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JP2011192377A - 光記録媒体、光記録再生方法 - Google Patents

光記録媒体、光記録再生方法 Download PDF

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JP2011192377A JP2011022566A JP2011022566A JP2011192377A JP 2011192377 A JP2011192377 A JP 2011192377A JP 2011022566 A JP2011022566 A JP 2011022566A JP 2011022566 A JP2011022566 A JP 2011022566A JP 2011192377 A JP2011192377 A JP 2011192377A
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Abstract

【課題】サーボ層と記録再生層を備える光記録媒体において、効率的な記録再生を実現する。
【解決手段】光記録媒体10において、トラッキング制御用の凹凸が第1スパイラル方向に形成される第1サーボ層18と、トラッキング制御用の凹凸が第1スパイラルと反対方向の第2スパイラル方向に形成される第2サーボ層19と、トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造で構成されて、これらの第1又は第2サーボ層18、19を利用してトラッキング制御を行いながら情報が記録される複数の記録再生層14を備えるようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数の記録再生層を有する光記録媒体、及びこの光記録媒体に情報を記録する光記録再生方法に関する。
従来、ディジタル動画コンテンツの視聴や、ディジタルデータの記録のために、CD−DA、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD+/−RW、DVD−RAM、Blu−ray Disc(BD)などの光記録媒体が広く利用されている。この中でも、次世代型DVD規格の一つとされるBDは、記録再生に用いるレーザー光の波長を405nmと短くし、対物レンズの開口数を0.85に設定される。BD規格に対応した光記録媒体側は、0.32μmのピッチでトラックが形成される。このようにすることで、光記録媒体の1つの記録再生層に対して25GB以上の記録再生を可能にしている。
ところで、動画やデータの容量は今後益々増大することが予想される。従って、光記録媒体における記録再生層を多層化することで光記録媒体の容量を増大させる方法が検討されている。BD規格の光記録媒体では、6層〜8層の記録再生層を設けることで、200GBもの超大容量を実現する技術も報告されている(非特許文献1、2参照)。
一方、光記録媒体において記録再生層を多層化する場合、各記録再生層に対してグルーブ/ランド等のトラッキング制御用の凹凸を形成しており、各層を設けるごとにこの凸凹を形成するための母型となるスタンパを使用する必要がある。従って、多層化すればするほど、このスタンパを使う回数が増え製造コストが増大することが懸念される。
そこで近年、光記録媒体においてサーボ層と記録再生層を別々に設けるようにし、サーボ専用レーザー光を用いてサーボ層からトラッキング信号を得ながら、記録用レーザー光によって記録再生層に情報を記録する技術が提案されている(特許文献1、2、3参照)。この技術によれば、各記録再生層には、トラッキング情報を持たせるため凹凸(溝)が不要となり、製造時にも記録再生層用のスタンパを使用する必要が無くなるので、大幅なコストダウンが可能となる。また、複数のサーボ層を利用することで、収差補正を行いやすくしたり、2層同時読み取りを行ったりすることも提案されている。
特開2008−97693号公報 特開2008−97694号公報 特開2008−108383号公報
I. Ichimura et. al., Appl. Opt, 45, 1974-1803 (2006) K. Mishima et. al., Proc. of SPIE, 6282, 62820I (2006)
しかし、特許文献1、2に記載される光記録媒体は、球面収差の補正量を抑制できることから記録再生精度を高めることが可能であるが、一方で、情報の記録再生を効率的に行うことが難しいという問題があった。具体的には、記録再生層の積層順に情報を記録していく場合、直前の記録再生層から次の記録再生層に移行する際にシーク時間が長くなるという問題があった。また、二つのサーボ層を交互に利用しようとすると、サーボ層と記録再生層間でビームをフォーカス方向に大きく移動させなければならず、移動時間や調整時間が長くなるという問題があった。更に、サーボ層と記録再生層に対して、同波長のビームを用いると、サーボ層側の反射光が記録再生層の記録再生に悪影響を及ぼしたり、記録再生層側の反射光がサーボ層側のトラッキング制御に悪影響を及ぼしたりしやすく、素材や構造設計によって相互干渉を低減しなければならないという問題があった。
なお、この種の光記録媒体に対して情報の記録・再生を行う光ピックアップ側では、光記録媒体における厚さ方向のどこに記録再生層が存在するのか分からない。従って、記録再生層の積層数が異なる様々な光記録媒体が挿入されると、記録用レーザー光の焦点をフォーカス方向に移動させて、各記録再生層の位置を読み取る必要があるので、記録・再生の準備に時間がかかるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、サーボ層と記録再生層を別々に備える光記録媒体において、記録再生効率を高めることを可能とする技術を提供することを目的としている。
本発明者らの鋭意研究により、上記目的は以下の手段によって達成される。
上記目的を達成する本発明は、トラッキング制御用の凹凸が第1スパイラル方向に形成される第1サーボ層と、トラッキング制御用の凹凸が前記第1スパイラルと反対方向の第2スパイラル方向に形成される第2サーボ層と、トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造で構成され、前記第1サーボ層又は前記第2サーボ層を利用してトラッキング制御を行いながら情報が記録される複数の記録再生層と、を備えることを特徴とする光記録媒体である。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、前記記録再生層が3層以上となることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、記第1及び第2サーボ層が、前記記録再生層と比較して、光入射面から近い位置に積層されていることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、前記第1及び第2サーボ層が、長い波長光を反射し且つ短い波長光を透過する特性を有することを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、前記第1及び第2サーボ層が、前記記録再生層と比較して、光入射面から遠い位置に積層されていることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、前記記録再生層が、短い波長光を反射し且つ長い波長光を透過する特性を有することを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、3層以上となる前記記録再生層の層間距離として、第1距離と、該第1距離と異なる第2距離とが交互に設定されることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、前記第1又は第2サーボ層のトラックピッチが、前記記録再生層に記録予定のトラックピッチの2倍に設定されていることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体は、上記手段において、3層以上となる前記記録再生層間において、隣接する前記記録再生層の一方は前記第1サーボ層のトラッキング制御によって第1スパイラル方向に情報が記録され、他方は前記第2サーボ層のトラッキング制御によって第2スパイラル方向に情報が記録されることを特徴とする。
上記目的を達成する本発明は、トラッキング制御用の凹凸が第1スパイラル方向に形成される第1サーボ層と、トラッキング制御用の凹凸が前記第1スパイラルと反対方向の第2スパイラル方向に形成される第2サーボ層と、トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造で構成される複数の記録再生層とを備える光記録媒体に対する光記録再生方法であって、前記第1又は第2サーボ層のいずれかにトラッキング用のビームを照射することによりトラッキング制御を行いながら、前記記録再生層に記録用のビームを照射して情報を記録することを特徴とする光記録再生方法である。
上記目的を達成する光記録再生方法は、上記手段において、隣接する前記記録再生層において、一方は前記第1サーボ層を利用して第1スパイラル方向にトラッキング制御を行いながら情報を記録し、他方は第2サーボ層を利用して第2スパイラル方向にトラッキング制御を行いながら情報を記録することを特徴とする。
本発明によれば、スパイラル方向の異なる2つのサーボ層を利用することで、光記録媒体に対して効率的な記録再生を実現できるという優れた効果を奏し得る。
本実施形態に係る光記録媒体の記録再生を行う光ピックアップの構造を示すブロック図である。 同光記録媒体の積層構造を示す断面図である。 同光記録媒体の積層構造を示す斜視図である。 同光記録媒体の積層構造の他の例を示す断面図である。 同光記録媒体の積層構造の他の例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係る第1光記録媒体10と、この第1光記録媒体10の記録再生に用いられる光ピックアップ90の構成が示されている。光ピックアップ90は、第1光学系100と第2光学系200を備える。第1光学系100は、第1光記録媒体10の記録再生層群14に対して記録・再生を行う光学系となる。第2光学系200は、第1光学系100を利用して記録再生層群14に情報を記録する時に、後述する第1サーボ層18又は第2サーボ層19を利用してトラッキング制御を行う光学系となる。
第1光学系100の光源101から出射された比較的短い青色波長380〜450nm(ここでは405nm)となる発散性のビーム170は、球面収差補正手段193を備えたコリメートレンズ153を透過し、第2光学系200の波長選択フィルタ260を透過して偏光ビームスプリッタ152に入射する。偏光ビームスプリッタ152に入射したビーム170は、偏光ビームスプリッタ152を透過して、更に4分の1波長板154の透過によって円偏光に変換された後、対物レンズ156で収束ビームに変換される。このビーム170は、第1光記録媒体10の内部に形成された複数の記録再生層群14のいずれか記録再生層の上に集光される。
対物レンズ156の開口はアパーチャ155で制限され、開口数NAを0.70〜0.90(ここでは0.85)としている。例えば記録再生層群14で反射されたビーム170は、対物レンズ156、4分の1波長板154を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ152で反射される。なお、この偏光ビームスプリッタ152は波長選択特性を有しており、第1光学系100の光源101からのビーム170は反射可能であるが、後述する第2光学系200の比較的長い赤色波長のビーム270は常に透過するようになっている。
偏光ビームスプリッタ152で反射されたビーム170は、集光レンズ159を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ157を経て、光検出器132に入射する。ビーム170には、シリンドリカルレンズ157を透過する際、非点収差が付与される。
光検出器132は、図示しない4つの受光部を有し、それぞれ受光した光量に応じた電流信号を出力する。これら電流信号から、非点収差法によるフォーカス誤差(以下FEとする)信号、再生時に限定されるプッシュプル法によるトラッキング誤差(以下TEとする)信号、第1光記録媒体10に記録された情報の再生信号等が生成される。FE信号およびTE信号は、所望のレベルに増幅および位相補償が行われた後、アクチュエータ191および192にフィードバック供給されて、フォーカス制御およびトラッキング制御がなされる。なお、第1光学系100によるトラッキング制御は再生時のみ利用される。
第2光学系200の光源201から出射された波長630〜680nm(ここでは650nm)となる発散性のビーム270は、球面収差補正手段293を備えたコリメートレンズ253を透過し、偏光ビームスプリッタ252に入射する。偏光ビームスプリッタ252に入射したビーム270は、偏光ビームスプリッタ252を透過して、更に第2光学系用の4分の1波長板254を透過して円偏光に変換された後、波長選択フィルタ260で反射されて、第1光学系100と共有される偏光ビームスプリッタ152を透過する。このビーム270は更に対物レンズ156で収束ビームに変換されて、第1光記録媒体10の内部に形成された第1サーボ層18又は第2サーボ層19に集光される。第1サーボ層18又は第2サーボ層19で反射されたビーム270は、対物レンズ156、及び偏光ビームスプリッタ152を透過して第2光学系200の波長選択フィルタ260で反射し、4分の1波長板254において往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ252で反射される。偏光ビームスプリッタ252で反射されたビーム270は、集光レンズ259を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ257を経て、光検出器232に入射する。ビーム270には、シリンドリカルレンズ257を透過する際、非点収差が付与される。
光検出器232は、図示しない4つの受光部を有し、それぞれ受光した光量に応じた電流信号を出力する。これら電流信号から、非点収差法によるフォーカス誤差(FE)信号、プッシュプル法によるトラッキング誤差(TE)信号が生成される。なお、サーボ層18にも情報が記録されている場合は再生信号も生成される。
第1光学系100による記録再生層群14への情報の記録時は、第2光学系200のTE信号について、所望のレベルに増幅および位相補償が行われた後、アクチュエータ191および192にフィードバック供給されてトラッキング制御がなされる。この結果、第2光学系200のトラッキング制御に基づいて、第1光学系100が記録再生層群14に情報を記録するようになっている。なお、本実施形態では、記録再生層群14に記録済みの情報を再生する際は、記録再生層群14上の記録マークを利用して第1光学系100が独自にトラッキング制御するようにしている。一方、第2光学系200のトラッキング制御を利用しながら再生することも勿論可能である。
図2及び図3には、3種類の本実施形態に係る第1〜第3光記録媒体10、20、30の断面構造が拡大して示されている。なお、ここでは第1光記録媒体10を詳細に説明することにし、第2、第3光記録媒体20、30は第1光記録媒体10と異なる点を重点的に説明する。なお、第1〜第3光記録媒体10、20、30の間で相関する部材については符号の下一桁を共通させている。
第1光記録媒体10は、外径が約120mm、厚みが約1.2mmの円盤形状となっている。この光記録媒体10は、光入射面10A側から、カバー層11、記録再生層群14及び中間層群16、第1スペーサ層17A、第1サーボ層18、第2スペーサ層17B、第2サーボ層19、支持基板12を備えて構成される。
記録再生層群14は、ここでは第1〜第6記録再生層14A〜14Fを備えて構成されており、それぞれに情報を記録できる構造となっている。この第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造となっており、第1光学系100から高エネルギーとなる記録用のビーム170が照射されると、記録マークが形成される。なお、この記録再生層群14の種類として、情報の追記が出来るが書き換えが出来ない追記型記録再生層と、情報の書換が可能な書換型記録再生層がある。
支持基板12は、光記録媒体に求められる厚み(約1.2mm)を確保するための、厚さ1.0mmで直径120mmとなる円盤形状の基板であり、この支持基板12の光入射面10A側の面に第2サーボ層19が形成される。具体的には、支持基板12における光入射面10A側に、その中心部近傍から外縁部に向けて第2スパイラル方向(図3の時計回り方向)となるグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。このグルーブおよびランドが、トラッキング制御用の凹凸(溝)となり、第2光学系200のビーム270がガイドされるようになっている。
なお、支持基板12の材料としては種々の材料を用いることが可能であり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂を利用できる。これらのうち成型の容易性の観点から樹脂が好ましい。樹脂としてはポリカーボネイト樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、加工性などの点からポリカーボネイト樹脂やオレフィン樹脂が特に好ましい。なお、支持基板12は、ビーム270の光路とならないことから、高い光透過性を有している必要はない。
支持基板12の上に形成される第2サーボ層19は、支持基板12の表面に反射性の層を形成することによって構成される。従って、この第2サーボ層19は、第2スパイラル方向(図3では時計回り方向)となるトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)19Aと、反射性の層を備えた状態となる(図3参照)。この第2サーボ層19は、Ag等の金属層を形成して光反射膜として機能させれば良い。また、必要に応じて記録が可能な反射性の記録層を設けても良い。。
第2サーボ層19の上には第2スペーサ層17Bが形成される。この第2スペーサ層17Bは、光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、ここでは45μmの膜厚に設定されている。第2スペーサ層17Bの光入射面10A側の面には、その中心部近傍から外縁部に向けて、第1スパイラル方向(図3の反時計回り方向)のグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。このグルーブおよびランドが、第1サーボ層18用のトラッキング制御用の凹凸(溝)となり、第2光学系200のビーム270がガイドされるようになっている。
第1サーボ層18は、第2スペーサ層17Bの表面に反射性の層をを形成することによって構成される。従って、この第1サーボ層18は、第1スパイラル方向(図3では反時計回り方向)となるトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)18Aと、反射性の層を備えた状態となる。第1サーボ層18は、Ag等の金属層を形成して光反射膜として機能させれば良い。また、必要に応じて記録が可能な反射性の記録層を設けても良い。第1サーボ層18の凹凸18Aの第1スパイラル方向と、第2サーボ層19の凹凸19Aの第2スパイラル方向は反対になる。
第1及び第2サーボ層18、19におけるトラッキング制御用の凹凸18A、19AのトラックピッチPは、ここでは、記録再生層14A〜14Fに記録予定とされる記録マークのトラックピッチの2倍に設定される。具体的に、記録再生層14A〜14Fに記録予定とされるトラックピッチは、BD規格との互換性のために0.32μm前後としていることから、第1及び第2サーボ層18、19のグルーブ/ランドのトラックピッチPは0.64μm前後に設定される。0.64μm前後のトラックピッチPであれば、比較的長い赤色波長領域のビーム270であっても十分なトラッキングが可能である。特に本実施形態では、グルーブとランドの双方を利用してトラッキングを行うようにしているので、結果として、凹凸18A、19Aのピッチは0.64μm前後となるが、記録再生層14A〜14Fに記録される記録マークのトラックピッチは、その半分の0.32μm前後とすることができる。従って、第1及び第2サーボ層18、19のトラックピッチを小さくしなくても、記録再生層群14の記録マークのトラックピッチを半分にできるので、記録容量を増大させることができる。
第1サーボ層18の上には第1スペーサ層17Aが形成される。この第1スペーサ層17Aは、光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、ここでは45μmの膜厚に設定されている。
第1スペーサ層17Aの光入射面10A側に積層される第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、それぞれ、追記型記録膜の両外側に誘電体膜を積層した3層構造となっている(図示省略)。なお、この第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、第1光学系100における青色波長領域(短い波長)のビーム170に対して光反射率・吸収率・透過率等が最適化されており、一方で、第2光学系200の赤色波長領域(長い波長)のビーム270は充分透過するような波長選択特性を有している。具体的に第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、赤色波長領域(長い波長)のビーム270によって、第1及び第2サーボ層18、19でトラッキングを実現できる程度の透過率が得られるようになっている。一方、具体的に第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、青色波長領域(短い波長)のビーム170によって記録・再生を実現できる程度の光反射率・吸収率・透過率が設定されている。
各記録再生層の誘電体膜は、追記型記録膜を保護するという基本機能に加えて、記録マークの形成前後における光学特性の差を拡大させる役割も果たす。
なお、ビーム170を照射した場合に、誘電体膜に吸収されるエネルギーが大きいと記録感度が低下しやすい。従って、これを防止するためには、これらの誘電体膜の材料として、380nm〜450nm(特に405nm)の波長領域において低い吸収係数(k)を有する材料を選択することが好ましい。なお、本実施の形態においては、誘電体膜の材料としてTiO2を用いている。
誘電体膜に挟まれる追記型記録膜は不可逆的な記録マークが形成される膜であり、記録マークが形成された部分とそれ以外の部分(ブランク領域)は、ビーム170に対する反射率が大きく異なる。この結果、データの記録・再生を行うことができる。なお、この追記型記録膜についても、トラッキング用の第2光学系200のビーム270の赤色波長領域おいては高い透過性を有する。
追記型記録膜は、Bi及びOを含む材料を主成分として形成される。この追記型記録膜は、無機反応膜として機能し、レーザー光の熱による化学的又は物理的な変化で反射率が大きく異なるようになっている。具体的な材料としては、Bi−Oを主成分とするか、又は、Bi−M−O(ただしMは、Mg、Ca、Y、Dy、Ce、Tb、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Zn、Al、In、Si、Ge、Sn、Sb、Li、Na、K、Sr、Ba、Sc、La、Nd、Sm、Gd、Ho、Cr、Co、Ni、Cu、Ga、Pbの中から選択される少なくとも1種の元素)を主成分とすることが好ましい。なお、本実施形態では、追記型記録膜の材料として、Bi−Ge−Oを用いている。
なお、ここでは第1〜第6記録再生層14A〜14Fにおいて追記型記録膜を採用する場合を示したが、繰り返し記録が可能な相変化記録膜を採用することも可能である。この場合の相変化記録膜は、SbTeGeを主成分とすることが好ましい。
中間層群16は、光入射面10Aから遠い側から順番に第1〜第5中間層16A〜16Eを有しており、第1〜第6記録再生層14A〜14Fの間に積層される。各中間層16A〜16Eは、アクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂によって構成される。この中間層16A〜16Eの膜厚は、第1中間層16Aが16μm、第2中間層16Bが12μm、第3中間層16Cが16μm、第4中間層16Dが12μm、第5中間層16Eが16μmとなる。つまり、2種類の膜厚(16μm、12μm)の中間層が交互に積層されている。この結果、第1〜第6記録再生層14A〜14Fの層間距離として、光入射面側から順番に第1距離(16μm)と、この第1距離と異なる第2距離(12μm)が交互に設定されることになる。また、第1距離と第2距離の差は4μmに設定される。このようにすると、層間クロストークが低減される。
カバー層11は、中間層群16と同様に光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、38μmの膜厚に設定されている。
第1光記録媒体10は、上記のように構成される結果、第2サーボ層19は、光入射面10Aから0.2mm(200μm)の距離に位置しており、第1サーボ層18は光入射面10Aから0.155mm(155μm)の距離に位置している。また、記録再生層群14の中で光入射面10Aから最も遠い第1記録再生層14Aは、光入射面10Aから0.11mm(110μm)の距離に位置しており、光入射面10Aに最も近い第6記録再生層14Fは、光入射面10Aから38μmの距離に位置することになる。また、記録再生層群14の全体的な厚み(第1記録再生層14A〜第6記録再生層14F間の距離)は72μmとなる。
次に第2光記録媒体20について説明する。この第2光記録媒体20は、第1及び第2サーボ層28、29が記録再生層群24よりも光入射面20A側に配置される。従って、第1スペーサ層27A及び第2スペーサ層27Bも記録再生層群24よりも光入射面20A側に配置されている。また、記録再生層群24が4層構造(第1〜第4記録再生層24A〜24D)になっており、その間に第1〜第3中間層26A〜26Cが挿入されている。その他は第1光記録媒体10と同じ構造となっている。
具体的に、支持基板22の厚みは1.1mmに設定されており、光入射面20A側の表面も平坦に構成されている。この表面に対して、平坦な記録再生層群24及び中間層群26が交互に積層されている。第1〜第3中間層26A〜26Cの膜厚は、第1中間層26Aが26μm、第2中間層26Bが20μm、第3中間層26Cが26μmとなる。この結果、第1〜第3記録再生層24A〜24Dの層間距離として、光入射面側から順番に第1距離(26μm)と、この第1距離と異なる第2距離(20μm)が交互に設定されることになる。また、第1距離と第2距離の差は6μmに設定される。
第4記録再生層24Dの光入射面20A側には、第2スペーサ層27Bが積層される。この第2スペーサ層27Bは、光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、ここでは10μmの膜厚に設定されている。第2スペーサ層27Bの光入射面20A側の面には、スタンパによって、その中心部近傍から外縁部に向けて、第2スパイラル方向(図3では時計回り方向)のグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。このグルーブおよびランドが、第2サーボ層29用のトラッキング制御用の凹凸(溝)となり、第2光学系200のビーム270がガイドされるようになっている。
第2サーボ層29は、第2スペーサ層27Bの表面に光反射性の層を形成することによって構成される。従って、この第2サーボ層29は、第2スパイラル方向となるトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)29Aと、光反射性の層を備えた状態となる(図3参照)。
第2サーボ層29の上には第1スペーサ層27Aが形成される。この第1スペーサ層27Aは、ここでは10μmの膜厚に設定されている。第1スペーサ層27Aの光入射面20A側の面には、その中心部近傍から外縁部に向けて、第1スパイラル方向(図3では反時計回り方向)のグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。このグルーブおよびランドが、第1サーボ層28用のトラッキング制御用の凹凸(溝)となり、第2光学系200のビーム270がガイドされるようになっている。
第1サーボ層28は、第1スペーサ層27Aの表面に光反射性の層を形成することによって構成される。従って、この第1サーボ層28は、第1スパイラル方向(図3では反時計回り方向)となるトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)28Aと、光反射性の層を備えた状態となる。結果、第1サーボ層28の凹凸28Aの第1スパイラル方向と、第2サーボ層29の凹凸29Aの第2スパイラル方向は反対になる。
第1サーボ層28の表面には、カバー層21が18μmの膜厚で形成される。
この第2光記録媒体20は、第1サーボ層28が光入射面20Aから18μmの距離に位置し、第2サーボ層29が28μmの距離に位置する。また、記録再生層群24の中で光入射面20Aから最も遠い第1記録再生層24Aは、光入射面20Aから0.11mmの距離に位置しており、光入射面20Aに最も近い第4記録再生層24Dは、光入射面20Aから38μmの距離に位置することになる。また、記録再生層群24の全体的な厚み(第1記録再生層24A〜第4記録再生層24D間の距離)は72μmとなる。
なお、この第2光記録媒体20では、記録再生層群24及び中間層群26に対して第2光学系200のビーム270が進入しないので、これらに波長選択特性は不要となる。一方で、第1サーボ層28及び第2サーボ層29は、第2光学系200の長い波長のビーム270を効率よく反射するが、第1光学系100の短い波長のビーム170を効率的に透過するような波長選択特性を有するようにすることが好ましい。具体的に第1サーボ層28及び第2サーボ層29は、赤色波長領域(長い波長)のビーム270によってトラッキングを実現できる程度の反射率が得られるようになっている。一方、青色波長領域(短い波長)のビーム170によって記録再生層群24に記録・再生を実現できる程度の透過率が得られるようになっている。
次に第3光記録媒体30について説明する。この第3光記録媒体30は、第2サーボ層39が、光入射面30Aを基準にして記録再生層群34よりも奥に配置され、第1サーボ層38が手前側に配置される。従って、第2スペーサ層37Bは記録再生層群34よりも奥側、第1スペーサ層37Aは記録再生層群34よりも光入射面30A側に配置される。また、記録再生層群34が5層構造(第1〜第5記録再生層34A〜34E)になっており、その間に第1〜第4中間層36A〜36Dが挿入されている。その他は第1光記録媒体10と同じ構造となっている。
具体的に、支持基板32は、厚さ1.155mmの膜厚の基板であり、その中心部近傍から外縁部に向けて第2スパイラル方向(図3の時計回り方向)となるグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。この支持基板32の光入射面30A側の面に第2サーボ層39が形成される。
この第2サーボ層39は、支持基板12の表面に光反射性の層を形成することによって構成される。従って、この第2サーボ層39は、第2スパイラル方向(図3では時計回り方向)となるトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)39Aと、光反射性の層を備えた状態となる(図3参照)。
第2サーボ層39の上には第2スペーサ層37Bが形成される。この第2スペーサ層37Bは、光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により平面状に構成されており、ここでは45μmの膜厚に設定されている。第2スペーサ層37Bの光入射面30A側の面には、記録再生層群34及び中間層群36が交互に積層される。
第1〜第4中間層36A〜36Dの膜厚は、第1中間層36Aが20μm、第2中間層36Bが16μm、第3中間層36Cが20μm、第4中間層36Dが16μmとなる。この結果、第1〜第5記録再生層34A〜34Eの層間距離として、光入射面側から順番に第1距離(16μm)と、この第1距離と異なる第2距離(20μm)が交互に設定されることになる。また、第1距離と第2距離の差は4μmに設定される。
第5記録再生層34Eの光入射面30A側には、第1スペーサ層37Aが積層される。この第1スペーサ層37Aは、ここでは10μmの膜厚に設定されている。第1スペーサ層37Aの光入射面30A側の面には、スタンパによって、その中心部近傍から外縁部に向けて、第1スパイラル方向(図3では反時計回り方向)のグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。このグルーブおよびランドが、第1サーボ層38用のトラッキング制御用の凹凸(溝)となり、第2光学系200のビーム270がガイドされるようになっている。
第1サーボ層38は、第1スペーサ層37Aの表面に光反射性の層を形成することによって構成される。従って、この第1サーボ層38は、第1スパイラル方向(図3では反時計回り方向)となるトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)38Aと、光反射性の層を備えた状態となる。結果、第1サーボ層38の凹凸38Aの第1スパイラル方向と、第2サーボ層39の凹凸39Aの第2スパイラル方向は反対になる。
第1サーボ層38の表面には、カバー層31が28μmの膜厚で形成される。
この第3光記録媒体30は、第2サーボ層39が光入射面30Aから0.155mm(155μm)の距離に位置しており、第1サーボ層38が光入射面30Aから28μmの距離に位置している。また、第1サーボ層38と第2サーボ層39の間に記録再生層群34が配置されている。記録再生層群34の中で光入射面30Aから最も遠い第1記録再生層34Aは、光入射面30Aから0.11mmの距離に位置しており、光入射面30Aに最も近い第5記録再生層34Eは、光入射面30Aから38μmの距離に位置することになる。また、記録再生層群34の全体的な厚み(第1記録再生層34A〜第5記録再生層34E間の距離)は72μmとなる。なお、第1サーボ層38は、第2光学系200の長い波長のビーム270を効率よく反射するが、第1光学系100の短い波長のビーム170を効率的に透過するような波長選択特性を有するようにすることが好ましい。
具体的に第1サーボ層38は、赤色波長領域(長い波長)のビーム270によってトラッキングを実現できる程度の反射率が得られるようになっている。一方、青色波長領域(短い波長)のビーム170によって記録再生層群34に記録・再生を実現できる程度の透過率が得られるようになっている。また、記録再生層群34は、赤色波長領域(長い波長)のビーム270によって、第2サーボ層39でトラッキングを実現できる程度の透過率が得られるようになっている。一方、記録再生層群34は、青色波長領域(短い波長)のビーム170によって記録・再生を実現できる程度の光反射率・吸収率・透過率が設定されている。
次に、これらの第1〜第3光記録媒体10、20、30の製造方法について説明する。なお、ここでは第1光記録媒体10の製造方法を説明することで、第2、第3光記録媒体20、30の製造方法の説明を省略する。
まず、金属スタンパを用いることによる、ポリカーボネイト樹脂の射出成型法により、グルーブおよびランドが形成された支持基板12を作製する。なお、支持基板12の作製は射出成型法に限られず、2P法や他の方法によって作製しても構わない。
その後、支持基板12におけるグルーブ及びランドが設けられた側の表面に第2サーボ層19を形成する。第2サーボ層19は、Ag合金を用いたスパッタリングによって光反射性の金属層を形成することで行う。更に、第2サーボ層19の上に第2スペーサ層17Bを形成する。第2スペーサ層17Bは、例えば、粘度調整されたアクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、更にトラッキング用の凹凸を備えたスタンパを押しつけた状態で紫外線を照射して硬化させる。硬化後、このスタンパを剥離することで第2スペーサ層17Bが完成する。
次に、第1サーボ層18を形成する。第1サーボ層18は、Ag合金を用いたスパッタリングによって光反射性の金属層を形成することで行う。更に、第1サーボ層18の上に第1スペーサ層17Aを形成する。第1スペーサ層17Aは、例えば、粘度調整されたアクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、そのまま紫外線を照射して硬化させることで平坦に形成する。
次に、第1記録再生層14Aを形成する。具体的には、誘電体膜、追記型記録膜、誘電体膜の順に気相成長法を用いて形成する。中でもスパッタリング法を用いることが好ましい。その後、第1記録再生層14Aの上に第1中間層16Aを形成する。第1中間層16Aは、例えば、粘度調整された紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、その後、この紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化することにより形成する。この手順を繰り返すことで、第2記録再生層14B、第2中間層16B・・・と順番に積層していく。
第6記録再生層14Fまで完成したら、その上にカバー層11を形成してこの第1光記録媒体10が完成する。なおカバー層11は、例えば、粘度調整されたアクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、これに対して紫外線を照射して硬化することにより形成する。なお、本実施形態では上記製造方法を説明したが、本発明は上記製造方法に特に限定されるものではなく、他の製造技術を採用することもできる。
次に、光ピックアップ90を用いて、この第1光記録媒体10に情報を記録再生する手順について説明する。
この第1光記録媒体10の第1記録再生層14Aに情報を記録する場合、まず、第2光学系200の赤色波長領域のビーム270を第2サーボ層19に照射して第2スパイラル方向にトラッキングを行う。この作業と同時に、第1光学系100の青色波長領域の記録用ビーム170を第1記録再生層14Aに照射する。なお、この第2サーボ層19には、光記録媒体シリーズに関する基本仕様や、情報記録層群14の積層枚数に関する情報が、記録ピットやBCA(バーストカッティングエリア)に予め記録されており、トラッキング制御を開始する時に常に読み出すようになっている。本実施形態において、光記録媒体に関する基本情報としては、サーボ層の位置、光入射面に最も近い記録再生層の位置、光入射面に最も遠い記録再生層の位置、記録再生層群の層間距離に関するルールを含むようになっている。このように、光記録媒体に関する基本仕様を読み込むことで、光ピックアップ90側がこの基本仕様に対応できるようにしておけば、第1、第2サーボ層18、19や、第1記録再生層14Aに対して、各ビーム270、170を素早くフォーカスさせることができる。
その後、第2サーボ層19を利用してトラッキングを行いながら、第1記録再生層14Aに情報を記録していく。この記録方向は第2スパイラル方向となる。記録完了後は、今回の追記情報(記録に関するアドレス情報、コンテンツ情報等)を第1及び/又は第2サーボ層18、19に記録して完了する。なお、第1及び第2サーボ層18、19が記録層を有しない場合は、この追記情報を、光入射面10Aから最も遠い第1記録再生層14A、又は光入射面10Aに最も近い第6記録再生層14Fに記録して完了することが望ましい。
第1記録再生層14Aの全ての領域に対する情報の記録が完了し、次に隣接する第2記録再生層14Bへの記録に移行する場合は、まず、第2光学系200の赤色波長領域のビーム270を第2サーボ層19から第1サーボ層18に移行させて、第1スパイラル方向にトラッキングを行う。第1サーボ層18と第2サーボ層19の距離が極めて近いことから、速やかに移行することが出来る。
サーボ層の移行と同時に、第1光学系100のビーム170を、第1記録再生層14Aから第2記録再生層14Bにフォーカスさせる。第1サーボ層18を利用してトラッキングを行いながら、第2記録再生層14Bに情報を記録する。この記録方向は、第1記録再生層14Aと反対の第1スパイラル方向となる。従って、第1記録再生層14Aの記録終了位置と、第2記録再生層14Bの記録開始位置は、半径方向の最も外側又は最も内側のいずれかとなる。従って、移行時には、第1光学系100のビーム170をフォーカス方向に移動させるだけで済むので、記録再生層間においてシーケンシャルな素早い移行が可能となる。第2記録再生層14Bでの記録完了後は、今回の追記情報(記録に関するアドレス情報、コンテンツ情報等)を第1及び/又は第2サーボ層18、19に記録して完了する。
第2記録再生層14Bから第3記録再生層14Cに移行する際には、再び、第2サーボ層19によるトラッキングに移行して第2スパイラル方向に沿って記録していくことになる。これを繰り返して、第6記録再生層14Fまで情報を記録していく。
次に、例えば第2記録再生層14Bに記録された情報を再生する際には、先ず、第2光学系200のビーム270を利用して第1又は第2サーボ層18、19のいずれかを再生することで、上述の基本仕様と、記録に基づく追記情報(例えば第2記録再生層14Bに記録したコンテンツ情報等)を読み出す。その後、これらの情報に基づいて、第1光学系100のビーム170を利用して第2記録再生層14Bの所定アドレスにアクセスして再生を行う。この際は、第2記録再生層14Bに既に情報が記録されていることが明らかであるので、その記録マークを利用してトラッキングを行えば良い。従って、第2記録再生層14Bのコンテンツ再生中は、第2光学系200のビーム270は不要とすることができる。第2記録再生層14Bから第3記録再生層14Cに亘って連続的なコンテンツが記録されている場合でも、既に述べたように、シーケンシャルに情報が記録されているので、コンテンツの再生を中断させることなく記録再生層間の移行が可能となる。
なお、図2で示した第2記録媒体20に対して情報を記録する場合も同様に、例えば、奇数段となる第1、第3記録再生層24A、24Cへの記録については第2サーボ層29を利用して第2スパイラル方向にトラッキングを行い、偶数段となる第2、第4記録再生層24B、24Dへの記録については、第1サーボ層28を利用して第1スパイラル方向にトラッキングを行うようにする。
第3記録媒体30に対して情報を記録する場合も同様に、例えば、奇数段となる第1、第3、第5記録再生層34A、34C、34Eへの記録については第2サーボ層39を利用して第2スパイラル方向のトラッキングを行い、偶数段となる第2、第4記録再生層34B、34Dへの記録については、第1サーボ層38を利用して第1スパイラル方向のトラッキングを行うようにする。このようにすることで、記録再生層間においてシーケンシャルな記録再生が可能となる。
以上、本実施形態における第1〜第3光記録媒体10、20、30によれば、スパイラル方向の異なる第1サーボ層と第2サーボ層をトラッキング専用層として備えているので、これらを交互に利用すれば、記録再生層群に対して連続的な記録再生を実現できる。この結果、記録再生層群を多層化した場合、特に3層以上に構成した場合であっても、記録再生層間の移行時において中断しない記録再生が可能となる。
更に、第1〜第3光記録媒体10、20、30によれば、記録再生層群に記録済みの情報のスパイラル方向を検出することにより、記録再生層を特定することが可能になる。従って、記録再生対象とする記録再生層が、正しい層であるか否かを、記録済みの情報のスパイラル方向を利用して事前に確認することが好ましい。
また、第1又は第2光記録媒体10、20では、第1サーボ層と第2サーボ層が隣接配置されているので、第2光学系200の球面収差補正範囲を広げなくて済む。この結果、第2光学系200を複雑に構成しなくても、第1・第2スパイラル方向の双方に高精度なトラッキング制御が可能となる。
また、第1光記録媒体10では、第1及び第2サーボ層18、19が記録再生層群14よりも奥側、即ち支持基板12側に配置されているので、射出成形法等によってこれらを効率的に形成することが可能となるので、歩留まりが向上し、製造コストをより一層低減することが可能となる。特に本実施形態では、記録再生層群14及び中間層群16が、短い波長光を反射し且つ長い波長光を透過する特性を備えている。従って、赤色等の長い波長を第2光学系200に採用すれば、これらの記録再生層群14が手前側に積層されていても、トラッキング制御の精度低下を抑制できる。同様に、トラッキング制御用のビーム270が、記録再生層群14に対する記録再生に悪影響を与えないで済む。
一方、第2光記録媒体20では、第1及び第2サーボ層28、29が記録再生層群24よりも手前側、即ちカバー層21側に配置されているので、記録再生層群24等の厚みむらの影響が無くなり、トラッキング制御を一層、高精度に行うことが可能となる。特にこの第2光記録媒体20によれば、第1及び第2サーボ層28、29が波長選択特性を有しているので、第2光学系200において赤色等の長い波長のビーム270を採用すれば、そのビーム270が記録再生層群24側に進入して反射することを抑制できる。この結果、トラッキング制御及び記録再生精度を高めることができる。なお、第1光学系100と第2光学系200が同等の波長領域のビームを用いる場合、第1及び第2サーボ層28、29は、記録再生層群24と同様に、光反射特性と光透過特性を併せ持つようにすれば良い。この際は波長選択特性は不要となる。
更に、本実施形態の光記録再生方法によれば、隣接する記録再生層において、一方は第1サーボ層を利用して第1スパイラル方向に情報を記録し、他方は第2サーボ層を利用して第2スパイラル方向に情報を記録するので、隣接する記録再生層間で連続的な記録再生が可能となり、中断の少ない記録再生を実現できる。なお、本実施形態では、記録再生層群に対して、光入射面側に対して奥側から順番(光入射面から遠い順番)に記録する場合を示したが、勿論、光入射面から近い順番に情報を記録していくようにしても良い。
更に本実施形態では、第1、第2サーボ層のトラッキング用の凹凸のトラックピッチが、記録再生層群に記録予定となるトラックピッチの2倍に設定されている。このようにするとで、サーボ層では、安価となる波長の長い赤色のビーム270を採用することによって、ランド及びグルーブの双方を用いたトラッキングを行いつつ、記録再生層群では、1/2のトラックピッチによる記録が可能となる。特にサーボ層側のトラックピッチを0.64μmに設定することで、第2光学系200はDVD規格の既存製品をほとんどそのまま用いることが出来る。一方で、記録再生層は0.32μmのトラックピッチとなるので、第1光学系100は、BD規格の既存製品をほとんどそのまま用いることが出来る。即ち、光ピックアップ90側は新たな開発負担が無く、既存の部品を有効活用できる。
なお、上記実施形態に係る第1〜第3光記録媒体10〜30では、支持基板22の一方側に第1及び第2サーボ層が配置される場合を示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば図4に示される第4光記録媒体40のように、支持基板42の一方側に第1サーボ層48が配置され、支持基板42の他方側に第2サーボ層49が配置されるようにしても良い。この際、支持基板42の一方の面には、その中心部近傍から外縁部に向けて第1スパイラル方向となるグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。この表面に光反射性の層を形成することで第1サーボ層48が得られる。また、支持基板42の他方の面には、その中心部近傍から外縁部に向けて、第1スパイラル方向と反対の第2スパイラル方向となるグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。この表面に光反射性の層を形成することで第2サーボ層49が得られる。結果、第1サーボ層48は、第1光入射面40A側に近づくと共に、第2サーボ層49は、第1光入射面40Aと反対側の第2光入射面40Bに近づく。
更に支持基板42の一方側かつ第1サーボ層48よりも第1光入射面40A側には、第1スペーサ層43Aを介して第1記録再生層群44が配置される。また、支持基板42の他方側かつ第2サーボ層49よりも第2光入射面40B側には、第2スペーサ層43Bを介して第2記録再生層群45が配置される。第1記録再生層群44の間には第1中間層群46が配置され、第2記録再生層群45の間には第2中間層群47が配置される。
第1光記録再生層群44の第1光入射面40A側には第1カバー層41Aが配置され、第2光記録再生層群45の第1光入射面40B側には第1カバー層41Bが形成される。
この第4光記録媒体40では、第1サーボ層48を利用してトラッキング制御を行いながら、第1記録再生層群44の各記録再生層44A〜44Dに対して情報の記録・再生が行われる。また、第2サーボ層49を利用してトラッキング制御を行いながら、第2記録再生層群45の各記録再生層45A〜45Dに対して情報の記録・再生が行われる。具体的には、赤色波長領域(長い波長)の第1ビーム270Aを第1光入射面40A側から第1サーボ層48に照射してトラッキングを実現し、このトラッキング制御を利用しながら、青色波長領域(短い波長)の第1ビーム170Aを第1光入射面40A側から第1記録再生層群44に照射して記録・再生を実現する。更に、赤色波長領域(長い波長)の第2ビーム270Bを第2光入射面40B側から第2サーボ層49に照射してトラッキングを実現し、このトラッキング制御を利用しながら、青色波長領域(短い波長)の第2ビーム170Bを第2光入射面40B側から第2記録再生層群45に照射して記録・再生を実現する。勿論、トラッキング用の第1ビーム270Aを、支持基板42を介して第2サーボ層49に照射し、この第2サーボ層49を利用して第1記録再生層群44の記録・再生を行うことも可能である。また、トラッキング用の第2ビーム270Bを支持基板42を介して第1サーボ層48に照射して、この第1サーボ層48を利用して第2記録再生層群45の記録・再生を行うことも可能である。
この第4光記録媒体では、サーボ層48、49及び記録再生層群44、45を、支持基板42の両側にそれぞれ配置しているので、記録再生層の積層数を増大させることが可能になる。更に製作時に生じる内部応力が支持基板42の両側に分散するので、第4光記録媒体40の反りや変形を抑制することも可能になる。
なお、この第4光記録媒体40は、支持基板42の両側に記録再生層群44、45を配置する場合を示したが、例えば図5に示される第5光記録媒体50のように、第1、第2サーボ層58、59を支持基板52の両側に配置する一方、記録再生層群54は第1サーボ層58側のみに配置するようにしてもよい。この場合、第2サーボ層59の表面側には第2カバー層51Bを直接配置する。記録再生層群54に記録・再生を行う際は、第1、第2サーボ層58、59に対して共通のビーム270を照射してトラッキング制御を行うことが好ましい。
なお、本実施形態の光記録媒体では、記録再生層群の積層数が4〜6層となる場合に限って示したが、本発明はこれに限定されない。同様に、記録再生層の層間距離が、第1距離と第2距離が交互に設定される場合に限って示したが、これらに限定されず、3種類以上の層間距離を適宜設定することも可能である。
更に本実施形態では、光ピックアップ90側が、波長の異なる赤色と青色のビームを利用する場合に限って示したが、本発明はこれに限定されず、同じ波長のビームを用いることも可能である。また、記録再生層群に対して、積層順にスパイラル方向が交互になるように情報を記録していく場合に限って示したが、必ずしも交互である必要は無い。
本発明の光記録媒体、光記録再生方法は、サーボ層と記録再生層を有する各種光記録媒体に適用することができる。
10 第1記録媒体
11、21、31 カバー層
12、22、32 支持基板
14、24、34 記録再生層群
16、26、36 中間層群
18、28、38、48、58 第1サーボ層
19、29、39、49、59 第2サーボ層
20 第2記録媒体
30 第3記録媒体
40 第4記録媒体
50 第5記録媒体
90 光ピックアップ

Claims (11)

  1. トラッキング制御用の凹凸が第1スパイラル方向に形成される第1サーボ層と、
    トラッキング制御用の凹凸が前記第1スパイラルと反対方向の第2スパイラル方向に形成される第2サーボ層と、
    トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造で構成され、前記第1サーボ層又は前記第2サーボ層を利用してトラッキング制御を行いながら情報が記録される複数の記録再生層と、
    を備えることを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記記録再生層が3層以上となることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記第1及び第2サーボ層が、前記記録再生層と比較して、光入射面から近い位置に積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録媒体。
  4. 前記第1及び第2サーボ層が、長い波長光を反射し且つ短い波長光を透過する特性を有することを特徴とする請求項3に記載の光記録媒体。
  5. 前記第1及び第2サーボ層が、前記記録再生層と比較して、光入射面から遠い位置に積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録媒体。
  6. 前記記録再生層が、短い波長光を反射し且つ長い波長光を透過する特性を有することを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体。
  7. 3層以上となる前記記録再生層の層間距離として、第1距離と、該第1距離と異なる第2距離とが交互に設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光記録媒体。
  8. 前記第1又は第2サーボ層のトラックピッチが、前記記録再生層に記録予定のトラックピッチの2倍に設定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光記録媒体。
  9. 3層以上となる前記記録再生層間において、隣接する前記記録再生層の一方は前記第1サーボ層のトラッキング制御によって第1スパイラル方向に情報が記録され、他方は前記第2サーボ層のトラッキング制御によって第2スパイラル方向に情報が記録されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光記録媒体。
  10. トラッキング制御用の凹凸が第1スパイラル方向に形成される第1サーボ層と、
    トラッキング制御用の凹凸が前記第1スパイラルと反対方向の第2スパイラル方向に形成される第2サーボ層と、
    トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造で構成される複数の記録再生層とを備える光記録媒体に対する光記録再生方法であって、
    前記第1又は第2サーボ層のいずれかにトラッキング用のビームを照射することによりトラッキング制御を行いながら、前記記録再生層に記録用のビームを照射して情報を記録することを特徴とする光記録再生方法。
  11. 隣接する前記記録再生層において、一方は前記第1サーボ層を利用して第1スパイラル方向にトラッキング制御を行いながら情報を記録し、他方は第2サーボ層を利用して第2スパイラル方向にトラッキング制御を行いながら情報を記録することを特徴とする請求項10に記載の光記録再生方法。
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