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JP2011104566A - 切り込み工具 - Google Patents

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JP2011104566A
JP2011104566A JP2009265299A JP2009265299A JP2011104566A JP 2011104566 A JP2011104566 A JP 2011104566A JP 2009265299 A JP2009265299 A JP 2009265299A JP 2009265299 A JP2009265299 A JP 2009265299A JP 2011104566 A JP2011104566 A JP 2011104566A
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Abstract

【課題】複数の曲率の曲面や自由曲面を有する物体上に形成された塗膜に対して、より均一な深さ及び形状をもって切り込みを形成することを目的とする。
【解決手段】複数の刃を有する切り込み工具100であって、一端に刃50を、他の位置に突起33、34を有する複数の軸部31、32と、軸部31、32の一部を嵌合する筒状部41、42を有する軸受け部40と、一方向に延在する突起31、32の受け部21を備えるガイド部20と、刃50と軸受け部40との間に配置され、伸縮可能な弾性体60と、を備え、突起33、34が受け部21に移動可能に嵌合して構成される。塗膜面から受ける過剰な力を弾性体60の伸縮で分散させ、突起33、34をスリット等の受け部21内で移動させることにより、横方向へのずれを抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種製品に形成される塗膜の付着性を評価するためのクロスカット法に用いる切り込み工具に関する。
各種工業製品における塗膜の付着性・密着性の評価を行う方法として、日本工業規格(JIS)においてクロスカット法が定められている。
この方法は、プラスチックやガラス、金属等の各種の素地に形成された塗膜に対して、碁盤状の傷跡を形成した後、傷の上に粘着テープを貼着して剥離し、マス目の剥がれ状態により塗膜と素地の密着性を評価するものである。
JISの規定によれば、切り込み工具として単一刃切り込み工具と多重刃切り込み工具が規定されている(非特許文献1、第3〜5頁参照)。
日本工業規格(JIS)K5600−5−6(1999)
多重刃切り込み工具を使用する場合、例えば眼鏡レンズのように、複数の曲率による曲面が形成されている物体や、自由曲面を有する物体に形成された塗膜の評価を行うのは困難であった。これは、多重刃の刃先が曲面に合致しない領域が生じるので、刃先を常に一定の力で塗膜に押し込んで切り込みをすることができなくなるためである。
したがって、複数の曲率をもつ曲面や自由曲面などの、複雑な曲面を有する物体上の塗膜を評価する場合、単一刃切り込み工具を用いることとなる。しかしながら、単一刃切り込み工具を用いた場合は、例えば10×10個のマス目で評価する場合、数多くの切り込み線を形成することとなる。また塗膜が非常に硬く、例えば無機蒸着層である反射防止膜や、表面硬度を高めるハードコート層等の評価を行うには、線引きに強い力を要することとなる。これらの理由により、単一刃切り込み工具を用いても、均質な深さで切り込みを行うことが困難な場合があった。切り込み線の深さにばらつきが生じてしまうと、付着性の評価もばらついてしまい、信頼性が劣ってしまうという問題がある。
また、単一刃に限らず多重刃を用いる場合においても、クロスカットを行うには複数の平行直線状の切り込み線を形成する必要があるが、被検査面の曲面形状や刃の形状等によっては直線が歪んでしまう恐れがある。このように切り込み線の形状が歪んでしまう場合も、切り込みの深さにばらつきが生じる原因となる。
以上の問題に鑑みて、本発明は、複数の曲率をもつ曲面や自由曲面を有する物体上に形成された塗膜に対して、より均一な深さ及び形状をもって切り込み線を形成することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、複数の刃を有する切り込み工具であって、一端に刃を備え、刃と離間する位置に突起を有する複数の軸部と、これら軸部の一部を嵌合する筒状部を有する軸受け部と、一方向に延在する前記突起の受け部を備えるガイド部と、刃と軸受け部との間に配置され、伸縮可能な弾性体と、を備える。そして、軸部は、突起が受け部に移動可能に嵌合されるように軸受け部に保持される構成とする。
本発明による切り込み工具は、このように、刃と軸受け部との間に弾性体を介在させることで、刃が被検査面の凹凸によって押圧されると、刃を備える軸部が軸受け部側に押圧されるが、弾性体の伸縮によって軸受け部とは別に軸部が移動する。一方、軸部に設ける突起は、一方向に延在するスリットや溝等より成る受け部に対し相対的に移動可能として軸受け部に保持される。したがってこの切り込み工具においては、この突起を備える軸部の移動方向が受け部の延在方向に制限されることとなり、すなわち各刃の移動方向が互いに平行な一定の方向に制限されることとなる。
つまり本発明の切り込み工具によれば、まず、被検査面の曲面形状に追随して弾性体が刃の移動を吸収するので、過剰な力が加わってもこれを分散させ、刃先から被検査面に加わる力をより均一にすることができる。そして更に、切り込み動作時における刃のずれ方向を、突起が嵌合する溝の延長方向に制限することで、刃に過剰な力が加わったときの横方向のずれや、軸部を中心軸とする回転方向のずれが抑制されるので、刃先のずれを抑制することができる。このため、被検査面の曲率が変化して刃の切り込み方向を横切る方向に力が働く場合においても、刃が所定の方向以外の方向にずれることを抑制ないしは回避することができる。したがって、被検査面が自由曲面などの複雑な曲面を有する場合でも、切り込み方向に対して斜め方向、横方向の力が加わっても、より均一な深さ、均一な形状の切り込みを形成することが可能となる。
また、本発明の切り込み工具において、突起を、軸部の刃が接続される側とは反対側の端部がL字型に折り曲げられて成る構成としてもよい。このようにすることで軸部を比較的簡易な形状とすることができ、また刃先の向きとの位置合わせが容易となる。
この場合、ガイド部として、板状の部材に刃の数に対応する複数のスリット又は溝が受け部として設けられていてもよい。L字型の突起をスリット状や溝状の受け部に嵌合させることで、容易に突起を一方向に移動可能な状態で構成することができる。
また、複数の刃は2列に配置してもよく、この場合は2列に配置される刃のうち一方の列の刃に対応する突起を、他方の列の刃に対応する突起よりも延長して形成し、ガイド部の受け部に、2列に配置される複数の刃に対応して設けられる突起をそれぞれ嵌合する構成としてもよい。このような構成とすることで、各部材の構成が簡易となり、また各部の分解組み立てを容易とし、切り込み工具のメンテナンス作業を簡易化できる。また軸部とガイド部に設ける受け部との距離や、突起と受け部との間隔を適宜選定することによって、切り込み作業時に発生する切り粉等の塵埃の混入を抑えることができる。
また本発明においては、ガイド部を軸受け部と一体として、突起の受け部が軸受け部の筒状部に設けられる構成としてもよい。この場合は、部品点数を削減して、切り込み工具の構成を簡易化することができる。
また、本発明の切り込み工具においては、刃先の延長方向と、軸部の突起の突出方向との位置関係が一定に配置されることが好ましい。このような構成とすることで、刃の移動方向に対して、特定の方向に軸部を移動させることができ、各刃に対して過剰な力が働いた場合の、力の分散の度合いをより均一にすることができる。このため、切り込み深さを一定化することが可能となる。
また、弾性体はコイルバネより構成することが好ましい。コイルバネを用いることで、コイルバネの内部に軸部の一部を収容することができ、簡易な構成とすることが可能である。
本発明によれば、複数の曲率をもつ曲面や自由曲面を有する物体上に形成された塗膜に対して、より均一な深さ及び形状をもって切り込み線を形成することができる。
本発明の実施の形態に係る切り込み工具の概略側面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の要部の概略正面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の概略上面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の要部の概略側面図であり、A及びBは軸部、Cは刃、Dは弾性体の概略側面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の軸受け部の概略側面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の軸受け部の概略下面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の軸受け部の概略正面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具のガイド部の概略平面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の支持部の概略構成図であり、Aは上面図、Bは下面図、Cは側面図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の使用状態を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態に係る切り込み工具の使用状態を示す参考図である。 本発明の他の実施の形態に係る切り込み工具の要部の概略構成図であり、Aは側面図、Bは上面図である。
以下本発明を実施するための最良の形態を示すが、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下の例ではプラスチックレンズの塗膜面の評価に用いて好適な切り込み工具の実施の形態について説明するが、本発明による切り込み工具はこれに限らず、その他種々の被検査面の評価に利用することが可能である。
なお、本発明の切り込み工具を構成する各部の材料は特に限定されず、ステンレス、アルミや銅等の各種金属や合金材料、セラミックなどを利用でき、また刃以外の部分は樹脂等の成形可能な材料等を用いることも可能である。
1.第1の実施の形態
図1は、本発明の実施の形態に係る切り込み工具100の概略側面図である。また、図2はこの切り込み工具100の要部の正面図、図3は上面図である。図2及び図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して示す。図1に示すように、この切り込み工具100は、把持部10と、把持部10に係止部11、12を介して固定される支持部13、支持部13上にネジ又は接着剤等(図示せず)によって固定される板状のガイド部20、長さの異なる筒状部41、42を有する軸受け部40を備える。更に、軸受け部40の筒状部41、42に嵌合される上側の複数の軸部31、下側の複数の軸部32を有し、これら軸部31、32はそれぞれ一方の端部(以下先端とする)に刃50を備え、刃50とは離間する位置、この場合他方の端部(以下後端とする)に突起33、34を備える。なお、ここで上側とは、把持部10を下側に、軸部31、32側を上側に保持した場合の上下の位置関係を示し、切り込み工具100使用時の上下の位置関係とは異なる。
図2に示すようにこの例では、上側の軸部31として6本、下側の軸部32として5本、計2列11本の軸部31、32を配置して、それぞれに刃50を備える多重刃構成とする場合を示す。この場合刃50の総数は合計11個となり、11本の切り込み線を一回の切り込み作業で形成するものである。なお、上側を5本、下側を6本としてもよく、またその他の本数としてもよい。更に、2列に配置せず1列の構成としてもよい。
本実施の形態では、図1に示すように、軸部31、32の後端に設ける突起33、34は、端部がL字型に折り曲げられて構成される。また軸部31、32の後端側は、上側の軸部31の方が下側の軸部32より後方に延長される。このようにすることで上側の軸部31の突起33が下側の軸部32やその突起34に妨げられることなく、それぞれガイド部20に達するように構成される。
そしてガイド部20には、図1及び図3に示すように、一方向に延在する受け部として、スリット21、22が上述した軸部31、32の突起33、34に対応してそれぞれ6本及び5本、計11本設けられる。これにより、各突起33、34は、ガイド部20の各スリット21、22に嵌合され、このスリット21、22の形状に沿って移動可能とされる。なお、突起33、34の受け部としてはスリット21、22に限定されるものではなく、ストライプ状の溝等でもよい。また、ガイド部20の表面に、一定の方向に延在する凸部を設け、凸部の間に形成されるストライプ状の凹部を受け部としてもよく、その他、突起33、34が一方向に移動可能に嵌合される構造であればよい。
軸部31、32の先端には、刃50の基部側に設けられる円筒形状等の取り付け部51が嵌合等によって接続される。この取り付け部51は、各刃50の刃先52の延長方向が一方向に揃うように軸部31、32の先端に取り付けられる。また、各刃先52の延長方向は、軸部31、32の各突起33、34の突出方向との位置関係が一定となるように配置されることが好ましい。各軸部31、32の突起33、34は、軸部31、32の後端からこの板状のガイド部20に向かって突出するように配置される。したがって、各突起33、34の突出方向と刃先52の延長方向との位置関係を一定とし、例えば同一方向とすることで、容易に全ての刃先52の延長方向を揃えることができる。
なお、刃先52の長さは取り付け部51の外径より長くすることが好ましい。この場合、図2に示すように、上段の軸部31に取り付けられる刃先52と下段の軸部32に取り付けられる刃先52とが、横方向(刃50の各配列方向)に一部重なるように、また上段の刃50と下段の刃50とは上下に重ならず、斜め方向に交互に配置される。この場合は刃50の間隔を小さくでき、より小型な構成とすることができる。
また刃50と軸部31、32を嵌合している軸受け部40との間には、コイルバネ等の伸縮性を有する弾性体60が配置される。弾性体60としてコイルバネを用いる場合は、軸部31、32をその内部に挿入して配置することができ、構成が簡易化されるので好ましい。これら各弾性体60は、刃50の取り付け部51と軸受け部40の刃50側の端面との間に係止するように配置される。そして各刃50に力を加えていない状態で、各弾性体60が一定の長さとなるように、各刃50と軸受け部40の端面との間隔が設定される。つまり、各弾性体60の弾性定数や大きさ、形状を均一化し、且つ、圧力をかけない非作業時の状態での弾性体60の長さを一定に配置することによって、弾性体60の収縮と軸部31、32の移動によって、作業時に各刃50にかかる圧力が均質化される。
このように、刃50を弾性体60を介して軸受け部40に取り付けることで、過剰な力が加わっても、その力を逃がすため被検査面に加わる力がより均一になり、刃50の接触圧がほぼ均質に保たれることとなる。また弾性体60により、刃先52の位置が上下に(すなわち軸部31、32の延長方向に)伸縮するため、被検査面が複数の曲率をもつ曲面や自由曲面などの複雑な曲面を有する場合であっても、ほぼ一定の深さの傷、すなわち切り込み痕を直線的に付与することができる。
更に、軸部31、32に設ける突起33、34をガイド部20に設ける平行なスリット21、22の形状に沿って移動させることで、軸部31、32の移動方向が統一される。これにより、刃先52に加わる力の方向がより一定になり、均質な切り込み線を形成することが可能となる。
また、各刃先52の側面形状は、刃先52の少なくとも一方の角部を曲線状、又は図1に示すように円弧状とすることが好ましい。円弧状に限らず、例えば刃先52の側面形状として中央部を直線状とし、両端の角部を曲線状としてもよい。刃先52の少なくとも一方の角部、特に切り込み方向の角部を曲線状とすることで、切り込み作業時に、切り込み方向に対して斜め方向の力が加わっても、確実に刃先52の延長方向に沿って切り込むことが可能となる。
図4A〜Dは、以上説明した軸部31及び32、刃50、弾性体60のそれぞれ単体での側面図を示す。図4A及びBに示すように、軸部31及び32は例えば同じ直径の円柱状として、軸部31の長さが軸部32より長く形成される。また後端に設けられる突起33、34も例えば同じ径の円柱状として各軸部31、32の後端からL字型に折り曲げられて設けられ、突起33の長さは突起34より長く形成される。突起33、34の長さは、軸受け部40の筒状部41、42に嵌合された状態で、ガイド部20のスリット21、22に達し、この場合貫通する長さであればよい。軸部31及び32の長さは、ガイド部20に設けるスリット21、22の長さに合わせて適宜選定する。軸部31及び32、スリット21及び22共に、使用する目的、すなわち被検査面の凹凸形状の大きさに合わせて長さを選定することが好ましい。
刃50の形状は、図4Cに示すように、その取り付け部51が例えば円筒形状とされ、刃先52の側面形状は上述したように例えば円弧状等とし得る。取り付け部51を軸部31、32の突起33、34に対して一定の位置関係に、すなわち各刃先52の向きをそろえて取り付けるには、例えば軸部31、32の先端付近と取り付け部51の円筒面に目印等が付与されていてもよく、またこれらを嵌合した状態で微小な凹部と凸部とが合致した位置で安定するなどの位置決め構造が形成されていてもよい。
なお、刃先52の形状は、例えばJISのK5600−5−6に規定されているような、両刃型構成とすることが好ましい。両刃型とすることで、切り込み線を左右対称な断面形状とし、より均一な深さ、均一な形状の切り込みを行うことが可能となる。
弾性体60としては、図4Dに示すように、コイルバネを用いることが好ましく、また上述したように、弾性定数等の特性及び大きさや形状は均一化されていることが好ましい。そしてその径は、内径が軸部31及び32より大きく、また刃50の取り付け部51の外径、及び軸受け部40の筒状部41、42の外径より小さいことが好ましい。また弾性体60の外径は、取り付け部51の内径、筒状部41、42の内径より大きければよい。このようにすることで軸部31及び32を内部に移動可能に収容し、且つ、取り付け部51の端面と筒状部41及び42の端面とで挟み込むことにより、容易に弾性体60を配置することができる。弾性体60の長さは、軸部31及び32、スリット21及び22と同様、使用する被検査体の凹凸形状の大きさに合わせて選定することが好ましく、また刃50と軸受け部40との間に配置された状態での長さも同様である。
図5〜図7はそれぞれ軸受け部40の側面図、下面図、背面図である。軸受け部40には軸部31を嵌合する筒状部41と、軸部32を嵌合する筒状部42とが設けられ、筒状部41は筒状部42に比べて長く形成される。また各筒状部41、42は、軸部31、32の外径よりやや大きく、軸部31、32の移動を妨げない程度の内径の管孔41h、42hを有する。筒状部41と筒状部42との長さの違いは、軸部31及び32の長さの差と同程度であればよい。
筒状部41及び42の数は、軸部31及び32に合わせてそれぞれ6本、5本として、上下に配置して一体に形成される。またその下部には例えば直方体状の台座43が接着等により固定され、正面側には位置決め用、また切り粉除け用等の、板状の前面部44が設けられる。台座43の下部には直方体状等の支持部45、更にその下部に円柱状等の取り付け部47が例えば一体に形成されて、支持部45の上面が台座43の下面に同様に固定される。支持部45及び取り付け部47との間は必要に応じて面取りされ傾斜面46とされていてもよい。これら台座43、支持部45及び取り付け部47は一体に成形されていてもよく、各部を接着等により固定して組み立てる構成としてもよい。
図8は、ガイド部20の平面図である。図8に示すように、ガイド部20は板状の部材より構成し、軸部31の突起33を嵌合する6本のスリット21と、軸部32の突起34を嵌合する5本のスリット22とが設けられる。スリット21、22の長さは上述したように、軸部31及び32、弾性体60の長さと同様に、使用する被検査体の凹凸形状に合わせて適宜選定すればよい。またスリット21、22の幅は突起33、34が嵌合して移動可能な幅であればよく、また隣接するスリット同士の間隔は、刃先52の間隔に合わせて例えば同程度とすればよい。またガイド部20には、他に軸受け部40の支持部45を貫通させる例えば長方形状の孔部23が設けられる。孔部23や軸受け部40の支持部45の位置及び形状は、把持部10を使用者が保持したときに使用し易い位置であればよい。
またこの切り込み工具100においては、図1に示すように、ガイド部20の下部には、軸受け部40を把持部10に接続するための支持部13が設けられる。図9A〜Cに支持部13の上面図、下面図及び側面図を示す。図9A〜Cに示すように、この支持部13には平面長方形状等の台座14とその下部に固定される円筒状等の軸部15が設けられる。台座14の上面から軸部15にかけて、軸受け部40の支持部45が挿入される長方形状の孔部14hが形成される。また軸部15には、この孔部14hに連結する筒状等の孔部15hが形成され、支持部45の取り付け部47が挿入される。これら軸受け部40の支持部45や取り付け部47と、支持部13の台座14や軸部15の形状は相互に取り付け可能であればこれに限定されるものではない。
以上図3〜図9において説明した軸部31及び32、刃50、弾性体60、軸受け部40、ガイド部20、支持部13を組み立てて、係止部11、12により把持部10に接続固定することで、図1に示す切り込み工具100が構成される。係止部11、12による軸受け部40と把持部10との接続は、例えば係止部11及び12のそれぞれ外周及び内周に螺子溝が形成され、係止部12の締め付けにより、係止部11の内径が縮小することで、その内部に挿入された支持部13の軸部15が固定されて接続される態様とし得る。またこれに限らずその他種々の接続、固定態様とすることができる。
図10は、この切り込み工具100の使用状態を示す概略斜視図である。図10において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。被検査体である例えば凸レンズ300の塗膜面に切り込み工具100の刃50を押し当てている状態を示す。凸レンズ300の表面形状に従って、軸部31がスリット21に沿って移動し、刃50がほぼ均等な力でレンズ表面に押し当てられると共に、刃50の横方向のずれが抑制されることがわかる。なお、参考図として図11に切り込み工具100の一例の使用状態を示す。
2.第2の実施の形態
図12は、本発明の他の実施の形態に係る切り込み工具の要部の概略構成図であり、図12Aは側面図、図12Bは上面図である。図12に示すように、この切り込み工具においては、ガイド部として板状等の別体の部材を用いずに、軸受け部140の筒状部自体に受け部としてスリット121を設ける例である。したがって軸部131には、後端ではなく、軸受け部140の筒状部に嵌合される位置に突起133が設けられる。軸部131の先端に取り付けられる刃150、刃150の取り付け部151及び刃先152、また刃150と軸受け部140との間に介在させる弾性体160の形状や取り付け態様は、第1の実施の形態における切り込み工具100と同様の構成とし得る。
突起133はこの場合、軸部131の外周面から突出する円柱状とされ、その上部は半球状等の滑らかな形状とされていてもよい。スリット121の長さは第1の実施の形態において説明した切り込み工具100のスリット21と同様に選定し得る。図12Bにおいては3本の軸部131を配置した状態を示すが、第1の実施の形態と同様に6本でもよく、また同様に下部に5本の軸部を別途配置してもよい。また軸受け部140に設ける支持部や、これに接続する把持部等は、前述の切り込み工具100と同様の構成とし得る。
このような構成とすることで、第1の実施の形態における切り込み工具100と同様に、弾性体160を刃150と軸受け部140との間に配置することで、被検査面が自由曲面などの複雑な曲面を有する場合であっても、ほぼ一定の深さの傷、すなわち切り込み痕を、直線的に付与することができる。
また、軸部131に設ける突起133を、ガイド部である軸受け部140に設ける平行なスリット121の形状に沿って移動させることで、軸部131の移動方向が統一される。これにより、刃先152に加わる力の方向がより一定になり、均質な切り込み線を形成することが可能となる。
以上説明したように、本発明の切り込み工具によれば、従来と比べて切り込み線を一定の深さ、形状で形成できるので、複雑な曲面を有する塗膜面に対して、より同じ条件で評価をすることが可能となる。
なお、本発明は、各実施の形態において説明した構成に限定されるものではなく、把持部の材質や形状、また刃の数や配列態様等において、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変型例または応用例を含むものであることはいうまでもない。
10.把持部、11,12.係止部、13.支持部、14.台座、14h.孔部、15.軸部、15h.孔部、20.ガイド部、21,22.スリット、23.孔部、31,32,131.軸部、33,34,133.突起、40,140.軸受け部、41,42.筒状部、43.台座、44.前面部、45.支持部、47.取り付け部、50.刃,150、51,151.取り付け部、52,152.刃先、60,160.弾性体、100.切り込み工具、300.被検査体

Claims (9)

  1. 複数の刃を有する切り込み工具であって、
    一端に刃を備え、前記刃と離間する位置に突起を有する複数の軸部と、
    前記軸部の一部を嵌合する筒状部を有する軸受け部と、
    一方向に延在する前記突起の受け部を備えるガイド部と、
    前記刃と前記軸受け部との間に配置され、伸縮可能な弾性体と、を備え、
    前記軸部は、前記突起が前記受け部に移動可能に嵌合されて前記軸受け部に保持される
    切り込み工具。
  2. 前記突起は、前記軸部の前記刃が接続される側とは反対側の端部がL字型に折り曲げられて成る請求項1に記載の切り込み工具。
  3. 前記ガイド部は、板状の部材に前記刃の数に対応する複数のスリット又は溝が前記受け部として形成されて成る請求項2に記載の切り込み工具。
  4. 前記複数の刃が2列に配置され、
    前記2列に配置される刃のうち一方の列の刃に対応する前記突起が、他方の列の刃に対応する前記突起よりも延長して形成され、
    前記受け部に、前記2列に配置される複数の刃に対応して設けられる突起がそれぞれ嵌合される請求項2又は3に記載の切り込み工具。
  5. 前記ガイド部が前記軸受け部と一体とされて、前記受け部が前記軸受け部の前記筒状部に設けられる請求項1に記載の切り込み工具。
  6. 前記刃の刃先の延長方向と、前記軸部の前記突起の突出方向との位置関係が一定に配置される請求項1〜5のいずれかに記載の切り込み工具。
  7. 前記弾性体がコイルバネである請求項1〜6のいずれかに記載の切り込み工具。
  8. 前記刃が両刃型である請求項1〜7のいずれかに記載の切り込み工具。
  9. 前記刃の刃先は、少なくとも一方の角部が曲線状に形成される請求項1〜8のいずれかに記載の切り込み工具。
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