの関係を示す図である。
トルク演算部50は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。トルク演算部50は、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42から出力されたアナログ信号である電気信号E1およびE2がそれぞれA/D変換部(不図示)にてデジタル信号に変換されたデジタル値D1およびD2を取得する。そして、トルク演算部50は、操舵トルクTを演算するにあたって第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42のいずれのセンサからの出力値に基づくデジタル値(D1あるいはD2)を用いて操舵トルクTを演算するかを選択するとともに、選択したセンサからの出力値に基づくデジタル値(D1あるいはD2)を用いて操舵トルクTを演算し、演算した操舵トルクTを出力する。
このトルク演算部50は、例えば、ハウジング110の外側に設けられてEPS装置100の電動モータ160を制御する機能をも有する電子制御ユニット(以下、単に「ECU」と称す。)により実現される。かかる場合、ECUは、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、トルク演算部50と、電動モータ160を制御するモータ制御部(不図示)とを有する。そして、ECUは、A/D変換部にて変換されたデジタル値D1およびD2をRAMに記憶し、記憶したデジタル値D1あるいはD2に基づいてトルク演算部50にて操舵トルクTを算出する。そして、ECUは、算出された操舵トルクTに基づいて目標補助トルクを算出し、この目標補助トルクを電動モータ160が供給するのに必要となる目標電流を算出し、算出した目標電流に基づいてフィードバック制御を行い、電動モータ160を制御するための信号を生成するなど、電動モータ160の作動を制御するための一連のEPS制御処理を実行する。
そして、トルク演算部50が、操舵トルクTを演算するにあたって第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42のいずれのセンサからの出力値に基づくかを選択するにあたっては、このトルク検出装置1が適用されたEPS装置100が搭載された乗り物の速度Vに基づく。より具体的には、速度Vが予め定められた速度VT以下である場合には、第1の磁気センサ41からの出力値に基づき、速度Vが予め定められた速度VTより大きい場合には、第2の磁気センサ42からの出力値に基づく。
ここで、EPS装置100においては、想定される操舵トルクTの範囲、あるいは性能保証すべき操舵トルクTの範囲を考慮して、トルク検出装置1にて検出すべき操舵トルクTの範囲が定められ、これにより、第1のヨーク31と第2のヨーク32との間の磁束密度(第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対回転角度)と、この磁束密度を検出する磁気センサから出力される電気信号との関係が定められる。
それゆえ、例えば、第1の磁気センサ41のみを用いる場合には、第1の磁気センサ41から出力された電気信号E1をA/D変換部にてデジタル信号に変換したデジタル値D1に基づいてEPS制御処理を行う場合、想定される最大の操舵トルクT、あるいは性能保証すべき最大の操舵トルクTに電気信号E1の最大値Emaxを合わせる必要がある。それゆえ、第1の磁気センサ41のみを用いる場合には、検出トルクが小さい領域に割り当てられるデジタル信号も制限され、量子化誤差を小さくすることが制限される。そして、EPS装置100の特性上、電気信号E1の最大値Emaxに合わせられた最大の操舵トルクTmaxの、例えば1/4以下の検出トルクが小さい領域となるのは、EPS装置100が搭載された乗り物がある程度の速度(この乗り物の仕様によりけりではあるが、例えば30km/h)以上で走行しているときである。その結果、EPS装置100が搭載された乗り物がある程度の速度以上で走行しているときの操舵フィーリングを向上させる上で重要となる、検出トルクが小さい領域におけるトルク検出精度の向上が抑制される。
そこで、本実施の形態においては、第1の磁気センサ41に加えて、第1の磁気センサ41の増幅率γ1よりも大きな増幅率γ2を有する第2の磁気センサ42を備え、速度Vが、予め定められた速度VTより大きい場合には、トルク演算部50が操舵トルクTを演算するにあたって、増幅率が大きい第2の磁気センサ42からの出力値に基づくようにする。これにより、第2の磁気センサ42からの出力値に基づく場合は、第1の磁気センサ41からの出力値に基づく場合に比して、1ビット当たりの検出トルクがγ1/γ2(γ1/γ2は1より小さい値)倍となり、トルク検出精度を向上させることができる。
また、トルク演算部50は、第1の磁気センサ41および第2の磁気センサ42のいずれのセンサからの出力値に基づくかによって、トルク演算する際に用いる演算式を変更する。
例えば、第1の磁気センサ41から出力される0〜Emaxの電圧信号で、±TmaxというTmaxの2倍の範囲のトルクを検出する場合には、第1の磁気センサ41から出力された電気信号E1をA/D変換部にて変換したデジタル信号D1を以下の式(1)に代入することにより算出する。
T=((2×Tmax)/Emax)×D1−Tmax・・・(1)
また、第2の磁気センサ42から出力される0〜Emaxの電圧信号で、±(Tmax×(γ1/γ2))という(Tmax×(γ1/γ2))の2倍の範囲のトルクを検出する場合には、第2の磁気センサ42から出力された電気信号E2をA/D変換部にて変換したデジタル信号D2を以下の式(2)に代入することにより算出する。
T=((2×Tmax×(γ1/γ2))/Emax)×D2−Tmax×(γ1/γ2)・・・(2)
以下、フローチャートを用いて、トルク演算部50が行うトルク演算処理について説明する。
図10は、トルク演算部50が行うトルク演算処理の手順を示すフローチャートである。トルク演算部50は、例えば、予め定められた周期にてこのトルク演算処理を行う。
トルク演算部50は、先ず、速度Vを読み込む(ステップ601)。これは、乗り物に搭載されてこの乗り物の速度を検出する速度センサ(不図示)から予め入力され、RAMの予め定められた領域に記憶された値を速度Vとして読み込む処理である。
その後、トルク演算部50は、ステップ601にて読み込んだ速度Vが予め定められた速度VT以下であるか否かを判別する(ステップ602)。そして、ステップ602にて肯定判定された場合には、RAMから、第1の磁気センサ41から入力されA/D変換部にてデジタル信号に変換されたデジタル値D1を読み込む(ステップ603)。その後、ステップ603にて読み込んだデジタル値D1を上述した式(1)に代入することにより操舵トルクTを算出する(ステップ604)。
他方、ステップ602にて否定判定された場合には、RAMから、第2の磁気センサ42から入力されA/D変換部にてデジタル信号に変換されたデジタル値D2を読み込む(ステップ605)。その後、ステップ605にて読み込んだデジタル値D2を上述した式(2)に代入することにより操舵トルクTを算出する(ステップ606)。
そして、トルク演算部50は、ステップ604あるいはステップ606にて算出した操舵トルクTを、EPS制御処理を行う部位に出力する(ステップ607)。
トルク演算部50は、このようにして第1の磁気センサ41あるいは第2の磁気センサ42の検出値に基づいて操舵トルクTを演算する。そして、演算した操舵トルクTをトルク検出装置1の検出値としてEPS制御処理を行う部位へ向けて出力する。
それゆえ、本実施の形態に係るトルク検出装置1によれば、第1の磁気センサ41のみを用いて検出する構成よりも、予め定められた速度VTより大きい速度において加えられる操舵トルクTをより精度高く検出することができる。したがって、予め定められた速度VTより大きい速度での操舵フィーリングを向上させることができる。
なお、以上のように構成されたトルク検出装置1の磁気センサ40は、増幅率が異なる第1の磁気センサ41と第2の磁気センサ42の2つの磁気センサから構成されるが、増幅率が異なる3つ以上の磁気センサから構成されていてもよい。そして、閾値となる速度を磁気センサの個数分設けて、速度に応じて用いる磁気センサを選択することで、より広範囲の速度におけるトルク検出精度を向上させることができるとともに、1ビット当たりの検出トルクをより小さくすることができ、よりきめ細かく操舵トルクTを検出することができる。
また、上述したトルク検出装置1は、増幅率が異なる2つの磁気センサを備えているが、かかる態様に限定されず、単に1つの磁気センサを備えるとともにこの磁気センサからの出力信号を、A/D変換部の前段で異なる増幅率で増幅する複数の増幅器を備え、速度に応じていずれの増幅器からの出力に基づいて操舵トルクTを算出するかを選択するようにしてもよい。
また、上述したトルク検出装置1は、第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度に応じて磁束密度を変化させる磁石10およびヨーク30と、検出した磁束密度に応じて操舵トルクTに応じた電圧を出力する磁気センサとを用いているが、特にかかる態様に限定されない。例えば、トルク検出装置1は、2つのコイルを有し、ステアリングホイールの操作に応じてこれら2つのコイルのインダクタンスを変化させる機構と、これらのインダクタンスの変化に基づいて操舵トルクTに応じた電圧を出力するトルク検出回路とを備える構成でもよい。かかる構成においては、トルク検出回路からの出力信号を異なる増幅率で増幅する複数の増幅器を備え、速度に応じていずれの増幅器からの出力に基づいて操舵トルクTを算出するかを選択するようにしてもよい。
1…トルク検出装置、10…磁石、30…ヨーク、31…第1のヨーク、32…第2のヨーク、40…磁気センサ、41…第1の磁気センサ、42…第2の磁気センサ、50…トルク演算部、60…ブラケット、100…電動パワーステアリング装置(EPS装置)、110…ハウジング、120…第1の回転軸、130…第2の回転軸、140…トーションバー、150…ウォームホイール、160…電動モータ

Claims (6)

  1. 乗り物のステアリングホイールに加えられた操舵トルクを検出するトルク検出装置であって、
    前記操舵トルクに応じたアナログの電気信号を、互いに異なる増幅率で出力する複数のトルクセンサと、
    前記複数のトルクセンサから出力されたアナログの電気信号をデジタルの値に変換する変換手段と、
    前記乗り物の速度に応じて前記複数のトルクセンサ内のいずれのトルクセンサから出力された電気信号を用いるかを選択する選択手段と、
    前記選択手段が選択したトルクセンサから出力され前記変換手段にて変換されたデジタルの値を用いてトルクを算出する算出手段と、
    を備えることを特徴とするトルク検出装置。
  2. 前記複数のトルクセンサには、第1のトルクセンサと、当該第1のトルクセンサの増幅率よりも大きな増幅率を有する第2のトルクセンサとが含まれ、
    前記選択手段は、前記乗り物の速度が予め定められた速度以下である場合には前記第1のトルクセンサから出力された電気信号を用い、当該予め定められた速度より大きい場合には前記第2のトルクセンサから出力された電気信号を用いることを特徴とする請求項1に記載のトルク検出装置。
  3. 前記第1のトルクセンサの増幅率と前記第2のトルクセンサの増幅率との比は、当該第1のトルクセンサにて検出すべき前記操舵トルクの最大値と当該第2のトルクセンサが選択される前記予め定められた速度以下にて加えられると想定される前記操舵トルクの最大値との比に基づいて定められることを特徴とする請求項2に記載のトルク検出装置。
  4. 乗り物のステアリングホイールに連結される第1の回転軸と、
    トーションバーを介して前記第1の回転軸と連結される第2の回転軸と、
    前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との相対回転角度に応じたアナログの電気信号を、互いに異なる増幅率で出力する複数のトルクセンサと、
    前記複数のトルクセンサから出力されたアナログの電気信号をデジタルの値に変換する変換手段と、
    前記乗り物の速度に応じて前記複数のトルクセンサ内のいずれのトルクセンサから出力された電気信号を用いるかを選択する選択手段と、
    前記選択手段が選択したトルクセンサから出力され前記変換手段にて変換されたデジタルの値を用いてトルクを算出する算出手段と、
    を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. 前記複数のトルクセンサには、第1のトルクセンサと、当該第1のトルクセンサの増幅率よりも大きな増幅率を有する第2のトルクセンサとが含まれ、
    前記選択手段は、前記乗り物の速度が予め定められた速度以下である場合には前記第1のトルクセンサから出力された電気信号を用い、当該予め定められた速度より大きい場合には前記第2のトルクセンサから出力された電気信号を用いることを特徴とする請求項4に記載のパワーステアリング装置。
  6. 前記第1のトルクセンサの増幅率と前記第2のトルクセンサの増幅率との比は、当該第1のトルクセンサにて検出すべき前記操舵トルクの最大値と当該第2のトルクセンサが選択される前記予め定められた速度以下にて加えられると想定される前記操舵トルクの最大値との比に基づいて定められることを特徴とする請求項5に記載のパワーステアリング装置。
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