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JP2011197032A - 電子写真用イエロートナー - Google Patents

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JP2011197032A JP2010060415A JP2010060415A JP2011197032A JP 2011197032 A JP2011197032 A JP 2011197032A JP 2010060415 A JP2010060415 A JP 2010060415A JP 2010060415 A JP2010060415 A JP 2010060415A JP 2011197032 A JP2011197032 A JP 2011197032A
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Daisuke Inoue
大佑 井上
Fumihiro Sasaki
文浩 佐々木
Yuji Yamashita
裕士 山下
Satoru Ogawa
哲 小川
Ryuta Inoue
竜太 井上
Junichi Awamura
順一 粟村
Tsutomu Sugimoto
強 杉本
Hyo Shu
氷 朱
Teruki Kusahara
輝樹 草原
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】結着樹脂として少なくともポリエステル樹脂を使用した水系造粒によって得られるトナーであって、着色剤の偏在のない、優れた発色性と帯電性を有するイエロートナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤および離形剤を含む油相の液滴を懸濁してなる水系媒体懸濁液中から造粒されたトナーにおいて、着色剤として、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを含み、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることを特徴とする電子写真用イエロートナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用トナーに関し、より詳細には、静電式複写機やレーザービームプリンタ等、いわゆる電子写真法を用いた画像形成装置で用いられるフルカラー用トナーに関する。
従来より、電子写真装置や静電記録装置等において、電気的または磁気的潜像は、トナーによって顕像化されている。
例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーを用いて現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、加熱等の方法で定着させている。
静電荷像現像に使用されるトナーは一般に、結着樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、その他の添加剤を含有させた着色粒子であり、その製造方法には、大別して粉砕法と懸濁重合法等のケミカル法(トナー材料を含む液滴を形成し、該液滴から液体成分をなくして、トナー母体粒子を得る方法)がある。
粉砕法では、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕、分級することによりトナーを製造している。粉砕法によれば、ある程度優れた特性を有するトナーを製造することができるが、トナー用材料の選択に制限がある。
例えば、溶融混合により得られる組成物は、経済的に使用可能な装置により粉砕し、分級できるものでなければならない。この要請から、溶融混合した組成物は、充分に脆くせざるを得ない。このため、実際に上記組成物を粉砕して粒子にする際に、広範囲の粒径分布が形成され易く、良好な解像度と階調性のある複写画像を得ようとすると、例えば、粒径5μm以下、特に3μm以下の微粉と20μm以上の粗粉を分級により除去しなければならず、収率が非常に低くなるという欠点がある。
また、粉砕法では、離型剤や顔料などを熱可塑性樹脂中に均一に分散することが困難である。また、トナーに添加した着色剤が、得られたトナー表面に露出してしまうため、トナー表面の帯電が不均一となって、トナーの帯電分布を拡げ、現像特性が低下するという問題がある。
従って、これらの問題のため、混練粉砕法では、高性能化の要求に対し充分対応できないのが現状である。
近年、これらの粉砕法における問題点を克服するために、懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案され、実施されている。
静電潜像現像用のトナーを重合法によって製造する技術は公知であり、例えば懸濁重合法によってトナー粒子を得ることが行なわれている。
重合法によれば、従来の粉砕工程、練り工程を省くことができ、省エネルギー、生産時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減の寄与が大きく、さらに、トナー粒子を小粒径にすると同時に粒度分布も粉砕法に較べてシャープな分布にすることが容易で、高画質化への寄与も大きいことから、重合法は大いに期待される工法である。
また、電子写真においてフルカラー画像を印刷並みに高画質化するためには、各トナーの色再現性が広いことが必要である。不具合なく上記目的を達成するには、透明性、耐光性、耐熱性に優れた着色剤をトナー中に高分散せしめることである。
従来知られているイエロートナー用の着色剤は、種々の問題も多く抱えていた。
例えば、一般に染料系の着色剤は透明性に優れるものの、耐光性に劣り、画像の保存安定性に問題がある。
また、イエロー顔料系は、染料と比較して耐光性に優れているものの、マゼンタトナー用として使われている銅フタロシアニン系の顔料と比較すると、まだまだ耐光性に問題がある。
さらに、耐光性、耐熱性に優れるイエロー顔料でも、逆に隠蔽性が強すぎ、透明性が極端に低下してしまい、フルカラー用としては不向きであった。
耐光性に優れたジスアゾ系の化合物及びその製法は既に提案されている(特許文献1参照)。
これはピグメントイエロー180に代表される化合物群であり、耐光性、耐熱性に優れるばかりか、昨今の安全性要求にも合致するアゾ顔料の一つである。
また、ピグメントイエロー180を用いるイエロートナー(特許文献2〜4参照)を用いるトナーは、着色力に乏しく、加えて透明性も決して良好とはいえないが、上記特徴があるため粉砕トナー用顔料として盛んに用いられている。
しかし、ピグメントイエロー180は、比較的親水性が高く、有機溶剤を用いた乳化分散方式(特許文献5参照)や懸濁重合等水に油層を分散させてなる工法においては、粒子表面に偏析したり、粒子内に再凝集したりして、使用することが困難である。
特許文献6では、イソインドリン系顔料のピグメントイエロー185を用いたトナーが紹介されている。
ピグメントイエロー185は、鮮やかなイエロー色を示す上に、退色しにくく耐光性にも優れているものである。しかし、本方法のように水性媒体中でトナー粒子を作製する方法では、理由は定かではないが、造粒時に水相側に寄るため、着色剤がトナー表層に偏析する。着色剤が偏析すると、凝集しやすくなるため発色が悪くなり、帯電性に影響を及ぼす。
一方で、特許文献7に記載されているように、ピグメントイエロー155を用いるイエロートナーは、水系で懸濁、造粒しトナーを作製する場合にも、着色剤がトナー表層に偏析しにくく、OHPシートに形成されているカラー画像を投影しても透明性にも優れている。しかし、上記顔料を用いるトナーは、着色力に乏しく、充分な画像濃度は得られていない。
本発明の目的は、上記を鑑みなされたものである。
すなわち、結着樹脂として少なくともポリエステル樹脂を使用した水系造粒によって得られるトナーであって、着色剤の偏在のない、優れた発色性と帯電性を有するイエロートナーを提供することである。
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、結着樹脂として少なくともポリエステル樹脂を使用した水系造粒によって得られるトナーであって、着色剤としてジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを用い、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることにより、優れた着色性、色相、帯電性を有するトナーとすることができることを見出した。
すなわち上記課題は、下記の(1)〜(22)によって解決される。
(1)「少なくとも結着樹脂、着色剤および離形剤を含む油相の液滴を懸濁してなる水系媒体懸濁液中から造粒されたトナーにおいて、着色剤として、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを含み、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることを特徴とする電子写真用イエロートナー」、
(2)「前記着色剤として結着樹脂中に予め分散して得られるマスターバッチが用いられたことを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真用イエロートナー」、
(3)「前記着色剤は酸性の表面処理剤にて表面処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項および第(2)項に記載の電子写真用イエロートナー」、
(4)「前記表面処理剤は、酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー」、
(5)「前記マスターバッチ用の樹脂が、酸価が5KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー」、
(6)「前記マスターバッチは、予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤との分散により得られたものであり、該分散が、溶融混練であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー」、
(7)「前記表面処理剤の融点が、前記結着樹脂の融点より低いことを特徴とする前記第(6)項に記載の電子写真用イエロートナー」、
(8)「前記表面処理剤の融点が70℃以上110℃以下であることを特徴とする前記第(6)項または第(7)項に記載の電子写真用イエロートナー」、
(9)「前記離型剤は、90℃での粘度が5センチポアズ以上50センチポアズ以下であることを特徴とする前記第(6)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー」、
(10)「予め結着樹脂と離形剤と着色剤とを分散する前記分散が、着色剤として顔料洗浄後のプレスケーキ顔料を用いることを特徴とする前記第(6)項乃至第(9)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー」、
(11)「前記溶融混合が、開放型の溶融混練機を用いるものであることを特徴とする前記第(6)乃至第(10)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー」、
(12)「少なくとも結着樹脂、着色剤および離形剤を含む油相を、水系媒体中で懸濁、造粒する工程を有するトナーの製造方法において、着色剤として、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを用い、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることを特徴とする電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(13)「前記着色剤を結着樹脂中に予め分散してなるマスターバッチを用いることを特徴とする前記第(12)項に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(14)「前記着色剤を酸性の表面処理剤にて表面処理する工程を含むことを特徴とする前記第(12)項および第(13)項に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(15)「前記表面処理剤は、酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることを特徴とする前記第(12)項乃至第(14)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(16)「前記マスターバッチ用の樹脂が、酸価が5KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であることを特徴とする前記第(12)項乃至第(15)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(17)「予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤とを分散する前記分散工程が、溶融混練工程であることを特徴とする前記第(14)項乃至第(16)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(18)「前記表面処理剤の融点が結着樹脂の融点より低いことを特徴とする前記第(17)項に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(19)「前記表面処理剤の融点が70℃以上110℃以下であることを特徴とする前記第(17)項または第(18)項に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(20)「前記離型剤は、90℃での粘度が5センチポアズ以上50センチポアズ以下であることを特徴とする前記第(17)項乃至第(19)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(21)「予め結着樹脂と離形剤と着色剤とを分散する前記分散工程が、着色剤として顔料洗浄後のプレスケーキ顔料を用いるものであることを特徴とする前記第(17)項乃至第(20)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」、
(22)「予め結着樹脂と離形剤と着色剤とを溶融混合する工程で、開放型の溶融混練機を用いることを特徴とする前記第(17)項乃至第(21)項のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法」。
本発明によれば、少なくとも結着樹脂、着色剤および離形剤を含む油相の液滴を懸濁してなる水系媒体懸濁液中から造粒されたトナーにおいて、着色剤として、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを含み、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
また、本発明によれば、着色剤を結着樹脂中に予め分散してなるマスターバッチを用いることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、着色剤が酸性の表面処理剤にて表面処理されたものであることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、表面処理剤は、酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、マスターバッチ用の樹脂が、酸価が5KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤との前記分散が、溶融混練であることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、表面処理剤の融点が結着樹脂の融点より低いことにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、表面処理剤の融点が70℃以上110℃以下であることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、前記離型剤は、90℃での粘度が5センチポアズ以上50センチポアズ以下であることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、予め結着樹脂と離形剤と着色剤との前記分散が、着色剤として顔料洗浄後のプレスケーキ顔料を用いるものであることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
さらに、本発明によれば、予め結着樹脂と離形剤と着色剤との前記溶融混合で、開放型の溶融混練機を用いることにより、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないイエロートナーが得られる。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。本発明のトナーは、粉砕トナーではなく、所謂ケミカルトナーの1種であり、トナー用材料含有の油相の液滴を懸濁してなる水系媒体懸濁液中から造粒されたものである。
すなわち、本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤および離形剤を含む油相の液滴を懸濁してなる水系媒体懸濁液中から造粒されたトナーにおいて、着色剤として、下記(1A)の化学構造のジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155と、下記(1B)の化学構造のイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを含み、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることを特徴としている。
Figure 2011197032
ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155は、イエロートナーの中では比較的油相中あるいは樹脂中の分散は良好である。C.I.ピグメントイエロー155を用いることにより分散性が優れる原因は定かではないが、例えば、結着剤としてウレア結合し得る変性されたポリエステル系樹脂を用いる場合においては、ポリエステル樹脂のウレア結合部分が特に顔料との親和性が高く、顔料表面に強く吸着する一方、ポリエステル樹脂部分は有機溶剤に溶解し、立体的反発により顔料同士の凝集を防ぐとともに、トナー表面への偏析をふせいでいるからではないかと考えられる。したがって、良好なOHP透過性・帯電性が得られる。一方で、C.I.ピグメントイエロー155は、着色力が乏しいため、充分な画像濃度は得られない。
イソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185は、鮮やかなイエロー色を示し、着色力も強い。一方で、着色剤がトナー粒子表層に偏析するため、凝集しやすく、添加しすぎると発色が悪くなり、帯電性に影響を及ぼす。
そこで、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー155とC.I.ピグメントイエロー185とを用い、C.I.ピグメントイエロー155とC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50とすることで、良好な色相、着色度、帯電性を有するイエロートナーを得ることができる。
本発明においては、上記着色剤の合計を、結着樹脂100重量部に対して5〜15重量部、好ましくは6〜12重量部、より好ましくは6〜10重量部含有していることがよい。
当該着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表されるような中間色の再現性も低下し易くなる。さらにはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる。また、5質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度の高品位画像が得られ難い。
また、本発明のトナーは、着色剤を結着樹脂中に予め分散するマスターバッチを用いることを特徴としている。
マスターバッチを用いることで、着色剤の油相分散時における、ショックを和らげ着色剤の凝集を防ぎ、着色剤の分散性が向上し、良好な色相、着色度、帯電性を有するイエロートナーを得ることができる。
また、本発明のトナーは、着色剤を酸性の表面処理剤にて表面処理することを特徴としている。
着色剤に酸性処理することで、樹脂中の着色剤の分散性が向上し、良好な色相、着色度、帯電性を有するイエロートナーを得ることができる。
また、本発明のトナーは、表面処理剤の酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることを特徴としている。酸価が3KOHmg/g以下となると、着色剤が充分に分散されにくく、20KOHmg/g以上であると外部環境により帯電性などに影響を受けやすくなる。例えば、高温高湿下で帯電が低下し地汚れや飛散などが生じる。
酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であれば、顔料分散性に優れ高温高湿下での実機ランニング性に優れたトナーが得られる。
また、本発明のトナーは、ポリエステル樹脂の酸価が5KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であることを特徴としている。
ポリエステル樹脂の酸価は顔料の分散性に寄与するため5KOHmg/g以下であると、顔料の分散が難しい。
一方、外部環境の影響を受けやすくなるため40KOHmg/g以下であることが好ましい。40KOHmg/g以上であると、例えば、高温高湿下で帯電が低下し地汚れや飛散などが生じる。
また、本発明のトナーは、予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤とを分散する工程が、溶融混練であることを特徴としている。
溶融混練法によるマスターバッチは、表面処理剤を用いることにより効果的に分散することができ、溶剤系の分散のように顔料の再凝集のようなこともならないため、立体障害などの顔料分散剤が必要なく、安定した顔料分散が得られる。
また、本発明のトナーは、該表面処理剤の融点が結着樹脂の融点より低いことを特徴としている。
表面処理剤の融点が結着樹脂の融点より高いと、溶融混練時に効果的に顔料表面に吸着することができない。
一方、結着樹脂の融点より低いと、溶融混練時に表面処理剤が溶融し、顔料と濡れて粒子表面に吸着することができ、顔料分散性に大きな効果が得られる。
また、本発明のトナーは、前記表面処理剤の融点が70℃以上110℃以下であることを特徴としている。
表面処理剤の融点が70℃より低いと高温高湿下での保存性に悪影響を及ぼし、トナーが固化してしまうなどの課題が生じる。
一方融点が110℃よりも高いと、溶融混練時に表面処理剤を溶融させるためには高い温度にする必要となり、結着樹脂の粘度が下がり、高いせん断を付与することができない。
また、本発明のトナーは、前記離型剤の90℃での粘度が5センチポアズ以上50センチポアズ以下であることを特徴としている。
表面処理剤の粘度が90℃での5センチポアズを下回ると、トナー表面に露出する表面処理剤の影響により、高温高湿下での保存性に悪影響を及ぼし、トナーが固化してしまうなどの課題が生じる。
一方、表面処理剤の粘度が90℃で50センチポアズを超えると、粘度が高すぎて、溶融時に顔料と濡れにくく、顔料表面に吸着しにくいため、顔料分散性に効果が少ない。
また、本発明のトナーは、予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤とを溶融混合する工程で、着色剤として顔料洗浄後のプレスケーキ顔料を用いることを特徴としている。
プレスケーキは顔料粒子間に水を含んでおり、溶融混練時に結着樹脂に置換することで凝集することなく顔料分散性の優れたトナーを得ることができる。
また、本発明のトナーは、予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤とを溶融混合する工程で、開放型の溶融混練機を用いることを特徴としている。
開放型の溶融混練機はせん断時に発生する熱を開放できるため比較的低温で混練することが可能である。低温での混練は原料に高いせん断力を付与できるため、より顔料分散性の優れたトナーを得ることが可能である。
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、顔料の分散性の観点より、ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を、ポリエステル樹脂を重合するときに用いるジオール成分に対して50モル%以上含有することが好ましい。更に好ましいのは70モル%以上、更に好ましいのは80モル%以上である。
ジオール成分としてプロピレンオキサイド付加物が一定以上含有したポリエステル樹脂と所定の酸価、アミン価を有するポリエステル誘導体である高分子分散剤を組み合わせたときに顔料分散性が優れ、またトナーの色再現性が向上する。この理由は定かでないが、恐らくポリエステル樹脂と高分子分散剤の親和性が高まり顔料を安定化すると考えられる。
ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物以外のアルコール類、及び酸類は、ポリエステル樹脂のガラス転移点、分子量、軟化点等を考慮して任意に選択できる。
水酸基価、酸価は3価以上のアルコール、酸を添加することで任意に調整ができる。
ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物以外のジオール成分としては、エチレ
ングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレ
ンオキシド付加物等が挙げられる。
なお、アルキレングリコールの炭素数は、2〜12であることが好ましい。これらの中でも、炭素数が2〜12であるアルキレングリコール又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの混合物が特に好ましい。
また、三価以上のアルコールも使用ができ、三価以上のアルコールとしては、三価以上の脂肪族アルコール、三価以上のポリフェノール類、三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等を用いることができる。
三価以上の脂肪族アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
三価以上のポリフェノール類の具体例としては、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物の具体例としては、三価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等が挙げられる。
酸成分としては、ポリカルボン酸が挙げられる。
ポリカルボン酸は、目的に応じて適宜選択することができ、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸、ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物等を用いることができるが、ジカルボン酸又はジカルボン酸と少量の三価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。
これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸の具体例としては、二価のアルカン酸、二価のアルケン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
二価のアルカン酸の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。二価のアルケン酸の炭素数は、4〜20であることが好ましく、具体的には、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の炭素数は、8〜20であることが好ましく、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数が4〜20の二価のアルケン酸又は炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
三価以上のカルボン酸としては、三価以上の芳香族カルボン酸等を用いることができる。三価以上の芳香族カルボン酸の炭素数は、9〜20であることが好ましく、具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸及びジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物のいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルを用いることもできる。低級アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸を混合して用いる場合、ジカルボン酸に対する三価以上のカルボン酸の質量比は、用いるポリオールの種類および組成にもよるが、0.01〜10%であることが好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
ポリオールとポリカルボン酸を重縮合させる際の混合比は、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対するポリオールの水酸基の当量比は、通常、1〜2であることが好ましく、1〜1.5がより好ましく、1.02〜1.3が特に好ましい。
トナー用着色剤として、本発明ではイエロー顔料としてジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185を併用している。
なお上記顔料は、油相を調整する前に、好誼に顔料と表面処理剤とを結着樹脂に予め分散していられる。さらに好ましくは溶融混練し分散させる。
溶融混練機としては、一軸押し出し混練機、二軸押し出し混練機、二本ロール、三本ロールなどが挙げられる。
より好誼には表面処理剤や顔料の分散性を向上させる目的として、連続式の開放型二本ロール混練機が用いられる。本混練機は、混練物吐出側のロール間隙が原料投入側のロール間隙よりも広くすることにより、通常混練部全体に渡って強いせん断力がかかるオープンロール型混練機の混練力を、混練部前半の原料投入部に集中させて、後半部は溶融による混合を主体とすることで、混練熱の発生そのものを抑制することができるために、混練効果が増す。近接して配設された2本のロールは、一方が加熱媒体を通した加熱ロールであり、もう一方が冷却媒体を通した冷却ロールであることにより、より強いせん断力を付与することが可能となり、離型剤や顔料の分散性は向上する。
本発明に用いられるワックスは、天然ワックスとして、動物由来の蜜蝋、鯨蝋、セラック蝋、植物由来のカルナバ蝋、木蝋、米糠蝋(ライスワックス)、キャンデリラワックス、石油由来のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、鉱物由来のモンタンワックス、オゾケライトなどがあり、また合成ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワックス(エステル、ケトン類、アミド)、水素化ワックスなどがある。
種類について限定されるものではないが、好ましくは離形性の観点から石油の減圧蒸留留出分を分離精製して得られた炭化水素ワックスをカルボン酸などで変性させたものがよい。これは、パラフィンワックスが比較的低温で低粘度であると共に、針入度が低く、また変性することにより比較的容易に酸価を制御することが可能である。
ワックスの融点は離形効果の観点から、結着樹脂の融点より低いことが好ましく、70℃以上110℃以下であることが好ましい。またワックスの添加量は、離形効果と高温高湿下での保存性や帯電性を考慮すると、好ましくは1重量部以上20重量部以下であり、酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることが好ましい。
また、帯電を阻害しないためのワックスのブリード性を考慮すると、90℃における粘度が5以上50以下であることが好ましい。また、添加量は少なすぎると離形効果が少なく、多いと環境の影響を受けやすくなるため好ましくは3部から10部添加される。
また、本発明では帯電制御剤が好誼に用いられる。
帯電制御剤としては、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色又は白色に近い材料を用いることが好ましい。
具体的には、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、フッ素変性四級アンモニウム塩を含む四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リンの単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、市販品としては、四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体のLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子等が挙げられる。
トナー中の帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、結着樹脂に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、現像ローラとの静電引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
油相に含有させる前記結着樹脂の重量平均分子量は、1000〜30000であることが好ましく、1500〜15000がより好ましい。重量平均分子量が、1000未満であると、耐熱保存性が低下することがある。このため、重量平均分子量が1000未満である成分の含有量は、8〜28質量%であることが好ましい。一方、重量平均分子量が30000を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記結着樹脂のガラス転移温度は、通常、30〜70℃であり、35〜60℃がより好ましく、35〜55℃がさらに好ましい。ガラス転移温度が30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、70℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記結着樹脂の酸価は、5KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であることが好ましい。この範囲であれば、離型剤や顔料の分散性が向上し、発色や離形性、高温高湿下での保存性や帯電性に優れたトナーが得られる。
水系媒体は、公知のものの中から適宜選択することができる。
具体的には、水、水と混和可能な溶媒、これらの混合物等が挙げられるが、これらの中でも、水が特に好ましい。
水と混和可能な溶媒としては、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類、低級ケトン類等が挙げられる。
アルコールとしては、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。低級ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明において、少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナー材料を含有する油相は、トナー材料が溶媒に溶解又は分散されていることが好ましい。
溶媒は、有機溶媒を含有することが好ましい。なお、有機溶媒は、トナーの母粒子を形成する際又はトナーの母粒子を形成した後に除去することが好ましい。
有機溶媒は、目的に応じて適宜選択することができるが、除去が容易であることから、沸点が150℃未満であることが好ましい。
具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル等の非水混和性の溶媒に加えて、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、エタノール等のアルコール類、ジオキサン等の環状エーテル類、ジメチルホルムアミド等の含窒素有機溶媒などの水混和性溶媒が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
有機溶媒の使用量は、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料100質量部に対して、40〜300質量部であることが好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部がさらに好ましい。
トナー材料は、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有し、活性水素基を有する化合物及び活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体をさらに含有することが好ましく、必要に応じて、離型剤、帯電制御剤等のその他の成分をさらに含有してもよい。
トナー材料を含有する油相における着色剤と有機溶媒の混合割合は、目的に応じて適宜選択することができ、5:95〜50:50であることが好ましい。着色剤の配合量がこの範囲より少なくなると、トナーの製造時に有機溶媒の量が多くなり、トナーの製造効率が低下することがあり、この範囲より多くなると、顔料の分散が不充分となることがある。
トナー材料を含有する油相を用いて水系媒体中でトナー材料を乳化又は分散させる際には、攪拌しながらトナー材料を含有する油相を水系媒体中に分散させることが好ましい。
分散には、公知の分散機等を適宜用いることができる。
分散機の具体例としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等が挙げられる。中でも、分散体(油滴)の粒子径を2〜20μmに制御することができることから、高速せん断式分散機が好ましい。
高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。
回転数は、1000〜30000rpmであることが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合は、0.1〜5分であることが好ましく、分散温度は、加圧下において、0〜150℃であることが好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、一般に、分散温度が高温である方が分散は容易である。
トナーの母粒子を形成する方法は、公知の方法の中から適宜選択することができる。
具体的には、溶解懸濁法等を用いてトナーの母粒子を形成する方法、結着樹脂を生成しながら、トナーの母粒子を形成する方法等が挙げられるが、これらの中でも、結着樹脂を生成しながら、トナーの母粒子を形成する方法が好ましい。ここで、結着樹脂とは、紙等の記録媒体に対する接着性を有する基材である。
結着樹脂を生成しながら、トナーの母粒子を形成する方法は、トナー材料が活性水素基を有する化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有し、水系媒体中で、活性水素基を有する化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を反応させることにより結着樹脂を生成しながら、トナーの母粒子を形成する方法である。
このようにして得られるトナーは、必要に応じて適宜選択される離型剤、帯電制御剤等のその他の成分をさらに含有してもよい。
活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体は、活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂等が好適に用いられる。
活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂は、活性水素基に対する反応性を有する重合体としてのイソシアネート基を有するポリエステルが好ましい。
なお、イソシアネート基含有ポリエステル樹脂と活性水素基を有する化合物を反応させる際にアルコール類を添加することにより、ウレタン結合を形成してもよい。
このようにして生成するウレア結合に対するウレタン結合のモル比(イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーが有するウレタン結合と区別するため)は、0〜9であることが好ましく、1/4〜4であることがより好ましく、2/3〜7/3が特に好ましい。この比が9より大きいと、耐ホットオフセット性が低下することがある。
活性水素基を有する化合物は、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体が水系媒体中で伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
活性水素基の具体例としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。なお、活性水素基は、単独であってもよいし、二種以上の混合物であってもよい。
活性水素基を有する化合物は、目的に応じて適宜選択することができるが、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体がイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーである場合には、ポリエステルプレポリマーと伸長反応、架橋反応等により高分子量化できることから、アミン類が好適である。
アミン類は、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、ジアミン、三価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸及びこれらのアミノ基をブロックしたもの等が挙げられるが、ジアミン及びジアミンと少量の三価以上のアミンの混合物が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジアミンとしては、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンの具体例としては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
脂環式ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
三価以上のアミンの具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
アミノアルコールの具体例としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。
アミノメルカプタンの具体例としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。
アミノ酸の具体例としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。
アミノ基をブロックしたものの具体例としては、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物等が挙げられる。
なお、活性水素基を有する化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体の伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。反応停止剤を用いると、接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる。
反応停止剤の具体例としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等のモノアミン及びこれらのアミノ基をブロックしたケチミン化合物等が挙げられる。
アミン類のアミノ基の当量に対するポリエステルプレポリマーのイソシアネート基の当量の比は、1/3〜3であることが好ましく、1/2〜2がより好ましく、2/3〜1.5が特に好ましい。この比が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3を超えると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)は、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの誘導体等が挙げられる。
中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
プレポリマーが有する活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、イソシアネート基、エポキシ基、カルボンキシル基、化学構造式 −COClで示される官能基等が挙げられるが、中でも、イソシアネート基が好ましい。プレポリマーは、このような官能基の一つを有してもよいし、二種以上を有してもよい。
プレポリマーとしては、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に、定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できることから、ウレア結合を生成することが可能なイソシアネート基等を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマーは、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、ポリオールとポリカルボン酸を重縮合することにより得られる活性水素基を有するポリエステル樹脂と、ポリイソシアネートの反応生成物等が挙げられる。
ポリオールは、目的に応じて適宜選択することができ、ジオール、三価以上のアルコール、ジオールと三価以上のアルコールの混合物等を用いることができるが、ジオール又はジオールと少量の三価以上のアルコールの混合物が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。なお、アルキレングリコールの炭素数は、2〜12であることが好ましい。これらの中でも、炭素数が2〜12であるアルキレングリコール又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの混合物が特に好ましい。
三価以上のアルコールとしては、三価以上の脂肪族アルコール、三価以上のポリフェノール類、三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等を用いることができる。
三価以上の脂肪族アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
三価以上のポリフェノール類の具体例としては、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物の具体例としては、三価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等が挙げられる。
ジオールと三価以上のアルコールを混合して用いる場合、ジオールに対する三価以上のアルコールの質量比は、0.01〜10%であることが好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
ポリカルボン酸は、目的に応じて適宜選択することができ、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸、ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物等を用いることができるが、ジカルボン酸又はジカルボン酸と少量の三価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。
これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸の具体例としては、二価のアルカン酸、二価のアルケン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
二価のアルカン酸の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。
二価のアルケン酸の炭素数は、4〜20であることが好ましく、具体的には、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の炭素数は、8〜20であることが好ましく、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数が4〜20の二価のアルケン酸又は炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
三価以上のカルボン酸としては、三価以上の芳香族カルボン酸等を用いることができる。三価以上の芳香族カルボン酸の炭素数は、9〜20であることが好ましく、具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸、三価以上のカルボン酸及びジカルボン酸と三価以上のカルボン酸の混合物のいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルを用いることもできる。
低級アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。ジカルボン酸と三価以上のカルボン酸を混合して用いる場合、ジカルボン酸に対する三価以上のカルボン酸の質量比は、0.01〜10%であることが好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
ポリオールとポリカルボン酸を重縮合させる際の混合比は、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対するポリオールの水酸基の当量比は、通常、1〜2であることが好ましく、1〜1.5がより好ましく、1.02〜1.3が特に好ましい。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー中のポリオール由来の構成単位の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。この含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
ポリイソシアネートは、目的に応じて適宜選択することができるが、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−ジフェニルエーテル等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
イソシアヌレート類の具体例としては、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートと、水酸基を有するポリエステル樹脂を反応させる場合、ポリエステル樹脂の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比は、通常、1〜5であることが好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。当量比が5を超えると、低温定着性が低下することがあり、1未満であると、耐オフセット性が低下することがある。
イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマー中のポリイソシアネート由来の構成単位の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。この含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
ポリエステルプレポリマーが一分子当たりに有するイソシアネート基の平均数は、1以上であることが好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい。この平均数が、1未満であると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
油相における前記ジオール成分中にビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、特定の水酸基価と酸価を有するポリエステル樹脂に対するイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの質量比は、5/95〜25/75であることが好ましく、10/90〜25/75がより好ましい。質量比が、5/95未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、25/75を超えると、低温定着性や画像の光沢性が低下することがある。
したがって、トナーに含有される接着性基材の具体例としては、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物:ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸、トリメリット酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをアミノ基をケトン類でブロックしたケチミン化合物でウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸の重縮合物との混合物等が挙げられる。
本発明のトナーは、上記母体粒子に対し、外添剤を外添して用いられる。
外添剤としては、PMMAなどの有機微粒子や無機粒子を目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
無機粒子として具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
無機粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、無機粒子のBET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。
トナー中の無機粒子の含有量は、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.01〜5.0質量%がより好ましい。
これら無機粒子は流動性やブロッキング性の向上や、耐保存性や耐水性の観点から表面処理をして用いられる。
表面処理の具体例としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
次にトナーの製造方法の一例として、接着性基材を生成しながら、トナー母粒子を形成する方法を以下に示す。このような方法においては、水系媒体相の調製、トナー材料を含有する油相の調製、トナー材料の乳化又は分散、接着性基材の生成、溶媒の除去、活性水素基に対する反応性を有する重合体の合成、活性水素基を有する化合物の合成等を行なう。
水系媒体の調製は、樹脂粒子を水系媒体に分散させることにより行なうことができる。
樹脂粒子の水系媒体中の添加量は、0.5〜10質量%が好ましい。
トナー材料を含有する油相の調製は、溶媒中に、活性水素基を有する化合物、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、離型剤、帯電制御剤、前記ポリエステル樹脂等のトナー材料を、溶解又は分散させることにより行なうことができる。
なお、トナー材料の中で、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、ポリエステル樹脂以外の成分は、樹脂粒子を水系媒体に分散させる際に水系媒体中に添加混合してもよいし、トナー材料を含有する油相を水系媒体に添加する際に、水系媒体に添加してもよい。
トナー材料の乳化又は分散は、トナー材料を含有する油相を、水系媒体中に分散させることにより行なうことができる。そして、トナー材料を乳化又は分散させる際に、活性水素基を有する化合物と活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、接着性基材が生成する。
ウレア変性ポリエステル系樹脂等の接着性基材は、例えば、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基に対する反応性を有する重合体を含有する油相を、アミン類等の活性水素基を含有する化合物と共に、水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する油相を、予め活性水素基を有する化合物を添加した水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する油相を水系媒体中で乳化又は分散させた後で、活性水素基を有する化合物を添加し、水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよい。
なお、粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させる場合、生成するトナーの表面に優先的にウレア変性ポリエステル樹脂が形成され、トナー中にウレア変性ポリエステル樹脂の濃度勾配を設けることもできる。
接着性基材を生成させるための反応条件は、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体と活性水素基を有する化合物の組み合わせに応じて適宜選択することができる。反応時間は、10分間〜40時間であることが好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。反応温度は、0〜150℃であることが好ましく、40〜98℃がより好ましい。
水系媒体中において、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有する分散液を安定に形成する方法としては、水系媒体相中に、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、離型剤、帯電制御剤、前記ポリエステル樹脂等のトナー材料を溶媒に溶解又は分散させて調製した油相を添加し、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。
分散は、公知の分散機等を用いて行なうことができ、分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等が挙げられるが、分散体の粒子径を2〜20μmに制御することができることから、高速せん断式分散機が好ましい。
高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。回転数は、1000〜30000rpmであることが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合、0.1〜5分であることが好ましく、分散温度は、加圧下において、0〜150℃であることが好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、分散温度は、高温である方が一般に分散が容易である。
トナー材料を乳化又は分散させる際の、水系媒体の使用量は、トナー材料100質量部に対して、50〜2000質量部であることが好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。この使用量が、50質量部未満であると、トナー材料の分散状態が悪くなって、所定の粒子径のトナー母粒子が得られないことがあり、2000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
トナー材料を含有する油相を乳化又は分散する工程においては、油滴等の分散体を安定化させ、所望の形状にする共に粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
分散剤は、目的に応じて適宜選択することができ、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられるが、界面活性剤が好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に用いられる。フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフ
ルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜
C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(以上、旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(以上、住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(以上、大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(以上、トーケムプロダクツ社製)、フタ
ージェント100、150(以上、ネオス社製)等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。陽イオン界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−13
5(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等を用いることが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
難水溶性の無機化合物分散剤の具体例としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
高分子系保護コロイドとしては、カルボキシル基を有するモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、ビニルエーテル、カルボン酸ビニル、アミドモノマー、酸塩化物のモノマー、窒素原子又はその複素環を有するモノマー等を重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマー、ポリオキシエチレン系樹脂、セルロース類等が挙げられる。なお、上記のモノマーを重合することにより得られるホモポリマー又はコポリマーは、ビニルアルコール由来の構成単位を有するものも含む。
カルボキシル基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート等が挙げられる。
ビニルエーテルの具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。
カルボン酸ビニルの具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
アミドモノマーの具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
酸塩化物のモノマーの具体例としては、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等が挙げられる。
窒素原子又はその複素環を有するモノマーの具体例としては、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。
ポリオキシエチレン系樹脂の具体例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸フェニル、ポリオキシエチレンペラルゴン酸フェニル等が挙げられる。
セルロース類の具体例としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
分散剤の具体例としては、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。分散剤として、リン酸カルシウムを用いた場合は、塩酸等でカルシウム塩を溶解させて、水洗する方法、酵素で分解する方法等を用いて、リン酸カルシウム塩を除去することができる。
接着性基材を生成させる際の伸長反応及び/又は架橋反応には、触媒を用いることができる。
触媒の具体例としては、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等が挙げられる。
乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。
有機溶媒が除去されると、トナー母粒子が形成される。トナー母粒子に対しては、洗浄、乾燥等を行なうことができ、さらに分級等を行なうことができる。分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行なってもよいし、乾燥後に分級操作を行なってもよい。
得られたトナー母粒子は、離型剤、帯電制御剤等の粒子と混合してもよい。このとき、機械的衝撃力を印加することにより、トナー母粒子の表面から離型剤等の粒子が脱離するのを抑制することができる。
機械的衝撃力を印加する方法としては、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を
印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。
この方法に用いる装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
本発明のトナーは、表面が平滑であるため、転写性、帯電性等の諸特性に優れ、高品質な画像を形成することができる。
また、本発明のトナーが、活性水素基を有する化合物と、活性水素基に対する反応性を有する重合体を水系媒体中で反応させることにより得られる接着性基材を含有すると、転写性、定着性等の諸特性にさらに優れる。このため、本発明のトナーは、各種分野において使用することができ、電子写真法による画像形成に、好適に使用することができる。
本発明のトナーの体積平均粒子径は、3〜8μmであることが好ましく、4〜7μmがより好ましい。体積平均粒子径が3μm未満であると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがある。
また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するブレード等の部材へのトナー融着が発生することがある。
体積平均粒子径が8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行なわれた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
本発明のトナーの個数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比は、1.00〜1.25であることが好ましく、1.05〜1.25がより好ましい。これにより、二成分現像剤では、長期にわたるトナーの収支が行なわれても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
また、一成分現像剤では、トナーの収支が行なわれても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着を抑制し、現像装置の長期使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性が得られるため、高画質の画像を得ることができる。この比が1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行なわれた場合に、トナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
体積平均粒子径及び個数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比は、粒度測定器マルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。
まず、約1質量%塩化ナトリウム水溶液等の電解質水溶液100〜150ml中に、分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤を0.1〜5ml添加する。
次に、測定試料を約2〜20mg添加する。試料が懸濁した電解質水溶液に、超音波分散機を用いて約1〜3分間分散処理を行なった後、100μmのアパーチャーを用いて、トナーの体積及び個数を測定し、体積分布及び個数分布を算出する。
得られた分布から、トナーの体積平均粒子径及び個数平均粒子径を求めることができる。
本発明の現像剤は、本発明のトナーを含有し、キャリア等の適宜選択されるその他の成分をさらに含有してもよい。このため、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
本発明の現像剤を一成分現像剤として用いる場合、トナーの収支が行なわれても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
本発明の現像剤を二成分現像剤として用いる場合、長期にわたるトナーの収支が行なわれても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
キャリアは、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。芯材の材料は、公知のものの中から適宜選択することができ、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、マンガン−マグネシウム系材料等が挙げられる。
芯材の体積平均粒子径は、10〜150μmであることが好ましく、40〜100μmがより好ましい。体積平均粒子径が10μm未満であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特に、ベタ部の再現が悪くなることがある。
二成分現像剤中のキャリアの含有量は、90〜98質量%であることが好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中、各例における「部」および「%」はいずれも質量基準によるものである。
[結着樹脂の合成例1]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物196部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物553部、テレフタル酸210部、アジピン酸79部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸26部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、後述の表1に示す酸価(KOH mg/g)15.3で融点94℃のポリエステル結着樹脂1を合成した。
[結着樹脂の合成例2]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物164部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物500部、テレフタル酸143部、アジピン酸126部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸21部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、後述の表1に示す酸価(KOH mg/g)4.7で融点118℃のポリエステル結着樹脂2を合成した。
[結着樹脂の合成例3]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物48部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物500部、テレフタル酸143部、アジピン酸126部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸112部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、後述の表1に示す酸価(KOH mg/g)46で融点123℃のポリエステル結着樹脂3を合成した。
[結着樹脂の合成例4]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物113部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物500部、テレフタル酸143部、アジピン酸126部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸79部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、後述の表1に示す酸価(KOH mg/g)15.3で融点120℃のポリエステル結着樹脂4を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例1]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物41部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物113部、テレフタル酸42部、アジピン酸16部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で4時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸4部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点76℃、酸価12.4(KOH mg/g)で、粘度12(cp)の表面処理剤1を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例2]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物41部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物113部、テレフタル酸32部、アジピン酸6部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸4部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点81℃、酸価12(KOH mg/g)で、粘度15(cp)の表面処理剤2を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例3]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物41部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物113部、テレフタル酸42部、アジピン酸16部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸4部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点93℃、酸価23(KOH mg/g)で、粘度23(cp)の表面処理剤3を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例4]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物23部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸27部、アジピン酸21部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸6部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点105℃、酸価18.9(KOH mg/g)で、粘度23(cp)の表面処理剤4を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例5]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物41部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物113部、テレフタル酸42部、アジピン酸16部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で2時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸4部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点63℃、酸価9.6(KOH mg/g)で、粘度6.3(cp)の表面処理剤5を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例6]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物9部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸28部、アジピン酸26部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸21部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点120℃、酸価22.3(KOH mg/g)で、粘度31(cp)の表面処理剤6を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例7]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物41部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物113部、テレフタル酸34部、アジピン酸21部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で4時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸21部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点71℃、酸価10.5(KOH mg/g)で、粘度3.5(cp)の表面処理剤7を合成した。
[顔料表面処理剤の合成例8]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物9部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸28部、アジピン酸26部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸15部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、後述の表1に示す融点108℃、酸価21.5(KOH mg/g)で、粘度55(cp)の表面処理剤8を合成した。
[酸価の測定方法]
JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定を行なう。
試料調整:試料0.5gをトルエン120mlに添加して室温(23℃)で約10時間撹
拌して溶解する。更にエタノール30mlを添加して試料溶液とする。
測定は上記記載の装置にて計算することができるが、具体的には次のように計算する。
あらかじめ標定されたN/10苛性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液
の消費量から次の計算で酸価を求める。
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料質量
(ただしNはN/10KOHのファクター)
[結着樹脂及び顔料表面処理用樹脂の融点の測定]
本発明における融点とは、示差走査型熱量測定(DSC)において、そのDSC曲線の最大吸熱量を示したピークトップで決定される。
また測定は島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
前記結着樹脂合成例1で得られた結着樹脂1の50%と、表1に示す比率(C.I.ピグメントイエロー155/DIC社製:C.I.ピグメントイエロー185/BASF社製=75:25)で混ぜたイエロー顔料40%と、前記表面処理剤合成例1で得られた表面処理剤1の10%とをヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)にて1000rpmで5分間混合した後オープンロール混練機(三井鉱山(株)製)にて混練し、ロートプレックス粉砕機にて2mm大の顔料分散体粉末を作製しマスターバッチとした。
ビーカー内に、ポリエステルプレポリマー10部、75部のポリエステル樹脂及び酢酸エチル130部を入れ、攪拌して溶解させた。
次に、5部のパラフィンワックス及び上記マスターバッチ20部を加えて、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスクの周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした。さらに、ケチミン化合物2.7部を加えて溶解させ、トナー材料液を調製した。
容器に水系媒体150部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、12000rpmで攪拌しながら、トナー材料液100部を添加し、10分間混合して、乳化スラリーを調製した。
攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、乳化スラリー100部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃で12時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。
分散スラリー100部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行なった。
得られた濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した
。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行なった。
さらに、得られた濾過ケーキに10重量%塩酸20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行ない、濾過ケーキを得た。
得られた最終濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100部に対し、外添剤としての疎水性シリカ1.0部と、疎水化酸化チタン0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合処理し、評価用トナーを作製した。
実施例1におけるイエロー顔料の代わりに、表1に示す比率(C.I.ピグメントイエロー155/DIC社製:C.I.ピグメントイエロー185/BASF社製=85:15)で混ぜたイエロー顔料を用いた他は、実施例1と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料のマスターバッチを経由せず、表1に示す比率(C.I.ピグメントイエロー155/DIC社製:C.I.ピグメントイエロー185/BASF社製=85:15)で混ぜたイエロー顔料を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理をしない他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理剤1の代わりに、前記表面処理剤合成例2で得られた表面処理剤2用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理剤1の代わりに、前記表面処理剤合成例3で得られた表面処理剤3を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2における結着樹脂1の代わりに、前記結着樹脂合成例2で得られた結着樹脂2を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2における結着樹脂1の代わりに、前記結着樹脂合成例3で得られた結着樹脂3を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理剤1の代わりに、前記表面処理剤合成例4で得られた表面処理剤4を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理剤1の代わりに、前記表面処理剤合成例5で得られた表面処理剤5を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理剤1の代わりに、前記表面処理剤合成例6で得られた表面処理剤6を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理剤1の代わりに、前記表面処理剤合成例7で得られた表面処理剤7を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。
実施例2におけるイエロー顔料の表面処理剤1の代わりに、前記表面処理剤合成例8で得られた表面処理剤8を用いた他は、実施例2と全て同様にして、評価用トナーを作製した。これらは次表に纏められる。
[比較例1]
実施例2における結着樹脂1の代わりに、前記結着樹脂合成例4で得られた結着樹脂4を用い、かつ、実施例2におけるイエロー顔料の代わりに、表1に示す比率(C.I.ピグメントイエロー155/DIC社製:C.I.ピグメントイエロー185/BASF社製=45:55)で混ぜたイエロー顔料を用いた他は、実施例2と全て同様にして、比較評価用トナーを作製した。
[比較例2]
実施例2における結着樹脂1の代わりに、前記結着樹脂合成例4で得られた結着樹脂4を用い、かつ、実施例2におけるイエロー顔料の代わりに、表1に示す比率(C.I.ピグメントイエロー155/DIC社製:C.I.ピグメントイエロー185/BASF社製=98:2)で混ぜたイエロー顔料を用いた他は、実施例2と全て同様にして、比較評価用トナーを作製した。
[比較例3]
実施例2における結着樹脂1の代わりに、前記結着樹脂合成例4で得られた結着樹脂4を用い、かつ、実施例2におけるイエロー顔料の代わりに、表1に示す比率(C.I.ピグメントイエロー155/DIC社製:C.I.ピグメントイエロー185/BASF社製=75:25で、実施例1と同じ混合比)で混ぜたイエロー顔料を用いた他は、実施例2と全て同様にして、比較評価用トナーを作製した。
[比較例4]
実施例2における結着樹脂1の代わりに、前記結着樹脂合成例4で得られた結着樹脂4を用いた他は、実施例2と全て同様にして、比較評価用トナーを作製した。これらは次表に纏められる。
Figure 2011197032
(色再現性評価および着色度評価)
画像濃度評価同様に用紙のみを特菱アートN 110Kg(三菱製紙社製)上に付着量付着量0.4mg/cmとなるように作像し、定着部材の温度を160℃となるよう常に制御した上で線速280mm/secにて定着して評価用サンプルとした。
形成されたべた画像について、色度計(X−Rite社製:X−Rite938)を用いてL表色系(CIE:1976)におけるクロマチックネス指数aおよびbを測定し、下記式(1)で示されるCの値を求め、各カラートナーの彩度を評価した。
C*=[(a)2+(b)2]1/2・・・式(1)
彩度の評価基準は、以下のようである。
◎:非常に良好。Cが75以上
○:良好。Cが73以上75未満
△:やや不良。Cが70以上73未満
×:不良。Cが70未満
結果については表2に示す。
また、算出したaより、JapanColorとの色差を下記式(2)より算出し、△Eの評価を行なった。
△E=[(a)2−(b)2]1/2・・・式(2)
なお、色差の評価基準は、以下のようである。
◎:非常に良好。△Eが1未満
○:良好。△Eが1以上3未満
△:やや不良。△Eが3以上5未満
×:不良。△Eが5以上
結果については表2に示す。
また、上記サンプルを色度計(X−Rite社製:X−Rite938)を用いて画像濃度を測定した。
画像濃度の評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好。画像濃度1.5以上
○:良好。Cが1.4以上1.5未満
△:やや不良。Cが1.3以上1.4未満
×:不良。Cが1.3未満
結果については表2に示す。
(高温高湿下での長期ランニング試験)
上記で得られたトナーと60μmのフェライトキャリアとを、トナー濃度4%の割合で20分間撹拌混合し、二成分現像剤を得た。本二成分現像剤を40℃/80%環境下にて(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)にて原稿濃度5%の50000枚の耐刷試験をおこなった。
形成された1枚目および50000枚目の定着画像の画像濃度をマクベス社製の反射濃度計(小数点以下3桁測定できるように改造)により測定した。未使用紙と定着画像の白紙部の濃度差を測定し、濃度差が0.01未満の場合◎、0.01以上0.02未満の場合は○、0.02以上0.03未満の場合は△、0.03以上の場合を×として判断した。
<評価結果>
表2上記評価の結果を示す。
Figure 2011197032
評価結果によると比較例1のトナーは、ピグメントイエロー185の比率が高いため、彩度の低く、色差の大きいトナーとなった。比較例2のトナーはピグメントイエロー185の比率が低いため、色差が大きく、着色度の低いトナーとなった。比較例3および比較例4のトナーは、顔料としてピグメントイエロー180を用いたため、顔料は偏析し、彩度が低く、色差の大きいトナーとなった。
一方、実施例1から13のトナーは、本発明の範囲の要件を満たすため、彩度も高く、色相に優れ、高温高湿下でのランニングでの地汚れもないトナーが得られた。
特公平2−37949号公報 特開平6−230607号公報 特開平6−266163号公報 特開平8−262799号公報 特開平11−65172号公報 特開2005−106932号公報 特許第4011476号公報

Claims (22)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤および離形剤を含む油相の液滴を懸濁してなる水系媒体懸濁液中から造粒されたトナーにおいて、着色剤として、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを含み、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることを特徴とする電子写真用イエロートナー。
  2. 前記着色剤として結着樹脂中に予め分散して得られるマスターバッチが用いられたことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用イエロートナー。
  3. 前記着色剤は酸性の表面処理剤にて表面処理されたものであることを特徴とする請求項1および2に記載の電子写真用イエロートナー。
  4. 前記表面処理剤は、酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー。
  5. 前記マスターバッチ用の樹脂が、酸価が5KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー。
  6. 前記マスターバッチは、予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤との分散により得られたものであり、該分散が、溶融混練であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー。
  7. 前記表面処理剤の融点が、前記結着樹脂の融点より低いことを特徴とする請求項6に記載の電子写真用イエロートナー。
  8. 前記表面処理剤の融点が70℃以上110℃以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真用イエロートナー。
  9. 前記離型剤は、90℃での粘度が5センチポアズ以上50センチポアズ以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー。
  10. 予め結着樹脂と離形剤と着色剤とを分散する前記分散が、着色剤として顔料洗浄後のプレスケーキ顔料を用いることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー。
  11. 前記溶融混合が、開放型の溶融混練機を用いるものであることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の電子写真用イエロートナー。
  12. 少なくとも結着樹脂、着色剤および離形剤を含む油相を、水系媒体中で懸濁、造粒する工程を有するトナーの製造方法において、着色剤として、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185とを用い、ジスアゾ系顔料のC.I.ピグメントイエロー155とイソインドリン系顔料のC.I.ピグメントイエロー185との混合比率が95:5〜50:50で、かつ、該着色剤の合計が結着樹脂100重量部に対して5乃至15質量部含有されていることを特徴とする電子写真用イエロートナーの製造方法。
  13. 前記着色剤を結着樹脂中に予め分散してなるマスターバッチを用いることを特徴とする請求項12に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  14. 前記着色剤を酸性の表面処理剤にて表面処理する工程を含むことを特徴とする請求項12および13に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  15. 前記表面処理剤は、酸価が3KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  16. 前記マスターバッチ用の樹脂が、酸価が5KOHmg/g以上40KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  17. 予め結着樹脂と表面処理剤と着色剤とを分散する前記分散工程が、溶融混練工程であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  18. 前記表面処理剤の融点が結着樹脂の融点より低いことを特徴とする請求項17に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  19. 前記表面処理剤の融点が70℃以上110℃以下であることを特徴とする請求項17または18に記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  20. 前記離型剤は、90℃での粘度が5センチポアズ以上50センチポアズ以下であることを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  21. 予め結着樹脂と離形剤と着色剤とを分散する前記分散工程が、着色剤として顔料洗浄後のプレスケーキ顔料を用いるものであることを特徴とする請求項17乃至20のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
  22. 予め結着樹脂と離形剤と着色剤とを溶融混合する工程で、開放型の溶融混練機を用いることを特徴とする請求項17乃至21のいずれかに記載の電子写真用イエロートナーの製造方法。
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