JP2011116025A - 押出機の脱揮装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクリュ2を内設したシリンダ1の外周にリヤベント8とフロントベント9及び原料供給口11とを有し、原料供給口11から供給された原料溶液10から揮発性物質をリヤベント8及びフロントベント9から除去するようにし、前記原料供給口11は、リヤベント8が設けられたシリンダ1のリヤベントシリンダ5に設けられている構成と方法である。
【選択図】図1
Description
すなわち、図8において符号1で示されるものは二軸型のスクリュ2が回転自在に内設されたシリンダであり、このスクリュ2はモータ3及び減速機4を介して回転駆動するように構成されている。
前記リヤベント8とフロントベント9との間には、原料溶液10をシリンダ1内に供給するための原料供給口11が形成されている。
このスクリュ2の回転により原料供給口11からシリンダ1内に供給された揮発性物質を含む原料溶液10は、この原料供給口11に対して下流側に配備したフロントベント9を通過し、図示していないシリンダ1の先端の吐出口から図示しない水中カット装置へ供給される。
次に、前記フロントベント9では、図示していない真空ポンプによって減圧状態にされ、この原料溶液10から揮発性物質が脱揮され、原料溶液10中の揮発性物質濃度が低下する。
このフロントベント9は、図では1段であるが、押出される原料中に残留する揮発性物質濃度の効率的な低減のために多段状に配備されることもある。
この場合、各ベント8,9・・・間には、スクリュ2に混練部14を組み込み、シリンダ1内に原料溶液10を十分に充満させ、気密性を保持させて減圧状態としている。
すなわち、押出機にリヤベントを配備し、原料供給口から原料溶液を供給した際に分離した揮発性物質を除去し、原料溶液を濃縮している。しかし、原料溶液の組成物(プラスチック、または、合成ゴム)自体の溶融粘度が高く、揮発性物質濃度が高い場合、供給する原料溶液自体の温度と、原料供給口での圧力の変化により、原料溶液中の揮発性物質が膨張し、組成物から分離する際に、組成物を崩壊させると共に、分離した揮発性物質が組成物から熱を奪うため、組成物が粉々の粒子となり、分離した揮発性物質と共にリヤベントに輸送され、粉々の粒子がリヤベントの開口穴及び排気ラインを閉塞させてしまう問題がある。
このような場合、従来装置では、図9のように、原料供給口11からリヤベント8までの空間面積A1が約0.6D2 (シリンダ内径)と小さいため、原料供給口からリヤベントまでのシリンダとスクリュで形成される空間容積を大きくして、原料供給口からリヤベントにかけて流れる揮発性物質のガス流体の流速を低下させる対策を取るが、単に、空間容積を大きくするだけでは不十分で、組成物が粉々の粒子を捕獲し、押出機の下流側へ搬送するスクリュの径も同時に大きくする必要がある。そのため、例え、原料溶液の脱揮処理量が少なくても大きい装置が必要となり、そのような脱揮設備を導入する場合、投資金額が高くなり、設備投資に慎重にならざるを得なかった。
すなわち、リヤベントに直接、原料溶液を供給する原料供給口を設置し、その原料供給口は、リヤベントシリンダの周方向で、かつ、スクリュ軸断面でスクリュフライト上部端より下に位置するリヤベントシリンダの横、または下部に配備し、揮発性物質を系外に除去するためのリヤベントの開口穴は、リヤベントの上部に配備することにより、原料溶液の供給と共に分離した揮発性物質のガスが、リヤベントの開口穴全体に拡散して上昇するようになるため、ガス流体の流速を低下することができ、かつ、原料供給口が輸送スクリュが介在する位置にあり、粉々になった組成物粒子を捕獲し、押出機下流側へ搬送することができるため、粉々の粒子がリヤベントの開口穴及び排気ラインを閉塞させる問題を発生させずに、揮発性物質のみを除去することを可能にしたため、シリンダを径大化して装置を大きくする必要がなくなる。
また、リヤベントに対応して直接原料供給口を配備するため、従来、リヤベント、原料供給口、それぞれ専用のシリンダブロックが必要で機械が長くなっていたが、一体型にすることにより、シリンダブロックを1ブロック削減でき、機械の長さを短くすることも可能となる。
従来装置では、揮発性物質のガス流速は、原料供給口からリヤベントまでのシリンダとスクリュで形成される空間容積に左右され、その面積は0.6D2であったが、本発明では、従来構成と比べて揮発性物質のガス流速を、約1/3〜1/17に低下できる。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1において、符号1で示される二軸型のスクリュ2が回転自在に内設されたシリンダであり、このスクリュ2はモータ3及び減速機4を介して回転駆動するように構成されている。
前記リヤベント8が設けられたリヤベントシリンダ5の前記リヤベント8と対応する位置には、原料溶液10をシリンダ1内に供給するための原料供給口11が設けられている。
このスクリュ2の回転により原料供給口11から供給された揮発性物質を含む原料溶液10は、リヤベント8のリヤベント開口穴8Aから図3、図4、図5で示されるように揮発性物質が分離除去されると共に、シリンダ1内に内挿されたスクリュ2の回転により下流側へ輸送され、原料供給口11に対して下流側に配設したフロントベント9を通過し、さらに、揮発性物質を除去しつつ図示されていないシリンダ1のシリンダ先端から吐出される。
標準ベントの場合 :A≒2.4D2
ロングベントの場合:A≒9.0D2
上記の関係から、本件では開口面積Aの適用可能な範囲として、
2.0D2≦A≦10D2
としている。
また、流速の低減効果については、発明の効果として、「ガス流速を、約1/3〜1/17に低下できる。」としているが、この値は実験値ではなく、理論値であって、ガス流速は、以下の式で求めることができる。
V=Q/A V:ガス流速
Q:ガス流
A:開口面積
従来技術におけるAは、図9に示す空間面積A1に相当するが、ここで空間面積A1とシリンダ内径Dは実測値より、一般的に次の関係となる。
空間面積A1=0.6D2
この空間面積A1と、前述の開口面積Aからガス流速Vを比較すると、Qは一定であるため
(0.6D2)÷(2.0D2)=約1/3
(0.6D2)÷(10D2)=約1/17
即ち、ガス流速の低減は、約1/3〜1/17となることが明らかである。
2 スクリュ
3 モータ
4 減速機
5 リヤベントシリンダ
7 フロントベントシリンダ
8 リヤベント
8A リヤベント開口穴
9 フロントベント
10 原料溶液
11 原料供給口
12 排気ライン
13 真空排気ライン
14 混練部
20 スクリュフライト上部端
1C 側面
1D 底面
A 開口面積
Claims (6)
- スクリュ(2)を内設したシリンダ(1)の外周にリヤベント(8)とフロントベント(9)及び原料供給口(11)とを有し、前記原料供給口(11)から供給された原料溶液(10)から揮発性物質を前記リヤベント(8)及びフロントベント(9)から除去するようにした押出機の脱揮装置において、
前記原料供給口(11)は、前記リヤベント(8)が設けられた前記シリンダ(1)のリヤベントシリンダ(5)に設けられていることを特徴とする押出機の脱揮装置。 - 前記原料供給口(11)は、前記リヤベントシリンダ(5)の周方向で、かつ、スクリュ軸断面でスクリュフライトのスクリュフライト上部端(20)より下方に位置する前記リヤベントシリンダ(5)の側面(1C)又は底面(1D)に配設され、前記リヤベント(8)のリヤベント開口穴(8A)は前記リヤベントシリンダ(5)の上面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の押出機の脱揮装置。
- 前記リヤベント開口穴(8A)の開口面積(A)は、二軸スクリュ押出機の場合で、2.0D2≦A≦10D2(Dは二軸スクリュ押出機のシリンダの内径)であることを特徴とする請求項2記載の押出機の脱揮装置。
- スクリュ(2)を内設したシリンダ(1)の外周にリヤベント(8)とフロントベント(9)及び原料供給口(11)とを有し、前記原料供給口(11)から供給された原料溶液(10)から揮発性物質を前記リヤベント(8)及びフロントベント(9)から除去するようにした押出機の脱揮方法において、
前記原料供給口(11)は、前記リヤベント(8)が設けられた前記シリンダ(1)のリヤベントシリンダ(5)に設けられていることを特徴とする押出機の脱揮方法。 - 前記原料供給口(11)は、前記リヤベントシリンダ(5)の周方向で、かつ、スクリュ軸断面でスクリュフライトのスクリュフライト上部端(20)より下方に位置する前記リヤベントシリンダ(5)の側面(1C)又は底面(1D)に配設され、前記リヤベント(8)のリヤベント開口穴(8A)は前記リヤベントシリンダ(5)の上面に形成されていることを特徴とする請求項4記載の押出機の脱揮方法。
- 前記リヤベント開口穴(8A)の開口面積(A)は、二軸スクリュ押出機の場合で、2.0D2≦A≦10D2(Dは二軸スクリュ押出機のシリンダの内径)であることを特徴とする請求項5記載の押出機の脱揮方法。
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